(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】布類展開装置
(51)【国際特許分類】
D06F 67/04 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
D06F67/04
(21)【出願番号】P 2017187007
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-08-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 誉生
(72)【発明者】
【氏名】出上 弘幸
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-149491(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が布類を投入する複数の投入部と、
前記複数の投入部のそれぞれに対応させて設けられた複数の中継部と、
前記布類を展開する展張部と、を備え、
前記投入部は、
前記布類の一辺の両端角部を把持する一対の投入チャックと、
前記投入チャックを昇降させる昇降機と、を備え、
前記展張部は、
前記布類の前記一辺の前記両端角部を把持する一対の展張チャックと、
前記複数の中継部の背後において前記展張チャックを横行させる横行機と、を備え、
前記中継部は、
受渡位置まで上昇した前記投入チャックの背後に設けられた一対の中継チャックと、
前記中継チャックを、前記投入チャックから前記布類の前記一辺の前記両端角部を受け取る前進位置と、前記展張チャックに前記布類の前記一辺の前記両端角部を受け渡す後退位置との間で移動させる駆動部と、を備え、
前記中継部の前記駆動部は、
先端部に前記中継チャックが取り付けられ、旋回半径方向に伸縮可能な旋回体と、
前記旋回体を旋回させるアクチュエータと、を備え、
前記中継部は、前記受渡位置まで上昇した前記投入チャックから前記布類を受け取り、該布類を前記展張部に受け渡し、
前記中継部に前記布類を受け渡した前記投入チャックは、投入位置まで下降する
ことを特徴とする布類展開装置。
【請求項2】
前記一対の展張チャックは、一の前記中継部の背後まで移動して、該中継部から前記布類を受け取る
ことを特徴とする請求項
1記載の布類展開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類展開装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、洗濯済みのシーツ、包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなどの布類を展開し、次工程の処理装置に投入するための布類展開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院などでは大量にシーツが使用される。使用済みのシーツはランドリー工場で洗濯、アイロンがけされ、再度ホテルや病院などで使用される。ランドリー工場では、シーツなどの布類を洗濯した後、ロールアイロナーでアイロンがけしたり、布類折畳装置で折り畳んだりする作業が行なわれる。これらの処理装置に布類を供給するには、予め布類を展開させる必要がある。布類を展開する作業を作業員が行う場合、作業に多大な時間と労力が必要である。そこで、近年では、布類展開装置を用いてこの作業を行っている。
【0003】
特許文献1に開示された布類展開装置は、概略つぎのように構成されている。
布類展開装置は4つの投入チャックを有している。作業員が布類を投入チャックに取り付けると、投入チャックが上昇して待機する。横行チャックが投入チャックに対向する位置に移動して布類を受け取り、機枠中央位置まで移動する。機枠中央部に位置する受渡装置は、横行チャックが保持している布類を広げチャックに受け渡す。広げチャックが布類を広げて吊り下げることで、布類を四角形に展開する。この状態の布類を装置内に引き込んだ後、後続の処理装置に向けて排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の布類展開装置において、布類を把持した投入チャックは、上昇した後に、横行チャックに布類を受け渡すまで待機する。その間、作業員は次の布類を投入チャックに取り付ける作業ができない。したがって、作業員に待ち時間が生じて効率的でない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、作業員による投入作業の待ち時間を短縮でき、生産効率の高い布類展開装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の布類展開装置は、作業員が布類を投入する複数の投入部と、前記複数の投入部のそれぞれに対応させて設けられた複数の中継部と、前記布類を展開する展張部と、を備え、前記投入部は、前記布類の一辺の両端角部を把持する一対の投入チャックと、前記投入チャックを昇降させる昇降機と、を備え、前記展張部は、前記布類の前記一辺の前記両端角部を把持する一対の展張チャックと、前記複数の中継部の背後において前記展張チャックを横行させる横行機と、を備え、前記中継部は、受渡位置まで上昇した前記投入チャックの背後に設けられた一対の中継チャックと、前記中継チャックを、前記投入チャックから前記布類の前記一辺の前記両端角部を受け取る前進位置と、前記展張チャックに前記布類の前記一辺の前記両端角部を受け渡す後退位置との間で移動させる駆動部と、を備え、前記中継部の前記駆動部は、先端部に前記中継チャックが取り付けられ、旋回半径方向に伸縮可能な旋回体と、前記旋回体を旋回させるアクチュエータと、を備え、前記中継部は、前記受渡位置まで上昇した前記投入チャックから前記布類を受け取り、該布類を前記展張部に受け渡し、前記中継部に前記布類を受け渡した前記投入チャックは、投入位置まで下降することを特徴とする。
第2発明の布類展開装置は、第1発明において、前記一対の展張チャックは、一の前記中継部の背後まで移動して、該中継部から前記布類を受け取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、中継部が複数の投入部のそれぞれに設けられているので、中継部が布類を受け取り可能な状態になるまで投入チャックが待機する時間を短縮でき、投入チャックをすぐに投入位置まで下降できる。その結果、作業員による投入作業の待ち時間を短縮でき、布類展開装置の生産効率を高くできる。また、旋回体が伸縮することで、布類の受け渡しをスムーズに行なうことができる。
第2発明によれば、一対の展張チャックが横行することで、いずれの中継部からも布類を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る布類展開装置の正面図である。
【
図3】
図1の布類展開装置の正面図である。ただし、中継部を省略している。
【
図4】展張部により布類を展開して吊り下げた状態の説明図である。
【
図5】図(A)は旋回体を収縮させた状態の中継部の正面図である。図(B)は旋回体を伸長させた状態の中継部の正面図である。
【
図6】図(A)は旋回体を収縮させた状態の中継部の側面図である。図(B)は旋回体を伸長させた状態の中継部の側面図である。
【
図7】工程(1)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図8】工程(2)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図9】工程(3)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図10】工程(4)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図11】工程(5)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図12】工程(6)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図13】工程(7)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図14】工程(8)における中継部近傍の拡大側面図である。
【
図15】工程(9)における中継部近傍の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る布類展開装置1は、洗濯済みのシーツ、包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなどの大形の方形状布類Cを展開し、ロールアイロナーなどの次工程装置に供給するための装置である。本明細書では、布類展開装置1の前後・左右・上下方向を
図1および
図2に示すように定義する。
【0011】
(基本構成)
つぎに、布類展開装置1の基本構成を動作と共に説明する。
図1および
図2に示すように、布類展開装置1は機枠10を備えている。また、布類展開装置1は、以下に説明する各種装置の動作を制御する制御部20を備えている。制御部20は、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。
【0012】
機枠10の前面には作業員が布類Cを投入する投入部30が設けられている。投入部30は、布類Cを把持する投入チャック31と、投入チャック31を昇降させる昇降機32とからなる。昇降機32は本体部32aと、昇降部32bとからなり、昇降部32bを本体部32aに沿って昇降させることができる。昇降部32bに投入チャック31を支持するチャックベース33が固定されている。
【0013】
チャックベース33は人の肩幅程度の幅を有している。チャックベース33の左右両端部に、それぞれ一対の投入チャック31、31が設けられている。布類Cの一辺の両端角部が、それぞれ一対の投入チャック31、31に把持される。
【0014】
昇降機32の駆動により、投入チャック31は、作業員が布類Cを投入チャック31に取り付ける投入位置(
図2における実線)と、最上端まで上昇した受渡位置(
図2における二点鎖線)との間で昇降する。作業員が手作業で布類Cを投入チャック31に取り付けると、昇降機32は投入チャック31とともに布類Cを上昇させる。
【0015】
布類展開装置1には複数の投入部30が備えられている。本実施形態では、投入部30が4基設けられており、いずれの投入部30からでも布類Cを投入できるようになっている。
【0016】
複数の投入部30のそれぞれに対応させて、複数の中継部40が設けられている。中継部40の数は投入部30の数と同数である。本実施形態では、中継部40が4基設けられている。中継部40は受渡位置まで上昇した投入チャック31の背後に配置されている。各中継部40は、それに対応する投入部30から布類Cを受け取り、その布類Cを展張部50に受け渡す機能を有する。中継部40の構成は後述する。
【0017】
中継部40の背後には布類Cを展開する展張部50が設けられている。
図3に示すように、展張部50は、布類Cの一辺の両端角部を把持する一対の展張チャック51、51と、一対の展張チャック51、51を個別に横行させる横行機52とからなる。各展張チャック51は複数の中継部40の背後において横行する。
【0018】
図2に示すように、作業員が手作業で布類Cを投入チャック31に取り付けると、投入チャック31は布類Cを把持したまま上昇する。投入チャック31が受渡位置まで上昇すると、投入チャック31から中継部40に布類Cが受け渡される。その後、中継部40から展張チャック51、51に布類Cが受け渡される。一対の展張チャック51、51が左右に開くように横行することで、布類Cは展開状態で吊り下げられる(
図4の状態)。
【0019】
機枠10の下部には、整形ダクト61と、整形ダクト61に接続したブロワー62とが設けられている。布類Cの両端角部を展張チャック51、51で把持しつつ、布類Cの下方部分を整形ダクト61内に吸引する。これにより、布類Cの皺取りが行われる。
【0020】
展張部50の下方には、前後進可能なバキュームボックス71が配置されている。バキュームボックス71の下方には、一次コンベア72が配置されている。一次コンベア72の搬送面の下方にはバキュームボックス73が配置されている。一次コンベア72の後方には、二次コンベア74が接続されている。
【0021】
整形ダクト61による皺取りの後、バキュームボックス71を前進させて布類Cに接触させるとともに、展張チャック51、51を開くと、布類Cの上端縁がバキュームボックス71に吸着される。つぎに、バキュームボックス71を後進させると、布類Cの上端縁がバキュームボックス71から一次コンベア72に乗り移る。この際、バキュームボックス73は作動した状態であり、一次コンベア72に布類Cが吸着される。一次コンベア72と二次コンベア74の駆動により、布類Cが後方に送られる。これにより、展開された布類Cを次工程装置に供給できる。
【0022】
(中継部)
つぎに、中継部40の構成を説明する。
図5(A)および
図6(A)に示すように、中継部40は、中継チャック41と、中継チャック41が取り付けられた旋回体42とからなる。旋回体42は基部43とスライダ44とから構成されている。基部43には旋回軸43aが設けられている。旋回軸43aは機枠10に軸支されており、旋回体42の全体が旋回軸43aを中心に旋回可能となっている。
【0023】
旋回体42のうち旋回軸43aが設けられている端部(
図5(A)および
図6(A)における上側端部)を「基端」、その反対側の端部(
図5(A)および
図6(A)における下側端部)を「先端」と称する。中継チャック41は旋回体42の先端部に設けられている。
【0024】
基部43の背面には旋回シリンダ45のロッド先端部が回動可能に設けられている。旋回シリンダ45の他端は機枠10に設けられている(
図2参照)。旋回シリンダ45を伸縮させることで、旋回体42を前後に旋回させることができる。
【0025】
旋回体42を前後に旋回させることで、中継チャック41を前進、後退させることができる。以下、中継チャック41を前進させた位置を「前進位置」、中継チャック41を後退させた位置を「後退位置」と称する。また、前進位置と後退位置との間の特定位置を「待機位置」と称する。旋回体42を旋回させることで、中継チャック41を前進位置と後退位置との間で移動させることができる。
【0026】
旋回シリンダ45として、例えばエアシリンダを用いることができる。旋回シリンダ45として両ロッドシリンダを用いれば、旋回体42を3つの姿勢で保持することが容易である。例えば、両方のロッドを伸長させることで、旋回体42を前方に旋回させた姿勢とし、中継チャック41を前進位置に配置できる。両方のロッドを収縮させることで、旋回体42を後方に旋回させた姿勢とし、中継チャック41を後退位置に配置できる。一方のロッドを伸長させ、他方のロッドを収縮させることで、旋回体42を下垂させた姿勢とし、中継チャック41を待機位置に配置できる。
【0027】
なお、旋回シリンダ45が特許請求の範囲に記載の「旋回体を旋回させるアクチュエータ」に相当する。また、旋回体42と旋回シリンダ45とからなる構成が特許請求の範囲に記載の「駆動部」に相当する。
【0028】
スライダ44は基部43に対して、旋回半径方向(
図5(A)および
図6(A)における上下方向)にスライド可能となっている。基部43とスライダ44との間には伸縮シリンダ46が設けられている。伸縮シリンダ46が伸縮することで、スライダ44を基部43に対してスライドさせることができる。これにより、旋回体42を旋回半径方向に伸縮させることができる。
図5(A)および
図6(A)は旋回体42を収縮させた状態を示す。
図5(B)および
図6(B)は旋回体42を伸長させた状態を示す。
【0029】
スライダ44の左右両端に、それぞれ一対の中継チャック41、41が設けられている。スライダ44の一端に設けられた対となる中継チャック41、41の間隔は、チャックベース33の一端に設けられた対となる投入チャック31、31(
図1参照)の間にそれらが挿入されるように幅狭に設定されている。一対の中継チャック41、41は一対の投入チャック31、31の間に挿入された状態で、投入チャック31、31から布類Cを受け取る。
【0030】
各中継チャック41は固定爪41aと可動爪41bとからなる。固定爪41aはスライダ44に固定されている。可動爪41bは固定爪41aに対して旋回可能に設けられている。可動爪41bは開閉シリンダ47の駆動により旋回する。可動爪41bを旋回させることで、固定爪41aの先端部と可動爪41bの先端部との間が開閉する。中継チャック41の開閉部は旋回体42の旋回半径外側に向けられている。
【0031】
固定爪41aと可動爪41bとの間を閉じることで、中継チャック41で布類Cを把持できる。固定爪41aと可動爪41bとの間を開くことで、中継チャック41に把持していた布類Cを開放できる。
【0032】
(動作)
つぎに、
図7から
図15に基づき、布類展開装置1の動作を説明する。
制御部20は布類展開装置1の各種装置を以下の手順で動作させる。これにより、布類展開装置1は布類Cを処理する。
【0033】
(1)投入作業
はじめに、投入チャック31は下降した投入位置で待機している。作業員が布類Cの一辺の両端角部を探し出し、それぞれを投入チャック31に取り付ける。その間、中継部40は先に投入された布類Cを処理している状態か、待機状態となっている。
【0034】
中継部40が待機状態の場合、旋回体42は
図7に示す待機姿勢となっており、中継チャック41は待機位置に配置されている。この状態では、中継部40が投入部30および展張部50の動作に干渉することがない。なお、中継チャック41は開いた状態であり、旋回体42は収縮した状態である。旋回体42は投入部30が布類Cを中継部40に受け渡し可能な状態になるまで待機姿勢で待機する。
【0035】
(2)投入チャック上昇
投入チャック31が布類Cを把持すると、投入チャック31が投入位置から受渡位置まで上昇する。これにより、投入部30が中継部40に布類Cを受け渡し可能な状態になる。中継チャック41は受渡位置まで上昇した投入チャック31の背後に設けられている。
【0036】
なお、中継部40が先に投入された布類Cを処理している場合、投入チャック31は中継部40の処理が完了するまで受渡位置で待機する。
【0037】
(3)中継チャック前進
投入チャック31が受渡位置まで上昇すると、収縮状態の旋回体42が前方に旋回する。これにより、中継チャック41が前進位置に配置される。この際、投入チャック31に把持された布類Cの縁部が中継チャック41の開閉部に配置される。
図9に示すように、投入部30から布類Cを受け取る際の旋回体42の姿勢を「受取姿勢」と称する。
【0038】
(4)中継チャック把持
つぎに、中継チャック41が閉じ、中継チャック41で布類Cの縁部を把持する。その後、投入チャック31が開き、布類Cを開放する。このように、中継チャック41は前進位置において、投入部30から布類Cを受け取る。
【0039】
(5)旋回体伸長
つぎに、旋回体42が伸長する。これにより、中継チャック41に把持された布類Cの縁部が投入チャック31から外れる。このとき、投入チャック31の開閉部は中継チャック41の開閉部と同じ方向に向けられている。したがって、旋回体42が伸長し、中継チャック41の位置が旋回半径方向外側にズレることで、布類Cの縁部が投入チャック31の開閉部から抜き出される。
【0040】
(6)旋回体旋回、投入チャック下降
つぎに、伸長状態の旋回体42が後方に旋回する。旋回体42が伸長することで、中継チャック41に把持された布類Cの縁部が投入チャック31から外れている。そのため、中継チャック41が旋回しても布類Cが投入チャック31に引っ掛かることがない。その結果、投入部30との布類Cの受け渡しをスムーズに行なうことができる。
【0041】
旋回体42が後方に旋回した後、投入チャック31は投入位置まで下降する。したがって、作業員が次の布類Cを投入チャック31に取り付けることができる。
【0042】
旋回体42は待機姿勢まで旋回し、中継チャック41は待機位置に配置される。旋回体42は待機姿勢で、展張部50が布類Cを受け取り可能な状態になるまで待機する。一方、一対の展張チャック51、51は、待機状態となった中継部40の背後まで移動して、中継部40から布類Cを受け取る準備をする。ここで、中継部40は待機状態となっているので、展張部50の動作と干渉しない。なお、展張チャック51は開いた状態である。
【0043】
ところで、中継部40は複数であるのに対して、展張部50は一つである。しかし、一対の展張チャック51、51が横行することで、いずれの中継部40の背後にも移動でき、いずれの中継部40からも布類Cを受け取ることができる。例えば、展張部50は、布類Cを把持した待機状態となった順に、中継部40から布類Cを受け取る。
【0044】
(7)中継チャック後退
つぎに、伸長状態の旋回体42がさらに後方に旋回する。これにより、中継チャック41が後退位置に配置される。この際、中継チャック41に把持された布類Cの縁部が展張チャック51の開閉部に挿入される。
図13に示すように、展張部50に布類Cを受け渡す際の旋回体42の姿勢を「受渡姿勢」と称する。なお、旋回体42の「待機姿勢」とは「受取姿勢」と「受渡姿勢」との間の姿勢である(
図12参照)。
【0045】
(8)展張チャック把持
つぎに、展張チャック51が閉じ、展張チャック51で布類Cの縁部を把持する。その後、中継チャック41が開き、布類Cを開放する。中継チャック41は後退位置において、展張部50に布類Cを受け渡す。このように、中継チャック41を前後進させることで、布類Cを投入部30から展張部50に受け渡すことができる。
【0046】
(9)旋回体収縮
つぎに、旋回体42が収縮する。これにより、中継チャック41が展張チャック51と干渉しない位置まで退避する。したがって、展張部50の動作と干渉しなくなる。その後、旋回体42は待機姿勢まで旋回し、中継チャック41が待機位置に配置される。
【0047】
中継部40から布類Cを受け取った一対の展張チャック51、51は、旋回体42が収縮した後、左右に開くように横行する。これにより、布類Cは機枠10の前面において展開状態で吊り下げられる。これが
図4に示す状態である。その後の布類展開装置1の動作は前述のとおりである。
【0048】
以上のように、中継部40は、受渡位置まで上昇した投入チャック31から布類Cを受け取り、その布類Cを展張部50に受け渡す。中継部40に布類Cを受け渡した投入チャック31は、投入位置まで下降する。
【0049】
ここで、中継部40が複数の投入部30のそれぞれに設けられているので、中継部40が布類Cを受け取り可能な状態になるまで投入チャック31が待機する時間を短縮できるか、なくすことができる。そのため、投入チャック31をすぐに投入位置まで下降できる。投入チャック31がすぐに投入作業ができる状態になるので、作業員による投入作業の待ち時間を短縮できるか、なくすことができる。その結果、布類展開装置1の生産効率を高くできる。
【0050】
〔その他の実施形態〕
中継部40は投入部30から展張部50に布類Cを中継できる構成であればよく、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、旋回体42が伸縮しない構成でもよい。また、中継チャック41を旋回により移動させる構成に代えて、単純な直線運動で移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 布類展開装置
20 制御部
30 投入部
31 投入チャック
40 中継部
41 中継チャック
42 旋回体
50 展張部
51 展張チャック