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特許7064744モノポール流の生成装置、検出装置、およびモノポール流を用いるメモリー素子
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  • 特許-モノポール流の生成装置、検出装置、およびモノポール流を用いるメモリー素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】モノポール流の生成装置、検出装置、およびモノポール流を用いるメモリー素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20220428BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220428BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20220428BHJP
   H01L 43/10 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/08 M
H01L43/08 Z
H01L43/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018000344
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019121681
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-11-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (公開1:研究集会における発表) 集会名: LT28(28th International Conference on Low Temperature Physics)LT28(第28回低温物理国際会議) 開催日: 2017年 8月 9日~ 8月16日 発表日時:2017年 8月11日 14:50~15:20 開催場所:スウェーデン・ヨーテボリ・エキジビションセンター/ゴーシアタワーズ 予稿発行:2017年 8月 9日 (公開2:研究集会における発表) 集会名: 公開1に同じ 開催日: 公開1に同じ 発表日時:2017年 8月14日 16:30~18:30 開催場所:公開1に同じ 予稿発行:公開1に同じ (公開3:研究集会における発表) 集会名: 金森順次郎記念国際シンポジウム-磁性研究の新たな地平線- 開催日: 2017年 9月27日~ 9月29日 発表日時:2017年 9月28日 10:00~10:30 開催場所:東京大学小柴ホール(東京都文京区本郷7丁目3-1) 予稿発行:2017年 9月25日 (公開4:研究集会における発表) 集会名: 公開3に同じ 開催日: 公開3に同じ 発表日時:2017年 9月28日 15:00~17:30 開催場所:公開3に同じ 予稿発行:公開3に同じ (公開5:研究集会における発表) 集会名: 第三回 理研-産総研 量子技術イノベーションコア Workshop 開催日: 2017年11月13日 発表日時:2017年11月13日 13:30~15:00 開催場所:秋葉原UDX(東京都千代田区外神田4-14-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100130960
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 正之
(72)【発明者】
【氏名】小野田 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】中河西 翔
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-295065(JP,A)
【文献】特開2000-022237(JP,A)
【文献】K. Kimura et al.,"Quantum fluctuations in spin-ice-like Pr2Zr2O7",Nature Communications,2013年,p. 1 - 6
【文献】G. Chen,"Magnetic monopole" condensation of the pyrochlore ice U(1) quantum spin liquid: Application to Pr2Ir2O7 and Yb2Ti2O7",Physical Review B,2016年,Vol. 94, No. 20,205107-1 - 205107-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
H01L 43/08
H01L 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1強磁性量子スピンアイス層と、
前記第1強磁性量子スピンアイス層に接しており、量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、
前記バッファー層の面内方位のいずれかの方向に沿って離されて前記バッファー層に接して配置される電極対と
を備え、前記電極対に印加する電圧により、前記第1強磁性量子スピンアイス層とは逆の側で前記バッファー層に接している第2強磁性量子スピンアイス層と前記第1強磁性量子スピンアイス層とに流れ、前記方向の回りに回転成分を与えるモノポール流を生成しうるモノポール流生成装置。
【請求項2】
前記第1強磁性量子スピンアイス層が絶縁体であり、
前記第2強磁性量子スピンアイス層が絶縁体である、
請求項1に記載のモノポール流生成装置。
【請求項3】
前記第1強磁性量子スピンアイス層の材質がYbTiであり、
前記バッファー層の材質がPrZr7、PrSn、またはPrHfである、
請求項1に記載のモノポール流生成装置。
【請求項4】
第1強磁性量子スピンアイス層と、
前記第1強磁性量子スピンアイス層に接しており、量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、
前記バッファー層の面内方位のいずれかの方向に沿って離されて前記バッファー層に接して配置される電極対と
を備え、前記第1強磁性量子スピンアイス層とは逆の側で前記バッファー層に接している第2強磁性量子スピンアイス層と前記第1強磁性量子スピンアイス層とに流れ、前記方向の回りに回転成分もつ向きのモノポール流を検出するためのモノポール流の検出装置。
【請求項5】
前記第1強磁性量子スピンアイス層が絶縁体であり、
前記第2強磁性量子スピンアイス層が絶縁体である、
請求項4に記載のモノポール流の検出装置。
【請求項6】
前記第1強磁性量子スピンアイス層の材質がYbTiであり、
前記バッファー層の材質がPrZr7、PrSn、またはPrHfである、
請求項に記載のモノポール流の検出装置。
【請求項7】
第1強磁性量子スピンアイス層と、
量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、
第2強磁性量子スピンアイス層と
をこの順に備え、
前記バッファー層において面内方位に成分を持つ電気分極を生成できるよう前記バッファー層に接して配置された電極対
をさらに備え
前記第1強磁性量子スピンアイス層および前記第2強磁性量子スピンアイス層のうちの少なくともいずれかにおける磁化の方向および値の少なくともいずれかを少なくとも一時的に保持するメモリー素子。
【請求項8】
前記第1強磁性量子スピンアイス層が絶縁体であり、
前記第2強磁性量子スピンアイス層が絶縁体である、
請求項7に記載のメモリー素子。
【請求項9】
前記第1強磁性量子スピンアイス層の磁化と前記第2強磁性量子スピンアイス層の磁化とがともに反転可能であり、これら磁化が互いに反平行に向いており、
前記電極対は、前記第1強磁性量子スピンアイス層の磁化と前記第2強磁性量子スピンアイス層の磁化との両方を反転させる電気分極を前記バッファー層に誘起する電圧を前記バッファー層に印加しうるものである
請求項に記載のメモリー素子。
【請求項10】
前記第1強磁性量子スピンアイス層および前記第2強磁性量子スピンアイス層の少なくともいずれかにおける磁化の方向および値の少なくともいずれかが読み取り可能になっている
請求項に記載のメモリー素子。
【請求項11】
前記第1強磁性量子スピンアイス層および前記第2強磁性量子スピンアイス層の少なくともいずれかの材質がYbTiであり、
前記バッファー層の材質がPrZr7、PrSn、またはPrHfである
請求項に記載のメモリー素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノポール流の生成装置、検出装置、および、モノポール流を用いるメモリー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揮発性メモリーとしてSRAM(Static Random-Access Memory)やDRAM(Dynamic Random-Access Memory)が集積回路として実用化されている。これら記憶の保持にエネルギーを要する揮発性メモリーに対し、近年ではフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーも注目されている。フラッシュメモリーは高速動作が可能であるが、寿命が長くても数年程度であり、永続的に使用可能な高性能不揮発メモリーの開発が求められている。その例が、強誘電体の残留電気分極の向きを状態として利用するFeRAM(強誘電体メモリー, Ferroelectric Random-Access Memory)や、強磁性体の残留磁化の向きを状態として利用するMRAM(Magnetoresistive Random-Access Memory)である。特に、MRAMは不揮発性に加え安定した高速動作が期待され、スピントロニクス分野において研究開発が進められている。MRAMの書き換え原理のためにとりわけ有望視されているのが、磁性体中の磁気モーメントを担う電子スピンの流れ(スピン流)を利用するスピン注入磁化反転と呼ばれる現象を採用するものである。これにより書き換えのための強磁場を生成しなくともよくなり、低消費電力化と高密度な集積化も視野に入る。
【0003】
他方、電荷を担う電子などの荷電粒子に対比される磁気的な対応物といえる粒子、つまり磁場の発散(湧き出しまたは吸い込み)である「磁荷」を担うような粒子が探索されている。このような粒子は未発見であるものの、物質中の磁化の場であれば、ある位置に非ゼロの発散の値をもつようなものを形成することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Lieh-Jeng Chang, Shigeki Onoda, Yixi Su, Ying-Jer Kao, Ku-Ding Tsuei, Yukio Yasui, Kazuhisa Kakurai, and Martin Richard Lees, "Higgs transition from a magnetic Coulomb liquid to a ferromagnet in Yb2Ti2O7", Nature Communications 3:992 (2012).
【文献】K. Kimura, S. Nakatsuji, J-J. Wen, C. Broholm, M. B. Stone, E. Nishibori, and H. Sawa, "Quantum fluctuations in spin-ice-like Pr2Zr2O7", Nature Communications 4:1934 (2013).
【文献】Shigeki Onoda and Fumiyuki Ishii, "First-principles design of the spinel iridate Ir2O4 for high-temperature quantum spin ice", https://arxiv.org/abs/1612.00553v1 (submitted December 2, 2016)
【文献】Yasuyuki Kato and Shigeki Onoda, "Numerical evidence of quantum melting of spin ice: quantum-to-classical crossover", Physical Review Letters 115, 077202 (2015).
【文献】P. G. Bjornsson, B. W. Gardner, J. R. Kirtley, and K. A. Moler, "Scanning superconducting quantum interference device microscope in a dilution refrigerator", Review of Scientific Instruments 72, 4153 (2001).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FeRAMは揮発性メモリーに比肩される高速動作が可能とはなるもののリーク電流が伴い安定な動作に課題を残す。MRAMは残留磁化の反転動作のために強磁性金属中に閾値以上の電流を流す原理から、スピン注入磁化反転を採用するものであっても消費電力を抑えるために当該閾値の低減が課題となる。また、スピン自体が保存量ではない事情から、MRAMではスピン流の概念に基づいた動作を精密に予測することは必ずしも容易ではない。
【0006】
本発明は上記問題の少なくともいくつかを解決することを課題とする。本発明はモノポール流の生成装置と検出装置を提供することにより、モノポール流を採用する機器の発達に貢献するものである。併せて、本発明は新規な動作機構に基づく不揮発性メモリー素子を提供することにより、大量の電子情報を扱う情報機器の高度化に貢献するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、磁性体中に電流を流すことも強磁場を発生することもなく、二つの強磁性絶縁体量子スピンアイス層界面の磁化を反転する新しい機構が実現可能であることを見出した。すなわち、強磁性量子スピンアイス層をスピン液体状態となりうるバッファー層に接するよう配置した構造を採用する。その強磁性量子スピンアイス層とは逆の側においてバッファー層に接するように、別の強磁性量子スピンアイス層を配置しバッファー層に取り付けた電極対を用いれば、当該別の強磁性量子スピンアイス層においてモノポール流を生成したり、当該別の強磁性量子スピンアイス層におけるモノポール流を検出したりすることが可能になる。
【0008】
すなわち、本発明のある態様においては、強磁性量子スピンアイス層と、前記強磁性量子スピンアイス層に接しており、量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、前記バッファー層の面内方位のいずれかの方向に沿って離されて前記バッファー層に接して配置される電極対とを備え、前記電極対に印加する電圧により、当該強磁性量子スピンアイス層とは逆の側で前記バッファー層に接している別の強磁性量子スピンアイス層と当該強磁性量子スピンアイス層とに流れ、前記方向の回りに回転成分を与えるモノポール流を生成しうるモノポール流生成装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明のある態様においては、強磁性量子スピンアイス層と、前記強磁性量子スピンアイス層に接しており、量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、前記バッファー層の面内方位のいずれかの方向に沿って離されて前記バッファー層に接して配置される電極対とを備え、当該強磁性量子スピンアイス層とは逆の側で前記バッファー層に接している別の強磁性量子スピンアイス層と当該強磁性量子スピンアイス層とに流れ、前記方向の回りに回転成分もつ向きのモノポール流を検出するためのモノポール流の検出装置も提供される。
【0010】
本発明者は、強磁性相とスピン液体相の界面で強磁性磁化を反転し、また、当該強磁性磁化の変化を検出することができれば、MRAMに見られる上記課題を克服できる点で有用であることにも気づき、新規なメモリー素子を作製することを着想した。すなわち、本発明のある態様においては、第1強磁性量子スピンアイス層と、量子スピン液体状態を示しうる材質からなるバッファー層と、第2強磁性量子スピンアイス層とをこの順に備え、前記バッファー層において面内方位に成分を持つ電気分極を生成できるよう前記バッファー層に接して配置された電極対をさらに備えるメモリー素子も提供される。
【0011】
物質中において磁化の場が非ゼロの発散をもつ位置では、あたかもそこに磁荷を担う粒子である磁気単極子(本出願書面にて単にモノポールと記す)が存在しているとみなすことができる。磁化Mの場に生じるその発散の値は、その周囲の磁化がフラストレーションをもつことから容易に弱まったり消滅したりすることはなく、保存量とみることができる。こうして、モノポールは磁化のN極またはS極という符号と量子化された磁荷量とをもつ粒子として顕在化する。モノポールが生成される物質は適当なスピンアイスルール(spin ice rule)が満たされて量子スピンアイス系となる物質群であり、具体例では磁気的希土類イオンを含んだ絶縁体パイロクロア(Pyrochlore)酸化物(非特許文献1、2)、絶縁体スピネル型イリジウム酸化物Ir(非特許文献3)などを含む。磁化のモノポール構造を局所的に作り出すことは通常の磁性体ではたとえ励起状態としても困難であるが、量子スピンアイス系の物質群ではこれが可能になるのである。
【0012】
モノポールは、仮想量子電磁気学に従って運動することができる。これにより、粒子としての性質を持ちつつ磁荷を担う流れであるモノポール流を作ることができる。物質中の磁化の場は、その物質を構成する原子や原子結合に属しその物質の局所的な磁化を担う電子のスピンに起源をもつ。このため、電子スピンの磁化がN極とS極の極性をもつモノポールに二分されると、近接するスピンを交換する相互作用によりモノポールも対応して物質中を移動することができる。この流れは、電流が電荷の流れであるのと同様にN極またはS極の符号と値をもつ磁荷の流れといえる。本発明者は、モノポール流を駆動することができる新規な手法を見出し、さらにモノポール流が強磁性中の磁化の反転を伴うことを見出し本発明の上記態様を創出した。モノポールは量子力学の波動関数によって記述され、さらにそのモノポールがボーズ=アインシュタイン凝縮しうる量子スピンアイス物質で強磁性を示す物質(強磁性量子スピンアイス物質)も報告されている(非特許文献1)。量子スピンアイス物質では、電子のクーパー対のボーズ=アインシュタイン凝縮により説明されるBCS理論に支配された超伝導に見出される種々の現象において、電荷を磁荷に置換した対応物となるような現象も実現しうることが理論的に予想される。
【0013】
量子スピン液体とは、スピンや磁化が秩序を持たない古典物理でのスピン液体において量子論的性質が表れているものである。このような量子スピン液体は、スピンアイス状態となる物質を絶対零度近くにまで冷却した場合に、凍結しかけたスピンが、むしろ量子力学的ゼロ点振動の結果融解して液体状態となることによっても実現しうる(非特許文献4)。なお、このような量子スピン液体では、絶対零度近くの低温において、明確なギャップを伴う励起子としてモノポールを生じうる。この事情から、典型的にはモノポール流が生じるのは、強磁性量子スピンアイス層だけであり、量子スピン液体のバッファー層にはモノポールは生成されない。
【0014】
メモリー素子として実施される本態様において、モノポール流は、生成される媒体が強磁性体である場合すなわちモノポール流が強磁性量子スピンアイス状態である場合、強磁性相にある磁化を増減しまたは反転する作用を果たす。メモリー素子の記憶は、強磁性量子スピンアイス状態中の磁化の状態(例えば向き)により保持される。この磁化の状態は例えば磁気光学カー(Magnetoptical Kerr)効果によって読み取ることが可能であり、この場合には磁気光学メモリー素子としての読み出し機能を実現することができる。また、従来の磁気ヘッドや走査超伝導量子干渉装置(Scanning Superconducting Quantum Interference Device、走査SQUID、非特許文献5)を端部に対向させて設置すれば、現実に移動した磁荷量、したがって、モノポールの数を測定することも可能となり、ひいては高集積化した磁気メモリー素子の構築が可能である。
【0015】
本発明の上記各態様において強磁性量子スピンアイス層とは、スピンアイスルールを保持しつつ、強磁性を示す物質による薄膜を意味する。以下の説明において「量子」と明示して強磁性量子スピンアイス層と説明することもある。これは、モノポール流が特に量子力学的に振る舞うことを反映したものである。これらの用語を含め、本出願においては、不明確にならない限り本発明の属する技術分野の慣用に従う用語法を採用することがある。
【発明の効果】
【0016】
本発明のある態様では新規な原理に基づくモノポール流の生成装置、およびモノポール流の検出装置が提供される。本発明の別の態様では磁化制御のためのモノポール流の生成装置を備えた磁気メモリー素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施形態においてモノポール流の生成装置および検出装置の原理的構造を例示する斜視図である。
図2図2は本発明の実施形態においてモノポール流生成装置を備えた磁気メモリー素子として機能しうる原理的構造を例示する斜視図であり、図2Aは基板の一方の表面に積層する構成のもの、図2Bは、基板の一方の表面に並べる構成のものを示している。
図3図3は本発明の実施形態において理論計算のために採用した配置を示す説明図であり、接合をもつ被験層を対象にするモノポール流生成検出装置を示している。
図4図4は本発明の実施形態においてモノポール超流動流密度の計算例を示す説明図であり、図4Aは被験層の結晶構造を示し、図4Bは、図4Aの各位置に対応させてモノポール超流動流密度の分率と位相を計算したもの、図4Cは、位相ミスマッチに対するモノポール超流動流密度である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照し、本発明に係るモノポール流の生成装置および検出装置、ならびにメモリー素子の実施形態を説明する。全図を通じ当該説明に際し特に言及がない限り、共通する部分または要素には共通する参照符号が付される。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
【0019】
1.モノポール流の生成装置および検出装置
図1は、本実施形態においてモノポール流の生成装置および検出装置の原理的構造を例示する斜視図である。本実施形態のモノポール流生成装置および検出装置100(以下「モノポール流生成検出装置100」と記す)は強磁性量子スピンアイス層(FM層)110およびバッファー層120を含んでいる。バッファー層120は量子スピン液体となりうる材質により構成され、さらに電極対142、144が形成されている。典型的な配置は、図1に示すように、FM層110、バッファー層120がそれぞれの厚み方向(z方向)に積層され、電極対142、144がy方向に離してバッファー層120に形成されたものである。
【0020】
モノポール流生成検出装置100をモノポール流の検出装置として動作させる場合には、電極対142、144には検出回路160が電気的に接続されている。検出回路160は、静電容量が極めて大きなキャパシタ162、抵抗164、および電圧計166を含んでいる。移動電荷量はキャパシタ162に蓄積された電荷量として電位差と静電容量の積から求められる。
【0021】
モノポール流生成検出装置100をモノポールの生成装置として動作させる場合には、電極対142、144には駆動回路となる電圧印加手段150が接続されている。電圧印加手段150はバッファー層120に電位差を生じさせる駆動回路系となっている。
【0022】
モノポール流生成検出装置100は、図2に関し後述するメモリー素子200Aおよび200Bの第2FM層230に当たる層をその一部としては含まない。その位置にモノポール流生成検出装置100のモノポール流の生成対象物質または測定対象物質となる被験層30が配置される。この点を明瞭にするため、図1では、モノポール流生成検出装置100に対し被験層30を取り付ける位置を鎖線矢印により明示している。この被験層30は、FM層110とは区別される別の強磁性量子スピンアイス層である。図1に示すように被験層30とFM層110とはバッファー層120に接してバッファー層120を挟むように試料作製される。
【0023】
モノポール流生成検出装置100を用いたモノポール流の生成原理は次のとおりである。電圧印加手段150により電圧を印加することによりバッファー層120内には面内方位(図にてy方位)に成分をもつ電気分極Pが発生する。電圧印加手段150は一般には電圧の値およびその向きを変更できるようになっており、例えば、可変電圧源152とそこからの電圧の出力を反転させるスイッチ154A、154Bを備えている。これにより、バッファー層120に形成する電気分極Pの大きさおよび方向を調整することができる。FM層110および被験層30の内部には、電極対142、144を通じてバッファー層120に生成した電気分極Pのために、仮想量子電磁気学に従って、当該電気分極Pに沿う回転成分(curlまたはrotation)をもつような互いに反平行のモノポール流が生成される。つまり、電気分極Pをバッファー層120に生成すると典型的なモノポール流J図1に示すように流れる。モノポール流Jの位置は、FM層110および被験層30の内部でバッファー層120側の界面付近であり、その向きは、バッファー層120の内部電界(y方向)に垂直で互いに逆向き、つまりx方向および-x方向となる。被験層30はバッファー層120に接しているものの、z方向に沿う向きでみるとFM層110と被験層30は互いにバッファー層120の厚み分だけ離れている。このため、モノポール流Jのもつ回転成分はバッファー層120においてy方向となる。こうして被験層30内にモノポール流を生成することができる。
【0024】
他方、モノポール流生成検出装置100を用いた検出原理は次のとおりである。バッファー層120には、FM層110および被験層30の内部に生じた互いに反平行に流れるモノポール流に応じた電気分極Pが誘導される。この誘導された電気分極によって生じる電流は、キャパシタ162に蓄積される。キャパシタ162の電位差を電圧計166で検出することにより、キャパシタ162の静電容量と電位差の変動から、バッファー層120に生じた電気分極が決定される。この電気分極の測定値と、漏れ磁界の測定に関連して後述するモノポール流の測定値との関係を、モノポール流生成検出装置100について予め作成しておくことで、電気分極の測定値から被験層30内に生じたモノポール流の向きおよびその強さを決定することができる。
【0025】
モノポール流生成検出装置100の各層の材料は、FM層210は典型的にはYbTiの結晶であり、そのz方向の厚みは概ね1nm程度であり、典型的には単位胞程度の厚み1nmまたはそれを越す程度に作製される。バッファー層220は典型的にはPrである(MはZn,Sn,Hfなど)。後述するメモリー素子200A、200Bについて示す他の物質もモノポール流生成検出装置100の対応する層のために同様に採用することができる。
【0026】
2.メモリー素子
図2は本実施形態におけるモノポール流の電気的生成装置を含むメモリー素子として機能しうる原理的構造を例示する斜視図であり、図2Aは基板の一方の表面に積層する構成のもの、図2Bは、基板の一方の表面に並べる構成のものを示している。これらにおいて、電気分極の表示は省略している。
【0027】
2-1.構造
メモリー素子200Aおよび200Bの構造は、第1強磁性量子スピンアイス層(第1FM層)210、量子スピン液体となりうる材質のバッファー層220、第2強磁性量子スピンアイス層(第2FM層)230を含む。図2Aに示すメモリー素子200Aでは、第1FM層210にはバッファー層220および第2FM層230が、基板202Aの一方の面にこの順に順次成長させて積層構造とされる。他方、図2Bに示すメモリー素子200Bでは、第1FM層210、バッファー層220、および第2FM層230は、基板202Bのyz平面に平行な面に並べるようにして成長させることにより、第1FM層210、バッファー層220、および第2FM層230が積層構造とされる。バッファー層220は量子スピン液体を示しうる量子スピンアイス物質の層である。第1および第2FM層210および230は強磁性量子スピンアイス物質の薄膜である。すなわち、メモリー素子200Aおよび200Bでは、いずれにおいても、強磁性量子スピンアイス物質の第1および第2FM層210および230が、量子スピンアイス物質のバッファー層220を挟んでいる。バッファー層220には電極対242、244が取り付けられている。これらの配置は、モノポール流生成検出装置100(図1)における電極対142、144と同様である。電極対242、244には、図1に示した電圧印加手段150が適切な配線を通じて接続される。また、図1に示したモノポール流生成検出装置100との対比から明らかであるように、メモリー素子200Aおよび200Bは被験層30に代えて第2FM層230を配置した構成をもつ。
【0028】
2-2.書き換え動作および保持動作の原理
モノポール流を利用すれば、第1および第2FM層210および230におけるモノポール磁荷の分布、したがって、これらの層内の磁化Mを、第1および第2FM層210および230の間で互いに反平行の関係を保たせたまま反転(フリップ)することができる。ここで、第1および第2FM層210および230におけるモノポール流Jの向き(正負)とこれがもたらす強磁性磁化Mの向き(正負)は、印加する電気分極の向き(正負)によって定まる。磁化を反転することができる電圧の向きは磁化の向きに応じて定まる。その反転動作に伴う磁化の変化量には、モノポール流の時間積分値が直接反映される。したがって、第1および第2FM層210および230の磁化の反転動作は、メモリー素子200Aおよび200Bにとってメモリー内容のビット反転、つまり、書き換え動作に対応する。
【0029】
モノポール流Jにより変化した後の第1および第2FM層210および230における磁化Mは、強磁性の性質を反映し保持される。この磁化Mは特段の書き換え動作をしない限りは保持されるため、第1FM層210および第2FM層230における磁化がメモリー素子200Aおよび200Bの記憶機構を担う。
【0030】
2-3.書き換え動作および保持動作の性能
上述したモノポール流による反転は高速に動作可能なものである。理論的予測に基づけば、この磁化反転のための時間スケールは量子スピンアイス物質における相互作用定数により決定される。具体的に周波数で示せば、例えばYbTiなどの第1および第2FM層210および230の候補となる典型的な既存の物質において、10GHz程度の高速動作が可能となる。このため書き換え動作の速度について原理面からの制約は問題とはならない。
【0031】
また、磁化を反転する際に必要となる電力消費量は極めて小さい。当該電力消費量は、量子スピン液体となっているバッファー層220に電気分極を作る程度となる。バッファー層220は絶縁性が高い誘電体であるため、電極対242、244によるキャパシタの充電動作となって、必要な消費電力は過渡電流の電力分となる。
【0032】
2-4.メモリー状態の読み取り動作
メモリー素子200Aおよび200Bのメモリー状態の読み取りは、例えば第2FM層230における磁化の向きや、第1および第2FM層210および230が作る漏れ磁界の向きを読み取れる任意の手法により行うことができる。
【0033】
メモリー素子200Aにおいて好ましい一例が従来の磁気光学効果である磁気光学カー効果である。磁気光学カー効果では、第2FM層230の端部となる面204に偏光を照射することにより反射光の偏光面が正負どちらに回転するかを測定することができる。図2Aに読み取りのための光線配置を鎖線で示している。磁気光学効果を採用する場合には、強磁性薄膜のサイズはある下限よりも大きくすることが好ましい。図2Aに示したメモリー素子200Aでは、例えば第2FM層230の磁化の向きと大きさが上面から光磁気カー効果によって読み取られるため、第2FM層230のxy面方向の長さを読み取るレーザー光の波長(例えば250nm)よりも長くとる必要がある。
【0034】
メモリー素子200Bにおいて、磁気光学カー効果とは別のメモリー状態の読み取り手法の好ましい例が、面206に近接して漏れ磁界を測定するものである。例えば、必要に応じて機械的に走査される磁気ヘッドや走査SQUID素子(非特許文献5)などの磁気検出素子250を用いればその向きや強さによって、第2FM層230における磁化の向きや強さを読取ることができる。ここに説明したように、メモリー内容の読み込み(ビットの読み込み)動作には任意の手法を採用することができる。
【0035】
2-5.例示の材質および構造
基板202A、202Bは、典型的にはパイロクロア構造をもつYTiあるいはEuTiの結晶である。第1および第2FM層210および230は、典型的にはパイロクロア構造をもつYbTiの結晶である。また、第1および第2FM層210および230の図のz方向の厚みは、典型的には、概ね1nm程度であり、典型的には単位胞程度の厚み1nmまたはそれを越す程度にされる。バッファー層220は、典型的にはパイロクロア構造をもつPrZr、PrSn、あるいはPrHf結晶である。他には、TbTiも組成を微調整することによってバッファー層220に用いることができる可能性がある。バッファー層220のz方向の厚みは、典型的には数nm程度以上の範囲から適宜に選択される。当業者には明らかであるように、これらの薄膜は任意の結晶性薄膜の形成手法により形成することができる。例えばPLD(Pulsed Laser Deposition)法は有力な手法の一つである。
【0036】
第2FM層230の磁化が光磁気カー効果によって読み取られる場合には、読み取り波長は目的にあわせ選択される。メモリー素子200Aをアレイ状に配列して集積する場合には、そのサイズ下限が読み取り波長により決まる場合がある。典型的には、その波長のための現実的な仮定としてAl(In,Ga)N固体紫外レーザー(波長250nm)を採用すると、メモリー素子200A一つの面積は、0.06μm程度とすることが視野に入る。
【0037】
一方、従来の磁気ヘッドで磁化が周囲に生成する磁場の変化を読み取る場合には、メモリー素子の側面である面206に磁気ヘッドを近づけることが有効である。その場合に面206の長さスケールとして検出のために必要となる下限は10~20nm程度であるため、メモリー素子200Bは基板202Bの延びる向きに沿って例えば図2のyz平面に並べることでの高集積化に対応できるものといえる。
【0038】
本出願の時点において、パイロクロア物質でバッファー層220のための量子スピン液体状態を確実に得るためには、典型的には0.2K以下に冷却する必要がある。しかし、他の候補物質として、イリジウムスピネルLiIrからLiがデインターカレートした薄膜物質Irを採用することが有望である。薄膜物質Irでは温度スケールを室温まで高めうるからである(非特許文献3)。このため、本実施形態の動作は、より高温への適用が期待することができる。なお、Irは、Irを他の元素(例えばRh)で置換して格子定数を調整することまで含めた場合、強磁性量子スピンアイス層のためにも、また量子スピン液体となってバッファー層のためにも採用することができる。
【0039】
3.原理の確認
次に、本発明者は、上述した原理を確認するため、モノポール流の生成の様子を理論計算により確めた。モノポール流の生成は理論に基づく数値シミュレーションにより示される。その手順は、まず量子スピンアイス物質のために、パイロクロア構造の結晶格子においてスピン量子数が1/2の擬スピンが強磁性相互作用をするハミルトニアンを記述する。次にその際生じるエマージェントU(1)ゲージ場を対象に平均場理論の解析を行う。モノポール波動関数は、適切な境界条件を課して自己無撞着法により決定される。
【0040】
図3には、ここでの理論計算のために採用した、強磁性量子スピンアイス部(左)32、ギャップ部34、および強磁性量子スピンアイス部(右)36が形成している接合(ジャンクション)をもつ被験層30の構造を示しており、モノポール流、磁化、電気分極の記載は省略している。この接合は、超伝導体においてジョセフソン接合になぞらえることができるものである。左右の強磁性量子スピンアイス部32および36それぞれにおいて波動関数の位相である量子力学的位相を有するモノポール流の互いの位相ミスマッチに応じた量のモノポール超流動流(monopole supercurrent)が接合を通るように生成される。このモノポール超流動流はモノポールがボーズ=アインシュタイン凝縮して生じた超流動性を示すモノポール流である。本実施形態のモノポール流生成検出装置100はこのモノポール超流動流を電気的に検出することができる。なお、ここでの理論計算におけるモノポール超流動流は、モノポール流Jを生成しうる電気分極P(図1)の替わりに、同様のモノポール流を生成しうる別の例示のためのみの目的で説明される。留意すべきは、図3で示した接合を持つ被験層30がモノポール流を生成する手法の一例に過ぎず、図1に示したモノポール流生成検出装置100でモノポール流を検出可能な被験層30はここに例示したものに限定されないことである。モノポール流生成検出装置100は、超流動性を示さないモノポール流も検出することができ、また接合ではない被験層30におけるモノポール流も検出できる。
【0041】
強磁性量子スピンアイス部(左、右)32および36の材質は、モノポール流を生成できるような任意の物質であり、典型的にはYbTiの結晶である。ギャップ部34のサイズや材質は、強磁性量子スピンアイス部32および36においてモノポール流がトンネル伝導しうる程度の距離だけ強磁性量子スピンアイス部(左、右)32および36を離すサイズであり、その間に、ギャップ部34のために量子スピン液体となる材質を配置して接合構造を完成させる。また、ギャップ部34は、単なる空隙としても本実施形態の動作検証は可能である。
【0042】
図4は、モノポール超流動流のモノポール流密度jを計算した本発明者による計算例を示す説明図である。このうち図4A図2において紙面の左右となるx方向におけるギャップ部34付近の被験層30の結晶構造を示している。図には主な電子のスピンも示している。なおこの計算例では、モノポール超流動のコヒーレンス長と同程度になるようにギャップ部34のx方向を1単位胞aとしており、その実際のサイズは結晶格子定数に応じて決定される。上述のパイロクロア物質では1nm程度である。強磁性量子スピンアイス部32および36の領域は、ギャップ部34の両側に影により示している。また、グラフのx方向も単位胞aによりスケールして示している。図4Bは、強磁性量子スピンアイス部(左)32と強磁性量子スピンアイス部(右)36の巨視的磁化(それぞれM、M)が互いに平行でx方向を向くとき、図4Aの各位置に対応させてモノポール超流動流密度の分率nを計算したものである。計算は、強磁性量子スピンアイス部32および36の間でモノポール流の波動関数における5つの位相ミスマッチ(右端記載)について行った。また、時計に模した円は、その紙面上下の位置がログプロットした分率nの計算値を示しており、円内の矢印によってモノポールの位相も示している。さらに、図4Cは、強磁性量子スピンアイス部(左)32と強磁性量子スピンアイス部(右)36との間の位相ミスマッチ(図4B右端に示した値)に対して、モノポール超流動流密度jをプロットしている。モノポール超流動流が0でない値をとることは、強磁性量子スピンアイス部(左、右)32および36の間の位相ミスマッチに起因してモノポール超流動流が生じることを意味している。そして図4Cの縦軸に対応する値は、モノポール流生成検出装置100を利用すれば、バッファー層220に電気分極Pを誘導し、電極対242、244に現われる電位差として検出される。あるいは、前述の通り、磁気ヘッドや走査SQUIDによっても検出可能である。このように、図1に示したモノポール流生成検出装置100を用いれば、位相ミスマッチに起因して流れるモノポール超流動流を検出することができる。
【0043】
4.変形例
上述した本実施形態のモノポール流生成検出装置100およびメモリー素子200Aおよび200Bは、種々の変形を伴って実施することもできる。例えばメモリー素子200Aおよび200Bに関連して説明したように、基板の配置は、モノポール流生成検出装置100においても任意である。また、回路技術の工夫により、モノポール流生成検出装置100において電圧印加手段150と検出回路160を同時に電極対142、144144に接続することもできる。メモリー素子200Aおよび200Bについても、例えば、集積化を容易化するために、バッファー層220に接続する電極対242、244の配置は、図示したもの以外とすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。上述の実施形態、変形例および実施例は、本出願において開示される発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき定められるべきものである。実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、モノポール流を利用する任意の機器または記憶装置を利用する任意の機器のために使用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 モノポール流の生成および検出装置(モノポール流生成検出装置)
110 強磁性量子スピンアイス層(FM層)
120、220 バッファー層
142、144、242、244 電極対
150 電圧印加手段
152 可変電圧源
154A、154B スイッチ
160 検出回路
162 キャパシタ
164 抵抗
166 電圧計
200A、200B メモリー素子
202A、202B 基板
204、206 面
210 第1強磁性量子スピンアイス層(第1FM層)
230 第2強磁性量子スピンアイス層(第2FM層)
250 磁気検出素子
30 被験層(別の強磁性量子スピンアイス層)
32、36 強磁性量子スピンアイス部(左、右)
34 ギャップ部
図1
図2
図3
図4