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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/00 20060101AFI20220428BHJP
   A01D 75/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A01F12/00 J
A01D75/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019197706
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021069319
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 正司
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】張 棟
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187983(JP,A)
【文献】特開2015-181437(JP,A)
【文献】特開2015-104352(JP,A)
【文献】特開2017-212949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/00
A01F 12/56 - 12/58
A01F 19/00
A01D 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後方左側に収穫された穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設け、前記刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(4)の上部に、前後方向に沿って穀稈の脱穀を行う扱胴(11)を設け、
前記脱穀装置(4)の左壁(4A)における扱胴(11)と対向する部位に、開口部(16)を形成し、
前記左壁(4A)の外側に、前記開口部(16)を覆うサイドカバー(30)を設け、
前記左壁(4A)の前部に設けられた上下方向に延在する第1支軸(31)に、前記サイドカバー(30)の前部を回転自在に支持し、
背面視において、前記サイドカバー(30)の内側に設けられた上部補強板(40)と下部補強板(41)を連結する流下ガイド(42)を設け、
背面視において、前記流下ガイド(42)の流下部(42B)を右下り傾斜に形成し、前記流下ガイド(42)の上部に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも上側部位に接触する前後方向に延在する第1シール部(34)を設け
背面視において、前記第1シール部(34)を、前記上部補強板(40)に沿って左右方向に延在する上部(34A)と、該上部(34A)の右部から右下がり傾斜に延在する上連結部(34B)と、該上連結部(34B)の右部から下方向に延在するシール本体部(34C)と、該シール本体部(34C)の下部から左下がり傾斜に延在する下連結部(34D)と、該下連結部(34D)の左部から流下部(42B)に沿って右下り傾斜に延在する下部(34E)で形成し、前記上部(34A)を上部補強板(40)に左右方向に移動可能に締結し、前記下部(34E)を流下部(42B)に固定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記上連結部(34B)の右下がり傾斜角度を、前記下連結部(34D)の左下がり傾斜角度よりも小さく形成した請求項記載のコンバイン。
【請求項3】
側面視において、前記流下ガイド(42)の下側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも下側部位に接触する前後方向に延在する第2シール部(35)を設け、前記流下ガイド(42)の前側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも前側部位に接触する上下方向に延在する第3シール部(36)を設け、前記流下ガイド(42)の後側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも後側部位に接触する上下方向に延在する第4シール部(37)を設けた請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
側面視において、前記サイドカバー(30)の後部に、開閉操作部(50)を設け、該開閉操作部(50)を、前記サイドカバー(30)の後部に設けられた前後方向に延在する第2支軸(54)に回転自在に支持されたフック(51)と、前記左壁(4A)の後部に、前記フック(51)が係合する前後方向に延在するロックピン(60)で形成した請求項1~のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置の外側にサイドカバーを設けたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の左壁には、左壁に形成された開口部を覆い、扱胴から飛来してきた穀粒を、扱胴の下方に設けられた選別室に流下する流下ガイドを備えたサイドカバーを設ける技術が提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-110873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、脱穀装置の左壁とサイドカバーのシール部が劣化して、特に、脱穀装置の左壁における開口部の上部部位とサイドカバーの間に隙間が生じる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、脱穀装置の左壁、特に、脱穀装置の左壁における開口部の上側部位とサイドカバーの密着性を向上させたコンバインを提案することにある。
【0006】
また、本発明の次なる課題は、
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後方左側に収穫された穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設け、前記刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(4)の上部に、前後方向に沿って穀稈の脱穀を行う扱胴(11)を設け、前記脱穀装置(4)の左壁(4A)における扱胴(11)と対向する部位に、開口部(16)を形成し、前記左壁(4A)の外側に、前記開口部(16)を覆うサイドカバー(30)を設け、前記左壁(4A)の前部に設けられた上下方向に延在する第1支軸(31)に、前記サイドカバー(30)の前部を回転自在に支持し、背面視において、前記サイドカバー(30)の内側に設けられた上部補強板(40)と下部補強板(41)を連結する流下ガイド(42)を設け、背面視において、前記流下ガイド(42)の流下部(42B)を右下り傾斜に形成し、前記流下ガイド(42)の上部に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも上側部位に接触する前後方向に延在する第1シール部(34)を設け、背面視において、前記第1シール部(34)を、前記上部補強板(40)に沿って左右方向に延在する上部(34A)と、該上部(34A)の右部から右下がり傾斜に延在する上連結部(34B)と、該上連結部(34B)の右部から下方向に延在するシール本体部(34C)と、該シール本体部(34C)の下部から左下がり傾斜に延在する下連結部(34D)と、該下連結部(34D)の左部から流下部(42B)に沿って右下り傾斜に延在する下部(34E)で形成し、前記上部(34A)を上部補強板(40)に左右方向に移動可能に締結し、前記下部(34E)を流下部(42B)に固定したことを特徴とするコンバインである。
【0008】
【0009】
請求項記載の発明は、前記上連結部(34B)の右下がり傾斜角度を、前記下連結部(34D)の左下がり傾斜角度よりも小さく形成した請求項記載のコンバインである。
【0010】
請求項記載の発明は、側面視において、前記流下ガイド(42)の下側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも下側部位に接触する前後方向に延在する第2シール部(35)を設け、前記流下ガイド(42)の前側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも前側部位に接触する上下方向に延在する第3シール部(36)を設け、前記流下ガイド(42)の後側に、前記左壁(4A)における開口部(16)よりも後側部位に接触する上下方向に延在する第4シール部(37)を設けた請求項1又は2記載のコンバインである。
【0011】
請求項記載の発明は、側面視において、前記サイドカバー(30)の後部に、開閉操作部(50)を設け、該開閉操作部(50)を、前記サイドカバー(30)の後部に設けられた前後方向に延在する第2支軸(54)に回転自在に支持されたフック(51)と、前記左壁(4A)の後部に、前記フック(51)が係合する前後方向に延在するロックピン(60)で形成した請求項1~のいずれか1項に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、脱穀装置(4)の上部に、前後方向に沿って穀稈の脱穀を行う扱胴(11)を設け、脱穀装置(4)の左壁(4A)における扱胴(11)と対向する部位に、開口部(16)を形成し、左壁(4A)の外側に、開口部(16)を覆うサイドカバー(30)を設け、左壁(4A)の前部に設けられた上下方向に延在する第1支軸(31)に、サイドカバー(30)の前部を回転自在に支持し、背面視において、サイドカバー(30)の内側に設けられた上部補強板(40)と下部補強板(41)を連結する流下ガイド(42)を設け、背面視において、流下ガイド(42)の流下部(42B)を右下り傾斜に形成し、流下ガイド(42)の上部に、左壁(4A)における開口部(16)よりも上側部位に接触する前後方向に延在する第1シール部(34)を設けたので、脱穀装置(4)の左壁(4A)における開口部(16)よりも上側部位とサイドカバー(30)を第1シール部(34)を介して接触させて密着性を高めることができる。
【0013】
面視において、第1シール部(34)を、上部補強板(40)に沿って左右方向に延在する上部(34A)と、上部(34A)の右部から右下がり傾斜に延在する上連結部(34B)と、上連結部(34B)の右部から下方向に延在するシール本体部(34C)と、シール本体部(34C)の下部から左下がり傾斜に延在する下連結部(34D)と、下連結部(34D)の左部から流下部(42B)に沿って右下り傾斜に延在する下部(34E)で形成し、上部(34A)を上部補強板(40)に左右方向に移動可能に締結し、下部(34E)を流下部(42B)に固定したので、脱穀装置(4)の左壁(4A)とサイドカバー(30)の密着性が低下した場合には、第1シール部(34)の上部(34A)を脱穀装置(4)側に移動して密着性を容易に高めることができる。
【0014】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明による効果に加えて、上連結部(34B)の右下がり傾斜角度を、下連結部(34D)の左下がり傾斜角度よりも小さく形成したので、上部(34A)を脱穀装置(4)側に移動してシール本体部(34C)を脱穀装置(4)の左壁(4A)に強く押付けることができる。
【0015】
請求項記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、側面視において、流下ガイド(42)の下側に、左壁(4A)における開口部(16)よりも下側部位に接触する前後方向に延在する第2シール部(35)を設け、流下ガイド(42)の前側に、左壁(4A)における開口部(16)よりも前側部位に接触する上下方向に延在する第3シール部(36)を設け、流下ガイド(42)の後側に、左壁(4A)における開口部(16)よりも後側部位に接触する上下方向に延在する第4シール部(37)を設けたので、扱胴(11)からサイドカバー(30)に飛来した穀粒が外部に排出されるのを防止して穀粒の回収効率を高めることができる。
【0016】
請求項記載の発明によれば、請求項1~のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、側面視において、サイドカバー(30)の後部に、開閉操作部(50)を設け、開閉操作部(50)を、サイドカバー(30)の後部に設けられた前後方向に延在する第2支軸(54)に回転自在に支持されたフック(51)と、左壁(4A)の後部に、記フック(51)が係合する前後方向に延在するロックピン(60)で形成したので、フック(51)を操作してサイドカバー(30)の開閉を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンバインの正面図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】コンバインの平面図である。
図4】脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
図5】第1サイドカバーの背面図である。
図6】第1サイドカバーの左側面図である。
図7】第1サイドカバーの平面図である。
図8】第1サイドカバーの拡大背面図である。
図9】第1サイドカバーの拡大左側面図である。
図10】ロックピンを支持する(a)は支持部材、(b)は他の支持部材の左側面図である。
図11】第2実施形態のサイドカバーの(a)は平面図、(b)は左側面図である。
図12】第3実施形態のサイドカバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0019】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0020】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0021】
図4に示すように、脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
【0022】
扱室10の前後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。
【0023】
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。揺動選別装置21の下部には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕25と、唐箕25の後方に選別風の送風方向を変更する風割26と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋27と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒を2番処理室に搬送する2番螺旋28が設けられている。
【0024】
<第1実施形態のサイドカバー>
図5~7に示すように、扱胴11の上部は、扱胴カバー13で覆われており、扱胴カバー13の内周部には、穀稈を扱室10の後部に案内する送塵板14が設けられている。扱胴カバー13の左部は、脱穀装置4の左壁4Aの上部に設けられた前後方向に延在する支軸15に回転自在に固定されている。これにより、穀稈を扱室10の後部に効率よく搬送することができ、扱胴カバー13を開放して扱胴11に詰まった穀稈等を容易に取除くことができる。
【0025】
扱胴11の左部は、サイドカバー30で覆われている。サイドカバー30の前部は、左壁4Aの前部に設けられた上下方向に延在する上下一対の支軸(請求項における「第1支軸」)31に回転自在に固定されている。また、支軸31は、左右方向に延在する連結部材32を介して左壁4Aに固定されている。これにより、サイドカバー15を開放して扱胴11に詰まった穀稈等を容易に取除くことができる。
【0026】
サイドカバー30の後部には、サイドカバー30を開閉する開閉操作部50が設けられている。開閉操作部50を操作して、サイドカバー30の後部を左壁4Aに密着させた場合には、サイドカバー30の右面に形成されたシール部33が、左壁4Aに形成された矩形状の開口部16の外周部に接触する。なお、側面視において、開口部16は、左壁4Aにおける受網12に対向する部位に形成されている。また、理解を容易にするために、サイドカバー30におけるシール部33が設けられている部位をサイドカバー30の中間部と言う。
【0027】
シール部33は、サイドカバー30の中間部の右面の上部に前後方向に延在する第1シール部34と、サイドカバー30の中間部の右面の下部に前後方向に延在する第2シール部35と、サイドカバー30の中間部の右面の前部に上下方向に延在する第3シール部36と、サイドカバー30の中間部の右面の後部に上下方向に延在する第4シール部37から形成されている。
【0028】
サイドカバー30の後部を左壁4Aに密着させた場合には、第1シール部34は、開口部16の外周部の上部に密着し、第2シール部35は開口部16の外周部の下部に密着し、第3シール部36は開口部16の外周部の前部に密着し、第4シール部37は開口部16の後部に密着する。これにより、扱胴11で脱穀された穀粒が、左壁4Aの開口部16から外部に飛散するのを防止して、穀粒の回収効率を高めることができる。
【0029】
図8,9に示すように、背面視において、サイドカバー30は略矩形状に形成されている。サイドカバー30の上部には、前後方向に延在する補強板(請求項おける「上部補強板」)40が設けられ、サイドカバー30の下部には、前後方向に延在する補強板41が設けられている。なお、補強板40と補強板(請求項おける「下部補強板」)41の左右方向の幅は、略サイドカバー30の左右方向の幅と同一長さに形成されている。これにより、サイドカバー30の剛性が高まり、開閉操作時にサイドカバー30の変形を防止することができる。
【0030】
背面視において、サイドカバー30の中間部には、補強板40と補強板41の右部を連結する流下ガイド42が設けられている。流下ガイド42は、補強板40の上面に沿って延在する流下上部42Aと、流下上部42Aの右部で折曲げられて右側下方に向かって延在する流下部42Bと、流下部42Bの下部で折曲げられて左側に向かって延在し補強板41の下面に至る流下下部42Cから形成されている。これにより、受網12を通過して流下ガイド42に向かって飛来してきた穀粒を、流下ガイド42によって受網12の下側に設けられた揺動選別装置21に効率良く案内することができ、脱穀選別効率を高めることができる。
【0031】
背面視において、第1シール部34は、流下ガイド42の上部に着脱可能に設けられている。第1シール部34は、流下ガイド42の流下上部42Aの上面に沿って延在する上部34Aと、上部34Aの右部で折曲げられて右側下方に向かって延在する上連結部34Bと、上連結部34Bの右部で折曲げられて下方に向かって延在するシール本体部34Cと、シール本体部34Cの下部で折曲げられて左側下方に向かって延在する下連結部34Dと、下連結部34Dの左部で折曲げられて流下ガイド42の流下部42Bに沿って延在する下部34Eから形成されている。
【0032】
第1シール部34の上部34Aは、ボルト等の締結手段63によって、流下ガイド42の流下上部42Aと共に補強板40に固定され、第1シール部34の下部34Eは、流下ガイド42の流下部42Bに溶接されている。第1シール部34の上部34Aには左右方向に長軸を有する長穴(図示省略)が形成されている。これにより、第1シール部34の上部34Aを左右方向に移動させて、第1シール部34のシール本体部34Cを左壁4Aに押付ける力を調整することができる。
【0033】
第1シール部34の上連結部34Bの傾斜角度は、第1シール部34の下連結部34Dの傾斜角度よりも緩やかに傾斜させている。これにより、第1シール部34の上部34Aを左右方向に移動させた場合に、第1シール部34のシール本体部34Cを左壁4Aに押付ける力を広範囲で調整することができる。
【0034】
開閉操作部50は、サイドカバー30の左壁の後部に設けられたフック51と、フック51が係合する脱穀装置4の左壁4Aの後部に前後方向に延在して設けられたロックピン60から形成されている。
【0035】
サイドカバー30の左壁の右面には、開口部を右部に有する略コの字状に形成された支持部材52が設けられ、支持部材52には、前後方向に所定の間隔を隔てて上下方向に延在する補強ステー53が設けられている。
【0036】
補強ステー53には、前後方向に延在する支軸(請求項おける「第2支軸」)54が回転自在に支持されている。支軸54の前部にはフック51における左側後部が固定され、支軸54の後部には支軸54を回動させる操作レバー55の下部が固定されている。これにより、後方からの支軸54の軸心視において、操作レバー55を時計方向に回転させた場合には、フック51の溝部51Aがロックピン60に係合して、サイドカバー30の後部を脱穀装置4の左壁4Aの後部に密着させて固定することができる。一方、操作レバー55を反時計方向に回転させた場合には、フック51の溝部51Aとロックピン60の係合が解除されて、サイドカバー30の後部と脱穀装置4の左壁4Aの後部の固定を解除して、支軸31を中心としてサイドカバー30の後部を左側に移動させて扱胴11に絡まった穀稈を容易に取除くことができる。
【0037】
支軸54におけるフック51と前側の補強ステー53の間には、コイルスプリング等の付勢手段56が設けられている。付勢手段56の前部はフック51に係合して、付勢手段56の後部は前側の補強ステー53に係合している。これにより、フック51の溝部51Aとロックピン60の係合力が高まり、走行装置2の走行時の振動等に起因するフック51の溝部51Aがロックピン60から外れるのを防止することができる。
【0038】
補強ステー53の上部には、フック51の上部が係合する前後方向に延在する規制ピン57が設けられている。これにより、操作レバー55によって支軸54が時計方向に過度に回転させられるのを防止することができる。
【0039】
側面視において、サイドカバー30の左壁と支持部材52における後述する支持プレート61よりも前側の部位には、前後方向に長軸を有する取手口58が形成されている。これにより、操作レバー55を右手で持ち、取手口58を左手で持ってサイドカバー30を容易に開閉することができる。
【0040】
脱穀装置4の左壁4Aの後部には、左右方向に所定の幅を有して上下方向に延在する支持プレート61が設けられている。なお、支持プレート61の左右方向の幅は、サイドカバー30の右壁と脱穀装置4の左壁4Aの左右方向の間隔と略同一に形成されている。
【0041】
支持プレート61の後面には、ロックピン60を支持する支持部材62が設けられている。支持部材62は、ロックピン60の前部が固定されて支持プレート61にボルト等の締結手段63で着脱自在に固定される前プレート部62Aと、ロックピン60の後部が固定される後プレート部62Bと、前プレート部62Aの右部と後プレート部62Bの右部を連結する連結プレート部62Cから形成されている。
【0042】
図10(a)に示すように、支持部材62の前プレート部62Aの上下部には、左右方向に長軸を有する長穴62Dが形成され、前プレート部62Aと後プレート部62Bの左部にはロックピン60を挿通する円形状の穴62Eが形成されている。これにより、支持部材62を左右方向に移動させることができてロックピン60をフック51の溝部51Aに対して最適な位置に移動させることができる。
【0043】
図10(b)に示すように、他の支持部材62の前プレート部62Aの上下部には、上下方向に長軸を有する長穴62Dが形成され、前プレート部62Aと後プレート部62Bの左部にはロックピン60を挿通する円形状の穴62Eが形成されている。これにより、支持部材62を上下方向に移動させることができてロックピン60をフック51の溝部51Aに対して最適な位置に移動させることができる。
【0044】
操作レバー55は支軸54から上方に延在させて設けられているが、操作レバー55を支軸54から下方に延在させて設けることもでき、また、フック51の溝部51Aをフック51の上部に形成することもできる。
【0045】
<第2実施形態のサイドカバー>
次に、第2実施形態のサイドカバー30Aについて説明する。なお、第1実施形態のサイドカバー30と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図11に示すように、サイドカバー30Aは、前後方向に2分割されて前側のサイドカバー70Aと後側のサイドカバー70Bから形成されている。
【0047】
サイドカバー70Aの前部は、脱穀装置4の左壁4Aの前部に設けられた上下方向に延在する支軸71Aに回転自在に支持され、サイドカバー70Bの後部は、脱穀装置4の左壁4Aの後部に設けられた上下方向に延在する支軸71Bに回転自在に支持されている。
【0048】
サイドカバー70Aの右壁の上部には前後方向に延在する第1シール72Aが設けられ、下部には前後方向に延在する第2シール73Aが設けられ、前部には上下方向に延在する第3シール74Aが設けられている。また、第1シール72Aは、サイドカバー70Aの右壁に設けられた連結板76Aの上部に設けられている。
【0049】
サイドカバー70Aの左壁の後部には、サイドカバー70Aの開閉操作を行うハンドル77Aが設けられている。これにより、ハンドル77Aを操作して支軸71Aを中心としてサイドカバー70Aを容易に開閉することができる。
【0050】
サイドカバー70Bの右壁の上部には前後方向に延在する第1シール72Bが設けられ、下部には前後方向に延在する第2シール73Bが設けられ、後部には上下方向に延在する第4シール75Bが設けられている。また、第1シール72Bは、サイドカバー70Bの右壁に設けられた連結板76Bの上部に設けられている。
【0051】
サイドカバー70Bの左壁の前部には、サイドカバー70Bの開閉操作を行うハンドル77Bが設けられている。これにより、ハンドル77Bを操作して支軸71Bを中心としてサイドカバー70Bを容易に開閉することができる。
【0052】
<第3実施形態のサイドカバー>
次に、第3実施形態のサイドカバー30Cについて説明する。なお、第1実施形態のサイドカバー30と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
図12に示すように、サイドカバー30Cの上部には、前後方向に所定の間隔を隔てて左右方向に延在する連結プレート80が設けられている。連結プレート80の右部は、脱穀装置4の左壁4Aの上部に前後方向に延在して設けられた支軸81に回転自在に支持されている。
【0054】
サイドカバー30Bの右壁の上部には前後方向に延在する第1シール部34が設けられ、下部には前後方向に延在する第2シール部35が設けられ、前部には上下方向に延在する第3シール部36が設けられ、後部には上下方向に延在する第4シール部37が設けられている。また、第1シール部34は、サイドカバー30Bの右壁に設けられた流下ガイド42の上部に設けられている。なお、サイドカバー30Bの後部には開閉操作部50(図示省略)が設けられている。これにより、後方からの支軸81の軸心視において、支軸81を中心としてサイドカバー30Bを時計方向に回動させて脱穀装置4の左壁4Aの開口部16の左側に大きな作業スペースを確保することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 機体フレーム
3 刈取前処理装置
4 脱穀装置
4A 左壁
5 操縦部
11 扱胴
16 開口部
30 サイドカバー
31 支軸(第1支軸)
34 第1シール部
34A 上部
34B 上連結部
34C シール本体部
34D 下連結部
34E 下部
35 第2シール部
36 第3シール部
37 第4シール部
40 補強板(上部補強板)
41 補強板(下部補強板)
42 流下ガイド
42B 流下部
50 開閉操作部
51 フック
54 支軸(第2支軸)
60 ロックピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12