(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】障害者雇用支援システム、障害者雇用支援方法、サーバ装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220428BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019212293
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】516120180
【氏名又は名称】株式会社アクティベートラボ
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増本 裕司
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-123507(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208829(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0103368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害者情報と企業情報を受け付ける受付部と、
前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶する記憶部と、
前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部と、
前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部と、を有し、
前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
サーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部はマッチング情報を更に記憶し、
前記マッチング情報は、前記障害者情報の前記配慮情報と、前記企業情報の前記配慮情報との対応関係を含み、
前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報に対応する前記企業情報の前記配慮情報を特定し、特定された前記企業情報の前記配慮情報の採用企業による選択の有無に基づいて、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記憶部はマッチング情報を更に記憶し、
前記障害者情報には、障害グループを含む障害情報を含み、
前記マッチング情報は、前記障害者情報の前記障害グループと、前記企業情報の前記配慮情報との対応関係を含み、
前記マッチング部は、前記障害者情報の前記障害グループに対応する前記企業情報の前記配慮情報を特定し、特定された前記企業情報の前記配慮情報の採用企業による選択の有無に基づいて、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
求職者の端末装置と、採用企業の端末装置と、サーバ装置とが、通信自在に接続された障害者雇用支援システムであって、
前記求職者の端末装置は、
障害情報の入力を受け、前記障害情報を前記サーバ装置に送信する第1送信部と、
前記サーバ装置からの画面データに基づいて表示を行う第1表示部と、を有し、
前記採用企業の端末装置は、
企業情報の入力を受け、前記企業情報を前記サーバ装置に送信する第2送信部と、
前記サーバ装置からの画面データに基づいて表示を行う第2表示部と、を有し、
前記サーバ装置は、
障害者情報と企業情報を受け付ける受付部と、
前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶する記憶部と、
前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部と、
前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部と、を有し、
前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
障害者雇用支援システム。
【請求項5】
サーバ装置により実行される障害者雇用支援方法であって、
前記サーバ装置が、
障害者情報と企業情報を受け付けるステップと、
前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶するステップと、
前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うステップと、
前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信するステップと、を有し、
前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング
を行うステップでは、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
障害者雇用支援方法。
【請求項6】
サーバ装置を、
障害者情報と企業情報を受け付ける受付部、
記憶部の障害者情報と企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部、
前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部、として機能させ、
前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、求職者である障害者と、採用企業側とを適切にマッチングすることで障害者の雇用を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な求人サイトでは、求職者が、応募フォームに従って、自己の個人情報や学歴、職歴、希望条件等を入力すると、当該入力情報に合致した採用企業を求職者に提示して紹介することがなされている。しかしながら、障害者が求職者である場合に、障害の内容や程度を詳細に入力させることはなされておらず、好適な採用企業を十分に紹介できていないという現状がある。さらに、採用企業側は、障害者のエントリがあった場合に、障害の内容や程度をエントリシートから十分に理解できないことから、本来であれば、同社において活躍できた障害者を採用する機会を損失している。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1では、企業における障害者用の仕事を障害内容に合わせて作業要素単位に分割すると共に、各作業要素を機能別に分類、集約すると共に、企業からの求人内容に合致する障害者と、研修の実施で分割した作業要素のいずれかに就業可能な障害者とを選択して、研修の実施で就業可能となる障害者に対する研修の実施を促すメッセージと共に表示する障害者雇用支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、例えば、求職者である障害者に係る配慮すべき事項等について、求職者側のニーズと、採用企業側の支援内容とを比較等することで、両者のマッチングを図り、好適な採用企業を求職者側に提示することは開示されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、求職者である障害者と、採用企業側とを適切にマッチングすることで障害者の雇用を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るサーバ装置は、障害者情報と企業情報を受け付ける受付部と、前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶する記憶部と、前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部と、前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部と、を有し、前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する。
【0008】
本発明の第2の態様に係る障害者雇用支援システムは、求職者の端末装置と、採用企業の端末装置と、サーバ装置とが、通信自在に接続された障害者雇用支援システムであって、前記求職者の端末装置は、障害情報の入力を受け、前記障害情報を前記サーバ装置に送信する第1送信部と、前記サーバ装置からの画面データに基づいて表示を行う第1表示部と、を有し、前記採用企業の端末装置は、企業情報の入力を受け、前記企業情報を前記サーバ装置に送信する第2送信部と、前記サーバ装置からの画面データに基づいて表示を行う第2表示部と、を有し、前記サーバ装置は、障害者情報と企業情報を受け付ける受付部と、前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶する記憶部と、前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部と、前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部と、を有し、前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る障害者雇用支援方法は、サーバ装置により実行される障害者雇用支援方法であって、前記サーバ装置が、障害者情報と企業情報を受け付けるステップと、前記障害者情報、前記企業情報を少なくとも記憶するステップと、前記障害者情報と前記企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うステップと、前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信するステップと、を有し、前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチングを行うステップでは、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する。
【0010】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、サーバ装置を、障害者情報と企業情報を受け付ける受付部、記憶部の障害者情報と企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行うマッチング部、前記マッチングの結果、整合性の高い採用企業に係る前記企業情報の一部を前記求職者の端末装置に送信する送信部、として機能させ、前記障害者情報、及び前記企業情報は、障害に係る配慮情報をそれぞれ含み、前記マッチング部は、前記障害者情報の前記配慮情報と前記企業情報の前記配慮情報とを比較することで、前記求職者と前記採用企業との整合性を演算する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、求職者である障害者と、採用企業側とを適切にマッチングすることで障害者の雇用を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る障害者雇用支援システムの構成図である。
【
図5】同システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】マッチング処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】マッチング処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
図1には、本発明の実施形態に係る障害者雇用支援システムの構成を示し説明する。
【0015】
同図に示されるように、障害者雇用支援システムは、サーバ装置1と、求職者である障害者の端末装置2と、採用企業の端末装置3とが、インターネット等の通信網と無線又は有線で接続され、通信自在に構成されている。障害者の端末装置2としては、スマートフォン、タブレット端末、ノード型パーソナルコンピュータ(以下、PCという)、デスクトップ型PC等、各種のものを採用することができる。これと同様に、採用企業の端末装置3としても、スマートフォン、タブレット端末、ノード型PC、デスクトップ型PC等、各種のものを採用することができる。
【0016】
サーバ装置1は、障害者旨の求人サイトを提供している。同求人サイトでは、求職者である障害者に対しては、応募フォームで、障害者情報の入力を促し、採用企業に対しては、募集フォームで、企業情報の入力を促す。そして、これら障害者情報、企業情報を受付け、登録する。障害者情報には、障害情報や配慮情報が含まれている。障害情報には、障害者手帳に記載の総合等級等の情報も含まれる。
【0017】
そして、サーバ装置1では、求職者である障害者に、希望条件等に見合う採用企業を紹介するにあたり、障害者情報に含まれる配慮情報と、企業情報に含まれる配慮情報とを比較し、整合性を演算し、所定の合致度(例えば、50%)以上である企業を、紹介企業として特定し、求職者に提示する。あるいは、サーバ装置1では、障害者情報に含まれる障害情報に基づいて障害グループを特定し、当該障害グループに対応する企業情報に含まれる配慮情報の選択の有無を検出し、所定の合致度(例えば、50%)以上である企業を、紹介企業として特定し、求職者に提示する。ここでいう「合致度」とは、障害者情報に含まれる配慮情報に対応する、企業情報に含まれる配慮情報を、採用企業側がどの程度、含有(選択)しているか(含有率)をいう。
【0018】
求職者である障害者の端末装置2では、障害者情報の入力を受け付けるが、その際に、特に「身体障害」の部位の入力にあたっては、人の体の部位を障害の観点から領域分けした図形を選択自在に表示し、自己の障害部位を選択することで、簡易に特定できるようになっている。また、採用企業の端末装置2では、障害者情報を随時確認可能であるが、障害者情報には、配慮情報も含まれているので、求職者の障害内容に即して、どのような配慮が要望されているかを詳細に確認することができる。
【0019】
図2には、障害者雇用支援システムにおけるサーバ装置の構成を示し説明する。
【0020】
同図に示されるように、サーバ装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。これら制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。制御部11は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成されてよいことは勿論である。
【0021】
通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、端末装置2、3等との間で通信を行う通信インタフェースである。記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、又は光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。この例では、記憶部13は、障害者情報記憶部14、企業情報記憶部15、及びマッチング情報記憶部16を有する。
【0022】
障害者情報記憶部14は、
図3(a)に示されるような正規化された第1テーブルで障害者情報を記憶している。より詳細には、ユーザIDと紐づけて、個人情報、学歴情報、職歴情報、資格情報、障害情報、及び配慮情報を記憶している。この障害情報には、例えば、身体障害であれば、不自由な部位、部位の詳細と状況、原因疾患、原因疾患詳細、先天/後天、障害者手帳記載事項(総合等級、交付年月日等)、指定難病疾患等が含まれている。障害者情報記憶部14では、配慮情報については、
図3(b)に示されるような第2テーブルで、配慮IDと配慮事項とが関係付けられて記憶されている。
図3(a)のテーブルでは、該当する配慮事項の配慮IDが対応付けられている。
【0023】
企業情報記憶部15は、
図3(c)に示されるような正規化された第3テーブルで企業情報を記憶している。より詳細には、企業IDと紐づけて、募集情報(求人情報)、資格情報(所有が好ましい資格等)、障害者受け入れ情報(受け入れの有無)、及び配慮情報を記憶している。企業情報記憶部15では、配慮情報については、
図3(d)に示されるような第4テーブルで、支援分類ごとに、配慮IDと配慮事項とが関係付けられて記憶されている。この例では、支援分類は、コミュニケーション支援、移動支援、設備支援、及び制度支援の4つに分類されている。
【0024】
ここで、「コミュニケーション支援」とは、障害を持つ社員が、円滑なコミュニケーションをとることができるようにする為の支援であり、例えば、大型モニタや拡大読書器などのツール類、音声入出力器や画面読み上げソフト等のソフト類等の完備などがこれに相当する。「移動支援」とは、障害を持つ社員の移動を安全且つ円滑なものとする為の支援であり、例えば自家用車通勤などがこれに相当する。「設備支援」とは、障害を持つ社員の活動や休息を支援するための設備面での支援であり、例えば、休憩室や保険管理室、車いす用エレベータを完備するなどが、これに相当する。そして、「制度支援」とは、社内制度の観点から、障害を持つ社員を支援するもので、例えば、急な依頼や残業なし、電話や来客対応なしなどが、これに相当する。
図3(c)のテーブルでは、該当する配慮事項の配慮IDが対応付けられて記憶されている。
【0025】
マッチング情報記憶部16は、
図3(e)に示されるような第5テーブルで、障害者側の配慮IDと採用企業側の配慮IDとを対応付けて記憶している。更に、マッチング情報記憶部16は、
図3(f)に示されるような第6テーブルで、障害グループと採用企業側の配慮IDとを対応付けて記憶している。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現され、記憶部13に記憶されている制御プログラムを実行することで、受付部11a、登録部11b、マッチング部11c、入力支援部11d、生成部11e、及び送信部11fとして機能する。
【0027】
受付部11aは、通信部12を介して、求職者の端末装置2から送られた障害者情報と採用企業の端末3から送られた企業情報とを少なくとも受け付ける。そして、登録部11bは、障害者情報を障害者情報記憶部14に登録し、企業情報を企業情報記憶部15に登録する。マッチング部は、障害者情報と企業情報とを対比することで、求職者である障害者と採用企業とのマッチングを行う。すなわち、マッチング部11cは、障害者情報の配慮情報と企業情報の配慮情報とを比較することで、求職者と採用企業との配慮情報に関わる整合性(合致度)を演算する。
【0028】
より詳細には、マッチング部11cは、マッチング情報記憶部16に記憶されている第5テーブル(
図3(e))を参照して、障害者情報の配慮情報(配慮ID)に対応する企業情報の配慮情報(配慮ID)を特定し、特定された企業情報の配慮情報の採用企業による選択の有無等に基づいて、求職者と採用企業との整合性(合致度)を演算する。あるいは、マッチング部11cは、マッチング情報記憶部16に記憶されている第6テーブル(
図3(f))を参照して、障害者情報の障害グループに対応する企業情報の配慮情報(配慮ID)を特定し、特定された企業情報の配慮情報の採用企業による選択の有無に基づいて、求職者と採用企業との整合性(合致度)を演算する。
【0029】
入力支援部11dは、求職者の端末装置2で、障害者情報を入力するときに、障害部位の特定のための、障害別に領域の区分けした人の図形を示した画面を提供し、障害部位の特定を受けると、当該選択された部位を特定し、障害情報の一部として認識することで、求職者である障害者による入力を支援する。生成部11eは、求職者の端末装置2や採用企業の端末装置3に送信する画面データをHTML形式等で生成する。送信部11fは、マッチングの結果、整合性(合致度)の高い採用企業に係る企業情報の一部を求職者の端末装置2等に送信する。
【0030】
図4には障害者雇用支援システムにおける端末装置の構成を示し説明する。
【0031】
同図に示されるように、端末装置2(端末装置3も同様の構成である)は、制御部21と、通信部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを有する。各部21乃至25は通信自在に接続されている。通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、サーバ装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、例えば、マウスやキーボード等で実現されており、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。
【0032】
表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現されており、各種表示を行う。操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えばRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。そして、制御部21は、CPUやMPU等で実現され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、送信部21a、受信部21b、及び表示制御部21cとして機能する。なお、制御部11は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0033】
送信部21aは、表示部24により表示された応募フォームで、操作部23の操作により入力された障害者情報を、通信部22を介して、サーバ装置1に送信する。受信部21bは、通信部22を介して、サーバ装置1から送られてきた画面データのHTMLファイル等を受信する。そして、表示制御部21cは、受信部21bが受信したHTMLファイル等に基づいて、表示部24に所定の画面表示を行うように制御する。
【0034】
以下、
図5のフローチャートを参照して、障害者雇用支援システムによる処理手順を詳細に説明する。尚、以下の処理では、受付部11aが、予め多数の採用企業の企業情報を受付け、登録部11bが、記憶部13の企業情報記憶部15に登録していることを前提としている。
【0035】
サーバ装置1では、この処理に入ると、受付部11aが、通信部12を介して、求職者である障害者の端末装置2から送られてきた障害者情報を受付け(S1)、登録部11bが、障害者情報を記憶部13の障害者情報記憶部14に登録する(S2)。
【0036】
続いて、マッチング部11cが、マッチング処理を行い、求職者である障害者の障害者情報(特に、配慮情報)に合致した採用企業を抽出する(S3)。マッチング処理の詳細な処理手順について、後に
図6、
図7を参照しつつ詳述する。こうして、生成部11eは、抽出された採用企業の企業情報の少なくとも一部に基づいて画面データをHTML形式等で生成し、送信部11fが当該画面データを、通信部12を介して、求職者である障害者の端末装置2に送信し(S4)、この処理を終了する。
【0037】
ここで、
図6のフローチャートを参照して、
図5のステップS3のマッチング処理の詳細な処理手順を説明する。
【0038】
サーバ装置1では、マッチング部11cが、記憶部13の障害者情報記憶部14の第1テーブルを参照し、障害者情報のうち配慮情報として記憶されている障害者側配慮IDに対応する企業側配慮IDを、マッチング情報記憶部16の第5テーブルを参照して特定する(S11)。例えば、
図3(a)の例であれば、ユーザIDがA1のユーザであれば、配慮情報はB1,B2…と記憶されているので、障害者側配慮IDであるB1に対応する企業側配慮ID、G2…と、B2に対応する企業側配慮ID、D1,D2…を特定することになる。
【0039】
続いて、マッチング部11cは、特定された企業側配慮IDを配慮情報として有する企業情報に関わる採用企業を抽出する(S12)。そして、特定された企業側配慮IDをどの程度有するか(選択されているか)、即ち含有率が所定の割合(この例では50%)以上であるかを判断し(S13)、所定の割合以上である場合には(S13をYesに分岐)、合致する企業であると特定する(S14)。一方、特定された企業側配慮IDをどの程度有するか(選択されているか)、すなわち含有率が所定の割合未満である場合(S13をNoに分岐)、ステップS15に移行する。
【0040】
そして、ステップS12で抽出された全ての採用企業について処理を完了したかを判断し(S15)、抽出された全ての採用企業について処理を完了していない場合には(S15をNoに分岐)、ステップS13に戻り、上記処理を繰り返し、抽出された全ての採用企業について処理を完了した場合には(S15をYesに分岐)、特定した結果を出力し(S16)、
図5のステップS4に戻る。
【0041】
図6のマッチング処理によれば、求職者である障害者側の要望している配慮事項について準備のある(選択されている)採用企業を適切に抽出することができるので、求職者は、障害者でも活躍できる環境を応募先として選択しやすくなる。従来の求人サイトでは、このような配慮事項について比較することで、求職者と採用企業とのマッチングを図ることは実現されていなかったので、本システムは障害者雇用の推進の一役を担うものとなるであろう。さらに、求職者が入力した障害者情報については、採用企業の端末装置で、随時確認可能であるので、単に障害者であるという先入観で採用を見送っていた求職者についても、配慮事項を確認し、自社で受け入れ可能であるかどうかを好適に確認することができるので、その点でも障害者雇用は推進されるであろう。
【0042】
尚、
図6の処理手順は、
図7に示されるように変更可能である。
【0043】
サーバ装置1では、マッチング部11cが、記憶部13の障害者情報記憶部14の第1テーブルを参照し、障害者情報のうち障害情報に含まれる障害グループに対応する企業側配慮IDを、マッチング情報記憶部16の第6テーブルを参照して特定する(S21)。例えば、障害グループがH1である場合には、企業側配慮情報D1,D2を特定する。ステップS22乃至S26の処理は、
図6のステップS12乃至S16と同様であるので、ここでは重複した説明は省略する。
【0044】
図7のマッチング処理によれば、求職者である障害者側の障害の内容や程度によりカテゴライズされた障害グループに必要な配慮事項について準備のある(選択されている)採用企業を適切に抽出することができるので、求職者は、障害者でも活躍できる環境を応募先として選択しやすくなる。さらに、求職者の障害グループについては、採用企業の端末装置で、随時確認可能であるので、障害グループごとに自社が対応可能な環境を整えているかを予め確認し、採用の有無を検討することも可能となる。その点でも障害者雇用は推進されるであろう。
【0045】
最後に、
図8乃至
図14を参照して、求職者である障害者の端末装置2で表示される応募フォームの画面遷移を詳細に説明する。
【0046】
図8は、応募フォームの画面100の一例を示している。同図に示されるように、応募フォームの画面100では、領域100aで個人情報の編集、削除を行うことができ、領域100bでは、個人情報として、連絡先、住所、学歴、職歴、資格、自己PR等の情報を入力、編集、削除できるようになっている。さらに、領域100cでは、身体障害情報、領域100dでは、精神障害情報、領域100eでは、発達障害情報、領域100fでは、知的障害情報を、それぞれ入力、編集、削除できるようになっている。
【0047】
図8の領域100cで、「入力」が選択されると、
図9の画面に遷移する。
図9の画面101では、領域101aに、身体障害の部位を領域分けして選択可能とした人のデザインをした入力領域101aが表示され、求職者である障害者は、自身の障害部位をタップすることで選択できるようになっている。この選択の後、「次へ」ボタン101bが選択されると、
図10の画面に遷移する。
図10の画面102では、領域102aで不自由な部位を入力でき、領域102bで部位の詳細と状況を入力及び選択でき、領域102cで原因疾患を選択でき、領域102dで原因疾患詳細を選択でき、領域102eで先天/後天の別を選択できるようになっている。上記選択の後、「次へ」ボタン102fが選択されると、
図11の画面に遷移する。
【0048】
図11の画面103では、領域103aで身体障害手帳の表記事項について選択できるようになっている。この例では、身体障害手帳の所有の有無、申請のステータスと総合等級と交付年月を選択できるようになっている。更に、領域103bでは、指定難病疾患について選択でき、領域103cでは、配慮希望事項について選択でき、領域103dでは、その他、配慮希望事項を入力できるようになっている。この例では、配慮希望事項として「電話対対応免除の配慮」、「補助ツール使用の配慮」、「車いすへの配慮」、「通勤時間帯・方法の配慮」、「通院・透析時間確保の配慮」等を選択できるようになっている。これらの選択の後、「登録」ボタン103eが選択されると、以上の身体障害に関わる情報がサーバ装置1側に登録される。
【0049】
一方、
図8の画面100の領域100dで、「入力」が選択されると、
図12に示される画面に遷移する。
図12の画面104では、領域104aで病名を選択でき、領域104bで通院について選択でき、領域104cで服薬について選択でき、領域104dで合併症について選択でき、領域104eで精神障害者保険福祉手帳の所有の有無、申請のステータスと総合等級、交付年月、有効期限について選択でき、領域104fで配慮希望事項を選択でき、領域104gでその他、配慮希望事項を入力できるようになっている。この例では、配慮希望事項として、「個人空間確保の配慮」、「単一支持者の配慮」、「作業マニュアル化の配慮」、「時短就業の配慮」等を選択できるようになっている。これらの選択の後、「登録」ボタン104hが選択されると、以上の精神障害に関わる情報がサーバ装置1側に登録される。
【0050】
図8の画面100の領域104eで、「入力」が選択されると、
図13に示される画面に遷移する。
図13の画面105では、領域105aで障害の分類(軽度/中度/重度/最重度)を選択でき、領域105bで適応能力について選択でき、領域105cで併発疾患について選択でき、領域105dで身体障害の有無について選択でき、領域105eで療育手帳の所有の有無、申請のステータスを選択でき、領域105fで配慮希望事項を選択でき、領域105gでその他、配慮希望事項を選択できるようになっている。これらの選択の後、「登録」ボタン105hが選択されると、以上の発達障害に関わる情報がサーバ装置1側に登録される。
【0051】
図8の画面100の領域104fで、「入力」が選択されると、
図14に示される画面に遷移する。
図14の画面106では、領域106aで障害の種類を選択でき、領域106bで病識の有無を選択でき、領域106cで服薬について選択でき、領域106dで障害手帳の所有の有無、申請のステータスを選択でき、領域106eで配慮希望事項について選択でき、領域106fでその他、配慮希望事項を入力できるようになっている。この例では、配慮希望事項として、「作業時間確保の配慮」、「単一支持者の配慮」、「事務指示具体化の配慮」、「通勤時間帯・休憩時間帯の配慮」を選択できるようになっている。これらの選択の後、「登録」ボタン106gが選択されると、以上の知的障害に関わる情報がサーバ装置1側に登録される。
【0052】
求職者である障害者の端末装置2で、
図8乃至
図14に示されるような画面が、表示制御部21cの制御の下、表示部24に表示され、操作部23の操作に基づいて前述したような各種操作、入力がなされると、送信部21aが、それら障害者情報を、通信部22を介して、サーバ装置1側に送信する。サーバ装置1では、これら障害者情報を受付部11aが受付け、登録部11bが、記憶部13の障害者情報記憶部14に登録することになる。採用企業の端末装置3では、いつでも、サーバ装置1に対して、特定の求職者の障害者情報をリクエストし、受信し、表示することができるので、前述したように身体障害、精神障害、発達障害、及び知的障害に大別され、それぞれの障害内容に合致した応募フォームより入力された障害者情報の一部である障害情報を詳細に確認することが可能となる。したがって、従来であれば、障害者であるというだけで、その障害内容や程度、配慮事項などを確認することもなく、採用を見送っていた求職者についても、自社で受け入れ可能かどうかを的確に確認することが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る障害者雇用支援システム等によれば、求職者が障害者である場合においても、当該求職者の障害の内容や程度、配慮事項等をふまえて、好適な採用企業を紹介することができるので、障害者雇用は推進されるであろう。本システムは、まさに、そのような障害者と採用企業との好適なマッチングを図るプラットフォームを実現するものである。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0055】
例えば、前述した配慮情報は一例にすぎず、これに限定されず、時代や環境の変化に応じて適宜追加、変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1…サーバ装置、2…端末装置、3…端末装置、4…通信網、11…制御部、11a…受付部、11b…登録部、11c…マッチング部、11d…入力支援部、11e…生成部、11f…送信部、12…通信部、13…記憶部、14…障害者情報記憶部、15…企業情報記憶部、16…マッチング情報記憶部、21…制御部、21a…送信部、21b…受信部、21c…表示制御部、22…通信部、23…操作部、24…表示部、25…記憶部。