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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】誘導電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/00 20060101AFI20220428BHJP
   H02K 17/02 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H02K1/00 Z
H02K17/02 Z ZHV
H02K17/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018111603
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019216517
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】米盛 敬
(72)【発明者】
【氏名】任田 功
(72)【発明者】
【氏名】平野 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐内 英樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋
(72)【発明者】
【氏名】甲原 靖裕
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112687(JP,A)
【文献】特開平2-13242(JP,A)
【文献】特開昭59-96844(JP,A)
【文献】特開2004-032957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00- 1/16
H02K 1/18- 1/26
H02K 1/28- 1/34
H02K 17/00-17/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部で回転するロータと、このロータの外周を所定間隙を介して囲繞すると共にコイルが巻回されたステータとを備えた誘導電動機において、
前記ロータの外周面に内径方向に凹入して周方向に一周する凹条部が軸方向に離散して複数条設けられ、
前記ステータの内周面であって前記ロータの複数の凹条部に軸方向に合致する位置に、外径方向に凹入した複数の凹部が周方向に離散して設けられ、
前記ステータの複数の凹部に磁気伝導体からなる磁気伝導球体が夫々保持され、
前記ロータの回転時、前記複数の凹条部が、前記ステータの複数の凹部に保持された磁気伝導球体に回転接触することを特徴とする誘導電動機。
【請求項2】
前記ロータが、1対のエンドリングと、前記1対のエンドリングを連結する複数の連結部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機。
【請求項3】
前記ロータとステータとを収容するケーシングを設け、
前記ロータが、前記ケーシングに1対のベアリングを介して回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導電動機。
【請求項4】
前記ステータは周方向に並べた突条部を有し、
前記複数の凹条部が、隣接する突条部同士間に設けられたことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の誘導電動機。
【請求項5】
前記複数の磁気伝導球体が鉄系金属材料で構成されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の誘導電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電動機に関し、特にロータとステータとの間に磁気伝導球体を介装した誘導電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステータコイル(固定子)に三相交流電流を流すことで回転磁界を発生させる一方、電磁誘導作用によりロータ(回転子)に誘導電流を発生させる誘導電動機は知られている。この誘導電動機は、ロータと、このロータを囲繞すると共にコイルが巻回されたステータと、ロータとステータとを収容するケーシングとを備え、このケーシングに1対のベアリングを介してロータの回転軸が回転可能に支持されている。
誘導電動機の1種である三相誘導モータ(SRモータともいう)は、永久磁石を用いるPMモータに比べて、コギングトルクが発生しない点、空走時の誘導起電力が発生しない点等の優位性があるため、車両のインホイールモータや電化製品等様々な分野で使用されている。
【0003】
誘導電動機の適用分野の拡大に伴い、誘導電動機の高出力化及び小型軽量化を狙いとした様々な提案が成されている。
特許文献1の誘導モータは、ステータと、このステータに対して相対回転可能で且つステータとの間に所定の空隙を介して収容された中実コア鋼製ロータと、このロータ外面に固着された銅層スリーブとを有している。これにより、ロータとステータとの間の見かけ上の空隙を減少し、電気抵抗を低下させている。
特許文献2の誘導電動機は、回転子がかご型ロータに構成され、このロータが、コアの各収容孔とエンドリングの各接合孔とが対向するようにコア両端にエンドリングを配置し、各収容孔と接合孔にアルミ導体部材を収容し、接合孔内に位置するアルミ導体部材の接合部分にてエンドリングに接合されている。これにより、強度確保のためのステンレス製のエンドプレートを用いる必要が無く、小型軽量化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3180993号公報
【文献】特開2005-102483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘導電動機は、ロータとステータ間の磁束密度が大きい程、換言すれば、磁気抵抗が小さい程、高い出力トルクを発生することができる。
それ故、特許文献1の誘導モータのように、ロータとステータとの間の離隔距離、所謂エアギャップを小さくすることにより、誘導電動機の高出力化が可能である。
しかし、エアギャップの最小化は、高い加工精度が要求される上、作動時、ステータ温度の急激な上昇に伴う熱膨張に起因した回転抵抗増加や部材間干渉による損傷等が懸念される。
【0006】
しかも、磁気抵抗の低減によって誘導電動機が高出力化された場合、ロータの回転軸をケーシングに支持する1対のベアリングに局所的に支持荷重が集中し、誘導電動機の信頼性低下(寿命短縮化)を招く虞もある。
即ち、誘導電動機の高出力化と信頼性向上とを両立させることは容易ではない。
【0007】
本発明の目的は、高出力化と信頼性向上とを両立可能な誘導電動機等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の誘導電動機は、中心部で回転するロータと、このロータの外周を所定間隙を介して囲繞すると共にコイルが巻回されたステータとを備えた誘導電動機において、前記ロータの外周面に内径方向に凹入して周方向に一周する凹条部が軸方向に離散して複数条設けられ、前記ステータの内周面であって前記ロータの複数の凹条部に軸方向に合致する位置に、外径方向に凹入した複数の凹部が周方向に離散して設けられ、前記ステータの複数の凹部に磁気伝導体からなる磁気伝導球体が夫々保持され、前記ロータの回転時、前記複数の凹条部が、前記ステータの複数の凹部に保持された磁気伝導球体に回転接触することを特徴としている。
【0009】
この誘導電動機では、前記ロータの外周面に内径方向に凹入して周方向に一周する凹条部が軸方向に離散して複数条設けられ、前記ステータの内周面であって前記ロータの複数の凹条部に軸方向に合致する位置に、外径方向に凹入した複数の凹部が周方向に離散して設けられたため、複数の磁気伝導球体をステータに対して回転自在に保持させることができる。
前記ロータの回転時、前記複数の凹条部が、前記ステータの複数の凹部に保持された磁気伝導球体に回転接触するため、ロータとステータとのエアギャップを最小化しても、磁気伝導球体の介装によりエアギャップを安定的に維持することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ロータが、1対のエンドリングと、前記1対のエンドリングを連結する複数の連結部材とを有することを特徴としている。
この構成によれば、ロータを軽量化に優れたかご型ロータにすることができ、重量軽減を図ることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ロータとステータとを収容するケーシングを設け、前記ロータが、前記ケーシングに1対のベアリングを介して回転可能に支持されていることを特徴としている。
この構成によれば、ロータを支持する1対のベアリングに作用する軸受荷重を低減することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記ステータは周方向に並べた突条部を有し、前記複数の凹条部が、隣接する突条部同士間に設けられたことを特徴としている。
この構成によれば、磁気伝導球体の軸受機能を維持しつつ軸受抵抗を軽減することができる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記複数の磁気伝導球体が鉄系金属材料で構成されたことを特徴としている。
この構成によれば、透磁率を高くすることができ、一層の高出力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の誘導電動機によれば、ロータとステータ間のエアギャップに磁気伝導球体を介装することにより、高出力化と信頼性向上とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1に係る誘導電動機を備えた車両の右側前輪を左前方から視た斜視図である。
図2】車両の右側前輪を左後方から視た斜視図である。
図3】右側前輪の左側面図である。
図4】右側前輪の縦断面図である。
図5】インホイールモータの縦断面図である。
図6】インホイールモータの分解斜視図である。
図7】エアギャップ維持機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
以下、本発明の実施例1について図1図7に基づいて説明する。
本実施例の車両は、誘導電動機であるインホイールモータ(以下、IWMという)2が搭載されたハイブリッド自動車である。
まず、IWM2の説明の前に、本実施例の車両の前提技術について説明する。
この車両は、車体前部に内燃機関であるエンジン(図示略)が搭載され、主駆動輪である左右1対の後輪(図示略)を駆動するFR(Front engine Rear drive)車である。
【0018】
主駆動輪の後輪は、エンジンの代わりに主駆動モータ(図示略)によっても駆動され、副駆動輪である左右1対の前輪1(図1図3参照)は、副駆動モータであるIWM2によってアシスト的に所定の運転領域にて駆動されている。
エンジンと主駆動モータは、クラッチ(図示略)を介して締結解除可能に接続されている。この主駆動モータは、エンジンと直列に接続され、主駆動モータが発生した駆動力は、エンジンの駆動力と同様に、動力伝達機構を介して後輪に伝達される。
IWM2は、例えば、120Vで駆動される17kWの三相誘導モータ(SRモータ)によって構成され、キャパシタ(図示略)の電流を変換するインバータ(図示略)から交流電流が供給されている。
【0019】
次に、前輪1及びこの前輪1を支持するフロントサスペンション装置について説明する。
このフロントサスペンション装置は、1対の前輪1に夫々対応して形成されたホイールハウス(図示略)の車幅方向外側に収容されている。
図1図2に示すように、本実施例のフロントサスペンション装置は、ダブルウィッシュボーン型であって、上方車体部材(図示略)に上下回動自在に軸支されたアッパアーム3と、サブフレームの前側部材(図示略)に上下回動自在に軸支されたロアアーム4と、アッパアーム3とロアアーム4とに回転自在に取り付けられたナックル部材5と、上下方向に延びる緩衝装置6等を備えている。
尚、前輪1及びこの前輪1を支持するフロントサスペンション装置は左右対称構造であるため、以下、右側の構造について主に説明する。
また、図において、矢印F方向を前方向とし、矢印L方向を左方向とし、矢印U方向を上方向として説明する。
【0020】
図1図3に示すように、ナックル部材5は、前輪1及びブレーキディスク8等を仮想キングピン軸回りに回転自在に支持している。このナックル部材5は、車幅方向内側に開口された略椀状に形成され、その上端部及び下端部がアッパアーム3とロアアーム4とに夫々軸支されている。緩衝装置6は、ダンパ及びコイルスプリングを備え、それらの上端部がサスタワー(図示略)に固定され、ダンパの下端部がロアアーム4に回転自在に取り付けられている。
このフロントサスペンション装置は、車幅方向に延びるステアリングギアユニット(図示略)、及びこのステアリングギアユニットから車幅方向外側に延びてナックル部材5の前側部分に回動自在な連結部を介して取り付けられたタイロッド7を有している。
ステアリングギアユニットに連動連結されたステアリングホイール(図示略)の操作によってタイロッド7が左右に移動し、ナックル部材5を介して前輪1が転舵される。
【0021】
図3図4に示すように、前輪1は、タイヤ10と、このタイヤ10が装着される筒状のリム11と、このリム11の車幅方向外側に配置され且つ略円盤状のホイールディスク12と、このホイールディスク12の中央部分に複数の締結部材を介して固定される円盤状のハブ13(図5参照)等を備えている。これらリム11、ホイールディスク12、ハブ13等によって前輪1のホイールが構成されている。
ハブ13の車幅方向外側には、中空円盤状のブレーキディスク8が固定されている。
ブレーキキャリパ9は、IWM2の後方に配設されている。
このブレーキキャリパ9は、ナックル部材5の後側部分に固定され、ブレーキディスク8の後側部分を制動可能に構成されている。尚、14は、ブレーキディスク8の車幅方向内側に設けられた遮熱用保護カバーである。
以上により、リム11の径方向内側空間には、IWM2、ブレーキディスク8、ブレーキキャリパ9等が収容されている。
【0022】
次に、IWM2について説明する。
IWM2は、リム11の径方向内側空間において、右側部分がナックル部材5に部分的に囲繞された状態でナックル部材5に支持されている。
図5図6に示すように、このIWM2は、右側端部が有底とされた略筒状のアウタケース21と、このアウタケース21の左側端部を閉塞するリッド22と、固定子であるステータ23と、前輪1を回転駆動する回転子としてのロータ24と、エアギャップ維持機構Gを主な構成要素としている。このIWM2は、ステータ23の径方向内側空間に設けられたロータ24が回転するインナロータタイプの誘導電動機である。
【0023】
図5に示すように、アウタケース21の外周壁の径方向外側には、上部で且つ仮想キングピン軸に対応した位置に3つの電極端子取出部(図示略)が形成されると共に、左側上部に導出部21a及び左側上部に導入部21bが夫々形成されている。
図3図5に示すように、ステータ23によって加熱された冷却媒体としての作動液は、気化して導出部21aから上流通路16を流れて熱交換器15に移動する。
熱交換器15で放熱凝縮された作動液は重力により下流通路17を流れて導入部21bからIWM2内に還流される。
【0024】
図5図6に示すように、ステータ23は、アウタケース21の外周壁の径方向内側にロータ24の周囲を取り囲むように外周壁と一体的に形成されている。
ステータ23は、直方体状の複数の突条部23aと、各突条部23aの側壁部に分布巻により取り付けられたU相コイル、V相コイル及びW相コイルからなるステータコイル25と、後述する複数の凹部31等を備えている。
アウタケース21の外周壁の径方向内側には、複数の突条部23aとステータコイル25とを全体的に浸漬する作動液が封入された収容室が形成されている。
【0025】
ロータ24は、ステータコイル25が生成する回転磁界により誘導電流が発生するようにステータコイル25に対向配置されている。
ロータ24は、中空状のロータシャフト26と、このロータシャフト26に所定間隔離隔した状態で固着された1対の円環状エンドリング27と、この1対のエンドリング27を連結する複数の連結部材28と、後述する複数の凹条部32等を備えている。
【0026】
ロータシャフト26は、その軸心延長線上に前輪1の中心が位置するように設けられている。IWM2は、特定の加速走行時に限りアシスト駆動するため、コンパクト化されると共に減速機構が省略されている。
ロータシャフト26は、左側部分が左右1対のベアリングb1によってアウタケース21に支持され、右側部分がハブ13に一体形成されたインナレース18に連結されている。インナレース18は、ベアリングb2及びアウタレース19を介してナックル部材5に回転自在に支持されている。
【0027】
ロータ24は、かご型導体構造に構成されている。
具体的には、1対のエンドリング27の径方向外側部分同士を棒状導体である複数の連結部材28によって連結し、これら複数の連結部材28を導電材料、例えば、アルミニウム或いはアルミニウム合金により鋳包んでいる。
尚、要求出力に余裕が存在する場合、強度確保のみを狙いとして、導電材料に代えてエポキシ系合成樹脂等によって鋳包むことも可能である。
【0028】
突条部23a(ステータ23)の径方向内端とロータ24の径方向外端との間のエアギャップが小さい程、磁気抵抗が小さくなり、大きい磁束密度を得ることができるため、高い出力トルクの確保が可能である。それ故、エアギャップを安定的に約0.1mm以下に維持するためのエアギャップ維持機構GをIWM2内に形成している。
特に、本実施例では、エアギャップが略零になるように設定している。
【0029】
図5図7に示すように、エアギャップ維持機構Gは、複数の凹部31と、複数の凹条部32と、複数の鉄球33(磁気伝導球体)を主な構成要素としている。
凹部31は、鉄球33の40~60%の容積を収容可能に構成され、各々の隣接する突条部23a同士間において、外径方向に凹入するように左右全域に亙り等間隔に複数箇所(例えば、6箇所)形成されている。
図6図7に示すように、突条部23aの頂部分には、周方向一方側に6つの部分球面状凹入部が形成され、周方向他方側に6つの部分球面状凹入部が形成され、隣接する突条部23aの凹入部同士が協働して凹部31を構成している。
これにより、突条部23aに対して接触面積を小さくしながら鉄球33を回転自在に保持している。
【0030】
凹条部32は、鉄球33の60~40%の容積が侵入可能に構成され、ロータ24の外周部から内径方向に凹入するように周方向全域に亙ってリング状に形成されている。
図5図7に示すように、このリング状の凹条部32は、ロータ24の回転に伴って6組の環状に配置された各鉄球33が相対的に夫々摺接移動可能に構成されている。
また、本実施例では、導電材料により鋳包まれた連結部材28が外部に露出するように凹条部32の深さが設定されているため、突条部23aと連結部材28とが鉄球33によって直接的に接続されている。
これにより、突条部23aとの径方向内端とロータ24の径方向外端との干渉を回避しつつ突条部23aとロータ24を強磁性体である鉄球33で連結している。
【0031】
次に、上記IWM2の作用、効果について説明する。
このIWM2では、ロータ24の外周面に内径方向に凹入して周方向に一周する凹条部32が軸方向に離散して複数条設けられ、ステータ23の内周面であってロータ24の複数の凹条部32に軸方向に合致する位置に、外径方向に凹入した複数の凹部31が周方向に離散して設けられたため、複数の鉄球33をステータ23に対して回転自在に保持させることができる。
ロータ24の回転時、複数の凹条部32が、ステータ23の複数の凹部31に保持された鉄球33に回転接触するため、ロータ24とステータ23とのエアギャップを最小化しても、鉄球33の介装によりエアギャップを安定的に維持することができる。
【0032】
ロータ24が、1対のエンドリング27と、1対のエンドリング27を連結する複数の連結部材28とを有するため、ロータ24を軽量化に優れたかご型ロータにすることができ、重量軽減を図ることができる。
【0033】
ステータ23とロータ24とを収容するアウタケース21を設け、ロータ24が、アウタケース21に1対のベアリングb1を介して回転可能に支持されているため、ロータ24を支持する1対のベアリングb1に作用する軸受荷重を複数の鉄球33に分散することにより低減することができる。
【0034】
ステータ23は周方向に並べた突条部23aを有し、複数の凹部31が、隣接する突条部23a同士間に設けられたため、鉄球33の軸受機能を維持しつつ軸受抵抗を軽減することができる。
【0035】
複数の磁気伝導球体が鉄球33で構成されたため、透磁率を高くすることができ、一層のIWM2の高出力化を図ることができる。
【0036】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、ロータをかご型導体構造に構成した例を説明したが、特にロータの型構造は限定されず、ロータを巻線型導体構造に構成しても良い、
また、アウタロータタイプの誘導電動機にも適用可能である。
【0037】
2〕前記実施例においては、エアギャップが略零になるようにエアギャップ維持機構を設定した例を説明したが、通常、エアギャップが約0.5mmであるところ、これよりもエアギャップを小さくする場合に適用可能であり、0.4~0.1mmにエアギャップを設定しても良い。また、連結部材が外部に露出するように溝部深さを設定した例を説明したが、連結部材が外部に露出しないように導電材料を微少量残す深さに設定しても良い。
【0038】
3〕前記実施例においては、磁気伝導球体として鉄球の例を説明したが、少なくとも強磁性体であれば良く、鉄コバルト合金やフェライト系ステンレスであっても良い。
軸受機能を期待する場合、鉄系材料が好ましい。
【0039】
4〕前記実施例においては、車両のIWMに適用した例を説明したが、適用分野は車両に限られず、電動機が適用される分野であれば何れであっても良い。
【0040】
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0041】
2 IWM
21 アウタケース
23 ステータ
23a 突条部
24 ロータ
25 ステータコイル
27 エンドリング
28 連結部材
31 凹部
32 凹条部
33 鉄球
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7