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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】乳化組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/56 20220101AFI20220428BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220428BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220428BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220428BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20220428BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220428BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220428BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
B01F17/56
A61K8/06
A61K8/60
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q17/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018031020
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019141825
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(73)【特許権者】
【識別番号】517001398
【氏名又は名称】一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】川口 真一
(72)【発明者】
【氏名】野口 由佳
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108272(JP,A)
【文献】特開2000-026263(JP,A)
【文献】特開2017-145236(JP,A)
【文献】特開2012-082183(JP,A)
【文献】特表2004-501086(JP,A)
【文献】特表2007-516937(JP,A)
【文献】特開2005-343880(JP,A)
【文献】特開平09-118611(JP,A)
【文献】特開2008-092869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K23/00-23/56
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C07H 1/00-99/00
C11B 1/00-15/00
C11C 1/00- 5/02
C11D 1/00-19/00
C09K15/00-15/34
C09K 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラボノイド配糖体であるルチン又はナリンギンを構成する少なくとも1つの水酸基が、オレイン酸でエステル化した化合物から構成されることを特徴とする
乳化組成物。
【請求項2】
請求項に記載の乳化組成物において、
前記フラボノイド配糖体が、タマネギの外皮または柑橘類の果皮の抽出物から得られたものであることを特徴とする
乳化組成物。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の乳化組成物から構成されることを特徴とする
化粧組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化機能を有する乳化組成物に関し、特に、天然由来で、高い乳化機能を有する乳化組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物は、分子内に親油性基と親水性基を併せ持つ化合物から成り、乳化剤として様々な用途で幅広く必要とされている重要な化学添加剤である。
【0003】
このような乳化組成物が必要とされる用途の一例として、化粧品がある。化粧品には、有効成分として、水溶性の成分と油性の成分の両方が含まれていることから、これらを均一に混合するために乳化組成物が必要とされている。
【0004】
さらに、化粧品は、化粧品本来の効果の他に、肌へ塗布した際の延展性に優れることや、肌に対して刺激性が少ないことも重視され、より高品質で使用感に優れる乳化組成物に対するニーズが高い。
【0005】
乳化組成物としては、石油由来のものがあり、高級脂肪酸塩をはじめアルキル硫酸エステル塩などが知られている。しかし、このような石油由来のものは、肌に対して刺激性が高く、肌荒れを起こし易いことから、より刺激性の少ない穏やかな乳化組成物が求められてきた。そのため、肌に対して刺激性が低いとされている天然成分由来の乳化組成物が求められている。
【0006】
従来の乳化組成物としては、例えば、植物由来のロウ(例えば、カルナウバロウ)を一成分として使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、天然由来のセラミドを一成分として使用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-190292号公報
【文献】特開2016-222600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の乳化組成物は、天然由来の成分のみでは乳化機能が弱いことから、十分な乳化機能を得るため、天然由来の成分の他にも様々な有効成分(添加剤)が配合されており、このような添加剤が肌に与える影響は無視できず、依然として刺激性が高く、使用感もべたつき易いものにとどまっている。
【0009】
また、化粧品においては、添加剤の量を抑制して製造コストを抑制することも重視されていることから、化粧品に用いられる乳化組成物は、製造コストの観点からも、それ自体が十分な乳化機能を発揮することが望まれている。仮に、乳化組成物自体に基本的な乳化機能のみならず、付加的な機能を併せ持つものであれば、さらに化粧品に含まれる添加剤の量を抑制することができると考えられるが、そのような優れた乳化組成物は、現在のところ見当たらない。
【0010】
本発明は、前記課題を解消するためになされたものであり、天然成分由来で、優れた乳化機能を有し、さらに付加機能も有する乳化組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ある種の天然原料を用いて合成した乳化組成物が、優れた乳化機能を有すると共に付加機能も併有することを見出し、新しいタイプの乳化組成物を導き出した。
【0012】
かくして、本発明に従えば、フラボノイド配糖体を構成する少なくとも1つの水酸基が、アルキルエステル化した化合物から構成される乳化組成物が提供される。また、このような乳化組成物から構成される化粧組成物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る乳化組成物の乳化機能測定結果(直後~6時間後)を示す。
図2】本発明の実施例1に係る乳化組成物のDPPHラジカル法による抗酸化能の測定結果を示す。
図3】本発明の実施例1に係る乳化組成物の分光光度計による吸光度測定の結果(15分後、1時間後)を示す。
図4】本発明の実施例3に係る乳化組成物から得られたH NMRチャート(a)、および当該乳化組成物の乳化機能測定の結果(1 時間静置して相分離の様子を確認した結果)(b)を示す。
図5】本発明の実施例3に係る乳化組成物の顕微鏡写真(600倍)の結果を示す。
図6】本発明の実施例3に係る乳化組成物のDPPHラジカル法による抗酸化能の測定結果を示す。
図7】本発明の実施例4に係る乳化組成物の乳化機能の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、フラボノイド配糖体を構成する少なくとも1つの水酸基が、アルキルエステル化された化合物から構成される。
【0015】
乳化組成物とは、乳化機能を有するもので、二種以上の成分が全体として均質に存在し、一物質として把握される性質のものであることを示す。
【0016】
フラボノイド配糖体は、フラボノイド(フラバン骨格を基礎骨格とする有機化合物群)と糖がグリコシド結合により結合した化合物であり、天然に存在する有機化合物群である。この点において、本実施形態に係る乳化組成物は、天然由来のものである。
【0017】
フラボノイド配糖体としては、例えば、フラボン配糖体、フラボン配糖体、フラボノール配糖体、または、フラバノン配糖体を用いることが可能であり、好ましくは、ケルセチン配糖体、イソケルセチン配糖体、ルチン配糖体、ナリンゲニン配糖体、ナリンジン配糖体、ケルシトリン配糖体、イソケルシトリン配糖体、ハイペリン配糖体、ミリセチン配糖体、ケンフェロール配糖体、ルテオリン配糖体、アストラガリン配糖体、ミリシトリン配糖体、クリシン配糖体、アピゲニン配糖体、アピイン配糖体、エリオジクチトール配糖体、エリオシトリン配糖体、およびネオエリオシトリン配糖体からなる群から選択されることである。
【0018】
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、以下の一般式(I)で表すことができる。
【化1】
【0019】
上記式中、Flaは、フラボノイド配糖体のアグリコンを示し、Sacは、フラボノイド配糖体のグリコンを示し、Zは、置換基で置換されていてもよく不飽和炭素を含んでいてもよい直鎖または分枝状のアルキル基であり、OZCOの添え字kは、1以上の整数である。
【0020】
上記のOZCO基は、フラボノイド配糖体を構成する少なくとも1つの水酸基が、アルキルエステル化された官能基を示す。このアルキルエステル化される水酸基は、フラボノイド配糖体を構成する少なくとも1つの水酸基であれば、特に限定されない。例えば、フラボノイド配糖体のアグリコンを構成する水酸基でもよいし、フラボノイド配糖体のグリコンを構成する水酸基でもよい。この水酸基のうち少なくとも1つの水酸基がアルキルエステル化されていればよい。
【0021】
このようなことから、上記一般式(I)は、以下の一般式(I’)としても表される。
【化2】
【0022】
上記式中、Fla、Sac、Zは、上記一般式(I)の定義と同じであり、mおよびnは、m+n≧1、m≧0、n≧0を満たす整数である。
【0023】
上記のOZCO基を構成するアルキル基Zの炭素数は、特に制限されないが、好ましくは、炭素数1~30であり、使い勝手の良さから、より好ましくは、炭素数8~22である。この理由は、実質的に多用されるもので最も炭素数が大きいのはドコサヘキサエン酸(炭素数22)であることと、乳化機能を発現されるためにはある程度の脂溶性が必要となり、1-オクタノールが脂溶性を測る基準で用いられていることからも、炭素数8以上が好ましいためである。
【0024】
さらに、より好ましくは、アルキル基Zの炭素数は、炭素数15~18であり、この範囲の炭素数では、上記のアルキルエステル化に用いるアルキル基の原料として、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などを用いることができることから、天然由来のツバキ油やオリーブ油を原料に用いることができ、乳化組成物としての安全性や使用感、信頼感をさらに高めることができる。
【0025】
本発明の実施形態に係る乳化組成物としては、使い勝手の良さから、以下の一般式(II)で表されるものを用いることができる。
【化3】
【0026】
上記式中、pは0または1であり、qは0または1であり、R~Rは、各々独立して、H、ZCO、または以下の一般式(II-1)で表される少なくとも1つの水酸基がアルキル基で置換されていてもよいフラボノイド配糖体のグリコンを表し、R~Rのうちの少なくとも1つが、ZCOを含むものである。
【化4】
【0027】
上記式中、Sac、Zは、上記一般式(I)の定義と同じである。
【0028】
このような乳化組成物としては、特に限定されないが、例えば、ケルセチン配糖体やナリンゲニン配糖体を用いることができる。
【0029】
例えば、乳化組成物の1つとして、ケルセチン配糖体を用いる場合には、以下の一般式(III)で表される乳化組成物が示される。
【化5】
【0030】
上記式中、R~R、およびR11~R16は、各々独立して、H、ZCOを表し、このうち少なくとも1つが、ZCOを含むものである。Zは、上記一般式(I)の定義と同じである。
【0031】
上述のケルセチン配糖体を用いる場合には、例えば、以下の一般式(III-1)で表されるように、ケルセチン配糖体のアグリコンを構成する水酸基のみがアルキルエステル化され、ケルセチン配糖体のグリコンを構成する水酸基はアルキルエステル化されていない無置換のものを用いることもできる。
【化6】
【0032】
上記式中、R~Rは、上記一般式(III)の定義と同じである。
【0033】
また、上述のケルセチン配糖体を用いる場合には、例えば、以下の一般式(III-2)で表されるように、ケルセチン配糖体のグリコンを構成する水酸基のみがアルキルエステル化され、ケルセチン配糖体のアグリコンを構成する水酸基はアルキルエステル化されていない無置換のものを用いることもできる。
【化7】
【0034】
上記式中、R11~R16は、上記一般式(III)の定義と同じである。
【0035】
ケルセチン配糖体を用いる場合には、特に限定されないが、例えば、タマネギの外皮から抽出することができる。タマネギの外皮は、タマネギの加工過程で産業廃棄物として廃棄されていることから、低コストで製造できると共に、資源再利用の観点からも優れている。
【0036】
また、例えば、乳化組成物の1つとして、ナリンゲニン配糖体を用いる場合には、以下の一般式(IV)で表される乳化組成物が示される。
【化8】
【0037】
上記式中、R~R、およびR11~R16は、各々独立して、H、ZCOを表し、このうち少なくとも1つが、ZCOを含むものである。Zは、上記一般式(I)の定義と同じである。
【0038】
上述のナリンゲニン配糖体を用いる場合には、例えば、以下の一般式(IV-1)で表されるように、ナリンゲニン配糖体のアグリコンを構成する水酸基のみがアルキルエステル化され、ナリンゲニン配糖体のグリコンを構成する水酸基はアルキルエステル化されていない無置換のものを用いることもできる。
【化9】
【0039】
上記式中、R~Rは、上記一般式(IV)の定義と同じである。
【0040】
また、上述のナリンゲニン配糖体を用いる場合には、例えば、以下の一般式(IV-2)で表されるように、ナリンゲニン配糖体のグリコンを構成する水酸基のみがアルキルエステル化され、ナリンゲニン配糖体のアグリコンを構成する水酸基はアルキルエステル化されていない無置換のものを用いることもできる。
【化10】
【0041】
上記式中、R11~R16は、上記一般式(IV)の定義と同じである。
【0042】
ナリンゲニン配糖体の原料としては、特に限定されないが、例えば、柑橘類の果皮から抽出することができる。柑橘類の果皮も、上記のタマネギの外皮と同様に、一般に食用されない部位として廃棄されていることから、低コストで製造できると共に、資源再利用の観点からも優れている。柑橘類としては、特に限定されないがグレープフルーツを用いることができ、例えば、佐賀大学が品種登録しているさがんルビー(登録商標)を用いることができる。
【0043】
本実施形態に係る乳化組成物は、フラボノイド配糖体とアルキルカルボン酸を原料として、エステル化を引き起こすことによって、合成することが可能である。例えば、フラボノイド配糖体としてケルセチン誘導体を用いると共に、アルキルカルボン酸としてオレイン酸誘導体を用いて、非プロトン性溶媒(例えばジオキサン)下で、アミン(例えばトリエチルアミン)存在下で、0℃~常温程度で、20時間程度で合成を行うことが可能である。
【0044】
すなわち、原料となるフラボノイド配糖体とアルキルカルボン酸誘導体は、共に、天然由来成分から抽出して製造される。例えば、ケルセチン誘導体であるルチンは、タマネギの外皮から抽出することができる。例えば、ナリンゲニン配糖体であるナリンギンは柑橘類の果皮から抽出することができる。アルキルカルボン酸誘導体としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などの誘導体を用いることができ、例えば、オレイン酸を用いる場合にはツバキやオリーブから抽出することができ、いずれも、公知の手法によって、抽出することが可能である(例えば、兵庫県立農林水産技術総合センター小河拓也、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、2005年度近畿中国四国農業研究成果情報、食品流通推進部会「タマネギ外皮からのケルセチン類抽出方法の開発」参照)。
【0045】
このようにして得られた新規の乳化組成物は、優れた乳化作用を奏することが確認されている。また、抗酸化作用を持つと共に、紫外線を吸収することにより紫外線を防止することが確認されている。さらに、人肌に塗布した後などの乳化組成物の使用後には、天然由来の物質に自然に分解されるという安全で優れた分解能を発揮することも確認されている(後述の実施例参照)。また、チロシナーゼ阻害作用が発現することにより美白作用を奏することが可能となる。
【0046】
このようにして得られた乳化組成物は、フラボノイド配糖体のアルキルエステル化した化合物から構成されるものであり、このような化合物が優れた乳化作用や自然分解作用をはじめとする優れた付加作用を併せ持つことは、従来から知られたものではなく、本発明者らの鋭意研究によって、初めて得られた知見に基づくものである。
【0047】
このような優れた特性から、本実施形態に係る乳化組成物は、各種用途に用いることができるが、より好ましくは、人肌に塗布して使用される化粧品(化粧組成物)に用いることであり、安全性に優れると共に、高い乳化作用のみならず各種の付加機能を備えた優れた化粧品(化粧組成物)が得られる。
【0048】
特に、本実施形態に係る乳化組成物は、pH1の酸で30分で8%自然分解したことが確認されており、酸性条件で分解することから、人肌に塗布した場合には、その塗布後に、分解が自然に進行するものである。さらに、人の皮膚には常在菌が存在してエステル分解酵素(リパーゼ)も存在していることから、本発明の乳化組成物もエステル構造から構成されることから、リパーゼによって分解されるものであり、すなわち、人の皮膚に塗布後に、自然に分解できるものである。
【0049】
このように、本実施形態に係る乳化組成物から構成される化粧組成物は、人肌に塗布後に、自然に分解されるという優れた効果を奏する。さらに、このように自然に分解された後には、天然由来の物質のみ、例えばオレイン酸やフラボノイド配糖体などが人肌に残るのみとなり、人肌に与える刺激などの影響もないという、天然成分由来のメリットを塗布時だけでなく塗布後にも享受できるという従来では得られない優れたものである。
【0050】
以下に実施例を示すが、これらの実施例は単に例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
以下の合成スキームの通り、100mL2口ナスフラスコを反応容器に用いて、フラボノイド配糖体としてケルセチン誘導体(タマネギ外皮に含まれる代表フラボノイドとしてrutin、東京化成工業社により入手)1.5mmol(916mg)を用いると共に、アルキルカルボン酸としてオレイン酸誘導体(オレイン酸クロライド、東京化成工業社により入手)4.5mmol(1.35g)を用いて、ジオキサン10 mL(和光純薬工業社より入手)およびトリエチルアミン5 mL(ナカライテスク社より入手)存在下で、0℃~常温で、20時間マグネティックスターラーで撹拌を行うと、乳化組成物(以下、乳化剤と呼ぶこともある)としてのフラボノイド配糖体エステル1.859gを得た。得られたフラボノイド配糖体エステルは、H NMR、質量分析のスペクトルデータを確認したところ、後述の実施例2に記載のデータと同じ結果が得られ、後述の実施例2で示した化合物の混合物であることが確認された。
【化11】
【0052】
(1)乳化機能測定
実際に使われる可能性のある油分としてオレイン酸を選択し、乳化剤としての機能を目視によって確認した。実験手法:2つのサンプル管にオレイン酸5mL、精製水0.5mLを加え、さらに見やすさの向上のため、赤色の水溶性着色剤(アマランス)を加えよくかき混ぜた。次に、一方にのみ合成した乳化剤80mgを加えた(図1(a)~(g)の各左側)。図1では、各々、下層の白色層が水層を表している。得られた結果から、6時間経過後も本実施例の乳化組成物を加えた方は分離しなかった。
【0053】
(2)DPPHラジカル法による抗酸化能の測定
DPPH(2,2-diphenyl-1-picrylhydrazy)の100 μM メタノール溶液を準備し、比色法によってvitaminEをポジティブコントロールとする、上記得られたフラボノイド配糖体エステルから構成される本実施例の乳化組成物(以下、R/O乳化剤(rutinオレイン酸乳化剤)とも呼ぶ)(クルード)の抗酸化能の測定を行った。得られたDPPHラジカル法による比色測定の様子を図2に示す。図2の左から順にネガティブコントロール(添加物なし)、ポジティブコントロールvitaminE 100 μM、50 μM、25 μM、12.5μM、R/O乳化剤(クルード)250 μM、125 μM、62.5 μMであった。
【0054】
分光光度計による吸光度測定(515 nm)を行った結果の生データを以下に示すと共に、グラフ化したものを図3に示す。
【表1】
【0055】
得られたR/O乳化剤の抗酸化能を以下の表に示す。
【表2】
【表3】
【0056】
得られた結果から、R/O乳化剤は抗酸化能を示すことが明らかとなった。VitaminEプロットによる結果より、R/O乳化剤はVitaminEの抗酸化力に換算して、上の表に示す抗酸化能を示していた。また、VitaminEに比べ、R/O乳化剤の抗酸化能は遅効性であり徐々にラジカルを除去している結果が観測された。(15分後と1時間後の比較)薄いほうが、VitaminE換算抗酸化能が高い。対照実験としてオレイン酸の抗酸化能の測定を行ったが全くDPPHラジカルを除去しなかった。
【0057】
(実施例2)
タマネギの外皮からはケルセチンおよびケルセチン配糖体が抽出できることが知られている。そこで、親水性の高いケルセチン配糖体に着目した。ケルセチン配糖体はその糖化の位置で幾つかの種類が存在するが、ケルセチンの配糖体の中で最も安価で手に入りやすいルチン(ケルセチンの3位の酸素にルチノースが結合したもの)をモデル化合物として、オレイン酸化を行うことで本実施例に係る乳化剤を合成した。
【0058】
【化12】
【0059】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離後、得られた成分はそれぞれ4置換体、3置換体、2置換体、1置換体(2種類)であった。それぞれの構造をNMR、質量分析によって確認した結果を以下に示す。NMRは、上記で得られた化合物に対して核磁気共鳴装置(Agilent NMR System 400)を用いて、スペクトルを取得した。HRMS:正イオンモードで動作されるエレクトロスプレーイオン化源を備えたWaters Premier Quadrupole Time-of-Flight(Q-TOF)質量分析計(Agilent-6624-TOF-LC/MS spectrometer)を用いて、HRMS(高分解能質量スペクトル)データを作成した。
【0060】
(4置換体)
【化13】
【0061】
IUPAC名:4-(5,7-bis(oleoyloxy)-4-oxo-3-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-((((2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)methyl)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-4H-chromen-2-yl)-1,2-phenylene dioleate、スペクトルデータ 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 12H), 1.20-1.75 (m, 91H), 1.92-2.10 (m, 16H), 2.30-2.42 (m, 8H), 3.25-3.95 (m, 18H), 5.34 (brs, 8H), 6.51 (s, 1H), 6.81 (s, 1H), 7.27 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 8.24 (d, J = 9.2 Hz, 1H)
形状:黄色オイル
【0062】
(3置換体)
【化14】
【0063】
IUPAC名:4-(5-hydroxy-7-(oleoyloxy)-4-oxo-3-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-((((2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)methyl)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-4H-chromen-2-yl)-1,2-phenylene dioleate、スペクトルデータ 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 9H), 1.20-1.75 (m, 69H), 1.92-2.10 (m, 12H), 2.30-2.42 (m, 6H), 3.25-3.95 (m, 18H), 5.34 (brs, 6H), 6.50 (s, 1H), 6.81 (s, 1H), 7.29 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 8.26 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 11.87 (brs, 1H)
質量分析HRMS (ESI+) Calcd for C81H127O19 [M+H+]: 1403.8972 , Found: 1403.8947.
形状:黄色オイル
【0064】
(2置換体)
【化15】
【0065】
IUPAC名:4-(5,7-dihydroxy-4-oxo-3-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-((((2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)methyl)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-4H-chromen-2-yl)-1,2-phenylene dioleate、スペクトルデータ 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 1.12 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.26-1.60 (m, 44H), 1.98-2.05 (m, 8H), 2.31 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 3.25-3.80 (m, 18H), 5.34 (brs, 4H), 6.2 (d, J = 3.3 Hz,1H), 6.40 (d, J = 3.3 Hz,1H), 7.01 (d, J = 8.7 Hz,1H), 7.88 (d, J = 2.2 Hz,1H), 8.26 (dd, J = 8.7, 2.2 Hz, 1H).
質量分析HRMS (ESI+) Calcd for C63H95O18 [M+H+]: 1139.6518 , Found: 1139.6510.
形状:黄色オイル
【0066】
(1置換体A)
【化16】
【0067】
IUPAC名:4-(5,7-dihydroxy-4-oxo-3-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-((((2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)methyl)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-4H-chromen-2-yl)-2-hydroxyphenyl oleate、スペクトルデータ 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.12 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.26-1.60 (m, 22H), 1.98-2.05 (m, 4H), 2.31 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 3.25-3.80 (m, 18H), 5.34 (brs, 2H), 6.2 (d, J = 3.3 Hz,1H), 6.40 (d, J = 3.3 Hz,1H), 6.87 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 2.2 Hz, 1H).
質量分析HRMS (ESI+) Calcd for C45H63O17 [M+H+]: .875.4065 , Found: 875.4059.
形状:黄色オイル
【0068】
(1置換体B)
【化17】
【0069】
IUPAC名:5-(5,7-dihydroxy-4-oxo-3-(((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-((((2R,3R,4R,5R,6S)-3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)methyl)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-4H-chromen-2-yl)-2-hydroxyphenyl oleate、質量分析HRMS (ESI+) Calcd for C45H63O17 [M+H+]: .875.4065 , Found: 875.4073.
形状:黄色オイル
【0070】
(1)DPPHラジカル法による抗酸化能の測定
各置換体における抗酸化機能を、上記の実施例1と同様に、DPPHアッセイにより確認した。得られた結果を以下の表に示す。これら、4置換体、3置換体、2置換体、1置換体(2種類)の混合物で本実施例の乳化組成物を作成した。
【表4】
【0071】
(実施例3)
タマネギ外皮から、ケルセチン及びその誘導体を得るために抽出を行った。
溶媒:メタノール(100%)もしくは、エタノール(50%):各800 ml、タマネギ外皮:各100 gを原料として、ロータリーシェイカー(150rpm)上で60 h抽出し、吸引ろ過後、フラッシュカラムクロマトグラフィー後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。
【0072】
抽出物収量は、メタノール抽出物:2.497 g(茶色固体)、およびエタノール・水抽出物:3.718 g(茶色固体)であった。そのうち、ポリフェノールの含有量は、DPPHアッセイにより換算した。メタノール抽出物(1 g)に0.34 g、エタノール・水抽出物(1g)に0.29 g(いずれもケルセチン換算当量(QE))であった。
【0073】
得られた抽出物は、以下の合成例に従って、乳化組成物を合成した。
【化18】
【0074】
すなわち、メタノール抽出物1 g = 0.34 gQE(0.75 mmol)とオレイン酸クロライド0.68 g (2.25 mmol ) を反応させ、収量1.27 gの乳化剤を得た。得られた生成物は茶色固体であった。また、エタノール・水抽出物1g(=0.29 gQE)とオレイン酸クロライド0.56 g(1.95 mmol )を反応させ、収量1.06 gの乳化剤を得た。得られた生成物は茶色固体であった。得られた生成物に対して、実施例2と同様に、H NMRを測定したところ、図4(a)に示すNMRチャートが得られた。得られたNMRチャートから、オレイン酸部分、糖部分、ケルセチン部位が少なくとも確認され、タマネギ外皮由来のrutinをはじめとする様々なケルセチン配糖体が含有されていることが確認された。すなわち、タマネギ外皮を由来とするフラボノイド配糖体エステルの混合物を含むことが確認された。このことは、タマネギ外皮由来の抽出物が、様々なフラボノイド配糖体エステルをはじめとする多様な有用物質の集合体として構成されていることを示すものであり、多種のフラボノイド配糖体エステルをはじめとして、タマネギ外皮を由来とする有用化合物が相互に重畳的な効果や相補的な効果を発揮し、後述の乳化機能をはじめとして、抗酸化機能をはじめとする多くの付加機能を発揮し得るものである。
【0075】
(1)乳化機能測定
4つのサンプル瓶を準備しそれぞれアマランス色素で着色した蒸留水(1 ml)とオレイン酸(1 ml)を加えた。そして、左から順に、ブランク、レシチン50 mg、乳化剤(メタノール抽出)100 mg、乳化剤(水・エタノール抽出)100 mgをそれぞれ添加した。添加後、撹拌し1 時間静置し相分離の様子を確認した結果を図4(b)に示す。
【0076】
図4(b)では、以下のように、本実施例の乳化組成物(タマネギ抽出乳化剤)の乳化の様子(経時的変化)を、比較例と共に確認した。
左:ブランク
真ん中左:レシチン(50 mg)
真ん中右:乳化剤(メタノール抽出)(100 mg)
右:乳化剤(水・エタノール抽出)(100 mg)
【0077】
得られた結果から、1時間経過後も層分離が確認されなかったことから、本実施例の乳化組成物は、十分な乳化機能を有していることが確認できた。
【0078】
(2)顕微鏡写真
タマネギ外皮由来乳化剤(メタノール抽出)600倍写真、水/オレイン酸2層系を図5(a)に示す。図5(a)から、典型的なミセルの大きさは4-5μmであり、Water in Oil(W/O型)の会合形式を取ることが確認された。
【0079】
また、タマネギ外皮由来乳化剤(水・エタノール抽出)600倍写真、水/オレイン酸2層系を図5(b)に示す。図5(b)から、典型的なミセルの大きさは30-40μmであり、Water in Oil(W/O型)の会合形式を取ることが確認された。
【0080】
(3)DPPHラジカル法による抗酸化能の測定
DPPHアッセイを用いて抗酸化能を以下プロトコルに従って測定した。
プロトコル
96ウェルプレート
溶媒:メタノール
DPPH最終濃度:100 μM
Vitamin E(VE)(ポジティブコントロール):200 μM~3.1 μM
乳化剤(メタノール抽出・エタノール抽出):1.4 mg/L~10.9 μg/L
50 min静置後、マイクロプレートリーダー(492 nm)で吸光度を測定
各サンプルn=3
【0081】
得られた結果をグラフ化したものを図6に示す。このグラフより計算した半数効果濃度EC50は以下の通りであった。
Vitamin E : 11.1μg/mL
乳化剤(メタノール抽出) : 86.3 μg/mL
乳化剤(エタノール・水抽出) : 60.7 μg/mL
ビタミンE換算で1/8~1/6程度の抗酸化力があることが示された。
【0082】
なお、上記の合成手法に限らず、その他の合成手法(例えば、硫酸によるオレイン酸化や酵素による合成法)も可能である。
【0083】
(4)安定性の測定
酸性条件下(1N HCl)では、タマネギ外皮由来1は30分で8%加水分解し、ルチンとオレイン酸に変換された。塩基性条件下(1N NaOH)ではタマネギ外皮由来1は30分で93%加水分解し、ルチンとオレイン酸に変換された。天然系乳化剤のレシチンなどと比べると非常に分解されやすいことが明らかとなった。また、分解されても、天然成分で健康成分であるルチンとオレイン酸に変換することが特徴である。
【0084】
(実施例4)
さがんルビー(登録商標)廃棄部位による乳化剤(ナリンギン乳化剤)を合成した。
背景:さがんルビー(登録商標)は佐賀大学が品種登録をしているグレープフルーツの品種であり、国産初のグレープフルーツである。様々な特徴の中で、さがんルビー(登録商標)はアルベド(内果皮、外皮と実の間にある白い部分)が多いという特徴がある。アルベドは苦く通常食用に適しておらず廃棄されるが、ナリンギンが多く含まれることが知られている。ナリンギンは抗酸化機能を有するポリフェノールの配糖体であり、これを利用し、抗酸化機能を有する乳化剤を開発する目的である。
【0085】
ナリンギンのオレイン酸化反応は、以下の反応式で表され、100mL2口ナスフラスコを反応容器に用いて、フラボノイド配糖体としてナリンギン(Sigma-Aldrich社より入手)1.5mmol(0.968mg)を用いると共に、アルキルカルボン酸としてオレイン酸誘導体(オレイン酸クロライド、東京化成工業社より入手)4.5mmol(1.86ml)を用いて、ジオキサン10 mL(和光純薬工業社より入手)およびトリエチルアミン5 mL(ナカライテスク社より入手)存在下で、0℃~常温で、20時間マグネティックスターラーで撹拌を行うと、オレイン酸化されたナリンギン1.859gを得た。置換数1-4の混合物が得られた。優先的に芳香族OH基がオレイン酸化された。得られた生成物に対して、実施例2と同様に、H NMR、質量分析のスペクトルデータを確認したところ、フラボノイド配糖体エステルの混合物であることが確認された。
【化19】
【0086】
置換数1-4の混合物が得られた。優先的に芳香族OH基がオレイン酸化された。以下、得られたH NMR、質量分析のスペクトルデータから、ナリンギンのオレイン酸化反応の結果得られた化合物のうち同定された代表的な化合物を示す。
【化20】
【0087】
IUPAC名:7-((4,5-dihydroxy-6-(hydroxymethyl)-3-((3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-2-(4-(oleoyloxy)phenyl)-4-oxochroman-5-yl oleate、スペクトルデータ 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 1.12-1.80 (m, 47H), 1.98-2.05 (m, 8H), 2.28-2.40 (m, 6H), 3.30-4.40 (m, 18H), 4.85-5.13 (m, 1H), 5.34 (brs, 4H), 6.13 (s, 1H), 6.53 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 2H).
形状:黄色オイル
【化21】
【0088】
IUPAC名:4-(7-((4,5-dihydroxy-6-(hydroxymethyl)-3-((3,4,5-trihydroxy-6-methyltetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy)-5-hydroxy-4-oxochroman-2-yl)phenyl oleate、スペクトルデータ1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.12-1.80 (m, 25H), 1.98-2.05 (m, 4H), 2.28-2.40 (m, 4H), 3.30-4.40 (m, 18H), 4.85-5.13 (m, 1H), 5.34 (brs, 2H), 6.13 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 2H), 11.91 (s, 1H).
形状:黄色オイル
【0089】
(1)乳化機能測定
上記実施例と同様に、得られたナリンギン乳化剤(クルード)の乳化試験を行った結果を図7に示す。図7では、左:ブランク、真ん中:ナリンギン乳化剤、右:レシチンを示す。本実施例に係る乳化組成物は、レシチンと同等の高い乳化機能が確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7