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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】段積方法および段積装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/30 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
B65G57/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018094732
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019199324
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000162238
【氏名又は名称】共和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立原 明文
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-277035(JP,A)
【文献】中国実用新案第202765853(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送物を段積みする段積方法であって、
搬送物を搬送方向上流位置から段積位置に搬入する搬入工程と、
前記搬入工程により搬入された前記段積位置にある、後続の搬送物を、S字状を呈する連結部を有し、連動的に動作する掛止部によって持ち上げられた、直前の搬送物の下方向に非接触で配置する非接触配置工程と、
前記非接触配置工程によって、前記搬送物を非接触状態に維持したまま所定の数まで上下方向に配置した後で、全ての前記搬送物を上下方向に接触させて段積みする接触配置工程と、
前記接触配置工程によって段積みされた搬送物群を搬送方向下流位置に搬出する搬出工程と、を含む
搬送物の段積方法。
【請求項2】
複数の搬送物を段積みする段積装置であって、
前記搬送物を上流位置、段積位置、下流位置と順に水平方向に沿って搬送するコンベアと、
S字状を呈する連結部を有し、段積位置において、前記搬送物の少なくとも対向する一対の外形部を下から引掛ける、あらかじめ設定された搬送物の最大段積数より1少ない数の掛止部と、
前記コンベアに載置される搬送物よりも下方位置と、前記コンベアの上方位置との間で、前記一対の掛止部を、前記搬送物を持ち上げた場合に非接触状態で配置するように連動的に移送する移送部と、を有する
搬送物の段積装置。
【請求項3】
前記段積位置において、
最上段の搬送物または最上段の前記掛止部が、所定の到達点まで上方移送したことを検出する到達検出部と、
前記接触配置工程が完了した後、最上段の前記掛止部が段積みされた搬送物のうちの、最下段の搬送物の下方まで移動したことを検出する下方移動検出部と、を有し、
前記到達検出部が、前記非接触配置工程において最上段に配置された搬送物を所定の到達点まで上方移送したことを検出すると、前記移送部の上方への移送を停止させる最大移送制御部と、
前記下方移動検出部が、前記接触配置工程の後、最上段の前記掛止部が段積みされた搬送物のうちの、最下段の搬送物の下方まで移動したことを検出すると、前記搬出工程を開始させる搬出制御部と、
を有する請求項2に記載の搬送物の段積装置。
【請求項4】
搬送物または前記掛止部が前記段積位置から上方へ所定距離移送したことを検出する移送検出部と、
前記移送検出部が、前記掛止部によって搬送物を上方へ所定距離移送したことを検出すると、前記上流位置からの後続の搬送物を搬入させる搬入制御部と、
を有する請求項2または請求項3に記載の搬送物の段積装置。
【請求項5】
前記一対の掛止部を上方に移送するための移送部の移送距離を制御する移送距離制御部を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の搬送物の段積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の搬送物(例えば卵トレイ)を段積みする段積方法および段積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3は、交互に向きを変えた卵トレイの段積みにおいて、卵トレイを上から順に積み上げていく構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-172581号公報
【文献】特開2002‐284349号公報
【文献】特開2016‐34865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~3は、いずれも段積過程(段積途中)において、上のトレイの荷重が下のトレイに常に掛かった状態であり、何らかの理由でトレイ内の卵に負荷がかかった場合に、最悪の場合に卵が破損(亀裂、ヒビ、陥没等)する懸念がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、段積過程(段積途中)において、上下配置されたトレイ同士に互いに荷重が掛からないようできる、段積方法および段積装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の段積方法は、複数の搬送物を段積みする段積方法であって、
搬送物を搬送方向上流位置から段積位置に搬入する搬入工程と、
前記搬入工程により搬入された前記段積位置にある、後続の搬送物を、その直前の搬送物の下方向に非接触で配置する非接触配置工程と、
前記非接触配置工程によって、前記搬送物を非接触状態に維持したまま所定の数まで上下方向に配置した後で、全ての前記搬送物を上下方向に接触させて段積みする接触配置工程と、
前記接触配置工程によって段積みされた搬送物群を搬送方向下流位置に搬出する搬出工程と、を含む。
上記非接触配置工程は、後続の搬送物が段積位置へ搬入される前または搬入と同時であって接触することなく、段積位置に先に搬入された搬送物を上方へ移送する移送工程を含んでいてもよい。
【0007】
例えば、最大段積数が7の場合において、
前記非接触配置工程は、
前記搬入工程(第1搬入工程)によって前記段積位置に配置された第1搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第1上移送工程と、
前記搬入工程(第2搬入工程)によって前記段積位置に配置された第2搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第2上移送工程と、
前記搬入工程(第3搬入工程)によって前記段積位置に配置された第3搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第3上移送工程と、
前記搬入工程(第4搬入工程)によって前記段積位置に配置された第4搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第4上移送工程と、
前記搬入工程(第5搬入工程)によって前記段積位置に配置された第5搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第5上移送工程と、
前記搬入工程(第6搬入工程)によって前記段積位置に配置された第6搬送物を、上方へ所定距離(D1)移送する第6上移送工程と、を含んでいてもよい。
【0008】
例えば、最大段積数が7の場合において、
前記接触配置工程は、
前記搬入工程(第7搬入工程)によって前記段積位置に第7搬送物が配置された後で、
第1搬送物~第7搬送物が非接触に上下方向に配置された状態から、非接触状態を維持しながら第1搬送物~第6搬送物を、第6搬送物と第7搬送物が接触するまで下方へ移送する第1下移送工程と、
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第5搬送物を、第5搬送物と第6搬送物が接触するまで下方へ移送する第2下移送工程と、
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第4搬送物を、第4搬送物と第5搬送物が接触するまで下方へ移送する第3下移送工程と、
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第3搬送物を、第3搬送物と第4搬送物が接触するまで下方へ移送する第4下移送工程と、
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第2搬送物を、第2搬送物と第3搬送物が接触するまで下方へ移送する第5下移送工程と、
非接触状態を維持しながら第1搬送物を、第2搬送物と接触するまで下方へ移送する第6下移送工程と、を含んでいてもよい。
【0009】
前記非接触配置工程において、上下方向の非接触の間隔は、特に制限されないが、大きすぎると、装置高さが増し好ましくなく、小さすぎすると上下方向で隣りあう搬送物同士の接触が生じるので好ましくない。
【0010】
前記接触配置工程において、上下方向に隣り合う搬送物が接触する順番は特に制限されない。例えば、前記接触配置工程において、より上方に位置する搬送物が下方に位置する搬送物側に移送して上下方向に隣り合う搬送物が接触する構成でもよく、より下方に位置する搬送物が上方に位置する搬送物側に移送して上下方向に隣り合う搬送物が接触してもよい。
下方に位置する搬送物を上方に位置する搬送物側に移送し接触させた後で、段積された状態の搬送物群を搬送手段の搬送面に載置してもよい。
【0011】
本発明の段積装置は、複数の搬送物を段積みする段積装置であって、
前記搬送物を上流位置、段積位置、下流位置と順に水平方向に沿って搬送するコンベアと、
前記段積位置において、前記搬送物の少なくとも対向する一対の外形部(例えば、縁部、端部、底部等)を下から引掛ける、あらかじめ設定された搬送物の最大段積数より1少ない数のあるいは少なくとも1少ない数の一対の掛止部と、
前記コンベアに載置される搬送物よりも下方位置と、前記コンベアの上方位置との間で、前記一対の掛止部を、前記搬送物を持ち上げた場合に非接触状態で配置するように連動的にあるいは独立的に移送する移送部と、を有する。
【0012】
一対の掛止部を連動的に移送する場合に、上下方向に隣り合う一対の掛止部の内、一方の移送をきっかけにして他方の移送が開始する構成でもよい。
連動的な移送とは、前記掛止部の移送動作が他の掛止部の移送動作に依存する移送である。例えば、所定距離(D1、不図示)だけ上昇したところで、前記掛止部に構成された連結部(例えば、鉤爪、フック等)または突出部が、その一つ下の掛止部の前記連結部または前記突出部と当接し、牽引するように上昇する移送である。
独立的な移送とは、前記掛止部の移送動作が他の掛止部の移送動作に依存しない移送である。例えば、各掛止部は連結することなく一定の間隔で単独にテンションベルトに連結し、回転ロールの回転数を制御して行う移送である。
【0013】
段積装置は、前記一対の掛止部を上方に移送するための移送部の移送距離を制御する移送距離制御部を有する。
移送距離制御部は、一対の掛止部を上方に移送するための回転ロールの回転数あるいはテンションベルトの移動量、駆動モータの回転数に基づいて一対の掛止部の移送距離を制御してもよい。この移送距離制御部は、さらに、搬送物または前記一対の掛止部が前記段積位置から上方へ所定距離移送したことを検出する1または1以上の移送検出部(例えばセンサー)による検出結果に基づいて一対の掛止部の移送距離を制御してもよい。
【0014】
前記段積位置において、搬送物または前記一対の掛止部が前記段積位置から上方へ所定距離移送したことを検出する1または1以上の移送検出部と、
前記移送検出部が、前記一対の掛止部によって搬送物を上方へ所定距離移送したことを検出した場合に、前記上流位置から後続の搬送物を搬入するように制御する搬入制御部と、を有していてもよい。
前記移送検出部は、最上位置の一対の掛止部の一方または両方を検出してもよく、全ての一対の掛止部の一方または両方を検出してもよい。
前記搬入制御部は、移送検出部による最上段の一対の掛止部の一方または両方の検出に基づいて、前記上流位置から後続の搬送物を搬入し、次いで、最上段よりも下方の一対の掛止部の検出によらず、掛止部を上方に移送するための回転ロールの回転数あるいはテンションベルトの移動量、駆動モータの回転数に基づいて移送距離を判断し、前記上流位置から後続の搬送物を搬入してもよい。
【0015】
最上段の搬送物または最上段の前記一対の掛止部が、所定の到達点まで上方移送したことを検出する到達検出部と、
前記到達検出部が、前記非接触配置工程において最上段に配置された搬送物を所定の到達点まで上方移送したことを検出した場合に、前記搬送物を上方へ移送することを停止するように制御する最大移送制御部と、を有していてもよい。最大移送制御部の機能を上記移送距離制御部が行ってもよい。
【0016】
前記接触配置工程が完了した後、最上段の前記一対の掛止部が段積みされた搬送物群まで(例えば高さ方向における中間位置等)または搬送物群より下方まで移動したことを検出する下方移動検出部と、
前記下方移動検出部が、最上段の前記一対の掛止部が段積みされた搬送物群まで(例えば高さ方向における中間位置等)または搬送物群より下方まで移動したことを検出した場合に、搬送物群を下流位置へ搬出する(前記搬出工程)ように制御する搬出制御部と、を有していてもよい。
【0017】
前記搬入制御部は、搬送物の搬入において、前記コンベアの作動と停止とを制御する構成であってもよい。また、前記搬入制御部は、コンベアを作動させて搬送物を搬送させた状態で、前記段積位置より上流位置にある、移動を停止するためのストッパを搬送物に接触させるように出現させ、搬送物の移動を中断させる構成であってもよい。前記搬入制御部は、ストッパと搬送物が接触し、搬送物の移動が停止した後でコンベアを停止してもよい。前記搬入制御部は、コンベアを動かし、ストッパを原位置へ戻すことで、搬送物を段積位置へ搬入してもよい。
段積位置に搬入された搬送物は、移動を停止するためのストッパによって位置決めされてもよい。この位置決めストッパは、段積位置の後端においてストッパを搬送物に接触させるように出現させ、搬送物の移動を中断させる構成であってもよい。
また、コンベアを停止することで、搬送物を段積位置に位置決めしてもよい。搬入制御部がコンベア動作と位置決めストッパの動作を制御してもよい。
【0018】
前記搬出制御部は、段積みされた搬送物群の搬出を制御する場合に、前記コンベアの作動と停止を制御する構成であってもよい。また、搬出制御部は、コンベアを動かし、ストッパを原位置へ戻すことで、搬送物群を段積位置から下流位置へ搬出してもよい。
【0019】
前記段積装置の前記接触配置工程は、全ての搬送物が接触している状態(段積された状態)が、前記一対の掛止部の少なくとも一つと接触した状態であってもよく、段積位置における搬送手段(例えば、コンベア)の上方あるいは該搬送手段に載置された状態であってもよい。
【0020】
前記移送部は、前記一対の掛止部を上方に移送し、前記一対の掛止部で前記搬送物の前記外形部を所定距離持ち上げてもよい。
【0021】
また、前記移送部は、
上下垂直方向に配置される一対の第一回転ロールおよび一対の第二回転ロールと、前記一対の第一回転ロールに架け渡される第一テンションベルトと、前記一対の第二回転ロールに架け渡される第二テンションベルトと、前記一対の第一回転ロールの内少なくとも一方の回転ロールを回転させる第一駆動部と、前記一対の第二回転ロールの内少なくとも一方の回転ロールを回転させる第二駆動部と、を有していてもよい。
前記第一テンションベルトは、前記一対の掛止部の一方と固定され、前記第二テンションベルトは、前記一対の掛止部の他方と固定されていてもよい。第一駆動部と第二駆動部が単一の駆動部であってもよい。駆動部は、例えばモータを有して構成されていてもよく、他にギア、シャフト、伝達部などを有して構成されていてもよい。
【0022】
前記一対の掛止部は、
一対の第一掛止部と、
前記一対の第一掛止部に対して相対的に移動可能であって、前記一対の第一掛止部が一定の距離を移動した後、前記一対の第一掛止部と連動して移動するように構成される一対の第二掛止部と、
前記一対の第n-1掛止部に対して相対的に移動可能であって、前記一対の第n-1掛止部が一定の距離を移動した後、前記一対の第n-1掛止部と連動して移動するように構成される一対の第n掛止部と、を有していてもよい。ここで、nは3以上、最大段積数より1少ない数であってもよい。
前記一対の掛止部は、所定の方向に向かって(搬送物側に突出する方向に)設けられている搬送物支持部を有していてもよい。
【0023】
前記搬送物支持部は、常に水平であってもよく、通常は搬送物の少なくとも対向する一対の外形部(例えば、縁部、端部、底部)を下から引掛けるように水平に突出しているが、段積みした後に搬送物の上方から下方に向けて動作する場合等に、搬送物に引っ掛ることを防止するように、下方より上方に向けての力が加わった際に上方向に傾斜して引っ掛りを回避するヒンジ構成や、段積みされた搬送物に引掛けないように前記搬送物支持部を搬送物とは異なる方向へ移動または収納可能な機構等を有していてもよい。
【0024】
前記移送、到達、下方移動検出部は、例えば、近接センサ、反射型センサであってもよい。
前記移送、到達、下方移動検出部は、搬送物自体を検出してもよく、搬送物の通過を検出してもよく、掛止部自体あるいは搬送物支持部自体を検出してもよく、掛止部あるいは搬送物支持部の通過を検出してもよい。
【0025】
前記コンベアは、
上流位置で搬送物の搬送を停止するための入側ストッパと、
段積位置で搬送物の搬送を停止するための段積ストッパと、を有していてもよい。
前記入側ストッパおよび/または前記段積ストッパは、ベルト面より下方とベルト面より上方へ相対的に移動させる直動アクチュエータを有していてもよい。
【0026】
搬送物は、例えば、カバー付きのトレイであり、内容物が収納されている。
搬送物は、上下方向に積層できる形状(天面と底面同士の少なくとも一部または全部が接する形状)である。
搬送物は、平面視で円形、楕円、矩形でもよく、平面視で縦横サイズが同じ正方形でもよく、縦横サイズが異なる長方形でもよい。正方形の方が上下方向における積層に適している。
【発明の効果】
【0027】
段積過程(段積途中)において、上下配置されたトレイ同士に互いに荷重が掛からず、搬送物の破損、特に搬送物が卵トレイである場合の卵の亀裂、ヒビ、陥没等の懸念をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】卵トレイ段積装置と搬送用コンベアの搬送方向に沿った断面図である。
図2A】卵トレイ段積装置の非接触配置完了時の搬送方向に向かっての断面図である。
図2B】卵トレイ段積装置の接触配置工程完了時の搬送方向に向かっての断面図である。
図3A】卵トレイ段積装置の搬送物搬入待機時の移送部拡大図である。
図3B】卵トレイ段積装置の搬送物非接触維持時の移送部拡大図である。
図4図2Aの卵トレイ段積装置のA-A断面において第一掛止部21の第一左掛止部21aと第一右掛止部21bが配置されている状態図である。
図5】搬送物の段積の非接触配置工程のフローチャートである。
図6】搬送物の段積の接触配置工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態である卵トレイ段積装置について、図面を参照して説明する。図1は、卵トレイ段積装置全体の断面図である。図1に示すように卵トレイ段積装置1は段積装置10と、搬送物である卵トレイTを搬入し、段積みされた卵トレイTを搬出する搬送用コンベア11を備えている。なお、搬送物は、卵トレイに限定されず、他のトレイであってもよい。
【0030】
搬送用コンベア11は常に動作させていても構わないが、段積装置10に過剰に卵トレイが搬入されないように、または意図しないタイミングで卵トレイが搬入されないように、上流位置と段積位置との間には、搬入物の搬入を制御するための入側ストッパ13を設けている。また、搬送用コンベア11は段積装置の搬入用コンベアと搬出用コンベアとを有し、それらを個別に制御してもよい。
【0031】
図2は、図1の段積装置10のみの断面図である。本実施形態は、卵トレイTを7段に段積みするための卵トレイ段積装置である。なお、段積数は7に限定されず2以上10以下であってもよい。また、段積数は予め設定されていてもよく、搬送物のアイテム替えにより段積数を適宜切り替えることが可能である。
【0032】
段積位置(装置中央部)に配置された卵トレイTを両側部(その対向する両側部)で下方から引掛け、上方に持ち上げて維持するための対向した一対の掛止部20は、卵トレイTを7段積むために、段数より1少ない6対備えており、最下段の卵トレイは搬入工程により、コンベア上の段積位置に配置され、接触工程によって段積みさせる。その詳細は後述する。
【0033】
図2B、3Aは、一対の掛止部20が段積位置の搬送面よりも下方に待機している状態を示す。図2A、3Bは、一対の掛止部20が、段積途中(図2Aにおいて非接触配置工程完了の状態)で上方に卵トレイを非接触で配置している状態を示す。
【0034】
本実施形態において、一対の掛止部20は、上から下へ順に、第一掛止部21、第二掛止部22、第三掛止部23、第四掛止部24、第五掛止部25、第六掛止部26を有して構成されている。
【0035】
一対の第一掛止部21は、第一左掛止部21aと第一右掛止部21bを有する。他の一対の第n掛止部も同様の構成である。本実施形態において、nは2~6である。
【0036】
本実施形態において、第一~第六左掛止部は、第一テンションベルト28a側に配置され、第一~第六右掛止部は、第二テンションベルト28b側に配置される。
装置左側で上下垂直方向に配置される一対の第一回転ロール271、272に、第一テンションベルト28aが架け渡しており、装置右側で上下垂直方向に配置される一対の第二回転ロール273、274に、第二テンションベルト28bが架け渡している。
【0037】
本実施形態において、第一回転ロールの一方の回転ロール271と第二回転ロールの一方の回転ロール273とが同じシャフトで軸支し、第一回転ロールの他方の回転ロール272と第二回転ロールの他方の回転ロール274とが同じシャフトで軸支している。駆動モータ(不図示)と回転ロール271、273のシャフトで連結している。
【0038】
本実施形態は連動的な移送で搬送物を上方移送して非接触に配置するものである。第一掛止部21(21a、21b)のみが、それぞれ第一、第二テンションベルト28a、28bに連結している。
【0039】
第一掛止部21の第一左掛止部21aは、第一左連結部31aを介して第一テンションベルト28aに固定される。第一左連結部31aは、第一テンションベルト28aと固定される第一左固定部311aと、側面視あるいは側断面視で第一左固定部311aから下方垂直に沿って延びる第一左中間部312aと第一左中間部312aから装置外側に垂直に突出する第一左突出部313aを有する。
【0040】
第一右掛止部21bも上記と同様のように第一右連結部(不図示)を介して第二テンションベルト28bに固定される。第一右連結部は、第二テンションベルト28bと固定される第一右固定部311bと、第一右固定部311bから下方垂直に沿って延び第一右中間部(不図示)と第一中間部から装置外側に垂直に突出する第一右突出部(不図示)を有する。
【0041】
第一左掛止部21aあるいは搬送物支持部41aは、第一左中間部312aに装置内側を向くように固定され、第一右掛止部21bあるいは搬送物支持部41bは、第一右中間部に、装置内側を向くように固定される。
【0042】
一対の第二掛止部22は、第二左掛止部22aと第二右掛止部22bを有する。
【0043】
第二左掛止部22aは、第二左連結部32aおよび第一左連結部31aを介して第一左連結部31aに固定されている第一左掛止部21aと上下相対移動が可能となるように設けられる。
【0044】
第二左連結部32aは、側面視または側断面視でS字状であって、装置内側に向いて水平に突出する上部突出部321aと、上部突出部321aから下方垂直に延びる上部中間部322aと、上部中間部322aから装置内側に水平に伸びる中間水平部323aと、中間水平部323aから下方垂直に延びる下部中間部324aと、下部中間部324aから装置外側へ水平に向かう下部突出部325aと、を有する。本実施形態においては、収縮時の各掛止部間の間隔を規制するため、上部中間部322aより下部中間部324aの方が長い構成としている。
【0045】
図3Aの待機状態において、第一左突出部313aは中間水平部323aに当接することで下方への移動が制限される(下方へ押し下げるように作用する)。動作説明で後述するが、第一左突出部313aは上部突出部321aに当接することで、第一左連結部31aが第二左連結部32a(第二左掛止部22a)と連動して共に上方へ移動することが可能となる。
【0046】
第二右連結部(不図示)は、第二左連結部32aと同様の構成を有している。すなわち、第二右掛止部22bは、第二右連結部を介して第一右連結部に固定された第一右掛止部21bと一定の距離の上下相対移動が可能となるように設けられる。
【0047】
第二右連結部は、側面視または側断面視で逆S字状であって、装置内側に向いて水平に突出する上部突出部(不図示)と、上部突出部から下方垂直に延びる上部中間部(不図示)と、上部中間部から装置内側に水平に突出する中間水平部(不図示)と、中間水平部から下方垂直に延びる下部中間部(不図示)と、下部中間部から装置外側へ水平に向かう下部突出部(不図示)と、を有する。
【0048】
第二左掛止部22aあるいは搬送物支持部(42a)は、下部中間部324aに装置内側を向くように固定され、第二右掛止部22bあるいは搬送物支持部(42a)は下部中間部324bに装置内側を向くように固定される。
【0049】
一対の第三掛止部23から第五掛止部25も、第二左掛止部22aおよび第二右掛止部22bと同様の構成の左掛止部と右掛止部を有するので、説明は省略する。
【0050】
一対の第六掛止部26は、第六左掛止部26aおよび第六右掛止部26bを有する。
【0051】
第六左連結部36aは、側面視または側断面視で略S字状であって、装置内側に向いて水平に突出する上部突出部361aと、上部突出部361aから下方垂直に延びる上部中間部362aと、上部中間部362aから装置内側に水平に突出する中間水平部363aと、中間水平部363aから下方垂直に延びる下部中間部364aと、を有する。下部突出部が省略された形状である。
【0052】
下部中間部に、第六左掛止部26aあるいは搬送物支持部(46a)が装置内側を向くように固定される。
【0053】
第六右連結部(不図示)も第六左連結部36aと同様の構成である。
図3Aにおいて、第六掛止部26は、下部ストッパ30に当接して下方への移動が制限される。
【0054】
図3Bは、段積途中(非接触配置工程の完了)状態において、コンベア搬送面より下方に待機している状態において、上下で接触しあう掛止部同士の間隔は、初期間隔D2であり、上下方向に隣り合う搬送物同士を非接触状態に維持する間隔としては、一定移動長さD3(上部中間垂直部の距離あるいは上部突出部と中間水平部との距離)と初期間隔D2の和である。
【0055】
図4に示すように、第一掛止部21は、搬送物方向に突出するように第1搬送物左支持部41aと第1搬送物右支持部41bとをそれぞれ有している。第1搬送物左支持部41aおよび第1搬送物右支持部41bは、通常は搬送物の少なくとも対向する一対の外形部(縁部、端部)を下から引掛けるように水平に突出しているが、搬送物を段積みした後で上方から下方に向けて動作する場合等に、搬送物に引っ掛ってしまうため、下方より上方に向けての力が加わった際に、第一掛止部21との連結部40を軸として回転し、上方向に傾斜して引っ掛りを回避するヒンジを構成している。第二掛止部22~第六掛止部26は、第一掛止部21と同様の搬送物左支持部と搬送物右支持部の構成を有している。
【0056】
本実施形態では、3つの第一、第二、第三段積センサ12a、12b、12cを備えており、各センサは第二テンションベルト28bの搬送方向Xの上流側に、第二テンションベルト28bに向かって上下垂直方向に設置されている。
【0057】
また、第二テンションベルト28bの、第一右掛止部21bと第一右固定部311bが接合している面の裏面に、上面視でコの字型の第一検出部材171が、3つの第一、第二、第三段積センサ12a、12b、12cに対して、第二テンションベルト28bとの接続面とは反対の面を向けるように接続されている。
【0058】
本実施形態において、第一検出部材171は、第一右固定部311bとで第二テンションベルト28bを挟むように取り付けられている(図4参照)。また、上面視でL字型の第二検出部材172~第六検出部材176が、搬送物(卵トレイ)を所定距離(D1)分の移動をさせることに対応すべく、各上部中間部に取り付けられている。第一から第六左連結部を伸ばした時(図2A、3B)の各検出部材の取り付け間隔は、一定となり所定距離(D1)に等しい。
【0059】
第一段積センサ12a(到達検出部に相当する)は、段積位置の最上部で、第一検出部材171を検出すると、第一右掛止部21bが所定の到達点まで到達したことを認識する。第一段積センサ12aにより、掛止部21bが所定の到達点まで到達したことを認識すると、一対の第一、第二回転ロール271、272、273、274の動作を停止させ、装置の上部に衝突して搬送物が破損してしまうことを防止する。
【0060】
また、第一段積センサ12aは、第二テンションベルト28bと第一掛止部21bとの第一右固定部311bが上昇しすぎて、回転ロール273の回転に巻き込まれて破損してしまうことを防止する。
【0061】
第二段積センサ12b(移送検出部に相当する)は、第一検出部材171~第六検出部材176を検出する。つまり各第一から第六検出部材171~176を検出することで、各掛止部が所定位置まで上昇したことを認識する。その結果、駆動部が停止し(モータが停止し各テンションベルトが停止し)、各掛止部(および卵トレイ)が所定位置に停止する。
【0062】
本実施形態において、第二段積センサ12bは、一対の第一掛止部21で持ち上げられた卵トレイが、後続の卵トレイと段積位置で接触しないように、搬送コンベア11の上搬送面から第一右掛止部21bが所定距離上昇したときに、第一検出部材171を検出する位置に配置されている。
別実施形態として、第二段積センサ12bは、検出部材を検出するのではなく、第一右掛止部21b~第六掛止部26bの上昇を直接検出し、一対の掛止部の上昇を認識するように配置されていてもよい。
【0063】
本実施形態において、第二検出部材172~第六検出部材176は、第二右掛止部22b~第六右掛止部26bが所定距離(D1に相当する)上昇したときに、第二段積センサ12bが検出するように、各上部中間部に配置される。
別実施形態として、第一検出部材171~第六検出部材は、第一右掛止部21b~第六右掛止部26bに直接接続されていてもよい。また、第一検出部材171~第六検出部材を、第一右下部中間部~第六右下部中間部(不図示)に接続する構成とし、所定距離間隔を一定にするように構成されていてもよい。
【0064】
本実施形態では、第二テンションベルト28bと第一テンションベルト28aの移動量(すなわち、単一の駆動手段による回転である)は同じであり、第一右掛止部21bと第一左掛止部21aとの上昇距離は同じとなる。他の掛止部も同様に構成される。
【0065】
本実施形態において、移送部を制御する移送距離制御部(不図示)は、第二段積センサ12bの、一回の段積工程における各検出部材の通過回数をカウントし、所定の段数分だけ掛止部が上方移送されているかを判断してもよい。
別実施形態において、移送部を制御する移送距離制御部が、第二段積センサ12bの、一回の段積工程における各検出部材の通過を検出し、一段毎の位置決めを行う構成でもよい。
また、移送距離制御部は、段積みの段数を任意に切り替え設定してもよい。移送距離制御部は、第二段積センサ12bの検出結果および駆動手段の回転数に基づいて、等間隔で上昇してこない場合等の異常を検出してもよい。
【0066】
また、第二段積センサ12bは、搬送コンベア11の上搬送面から第一右掛止部21bが所定距離上昇したときに、第一検出部材171を検出する位置よりも、さらに上方あるは下方にあっても構わない。その場合、回転ロールまたは駆動手段の停止タイミングを制御する構成であってもよい。
【0067】
第三段積センサ12c(下方移動検出部に相当する)は、搬送コンベア11の上搬送面から卵トレイの半分の高さの位置に配置されており、第一右掛止部21bが接触工程完了後に、第一右掛止部21bが段積みされた搬送物群の下方まで移動したことを検出する。第三段積センサ12cにより、第一右掛止部21bが段積みされた搬送物群の下方まで移動したことを検出した場合に、搬出制御部が段積ストッパ14を引っ込め、段積みされた卵トレイを下流位置へと搬出する(搬出工程)。
【0068】
上流位置と段積位置との間で搬送コンベア11の上搬送面から卵トレイの半分の高さの位置に、卵トレイが搬送される側に向かって入口センサ15が配置されている。入口センサ15による後続の卵トレイの到達の検出と、第二段積センサ12bの先行の卵トレイが非接触配置工程において、十分に上方へ移送されたことの検出とを組み合わせることによって、入側ストッパ13の開閉による搬入の調整を行う。
【0069】
また入口センサ15は、さらに上流位置に向かって並列に複数配置しても構わない。これらの入口センサによって後続の卵トレイの待機数が把握でき、段積みよりも上流の工程の調整や、残りのトレイ数に応じた段数分に段積装置の設定を切り替えることもできる。
【0070】
段積位置と下流位置との間で搬送コンベア11の上搬送面から卵トレイの半分の高さの位置に、卵トレイが搬送される側に向かって出口センサ16が配置されている。出口センサ16による段積みされた卵トレイの搬出完了が検出されれば、段積ストッパ14を出現させ、後続の卵トレイの段積みを開始する。
【0071】
移送状態確認の第一、第二、第三段積センサ12a、12b、12cは近接センサ、反射型センサ等の物体の存在や移動を検出できるものであればどのようなセンサであっても構わない。また上流位置と段積位置との間の入口センサ15と、段積位置と下流位置との間に備えられる出口センサ16も同様に、物体の存在や移動を検出できるものであればよい。
【0072】
各制御部は、専用回路、ファームウエア、プロセッサーおよびメモリを備える情報処理装置などで構成されていてもよい。各制御部の制御手順を含むプログラムがメモリに記憶され、そのプログラムをプロセッサーが実行する構成であってもよい。
【0073】
(動作説明)
非接触配置工程について説明する。
搬入制御部(不図示)によって、段積装置内の段積位置に第1搬送物が送られ配置される(搬入工程)。第1搬送物は、段積位置の後端で出現している段積ストッパ14(位置決ストッパに相当する)に当接することで停止する。
移送距離制御部(不図示)は駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を開始させ、第一、第二テンションベルト28a、28bを動作し、第一、第二テンションベルト28a、28bに接続された第一掛止部21が上昇する。
【0074】
第一掛止部21が第1搬送物の外形部(縁部)まで上昇すると、第1搬送物の対向する一対の外形部(縁部)を下から引掛けて上方に移送する。
【0075】
第1搬送物を所定距離だけ上方移送すると、移送距離制御部は、駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を停止させる。
搬入制御部により入側ストッパ13を原位置へ戻し、上流位置に待機している第2搬送物の搬入工程を行う。
搬入制御部(不図示)によって、段積装置内の段積位置に第2搬送物が送られ配置される(搬入工程)。第2搬送物は、段積位置の後端で出現している段積ストッパ14(位置決ストッパに相当する)に当接することで停止する。
移送距離制御部(不図示)は駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を開始させ、第一、第二テンションベルト28a、28bを動作し、第一、第二テンションベルト28a、28bに接続された第一掛止部21および第二掛止部22が上昇する。
【0076】
第二掛止部22の上昇は以下の動作に基づいている。
第一、第二テンションベルト28a、28bに移動に連動して上昇する第一左掛止部21aが所定距離(D3)分上昇すると、第一左突出部313aは第二左上部突出部321aに当接する。第一左突出部313aと第二左上部突出部321aが当接している間は、第一左掛止部21aと第二左掛止部22aは第二左上部中間部322aの距離分を設けて維持される。第一左突出部313aは第二左上部突出部321aに当接することで、第二左掛止部22aと第一左掛止部21a(第一連結部31a)が連動して共に上方へ移動する。
【0077】
第二掛止部22が第2搬送物の外形部(縁部)まで上昇すると、第2搬送物の対向する一対の外形部(縁部)を下から引掛けて上方に移送する。
【0078】
第1搬送物および第2搬送物を所定距離(D1)だけ上方移送すると、移送距離制御部は、駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を停止させる。
搬入制御部により入側ストッパ13を原位置へ戻し、上流位置に待機している第3搬送物の搬入工程を行う。
搬入制御部(不図示)によって、段積装置内の段積位置に第3搬送物が送られ配置される(搬入工程)。第3搬送物は、段積位置の後端で出現している段積ストッパ14(位置決ストッパに相当する)に当接することで停止する。
移送距離制御部(不図示)は駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を開始させ、第一、第二テンションベルト28a、28bを動作し、第一、第二テンションベルト28a、28bに接続された第一~第三掛止部21、22、23が上昇する。
【0079】
第三掛止部23の上昇は以下の動作に基づいている。
第一、第二テンションベルト28a、28bに移動に連動して上昇する第一左掛止部21aおよび第二左掛止部22aが所定距離(D3)分上昇し、第二左下部突出部325aは第三左上部突出部331aに当接する。第二左下部突出部325aと第三左上部突出部331aが当接している間は、第二左掛止部22aと第三左掛止部23aは第三左上部中間部332aの距離分を設けて維持される。第二左下部突出部325aは第三左上部突出部331aに当接することで、第二左掛止部22aと第三左掛止部23aとが第一左掛止部21a(第一連結部31a)と連動して共に上方へ移動する。
【0080】
第三掛止部23が第3搬送物の外形部(縁部)まで上昇すると、第3搬送物の対向する一対の外形部(縁部)を下から引掛けて上方に移送する。第1~第3搬送物を所定距離(D1)だけ上方移送すると、移送距離制御部は、駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を停止させる。第4~第6搬送物の搬入と上方移送も上記と同様の構成であるため説明を省略する。
【0081】
第1搬送物~第6搬送物が所定距離だけ上方移送された後で、移送距離制御部は、駆動部(モータ)を制御して回転ロールの動作を停止させる。
この一連の動作によって第6搬送物まで一定間隔を維持した非接触状態で段積位置上方に配置される。第6搬送物まで移送が完了した状態が図2A、3Bに示す状態である。
搬送物を上方に移送する所定長さは、少なくとも搬送物の垂直高さより大きく、搬送物の垂直高さよりも5mm以上100mm以下が例示される。この数値が小さいと搬送物が垂直方向に沿って撓んだ時に、搬送物同士が接触するので好ましくなく、この数値が大きいと搬送物を持ち上げる距離が大きくなって装置の高さが大きくなり好ましくない。
【0082】
搬入制御部により入側ストッパ13を原位置へ戻し、上流位置に待機している第7搬送物の搬入工程を行う。
搬入制御部(不図示)によって、段積装置内の段積位置に第7搬送物が送られ配置される(搬入工程)。第7搬送物は、段積位置の後端で出現している段積ストッパ14(位置決ストッパに相当する)に当接することで停止する。
【0083】
以下、図5を参照しながら非接触配置工程のフローを説明する。非接触配置工程は、第1搬送物が段積位置に配置されると第1搬送物の上方への移送を開始する(S51)。第1搬送物を上方に所定距離移送したところで、第2搬送物が段積位置に搬送され、第1搬送物の下方に配置する(S52)。
【0084】
第2搬送物も上方への移送を開始し、第1搬送物と第2搬送物の非接触状態を維持しながら、第1搬送物および第2搬送物を上方に所定距離移送し、第3搬送物を第2搬送物と非接触で第2搬送物の下方に配置する(S53)。
【0085】
第3搬送物も上方への移送を開始し、第1~第3搬送物の非接触状態を維持しながら、第1~第3搬送物を上方に所定距離移送し、第4搬送物を第3搬送物と非接触で第3搬送物の下方に配置する(S54)。
【0086】
第4搬送物も上方への移送を開始し、第1~第4搬送物の非接触状態を維持しながら、第1~第4搬送物を上方に所定距離移送し、第5搬送物を第4搬送物と非接触で第4搬送物の下方に配置する(S55)。
【0087】
第5搬送物も上方への移送を開始し、第1~第5搬送物の非接触状態を維持しながら、第1~第5搬送物を上方に所定距離移送し、第6搬送物を第5搬送物と非接触で第5搬送物の下方に配置する(S56)。
【0088】
第6搬送物も上方への移送を開始し、第1~第6搬送物の非接触状態を維持しながら、第1~第6搬送物を上方に所定距離移送し、第7搬送物を第6搬送物と非接触で第6搬送物の下方に配置し(S57)、非接触工程が完了する。
【0089】
次に接触配置工程について説明する。
第7搬送物が段積位置に配置されると、移送距離制御部が駆動部(モータ)を制御して回転ロール271、272、273、274を逆方向に回転させることで、第一、第二テンションベルト28a、28bが非接触配置工程とは逆方向に動作し始める。上下垂直方向に非接触に配置された6段の卵トレイをゆっくりと下降させながら、下段から順番に(7段目と6段目、6段目と5段目、・・2段目と1段目というふうに順番に)接触させるように段積みを行う。
【0090】
各搬送物支持部41は下降時に下面が搬送物に接触すると、上方に向けて力が加わり上方向に傾斜して引っ掛りを回避するヒンジ構成であるため、卵トレイ(搬送物)に引っ掛らず、負担や衝撃を与えることなく搬送物の下方へと移動することができる。
【0091】
第一掛止部21が段積みされた卵トレイ群の下方まで移動すると、接触工程が完了する。
各掛止部が所定の待機位置へ移動するまで、移送距離制御部が駆動部(モータ)を制御して回転ロール271、272、273、274を逆方向に回転させる。
各卵トレイが段積された後、搬出制御部によって段積ストッパ14を原点位置へ戻し(出現を解除するように原点位置へ戻し)、段積みが完了した卵トレイ群(搬送物群)を搬送用コンベア11を駆動させて下流位置へ搬送する。
そして、次の段積の動作を繰り返す。
【0092】
図2Bは、第1~第7搬送物群が段積された状態と、各掛止部がその搬送物群の下方の待機位置で停止している状態を示す。
【0093】
以下、図6を参照しながら接触配置工程のフローを説明する。図6に示すように、接触配置工程は、非接触配置工程が完了し、第1搬送物~第7搬送物が非接触に上下方向に配置された状態から開始する。
【0094】
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第6搬送物を、第6搬送物と第7搬送物が接触するまで下方移送する(S61)。
【0095】
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第5搬送物を、第5搬送物と第6搬送物が接触するまで下方移送する(S62)。
【0096】
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第4搬送物を、第4搬送物と第5搬送物が接触するまで下方移送する(S63)。
【0097】
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第3搬送物を、第3搬送物と第4搬送物が接触するまで下方移送する(S64)。
【0098】
非接触状態を維持しながら第1搬送物~第2搬送物を、第2搬送物と第3搬送物が接触するまで下方移送する(S65)。
【0099】
非接触状態を維持しながら第1搬送物を、第2搬送物と接触するまで下方移送して(S66)、接触工程が完了する。
【0100】
(別実施形態)
本実施形態において、最大段積数が7であったがこれに制限されない。搬送物が卵を収納した卵トレイである場合、4~8が例示される。搬送物の筐体の強度に応じて最大段積数が設定されてもよい。
また、本実施形態において、第二段積センサ12bによって各搬送物における各段の待機位置高さ(移送距離D1、搬送物移送距離)を検出する構成であったが、これに制限されない。別実施形態として、各段の待機高さ位置に、近接センサ、もしくは反射型センサ等を配置してその高さ位置に対応する搬送物または掛止部を検出する構成であってもよい。
これによって非接触配置工程における移送位置の検出し、最上段が装置の上部に衝突して搬送物が破損してしまうことを防止するとともに、各搬送物同士の間隔が非接触で所定距離が確保されるように掛止部20の位置の確認や移送部の動作異常を検出してもよい。
また、本実施形態において、各搬送物における各段の待機位置高さは、一定であったが、これに制限されず、上下方向に隣り合う搬送物同士が非接触であればよい。
【0101】
(別実施形態2)
別の実施形態として、卵トレイ段積装置1は、搬送物が段積位置に至る前に、搬送物を平面視で縦横90度向きを交互に変換する向き変換部を有していてもよい。
【0102】
段積位置で上昇する前、非接触配置工程の上方移送中または接触配置工程の下方移送中に、搬送物の平面視で縦横90度向き変換する機構を有していてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 卵トレイ段積装置
10 段積装置
11 コンベア
12a 第一段積センサ
12b 第二段積センサ
12c 第三段積センサ
13 入側ストッパ
14 段積ストッパ
15 入口センサ
16 出口センサ
171 第一検出部材
172 第二検出部材
173 第三検出部材
174 第四検出部材
175 第五検出部材
176 第六検出部材
20 掛止部
21 第一掛止部
22 第二掛止部
23 第三掛止部
24 第四掛止部
25 第五掛止部
26 第六掛止部
21a 第一左掛止部
22a 第二左掛止部
23a 第三左掛止部
24a 第四左掛止部
25a 第五左掛止部
26a 第六左掛止部
21b 第一右掛止部
22b 第二右掛止部
23b 第三右掛止部
24b 第四右掛止部
25b 第五右掛止部
26b 第六右掛止部
271 第一回転上部ロール
272 第一回転下部ロール
273 第二回転上部ロール
274 第二回転下部ロール
28a 第一テンションベルト
28b 第二テンションベルト
30 下部ストッパ
31a 第一左連結部
311a 第一左固定部
311b 第一右固定部
312a 第一左中間部
313a 第一左突出部
321a 第二左上部突出部
322a 第二左上部中間部
323a 第二左中間水平部
324a 第二左下部中間部
325a 第二左下部突出部
331a 第三左上部突出部
332a 第三左上部中間部
40 連結部
41a 第1搬送物左支持部
41b 第1搬送物右支持部
42a 第2搬送物左支持部
43a 第3搬送物左支持部
44a 第4搬送物左支持部
45a 第5搬送物左支持部
46a 第6搬送物左支持部
T 卵トレイ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6