(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】湿乾式真空掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20220428BHJP
A47L 7/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A47L9/28 C
A47L9/28 T
A47L7/00 A
(21)【出願番号】P 2020549784
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2019057018
(87)【国際公開番号】W WO2019180109
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-16
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】クサーヴァー ハンズルマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】スウェンヤ ミュラー
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0010639(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01685784(EP,A1)
【文献】特表2021-517041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機ヘッド(10)を有し、塵埃容器(20)を有し、吸引ホース(200)の接続用に設計された入口取付け具(25)を有する、湿乾式真空掃除機(100)であって、
前記入口取付け具(25)は、引き込まれた塵埃粒子(P)が入口コネクタ(27)を介して前記塵埃容器(20)の中に移動することができるように、前記湿乾式真空掃除機(100)内に位置する前記入口コネクタ(27)
に接続され、
前記入口コネクタ(27)は水平方向への流出を伴うディフューザとして設計され
、かつディフューザ開口部(28)を有し、前記ディフューザ開口部(28)の断面積(Q1)は、前記塵埃容器(20)の中への壁通路の領域における前記入口取付け具(25)の断面積(Q2)よりも少なくとも50%大きい
ことを特徴とする、湿乾式真空掃除機。
【請求項2】
前記入口コネクタ(27)を通る吸引流(S)が、前記塵埃容器(20)の内壁(21)に向かって導かれることを特徴とする、請求項1に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項3】
前記塵埃容器(20)の前記内壁(21)は前記塵埃容器(20)の側壁であることを特徴とする、請求項2に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項4】
前記内壁(21)に対する前記ディフューザ開口部(28)の壁間隔(WA)は、前記塵埃容器(20)の容器幅(B)の5分の1未満であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項5】
前記入口コネクタ(27)は、前記塵埃容器(20)によって画定される容積(V)内に
、独占的
に構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項6】
前記湿乾式真空掃除機(100)は前記真空掃除機ヘッド(10)内に構成された
電動ファン(15)を有することを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項7】
前記湿乾式真空掃除機(100)は、前記吸引流(S)に対して
、前記入口コネクタ(27)の下流に位置付けられた、塵埃フィルタ(17)を有することを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項8】
前記入口コネクタ(27)は、単一の部品として形成されている、及び/又は前記塵埃容器(20)に一体形成されていることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項9】
前記入口コネクタ(27)は、プラスチックから成ることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機ヘッドを有し、塵埃容器を有し、吸引ホースの接続用に設計された入口取付け具を有する、湿乾式真空掃除機に関する。入口取付け具は、引き込まれた塵埃粒子が、入口コネクタを介して塵埃容器の中に移動することができるように、湿乾式真空掃除機内に位置する湿乾式真空掃除機の入口コネクタに、流れの点で接続されている。
【背景技術】
【0002】
導入部で述べた種類の湿乾式真空掃除機は、原則的に従来技術から知られている。これらは、例えば、典型的にはアングルグラインダで実施される作業中に形成されるものなどの塵埃粒子を引き抜く役割を担う。この目的のため、吸引ホースが入口取付け具に接続され、吸引ホースは次いで、例としてアングルグラインダによって接続されている。いわゆる湿式用途では、汚れた水が引き込まれる。乾式用途では、乾燥した塵埃粒子のみが、又は主として塵埃粒子が引き込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された動作挙動を示す湿乾式真空掃除機を提供することである。
【0004】
本目的は、入口コネクタが水平方向への流出を伴うディフューザとして設計されることで実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来技術の湿乾式真空掃除機の場合は、入口取付け具及び/又は入口コネクタが、典型的には真空掃除機ヘッド内に位置しており、その結果として、塵埃容器の利用可能な容積を最適に利用することができるという気づきを取り入れている。ここで、入口コネクタは典型的には、直接、塵埃容器の中に方向付けられ、その結果、既に引き込まれた、塵埃容器内の塵埃粒子の望ましくない撹拌及び掻き回しに至る。これにより、湿式用途の場合には早期の遮断につながり、乾式用途の場合には比較的短いフィルタの有効寿命につながることが観察された。水平方向への流出を伴うディフューザとして本発明により設計された入口コネクタのおかげで、これらの欠点を回避することができる。むしろ、塵埃容器内での掻き回しなしで、塵埃容器の中に塵埃粒子を層状に導入することが促進される。
【0006】
ディフューザとして設計された入口コネクタを通る吸引流が塵埃容器の内壁に向かって導かれると有利であることが確認されている。内壁からの吸引流の跳ね返りにより、塵埃粒子を含む引き込まれた空気は減速されるか又は遅くなり、それにより、塵埃容器の中への塵埃粒子の導入が更に改善される。
【0007】
塵埃容器の内壁は、好ましくは塵埃容器の側壁である。内壁は、必ずしも塵埃容器の側壁である必要はない。むしろ、内壁はまた、湿乾式真空掃除機内の更なる壁であってもよく、更なる壁は、垂直方向に向いている、及び/又はその面積は、入口コネクタのディフューザ開口部の断面積と少なくとも同じくらいの大きさである。
【0008】
特に好ましい態様では、ディフューザとして設計された入口コネクタはディフューザ開口部を有し、内壁に対するディフューザ開口部の壁間隔は、塵埃容器の容器幅の5分の1未満である。
【0009】
ディフューザ開口部の断面積は、好ましくは、塵埃容器の中への壁通路の領域における入口取付け具の断面積よりも少なくとも50%大きい。
【0010】
ディフューザ開口部は、好ましくは独占的に、塵埃容器の上側3分の1に構成されてもよい。
【0011】
ディフューザとして設計された入口コネクタが、塵埃容器によって画定される容積内に構成されると有利であることが確認されている。ディフューザとして設計された入口コネクタは、塵埃容器によって画定される容積内に独占的に構成されることが特に好ましい。
【0012】
湿乾式真空掃除機は、真空掃除機ヘッド内に構成された電動ファンを有することが特に好ましい。湿乾式真空掃除機は、吸引流に対して、ディフューザとして設計された入口コネクタの下流に位置付けられた塵埃フィルタを有してもよい。
【0013】
更に好ましい態様では、ディフューザとして設計された入口コネクタは、単一の部品として形成されている。ディフューザとして設計された入口コネクタは、塵埃容器上に一体形成されてもよい。ディフューザとして設計された入口コネクタは、好ましくはプラスチック又はポリマーから成る。
【0014】
更なる利点は、以下の図の説明から明らかになるであろう。
【0015】
図、本明細書の記載、及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者も、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせて、好都合な更なる組み合わせをもたらすであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による湿乾式真空掃除機の好ましい実施例を
図1に示す。湿乾式真空掃除機100は、真空掃除機ヘッド10、塵埃容器20、及び吸引ホース200の接続用に設計された入口取付け具25を有する。
【0018】
入口取付け具25に接続される吸引ホース200を
図1に概略的に示す。
【0019】
湿乾式真空掃除機100は入口コネクタ27を更に有し、入口コネクタ27は、引き込まれた塵埃粒子Pが入口コネクタ27を介して塵埃容器20の中に移動することができるように、入口取付け具25への流れの点で接続されている。
【0020】
図1から分かるように、入口コネクタ27は、水平方向への流出を伴うディフューザとして、本発明により設計される。
【0021】
図から分かるように、ディフューザとして設計された入口コネクタ27は、塵埃容器20によって画定される容積V内に独占的に構成される。更には、入口コネクタ27として設計されたディフューザは、吸引流Sが塵埃容器20の内壁21に直接向くように方向付けられるように構成されている。換言すれば、吸引流Sは、入口コネクタ27のディフューザ開口部28を通って、内壁21に向かって水平方向Hに流れ、内壁21から跳ね返され、通過し、減速されて、塵埃容器20の下側領域に入り、それにより、塵埃粒子Pを、掻き回しなしで、又は掻き回しが少なくとも顕著に低減されて、層状で導入することができる。
【0022】
同様に、
図1から分かるように、入口コネクタ27のディフューザ開口部28は内壁21までの壁間隔WAを有し、壁間隔WAは塵埃容器20の容器幅Bの5分の1未満である。
【0023】
本実施例では、ディフューザ開口部28の断面積Q1は、塵埃容器20の中への壁通路の領域における入口取付け具25の断面積Q2よりも少なくとも50%大きい。
【0024】
図1の湿乾式真空掃除機100は、真空掃除機ヘッド10内に構成された
電動ファンを更に有する。吸引流Sは前述の
電動ファンによって生成され、湿式用途又は乾式用途の過程で、その吸引流により塵埃粒子Pが塵埃容器20の中に引き込まれる。
【0025】
湿乾式真空掃除機100は、吸引流Sに対して、ディフューザとして設計された入口コネクタ27の下流に位置付けられた塵埃フィルタ17を更に有する。ここに示される実施例では、塵埃フィルタ17は、真空掃除機ヘッド10と塵埃容器20との間の移行部に構成される。
【0026】
真空掃除機ヘッド10は、塵埃容器20に上から置かれ、塵埃容器に固定されている(固定部は図示されず)。
図1の好ましい実施例では、ディフューザとして設計された入口コネクタ27は単一の部品として形成され、塵埃容器20に直接、一体形成されている。ここでは、入口コネクタ27と塵埃容器20の両方がプラスチックから成る。
【0027】
代替実施例では、塵埃容器20は、例えば金属から作製されてもよく、その中に、例えば、プラスチック又はポリマーから成る入口コネクタが、プラスチック又はポリマーから成る入口取付け具25と共に固定される。
【符号の説明】
【0028】
10 真空掃除機ヘッド
15 電動ファン
17 塵埃フィルタ
20 塵埃容器
21 内壁
25 入口取付け具
27 入口コネクタ
28 ディフューザ開口部
100 湿乾式真空掃除機
200 吸引ホース
B 容器幅
H 水平軸
P 塵埃粒子
Q1 ディフューザ開口部の断面積
Q2 入口取付け具の断面積
S 吸引流
V 塵埃容器の容積
WA 壁間隔