(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】気象状況解説装置、気象状況解説システム、気象状況解説方法および気象状況解説プログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/02 20060101AFI20220428BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01W1/02 C
G01W1/02 B
G01W1/02 A
G09B29/00 A
(21)【出願番号】P 2017186848
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-05-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599147746
【氏名又は名称】株式会社島津ビジネスシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(72)【発明者】
【氏名】奥山 哲史
(72)【発明者】
【氏名】有本 淳吾
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 宏樹
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163923(JP,A)
【文献】特開2002-148061(JP,A)
【文献】特開2003-066141(JP,A)
【文献】特開2014-215731(JP,A)
【文献】特開2014-240754(JP,A)
【文献】特開2009-109312(JP,A)
【文献】特開2003-114749(JP,A)
【文献】特開2003-148976(JP,A)
【文献】特開平06-324163(JP,A)
【文献】特開2017-142856(JP,A)
【文献】米国特許第06498987(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 - 1/18 、
G09B23/00 -29/14 、
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成する気象状態領域データ生成部と、
前記気象状態領域データ生成部により生成された気象状態領域データを取得する気象状態領域データ取得部と、
前記特定の空間中の基準位置を取得する基準位置取得部と、
取得された気象状態領域データのうち前記基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得する特徴情報取得部と、
気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて前記
基準位置に関連する気象状況の解説文を選択する解説文選択部と、を備え、
前記特徴情報取得部は、さらに、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、
前記解説文選択部は、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入することを特徴とする気象状況解説装置。
【請求項2】
前記気象状態領域データ取得部は、気象状態領域の輪郭を示す気象ポリゴンデータを気象状態領域データとして取得する、請求項1記載の気象状況解説装置。
【請求項3】
前記特徴情報取得部は、前記対象領域における気象状態領域の幾何学的特徴に基づいて特徴情報を取得する、請求項1または2記載の気象状況解説装置。
【請求項4】
前記特徴情報取得部は、前記対象領域における気象状態領域の幾何学的特徴の時間的変化に基づいて特徴情報を取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載の気象状況解説装置。
【請求項5】
前記特徴情報取得部は、第1の時点における気象状態領域の幾何学的特徴を第1の特徴情報として取得するとともに、前記第1の時点よりも前の第2の時点における気象状態領域の幾何学的特徴を第2の特徴情報とを取得し、
前記解説文選択部は、第1および第2の特徴情報に基づいて前記基準位置に関連する気象状況の変化の解説文を選択する、請求項4記載の気象状況解説装置。
【請求項6】
前記特徴情報取得部は、前記対象領域の面積と前記対象領域内における気象状態領域の面積との比を算出し、算出された比を特徴情報として取得する、請求項1~5のいずれか一項に記載の気象状況解説装置。
【請求項7】
前記気象状態領域データ取得部は、気象要素の複数の状態にそれぞれ対応する複数の気象状態領域を示す複数の気象状態領域データを取得し、
前記特徴情報取得部は、前記対象領域における複数の気象状態領域データの特徴情報を取得する、請求項1~6記載の気象状況解説装置。
【請求項8】
前記気象状態領域データ取得部は、気象要素の複数の状態にそれぞれ対応する複数の気象状態領域を示す複数の気象状態領域データを取得し、
前記特徴情報取得部は、各気象状態領域について、気象要素の状態の程度を示す評価係数を設定し、前記基準位置までの距離と評価係数との積を実効距離として算出し、最も小さい実効距離を有する気象状態領域を特定し、前記基準位置から特定された気象状態領域までの距離および前記基準位置からの特定された気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、
前記解説文選択部は、基準位置から特定された気象状態領域までの距離および基準位置からの特定された気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入する、請求項1記載の気象状況解説装置。
【請求項9】
前記特定の空間において区画された地域の名称を示す地域データを取得する地域データ取得部をさらに備え、
前記解説文選択部は、地域データに基づいて地域の名称を選択された解説文中に挿入する、請求項1記載の気象状況解説装置。
【請求項10】
前記基準位置取得部は、地図上において前記基準位置を受け付け、受け付けられた前記基準位置を含む所定の大きさおよび形状を有する領域を前記対象領域として設定する、請求項1記載の気象状況解説装置。
【請求項11】
前記特定の空間において区画された地域の領域を示す地域データを取得する地域データ取得部をさらに備え、
前記基準位置取得部は、地域データに基づいて前記特定の空間における地域を前記基準位置として取得し、取得した地域を含む領域を前記対象領域として設定する、請求項1記載の気象状況解説装置。
【請求項12】
気象状態領域データを記憶する気象状態領域データ記憶装置と、
気象状況を解説する複数の解説文をそれぞれ示す複数の解説文データを記憶する解説文データ記憶装置と、
請求項1記載の気象状況解説装置とを備え、
前記気象状況解説装置の前記気象状態領域データ取得部は、前記気象状態領域データ記憶装置から気象状態領域データを取得し、
前記気象状況解説装置の前記解説文選択部は、前記解説文データ記憶装置から前記対象領域における気象状況の解説文を示す解説文データを選択する、気象状況解説システム。
【請求項13】
前記特定の空間中の位置を指定するために使用者により操作される操作部と、
前記気象状況解説装置の前記解説文選択部により選択された解説文を表示する表示部とをさらに備え、
前記気象状況解説装置の前記基準位置取得部は、前記操作部により指定された位置を前記基準位置として取得する、請求項12記載の気象状況解説システム。
【請求項14】
気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成するステップと、
前記特定の空間中の基準位置を取得するステップと、
生成された気象状態領域データのうち前記基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得するステップと、
気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて前記基準位置に関連する気象状況の解説文を選択するステップと、を含む、気象状況解説方法
であって、
前記特徴情報を取得するステップでは、さらに、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、
前記解説文を選択するステップでは、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入することを特徴とする気象状況解説方法。
【請求項15】
気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成する処理と、
前記特定の空間中の基準位置を取得する処理と、
生成された気象状態領域データのうち前記基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得する処理と、
気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて前記基準位置に関連する気象状況の解説文を選択する処理と、を処理装置に実行させる、気象状況解説プログラム
であって、
前記特徴情報を取得する処理は、さらに、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、
前記解説文を選択する処理は、前記基準位置から気象状態領域までの距離および前記基準位置からの気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入することを特徴とする、気象状況解説プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象状況を解説する気象状況解説装置、気象状況解説システム、気象状況解説方法および気象状況解説プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビ放送またはインターネット等の情報配信メディアにより気象情報の配信が行われている。このような配信においては、概略的に区分けされた地域ごとの気象状況を解説する文章が、気象予報士または気象庁の予報官等の専門家により作成される。作成された気象状況を解説する文章が、対応する地域における気象分布とともに提供される(例えば非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】日本気象協会、“tenki.jp”、[online]、[平成29年8月15日検索]、インターネット〈URL:https://tenki.jp/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気象状況は、地域ごとに異なり、また、時間の経過とともに変化する。そのため、非特許文献1の配信においては、局所的な地域における現時点の気象状況まで適切に解説されているとは限らない。また、仮に、専門家が細かく区分けされた地域ごとに短い時間間隔で気象状況を解説する文章を作成しなければならないとすると、専門家の負担が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、任意の地域における気象状況を解説可能な気象状況解説装置、気象状況解説システム、気象状況解説方法および気象状況解説プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の発明に係る気象状況解説装置は、気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成する気象状態領域データ生成部と、気象状態領域データ生成部により生成された気象状態領域データを取得する気象状態領域データ取得部と、特定の空間中の基準位置を取得する基準位置取得部と、取得された気象状態領域データのうち基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得する特徴情報取得部と、気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて基準位置に関連する気象状況の解説文を選択する解説文選択部とを備える。
【0007】
この気象状況解説装置においては、特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示す気象状態領域データが取得される。また、特定の空間中の基準位置が取得され、取得された気象状態領域データのうち基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報が取得される。なお、特定の空間は、少なくとも特徴情報取得部により特徴情報が取得される対象領域内の空間が含まれていればよい。さらに、気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて基準位置に関連する気象状況の解説文が選択される。
【0008】
この構成によれば、基準位置に関連する気象状況に応じた解説文を都度作成することなく、基準位置に関連する気象状況の解説文が自動的に選択される。これにより、任意の地域における気象状況を解説することができる。
また、気象状況解説装置は、気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて気象状態領域データを生成する気象状態領域データ生成部をさらに備え、気象状態領域データ取得部は、気象状態領域データ生成部により生成された気象状態領域データを取得する。この場合、気象状態領域データを取得することが容易になる。
【0009】
(2)気象状態領域データ取得部は、気象状態領域の輪郭を示す気象ポリゴンデータを気象状態領域データとして取得してもよい。この場合、気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する領域が気象ポリゴンデータにより単純化して表される。これにより、特徴情報を容易に取得することができる。
【0010】
(3)特徴情報取得部は、対象領域における気象状態領域の幾何学的特徴に基づいて特徴情報を取得してもよい。この場合、対象領域における気象状態領域の幾何学的特徴が寄与する気象状況を解説することができる。
【0011】
(4)特徴情報取得部は、対象領域における気象状態領域の幾何学的特徴の時間的変化に基づいて特徴情報を取得してもよい。この場合、気象状況の変化を解説することができる。
【0012】
(5)特徴情報取得部は、第1の時点における気象状態領域の幾何学的特徴を第1の特徴情報として取得するとともに、第1の時点よりも前の第2の時点における気象状態領域の幾何学的特徴を第2の特徴情報とを取得し、解説文選択部は、第1および第2の特徴情報に基づいて基準位置に関連する気象状況の変化の解説文を選択してもよい。この場合、気象状況の変化を容易に解説することができる。
【0013】
(6)特徴情報取得部は、対象領域の面積と対象領域内における気象状態領域の面積との比を算出し、算出された比を特徴情報として取得してもよい。この場合、対象領域の面積と対象領域内における気象状態領域の面積との比が寄与する気象状況を解説することができる。
【0014】
(7)気象状態領域データ取得部は、気象要素の複数の状態にそれぞれ対応する複数の気象状態領域を示す複数の気象状態領域データを取得し、特徴情報取得部は、対象領域における複数の気象状態領域データの特徴情報を取得してもよい。この場合、気象要素の複数の状態が寄与する気象状況を解説することができる。
【0015】
(8)特徴情報取得部は、基準位置から気象状態領域までの距離および基準位置からの気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、解説文選択部は、基準位置から気象状態領域までの距離および基準位置からの気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入してもよい。この場合、基準位置の周辺の気象状況を解説することができる。
【0016】
(9)気象状態領域データ取得部は、気象要素の複数の状態にそれぞれ対応する複数の気象状態領域を示す複数の気象状態領域データを取得し、特徴情報取得部は、各気象状態領域について、気象要素の状態の程度を示す評価係数を設定し、基準位置までの距離と評価係数との積を実効距離として算出し、最も小さい実効距離を有する気象状態領域を特定し、基準位置から特定された気象状態領域までの距離および基準位置からの特定された気象状態領域の方角を特徴情報として取得し、解説文選択部は、基準位置から特定された気象状態領域までの距離および基準位置からの特定された気象状態領域の方角に関する情報を選択された解説文中に挿入してもよい。この構成によれば、基準位置の周辺の気象状況および気象要素の状態の程度を解説することができる。
【0017】
(10)気象状況解説装置は、特定の空間において区画された地域の名称を示す地域データを取得する地域データ取得部をさらに備え、解説文選択部は、地域データに基づいて地域の名称を選択された解説文中に挿入してもよい。この場合、具体的な地域の名称を用いて気象状況を解説することができる。
【0018】
(11)基準位置取得部は、地図上において基準位置を受け付け、受け付けられた基準位置を含む所定の大きさおよび形状を有する領域を対象領域として設定してもよい。この場合、任意の位置を含む対象領域を容易に設定することができる。
【0019】
(12)気象状況解説装置は、特定の空間において区画された地域の領域を示す地域データを取得する地域データ取得部をさらに備え、基準位置取得部は、地域データに基づいて特定の空間における地域を基準位置として取得し、取得した地域を含む領域を対象領域として設定してもよい。この場合、任意の地域を含む対象領域を容易に設定することができる。
【0021】
(13)第2の発明に係る気象状況解説システムは、気象状態領域データを記憶する気象状態領域データ記憶装置と、気象状況を解説する複数の解説文をそれぞれ示す複数の解説文データを記憶する解説文データ記憶装置と、第1の発明に係る気象状況解説装置とを備え、気象状況解説装置の気象状態領域データ取得部は、気象状態領域データ記憶装置から気象状態領域データを取得し、気象状況解説装置の解説文選択部は、解説文データ記憶装置から対象領域における気象状況の解説文を示す解説文データを選択する。
【0022】
気象状況解説システムによれば、気象状態領域データ記憶装置から気象状態領域データが気象状況解説装置により取得され、気象状態領域データに基づいて特徴情報が取得される。解説文データ記憶装置に記憶された解説文データから取得された特徴情報に基づいて対象領域における気象状況の解説文を示す解説文データが選択される。
【0023】
この構成によれば、基準位置に関連する気象状況に応じた解説文を都度作成することなく、基準位置に関連する気象状況の解説文が自動的に選択される。これにより、任意の地域における気象状況を解説することができる。
【0024】
(14)気象状況解説システムは、特定の空間中の位置を指定するために使用者により操作される操作部と、気象状況解説装置の解説文選択部により選択された解説文を表示する表示部とをさらに備え、気象状況解説装置の基準位置取得部は、操作部により指定された位置を基準位置として取得してもよい。
【0025】
この場合、使用者は、対象領域を設定するための所望の位置を容易に指定することができる。また、表示部に表示される解説文を容易に視認することができる。
【0026】
(15)第3の発明に係る気象状況解説方法は、気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成するステップと、特定の空間中の基準位置を取得するステップと、生成された気象状態領域データのうち基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得するステップと、気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて基準位置に関連する気象状況の解説文を選択するステップとを含む。
【0027】
この気象状況解説方法によれば、基準位置に関連する気象状況に応じた解説文を都度作成することなく、基準位置に関連する気象状況の解説文が自動的に選択される。これにより、任意の地域における気象状況を解説することができる。なお、特定の空間は、少なくとも特徴情報が取得される対象領域内の空間が含まれていればよい。
【0028】
(16)第4の発明に係る気象状況解説プログラムは、気象分布を示す気象データを取得し、取得された気象データに基づいて特定の空間中の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する気象状態領域を示すデータを気象状態領域データとして生成する処理と、特定の空間中の基準位置を取得する処理と、生成された気象状態領域データのうち基準位置により定められる対象領域における気象状態領域データの特徴情報を取得する処理と、気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて基準位置に関連する気象状況の解説文を選択する処理とを、処理装置に実行させる。
【0029】
この気象状況解説プログラムによれば、基準位置に関連する気象状況に応じた解説文を都度作成することなく、基準位置に関連する気象状況の解説文が自動的に選択される。これにより、任意の地域における気象状況を解説することができる。なお、特定の空間は、少なくとも特徴情報が取得される対象領域内の空間が含まれていればよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、任意の地域における気象状況を解説することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態に係る気象状況解説システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の気象サーバにより配信される気象データに基づく気象分布を示す図である。
【
図3】生成された気象ポリゴンデータに基づく気象ポリゴンを示す図である。
【
図4】生成された気象ポリゴンデータに基づく気象ポリゴンを示す図である。
【
図5】生成された気象ポリゴンデータに基づく気象ポリゴンを示す図である。
【
図6】気象関連データ記憶装置に記憶される気象関連データを示す模式図である。
【
図7】解説文の選択の第1の例における気象ポリゴンを示す図である。
【
図8】解説文の選択の第1の例における気象ポリゴンを示す図である。
【
図9】解説文の選択の第1の例における気象ポリゴンを示す図である。
【
図10】解説文の選択の第4の例を説明するための図である。
【
図11】特徴情報を決定するための特徴情報決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図13】特徴情報を決定するための特徴情報決定処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図14】解説文の選択の第2の例において解説文データ記憶装置にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図15】解説文の選択の第3の例において解説文データ記憶装置にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図16】
図16は、解説文の選択の第4の例を説明するための図である。
【
図17】解説文の選択の第4の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図18】解説文の選択の第5の例を説明するための図である。
【
図19】解説文の選択の第5の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図20】解説文の選択の第6の例を説明するための図である。
【
図21】解説文の選択の第6の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図22】解説文データ記憶装置にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図23】解説文の選択の第7の例を説明するための図である。
【
図24】解説文の選択の第7の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図25】解説文の選択の第8の例を説明するための図である。
【
図26】解説文の選択の第8の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図27】解説文の選択の第9の例を説明するための図である。
【
図28】解説文の選択の第9の例において解説文データ記憶装置に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【
図29】気象関連データ生成プログラムにより行われる気象関連データ生成処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図30】解説文表示プログラムにより行われる解説文表示処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図31】第1の変形例に係る気象状況解説システムの構成を示すブロック図である。
【
図32】第2の変形例に係る気象状況解説システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る気象状況解説装置、気象状況解説システム、気象状況解説方法および気象状況解説プログラムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
(1)気象状況解説システムの構成
図1は、本発明の実施の形態に係る気象状況解説システムの構成を示すブロック図である。気象状況解説システム100は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により実現され、図示しないCPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。ROMまたは記憶装置には、システムプログラムおよび気象状況解説プログラムが記憶される。気象状況解説システム100は、気象分布を示す気象データを配信する気象サーバと通信可能に構成される。
【0034】
気象データは、雨、雪、雲、雷、風、波、気温または気圧等の気象が場所に対応付けられたデータであり、観測または予測により得られる。気象データは、降水量、降水強度分布、雲分布、降雪量、風向風速、気温、地上気温分布、高層気温分布、地上気圧分布、高層気圧分布、地上風分布、高層風分布(鉛直成分を含む)、雷活動度分布、竜巻発生確度分布、推計気象の天気分布、震度観測点の震度または津波観測点の津波高さ等の観測値もしくは予報値であってもよい。なお、地震または土砂災害に関するデータも場所に対応付けることが可能である。したがって、本実施の形態において、気象データは、地震または土砂災害に関するデータを含んでもよい。
【0035】
気象状況解説システム100は、気象状況解説装置10、気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30、地域データ記憶装置40、解説文データ記憶装置50、操作部60および表示部70を含む。気象状況解説装置10については後述する。気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30、地域データ記憶装置40および解説文データ記憶装置50は、共通の大容量の記憶装置により構成されてもよい。気象データ記憶装置20は、気象サーバから配信される気象データを定期的に逐次取得し、記憶する。気象関連データ記憶装置30は、気象状態領域データ記憶装置の例であり、後述する気象関連データを記憶する。
【0036】
地域データ記憶装置40には、複数の地域ポリゴンデータと、複数の地域ポリゴンデータにそれぞれ対応する種々の地域付属データとからなる地域データが予め記憶される。地域ポリゴンデータは、地図上において区画された市町村等の各領域の輪郭(以下、地域ポリゴンと呼ぶ。)を示すデータであり、地図上における複数の緯度と経度との組み合わせにより表される。地域付属データは、地域ポリゴンに対応する地域名(例えば市町村名)、地域ポリゴンデータに固有の識別子、地域ポリゴンの重心および地域ポリゴンの面積を含む。解説文データ記憶装置50には、気象状況を解説するための解説文を示す複数の解説文データが予め記憶される。
【0037】
操作部60は、気象状況解説装置10に指示を与えるために使用者により操作される。表示部70は、地図および気象分布を示す画像を表示するとともに、気象状況の解説文を表示する。操作部60および表示部70は、タッチパネルディスプレイにより構成されてもよい。
【0038】
気象状況解説装置10は、気象関連データ生成部1、気象関連データ取得部2、地域データ取得部3、領域設定部4、時刻受付部5、特徴情報取得部6、解説文選択部7および出力部8を含む。気象状況解説システム100のCPUがROMまたは記憶装置に記憶された気象状況解説プログラムを実行することにより、気象状況解説装置10の構成要素(1~8)の機能が実現される。気象状況解説装置10の構成要素(1~8)の一部または全てが電子回路等のハードウエアにより構成されてもよい。
【0039】
気象関連データ生成部1は、気象状態領域データ生成部の例であり、気象データ記憶装置20から気象データを定期的に逐次取得する。また、気象関連データ生成部1は、取得された気象データに基づいて気象ポリゴンデータを定期的に逐次生成する。気象ポリゴンデータは、地図上の気象分布において所定の気象要素が予め定められた状態を有する領域の輪郭(以下、気象ポリゴンと呼ぶ。)を示すデータであり、地図上における複数の緯度と経度との組み合わせにより表される。気象関連データ生成部1は、地図上の全範囲ではなく、地図上の予め定められた範囲内における気象ポリゴンデータを生成してもよい。
【0040】
また、気象関連データ生成部1は、逐次生成される気象ポリゴンデータと、気象ポリゴンデータに対応する種々の気象付属データとを気象関連データとして気象関連データ記憶装置30に記憶させる。気象付属データは、気象データの観測時刻、気象ポリゴンデータに固有の識別子、気象ポリゴンの重心および気象ポリゴンの面積等を含む。気象関連データ取得部2は、気象状態領域データ取得部の例であり、気象関連データ記憶装置30から気象関連データを取得する。地域データ取得部3は、地域データ記憶装置40から地域データを取得する。
【0041】
領域設定部4は、基準位置取得部の例であり、使用者による操作部60の操作に基づいて地図上の所定の領域を対象領域として設定する。例えば、使用者は、表示部70に表示された地図上において、操作部60を操作することにより、所望の地点を基準点として指定することができる。この場合、領域設定部4は、基準点を中心に配置された所定の寸法を有する図形(例えば円形または矩形)を対象領域として設定する。また、使用者は、表示部70に表示された地図上において、操作部60を操作することにより、所望の地域を指定することができる。この場合、領域設定部4は、指定された地域を包含する領域を対象領域として設定する。
【0042】
時刻受付部5は、使用者による操作部60の操作に基づいて、気象関連データにおける気象データの観測時刻または予報時刻の指定を受け付ける。使用者は、操作部60を操作することにより、最新の気象データの観測時刻または予報時刻を指定することができる。なお、観測時刻は具体的な時刻ではなく、現時刻として指定されてもよい。同様に、予報時刻は具体的な時刻ではなく、現時刻からの経過時間(例えば、10分後または20分後)として指定されてもよい。
【0043】
特徴情報取得部6は、気象関連データ取得部2により取得された気象関連データ、地域データ取得部3により取得された地域データ、領域設定部4により設定された対象領域および時刻受付部5により受け付けられた時刻に基づいて、気象ポリゴンと対象領域との幾何学的関係により定まる特徴情報を抽出する。特徴情報の詳細については後述する。
【0044】
解説文選択部7は、地域データ取得部3により取得された地域データおよび特徴情報取得部6により抽出された特徴情報に基づいて、対象領域の気象状況の解説文を示す解説文データを解説文データ記憶装置50に予め記憶された複数の解説文データから選択する。
【0045】
出力部8は、解説文選択部7により選択された解説文データを表示部70に出力する。これにより、解説文データに基づく解説文が表示部70に表示される。また、出力部8は、地域データ取得部3により取得された地域データを表示部70に出力する。これにより、使用者に所望の地点または地域を指定させるための地図が表示部70に表示される。
【0046】
以下の例では、気象要素の状態として雨量を示す気象庁レーダデータを用いて気象ポリゴンデータを生成する方法を説明する。
図2は、
図1の気象データ記憶装置20に記憶された気象データに基づく気象分布を示す図である。
図1の気象関連データ生成部1は、複数の雨量をしきい値として用いることにより
図2の気象データを二値化する。その後、気象関連データ生成部1は、気象データが示す気象分布の輪郭を抽出し、抽出された輪郭を単純化することにより気象ポリゴンデータを生成する。
【0047】
図3、
図4および
図5は、生成された気象ポリゴンデータに基づく気象ポリゴンを示す図である。
図3~
図5は、雨量がそれぞれ1mm/h、30mm/hおよび80mm/hであるときの気象ポリゴンデータに対応する。以下の説明では、単位mm/hを単にミリと略記する。
図3~
図5に示すように、複数の気象ポリゴンWPをそれぞれ示す複数の気象ポリゴンデータが雨量ごとに生成される。
【0048】
なお、
図3~
図5の気象ポリゴンデータは、00時00分に観測された気象データに基づいて生成される。また、予測された気象データが配信される場合には、当該気象データに基づいて気象ポリゴンデータが予報時刻ごとに生成される。なお、予測された気象データは、例えば「気象庁降水ナウキャスト」により配信される。
【0049】
気象関連データ生成部1は、生成された複数の気象ポリゴンデータに固有の識別子を付与するとともに、各気象ポリゴンの重心および面積を算出する。また、気象関連データ生成部1は、複数の気象ポリゴンデータに対応する気象データの観測時刻を取得する。予測された気象データが配信される場合には、気象関連データ生成部1は、気象データの予報時刻をさらに取得する。気象関連データ生成部1は、複数の気象ポリゴンデータと、複数の気象ポリゴンデータにそれぞれ対応する気象付属データとを気象関連データとして
図1の気象関連データ記憶装置30に記憶させる。
【0050】
図6は、気象関連データ記憶装置30に記憶される気象関連データの例を示す模式図である。気象関連データは、各気象ポリゴンデータCPおよびそれに対応する気象付属データCAにより構成される。
図6の例では、気象付属データCAは、気象データの観測時刻、気象ポリゴンデータの識別子、雨量(しきい値)、気象ポリゴンの重心および気象ポリゴンの面積を含む。予測された気象データが配信される場合には、気象付属データCAは、気象データの予報時刻を含んでもよい。また、気象付属データCAは、雨量に代えて、雲量、地上気温、高層気温、風速、雷活動度、竜巻発生確度または降雪量等を含んでもよい。
【0051】
気象関連データ記憶装置30に記憶される気象関連データは、気象データが更新されることにより逐次更新される。一方で、過去に気象関連データ記憶装置30に記憶された気象関連データは、長期間にわたって維持される。
【0052】
(2)解説文の選択の第1の例
図7、
図8および
図9は、解説文の選択の第1の例における気象ポリゴンを示す図である。
図7~
図9は、関東地方周辺における雨量10ミリ、20ミリおよび30ミリの気象ポリゴンをそれぞれ示す。なお、
図7~
図9には、関東地方周辺の日本地図が便宜的に表示されている。
【0053】
ここで、地図上の地域を区画する線と気象ポリゴンの輪郭線との区別を容易にするために、
図7~
図9においては、気象ポリゴンの輪郭線が示されず、気象ポリゴンの内部の領域がそれぞれ異なるドットパターンにより示される。また、雨量10ミリ、20ミリおよび30ミリの気象ポリゴンの重心が黒丸、白丸およびハッチングパターン付きの丸によりそれぞれ示される。
【0054】
図10は、解説文の選択の第1の例を説明するための図である。
図10の例においては、地図上の予め定められた範囲として、関東地方周辺の地図が示される。
図10の地図は、
図1の表示部70に表示される。また、
図10には、
図7~
図9の気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。
【0055】
使用者は、
図1の操作部60を操作することにより、表示部70の地図上における所望の地点を基準点R0として指定する。使用者は、所望の緯度および経度の組み合わせにより基準点R0を指定してもよい。
図1の領域設定部4は、指定された基準点R0を中心とする直径B(km)の円形を対象領域R1として設定する。Bは例えば50である。対象領域R1は、矩形または他の形状を有してもよい。
【0056】
なお、
図10の例では、対象領域R1内の気象関連データ(気象ポリゴンデータ)のみでなく、対象領域R1外の気象関連データも取得されるが、本発明はこれに限定されない。対象領域R1外の気象関連データは取得されず、対象領域R1内の気象関連データのみが取得されてもよい。すなわち、気象関連データが取得される特定の空間は、少なくとも対象領域R1内の空間が含まれていればよい。
【0057】
使用者は、操作部60を操作することにより
図1の時刻受付部5に最新の気象データの観測時刻を指定する。予測された気象データが配信される場合には、使用者は予報時刻を指定することも可能である。予測された気象データが配信されず、気象関連データが予報時刻を含まない場合には、最新の気象データの観測時刻が自動的に指定されてもよい。後述する解説文の選択の他の例においても同様である。本例では、
図7~
図9の気象ポリゴンデータ(気象関連データ)に対応する気象データの観測時刻が指定される。
【0058】
図1の特徴情報取得部6は、気象関連データ、対象領域R1および気象データの観測時刻に基づいて、以下の特徴情報F1~F4を取得する。
図11は、特徴情報F1を決定するための特徴情報決定処理を示すフローチャートである。まず、特徴情報取得部6は、基準点R0が雨量30ミリの気象ポリゴンの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS1)。基準点R0が雨量30ミリの気象ポリゴンの範囲にある場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を30に決定し(ステップS2)、特徴情報決定処理を終了する。
【0059】
基準点R0が雨量30ミリの気象ポリゴンの範囲内にない場合、特徴情報取得部6は、基準点R0が雨量20ミリの気象ポリゴンの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS3)。基準点R0が雨量20ミリの気象ポリゴンの範囲にある場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を20に決定し(ステップS4)、特徴情報決定処理を終了する。
【0060】
基準点R0が雨量20ミリの気象ポリゴンの範囲内にない場合、特徴情報取得部6は、基準点R0が雨量10ミリの気象ポリゴンの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS5)。基準点R0が雨量10ミリの気象ポリゴンの範囲にある場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を10に決定し(ステップS6)、特徴情報決定処理を終了する。
【0061】
基準点R0が雨量10ミリの気象ポリゴンの範囲内にない場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を0に決定し(ステップS7)、特徴情報決定処理を終了する。なお、
図10の例では、基準点R0が雨量30ミリ、20ミリおよび10ミリのいずれの気象ポリゴンの範囲内にもないので、特徴情報F1は0に決定される。
【0062】
特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量10ミリの気象ポリゴンの総面積A2の比を特徴情報F2として算出する。また、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量20ミリの気象ポリゴンの総面積A3の比を特徴情報F3として算出する。さらに、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量30ミリの気象ポリゴンの総面積A4の比を特徴情報F4として算出する。すなわち、特徴情報F2はA2/A1により算出され、特徴情報F3はA3/A1により算出され、特徴情報F4はA4/A1により算出される。
【0063】
種々の気象状況の解説文を示す解説文データが気象予報士等の専門家により作成され、
図1の解説文データ記憶装置50に予め記憶される。また、解説文データには固有の解説番号が付与される。
図12は、解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
【0064】
また、解説文データ記憶装置50には、過去の一定期間(例えば1年間)における特徴情報F1~F4の値の複数の組み合わせが記憶される。さらに、特徴情報F1~F4の値の組み合わせに対応する気象状況を解説するための解説文データの解説番号が専門家により指定され、指定された解説番号と特徴情報F1~F4の値の組み合わせとの対応関係が解説文データ記憶装置50に蓄積される。
【0065】
なお、所望の気象状況を解説するための解説文データが解説文データ記憶装置50に記憶されていない場合には、専門家は、当該気象状況を解説するための解説文データを作成し、解説文データ記憶装置50に追加的に記憶させることができる。また、解説文データ記憶装置50に追加的に記憶された解説文データにも固有の解説番号が付与される。
【0066】
図1の解説文選択部7は、解説文データ記憶装置50に蓄積された対応関係に基づいて機械学習を行うことにより、特徴情報F1~F4を「説明変数」としたときに適切な解説番号を「目的変数」として選択する「学習済みモデル」を予め作成する。「学習済みモデル」は、例えばCART(Classification and Regression Tree)法アルゴリズムによる「決定木(Decision Tree)」である。
【0067】
解説文選択部7は、作成された「学習済みモデル」および特徴情報取得部6により取得された特徴情報F1~F4の値に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号から選択する。
図1の出力部8は、解説文選択部7により選択された解説番号に対応する解説文データを表示部70に出力する。これにより、対象領域R1の気象状況の解説文が表示部70に表示される。
【0068】
単純な例として、特徴情報F1が0であり、特徴情報F2~F4が極めて小さい場合には、
図12の解説番号「001」が選択され、「あなたの場所の周辺には目立った雨雲はありません。」という解説文が表示される。特徴情報F1が10であり、特徴情報F2が特徴情報F3,F4に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「002」が選択され、「あなたの場所の周辺には弱い雨を降らせる雨雲があります。」という解説文が表示される。
【0069】
特徴情報F1が20であり、特徴情報F3が特徴情報F2,F4に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「003」が選択され、「あなたの場所の周辺には強い雨を降らせる雨雲があります。」という解説文が表示される。特徴情報F1が30であり、特徴情報F4が特徴情報F2,F3に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「004」が選択され、「あなたの場所の周辺には激しい雨を降らせる雨雲があります。」という解説文が表示される。
【0070】
(3)解説文の選択の第2の例
解説文の選択の第1の例においては、雨量10ミリ、20ミリおよび30ミリの気象ポリゴンに基づいて解説文データが選択されるが、本発明はこれに限定されない。さらに他の雨量の気象ポリゴンに基づいて解説文データが選択されてもよい。以下、解説文の選択の第2の例について、解説文の選択の第1の例と異なる点を説明する。
【0071】
図13は、特徴情報F1を決定するための特徴情報決定処理の他の例を示すフローチャートである。まず、特徴情報取得部6は、基準点R0が雨量80ミリの気象ポリゴンの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS11)。基準点R0が雨量80ミリの気象ポリゴンの範囲にある場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を80に決定し(ステップS12)、特徴情報決定処理を終了する。
【0072】
基準点R0が雨量80ミリの気象ポリゴンの範囲内にない場合、特徴情報取得部6は、基準点R0が雨量50ミリの気象ポリゴンの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS13)。基準点R0が雨量50ミリの気象ポリゴンの範囲にある場合、特徴情報取得部6は、特徴情報F1を50に決定し(ステップS14)、特徴情報決定処理を終了する。基準点R0が雨量50ミリの気象ポリゴンの範囲内にない場合、特徴情報取得部6は
図11のステップS1へ進む。
【0073】
本例においては、
図1の特徴情報取得部6は、特徴情報F1~F4に加えて、以下の特徴情報F5,F6をさらに取得する。特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量50ミリの気象ポリゴンの総面積A5の比を特徴情報F5として算出する。また、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量80ミリの気象ポリゴンの総面積A6の比を特徴情報F6として算出する。すなわち、特徴情報F5はA5/A1により算出され、特徴情報F6はA6/A1により算出される。
【0074】
図14は、解説文の選択の第2の例において解説文データ記憶装置50にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。また、解説文データ記憶装置50には、過去の一定期間における特徴情報F1~F6の値の複数の組み合わせが記憶される。さらに、特徴情報F1~F6の値の組み合わせに対応する気象状況を解説するための解説文データの解説番号が専門家により指定され、指定された解説番号と特徴情報F1~F6の値の組み合わせとの対応関係が解説文データ記憶装置50に蓄積される。
【0075】
図1の解説文選択部7は、解説文データ記憶装置50に蓄積された対応関係に基づいて機械学習を行うことにより、特徴情報F1~F6を「説明変数」としたときに適切な解説番号を「目的変数」として選択する「学習済みモデル」を予め作成する。また、解説文選択部7は、作成された「学習済みモデル」および特徴情報取得部6により取得された特徴情報F1~F6の値に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号から選択する。
【0076】
単純な例として、特徴情報F1が50であり、特徴情報F5が特徴情報F2~F4,F6に比べて支配的に大きい場合には、
図14の解説番号「005」が選択され、「あなたの場所の周辺には非常に激しい雨を降らせる雨雲があります。」という解説文が表示される。特徴情報F1が80であり、特徴情報F6が特徴情報F2~F5に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「006」が選択され、「あなたの場所の周辺には猛烈な雨を降らせる雨雲があります。」という解説文が表示される。
【0077】
(4)解説文の選択の第3の例
解説文の選択の第1および第2の例においては、過去の気象データが用いられずに解説文データが選択されるが、本発明はこれに限定されない。最新の気象データに加えて、過去の気象データを用いて解説文データが選択されてもよい。以下、解説文の選択の第3の例について、解説文の選択の第1の例と異なる点を説明する。
【0078】
図1の特徴情報取得部6は、特徴情報F1~F4に加えて、以下の特徴情報F1b~F4bをさらに取得する。ここで、特徴情報F1b~F4bは、最新の気象データに対応する気象ポリゴンデータではなく、所定時間前(例えば、10分前または20分前)の気象データに対応する気象ポリゴンデータ基づいて取得される特徴情報F1~F4にそれぞれ相当する。
【0079】
図15は、解説文の選択の第3の例において解説文データ記憶装置50にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図15に示すように、本例における解説文は、現在の気象状況だけでなく、今後における気象状況の変化も解説する。また、解説文データ記憶装置50には、過去の一定期間における特徴情報F1~F4,F1b~F4bの値の複数の組み合わせが記憶される。さらに、特徴情報F1~F4,F1b~F4bの値の組み合わせに対応する気象状況を解説するための解説文データの解説番号が専門家により指定され、指定された解説番号と特徴情報F1~F4,F1b~F4bの値の組み合わせとの対応関係が解説文データ記憶装置50に蓄積される。
【0080】
図1の解説文選択部7は、解説文データ記憶装置50に蓄積された対応関係に基づいて機械学習を行うことにより、特徴情報F1~F4,F1b~F4bを「説明変数」としたときに適切な解説番号を「目的変数」として選択する「学習済みモデル」を予め作成する。また、解説文選択部7は、作成された「学習済みモデル」および特徴情報取得部6により取得された特徴情報F1~F4,F1b~F4bの値に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号から選択する。本例によれば、現在の気象状況だけでなく、今後における気象状況の変化を解説する解説文を表示部70に表示させることができる。
【0081】
上記の解説文の選択の第1~第3の例においては、機械学習により作成された「学習済みモデル」および特徴情報に基づいて解説番号が選択されるが、本発明はこれに限定されない。後述する解説文の選択の第4~第6の例と同様に、特徴情報と解説番号とが予め対応付けられ、予め対応付けられた関係および特徴情報に基づいて解説番号が選択されてもよい。
【0082】
(5)解説文の選択の第4の例
図16は、解説文の選択の第4の例を説明するための図である。
図16の例においては、地図上の予め定められた範囲として、近畿地方北部の地図が示される。
図16の地図は、
図1の表示部70に表示される。
図16には、雨量1ミリ、30ミリおよび80ミリの気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。
図7~
図9と同様に、地図上の地域を区画する線と気象ポリゴンの輪郭線との区別を容易にするために、
図16においては、気象ポリゴンの輪郭線が示されず、気象ポリゴンの内部の領域がそれぞれ異なるドットパターンにより示される。後述する
図18および
図20においても同様である。
【0083】
使用者は、
図1の操作部60を操作することにより、表示部70の地図上における所望の地点を基準点R0として指定する。
図1の領域設定部4は、指定された基準点R0を中心とする矩形を対象領域R1として設定する。本例では、東西方向にBx(km)でかつ南北方向にBy(km)の矩形が対象領域R1として設定される。BxおよびByの各々は、例えば50である。対象領域R1は、円形または他の形状を有してもよい。
【0084】
使用者は、操作部60を操作することにより
図1の時刻受付部5に最新の気象データの観測時刻を指定する。解説文の選択の第1の例と同様に、気象関連データが予報時刻を含まない場合には、最新の気象データの観測時刻が自動的に指定されてもよい。本例では、
図16の気象関連データに対応する気象データの観測時刻が指定される。
【0085】
図1の特徴情報取得部6は、対象領域R1内に含まれる雨量1ミリの気象ポリゴンのうち、基準点R0からの距離が最も小さい気象ポリゴンを検索する。ここで、対象領域R1内に含まれる気象ポリゴンとは、対象領域R1内に一部でも含まれる気象ポリゴンを意味する。また、基準点R0から気象ポリゴンまでの距離は、基準点R0から気象ポリゴンの重心までの距離ではなく、基準点R0から気象ポリゴンにおける基準点R0に最も近い輪郭部分までの距離を意味する。
【0086】
該当する雨量1ミリの気象ポリゴンが存在する場合、特徴情報取得部6は、当該気象ポリゴンに対応する識別子ID、基準点R0から当該気象ポリゴンまでの距離DISTおよび基準点R0から当該気象ポリゴンまでの方角DIRを特徴情報として取得する。ここで、距離DISTは例えばkmの単位で表される。また、方角DIRは、例えば北、北東、東、南東、南、南西、西および北西の8方角のいずれかから選択される。
【0087】
同様に、特徴情報取得部6は、対象領域R1内に含まれる雨量30ミリの気象ポリゴンのうち、基準点R0からの距離が最も小さい気象ポリゴンを検索する。該当する雨量30ミリの気象ポリゴンが存在する場合、特徴情報取得部6は、当該気象ポリゴンに対応する識別子ID、基準点R0から当該気象ポリゴンまでの距離DISTおよび基準点R0から当該気象ポリゴンまでの方角DIRを特徴情報として取得する。
【0088】
また、特徴情報取得部6は、対象領域R1内に含まれる雨量80ミリの気象ポリゴンのうち、基準点R0からの距離が最も小さい気象ポリゴンを検索する。該当する雨量80ミリの気象ポリゴンが存在する場合、特徴情報取得部6は、当該気象ポリゴンに対応する識別子ID、基準点R0から当該気象ポリゴンまでの距離DISTおよび基準点R0から当該気象ポリゴンまでの方角DIRを特徴情報として取得する。
【0089】
さらに、特徴情報取得部6は、各雨量の気象ポリゴンについての距離DISTに、雨量に応じた評価係数を乗じた値を当該雨量の気象ポリゴンの実効距離としてさらに取得する。評価係数は、雨量が大きいほど小さくなるように設定される。例えば、雨量がPR(ミリ)である場合、評価係数は1/√PRであってもよい。この場合、雨量1ミリ、30ミリおよび80ミリに対応する評価係数はそれぞれ1、約0.182および約0.112である。
【0090】
本例においては、実効距離は、雨量の違いが考慮された基準点R0から気象ポリゴンまでの距離に相当する。基準点R0からの気象ポリゴンまでの距離DISTが等しい場合、雨量が大きいほど実効距離が小さくなる。したがって、使用者は、実効距離が小さい気象ポリゴンをより警戒する必要がある。そこで、特徴情報取得部6は、取得された実効距離のうち、最も小さい実効距離を有する気象ポリゴンデータの識別子IDを特定する。上記の気象ポリゴンの探索において、いずれの気象ポリゴンも存在しない場合には、気象ポリゴンデータの識別子IDが特定されない。
【0091】
図1の解説文選択部7は、地域データ取得部3により取得された地域データに基づいて、特徴情報取得部6により特定された識別子IDが特定された気象ポリゴンデータに対応する重心を内包する地域ポリゴンを検索する。該当する地域ポリゴンが存在する場合、解説文選択部7は、当該地域ポリゴンに対応する地域名に符号「POS」を付与する。なお、一方、該当する地域ポリゴンが存在しない場合、解説文選択部7は、識別子IDが特定された気象ポリゴンデータに対応する方角DIRおよび距離DISTを取得し、「DIRの方角でかつ距離DISTkmの地点」という文言に符号「POS」を付与する。
【0092】
図17は、解説文の選択の第4の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。識別子IDが特定された場合、解説文選択部7は、当該識別子IDに対応する雨量に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を
図17の解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号「021」~「023」から選択する。一方、識別子IDが特定されていない場合、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号として解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号「024」を選択する。
【0093】
図1の出力部8は、解説文選択部7により選択された解説番号に対応する解説文データおよび符号「POS」を表示部70に出力する。なお、識別子IDが特定されていない場合には、出力部8は、符号「POS」を
図1の表示部70に出力しない。これにより、対象領域R1の気象状況の解説文が表示部70に表示される。
【0094】
例えば、雨量80ミリの気象ポリゴンデータの識別子IDが特定された場合には、
図17の解説番号「021」が選択され、「現在、京都市に激しい雨が降っています。」という解説文が表示される。雨量30ミリの気象ポリゴンデータの識別子IDが特定された場合には、解説番号「022」が選択され、「現在、東の方角でかつ距離10kmの地点に強い雨が降っています。」という解説文が表示される。
【0095】
雨量1ミリの気象ポリゴンデータの識別子IDが特定された場合には、解説番号「023」が選択される。この場合、「現在、北の方角でかつ距離1kmの地点に雨が降っています。」という解説文が表示される。識別子IDが特定されない場合には、解説番号「024」が選択され、「現在、周辺に目立った雨雲はありません。」という解説文が表示される。このように、本例においては、具体的な地域名を解説文に挿入することができる。
【0096】
(6)解説文の選択の第5の例
解説文の選択の第1~第4の例においては、基準点R0が指定されることにより対象領域R1が設定されるが、本発明はこれに限定されない。いずれかの地域が指定されることにより対象領域R1が指定されてもよい。以下、解説文の選択の第5の例について、解説文の選択の第4の例と異なる点を説明する。
図18は、解説文の選択の第5の例を説明するための図である。
【0097】
使用者は、
図1の操作部60を操作することにより、
図18の表示部70の地図上における所望の地域を指定する。
図1の領域設定部4は、指定された地域に対応する地域ポリゴンを予め定められた距離B(km)だけ外方に広げた領域を対象領域R1として設定する。
図18の例では、使用者は京都市を指定する。これにより、京都市を取り囲む対象領域R1が設定される。なお、距離Bは0であってもよい。この場合、指定された地域に対応する地域ポリゴンが対象領域R1として設定される。
【0098】
図1の特徴情報取得部6は、気象関連データ、対象領域R1および気象データの観測時刻に基づいて、以下の特徴情報F11,F12,F13を取得する。具体的には、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量1ミリの気象ポリゴンの総面積A11の比を特徴情報F11として算出する。また、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量30ミリの気象ポリゴンの総面積A12の比を特徴情報F12として算出する。さらに、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の雨量80ミリの気象ポリゴンの総面積A13の比を特徴情報F13として算出する。すなわち、特徴情報F11はA11/A1により算出され、特徴情報F12はA12/A1により算出され、特徴情報F13はA13/A1により算出される。
【0099】
図19は、解説文の選択の第5の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図1の解説文選択部7は、特徴情報取得部6により取得された特徴情報F11~F13の値に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号から選択する。
図1の出力部8は、解説文選択部7により選択された解説番号に対応する解説文データを表示部70に出力する。これにより、対象領域R1の気象状況の解説文が表示部70に表示される。
【0100】
例えば、特徴情報F13が0.3以上である場合には、
図19の解説番号「031」が選択され、「現在、広い範囲で猛烈な雨が降っています。」という解説文が表示される。特徴情報F13が0.1以上でかつ0.3未満である場合には、解説番号「032」が選択され、「現在、所々で猛烈な雨が降っています。」という解説文が表示される。
【0101】
特徴情報F13が0.1未満でかつ特徴情報F12が0.3以上である場合には、解説番号「033」が選択され、「現在、広い範囲で激しい雨が降っています。」という解説文が表示される。特徴情報F12が0.1以上でかつ0.3未満である場合には、解説番号「034」が選択され、「現在、所々で激しい雨が降っています。」という解説文が表示される。
【0102】
特徴情報F12が0.1未満でかつ特徴情報F11が0.3以上である場合には、解説番号「035」が選択され、「現在、広い範囲で雨が降っています。」という解説文が表示される。特徴情報F11が0.1以上でかつ0.3未満である場合には、解説番号「036」が選択され、「現在、所々で雨が降っています。」という解説文が表示される。特徴情報F11が0.1未満である場合には、解説番号「037」が選択され、「現在、目立った雨雲はありません。」という解説文が表示される。
【0103】
(7)解説文の選択の第6の例
解説文の選択の第1~第5の例においては、気象データの観測時刻が指定されるが、本発明はこれに限定されない。気象データの予報時刻が指定されてもよい。以下、解説文の選択の第6の例について、解説文の選択の第5の例と異なる点を説明する。
図20は、解説文の選択の第6の例を説明するための図である。
【0104】
使用者は、
図1の操作部60を操作することにより、表示部70の地図上における所望の地点を基準点R0として指定する。
図1の領域設定部4は、指定された基準点R0を中心とする直径B(km)の円形を対象領域R1として設定する。Bは例えば50である。対象領域R1は、矩形または他の形状を有してもよい。使用者は、操作部60を操作することにより
図1の時刻受付部5に気象データの所望の予報時刻を指定する。なお、
図18には、指定された予報時刻に対応する雨量1ミリ、30ミリおよび80ミリの気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。
【0105】
図1の特徴情報取得部6は、気象関連データ、対象領域R1および気象データの予報時刻に基づいて、特徴情報F21,F22,F23を取得する。ここで、特徴情報F21~F23は、観測された気象データではなく指定された予報時刻における気象データに基づく気象ポリゴンを用いて算出される点を除き、解説文の選択の第5の例における特徴情報F11~F13とそれぞれ同様である。
【0106】
図21は、解説文の選択の第6の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図1の解説文選択部7は、特徴情報取得部6により取得された特徴情報F21~F23の値の値に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を解説文データ記憶装置50に記憶された解説番号から選択する。これにより、対象領域R1の気象状況の解説文が表示部70に表示される。
【0107】
例えば、特徴情報F23が0.1以上である場合には、
図21の解説番号「041」が選択され、「この後、激しい雨が降る恐れがあります。」という解説文が表示される。特徴情報F23が0.1未満でかつ特徴情報F22が0.1以上である場合には、解説番号「042」が選択され、「この後、強い雨が降る恐れがあります。」という解説文が表示される。特徴情報F22が0.1未満でかつ特徴情報F21が0.6以上である場合には、解説番号「043」が選択され、「この後、雨が降るでしょう。」という解説文が表示される。
【0108】
特徴情報F21が0.2以上でかつ0.6未満である場合には、解説番号「044」が選択され、「この後、雨が降ることがあるでしょう。」という解説文が表示される。特徴情報F21が0.1未満である場合には、解説番号「045」が選択され、「この後、しばらく雨は降らないでしょう。」という解説文が表示される。このように、気象データの予報時刻が指定される場合には、予測される気象データの不確定さを考慮した解説文が表示される。
【0109】
上記の解説文の選択の第4~第6の例においては、特徴情報と解説番号とが予め対応付けられ、予め対応付けられた関係および特徴情報に基づいて解説番号が選択されるが、本発明はこれに限定されない。解説文の選択の第1~第3の例と同様に、機械学習により作成された「学習済みモデル」および特徴情報に基づいて解説番号が選択されてもよい。
【0110】
この構成においては、解説文データ記憶装置50に、過去の一定期間(例えば1年間)における特徴情報の値の複数の組み合わせが記憶される。さらに、特徴情報の値の組み合わせに対応する気象状況を解説するための解説文データの解説番号が専門家により指定され、指定された解説番号と特徴情報の値の組み合わせとの対応関係が解説文データ記憶装置50に蓄積される。解説文選択部7は、解説文データ記憶装置50に蓄積された対応関係に基づいて機械学習を行うことにより、特徴情報を「説明変数」としたときに適切な解説番号を「目的変数」として選択する「学習済みモデル」を予め作成する。
【0111】
また、解説文の選択の第3の例と同様に、最新の気象データに加えて、過去の気象データを用いて解説文データが選択されてもよい。この場合、特徴情報は、最新の気象データに基づく特徴情報に加えて、所定時間前(例えば、10分前または20分前)の気象データに基づく特徴情報を含む。さらに、解説文データ記憶装置50には、現在の気象状況だけでなく、今後における気象状況の変化も解説する解説文を示す解説文データおよび解説番号がさらに記憶される。
【0112】
図22は、解説文データ記憶装置50にさらに記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。解説文選択部7は、作成された「学習済みモデル」および特徴情報に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を
図22の解説番号から選択する。これにより、現在の気象状況だけでなく、今後における気象状況の変化を解説する解説文を表示部70に表示させることができる。
【0113】
(8)解説文の選択の第7の例
解説文の選択の第1~第6の例においては、気象要素の状態は雨量であるが、本発明はこれに限定されない。気象要素の状態は、晴れ状態、雲量、地上気温、高層気温、風速、雷活動度、竜巻発生確度または降雪量等であってもよい。解説文の選択の第7の例においては、
図1の気象関連データ記憶装置30は、気象データとして「気象庁推計気象分布(天気)」を用いて晴れ領域の気象ポリゴンデータを生成する。晴れ領域の気象ポリゴンデータの生成方法は、雨量の気象ポリゴンデータの生成方法と同様である。ここで、「気象庁推計気象分布(天気)」は、晴れ、曇り、雨および雪の分布を示すので、晴れ領域と他の天気(曇り、雨および雪)の領域とを識別するしきい値を用いて気象ポリゴンデータを生成することができる。
【0114】
図23は、解説文の選択の第7の例を説明するための図である。
図23の例においては、地図上の予め定められた範囲として、近畿地方北部の地図が示される。
図23の地図は、
図1の表示部70に表示される。また、
図23には、晴れ領域の気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。地図上の地域を区画する線と気象ポリゴンの輪郭線との区別を容易にするために、
図23においては、気象ポリゴンの輪郭線が示されず、気象ポリゴンの内部の領域がドットパターンにより示される。
【0115】
解説文の選択の第5の例と同様に、使用者は、
図1の操作部60を操作することにより、
図23の表示部70の地図上における所望の地域(
図23の例では京都市)を指定する。これにより、対象領域R1が設定される。解説文の選択の第1~第4および第6の例と同様に、使用者により指定された基準点R0に基づいて対象領域R1が設定されてもよい。
図1の特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積に対する対象領域R1内の晴れ領域の気象ポリゴンの総面積の比を特徴情報として算出する。
【0116】
図24は、解説文の選択の第7の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図1の解説文選択部7は、特徴情報取得部6により取得された特徴情報に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を
図24の解説番号から選択する。
【0117】
ここで、特徴情報と解説番号とが予め対応付けられ、予め対応付けられた関係および特徴情報に基づいて解説番号が選択されてもよい。あるいは、機械学習により作成された「学習済みモデル」および特徴情報に基づいて解説番号が選択されてもよい。
図1の出力部8は、解説文選択部7により選択された解説番号に対応する解説文データを表示部70に出力する。これにより、対象領域R1における晴れ領域を解説する解説文が表示部70に表示される。
【0118】
(9)解説文の選択の第8の例
解説文の選択の第8の例においては、
図1の気象関連データ記憶装置30は、雷活動度を示す気象データを用いて気象ポリゴンデータを生成する。なお、雷活動度を示す気象データは、例えば「気象庁雷ナウキャスト」により配信される。雷活動度の気象ポリゴンデータの生成方法は、雨量の気象ポリゴンデータの生成方法と同様であり、複数の雷活動度がしきい値として用いられる。
【0119】
以下、解説文の選択の第8の例について、解説文の選択の第7の例と異なる点を説明する。
図25は、解説文の選択の第8の例を説明するための図である。
図25には、雷活動度の気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。
図1の特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積に対する対象領域R1内の雷活動度の気象ポリゴンの総面積の比を特徴情報として算出する。
【0120】
図26は、解説文の選択の第8の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図1の解説文選択部7は、特徴情報取得部6により取得された特徴情報に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を
図26の解説番号から選択する。これにより、対象領域R1における雷活動度を解説する解説文が表示部70に表示される。
【0121】
(10)解説文の選択の第9の例
解説文の選択の第9の例においては、
図1の気象関連データ記憶装置30は、気象データとして「気象庁推計気象分布(気温)」を用いて気温の気象ポリゴンデータを生成する。気温の気象ポリゴンデータの生成方法は、雨量の気象ポリゴンデータの生成方法と同様であり、複数の気温がしきい値として用いられる。具体的には、温度35℃、30℃、0℃および-5℃がしきい値として用いられ、35℃以上、30℃以上、0℃以下および-5℃以下を有する気象ポリゴンを示す気象ポリゴンデータが生成される。
【0122】
以下、解説文の選択の第9の例について、解説文の選択の第7の例と異なる点を説明する。
図27は、解説文の選択の第9の例を説明するための図である。
図27には、複数の気温の気象ポリゴンが便宜的に表示されているが、実際には表示部70に表示されない。ここで、複数の気象ポリゴンの輪郭線が示されず、気象ポリゴンの内部の領域がそれぞれ異なるドットパターンにより示される。
【0123】
図1の特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の気温35℃の気象ポリゴンの総面積A31の比を特徴情報F31として算出し、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の気温30℃の気象ポリゴンの総面積A32の比を特徴情報F32として算出する。また、特徴情報取得部6は、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の気温0℃の気象ポリゴンの総面積A33の比を特徴情報F33として算出し、対象領域R1の面積A1に対する対象領域R1内の気温-5℃の気象ポリゴンの総面積A34の比を特徴情報F34として算出する。すなわち、特徴情報F31はA31/A1により算出され、特徴情報F32はA32/A1により算出され、特徴情報F33はA33/A1により算出され、特徴情報F34はA34/A1により算出される。
【0124】
図28は、解説文の選択の第9の例において解説文データ記憶装置50に記憶された解説文データに基づく解説文および解説番号を示す図である。
図1の解説文選択部7は、特徴情報取得部6により取得された特徴情報に基づいて、対象領域R1の気象状況の解説文を示す解説文データの解説番号を
図28の解説番号から選択する。これにより、対象領域R1における気温を解説する解説文が表示部70に表示される。
【0125】
単純な例として、特徴情報F31が特徴情報F32~F34に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「081」が選択され、「〇〇市では、気温が35℃度以上のところが広がってきています。熱中症に警戒してください。」という解説文が表示される。特徴情報F32が特徴情報F31,F33,F34に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「082」が選択され、「〇〇市では、気温が30℃度以上のところが広がってきています。熱中症に警戒してください。」という解説文が表示される。
【0126】
特徴情報F33が特徴情報F31,F32,F34に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「083」が選択され、「〇〇市では、気温が氷点下のところが広がってきています。路面の凍結に注意してください。」という解説文が表示される。特徴情報F34が特徴情報F31~F33に比べて支配的に大きい場合には、解説番号「084」が選択され、「〇〇市では、気温がマイナス5℃度以下のところが広がってきています。路面の凍結に警戒してください。」という解説文が表示される。
【0127】
(11)気象状況解説処理
気象状況解説プログラムは、気象関連データ生成プログラムおよび解説文表示プログラムを含む。
図29は、気象関連データ生成プログラムにより行われる気象関連データ生成処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。まず、気象関連データ生成部1は、気象データ記憶装置20から気象データを取得する(ステップS21)。
【0128】
次に、気象関連データ生成部1は、ステップS21で取得された気象データに基づいて気象ポリゴンデータを生成する(ステップS22)。ステップS22において、気象要素の状態におけるしきい値が複数存在する場合には、気象関連データ生成部1は、しきい値ごとに気象ポリゴンデータを生成する。また、ステップS21で予測された気象データが取得される場合には、気象関連データ生成部1は、予報時刻ごとに気象ポリゴンデータを生成する。
【0129】
続いて、気象関連データ生成部1は、ステップS22で生成された気象ポリゴンデータに対応する種々の気象付属データを取得する(ステップS23)。気象付属データは、気象データの観測時刻、予報時刻、気象ポリゴンデータに固有の識別子、気象要素の状態におけるしきい値、気象ポリゴンの重心および気象ポリゴンの面積等を含む。ステップS23において、気象ポリゴンデータが複数存在する場合には、気象関連データ生成部1は、気象ポリゴンデータごとに気象付属データを取得する。
【0130】
次に、気象関連データ生成部1は、ステップS22で生成された気象ポリゴンデータとステップS23で取得された気象付属データとを気象関連データとして気象関連データ記憶装置30に記憶させる(ステップS24)。その後、気象関連データ生成部1はステップS1に戻り、ステップS21~S24が繰り返される。これにより、最新の気象データに基づいて気象関連データが生成され、気象関連データ記憶装置30に記憶される。また、過去に生成された気象関連データは、長期間にわたって気象関連データ記憶装置30に維持される。
【0131】
図30は、解説文表示プログラムにより行われる解説文表示処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。まず、気象関連データ取得部2は、気象関連データ記憶装置30から気象関連データを取得する(ステップS31)。また、地域データ取得部3は、地域データ記憶装置40から地域データを取得する(ステップS32)。ステップS31,S32は、いずれが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。次に、出力部8は、ステップS32で取得された地域データに基づいて表示部70に地図を表示させる(ステップS33)。
【0132】
ここで、領域設定部4は、ステップS33で表示された地図上の領域が指定されたか否かを判定する(ステップS34)。使用者は、操作部60を操作することにより、地図上の所望の地点または所望の地域を領域として指定することができる。領域が指定されていない場合、領域設定部4は、領域が指定されるまで待機する。領域が指定された場合、領域設定部4は、指定された領域に基づいて対象領域を設定する(ステップS35)。
【0133】
その後、時刻受付部5は、予報時刻が指定されたか否かを判定する(ステップS36)。使用者は、操作部60を操作することにより、気象データの観測時刻または予報時刻を指定することができる。予報時刻が指定されていない場合、すなわち観測時刻が指定された場合、特徴情報取得部6は、ステップS31で取得された気象関連データ、ステップS32で取得された地域データ、ステップS35で設定された対象領域R1および指定された観測時刻に基づいて特徴情報を取得する(ステップS37)。
【0134】
一方で、ステップS36で予報時刻が指定された場合、特徴情報取得部6は、ステップS31で取得された気象関連データ、ステップS32で取得された地域データ、ステップS35で設定された対象領域R1および指定された予報時刻に基づいて特徴情報を取得する(ステップS38)。なお、ステップS31で取得された気象関連データの気象付属データに予報時刻が含まれていない場合、ステップS36がスキップされ、ステップS37が実行されてもよい。
【0135】
次に、解説文選択部7は、ステップS37またはステップS38で取得された特徴情報に基づいて、解説文データを解説文データ記憶装置50に記憶された複数の解説文データから選択する(ステップS39)。その後、出力部8は、ステップS39で選択された解説文データに基づく解説文を表示部70に表示させ(ステップS40)、解説文表示プログラムを終了する。
【0136】
(12)効果
本実施の形態に係る気象状況解説装置10においては、気象ポリゴンデータが気象関連データ取得部2により取得される。また、指定された地図上の地点または地域により定められる対象領域における気象ポリゴンデータの特徴情報が特徴情報取得部6により取得される。さらに、気象状況を解説するために予め準備された複数の解説文から、特徴情報に基づいて指定された地点または地域に関連する気象状況の解説文が解説文選択部7により選択される。
【0137】
この構成によれば、指定された地点または地域に関連する気象状況に応じた解説文を都度作成することなく、当該地点または地域に関連する気象状況の解説文が自動的に選択される。これにより、任意の地域における気象状況を解説することができる。
【0138】
(13)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、気象状況解説システム100が共通の情報処理装置により実現されるが、本発明はこれに限定されない。気象状況解説システム100が複数の情報処理装置により実現されてもよい。例えば、気象状況解説装置10、気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30および地域データ記憶装置40がパーソナルコンピュータにより実現され、解説文データ記憶装置50、操作部60および表示部70が携帯端末等のスマートデバイスにより実現されてもよい。
【0139】
あるいは、気象状況解説装置10、気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30、地域データ記憶装置40および解説文データ記憶装置50がパーソナルコンピュータにより実現され、操作部60および表示部70がスマートデバイスにより実現されてもよい。これらの場合、スマートデバイスには、地域または時刻の指定を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示するアプリケーションプログラムが設けられてもよい。
【0140】
また、気象状況解説システム100は複数組の操作部60および表示部70を含んでもよく、複数組の操作部60および表示部70は複数のスマートデバイスによりそれぞれ実現されてもよい。この場合、共通のパーソナルコンピュータと複数のスマートデバイスとにより気象状況解説システム100を実現することができる。したがって、複数の使用者が自己のスマートデバイスを通して共通のパーソナルコンピュータを利用することにより、所望の地域における気象状況の解説文を自己のスマートデバイスに表示させることができる。
【0141】
具体的には、いずれかの使用者が自己のスマートデバイスのタッチパネルディスプレイ(操作部60)を操作することにより所望の地域を指定する。また、使用者は、気象データの観測時刻等も指定可能である。この場合、指定された地域における気象状況の解説文データが共通のパーソナルコンピュータにより選択され、選択された解説文データに基づく解説文がその使用者のスマートデバイスのタッチパネルディスプレイ(表示部70)に表示される。
【0142】
さらに、気象状況解説装置10の構成要素(1~8)の一部の機能がパーソナルコンピュータにより実現され、他の機能がスマートデバイスにより実現されてもよい。
図31は、第1の変形例に係る気象状況解説システム100の構成を示すブロック図である。第1の変形例においては、気象状況解説システム100は、パーソナルコンピュータAおよびスマートデバイスBにより構成される。
【0143】
パーソナルコンピュータAは、気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30および地域データ記憶装置40を含むとともに、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。ROMまたは記憶装置には、気象状況解説プログラムの一部が記憶される。パーソナルコンピュータAのCPUがROMまたは記憶装置に記憶された気象状況解説プログラムの一部をRAM上で実行することにより、気象関連データ生成部1、気象関連データ取得部2および地域データ取得部3の機能が実現される。
【0144】
スマートデバイスBは、解説文データ記憶装置50、操作部60、表示部70および通信部80を含むとともに、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。ROMまたは記憶装置には、気象状況解説プログラムの他の一部が記憶される。スマートデバイスBのCPUがROMまたは記憶装置に記憶された気象状況解説プログラムの他の一部をRAM上で実行することにより、領域設定部4、時刻受付部5、特徴情報取得部6、解説文選択部7および出力部8の機能が実現される。
【0145】
図31の例においては、スマートデバイスBの領域設定部4により設定された対象領域および時刻受付部5により受け付けられた時刻は、通信部80を介してパーソナルコンピュータAの気象関連データ取得部2に与えられる。本例においては、通信部80と気象関連データ取得部2との間の通信は無線通信であるが、本発明はこれに限定されない。通信部80と気象関連データ取得部2との間の通信は、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いた有線通信であってもよい。
【0146】
図32は、第2の変形例に係る気象状況解説システム100の構成を示すブロック図である。第1の変形例と同様に、第2の変形例においては、気象状況解説システム100は、パーソナルコンピュータAおよびスマートデバイスBにより構成される。
【0147】
パーソナルコンピュータAは、気象データ記憶装置20、気象関連データ記憶装置30、地域データ記憶装置40および解説文データ記憶装置50を含むとともに、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。ROMまたは記憶装置には、気象状況解説プログラムの一部が記憶される。パーソナルコンピュータAのCPUがROMまたは記憶装置に記憶された気象状況解説プログラムの一部をRAM上で実行することにより、気象関連データ生成部1、気象関連データ取得部2および地域データ取得部3、特徴情報取得部6、解説文選択部7および出力部8の機能が実現される。
【0148】
スマートデバイスBは、操作部60、表示部70および通信部80を含むとともに、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。ROMまたは記憶装置には、気象状況解説プログラムの他の一部が記憶される。スマートデバイスBのCPUがROMまたは記憶装置に記憶された気象状況解説プログラムの他の一部をRAM上で実行することにより、領域設定部4および時刻受付部5の機能が実現される。
【0149】
図32の例においては、
図31の例と同様に、スマートデバイスBの領域設定部4により設定された対象領域および時刻受付部5により受け付けられた時刻は、通信部80を介してパーソナルコンピュータAの気象関連データ取得部2に与えられる。また、パーソナルコンピュータAの出力部8からの解説文データは、スマートデバイスBの通信部80を介して表示部70に与えられる。なお、通信部80と気象関連データ取得部2または出力部8との間の通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0150】
(b)上記実施の形態において、気象関連データ取得部2は気象関連データ記憶装置30から気象関連データを取得するが、本発明はこれに限定されない。気象関連データ取得部2は、気象関連データ生成部1から気象関連データを直接的に取得してもよい。
【0151】
(c)上記実施の形態において、解説文が表示部70に表示されるが、本発明はこれに限定されない。気象状況解説システム100がスピーカ等の音声出力部を含む場合には、解説文が音声として出力されてもよい。
【0152】
(d)上記実施の形態において、気象状態領域の輪郭を示す気象ポリゴンデータに基づいて特徴情報が取得されるが、本発明はこれに限定されない。気象状態領域を示す他のデータに基づいて特徴情報が取得されてもよい。例えば、気象データが二値化されたデータ(単純化される前のデータ)に基づいて特徴情報が取得されてもよい。あるいは、気象状態領域の輪郭のみでなく輪郭の内部をも示すデータに基づいて特徴情報が取得されてもよい。
【0153】
(e)上記実施の形態において、地図上の所定の領域が対象領域として設定されるが、本発明はこれに限定されない。特定の空間中の所定の領域が対象領域として設定されてもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…気象関連データ生成部,2…気象関連データ取得部,3…地域データ取得部,4…領域設定部,5…時刻受付部,6…特徴情報取得部,7…解説文選択部,8…出力部,10…気象状況解説装置,20…気象データ記憶装置,30…気象関連データ記憶装置,40…地域データ記憶装置,50…解説文データ記憶装置,60…操作部,70…表示部,80…通信部,100…気象状況解説システム,A…パーソナルコンピュータ,B…スマートデバイス,R0…基準点,R1…対象領域,WP…気象ポリゴン