(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2017214251
(22)【出願日】2017-11-06
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 嵩登
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
【審査官】阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域と利用可否情報記憶領域とを有し、前記ホール依存情報記憶領域には、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶し、前記利用可否情報記憶領域には、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用可能であることを示す可能情報、または、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用不能であることを示す不能情報を記憶する記憶手段と、
前記利用可否情報記憶領域に可能情報が記憶されている場合は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報に基づく出力を行う出力処理を行い、前記利用可否情報記憶領域に不能情報が記憶されている場合は、前記出力処理を行わない出力手段と、
を備え
、
所定の初期化条件が成立した際は、前記利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新する不能更新処理は行うものの、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報を消去する消去処理は行わず、
前記不能更新処理が行われた後であって、前記ホール依存情報記憶領域に新たなホール依存情報の書き込みを行う書込処理が行われる際に、前記消去処理を行うと共に、前記利用可否情報記憶領域に記憶された不能情報を可能情報に更新する可能更新処理を行うものであり、
前記所定の初期化条件は、当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入されることである
ことを特徴とする遊技機
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機(パチンコ機)に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機が知られている。このような遊技機では、所定の付与条件が成立すると、遊技者に特典を付与する。例えば、遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球すると、識別情報(例えば特別図柄など)を変動表示させ、該識別情報が特定態様(例えば大当り図柄など)で停止表示されると、可変入球口が入球可能状態となる特定遊技(例えば大当り遊技など)を行うこととしている。
【0003】
このような遊技機の中には、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報(ホール依存情報)を記憶しておき、該ホール依存情報に基づく出力を行う遊技機が存在する。例えば、特許文献1には、ホール依存情報として、当該遊技機が設置された遊技ホールを識別するためのホールコードを記憶させておき、該ホールコードに対応する画像、すなわち、遊技ホールの名称を示す画像を表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなホール依存情報は、遊技ホールに依存した情報であるため、該ホール依存情報を初期化することなく遊技機を別の遊技ホールに移動させた場合は、該別の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報に基づく出力が行われてしまう。このため、ホール依存情報を記憶した遊技機を別の遊技ホールに移動させる場合は、該ホール依存情報を初期化する処理(初期化処理)を行うこととしているが、この初期化処理は効率的に行うことが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ホール依存情報を記憶した遊技機であって、該ホール依存情報の初期化処理を効率的に行うことができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域と利用可否情報記憶領域とを有し、前記ホール依存情報記憶領域には、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶し、前記利用可否情報記憶領域には、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用可能であることを示す可能情報、または、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用不能であることを示す不能情報を記憶する記憶手段と、
前記利用可否情報記憶領域に可能情報が記憶されている場合は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報に基づく出力を行う出力処理を行い、前記利用可否情報記憶領域に不能情報が記憶されている場合は、前記出力処理を行わない出力手段と、
を備え、
所定の初期化条件が成立した際は、前記利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新する不能更新処理は行うものの、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報を消去する消去処理は行わず、
前記不能更新処理が行われた後であって、前記ホール依存情報記憶領域に新たなホール依存情報の書き込みを行う書込処理が行われる際に、前記消去処理を行うと共に、前記利用可否情報記憶領域に記憶された不能情報を可能情報に更新する可能更新処理を行うものであり、
前記所定の初期化条件は、当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入されることである
ことを特徴とする。
【0008】
尚、ホール依存情報としては、所定の演出を実行するか否かを示す情報や、遊技ホールを識別するためのホールコード、当該遊技機で行われた遊技のデータ(遊技履歴)等を例示することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ホール依存情報を記憶した遊技機において、該ホール依存情報の初期化処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。
【
図3】本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施例のセグメント表示部50の構成を示す説明図である。
【
図5】本実施例の大当り遊技の種類を示す説明図である。
【
図6】本実施例の演出表示装置41の表示内容を例示する説明図である。
【
図7】本実施例の「ホール依存情報記憶領域」と「ホール依存情報」を示す説明図である。
【
図8】本実施例のサブ制御基板220のCPU221によって実行される初期化条件判断処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施例の第1の初期化処理を概念的に示す説明図である。
【
図10】本実施例の第2の初期化処理を概念的に示す説明図である。
【
図11】本実施例の第2の初期化処理の後に「ホール依存情報記憶領域」に「ホール依存情報」が記憶される様子を示す説明図である。
【
図12】本実施例の第3の初期化処理の後に「ホール依存情報記憶領域」が初期化される様子を示す説明図である。
【
図13】本実施例のサブ制御基板220のCPU221によって実行される出力処理を示すフローチャートである。
【
図14】本実施例の第4の初期化処理を概念的に示す説明図である。
【
図15】本実施例の第4の初期化処理の後に「ホール依存情報記憶領域」が初期化される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
【0020】
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A-1.装置前面側の構成:
A-2.遊技盤の構成:
A-3.制御回路の構成:
B.遊技の内容:
C.遊技ホールに依存した出力:
C-1.初期化条件判断処理:
C-2.第1の初期化処理:
C-3.第2の初期化処理:
C-4.第3の初期化処理:
C-5.第4の初期化処理:
【0021】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aには合成樹脂製の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20(
図2参照)の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部とは、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
【0022】
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、前面枠4の下方(後述する本体枠の下部前面)には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0023】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、パチンコ機1に対応して設けられたカードユニット60を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0024】
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニットに接続されており、この発射装置ユニットには、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニットに伝達され、発射装置ユニットに内蔵された発射モーターが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0025】
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。また、図示は省略するが、上皿部7の縁部であって演出ボタン10aの左側には方向ボタン10cが設けられている。方向ボタン10cは上下左右方向のそれぞれに対応する4個のボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)から構成されている。これらの演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の演出が行われる。
【0026】
前面枠4の背面側には中枠および本体枠が設けられ、前面枠4は、一端(
図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(
図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。
【0027】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(
図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
【0028】
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については後述する。
【0029】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(
図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
【0030】
また、遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右下には、遊技球が通過可能な普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(
図3参照)が設けられている。また、普通図柄作動ゲート27の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。
図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(
図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
【0031】
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、略長方形状に大きく開口された第1大入賞口28(可変入球口)が設けられている。第1大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。
図2では、第1大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。第1大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1大入賞口28の内部の通路には第1大入賞口センサー28s(
図3参照)が設けられており、第1大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
【0032】
また、遊技領域21における第2始動口25の下方(遊技領域21の右下隅部)には、遊技盤20の前面から前方(遊技者側)に突出した第2大入賞口ユニット33が設けられている。第2大入賞口ユニット33の上面は、右側から左側にかけて下方へ傾斜しており、遊技球が右側から左側(パチンコ機1中央側)に転動可能な転動面34となっている。この転動面34の中途部(遊技球の転動方向の中途部)には、第2大入賞口35(可変入球口)が設けられている。この第2大入賞口35は、パチンコ機1の前後方向に摺動可能(移動可能)な開閉扉36(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉36が前方側に摺動(移動)して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉36が後方側に摺動(移動)して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞口ユニット33内部に設けられた通路を通って特定口38に導かれる。
【0033】
第2大入賞口ユニット33の前壁は少なくとも一部が透明板によって形成されているので(光透過性を有しているので)、遊技者は第2大入賞口ユニット33の前壁を通して、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定口38に導かれる様子を視認可能である。
【0034】
第2大入賞口35の内部には第2大入賞口センサー35s(
図3参照)が設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知可能である。また、特定口38の内部には特定口センサー38s(
図3参照)が設けられており、特定口38に入球した遊技球を検知可能である。
【0035】
上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能な一般入球口(図示省略)や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31、多数の障害釘(図示省略)が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口32が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口32から遊技盤20の裏側に排出される。
【0036】
上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域(第1領域)を流下する遊技球であっても、右方の領域(第2領域)を流下する遊技球であっても入球可能であるが、左方の領域を流下する遊技球の方が右方の領域を流下する遊技球よりも入球し易い。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が遊技者に払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合は2個の遊技球が遊技者に払い出され、一般入球口に遊技球が入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。また、第1大入賞口28または第2大入賞口35に遊技球が入球した場合は15個の遊技球が遊技者に払い出される。
【0037】
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(
図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については後述する。
【0038】
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。
図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(
図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(
図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(
図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0039】
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27s、第1大入賞口28へ入球した遊技球を検知する第1大入賞口センサー28s、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知する第2大入賞口センサー35s、特定口38に入球した遊技球を検知する特定口センサー38sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
【0040】
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、第1大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(第1大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口35に設けられた開閉扉36に開閉動作を行わせるための(第2大入賞口35を開放状態、閉鎖状態にするための)第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
【0041】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a~5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信することによって、これらのランプを駆動する演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10c(以下「演出操作部10a,10b,10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する演出を行う。
【0042】
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板237を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
【0043】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(
図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
【0044】
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0045】
B.遊技の内容 :
本実施例のパチンコ機1では次のように遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、
図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
【0046】
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球および右打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちまたは右打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、
図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。
【0047】
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(
図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(
図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。
図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ9個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、9個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、9個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄101~300)と1種類の外れ図柄(外れ図柄101)を停止表示可能であり、第2特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄401~600)と1種類の外れ図柄(外れ図柄401)を停止表示可能である。これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。
【0048】
主制御基板200のCPU201は、遊技球が第1始動口24に入球することに基づく特図当り判定(以下「第1特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第1特図を大当り図柄101~300の何れかで停止表示し、第1特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は、第1特図を外れ図柄101で停止表示する。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく特図当り判定(以下「第2特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第2特図を大当り図柄401~600の何れかで停止表示し、第2特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は第2特図を外れ図柄401で停止表示する。
【0049】
そして、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
【0050】
ここで、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行うに際しては、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の変動パターンを選択する。変動パターンとは、特別図柄が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であり、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報(変動パターンID)が付されている。変動パターンを選択する処理では、複数の変動パターン(変動パターンID、変動時間)に変動パターン選択乱数が割り振られた「変動パターン選択テーブル」を参照する。そして、第1特図保留または第2特図保留として取得された変動パターン選択乱数に対応する変動パターンを今回の変動パターンとして選択する。特別図柄は、このようにして選択された変動パターンに基づいて変動表示される。
【0051】
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を開始するに際しては、当該変動表示の変動パターンを示す変動パターン指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。これによって、今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンがサブ制御基板220に伝達される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、該変動パターン指定コマンドに基づいて今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンを認識し、認識した変動パターンに基づく(対応する)演出パターンで特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)に対応する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)を実行する。
【0052】
上述した変動パターンを選択する処理では、常時同じ変動パターン選択テーブルを参照するのではなく、種々の遊技進行状況に対応する変動パターン選択テーブルを参照する。例えば、特別図柄の種類(第1特図または第2特図)や、現在設定されている遊技状態、特図当り判定の結果、記憶されている第1特図保留および第2特図保留の数などに対応する変動パターン選択テーブルを参照する。こうすることで、種々の遊技進行状況に対応する変動パターンを選択可能となり、ひいては、サブ制御基板220のCPU221は種々の遊技進行状況に対応する演出パターンで演出を実行可能となる。
【0053】
また、主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を停止するに際しては、変動停止コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、この変動停止コマンドを受信することによって特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)が終了するタイミングがサブ制御基板220のCPU221に伝達される。
【0054】
尚、特別図柄は「識別情報」として捉えることもでき、特別図柄(識別情報)を変動表示させる主制御基板200のCPU201は「識別情報表示手段」として捉えることもできる。
【0055】
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球すると、上述したように特別図柄についての特図当り判定や変動表示が行われるものの、これらの特図当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、主制御基板200のCPU201は、取得された判定乱数を特別図柄の保留(特図保留)としてRAM203に一旦記憶する。
【0056】
詳しくは、遊技球が第1始動口24に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留について特図当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、
図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第1特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
【0057】
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留について特図当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、
図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第2特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
【0058】
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、特図保留が記憶されていても、特図当り判定や特別図柄の変動表示は行わない。また、複数の特図保留が記憶されている場合は、それらが第1特図保留であるか第2特図保留であるかに拘わらず、最先に記憶された特図保留についての特図当り判定および特別図柄の変動表示を行う(いわゆる特別図柄の順次変動機能を有する)。
【0059】
<遊技状態>
主制御基板200のCPU201は、本実施例のパチンコ機1の遊技状態として、「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」と「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」とを適宜設定する。これらのうち「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」としては、「低確率状態」または「高確率状態」を設定する。「低確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が低い(約100分の1の確率である)状態であり、「高確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が高い(約10分の1の確率である)状態である。
【0060】
また、「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」としては、「非電サポ状態」または「電サポ状態」を設定する。「非電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い状態であり、「電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い状態である。こうすることによって、「非電サポ状態」では、第2始動口25よりも第1始動口24に遊技球が入球し易く、「電サポ状態」では、第1始動口24よりも第2始動口25に遊技球が入球し易くなっている。このため、「非電サポ状態」では、遊技者に左打ちを行わせる(第1始動口24への入球を狙わせる)ことができ、「電サポ状態」では、遊技者に右打ちを行わせる(第2始動口25への入球を狙わせる)ことができる。
【0061】
尚、セグメント表示部50には、上述した電サポ状態中であることを示す電サポ表示部58が設けられている。すなわち、
図4に示すように、電サポ表示部58には、3個のLEDが配置されており、電サポ状態中は、この3個のLEDを点灯することによって電サポ状態中であることを遊技者に示す。さらに、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを遊技者に促す右打ち表示部59が設けられている。電サポ状態中は第2始動口25への遊技球の入球頻度が高く、且つ、第2始動口25は右打ちされた遊技球が入球可能であるので、電サポ状態中は右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。そこで、電サポ状態中は、右打ち表示部59に配置された2個のLEDを点灯することによって右打ちを行うことを遊技者に促すこととしている。
【0062】
<大当り遊技>
主制御基板200のCPU201は、第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示すると、第1大入賞口28または第2大入賞口35が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。
図2を用いて前述したように、第1大入賞口28および第2大入賞口35には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。
【0063】
図5に示すように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技として、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とを実行可能である。詳しくは、
図5(a)に示すように、第1特図が大当り図柄101~280で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は90%の確率で)、「Vショート」の大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄281~300で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は10%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。また、
図5(b)に示すように、第2特図が大当り図柄401~600で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は100%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。
【0064】
本実施例のパチンコ機1では、「Vショート」の大当り遊技または「Vロング」の大当り遊技の何れが行われる場合であっても、2回のラウンド遊技が行われ、そのうち1回目のラウンド遊技では第1大入賞口28が開放状態となり、2回目のラウンド遊技では第2大入賞口35が開放状態となる。もっとも、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とでは、「特定口38への遊技球の入球可能性」が互いに異なっている。すなわち、「Vショート」の大当り遊技および「Vロング」の大当り遊技は、1回目のラウンド遊技では双方とも10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)第1大入賞口28が開放状態となるものの、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が互いに異なる。詳しくは、「Vショート」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が0.2秒間であることから遊技球が特定口38に入球し難く、「Vロング」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)であることから遊技球が特定口38に入球し易い。
【0065】
そして、
図5(c)に示すように、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率状態且つ電サポ状態(高確率・電サポ状態)」に設定され、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ非電サポ状態(低確率・非電サポ状態)」に設定される。
【0066】
また、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率・電サポ状態」に設定され、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ電サポ状態(低確率・電サポ状態)」に設定される。
【0067】
尚、「高確率・電サポ状態」は次に大当り遊技が行われるまで継続し、「低確率・電サポ状態」は45回の図柄変動遊技が行われるまで継続する(それまでに大当り遊技が行われた場合は終了する)。
【0068】
ここで、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技を開始する場合は、サブ制御基板220に向けて大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始コマンドを送信する。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応する大当り遊技演出を実行する。
【0069】
尚、大当り遊技は「特定遊技」としても捉えることができ、大当り遊技(特定遊技)を実行する主制御基板200のCPU201は「特定遊技実行手段」として捉えることもできる。
【0070】
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技、普通図柄の保留>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する普図当り判定乱数)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。
図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示した場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技を行う。
【0071】
上述した非電サポ状態や電サポ状態は、普図当り判定の態様や、普通図柄の変動表示の態様、普図当り遊技の態様を異ならせることによって設定される。つまり、普図当り判定において普図当りと判定される確率は、非電サポ状態においては100分の1であり、電サポ状態においては100分の99である。また、普通図柄の変動時間としては、非電サポ状態においては長い時間が選択され易く(1000m秒、2000m秒、3000m秒の何れかが均等に選択され)、電サポ状態においては短い時間が選択され易い(1000m秒、1252m秒、1500m秒の何れかが均等に選択される)。また、普図当り遊技としては、非電サポ状態においては第2始動口25が短時間(16m秒×1回)だけ開放状態となる普図当り遊技が行われ、電サポ状態においては第2始動口25が長時間(840m秒×2回)開放状態となる普図当り遊技が行われる。これらによって、非電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が低くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も低くなる。これに対して、電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が高くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も高くなる。
【0072】
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、
図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち両方を消灯することで普図保留数が0個であることを示し、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
【0073】
<演出表示装置41の表示内容>
本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出を行うための処理は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200のCPU201から遊技の進行状況を示すコマンド(例えば、上述の変動パターン指定コマンド、大当り遊技開始コマンドなど)を受信することに基づいて、遊技の進行状況を把握しており、この遊技の進行状況に応じた演出を行う。
【0074】
例えば、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、第1特図または第2特図の変動表示(変動パターン)に合わせた図柄変動演出を行う。すなわち、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41において3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始する。その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行う。そして、サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると図柄変動演出を終了する。すなわち、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」~「9」までの9つの数字を示す図柄を表示可能である。
【0075】
図6(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、例えば、初めに左識別図柄41aが停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52にて停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が外れ図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
【0076】
このように、第1特図表示部51または第2特図表示部52で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄41a,41b,41cも停止表示するようになっている。しかも、
図2に示すように、演出表示装置41は、第1特図表示部51または第2特図表示部52(セグメント表示部50)よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を視認しながら遊技を行うことが通常である。従って、
図6(b)に示すように、例えば、演出表示装置41の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、複数の識別図柄のうち一の識別図柄を除いた識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて該一の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
【0077】
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数(上限数は4個)を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数(上限数は4個)と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、
図6に示す例では、第1特図保留数が4個であり、第2特図保留数が4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致する。
【0078】
C.遊技ホールに依存した出力 :
本実施例のパチンコ機1では、上述したような各種演出を実行可能であるが、パチンコ機1が設置された遊技ホールに依存した出力を行うことも可能である。例えば、パチンコ機1が設置された遊技ホールを識別する(示す)ホールコードを設定しておき、該ホールコードに対応する情報(遊技ホールの名称など)を表示することが可能である。また、所定の演出については該演出の実行可否を遊技ホールの要求に応じて設定しておき、該演出が実行可能であることが設定されている場合は該演出を実行し、該演出が実行不能であることが設定されている場合は該演出を実行しないことが可能である。また、所定の演出については該演出の実行態様を遊技ホールの要求に応じて設定しておき、設定された実行態様で該所定の演出を実行することが可能である。また、遊技ホールにパチンコ機1が設置された状態で行われた遊技の履歴を記憶しておき、該遊技の履歴を表示したり、該遊技の履歴をパチンコ機1に接続されたデータ管理装置に向けて送信したりすることが可能である。
【0079】
上述したような遊技ホールに依存した出力を行うために、サブ制御基板220には、CPU221やROM222等の他にも、書き換え可能な不揮発性の記憶部であるフラッシュメモリ224(記憶手段)が搭載されている。そして、このフラッシュメモリ224には、
図7に示すように、遊技ホールに依存した情報である「ホール依存情報」を記憶するための「ホール依存情報記憶領域A~F」が設定されている(ホール依存情報記憶領域A~Fを有している)。なかでも、「ホール依存情報記憶領域A」には、パチンコ機1が設置された遊技ホールを識別する(示す)ホールコードが記憶されている。このようなホールコードを利用した出力としては、該ホールコードに対応する情報(遊技ホールの名称など)の表示が行われる。すなわち、主制御基板200のROM202には種々のホールコードに対応する情報が予め記憶されており、所定の条件が成立したら(例えば、遊技が行われてない状態が所定の時間継続すると)、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されているホールコード(ホール依存情報)を読み出して、該ホールコードに対応する情報(遊技ホールの名称など)を演出表示装置41の表示画面に表示する。
【0080】
また、「ホール依存情報記憶領域B」には、第1演出の実行態様(例えば、図柄変動演出の実行中に表示される識別図柄41a,41b,41cの色彩や形状など)が記憶されている。例えば、画像音声制御基板230の画像ROM235には、識別図柄41a,41b,41cとして表示可能な「1」~「9」までの9つの数字を示す図柄(スプライト画像)が記憶されているところ、これらの図柄の群(グループ)が複数記憶されている。これらの複数のグループは、「1」~「9」までの9つの数字を示す図柄の色彩や形状が互いに異なるものである。例えば、第1のグループは、「1」~「9」までの9つの数字を示す図柄の色彩が「赤」であり、第2のグループは、「1」~「9」までの9つの数字を示す図柄の色彩が「青」である。「ホール依存情報記憶領域B」には、第1演出の実行態様としてグループを示す情報(ホール依存情報)が記憶されており、図柄変動演出を行うに際しては、該グループを示す情報を読み出して、該情報が示すグループの図柄を演出表示装置41の表示画面に表示する。例えば、「ホール依存情報記憶領域B」に第1のグループを示す情報が記憶されている場合は、第1のグループの図柄(赤の図柄)を表示し、「ホール依存情報記憶領域B」に第2のグループを示す情報が記憶されている場合は、第2のグループの図柄(青の図柄)を表示する。
【0081】
また、「ホール依存情報記憶領域C」には、第2演出の実行可否(例えば、所定の役物を駆動する演出が実行可能であるか否か、所定の画像を表示可能であるか否かなど)が記憶されている。サブ制御基板220のCPU221は、所定の条件が成立したら(例えば、所定の変動パターンが選択されたら)、「ホール依存情報記憶領域C」から第2演出の実行可否(ホール依存情報)を読み出し、第2演出を実行可能であることが記憶されている場合は第2演出を実行し、第2演出が実行不能であることが記憶されている場合は第2演出を実行しないこととしている。
【0082】
上述した「ホール依存情報記憶領域A~C」に「ホール依存情報」として記憶されるホールコード、第1演出の実行態様、第2演出の実行可否は、例えば、演出表示装置41の表示画面に設定画面を表示させた状態で遊技ホールの係員が演出操作部10a,10b,10cを操作したり、パチンコ機1に外部機器を接続して所定の信号を入力したりすることによって記憶される。
【0083】
一方、「ホール依存情報記憶領域D~E」には、遊技ホールにパチンコ機1が設置された状態で行われた所定期間の遊技の履歴(ホール依存情報)が記憶されている。詳しくは、「ホール依存情報記憶領域D」には、所定期間の大当り履歴として、例えば、過去7日間に大当り遊技が行われた日時(ホール依存情報)が記憶されており、「ホール依存情報記憶領域E」には、所定期間の発射数履歴としては、例えば、過去7日間に発射された遊技球の数(ホール依存情報)が日時毎(例えば、1時間毎)に記憶されており、「ホール依存情報記憶領域F」には、所定期間の払出数履歴として、例えば、過去7日間に払い出された遊技球の数(ホール依存情報)が日時毎(例えば、1時間毎)に記憶されている。このように「ホール依存情報記憶領域D~E」に記憶された所定期間の遊技の履歴は、サブ制御基板220のCPU221によって、演出表示装置41の表示画面に表示されたり、パチンコ機1に接続されたデータ管理装置に送信されたりする。
【0084】
ここで、一般的な遊技機は、中古市場等を介して、別の遊技ホールに移動される(移動して設置される)ことがあり、上述したような「ホール依存情報」を記憶しているパチンコ機1も例外ではなく、別の遊技ホールに移動されることがある。そして、このような場合に、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」を利用した出力が行われると、不具合が生じる。すなわち、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶された「ホール依存情報」は遊技ホールに依存した情報であるので、パチンコ機1が別の遊技ホールに設置されたにも拘わらず、「ホール依存情報」が移動前の遊技ホールに依存した情報のままであると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまう。例えば、移動後の遊技ホールにおいて、移動前の遊技ホールの名称が表示されたり、移動前の遊技ホールにおける遊技の履歴が表示されたりしてしまう。そこで、本実施例のパチンコ機1では、該パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたか否かを判断し、別の遊技ホールに移動されたと判断した場合は、「ホール依存情報」を初期化することとしている。このような処理について、以下に詳しく説明する。
【0085】
C-1.初期化条件判断処理 :
図8には、サブ制御基板220のCPU221によって実行される初期化条件判断処理のフローチャートが示されている。この初期化条件判断処理は、パチンコ機1に電源が投入された際に実行される。
【0086】
図8に示すように、パチンコ機1に電源が投入されることで初期化条件判断処理を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は先ず、パチンコ機1に電源が投入された日にち(年月日)をフラッシュメモリ224の所定のアドレスに記憶する(S200)。そして、前回パチンコ機1に電源が投入されてから今回パチンコ機1に電源が投入されるまでに7日間が経過しているか否かを判断する(S202)。すなわち、前回パチンコ機1に電源が投入された際にも該電源が投入された日にちを記憶しているので、該日にちと今回記憶した日にちとを比較することによって、S202の判断処理を行う。
【0087】
その結果、前回パチンコ機1に電源が投入されてから今回パチンコ機1に電源が投入されるまでに7日間が経過している場合は(S202:yes)、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」を初期化する初期化処理を行う(S204)。ここで、パチンコ機1が所定の遊技ホールに設定されている状態では、パチンコ機1は、該遊技ホールが開店する際に電源が投入され、閉店する際に電源が遮断されるものであり、ほぼ1日毎に電源の投入と遮断が繰り返されている。従って、長期間に亘ってパチンコ機1に電源が投入されなかった場合は、パチンコ機1の設置状況が変化したことが考えられる。例えば、所定の遊技ホール(移動前の遊技ホール)に設置されたパチンコ機1が中古市場等を介して、別の遊技ホール(移動後の遊技ホール)に移動されたことが考えられる。そこで、本実施例のパチンコ機1では、前回パチンコ機1に電源が投入されてから今回パチンコ機1に電源が投入されるまでに7日間が経過している場合は(S202:yes)、パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたと判断して、すなわち、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」を初期化する条件(初期化条件)が成立したと判断して、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」を初期化する初期化処理を行う。こうすると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまうことを防止することができる。尚、以下では、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」を初期化する初期化処理として、主に3つの処理(第1の初期化処理、第2の初期化処理、第3の初期化処理)を例示する。
【0088】
C-2.第1の初期化処理 :
第1の初期化処理では、
図9に示すような処理を行う。
図9において、「前ホール」は、移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」が記憶された「ホール依存情報記憶領域」を示しており、「初期化」は、初期化された「ホール依存情報記憶領域」を示しており、「後ホール」は、移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」が記憶された「ホール依存情報記憶領域」を示している。
【0089】
図9に示すように、「ホール依存情報記憶領域A~F」に移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」が記憶された状態でパチンコ機1に電源が投入された際に、パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたと判断した場合は(初期化条件が成立した場合は)、「ホール依存情報記憶領域A~F」の「ホール依存情報」を初期化する。詳しくは、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されているホールコードは消去し、「ホール依存情報記憶領域B」に記憶されている第1演出の実行態様は初期設定に戻し(例えば、第1のグループを示す情報を記憶し)、「ホール依存情報記憶領域C」に記憶されている第2演出の実行可否も初期設定に戻し(例えば、第2演出が実行可能であることを記憶し)、「ホール依存情報記憶領域D~F」に記憶されている遊技の履歴は消去する。
【0090】
このようにパチンコ機1に電源が投入された際に「ホール依存情報記憶領域A~F」の「ホール依存情報」を初期化した後は、各「ホール依存情報記憶領域」に対する書込処理があると、その内容を移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」として記憶する。すなわち、「ホール依存情報記憶領域A~C」に「ホール依存情報」として記憶されるホールコード、第1演出の実行態様、第2演出の実行可否は、例えば、演出表示装置41の表示画面に設定画面を表示させた状態で「移動後の遊技ホールの係員」が演出操作部10a,10b,10cを操作したり、パチンコ機1に外部機器を接続して所定の信号を入力したりすることによって記憶される。また、「ホール依存情報記憶領域A~C」に「ホール依存情報」として記憶される遊技の履歴は、移動後の遊技ホールで遊技が行われる(パチンコ機1が稼動する)ことによって記憶される。
【0091】
C-3.第2の初期化処理 :
パチンコ機1に電源が投入される際は、パチンコ機1を起動するための種々の処理が行われ、該種々の処理が行われた後にパチンコ機1は起動する(パチンコ機1で遊技を行うことが可能になる)。従って、上述した第1の初期化処理のように、パチンコ機1に電源が投入された際に「ホール依存情報記憶領域A~F」の「ホール依存情報」を全て初期化することとすると、パチンコ機1の起動時の処理負担が大きくなってしまい、ひいては、パチンコ機1の起動(パチンコ機1での遊技が可能になること)が遅くなってしまう。そこで、以下に説明する第2の初期化処理を行うこととしてもよい。
【0092】
第2の初期化処理では、「ホール依存情報」が利用可能であるか否かを示す利用可否情報を使用する。この利用可否情報は、「ホール依存情報」毎に設けられた「利用可否情報記憶領域」に(それぞれの「ホール依存情報」に対応付けて)記憶されるものであり、利用可否情報としては、「ホール依存情報」が利用可能であることを示す「可能情報」、または、「ホール依存情報」が利用不能であることを示す「不能情報」が記憶されている。そして、「ホール依存情報」に対応付けて「可能情報」が記憶されている場合は、該「ホール依存情報」を利用した出力を行うものの、「ホール依存情報」に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該「ホール依存情報」を利用した出力は行わないこととしている。
【0093】
例えば、「ホール依存情報記憶領域A」にホールコードが記憶されているものの、該ホールコードに対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、遊技ホールの名称の表示などは行わず、予め定められた情報(例えば、パチンコ機1の名称を示す情報)の表示を行う。また、「ホール依存情報記憶領域B」に第1演出の実行態様が記憶されているものの、該1演出の実行態様に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該第1演出の実行態様に拘わらず、予め定められた態様(例えば、第1のグループの図柄を表示する態様)で第1演出を行う。また、「ホール依存情報記憶領域C」に第2演出の実行可否が記憶されているものの、該第2演出の実行可否に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該第2演出の実行可否に拘わらず、第2演出を実行する。また、「ホール依存情報記憶領域D」に所定期間の大当り履歴が記憶されているものの、該所定期間の大当り履歴に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該所定期間の大当り履歴の表示や送信は行わない。また、「ホール依存情報記憶領域E」に所定期間の発射数履歴が記憶されているものの、該所定期間の発射数履歴に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該所定期間の発射数履歴の表示や送信は行わない。また、「ホール依存情報記憶領域F」に所定期間の払出数履歴が記憶されているものの、該所定期間の払出数履歴に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、該所定期間の払出数履歴の表示や送信は行わない。
【0094】
上述のような利用可能情報を使用する第2の初期化処理について、
図10を用いて説明する。
図10において、「可」は、「可能情報」が記憶された「利用可否情報記憶領域」を示しており、「不」は、「不能情報」が記憶された「利用可否情報記憶領域」を示している。尚、「可能情報」としては、1ビットの情報である「1」が記憶されており、「不能情報」としては、1ビットの情報である「0」が記憶されている。
【0095】
第2初期化処理でも、パチンコ機1に電源が投入された際に、パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたか否かを判断する。その結果、パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたと判断した場合は(初期化条件が成立した場合は)、
図10に示すように、「ホール依存情報」に対応付けて記憶されている「可能情報」を「不能情報」にする不能更新処理を行う。すなわち、初期化条件が成立する前までは(パチンコ機1が移動される前までは)、「ホール依存情報記憶領域A~F」には移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」が記憶されており、該「ホール依存情報」を利用した出力を可能にするために、該「ホール依存情報」に対応付けて「可能情報」が記憶されている筈である。そこで、パチンコ機1が別の遊技ホールに移動されたと判断した場合は(初期化条件が成立した場合は)、移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」を利用した出力を不能にすべく、「ホール依存情報」に対応付けて記憶されている「可能情報」を「不能情報」にする(不能更新処理を行う)。こうすると、移動後の遊技ホールにおいて移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまうことを防止することができる。尚、初期化条件が成立した場合であっても、パチンコ機1に電源が投入されたタイミングでは、上述した不能更新処理は行うものの、「ホール依存情報」の初期化は行わない。すなわち、「ホール依存情報記憶領域A~F」には移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」が記憶されたままである。
【0096】
こうして不能更新処理を行った後は、それぞれの「ホール依存情報記憶領域」に対して移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」(新たなホール依存情報)の書き込み(書込処理)が行われるタイミングで、該移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」を記憶する(移動前の遊技ホールのホール依存情報を消去する消去処理を行う)と共に、該「ホール依存情報記憶領域」に対応付けて記憶された「不能情報」を「可能情報」に更新する可能更新処理を行う。例えば、移動後の遊技ホールの係員が演出操作部10a,10b,10cを操作することによって、「ホール依存情報記憶領域A」に移動後の遊技ホールのホールコードの書き込みが行われる場合は、
図11(a)に示すように、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されていた移動前の遊技ホールのホールコードを消去する(初期化する)と共に、「ホール依存情報記憶領域A」に移動後の遊技ホールのホールコードを記憶し、「ホール依存情報記憶領域A」に対応付けて記憶された「不能情報」を「可能情報」に更新する可能更新処理を行う。また、移動後の遊技ホールで遊技が行われることによって、「ホール依存情報記憶領域D」に所定期間の大当り履歴の書き込みが行われる場合は、
図11(b)に示すように、「ホール依存情報記憶領域D」に記憶されていた移動前の遊技ホールにおける所定期間の大当り履歴を消去する(初期化する)と共に、「ホール依存情報記憶領域D」に移動後の遊技ホールにおける所定期間の大当り履歴を記憶し、「ホール依存情報記憶領域D」に対応付けて記憶された「不能情報」を「可能情報」に更新する可能更新処理を行う。
【0097】
以上のように、第2の初期化処理では、初期化条件が成立した場合であっても(パチンコ機1が移動された場合であっても)、パチンコ機1に電源が投入されたタイミングでは、それぞれの「利用可否情報記憶領域」に記憶された「可能情報」を「不能情報」に更新するだけであり(例えば、1ビットの情報を1から0にするだけであり)、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」は消去等せず(初期化せず)、そのままにしておく。そして、その後に、それぞれの「ホール依存情報記憶領域」に新たな「ホール依存情報」の書き込みが行われるタイミングで(それぞれのタイミングで)、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」の消去(初期化)を行う。こうすると、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができると共に、パチンコ機1の起動時の処理負担が大きくなってしまうことを防止でき、ひいては、パチンコ機1の起動が遅くなってしまうことを防止することができる。
【0098】
尚、「利用可否情報記憶領域」に「可能情報」が記憶されている場合は、「ホール依存情報記憶領域」に記憶されている「ホール依存情報」に基づく出力を行う出力処理を行い、「利用可否情報記憶領域」に「不能情報」が記憶されている場合は、該出力処理を行わないサブ制御基板220のCPU221は、「出力手段」として捉えることもできる。また、「ホール依存情報記憶領域」に対して移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」の書き込み(書込処理)が行われるタイミングで、該移動後の遊技ホールの「ホール依存情報」を記憶する処理は、「移動前の遊技ホールのホール依存情報を消去する消去処理」として捉えることもできる。
【0099】
C-4.第3の初期化処理 :
上述した第2の初期化処理では、不能更新処理を行った後は、それぞれの「ホール依存情報記憶領域」に新たな「ホール依存情報」の書き込みが行われるタイミングで、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」の消去(初期化)を行うこととした。これに対して、第3の初期化処理では、第2の初期化処理と同様の不能更新処理を行うものの、不能更新処理を行った後は、「ホール依存情報」を利用した出力を行うタイミング、すなわち、「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」の消去(初期化)を行う。
【0100】
例えば、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されたホールコードを利用した出力(遊技ホールの名称の表示など)を行うべく、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されたホールコードを読み出すに際して、該ホールコードに対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、
図12(a)に示すように、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されたホールコードを消去する(初期化する)と共に、「ホール依存情報記憶領域A」に対応付けて記憶された「不能情報」を「可能情報」に更新する可能更新処理を行う。また、「ホール依存情報記憶領域D」に記憶された所定期間の大当り履歴を利用して出力(大当り履歴の表示など)を行うべく、「ホール依存情報記憶領域D」に記憶された所定期間の大当り履歴を読み出すに際して、該所定期間の大当り履歴に対応付けて「不能情報」が記憶されている場合は、
図12(b)に示すように、「ホール依存情報記憶領域D」に記憶された所定期間の大当り履歴を消去する(初期化する)と共に、「ホール依存情報記憶領域D」に対応付けて記憶された「不能情報」を「可能情報」に更新する可能更新処理を行う。
【0101】
以上のように、第3の初期化処理では、初期化条件が成立した場合であっても(パチンコ機1が移動された場合であっても)、パチンコ機1に電源が投入されたタイミングでは、それぞれの「利用可否情報記憶領域」に記憶された「可能情報」を「不能情報」に更新するだけであり(例えば、1ビットの情報を1から0にするだけであり)、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」は消去等せず(初期化せず)、そのままにしておく。そして、その後に、それぞれの「ホール依存情報記憶領域」の「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで(それぞれのタイミングで)、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」の消去(初期化)を行う。こうすると、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができると共に、パチンコ機1の起動時の処理負担が大きくなってしまうことを防止でき、ひいては、パチンコ機1の起動が遅くなってしまうことを防止することができる。
【0102】
尚、「ホール依存情報記憶領域」に記憶されている「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで該ホール依存情報が正常(異常情報)であるか否かを判断し、該「ホール依存情報」が異常情報である場合は該「ホール依存情報」を初期化するサブ制御基板220のCPU221は、「初期化手段」として捉えることもできる。
【0103】
C-5.第4の初期化処理 :
第4の初期化処理では、チェックサムデータを利用する。チェックサムデータとは、「ホール依存情報」を利用した出力を行うに際して、該「ホール依存情報」が正常であるか(異常が生じていないか)否かを確認するためのデータである。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、「ホール依存情報」を出力するための処理として、
図13に示すような出力処理を行う。この出力処理を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は先ず、今回の出力を行うための「ホール依存情報」を「ホール依存情報記憶領域」から読み出す(S300)。例えば、遊技ホールの名称を表示する場合は、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されたホールコードを読み出す。
【0104】
続いて、S300の処理で読み出した「ホール依存情報」に基づいて第2チェックサムデータを算出する(S302)。例えば、「ホール依存情報」を構成するビット列を数ビット毎のデータに分割して加算する。こうして第2チェックサムデータを算出したら(S302)、該第2チェックサムデータを、「ホール依存情報」に対応付けて予め記憶されている第1チェックサムデータと比較する(S304)。すなわち、「ホール依存情報」を「ホール依存情報記憶領域」に記憶するに際しては、該「ホール依存情報」に基づいて第1チェックサムデータを算出し、該第1チェックサムデータを該「ホール依存情報」に対応付けて記憶している。この第1チェックサムデータの算出方法は、第2チェックサムデータの算出方法と同一である。従って、「ホール依存情報」を「ホール依存情報記憶領域」に記憶する際に算出された第1チェックサムデータと、「ホール依存情報」を利用した出力が行われる際に算出される第2チェックサムデータ(S302の処理で算出される第2チェックサムデータ)とは、「ホール依存情報」が正常であれば(異常が生じていなければ)一致する筈である。そこで、S304の処理では、第1チェックサムデータと第2チェックサムデータとを比較した結果、これらが一致すれば「ホール依存情報」は正常であると判断し、これらが一致しなければ「ホール依存情報」は正常ではない(異常が生じている)と判断する。そして、「ホール依存情報」が正常であれば(S306:yes)、該「ホール依存情報」を利用した出力を行い(S308)、「ホール依存情報」に異常が生じていれば(S306:no)、該「ホール依存情報」を利用した出力は行わず、該「ホール依存情報」を初期化することとしている(S310)。
【0105】
第4の初期化処理では、上述した第1チェックサムデータを利用して「ホール依存情報記憶領域A~F」の「ホール依存情報」を初期化する。すなわち、
図14に示すように、第1チェックサムデータは、「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」毎に算出され、それぞれの「ホール依存情報」に対応付けて第1チェックサムデータ記憶領域に記憶されている。例えば、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されたホールコードに基づいて算出された第1チェックサムデータは該ホールコードに対応付けて記憶され、「ホール依存情報記憶領域D」に記憶された所定期間の大当り履歴に基づいて算出された第1チェックサムデータは該所定期間の大当り履歴に対応付けて記憶されている。
【0106】
従って、パチンコ機1に電源が投入された際に初期化条件が成立していると判断される場合(パチンコ機1が移動された後に初めて電源が投入された場合)であっても、移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」に基づいて算出された第1チェックサムデータが記憶されている。そこで、この場合は、第1チェックサムデータのビット(少なくとも一部のビット)を反転させる処理(第1チェックサムデータを改変する処理)を行う。尚、初期化条件が成立した際は(パチンコ機1に電源が投入されたタイミングでは)、上述したビットを反転させる処理は行うものの、「ホール依存情報」の初期化は行わない。
【0107】
上述したように第1チェックサムデータのビットを反転させると(第1チェックサムデータが改変されると)、
図13を用いて上述した出力処理を行うに際しては、ホール依存情報から算出される第2チェックサムデータと第1チェックサムデータが一致しなくなる。すなわち、第1チェックサムデータのビットが反転される前までは、第1チェックサムデータおよび第2チェックサムデータも、移動前の遊技ホールの「ホール依存情報」に基づいて同一の算出方法で算出されるデータであるものの、ビットが反転された後の第1チェックサムデータは該算出方法で算出されるデータではなくなるため、第2チェックサムデータと一致しなくなる。そして、第1チェックサムデータと第2チェックサムデータとが一致しなければ「ホール依存情報」に異常が生じていると判断され(S306:no)、該「ホール依存情報」を利用した出力は行われず、該「ホール依存情報」は初期化されることとなる(S310)。この結果、それぞれの「ホール依存情報記憶領域A~F」に記憶されている「ホール依存情報」は、それぞれが読み出されるタイミング(それぞれを利用した出力が行われるタイミング)で初期化されることとなる。
【0108】
例えば、
図15(a)に示すように、「ホール依存情報記憶領域A」に記憶されている移動前の遊技ホールのホールコードを利用して出力を行おうとする際は、該ホールコードに対応付けて記憶された第1チェックサムデータ(各ビットが反転されたデータ)と、該ホールコードに基づいて算出される第2チェックサムデータとが一致しないので、該ホールコードに異常が生じていると判断され、該ホールコードを利用した出力は行われず、該ホールコードは初期化(消去)されることとなる。また、
図15(b)に示すように、「ホール依存情報記憶領域E」に記憶されている移動前の遊技ホールの所定期間の発射数履歴を利用して出力を行おうとする際は、該所定期間の発射数履歴に対応付けて記憶された第1チェックサムデータ(各ビットが反転されたデータ)と、該所定期間の発射数履歴に基づいて算出される第2チェックサムデータとが一致しないので、該所定期間の発射数履歴に異常が生じていると判断され、該所定期間の発射数履歴を利用した出力は行われず、該所定期間の発射数履歴は初期化(消去)されることとなる。
【0109】
このように「ホール依存情報」が初期化された後は、新たな「ホール依存情報」が記憶される際に、新たな「ホール依存情報」に基づいて新たな第1チェックサムデータが算出されて、新たな「ホール依存情報」に対応付けて記憶されることとなる。
【0110】
以上のように、第4の初期化処理では、初期化条件が成立した場合であっても(パチンコ機1が移動された場合であっても)、パチンコ機1に電源が投入されたタイミングでは、第1チェックサムデータの各ビットを反転させるだけであり、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」は消去等せず(初期化せず)、そのままにしておく。そして、その後に、「ホール依存情報記憶領域」に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミング(ホール依存情報を利用した出力が行われるタイミング)で、該「ホール依存情報」に基づいて第2チェックサムデータを算出し、該第2チェックサムデータと第1チェックサムデータとを比較する。この際、第1チェックサムデータの各ビットは反転されているので、該第1チェックサムデータは第2チェックサムデータと一致せず、「ホール依存情報」の初期化が行われる。こうすると、複数の「ホール依存情報記憶領域A~F」のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれが読み出されるタイミング(ホール依存情報を利用した出力が行われるタイミング)で初期化されることとなるので、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができる。こうすると、パチンコ機1の起動時の処理負担が大きくなってしまうことを防止でき、ひいては、パチンコ機1の起動が遅くなってしまうことを防止することができる。
【0111】
尚、第1チェックサムデータの各ビットを反転させる処理を行うことで「ホール依存情報」に異常が生じていると判断させるので、該処理は、ホール依存情報を異常情報に変更する処理としても捉えることができる。
【0112】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0113】
例えば、上述した実施例の「ホール依存情報」としては、遊技ホールに依存した情報であればよく、上述した「ホール依存情報」以外にも、種々の情報を採用することができる。
【0114】
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0115】
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A4>
上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機A1~A4として捉えることができる。
【0116】
<遊技機A1>
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域と利用可否情報記憶領域とを有し、前記ホール依存情報記憶領域には、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶し、前記利用可否情報記憶領域には、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用可能であることを示す可能情報、または、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報が利用不能であることを示す不能情報を記憶する記憶手段と、
前記利用可否情報記憶領域に可能情報が記憶されている場合は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報に基づく出力を行う出力処理を行い、前記利用可否情報記憶領域に不能情報が記憶されている場合は、前記出力処理を行わない出力手段と、
を備える
ことを特徴とする遊技機。
【0117】
<遊技機A2>
遊技機A1において、
所定の初期化条件が成立した際は、前記利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新する不能更新処理は行うものの、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されたホール依存情報を消去する消去処理は行わず、
前記不能更新処理が行われた後であって、前記ホール依存情報記憶領域に新たなホール依存情報の書き込みを行う書込処理が行われる際に、前記消去処理を行うと共に、前記利用可否情報記憶領域に記憶された不能情報を可能情報に更新する可能更新処理を行う
ことを特徴とする遊技機。
【0118】
このような遊技機では、ホール依存情報記憶領域の「ホール依存情報」を初期化するに際して次のような処理を行う。すなわち、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新するだけであり、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は消去せず、そのままにしておく。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に新たな「ホール依存情報」の書き込みが行われるタイミングで、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」を消去する。こうすると、所定の初期化条件が成立したタイミングで行う処理量を軽減することができる。
【0119】
<遊技機A3>
遊技機A2において、
前記記憶手段は、互いに異なる種類のホール依存情報が記憶された複数の前記ホール依存情報記憶領域と、該複数の前記ホール依存情報記憶領域のそれぞれに対応する前記利用可否情報記憶領域とを有しており、
複数の前記ホール依存情報記憶領域毎に、前記不能更新処理、前記可能更新処理、前記書込処理、前記消去処理を行う
ことを特徴とする遊技機。
【0120】
このような遊技機では、複数のホール依存情報記憶領域を有していることから、該複数のホール依存情報記憶領域に記憶されている「ホール依存情報」を初期化する必要があり、初期化のための処理負担が大きくなる。この点、遊技機A3では、上述したように、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新するだけであり、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は消去せず、そのままにしておく。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に新たな「ホール依存情報」の書き込みが行われるタイミングで、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」を消去する。このため、遊技機A3のように、初期化のための処理負担が大きくなる場合であっても、所定の初期化条件が成立したタイミングで行う処理量を軽減することができる。
【0121】
<遊技機A4>
遊技機A2または遊技機A3において、
前記所定の初期化条件は、当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入されることである
ことを特徴とする遊技機。
【0122】
一般的な遊技機は、遊技ホールが開店する際に電源が投入され、閉店する際に電源が遮断されるものであり、ほぼ1日毎に電源の投入と遮断が繰り返されている。従って、長期間に亘って遊技機に電源が投入されなかった場合は、遊技機の設置状況が変化したことが考えられる。例えば、所定の遊技ホール(移動前の遊技ホール)に設置された遊技機が中古市場等を介して、別の遊技ホール(移動後の遊技ホール)に移動されたことが考えられる。そして、このような場合に、ホール依存情報記憶領域に記憶されている「ホール依存情報」を利用して出力処理が行われると、不具合が生じる虞がある。すなわち、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は遊技ホールに依存した情報であるので、遊技機が移動後の遊技ホールに設置されたにも拘わらず、「ホール依存情報」が移動前の遊技ホールに依存した情報のままであると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまう。この点、遊技機A4のように、遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入された場合に、「ホール依存情報」を初期化することとすると、遊技機が別の遊技ホールに移動された場合に「ホール依存情報」を初期化することができ、上述の不具合を防止することが可能となる。
【0123】
また、遊技機に電源が投入される際は、遊技機を起動するための種々の起動処理が行われ、該起動処理が行われた後に遊技機は起動する。従って、起動処理の負担が大きくなると、遊技機の起動が遅くなってしまう。この点、遊技機A4では、遊技機に電源が投入されたタイミングでは、利用可否情報記憶領域に記憶された可能情報を不能情報に更新するだけであり、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は消去せず、そのままにしておく。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に新たな「ホール依存情報」の書き込みが行われるタイミングで、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」を消去する。このため、起動処理の負担の増大化を抑制することができ、ひいては、遊技機の起動が遅くなってしまうことを抑制することができる。
【0124】
<上述した実施例から抽出できる遊技機B1~B3>
また、上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機B1~B3として捉えることができる。
【0125】
<遊技機B1>
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域を有し、前記ホール依存情報記憶領域に、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶する記憶手段と、
前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報を読み出して、該ホール依存情報に基づく出力処理を実行可能な出力手段と、
を備え、
前記記憶手段は、前記ホール依存情報記憶領域を複数有し、該複数の前記ホール依存情報記憶領域毎に互いに異なる種類のホール依存情報を記憶しており、
所定の初期化条件が成立した後は、複数の前記ホール依存情報記憶領域のそれぞれに対応するタイミングで、複数の前記ホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶されているホール依存情報を初期化する
ことを特徴とする遊技機。
【0126】
このような遊技機では、ホール依存情報記憶領域の「ホール依存情報」を初期化するに際して次のような処理を行う。すなわち、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」の初期化は行なわず、その後に、複数の前記ホール依存情報記憶領域のそれぞれに対応するタイミングで、複数の前記ホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶されている「ホール依存情報」を初期化する。こうすると、複数のホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれに対応するタイミングで初期化されることとなるので、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができ、この結果、処理量が一時的に過大になってしまうことを抑制することが可能となる。
【0127】
<遊技機B2>
遊技機B1において、
前記所定の初期化条件が成立した後は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報が前記出力手段によって読み出されるタイミングで、該ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報を初期化する
ことを特徴とする遊技機。
【0128】
このような遊技機では、ホール依存情報記憶領域の「ホール依存情報」を初期化するに際して次のような処理を行う。すなわち、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」の初期化は行なわず、その後に、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで、該「ホール依存情報」を初期化する。こうすると、複数のホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれが読み出されるタイミングで初期化されることとなるので、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができ、この結果、処理量が一時的に過大になってしまうことを抑制することが可能となる。
【0129】
<遊技機B3>
遊技機B1または遊技機B2において、
前記所定の初期化条件は、当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入されることである
ことを特徴とする遊技機。
【0130】
一般的な遊技機は、遊技ホールが開店する際に電源が投入され、閉店する際に電源が遮断されるものであり、ほぼ1日毎に電源の投入と遮断が繰り返されている。従って、長期間に亘って遊技機に電源が投入されなかった場合は、遊技機の設置状況が変化したことが考えられる。例えば、所定の遊技ホール(移動前の遊技ホール)に設置された遊技機が中古市場等を介して、別の遊技ホール(移動後の遊技ホール)に移動されたことが考えられる。そして、このような場合に、ホール依存情報記憶領域に記憶されている「ホール依存情報」を利用して出力処理が行われると、不具合が生じる虞がある。すなわち、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は遊技ホールに依存した情報であるので、遊技機が移動後の遊技ホールに設置されたにも拘わらず、「ホール依存情報」が移動前の遊技ホールに依存した情報のままであると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまう。この点、遊技機B3のように、遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入された場合に、「ホール依存情報」を初期化することとすると、遊技機が別の遊技ホールに移動された場合に「ホール依存情報」を初期化することができ、上述の不具合を防止することが可能となる。
【0131】
また、遊技機に電源が投入される際は、遊技機を起動するための種々の起動処理が行われ、該起動処理が行われた後に遊技機は起動する。従って、起動処理の負担が大きくなると、遊技機の起動が遅くなってしまう。この点、遊技機B3では、遊技機に電源が投入されたタイミングでは、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」の初期化は行わない。そして、その後に、複数のホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれに対応するタイミング(ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミング)で初期化される。このため、起動処理の負担の増大化を抑制することができ、ひいては、遊技機の起動が遅くなってしまうことを抑制することができる。
【0132】
<上述した実施例から抽出できる遊技機C1~C3>
また、上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機C1~C3として捉えることができる。
【0133】
<遊技機C1>
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域を有し、前記ホール依存情報記憶領域に、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶する記憶手段と、
前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報を読み出して、該ホール依存情報に基づく出力処理を実行可能な出力手段と、
前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報が前記出力手段によって読み出されるタイミングで該ホール依存情報が異常情報であるか否かを判断し、該ホール依存情報が異常情報である場合は該ホール依存情報を初期化する初期化手段と、
を備え、
前記記憶手段は、前記ホール依存情報記憶領域を複数有し、該複数の前記ホール依存情報記憶領域毎に互いに異なる種類のホール依存情報を記憶しており、
所定の初期化条件が成立した際は、複数の前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報のそれぞれを異常情報に変更する
ことを特徴とする遊技機。
【0134】
このような遊技機では、ホール依存情報記憶領域の「ホール依存情報」を初期化するに際して次のような処理を行う。すなわち、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」を異常情報に変更するだけであり、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」の初期化は行わない。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで、該「ホール依存情報」が異常情報と判断されて、該「ホール依存情報」の初期化が行われる。こうすると、複数のホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれが読み出されるタイミングで初期化されることとなるので、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができ、この結果、処理量が一時的に過大になってしまうことを抑制することが可能となる。
【0135】
<遊技機C2>
遊技機C1において、
前記記憶手段は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報に対応付けて、該ホール依存情報に基づいて算出される第1チェックサムデータを記憶しており、
前記初期化手段は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報が前記出力手段によって読み出されるタイミングで、該ホール依存情報に基づいて算出される第2チェックサムデータを算出し、該第2チェックサムデータと、該ホール依存情報に対応付けられた第1チェックサムデータとが一致しない場合に、該ホール依存情報を初期化するものであり、
前記所定の初期化条件が成立した際は、複数の前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報のそれぞれに対応付けられた第1チェックサムデータの少なくとも一部のビットを反転させる
ことを特徴とする遊技機。
【0136】
このような遊技機では、ホール依存情報記憶領域の「ホール依存情報」を初期化するに際して次のような処理を行う。すなわち、所定の初期化条件が成立したタイミングでは、「ホール依存情報」に対応付けて記憶された第1チェックサムデータの少なくとも一部のビットを反転させるだけであり、該「ホール依存情報」の初期化は行わない。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで、該「ホール依存情報」に基づいて第2チェックサムデータを算出し、該第2チェックサムデータと第1チェックサムデータとを比較する。この際、第1チェックサムデータの少なくとも一部のビットは反転されているので、該第1チェックサムデータは第2チェックサムデータと一致せず、「ホール依存情報」の初期化が行われる。こうすると、複数のホール依存情報記憶領域のそれぞれに記憶された「ホール依存情報」は、それぞれが読み出されるタイミングで初期化されることとなるので、これらの「ホール依存情報」を初期化するタイミングを分散させることができ、この結果、処理量が一時的に過大になってしまうことを抑制することが可能となる。また、所定の初期化条件が成立したタイミングでは第1チェックサムデータの少なくとも一部のビットを反転させるだけであるので、該タイミングで行う処理量を軽減することができる。
【0137】
<遊技機C3>
遊技機C1または遊技機C2において、
前記所定の初期化条件は、当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入されることである
ことを特徴とする遊技機。
【0138】
一般的な遊技機は、遊技ホールが開店する際に電源が投入され、閉店する際に電源が遮断されるものであり、ほぼ1日毎に電源の投入と遮断が繰り返されている。従って、長期間に亘って遊技機に電源が投入されなかった場合は、遊技機の設置状況が変化したことが考えられる。例えば、所定の遊技ホール(移動前の遊技ホール)に設置された遊技機が中古市場等を介して、別の遊技ホール(移動後の遊技ホール)に移動されたことが考えられる。そして、このような場合に、ホール依存情報記憶領域に記憶されている「ホール依存情報」を利用して出力処理が行われると、不具合が生じる虞がある。すなわち、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は遊技ホールに依存した情報であるので、遊技機が移動後の遊技ホールに設置されたにも拘わらず、「ホール依存情報」が移動前の遊技ホールに依存した情報のままであると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまう。この点、遊技機C3のように、遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入された場合に、「ホール依存情報」を初期化することとすると、遊技機が別の遊技ホールに移動された場合に「ホール依存情報」を初期化することができ、上述の不具合を防止することが可能となる。
【0139】
また、遊技機に電源が投入される際は、遊技機を起動するための種々の起動処理が行われ、該起動処理が行われた後に遊技機は起動する。従って、起動処理の負担が大きくなると、遊技機の起動が遅くなってしまう。この点、遊技機C3では、遊技機に電源が投入されたタイミングでは、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」を異常情報に変更するだけであり(第1チェックサムデータの少なくとも一部のビットを反転させるだけであり)、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」の初期化は行わない。そして、その後に、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」が読み出されるタイミングで、該「ホール依存情報」が異常情報と判断されて、該「ホール依存情報」の初期化が行われる。このため、起動処理の負担の増大化を抑制することができ、ひいては、遊技機の起動が遅くなってしまうことを抑制することができる。
【0140】
<上述した実施例から抽出できる遊技機D1>
また、上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機D1として捉えることができる。
【0141】
<遊技機D1>
遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
ホール依存情報記憶領域を有し、前記ホール依存情報記憶領域に、当該遊技機が設置された遊技ホールに依存した情報であるホール依存情報を記憶する記憶手段と、
前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報に基づく出力を行う出力処理を実行可能な出力手段と、
を備え、
当該遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入された場合は、前記ホール依存情報記憶領域に記憶されているホール依存情報を初期化する
ことを特徴とする遊技機。
【0142】
一般的な遊技機は、遊技ホールが開店する際に電源が投入され、閉店する際に電源が遮断されるものであり、ほぼ1日毎に電源の投入と遮断が繰り返されている。従って、長期間に亘って遊技機に電源が投入されなかった場合は、遊技機の設置状況が変化したことが考えられる。例えば、所定の遊技ホール(移動前の遊技ホール)に設置された遊技機が中古市場等を介して、別の遊技ホール(移動後の遊技ホール)に移動されたことが考えられる。そして、このような場合に、ホール依存情報記憶領域に記憶されている「ホール依存情報」を利用して出力処理が行われると、不具合が生じる。すなわち、ホール依存情報記憶領域に記憶された「ホール依存情報」は遊技ホールに依存した情報であるので、遊技機が移動後の遊技ホールに設置されたにも拘わらず、「ホール依存情報」が移動前の遊技ホールに依存した情報のままであると、移動後の遊技ホールで移動前の遊技ホールに依存した情報を利用した出力が行われてしまう。この点、遊技機D1のように、遊技機に所定の期間に亘って電源が投入されなかった後に当該遊技機に電源が投入された場合に、「ホール依存情報」を初期化することとすると、遊技機が別の遊技ホールに移動された場合に「ホール依存情報」を初期化することができ、上述の不具合を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
1…パチンコ機(遊技機)、24…第1始動口、25…第2始動口、28…第1大入賞口(可変入球口)、35…第2大入賞口(可変入球口)、200…主制御基板(主制御部)、201…CPU、220…サブ制御基板、221…CPU(出力手段、初期化手段)、224…フラッシュメモリ(記憶手段)。