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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】バンパブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
B60R19/24 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018074087
(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2019182149
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】徳武 将也
(72)【発明者】
【氏名】山田 章司
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 吉宣
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-065703(JP,U)
【文献】特開平11-078967(JP,A)
【文献】実開平04-069255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパを車体側から支持するバンパブラケットであって、
前記車体側に固定される車体側固定部と、前後方向と交叉する第1縦板部と、前記第1縦板部に設けられる第1固定部と、前記第1縦板部の前後方向の一側で上下方向に延びて上方へ開放された挿通孔と、上下方向と交叉する支持上面部とを有し、前記バンパよりも後方に配置される第1ブラケットと、
前記第1ブラケットの前記第1縦板部の前記一側で前後方向と交叉して前記挿通孔に上方から挿入されて前記第1縦板部に対向する第2縦板部と、前記第2縦板部のうち前記第1固定部に対向する位置に設けられて前記第1固定部に対して固定される第2固定部と、前記第1ブラケットの前記支持上面部に当接して前記支持上面部に下方から支持される被支持下面部と、前記バンパ側に固定されるバンパ側固定部とを有し、前記第1ブラケットを介して前記車体側に支持される第2ブラケットと、を備え、
前記第1ブラケットの前記第1固定部に対する前記第2ブラケットの前記第2固定部の上下位置は、前記第1ブラケットの前記支持上面部と前記第2ブラケットの前記被支持下面部との当接によって規定される
ことを特徴とするバンパブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載のバンパブラケットであって、
前記第1ブラケット又は前記第2ブラケットの一方のブラケットは、前記支持上面部又は前記被支持下面部から上方又は下方へ突出する突出部を有し、
前記第1ブラケット又は前記第2ブラケットの他方のブラケットは、前記一方のブラケットの前記突出部の挿通を許容し、前記突出部が挿通した状態で少なくとも車幅方向への前記突出部の移動を規制する溝状又は孔状の挿通部を有し、
前記第1ブラケットの前記第1固定部に対する前記第2ブラケットの前記第2固定部の車幅方向の位置は、前記他方のブラケットの前記挿通部への前記一方のブラケットの突出部の挿通によって規定される
ことを特徴とするバンパブラケット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバンパブラケットであって、
前記第2ブラケットの前記第2縦板部は、前記被支持下面部よりも下方に配置される下部領域を有し、
前記第1ブラケットは、前記支持上面部よりも下方且つ前記第1縦板部から前記一側へ離間した位置に配置される傾動規制部を有し、
前記第1ブラケットの前記傾動規制部は、前記第2ブラケットの前記第2縦板部の前記下部領域に前記一側から近接又は接触し、
前記第1ブラケットの前記第1縦板部及び前記傾動規制部は、前記第2ブラケットの前記被支持下面部側を軸とした前記第2縦板部の前記下部領域の前後方向への傾動を規制する
ことを特徴とするバンパブラケット。
【請求項4】
請求項3に記載のバンパブラケットであって、
前記第2ブラケットの前記第2固定部は、前記下部領域に設けられてボルトを締結可能なボルト固定部であり、
前記第1ブラケットの前記第1固定部は、前記ボルトを挿通可能なボルト挿通部であり、
前記第1ブラケットの前記ボルト挿通部と前記第2ブラケットの前記ボルト固定部とは、前記第1ブラケットの前記ボルト挿通部に対して前後方向の他側から挿入される前記ボルトによって締結固定される
ことを特徴とするバンパブラケット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のバンパブラケットであって、
前記第1ブラケットは、前記挿通孔の上端の開口よりも上方に配置されるガイド部を有し、
前記第1ブラケットの前記ガイド部は、前記開口の近傍に配置される下端縁から上方且つ前記開口の外側へ向かって上下方向に対して傾斜して延びるガイド上面を有する
ことを特徴とするバンパブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンパを車体側から支持するバンパブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレームの前部構造が記載されている。このフレームの左右サイドメンバーの外側面には、バンパーマウントブラケットが設けられており、バンパーマウントブラケットは、その上端部及び下端部が前記各サイドメンバーより上下に突出する長さ寸法を有している。バンパーマウントブラケットの前記上端部と前記下端部とには、バンパーステイをボルト締めするバンパーステイ固定点が設定されている。バンパーステイは、バンパーマウントブラケットに密着される密着面と、該密着面の上縁より車体側方へ延出するとともに、バンパーを支持する棚面とからなり、密着面には、バンパーマウントブラケットに設定されたバンパーステイ固定点に合致する固定穴が、また、棚面には、バンパーが取り付けられる取付穴が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-78967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフレームの前部構造では、バンパーマウントブラケット(第1ブラケット)及びバンパーステイ(第2ブラケット)の2つのブラケットを互いに固定する際に、第2ブラケットの2つの固定穴を第1ブラケットの2つのバンパーステイ固定点と連通させた状態で、ボルトを挿通させてボルトを締結固定する。このように、2つのブラケット(第2ブラケット及び第1ブラケット)を互いに固定する際に、第2ブラケットの2つの固定穴と第1ブラケットの2つのバンパーステイ固定点とを連通させるために、作業者が第2ブラケットを手で支持するなどして、第2ブラケットの2つの固定穴を第1ブラケットのバンパーステイ固定点に対して位置決めをする必要があるので、2つのブラケットの固定作業が煩雑になる可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、2つのブラケットを容易に位置決めすることが可能なバンパブラケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、バンパを車体側から支持するバンパブラケットであって、第1ブラケットと第2ブラケットとを備える。第1ブラケットは、車体側に固定される車体側固定部と、前後方向と交叉する第1縦板部と、第1縦板部に設けられる第1固定部と、第1縦板部の前後方向の一側で上下方向に延びて上方へ開放された挿通孔と、上下方向と交叉する支持上面部とを有し、バンパよりも後方に配置される。第2ブラケットは、第1ブラケットの第1縦板部の上記一側で前後方向と交叉して挿通孔に上方から挿入されて第1縦板部に対向する第2縦板部と、第2縦板部のうち第1固定部に対向する位置に設けられて第1固定部に対して固定される第2固定部と、第1ブラケットの支持上面部に当接して支持上面部に下方から支持される被支持下面部と、バンパ側に固定されるバンパ側固定部とを有し、第1ブラケットを介して車体側に支持される。第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の上下位置は、第1ブラケットの支持上面部と第2ブラケットの被支持下面部との当接によって規定される。
【0007】
上記構成では、第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の上下位置は、第1ブラケットの支持上面部と第2ブラケットの被支持下面部との当接によって規定されるので、第1ブラケットに対して第2ブラケットを固定する際に、第2ブラケットの被支持下面部を第1ブラケットの支持上面部に当接させるだけで、第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の上下位置を容易に位置決めすることができる。
【0008】
また、第2ブラケットの第2縦板部が第1ブラケットの挿通孔に上方から挿入されるので、第2ブラケットの第2縦板部の上下方向と交叉する方向への移動を第1ブラケットの挿通孔によって規制することができる。このため、第2ブラケットの第2縦板部を第1ブラケットの挿通孔に上方から挿入した状態で第1ブラケットの第1固定部と第2ブラケットの第2固定部とを固定する際に、作業者が第2ブラケットから手を離しても、第2ブラケットが第1ブラケットから脱落し難い。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のバンパブラケットであって、第1ブラケット又は第2ブラケットの一方のブラケットは、支持上面部又は被支持下面部から上方又は下方へ突出する突出部を有し、第1ブラケット又は第2ブラケットの他方のブラケットは、上記一方のブラケットの突出部の挿通を許容し、突出部が挿通した状態で少なくとも車幅方向への突出部の移動を規制する溝状又は孔状の挿通部を有する。第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の車幅方向の位置は、上記他方のブラケットの挿通部への上記一方のブラケットの突出部の挿通によって規定される。
【0010】
上記構成では、第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の車幅方向の位置は、他方のブラケットの挿通部への一方のブラケットの突出部の挿通によって規定されるので、第1ブラケットに対して第2ブラケットを固定する際に、一方のブラケットの突出部を他方のブラケットの挿通部に挿通するだけで、第1ブラケットの第1固定部に対する第2ブラケットの第2固定部の車幅方向の位置を容易に位置決めすることができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様または上記第2の態様のバンパブラケットであって、第2ブラケットの第2縦板部は、被支持下面部よりも下方に配置される下部領域を有する。第1ブラケットは、支持上面部よりも下方且つ第1縦板部から上記一側へ離間した位置に配置される傾動規制部を有する。第1ブラケットの傾動規制部は、第2ブラケットの第2縦板部の下部領域に上記一側から近接又は接触する。第1ブラケットの第1縦板部及び傾動規制部は、第2ブラケットの被支持下面部側を軸とした第2縦板部の下部領域の前後方向への傾動を規制する。
【0012】
上記構成では、第1ブラケットの第1縦板部及び傾動規制部が、第2ブラケットの第2縦板部の下部領域に一側から近接又は接触し、第2ブラケットの被支持下面部側を軸とした第2縦板部の下部領域の前後方向への傾動を規制するので、第1ブラケットの挿通孔に第2ブラケットの挿通部を挿通した状態で、第1ブラケットの第1固定部と第2ブラケットの第2固定部とを固定する際に、第2ブラケットの下部領域の前後方向への傾動を抑えることができ、第1ブラケットと第2ブラケットとの固定作業の煩雑化を防止することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様のバンパブラケットであって、第2ブラケットの第2固定部は、下部領域に設けられてボルトを締結可能なボルト固定部であり、第1ブラケットの第1固定部は、ボルトを挿通可能なボルト挿通部である。第1ブラケットのボルト挿通部と第2ブラケットのボルト固定部とは、第1ブラケットのボルト挿通部に対して前後方向の他側から挿入されるボルトによって締結固定される。
【0014】
上記構成では、第2ブラケットの第2固定部が、ボルトを締結可能なボルト固定部であり、第1ブラケットの第1固定部は、ボルトを挿通可能なボルト挿通部であり、第1ブラケットのボルト挿通部と第2ブラケットのボルト固定部とが、第1ブラケットのボルト挿通部に対して前後方向の他側から挿入されるボルトによって締結固定される。このように、第1ブラケットの第1固定部が、ボルトを挿通可能なボルト挿通部であるので、ボルト挿通部の孔(ボルト挿通孔)の大きさを適切に設定することによって、第1ブラケットのボルト挿通部の前後方向の他側から第2ブラケットのボルト固定部に対してボルトの先端の位置を容易に合わせることができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様~上記第4の態様のいずれかのバンパブラケットであって、第1ブラケットは、挿通孔の上端の開口よりも上方に配置されるガイド部を有する。第1ブラケットのガイド部は、開口の近傍に配置される下端縁から上方且つ開口の外側へ向かって上下方向に対して傾斜して延びるガイド上面を有する。
【0016】
上記構成では、第1ブラケットのガイド部は、挿通孔の上端の開口の近傍に配置される下端縁から上方且つ開口の外側へ向かって上下方向に対して傾斜して延びるガイド上面を有するので、第2ブラケットの第2縦板部を第1ブラケットの挿通孔に挿入する際に、ガイド上面に当接した第2ブラケットの第2縦板部を、ガイド上面によって第1ブラケットの挿通孔へ良好に案内することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、2つのブラケットを容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るバンパブラケットを適用した車両の前部の概略平面図である。
図2図1の要部の斜視図である。
図3】組み立てた状態のバンパブラケットの斜視図である。
図4】バンパブラケットの分解斜視図である。
図5】ベースブラケットの斜視図である。
図6図3のVI-VI矢視断面図である。
図7】プレートブラケットの前側からの斜視図である。
図8】プレートブラケットの後側からの斜視図である。
図9】バンパブラケットの要部の拡大図である。
図10図1のX-X矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るバンパブラケット10は、例えば、キャブ(図示省略)が概ねエンジンの上方に配置されるキャブオーバ型の車両1に適用される。車両1のキャブは、車体フレーム2の前端部の上方に配置され、車体フレーム2に下方から支持される。バンパブラケット10は、車体フレーム2の前端部に左右1対設けられ、車両1の前端下部で車幅方向に延びるバンパ7を車体フレーム2側(車体側)から支持する。
【0021】
車体フレーム2は、車両1の車幅方向両側で車両1の前後に亘って延びる左右のサイドメンバ3と、車幅方向に沿って延びて左右のサイドメンバ3を連結する複数のクロスメンバ4とを有する。左右のサイドメンバ3の前端部の上面には、キャブをチルト自在に支持するフロントキャブマウント5が配置される。左右のフロントキャブマウント5は、左右のサイドメンバ3の前端部の上板部3aの上面及び車幅方向外側の外板部3bの車幅方向外側面に対して、それぞれボルト6によって締結固定される。バンパ7は、車体フレーム2の前端部で車幅方向に延びるクロスメンバ4を前方から覆う状態で、左右のバンパブラケット10を介して車体フレーム2に固定される。バンパ7には、バンパブラケット10に対して固定される上側の取付部(図示省略)と下側の取付部7a(図10参照)とが左右両側に設けられる。
【0022】
左右のバンパブラケット10は、左右のサイドメンバ3の前端部の外板部3bの車幅方向外側面のうち、フロントキャブマウント5が固定される領域の下方に締結固定され、サイドメンバ3の外板部3bの車幅方向外側面から車幅方向外側へそれぞれ突出している。なお、左右のバンパブラケット10は、車両1の左右に対称的に設けられ略同じ構成を有するため、以下では、右側のバンパブラケット10について説明し、左側の説明を省略する。
【0023】
図3及び図4に示すように、バンパブラケット10は、サイドメンバ3に対して固定されるベースブラケット(第1ブラケット、一方のブラケット)11と、ベースブラケット11に対して固定されるプレートブラケット(第2ブラケット、他方のブラケット)12とを備える。
【0024】
図3図6に示すように、ベースブラケット11は、上下の固定板部(車体側固定部)16a,16bと、曲折板部19と、ベース前板部(第1縦板部)13と、ベース上板部15と、上下のベース後板部14a,14bと、規制板部(傾動規制部)23と、ガイド板部(ガイド部)17とを有する。
【0025】
上下の固定板部16a,16bは、車幅方向と交叉する板状にそれぞれ形成され、ベースブラケット11の車幅方向内端部の上下2箇所に互いに離間して配置される。上下の固定板部16a,16bは、固定板部16a,16bの車幅方向内端面がサイドメンバ3の外板部3bの車幅方向外側面に面接触した状態で、ボルト8によってそれぞれ締結固定される。
【0026】
曲折板部19は、下側の固定板部16bと一体成形され、下側の固定板部16bの上端縁から曲折して上下方向と交叉した状態で車幅方向外側へ延びる下板部19aと、下板部19aの車幅方向外端縁から曲折して車幅方向と交叉した状態で上方へ延びる外板部19bと、外板部19bの上端縁から曲折して上下方向と交叉した状態で車幅方向内側へ延びる上板部19cとを一体的に有する。外板部19bから車幅方向内側への上板部19cの長さは、外板部19bから車幅方向内側への下板部19aの長さよりも短く、上板部19cの車幅方向内端縁20は、上側の固定板部16aから車幅方向外側へ離間した位置に配置される。
【0027】
ベース前板部13は、前後方向と交叉する板部であって、上アーム領域13aと下アーム領域13bと支持領域13cとを一体的に有し、曲折板部19の内側の空間(下板部19aと外板部19bと上板部19cとが区画する空間)を前方から塞ぐように配置される。ベース前板部13の後面には、上下の固定板部16a,16b及び曲折板部19の各々の前端縁部が固定される。上アーム領域13aは、上側の固定板部16aの前端縁から車幅方向外側へ延びる。下アーム領域13bは、上アーム領域13aから下方へ離間した位置に配置されて下側の固定板部16bの前端縁から車幅方向外側へ延びる。支持領域13cは、上アーム領域13a及び下アーム領域13bから車幅方向外側へ延びて上アーム領域13a及び下アーム領域13bの車幅方向外端同士を連結し、バンパ7及びプレートブラケット12を支持する。すなわち、ベース前板部13は、前面視において車幅方向内側へ開放される略U形状に形成される。支持領域13cには、前後方向に貫通する複数のボルト挿通孔(第1固定部、ボルト挿通部)18が形成される。本実施形態のボルト挿通孔18は、上側で車幅方向に並ぶ2つのボルト挿通孔18と、下側の1つのボルト挿通孔18とによって構成される3つのボルト挿通孔18である。ボルト挿通孔18の大きさは、ボルト43(図10参照)を挿通するために最低限必要な大きさよりも大きく、ボルト挿通孔18には遊びが設けられている。
【0028】
ベース上板部15は、上側の固定板部16aと一体成形され、上側の固定板部16aの下端縁から曲折して上下方向と交叉した状態で車幅方向外側へ向かって曲折板部19の外板部19bの車幅方向内側面まで延びる。ベース上板部15は、曲折板部19の下板部19aから上方へ離間した位置で略水平方向に延びる。ベース上板部15の車幅方向外端縁部は、曲折板部19の外板部19bの車幅方向内側面に固定され、ベース上板部15の前端縁部は、ベース前板部13の後面に固定される。ベース上板部15の前端縁部のうちベース前板部13の支持領域13cの後方(一側)には、切欠部21が形成される。切欠部21は、ベース上板部15の前端縁から後方へ向かって切り欠かれており、車幅方向に長尺に形成され、上下方向に延びるプレートブラケット挿通孔(挿通孔)22の上端部をベース前板部13の後面との間に区画する。プレートブラケット挿通孔22は、ベース前板部13の後方でベース上板部15の上面の開口24(切欠部21の開口24)からベース上板部15よりも下方まで延びている。ベース上板部15の上面部(支持上面部)15aには、細い柱状のピン(突出部)25が一体的に設けられる。ピン25は、ベース上板部15の上面15aから上方へ突出している。
【0029】
上下のベース後板部14a,14bは、ベース前板部13から後方へ離間した位置に配置されて前後方向と交叉する板部であって、ベース前板部13に後方から対向する。上側のベース後板部14aは、ベース上板部15の上面15aのうちピン25よりも後方の領域から上方へ起立する。上側のベース後板部14aの下端縁部は、ベース上板部15の上面15aに対して固定され、上側のベース後板部14aの車幅方向の内端縁部は、上側の固定板部16aの車幅方向外側面に対して固定され、上側のベース後板部14aの車幅方向の外端縁部は、曲折板部19の外板部19bの車幅方向内側面に対して固定され、上側のベース後板部14aの車幅方向外端部の上端縁部は、曲折板部19の上板部19cの下面に対して固定される。下側のベース後板部14bは、曲折板部19の下板部19aの下面から下方へ垂下する。下側のベース後板部14bの上端縁部は、曲折板部19の下板部19aの下面に対して固定され、下側のベース後板部14bの車幅方向の内端縁部は、下側の固定板部16bの車幅方向外側面に対して固定される。上側のベース後板部14aとベース前板部13との間の距離と、下側のベース後板部14bとベース前板部13との間の距離とは、互いに略同じ距離に設定される。
【0030】
規制板部23は、前後方向と交叉する後板部23aと、後板部23aの車幅方向内端縁から曲折して車幅方向と交叉した状態で前方へ延びる内板部23bとを一体的に有し、断面略L状に形成され、ベース上板部15と曲折板部19の下板部19aとの間に配置される。規制板部23の後板部23aは、ベース前板部13から上下のベース後板部14a,14bと略同じ距離だけ後方へ離間した位置に配置され、ベース前板部13に後方から対向する。規制板部23の後板部23aの下端縁部は、曲折板部19の下板部19aの上面に対して固定され、後板部23aの上端縁部は、ベース上板部15の下面に対して固定され、後板部23aの車幅方向の外端縁部は、曲折板部19の外板部19bの車幅方向内側面に対して固定される。規制板部23の内板部23bは、ベース上板部15の切欠部21の車幅方向内端よりも車幅方向外側、且つ切欠部21の車幅方向外端よりも車幅方向内側に配置される。本実施形態では、規制板部23の内板部23bは、ベース上板部15の切欠部21の車幅方向内端よりも僅かに車幅方向外側に設けられる。規制板部23の内板部23bの前端縁26は、その前後位置が互いに異なる上部領域41と下部領域42とを有する。内板部23bの前端縁26の上部領域41は、前後方向においてベース上板部15の切欠部21の後方近傍に位置する。内板部23bの前端縁26の下部領域42は、前後方向においてベース前板部13から後方へ所定の距離だけ離間し、且つベース上板部15の切欠部21よりも前方に位置する。すなわち、規制板部23の内板部23bの前端縁26は、ベース上板部15の上面部15aよりも下方、且つベース前板部13から後方へ離間した位置に配置される。規制板部23の内板部23bの前端縁26とベース前板部13との間には、プレートブラケット挿通孔22が設けられる。規制板部23の内板部23bの前端縁26の下部領域42とベース前板部13との間の上記所定の距離は、プレートブラケット12の後述するプレート縦板部28の板厚よりも僅かに長く、且つプレート縦板部28の板厚と後述するナット34との厚さを加えた長さよりも短く設定される。
【0031】
図9に示すように、ガイド板部17は、略矩形板状に形成され、ベース上板部15の上方、且つベース前板部13と上側のベース後板部14aとの間に配置される。ガイド板部17の下端縁17aは、ベース上板部15の開口24の車幅方向内端縁の車幅方向内側の近傍に配置され、ベース上板部15の上面部15aの上方で前後方向に延び、ベース上板部15の上面部15aに対して固定される。ガイド板部17の上面(ガイド上面)27は、ガイド板部17の下端縁17aから上方の車幅方向内側(開口24から離間する外側)へ向かって、鉛直方向に対して傾斜した状態で延びる。
【0032】
図6図8に示すように、プレートブラケット12は、前後方向と交叉するプレート縦板部(第2縦板部)28と、プレート縦板部28の上端縁から曲折して後上方へ延びるプレート上板部(バンパ側固定部)29と、プレート縦板部28の後方に配置されるプレート被支持板部30とを有する。
【0033】
プレート縦板部28は、前後方向と交叉した状態で上下方向に長尺に延びる板部であって、ベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に挿入される下部領域31と、プレートブラケット挿通孔22に挿入されない上部領域32とを有する。プレート縦板部28の下部領域31は、プレート被支持板部30の後述する下面部(被支持下面部)38aよりも下方の領域である。プレート縦板部28の下部領域31には、前後方向に貫通する複数(本実施形態では3つ)のボルト挿通孔(第2固定部)33が形成され、プレート縦板部28の後面側には、ボルト挿通孔33と連通する位置にナット(第2固定部、ボルト固定部)34が固定される。プレート縦板部28の前面からナット34の後面までの長さは、ベースブラケット11のベース上板部15の開口24を挿通可能な長さに設定される。プレート縦板部28の下部領域31のボルト挿通孔33及びナット34は、プレート縦板部28の下部領域31をベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に挿入した状態(以下、プレート挿入状態という。)で、ベース前板部13の複数のボルト挿通孔18と対応する位置(連通する位置)に設けられる。ベース前板部13の下側のボルト挿通孔18と対応する下側のボルト挿通孔33及びナット34は、プレート縦板部28の下部領域31のうちの車幅方向外端部に設けられる。プレート挿入状態では、プレート縦板部28の下部領域31のうち下側のボルト挿通孔33及びナット34よりも車幅方向内側の領域は、規制板部23の内板部23bの前端縁26の下部領域42とベース前板部13との間に配置され、規制板部23の内板部23b及びベース前板部13に近接又は接触する。また、プレート挿入状態では、プレート縦板部28の車幅方向の両端部は、ベースブラケット11のベース上板部15の開口24の縁部に近接又は接触する。
【0034】
プレート上板部29は、プレート上板部29を上下方向に貫通する複数(本実施形態では2つ)のボルト挿通孔35と、ボルト36とを有する。プレート上板部29の下面側には、ボルト挿通孔35と連通する位置にナット37が固定される。ボルト36は、プレート上板部29の上面から上方へ突出する。プレート上板部29には、ボルト36やナット37を介してバンパ7の上側の取付部(図示省略)が固定される。
【0035】
プレート被支持板部30は、上下方向と交叉する横板部38と、横板部38の車幅方向の両端縁から上方へ延びる左右の縦板部39とを一体的に有し、略U状に形成される。横板部38の前端縁部、及び左右の縦板部39の前端縁部がプレート縦板部28の後面に固定された状態で、プレート被支持板部30は、プレート縦板部28の後面側から後方へ突出する。プレート被支持板部30の横板部38の下面部38aは、プレート挿入状態で、ベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aに上方から面接触し、ベース上板部15の上面部15aに下方から支持される。すなわち、プレート被支持板部30の横板部38の下面部38aは、プレート縦板部28の下部領域31と上部領域32との境界となる。プレート被支持板部30の横板部38には、その後端縁から前方へ切り欠かれた溝部(挿通部)40が形成される。プレート挿入状態で、横板部38の溝部40には、ベース上板部15の上面部15aのピン25が下方から挿通する(図9参照)。横板部38の溝部40の車幅方向の大きさは、ピン25よりも僅かに大きい。
【0036】
上記のように構成されたバンパブラケット10では、プレートブラケット12をベースブラケット11に対して固定する場合、作業者は、プレートブラケット12のプレート縦板部28を、ベースブラケット11のベース上板部15の開口24からプレートブラケット挿通孔22に挿入する。係る挿入時にプレートブラケット12のプレート縦板部28の下端がガイド板部17の上面27に当接すると、プレート縦板部28の下端は、ガイド板部17の上面27に沿ってベース上板部15の開口24へ案内され、プレート縦板部28がベース上板部15の開口24からプレートブラケット挿通孔22に挿入され、プレート挿入状態となる。プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aが、ベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aに当接し、ベースブラケット11に対するプレートブラケット12の下方への移動が規制される。また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の溝部40に、ベースブラケット11のベース上板部15のピン25が下方から挿通し、係る挿通によってベースブラケット11に対するプレートブラケット12の車幅方向への移動が規制される。また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下部領域31が、ベースブラケット11の規制板部23の内板部23b及びベース前板部13に近接又は接触することによって、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aとベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aとの当接部分を軸としたプレートブラケット12の前後方向への傾動(プレート縦板部28の下部領域31の前後方向の傾動)が規制される。また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28がベースブラケット11のベース上板部15の開口24を挿通することによって、プレートブラケット12のプレート縦板部28の上下方向と交叉する方向(前後方向や車幅方向)への移動が開口24内に規制される。また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34は、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18と連通する。
【0037】
また、バンパブラケット10に対してバンパ7を取り付ける場合には、作業者は、バンパ7の上側の取付部(図示省略)をプレートブラケット12のプレート上板部29の上方に配置し、プレートブラケット12のプレート上板部29のボルト36やナット37に対してナットやボルト(図示省略)を締結することによって、バンパ7の上側の取付部をプレート上板部29に対して固定する。また、図10に示すように、バンパ7の下側の取付部7aをベースブラケット11のベース前板部13の前方に配置し、下側の取付部7aの前方(前後方向の他側)からベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18及びプレートブラケット12のプレート縦板部28の複数のボルト挿通孔33にボルト43を挿入し、プレートブラケット12のナット34に対してボルト43を締結し、バンパ7の下側の取付部7aをバンパブラケット10に対して固定する。これにより、バンパ7は、バンパブラケット10を介して車体フレーム2に対して固定される。
【0038】
本実施形態によれば、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aが、ベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aに当接し、ベースブラケット11に対するプレートブラケット12の下方への移動が規制され、プレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34は、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18と連通する。すなわち、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18に対するプレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34の上下位置は、ベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aとプレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aとの当接によって規定される。このため、ベースブラケット11に対してプレートブラケット12を固定する際に、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aをベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aに当接させるだけで、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18に対するプレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34の上下位置を容易に位置決めすることができる。
【0039】
また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の溝部40に、ベースブラケット11のベース上板部15のピン25が下方から挿通し、係る挿通によってベースブラケット11に対するプレートブラケット12の車幅方向への移動が規制され、プレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34は、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18と連通する。すなわち、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18に対するプレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34の車幅方向の位置は、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の溝部40に対するベースブラケット11のベース上板部15のピン25の挿通によって規定される。このため、ベースブラケット11に対してプレートブラケット12を固定する際に、ベースブラケット11のベース上板部15のピン25をプレートブラケット12のプレート被支持板部30の溝部40に挿通するだけで、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔18に対するプレートブラケット12のプレート縦板部28のボルト挿通孔33及びナット34の車幅方向の位置を容易に位置決めすることができる。
【0040】
また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28がベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に挿入され、プレートブラケット12のプレート縦板部28の上下方向と交叉する方向(前後方向や車幅方向)への移動が開口24内に規制される。このため、プレート挿入状態にした後、作業者がプレートブラケット12から手を離してもプレートブラケット12がベースブラケット11から脱落し難いので、バンパブラケット10に対してバンパ7を固定する際の作業の煩雑化を防止することができる。
【0041】
また、プレート挿入状態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下部領域31が、ベースブラケット11の規制板部23の内板部23b及びベース前板部13に近接又は接触することによって、プレートブラケット12のプレート被支持板部30の下面部38aとベースブラケット11のベース上板部15の上面部15aとの当接部分を軸としたプレートブラケット12の前後方向への傾動(プレート縦板部28の下部領域31の前後方向の傾動)が規制される。このため、バンパブラケット10に対してバンパ7を固定する際に、ベースブラケット11のベース前板部13の前方から複数のボルト挿通孔18,33にボルト43を挿入してナット34に締結する際に、ナット34が後方へ逃げてしまうことを防止することができ、バンパブラケット10に対してバンパ7を固定する際の作業の煩雑化を防止することができる。
【0042】
また、ベースブラケット11のベース前板部13のボルト挿通孔18の大きさは、ボルト43を挿通するために最低限必要な大きさよりも大きく、ベース前板部13のボルト挿通孔18には遊びが設けられている。このため、バンパブラケット10に対してバンパ7を固定する際に、ベース前板部13の複数のボルト挿通孔18に対して前方から挿入したボルト43の先端の位置を、プレートブラケット12のプレート縦板部28の複数のボルト挿通孔33及びナット34に容易に合わせることができ、バンパブラケット10に対してバンパ7を固定する際の作業の煩雑化を防止することができる。
【0043】
また、プレートブラケット12をベースブラケット11の開口24からプレートブラケット挿通孔22に挿入する際に、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下端がガイド板部17の上面27に当接すると、プレート縦板部28の下端は、ガイド板部17の上面27に沿ってベース上板部15の開口24へ案内される。このため、プレートブラケット12をベースブラケット11の開口24からプレートブラケット挿通孔22に挿入する際の作業の煩雑化を防止することができる。
【0044】
従って、本実施形態によれば、ベースブラケット11及びプレートブラケット12の2つのブラケットを容易に位置決めすることができる。
【0045】
また、ベースブラケット11に対してプレートブラケット12を取り付ける前は、サイドメンバ3の前端部に対してベースブラケット11のみを取り付けた状態とすることができる。このため、フロントキャブマウント5をサイドメンバ3の前端部の外板部3bに対してボルト6で締結固定する際に、締結工具とベースブラケット11から上方へ突出するプレートブラケット12との干渉を回避することができ、フロントキャブマウント5の締結作業の煩雑化を防止することができる。
【0046】
また、ベースブラケット11の規制板部23の内板部23bの前端縁26の下部領域42とベース前板部13との間の上記所定の距離が、プレートブラケット12のプレート縦板部28の板厚とナット34との厚さを加えた長さよりも短く設定されるので、規制板部23の前端縁26の下部領域42とベース前板部13との間には、プレート縦板部28の下部領域31のうちナット34が設けられる領域を挿入することができない。また、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下部領域31のうちの車幅方向外端部にナット34が設けられる。このため、左右の一側(例えば、右側)のバンパブラケット10のベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に対して、左右の他側(例えば、左側)のバンパブラケット10のプレートブラケット12を挿入しようとすると、上記他側のプレートブラケット12のナット34が上記一側のベースブラケット11の規制板部23の内板部23bに干渉してしまうので、上記一側のバンパブラケット10のベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に対して、上記他側のバンパブラケット10のプレートブラケット12を挿入することができない。従って、左右の一側のバンパブラケット10のベースブラケット11のプレートブラケット挿通孔22に対して、左右の他側のバンパブラケット10のプレートブラケット12を挿入してしまうことを、確実に防止することができる。なお、本実施形態では、ベースブラケット11の規制板部23の前端縁26の下部領域42とベース前板部13との間には、プレート縦板部28の下部領域31のうちナット34よりも車幅方向内側の領域を挿入している。
【0047】
なお、本実施形態では、ベースブラケット11のガイド板部17の下端縁17aを、ベース上板部15の開口24の車幅方向内側の近傍に配置し、ガイド板部17の上面27を、ガイド板部17の下端縁17aから上方の車幅方向内側へ延びるように設けたが、これに限定されるものではない。例えば、ベースブラケット11のガイド板部17の下端縁17aを、ベース上板部15の開口24の車幅方向外側の近傍に配置し、ガイド板部17の上面27を、ガイド板部17の下端縁17aから上方の車幅方向外側へ延びるように設けてもよい。或いは、ベースブラケット11のガイド板部17の下端縁17aを、ベース上板部15の開口24の前後方向の一側の近傍に配置し、ガイド板部17の上面27を、ガイド板部17の下端縁17aから上方且つ前後方向の前記一側へ延びるように設けてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、ベースブラケット11にガイド板部17を設けたが、ガイド板部17を設けなくてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、ベースブラケット11のベース前板部13に複数のボルト挿通孔(第1固定部)18を設け、プレートブラケット12のプレート縦板部28に複数のボルト挿通孔33及びナット(第2固定部)34を設け、ベース前板部13とプレート縦板部28とをボルト43によって締結固定したが、ベース前板部13とプレート縦板部28とを固定する方法はこれに限定されるものではない。例えば、ベース前板部13に複数のボルト挿通孔及びナット(第1固定部)を設け、プレート縦板部28に複数のボルト挿通孔(第2固定部)を設け、ベース前板部13とプレート縦板部28とをボルトによって締結固定してもよい。或いは、ベース前板部13に複数のボルト挿通孔(第1固定部)18を設け、プレート縦板部28側に前方へ突出するスタッドボルト(第2固定部)を設け、ベース前板部13の複数のボルト挿通孔18から前方へ突出するスタッドボルトに対してナットを締め付けることによって、ベース前板部13とプレート縦板部28とを締結固定してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下部領域31の前後方向の傾動を規制する規制板部23をベースブラケット11に設けたが、規制板部23をベースブラケット11に設けなくてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30に溝部(挿通部)40を設けたが、挿通部の形状は、溝状に限定されるものではなく、孔状の挿通部であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、プレートブラケット12のプレート被支持板部30に溝部(挿通部)40を設け、ベースブラケット11のベース上板部15にピン(突出部)25を設けたが、プレートブラケット12のプレート被支持板部30に突出部を設け、ベースブラケット11のベース上板部15に挿通部を設けてもよい。或いは、挿通部及び突出部を、プレート被支持板部30及びベース上板部15に設けなくてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、ベースブラケット11のベース前板部(第1縦板部)13に複数のボルト挿通孔(第1固定部)18を設けたが、第1固定部を、例えば、上下のベース後板部14a,14b又は規制板部23の後板部23aに設けてもよい。この場合、第1固定部を設けた上下のベース後板部14a,14b又は規制板部23の後板部23aが第1縦板部となり、プレートブラケット挿通孔22が第1縦板部の前方に配置される。
【0054】
また、本実施形態では、プレートブラケット12のプレート縦板部28の下部領域31に複数のボルト挿通孔33及びナット(第2固定部)34を設けたが、第2固定部をプレート縦板部28の上部領域32に設けてもよい。この場合、ベースブラケット11のベース前板部13の複数のボルト挿通孔(第1固定部)18は、ベース前板部13のうちベース上板部15よりも上方に設けられる。
【0055】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0056】
例えば、ベースブラケット11及びプレートブラケット12の形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。
【0057】
また、上記実施形態では、左右のバンパブラケット10を、車両1の左右に対称的に設けたが、これに限定されるものではなく、車両1の左右の一側(例えば、右側)に、上記実施形態に係るバンパブラケット10を設け、車両1の左右の他側(例えば、左側)に、上記一側とは異なる形状のバンパブラケットを設けてもよい。例えば、上記他側のバンパブラケットは、溝部(挿通部)40及びピン(突出部)25を有さず、溝部40及びピン25を有さないこと以外の他の構成が上記一側のバンパブラケット10と略同じ構成のバンパブラケットであってもよい。この場合、上記他側のバンパブラケットのベースブラケットに対するプレートブラケットの車幅方向の位置決めは、ガイド板部17と曲折板部19の上板部19cとの間、又はベース上板部15の開口24によって、上記一側のバンパブラケット10に比べて大まかに位置決めされる。このため、バンパ7の左右の取付部と左右のバンパブラケットと車体フレーム2との取付位置のばらつきを、上記他側のバンパブラケットのベースブラケットとプレートブラケットとによって吸収することができる。なお、バンパ7の上記一側の取付部を上記一側のバンパブラケット10に取り付け、且つバンパ7の上記他側の取付部を上記他側のバンパブラケットのプレートブラケットのボルト36に対して取り付けることによって、上記他側のバンパブラケットのベースブラケットに対するプレートブラケットの車幅方向の位置が決まる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示に係るバンパブラケットは、バンパを有する車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1:車両
7:バンパ
10:バンパブラケット
11:ベースブラケット(第1ブラケット、一方のブラケット)
12:プレートブラケット(第2ブラケット、他方のブラケット)
13:ベース前板部(第1縦板部)
15:ベース上板部
15a:ベース上板部の上面部(支持上面部)
16a,16b:上下の固定板部(車体側固定部)
17:ガイド板部(ガイド部)
17a:ガイド板部の下端縁
18:ボルト挿通孔(第1固定部、ボルト挿通部)
22:プレートブラケット挿通孔(挿通孔)
23:規制板部(傾動規制部)
24:開口
25:ピン(突出部)
27:ガイド板部の上面(ガイド上面)
28:プレート縦板部(第2縦板部)
29:プレート上板部(バンパ側固定部)
30:プレート被支持板部
31:プレート縦板部の下部領域(第2縦板部の下部領域)
33:ボルト挿通孔(第2固定部)
34:ナット(第2固定部、ボルト固定部)
38:プレート被支持板部の横板部
38a:プレート被支持板部の横板部の下面部(被支持下面部)
40:溝部(挿通部)
43:ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10