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特許7064856着用物データベース管理システム及び着用物情報提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】着用物データベース管理システム及び着用物情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220428BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06T1/00 340B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017236951
(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公開番号】P2019105924
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】上野 太輔
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207407(JP,A)
【文献】特開2010-039875(JP,A)
【文献】特開2016-118926(JP,A)
【文献】特開2007-265077(JP,A)
【文献】特開2006-146570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 1/00- 1/40
G06T 3/00- 5/50
G06T 9/00- 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅のユーザを認証する認証手段と、
前記住宅からの外出時又は前記住宅への帰宅時において、前記認証されたユーザの着用物を撮像する撮像手段と、
前記撮像された着用物を前記認証されたユーザと紐付けて、着用物データベースに登録する登録手段と、
前記着用物データベースに登録されている着用物と同一の着用物が前記撮像手段により撮像されることなく、一定期間が経過した場合、前記着用物データベースから前記一定期間が経過した着用物のデータを削除する削除手段と、
を備えることを特徴とする、着用物データベース管理システム。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記住宅の玄関のうち、屋外側又は屋内側の少なくともいずれかに設けられている、請求項1に記載の着用物データベース管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の着用物データベース管理システムと、
前記着用物データベースに蓄積されたデータをもとに、前記ユーザに対し、着用物に関するコーディネート提案内容を報知する報知手段と、
を備える、着用物情報提供システム。
【請求項4】
住宅のユーザを認証する認証手段と、前記住宅からの外出時又は前記住宅への帰宅時において、前記認証されたユーザの着用物を撮像する撮像手段と、前記撮像された着用物を前記認証されたユーザと紐付けて、着用物データベースに登録する登録手段と、を備える着用物データベース管理システムと、
前記ユーザの来年の身長を予測する身長予測手段と、
前記着用物データベースに蓄積されたデータと、前記身長予測手段により予測された身長とをもとに、前記ユーザが着用している着用物を一定期間経過後に着用できるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を備える、着用物情報提供システム。
【請求項5】
住宅のユーザを認証する認証手段と、前記住宅からの外出時又は前記住宅への帰宅時において、前記認証されたユーザの着用物を撮像する撮像手段と、前記撮像された着用物を前記認証されたユーザと紐付けて、着用物データベースに登録する登録手段と、を備える着用物データベース管理システムと、
前記撮像された着用物の所定箇所における皺の状態を把握して、前記着用物の身体に対する余裕度を計測する余裕度計測手段と、
前記余裕度計測手段による余裕度の変化を、同一の着用物について確認する確認手段と、
前記確認手段による確認結果に基づき、余裕度が低くなってきている着用物を前記ユーザに報知する報知手段と、
を備える、着用物情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが着用する着用物をデータベースとして管理する着用物データベース管理システム、及びその管理システムを用いてユーザに情報提供を行う着用物情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが自身の保有する衣類を入力により登録したり、ユーザが入力により衣類の好意度に関する評価をしたり、ユーザが着用した衣類をその都度入力するなどした結果を踏まえ、ユーザに衣類のコーディネート提案を行うシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5504807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムでは、ユーザが衣類を購入するごとに登録作業を行ったり、ユーザが衣類の評価を入力したり、着用した衣類を入力したりと、大量の入力をする必要があって手間がかかる。このようなシステムでは、結局、利用されなくなってしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが大量の入力を行わなくても衣類等の着用物について、必要なデータを蓄積することのできる着用物データベース管理システム、及びこれを用いた着用物情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、第1の発明の着用物データベース管理システムでは、住宅のユーザを認証する認証手段と、前記住宅からの外出時又は前記住宅への帰宅時において、前記認証されたユーザの着用物を撮像する撮像手段と、前記撮像された着用物を前記認証されたユーザと紐付けて、着用物データベースに登録する登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、着用物の提案などに用いる着用物データベースには、住宅で認証されたユーザの着用物を撮像することにより得られたデータを登録し蓄積していく。その結果、従来技術とは異なり、ユーザが大量の入力を行わなくても衣類等の着用物について、必要なデータを蓄積することができる。その際、ユーザの外出時又は帰宅時の撮像結果を用いることにより、部屋着などユーザが気を遣わない場面での着用物が多く蓄積されることを避け、着用物の適切な提案に資する着用物データベースを構築することができる。
【0008】
第2の発明の着用物データベース管理システムでは、第1の発明において、前記撮像手段は、前記住宅の玄関のうち、屋外側又は屋内側の少なくともいずれかに設けられている。
【0009】
第2の発明によれば、玄関の屋内外いずれかに撮像手段を設置することにより、居室等にいるユーザの着用物の撮像を回避することができる。また、電子錠を備える住宅では、玄関で電子キー認証することにより、電子キーを保有するユーザを認証しつつ施解錠を行うことから、この施解錠システムと第2の発明のシステムとを連携させることができれば、システム構築が容易になる。
【0010】
第3の発明の着用物データベース管理システムでは、第1又は第2の発明において、前記着用物データベースに登録されている着用物と同一の着用物が前記撮像手段により撮像されることなく、一定期間が経過した場合、前記着用物データベースから前記一定期間が経過した着用物のデータを削除する削除手段を備える。
【0011】
第3の発明によれば、以前着用して登録された着用物が、例えば1年間のように一定期間着用されていないとき、今後も着用しないものとみなして着用物データベースから自動的に削除される。したがって、データベースへの登録のみならず、削除も自動的に行うことができる。なお、本来は着用予定であったが何らかの事情によって着用していなかった着用物については、仮にデータベースから削除されても、着用を再開することで再度データベースに自動登録されることになる。
【0012】
第4の発明の着用物情報提供システムでは、第1~第3のいずれかの発明の着用物データベース管理システムと、前記着用物データベースに蓄積されたデータをもとに、前記ユーザに対し、着用物に関するコーディネート提案内容を報知する報知手段と、を備える。
【0013】
第4の発明によれば、自動的に蓄積されていく着用物データベースを用い、ユーザの嗜好に適合したコーディネート提案を行うことができる。
【0014】
第5の発明の着用物情報提供システムでは、第1~第3のいずれかの発明の着用物データベース管理システムと、前記ユーザの来年の身長を予測する身長予測手段と、前記着用物データベースに蓄積されたデータと、前記身長予測手段により予測された身長とをもとに、前記ユーザが着用している着用物を一定期間経過後に着用できるか否か判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を報知する報知手段と、を備える。
【0015】
ユーザが子供である場合、身長が年々高くなることから、現在着用している衣類を来年も着用できるとは限らない。そこで、第5の発明では、身長の変化を予測し、一定期間経過後に着用できるかどうかを判定して、その結果を報知するようにした。かかる報知により、一定期間後には着用できくなることを知ったユーザは、衣替えの際にクリーニングに出してしまう無駄を回避したり、比較的価格の安い時期に着用物を新調したりすることもできるようになる。
【0016】
第6の発明の着用物情報提供システムでは、第1~第3のいずれかの発明の着用物データベース管理システムと、前記撮像された着用物の所定箇所における皺の状態を把握して、前記着用物の身体に対する余裕度を計測する余裕度計測手段と、前記余裕度計測手段による余裕度の変化を、同一の着用物について確認する確認手段と、前記確認手段による確認結果に基づき、余裕度が低くなってきている着用物を前記ユーザに報知する報知手段と、を備える。
【0017】
第6の発明によれば、例えば所定箇所を腹回り、腕回り、太もも回り等とした場合、ユーザが太ることによって着用物の皺が少なくなり、余裕度が低くなってきている状況を、ユーザに報知する。かかる報知により、体型変化によってこのままでは着用できなくなることを知ったユーザは、着用物の買い替えや仕立て直しを着用できなくなる前に行うことができる。また、かかる報知により、ユーザがダイエットを行おうとする動機づけにもなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】住宅の玄関周辺を示す平面図。
図2】着用物情報提供システムの構成を示す図。
図3】(a)は着用物情報を示す図、(b)は着用履歴情報を示す図。
図4】(a)は着用可能期間情報を示す図、(b)は余裕度情報を示す図。
図5】データベース登録処理を示すフローチャート。
図6】(a)は成長曲線データを示す図、(b)は身長変化の推定処理を説明するための説明図。
図7】データ削除処理を示すフローチャート。
図8】カテゴリ2のコーディネート提案処理を示すフローチャート。
図9】カテゴリ2のコーディネート提案処理の流れを説明するための説明図。
図10】(a)はコーディネート評価処理を示すフローチャート、(b)、(c)はコーディネート評価処理とコーディネート提案処理との関係を説明するための説明図。
図11】(a)は着用可否予測の報知処理を示すフローチャート、(b)は報知タイミングを示す図、(c)は着用可否判定を説明するための説明図。
図12】余裕度報知処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は住宅の玄関周辺を示す平面図、図2は着用物情報提供システムの構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、住宅10には、屋内空間として、玄関部11、廊下12及び居室13等が設けられている。
【0021】
玄関部11は土間床からなり、外壁16によって屋外と仕切られている。外壁16には、出入口としての玄関口17が形成されている。玄関口17は、屋内(玄関部11)と屋外とを連通しており、この玄関口17を通じて住宅10への出入りが可能となっている。玄関口17には、開閉体としての玄関ドア18が設けられている。玄関ドア18は例えば回動式の開き戸からなり、玄関ドア18により玄関口17が開閉される。なお、玄関ドア18は引き戸であってもよい。玄関部11の奥側(屋内側)には、玄関部11に連続して廊下12が設けられている。
【0022】
住宅10には、着用物管理機能とコーディネート提案機能とを有する着用物情報提供システムが搭載されている。着用物管理機能は、住宅10の住人(ユーザ)が着用する衣服(着用物)を管理するものであり、コーディネート提案機能は、ユーザに対して着用物のコーディネートを提案するものである。以下、これらの機能を有する着用物情報提供システムについて詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、玄関部11の天井面11aには、玄関部11を通じて外出するユーザを撮影(撮像)するカメラ21が設置されている。カメラ21は、玄関部11及び廊下12の一部を撮影するように撮影方向が廊下12側斜め下方向に向けられており、その撮影範囲Sは、玄関部11を通る人物の全身を撮影できるように設定されている。具体的には、少なくとも廊下12の床面から上方へ2m程度までの範囲を撮影できるようになっている。カメラ21はコントローラ25と電気的に接続されており、カメラ21からは撮影内容に応じた画像信号がコントローラ25に対して出力される。
【0024】
コントローラ25は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータを含んで構成されている。コントローラ25は、カメラ21の撮影結果に基づいて人が外出するか否かを判定し、外出すると判定した場合には、その人が着用している着用物の種別を判別する。コントローラ25には、着用物に関する各種情報を登録・管理するための着用物データベース31が設けられており、着用物の判別結果は着用物データベース31に登録される。
【0025】
ここで、着用物データベース31について図2図4を参照しながら説明する。図2に示すように、着用物データベース31には、第1エリア31aと第2エリア31bとを含む複数の情報記憶エリアが設定されている。
【0026】
第1エリア31aには、ユーザが実際に着用した着用物を示す着用物情報が記憶される。着用物情報は、図3(a)に示すように、着用物の種類を示す識別情報と、その着用物の画像を示す画像情報とから構成されている。
【0027】
コントローラ25では、カメラ21の撮影画像に基づいて、ユーザが着用している複数の着用物を各別に認識する。具体的には、ユーザのトップス及びボトムスをそれぞれ認識し、トップスにおいてはさらにアウタ及びインナをそれぞれ認識する(ネクタイ着用の場合はネクタイも)。そして、認識した着用物の中に新しい着用物が含まれている場合には、その着用物に新たな識別情報を付し、着用物の画像情報とともに第1エリア31aに登録する。このため、第1エリア31aには、着用経験のある着用物の情報が逐次蓄積されていく。なお、着用物の画像情報はカメラ21の撮影画像から生成する。
【0028】
第2エリア31bには、各ユーザにおける着用物の着用履歴を示す着用履歴情報が記憶される。着用物情報は、図3(b)に示すように、ユーザ(住人のうち誰であるか)を示す情報と、着用日(撮影日)を示す情報と、その着用日の着用物を示す情報と、その着用物が属するカテゴリを示す情報とから構成される。このうちカテゴリは、撮影された着用物のタイプを示すものである。「カテゴリ1」は、着用物がスーツ、作業服及び制服のいずれかであることを示し、「カテゴリ2」は、その他の服装であることを示している。コントローラ25には、スーツ、作業服及び制服の特徴を示す特徴情報が予め記憶されており、コントローラ25は、撮影された着用物の画像から抽出した特徴を上記特徴情報と比較し、撮影された着用物のカテゴリを判別する。
【0029】
コントローラ25では、カメラ21の撮影結果から各ユーザの着用物を認識する都度、上記着用履歴情報を第2エリア31bに登録する。よって、第2エリア31bには、各着用物の着用頻度に関するユーザごとの情報が逐次蓄積されていく。
【0030】
さらにコントローラ25では、着用物データベース31に蓄積された着用履歴情報をもとに、着用物のコーディネート案を作成する。コントローラ25は、スマートフォンやPCなどの表示用端末35と通信可能な通信部を備えており、作成されたコーディネート案は、表示用端末35の表示画面に表示可能となっている。
【0031】
図2に示すように、着用物データベース31の記憶エリアにはさらに、第3エリア31cと第4エリア31dとが含まれている。
【0032】
第3エリア31cには、着用物を着用できる期間を示す着用可能期間情報が記憶される。コントローラ25では、子供が新しい着用物を着用している場合に、その着用物の着用可能期間を推定するようにしており、上記着用可能期間情報は、その推定結果を示すものとなっている。着用可能期間情報としては、図4(a)に示すように、ユーザ及び着用物と対応付けて、初回着用日と、初回着用日からの1年目の着用可否と、2年目の着用可否とが記憶される。
【0033】
第4エリア31dには、ユーザの身体に対する着用物の余裕度を示す余裕度情報が記憶される。余裕度は、コントローラ25によって計測されるものであり、コントローラ25では、撮影された着用物の所定箇所(例えば腹回りや腕回り、太もも回り等)における皺の状態を把握し、その把握結果に基づいて余裕度を計測する。本実施の形態では、大きい側から小さい側へ順にA、B、Cの3段階で余裕度を計測しており、余裕度情報としては、図4(b)に示すように、ユーザ及び着用物と対応付けて、着用日と余裕度に関する前回の計測結果と今回の計測結果とが記憶される。
【0034】
図2に示すように、コントローラ25には、不揮発性のメモリからなる記憶部33が設けられている。コントローラ25に対しては正規ユーザの事前登録が可能となっており、具体的には、少なくともユーザの名前、生年月日及び顔情報を登録することが可能となっている。このうち顔情報は顔の特徴を示すものであり、登録対象のユーザをカメラ21により撮影することで取得される。記憶部33には、それらの情報がユーザ登録情報として記憶されるほか、上記コーディネート案等が記憶される。さらにコントローラ25には、計時機能、時計機能及びカレンダ機能を有するタイマ部34が設けられている。
【0035】
次に、コントローラ25によって実行される各種処理について詳細に説明する。以下では、所定の登録操作により住宅10の各住人がユーザとして登録済みであるとする。
【0036】
先ず、データベース登録処理について図5のフローチャートを参照しながら説明する。本処理は所定の時間周期(例えば0.5sec)で実行される。
【0037】
データベース登録処理では先ず、ステップS101にて、カメラ21により玄関部11の画像を撮影する。続くステップS102では、カメラ21により撮影された画像を解析して特徴量(色や輪郭、明るさ等)を抽出し、撮影画像に含まれる人及び着用物の画像を認識する。着用物の認識は、各着用部位の着用物ごと(アウタ、インナ及びボトムス)に行う。
【0038】
続くステップS103では、上記ステップS102で人の画像が認識されたか否か、すなわち人が玄関部11を通って外出するか否かを判定する。人の画像が認識されていない場合にはデータベース登録処理を終了する。一方、人の画像が認識されている場合には、ステップS104にて、撮影された人が登録ユーザであるか否かのユーザ認証を行う。ユーザ認証は、カメラ21の撮影結果と記憶部33に記憶されたユーザ登録情報とをもとに、顔認証により行う。さらに本ステップでは、撮影された人が登録ユーザである場合、登録されたユーザのうち誰であるかを特定する。
【0039】
上記認証処理の結果、撮影された人が登録ユーザでない場合(ステップS105のNO)には、データベース登録処理を終了する。一方、撮影された人が登録ユーザである場合(ステップS105のYES)には、ステップS106に進み、撮影された登録ユーザの着用物が所定時間内(例えば2時間以内)に登録されているか否かを判定する。この処理は、例えばユーザが玄関部11を頻繁に出入りした場合に、着用物データベース31に同じ着用物のデータ(特に着用履歴情報)が多量に登録されることを抑制するためのものである。
【0040】
ステップS106において登録済みであると判定した場合には、データベース登録処理を終了する一方、登録済みでないと判定した場合には、ステップS107に進み、撮影日を着用日として取得する。続くステップS108では、カメラ21の撮影結果に基づいて、撮影された着用物の種別を判別する。具体的には、撮影された着用物と、着用物データベース31に記憶された着用物情報(図3(a))とを照合し、着用経験のある着用物のうちどの着用物であるかを判別する。さらに本ステップでは、撮影された着用物のカテゴリも判別する。
【0041】
次にステップS109にて、撮影された着用物の中に新しい着用物が含まれているか否かを判定する。本ステップでは、上記ステップS108において判別できなかった着用物が存在した場合、すなわち、着用物データベース31に登録されていない着用物が撮影されている場合に、その着用物を新しい着用物として判定する。新しい着用物が含まれている場合には、ステップS110に進み、その着用物の着用物情報(図3(a))を着用物データベース31の第1エリア31aに記憶する。
【0042】
ステップS110の実行後又はステップS109で否定判定した場合には、ステップS111にて、着用物データベース31の第2エリア31bに着用履歴情報(図3(b))を記憶する。本ステップでは、ステップS105で特定したユーザと、ステップS107で取得した着用日と、ステップS108で判別した各着用物と、同ステップで判定したカテゴリとを、着用履歴情報として記憶する。
【0043】
続くステップS112では、撮影されたユーザが子供であるか否かを判定する。本判定は、記憶部33に記憶されたユーザ登録情報(詳しくは生年月日の情報)に基づいて、上記ステップS105で特定されたユーザの年齢を把握することで行う。本ステップでは、把握したユーザの年齢が所定年齢以下(例えば18歳以下)である場合に子供と判定する。
【0044】
上記判定の結果、撮影されたユーザが子供である場合には、ステップS113にて、そのユーザが着用している着用物の中に新しい着用物が含まれているか否かを判定する。この場合の判定は上記ステップS109の判定結果を利用する。新しい着用物が含まれている場合には、ステップS114にて、カメラ21の撮影結果に基づいてユーザの身長を推定する。身長の推定にあたっては先ず、撮影画像において人物が占める縦方向の画素数を把握するとともに、予め寸法が特定されている基準物(例えば、下駄箱などの一辺)の縦方向の画素数を把握する。そして、基準物画像の画素数から1画素当たりの実寸(基準となる寸法)を特定し、それに人物画像の画素数を乗算して身長を導出する。
【0045】
続くステップS115では、新しい着用物について初回着用日から1年目及び2年目の着用可否を判定する。ここで、図6を参照して本ステップの処理について説明する。
【0046】
コントローラ25には、成長に伴う児童の身長変化の一般的傾向を示す成長曲線データ41が予め記憶されている。成長曲線データ41は、年齢に対する身長の違いに応じた複数のデータから構成されており、詳しくは、図6(a)に示すように、平均的な身長の児童に対応する曲線データ42と、身長が高めの児童に対応する曲線データ43と、身長が低めの児童に対応する曲線データ44とを有している。
【0047】
ステップS115では、ステップS112で把握したユーザの年齢と、ステップS114で推定したユーザの身長とに基づいて、複数の曲線データ42~44のうち使用するデータを選択する。例えばユーザが7歳児である場合には、図6(b)に示すように、各曲線データ42~44における7歳時の身長Ha~Hcを把握し、これらを撮影画像から推定した身長Hpと比較する。そして、推定した身長Hpに最も近いものを判別し、その曲線データを使用データとして選択する。図6(b)の例では、推定した身長Hpに身長Haが最も近く、身長Haの曲線データ42が使用データとして選択される。
【0048】
使用する曲線データ42を選択した後は、その曲線データ42に基づいて1年後の身長H1と2年後の身長H2とを推定し、それらの結果から、1年間での身長の伸び量G1と2年間での身長の伸び量G2とを予測する。そして、予測した各伸び量G1,G2が予め定めた所定量未満の場合には、その着用物を着用できると判別し、所定量以上の場合には着用できないと判別する。
【0049】
伸び盛りの子供が新しい衣服を着用する場合、その後の成長を見越して初回着用時は5cm~10cm程度大きめのものを着るケースが多いことを踏まえ、ここでは、上記所定量を例えば10cmとする。よって、例えば、伸び量G1が6cmであり、伸び量G2が12cmである場合には、初回着用日から1年間は着用することができ、2年目以降は着用できないと判別する。
【0050】
ちなみに、予測した伸び量G2が所定量未満の場合、すなわち2年間に亘って着用できると判定する場合には、その後の伸び量を予測することなく、3年目以降を着用できないとして扱う。なお、伸び量を予測する場合の期間は任意であり、必ずしも1年単位である必要はない。例えば半年単位など、さらに短いスパンで予測することで、より細かく着用可否を判別することができる。
【0051】
図5のデータベース登録処理の説明に戻り、ステップS115の実行後は、ステップS116にて、着用物データベース31の第3エリア31cに着用可能期間情報(図4(a))を登録する。
【0052】
一方、上記ステップS112で否定判定した場合、すなわち撮影されたユーザが子供ではない場合には、ステップS117に進み、余裕度計測処理を実行する。本ステップでは、撮影結果に基づいてユーザの身体に対する着用物の余裕度を計測する。続くステップS118では、上記ステップS117の結果を踏まえ、着用物データベース31の第4エリア31dに余裕度情報(図4(b))を登録する。
【0053】
ステップS116又はステップS118の実行後は、ステップS119にてコーディネート評価処理を実行し、その後、データベース登録処理を終了する。なお、コーディネート評価処理の詳細については後述する。
【0054】
次に、データ削除処理について図7のフローチャートを参照して説明する。本処理は、図5のデータベース登録処理の実行周期よりも長い時間周期(例えば1日単位)で実行される。
【0055】
データ削除処理では先ず、ステップS201にて、着用物データベース31に蓄積された着用履歴情報を検索し、最終着用日(最終撮影日)から一定期間(例えば1年間)が経過した着用物を抽出する。
【0056】
上記処理の結果、そのような着用物が抽出された場合には(ステップS202のYES)、その着用物を今後も着用しないものとみなし、ステップS203にて、抽出した着用物のデータを削除する。具体的には、その着用物に関する着用物情報、着用履歴情報、着用可能期間情報及び余裕度情報の全てを削除する(着用可能期間情報及び余裕度情報については存在する場合)。ステップS203の実行後又はステップS202で否定判定した場合には、データベース削除処理を終了する。
【0057】
このように本実施の形態では、着用物データベース31に登録されている着用物と同一の着用物がカメラ21により撮影されることなく、一定期間が経過した場合に、その着用物のデータを削除していく。これにより、廃棄等の理由により着用しなくなった着用物のデータを自動的に削除することができ、着用物データベース31内で不要なデータが増え続けることを回避したり、ユーザの削除操作の手間を省いたりすることが可能になる。
【0058】
次に、コーディネート提案処理について説明する。本実施の形態では、ユーザが表示用端末35にて所定の入力操作を行うことで、コーディネート提案を要求することが可能となっている。コーディネート提案の要求に際しては、カテゴリ1及びカテゴリ2のいずれのコーディネート提案を希望するか、コーディネート対象となるユーザを誰とするかについても併せて指定することが可能となっている。これらの要求が行われた場合、その旨を示す信号が表示用端末35からコントローラ25に対して出力される。
【0059】
ここでは、カテゴリ1,2のコーディネート提案処理のうち、カテゴリ2(スーツ等以外の着用物)の提案処理について図8及び図9を参照して説明する。図8はカテゴリ2のコーディネート提案処理を示すフローチャート、図9は当該提案処理の流れを説明するための説明図である。
【0060】
図8に示すように、カテゴリ2のコーディネート提案処理では先ず、ステップS301において、カテゴリ2のコーディネート提案の要求があるか否かを判定する。提案の要求がない場合にはコーディネート提案処理を終了する。これに対し、提案の要求がある場合には、ステップS302にて、カテゴリ2の着用物を対象として、過去所定期間内(例えば2ヶ月以内)において着用頻度(着用回数)が最も高い着用物Y1を抽出する。本抽出は、着用物データベース31に蓄積された着用履歴情報(図3(b))に基づき、指定されたユーザが所定期間内に着用した各着用物の着用頻度を計数することで行う。
【0061】
ここで、本実施の形態では、新しい着用物がそうでない着用物よりも着用頻度が最も高い着用物Y1として選ばれやすくなるように、優先化処理がなされる。具体的には、図9(a)に示すように、新しい着用物については、例えば着用頻度を実際よりも+10回とするなど、着用頻度を高くする重み付けが行われる。このため、指定されたユーザが上記所定期間内に新しい着用物を着用していた場合には、その着用物が優先的に抽出される。
【0062】
次いでステップS303にて、着用物データベース31の着用物情報(図3(a))及び着用履歴情報に基づいて、ステップS302で抽出した着用物Y1と同じ色合いの着用物Y2を抽出する。同じ色合いの着用物Y2の抽出は、カテゴリ2の着用物を対象とするとともに、季節や最近のユーザの好み、流行等が反映されるように、指定されたユーザが上記所定期間内に着用した着用物の中から行う。また、同じ色合いの着用物Y2は、着用物Y1がボトムスの場合にはボトムスの中から抽出するなど、着用部位が同一の着用物を対象として抽出する。
【0063】
このため、図9(a)に示すように、着用物Y1として赤色のスカートDが抽出されている場合には、図9(b)に示すように、例えば赤色の七分丈パンツAが着用物Y2として抽出される。なお、同じ色合いの着用物が複数存在する場合には、それらのうち着用頻度が最も高い着用物を着用物Y2として抽出する。
【0064】
続くステップS304では、上記ステップS303で着用物Y2を抽出できたか否かを判定する。抽出できている場合には、ステップS305にて、着用物データベース31の着用履歴情報に基づき、カテゴリ2の着用物を対象として、着用物Y2と組み合わせて着用されたことがある着用物Y3を抽出する。例えば、図9(b)、(c)に示すように、着用物Y2として七分丈パンツAが抽出されている場合には、着用履歴情報を参照して七分丈パンツAと組み合わされたことがあるトップスを着用物Y3として抽出する。また、そのようなトップスが複数ある場合には、それぞれの組み合わせ頻度を計数し、組み合わせ頻度が最も高い着用物を着用物Y3として抽出する。
【0065】
なお、図9(c)に示す例では、アウタとインナとの組み合わせが不自然となるのを避けるため、トップス(アウタ及びインナのセット)を一単位として、組み合わされたことがある着用物Y3を抽出しているが、アウタ及びインナを各別に抽出する構成としてもよい。
【0066】
次にステップS306にて、ステップS302で抽出した着用物Y1に対し、ステップS305で抽出した着用物Y3を組み合わせ、コーディネート案として設定する。例えば、図9(a)、(c)に示すように、着用物Y1としてスカートDが抽出され、着用物Y3としてブルゾンA及び長袖シャツDが抽出されている場合には、図9(d)に示すように、それらの組み合わせがコーディネート案として設定される。なお、コーディネート案はコントローラ25の記憶部33に記憶される。
【0067】
ステップS306の実行後又はステップS304で否定判定した場合(同じ色合いの着用物Y2が存在しなかった場合)には、ステップS307~S310において、カテゴリ2の着用物を対象として、ステップS302で抽出した着用物Y1と同じ形状の着用物Y4を抽出し、それをもとにコーディネート案を作成する。
【0068】
すなわち、ステップS307にて、着用物データベース31の着用物情報及び着用履歴情報に基づいて着用物Y1と同じ形状の着用物Y4を抽出し、続くステップS308にて、着用物Y4を抽出できたか否かを判定する。着用物Y4を抽出できている場合には、ステップS309にて、着用物データベース31の着用履歴情報に基づいて、着用物Y4と組み合わせて着用されたことがある着用物Y5を抽出する。そして、ステップS310にて、ステップS302で抽出した着用物Y1に対し、ステップS309で抽出した着用物Y5を組み合わせ、コーディネート案として設定する。
【0069】
ステップS310の実行後又はステップS308で否定判定した場合(同じ形状の着用物Y4が存在しなかった場合)には、ステップS311にて、コーディネート案が設定されているか否かを判定する。コーディネート案が設定されている場合には、ステップS312に進み、コーディネート案を表示用端末35の表示画面に表示してユーザに提案する。この場合、コーディネート案の情報とともに、コーディネート案を構成する各着用物の画像情報又は当該画像情報から作成したイラスト画像の情報を表示用端末35に送信し、表示用端末35の表示画面に各着用物の画像を表示する。これにより、それらの着用物を自身が着用した状態をユーザがイメージしやすくし、コーディネートの適否を判断しやすくする。また、複数のコーディネート案がある場合には、例えばコーディネート案1,2のように、それらを全て又は順に表示する。
【0070】
続くステップS313では、コーディネート案を提案したことを示す提案フラグをオンし(コントローラ25のRAMに提案フラグを格納し)、その後、コーディネート提案処理を終了する。一方、ステップS311で否定判定した場合(コーディネート案が設定されていない場合)には、ステップS314にて、表示用端末35の表示画面にコーディネート案を作成できない旨を表示し、その後、コーディネート提案処理を終了する。
【0071】
なお、カテゴリ1のコーディネート提案処理は、上記ステップS301において、カテゴリ1のコーディネート提案の要求があるか否かを判定する点を除き、図8に示す処理と略同様であるため、その説明を割愛する。但し、スーツにおいては、アウタに対してボトムスが決められているため、その制約の中でコーディネート案を提案する。例えば、スーツに対するシャツやネクタイの組み合わせを提案する処理を行う。
【0072】
このように、着用物をカテゴリ1(スーツ類等)とカテゴリ2(その他の服装)とに分類し、各別にコーディネート案を作成することで、次の効果が期待される。例えば社会人であればスーツ等の仕事着の着用頻度が必然的に高くなるため、カテゴリの分類なくコーディネート案を作成する構成であると、コーディネート案が仕事着ばかりに偏るおそれがある。また、仕事着と仕事以外での外出着とが混在したコーディネートが提案されるおそれもあり、不自然な組み合わせが提案される事態を招きかねない。この点、本実施の形態では、通勤及び通学で着用することが想定される着用物と、それ以外の着用物とを区別してコーディネート案を作成するため、そのような不都合の発生を好適に抑制することができ、ユーザにとって有用なコーディネート案を提案することが可能になる。
【0073】
次に、コーディネート評価処理について図10(a)のフローチャートを参照して説明する。本処理は、図5のデータベース登録処理におけるステップS119にて実行されるものである。
【0074】
コーディネート評価処理は、提案したコーディネート案の採用実績を把握し、その結果を次回以降のコーディネート案に反映させるためのものである。本処理では先ず、ステップS401にて提案フラグがオン状態であるか否かを判定する。提案フラグがオン状態でない場合には、コーディネート案を提案していないことを意味するため、この場合はコーディネート評価処理を終了する。一方、提案フラグがオン状態である場合には、ステップS402に進み、撮影結果から判別したユーザの着用物と、提案したコーディネート案とを比較する。
【0075】
上記比較の結果、ユーザの着用物とコーディネート案とが完全一致した場合(ステップS403のYES)には、コーディネート案に対するユーザの評価が高いとみなし、ステップS404にて、コーディネート案に対して正の重み付けを行う。具体的には、コーディネート案の一部を構成する着用物Y3(図9(c))について、その組み合わせ頻度に所定値(例えば+5回)が加算されるように、記憶部33に加算ポイントを記憶する。
【0076】
一方、完全一致でない場合(ステップS403のNO)には、ステップS405にて、一致しない着用物が2つ以上あるか否かを判定する。2つ以上ある場合には、コーディネート案に対するユーザの評価が低いとみなし、ステップS406にて、コーディネート案に対して負の重み付けを行う。具体的には、着用物Y3の組み合わせ頻度から所定値(例えば-5回)が減算されるように、記憶部33に減算ポイントを記憶する。
【0077】
ステップS404、ステップS406の実行後又はステップS405で否定判定した場合(一致しない着用物が1つの場合)には、ステップS407にて提案フラグをオフ状態とし、その後、コーディネート評価処理を終了する。
【0078】
ここで、コーディネート評価処理とコーディネート提案処理との関係について図9(d)、図10(a)~(c)を参照して説明する。
【0079】
図9(d)に示すように、ブルゾンA、長袖シャツD及びスカートDからなるコーディネート案の提案後、例えば、ユーザがスカートDを着用したものの、アウタをジャケットBとし、インナをタートルネックシャツAとして外出した場合には、2つ以上の着用物がコーディネート案と一致しないことになる。この場合、図10(b)に示すように、提案したコーディネート案の中で着用物Y3を構成するブルゾンA及び長袖シャツDに対し-5回の重み付けがなされる。
【0080】
その後、次回のコーディネート提案処理において、再び七分丈パンツAが着用物Y2として抽出されたとすると、七分丈パンツAとの組み合わせ実績がある着用物Y3の抽出処理が行われる。その際、ブルゾンA及び長袖シャツDについては、七分丈パンツAに対する実際の組み合わせ頻度が3回であったとしても、上記重み付けにより-2回として扱われる。その結果、次点のセータAの順位が繰り上がり、セータAが着用物Y3として抽出される。よって、ユーザに対しては、図10(c)に示すように、セータAからなる着用物Y3とスカートDからなる着用物Yとを組み合わせたコーディネート案が提案される。
【0081】
このような構成により、例えば、以前はよく着ていたものの最近は着なくなったなど、着用意欲の低下した着用物がコーディネート案として繰り返し提案される不都合を抑制することができる。すなわち、ユーザの採用実績を踏まえたコーディネート案を作成することができ、ユーザの嗜好に即した提案を行うことが可能になる。
【0082】
次に、着用可否予測の報知処理について図11を参照しながら説明する。
【0083】
本報知処理は、着用物データベース31に登録されている子供服のうち、来シーズンに着用できないと予測されるものを報知する処理であり、予め定めた報知タイミングが到来することに応じて実行される。
【0084】
図11(a)に示すように、本報知処理では先ず、ステップS501にて、報知タイミングが到来したか否かを判定する。報知タイミングは、図11(b)に示すように、例えば、衣服を安く購入することが可能なセール時期を踏まえ、各シーズンの後半以降における所定期間に設定する。例えば春シーズンであれば5月初旬の数日間を所定期間とし、その期間における各日を報知タイミングとする。
【0085】
報知タイミングが到来した場合には、ステップS502にて、着用物データベース31の着用可否情報(図4(a))に基づいて来シーズンの着用可否を判定する。ここで、本ステップの処理について図11(c)を参照しながら説明する。ここでは、図4(a)に示すスカートD、すなわち初回着用日から1年目が着用可能であり、2年目が着用不可である冬物の着用物が判定対象となる場合を例にとって説明する。
【0086】
着用可否の判定にあたっては先ず、来シーズンの始期を把握する。例えば、報知タイミングが2月初旬であり、冬物のシーズンである場合には、来シーズンの始期として12月1日を把握する。そして、把握した始期を判定基準日とし、この判定基準日が着用可能期間又は着用不能期間のいずれに含まれるかを判定する。具体的には、着用可能期間と着用不能期間との境界日(図11(c)の例では2年目の初日)を把握し、その境界日よりも上記判定基準日が前日であるか否かを判別する。そして、前日である場合には、来シーズンも着用できると判定し、前日でない場合には、来シーズンは着用できないと判定する。
【0087】
図11(c)の場合は、判定基準日が境界日よりも前日となるため、着用できると判定される。ちなみに1年後の次の報知タイミングでは、判定基準日(次の判定基準日)が境界日よりも後日となるため、来シーズン(今回の報知タイミングから見て再来シーズン)の着用ができないと判定される。なお、上記構成では、判断基準日をシーズンの始期としているが、判断基準日の具体的時期は任意であり、シーズン中の所定日としてよいし、シーズン直前の所定日としてもよい。
【0088】
図11(a)の説明に戻り、ステップS502では、上記判定処理を着用物データベース31に登録されている着用物のうち、対象シーズン(2月初旬の報知タイミングであれば12月~2月の冬シーズン)中に初めて着用された着用物について行う。続くステップS503では、ステップS502の処理の結果、来シーズンに着用できないとされた着用物があるか否かを判定する。
【0089】
着用できないとされた着用物がある場合には、ステップS504にて、その着用物の情報を来シーズン着れなくなりそうな着用物として表示用端末35に送信する。送信した情報は、表示用端末35が起動された場合等に、その表示画面に表示される。これにより、ユーザは来シーズン着れなくなりそうな着用物を把握することができ、所有している着用物を取り出して1つ1つ確認する手間を省くことが可能になる。
【0090】
ステップS504の実行後、ステップS501又はステップS503で否定判定した場合には、本報知処理を終了する。なお、上記構成では、来シーズンに着用できるか否かを判定する構成としたが、来年(報知タイミングが属する年の次の年)着用できるか否かを判定する構成としてもよい。
【0091】
次に、余裕度報知処理について図12のフローチャートを参照して説明する。本処理は、着用物データベース31に登録されている大人服のうち、前回の着用時に比べて余裕度が低くなったものを報知する処理であり、予め定めた報知タイミングが到来することに応じて実行される。
【0092】
余裕度報知処理では先ず、ステップS601において、報知タイミングが到来したか否かを判定する。報知タイミングは定期的なものとし、例えば1週間ごとに到来するものとする。報知タイミングが到来した場合には、ステップS602にて、着用物データベース31の余裕度情報(図4(b))に基づいて、余裕度が低くなってきている着用物を抽出する。具体的には、前回の報知タイミングから今回の報知タイミングまでの間において、余裕度の計測結果が「C」に変化したものを抽出する。
【0093】
続くステップS603では、余裕度が低くなってきている着用物が抽出されたか否かを判定し、抽出されている場合には、ステップS604にて、ユーザ名とともに、抽出した着用物が最近きつくなってきている旨を表示用端末35に送信する。送信した情報は、表示用端末35が起動された場合等に、その表示画面に表示され、ユーザに報知される。ステップS604の実行後、ステップS601又はステップS603で否定判定した場合には、余裕度報知処理を終了する。
【0094】
なお、上記構成では、余裕度が低下した着用物の報知を表示用端末35にて行うが、玄関部11にスピーカを設置し、上記報知を音声により行う構成としてもよい。この場合、報知タイミングは、余裕度の計測時、すなわち、ユーザが玄関部11を通って外出するときとするとよい。
【0095】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0096】
・住宅10からの外出時にユーザの着用物を撮影し、撮影された着用物をユーザと紐付けて着用物データベース31に登録する構成とした。
【0097】
この場合、ユーザが外出する都度、そのユーザが着用した着用物のデータが得られ、着用物データベース31には、それらのデータが逐次蓄積されていく。その結果、特許文献1に記載の従来技術とは異なり、ユーザが大量の入力を行わなくても、着用物について必要なデータを蓄積することができる。しかも、着用物の撮影をユーザの外出時に行う構成であるため、部屋着などユーザが気を遣わない場面での着用物が多く蓄積されることが抑制される。また、ユーザ認証を行い、認証したユーザが着用している着用物のデータを着用物データベース31に登録するため、一時的に住宅10を出入りする訪問客等のデータが混入せず、着用物の適切な提案に資する着用物データベース31を構築することができる。
【0098】
・ユーザの着用物を撮影するカメラ21を玄関部11に設置する構成とした。すなわち、外出する場合には玄関部11を通って屋外に出る可能性が高いことを利用して、外出時の着用物を撮影する構成とした。これにより、居室等にいるユーザの着用物の撮影を回避し、普段着等のデータが着用物データベース31に蓄積されることを好適に抑制可能となる。
【0099】
なお、上記実施の形態では、カメラ21の撮影画像を着用物の認識・判別だけでなく、ユーザ認証にも用いる構成としたが、電子キーによる施解錠システムを備える住宅の場合には、電子キーのID認証の結果(電子キーによるユーザの認証結果)を利用する構成としてもよい。施解錠システムは、電子キー認証することにより、電子キーを保有するユーザを認証しつつ施解錠を行うものであるところ、このシステムと、着用物のデータを着用物データベース31に登録するシステムとを連携させることができれば、システム構築が容易になる。
【0100】
・身長の変化を予測するとともに、その予測結果に基づいて着用物の着用可能期間を推定し、その着用可能期間を、認証されたユーザと紐付けて、着用物データベース31に登録する構成とした。この場合、例えば子供が着用している衣類について、身長が変化していく状況を踏まえ、買い替えの必要性等の判断に役立てることのできる着用物データベース31が自動的に構築されていく。
【0101】
着用物の着用可能期間を推定するにあたり、着用物の着用日から所定期間後におけるユーザの身長の変化量(伸び量G1,G2)を予測し、予測した変化量が所定量以上であるか否かに応じて、上記所定期間後の着用可否を判断する構成とした。この場合、着用物のサイズに関する情報がなくても着用可否の判断を行うことができ、各着用物のサイズをユーザが逐一入力する手間を省略することが可能になる。
【0102】
さらに、身長の違いに応じた複数の成長曲線データ42~44の中から、そのときのユーザの身長に最適な曲線データを選択し、それに基づいて身長の変化量を予測する構成とした。この場合、成長度合の個人差を踏まえた予測を行うことができ、予測結果の精度を高めることが可能になる。
【0103】
・撮影された着用物の所定箇所における皺の状態を把握して、着用物の身体に対する余裕度を計測し、その結果をユーザと紐付けて着用物データベース31に登録する構成とした。これによれば、単に着用物を登録するのみならず、着用しているユーザの体型変化との関係も含めて自動的に登録することができる。特に所定箇所を腹回り、腕回り、太もも回り等とした場合、ユーザが太ることによって着用物の皺が少なくなり、余裕度が低くなっていく状況を判断するのに用いることのできる着用物データベース31が自動的に構築されていく。
【0104】
・着用物データベース31に登録されている着用物と同一の着用物が撮影されることなく、一定期間が経過した場合、その着用物のデータを着用物データベース31から削除する構成とした。これにより、着用物データベース31への登録のみならず、削除も自動的に行うことができる。なお、本来は着用予定であったが何らかの事情によって着用していなかった着用物については、仮に着用物データベース31から削除されても、着用を再開することで再度着用物データベース31に自動登録されることになる。
【0105】
・着用物データベース31に蓄積されたデータをもとに、ユーザに対して着用物に関するコーディネート提案内容を報知する構成とした。これによれば、自動的に蓄積されていく着用物データベース31を用い、ユーザの嗜好に適合したコーディネート提案を行うことができる。
【0106】
その際、着用頻度が高い着用物Y1と同じ色合いの着用物Y3を抽出し、着用物Y3をベースとしたコーディネート案と、着用物Y1と同じ形状の着用物Y4を抽出し、着用物Y4をベースとしたコーディネート案とを作成する構成とした。この場合、ユーザの嗜好を踏まえつつ、色を主眼に置いた組み合わせと、着用物の形状(種類)を主眼に置いた組み合わせとをそれぞれ提案することができる。
【0107】
さらに、コーディネート案の作成に際しては、新しい着用物をそうでない着用物よりも優先的に採用する構成とした。新しい着用物に対してはそうでない着用物よりもユーザの着用意欲が高いことが想定されるため、上記構成とすることで、ユーザが気に入りやすいコーディネート案を提案することができる。
【0108】
・着用物データベース31に登録された着用可能期間をもとに、その着用物をユーザが来シーズンも着用できるか否かを判定し、その判定結果を報知する構成とした。この構成によれば、着用物データベース31に登録された着用物について、来シーズンの着用可否をユーザに知らせることができる。来シーズンには着用できくなることを知ったユーザは、衣替えの際にクリーニングに出してしまう無駄を回避したり、来年に向けて比較的価格の安い時期に着用物を新調したりすることもできるようになる。
【0109】
・余裕度の変化を確認し、余裕度が低くなってきている着用物を報知する構成とした。この場合、撮影された着用物について、やがて着用できなくなる可能性があることをユーザに知らせることができる。これを知ったユーザは、着用物の買い替えや仕立て直し又はその検討を早めに始めることができ、着用できなくなる前に適切な対処を行いやすくなる。また、上記報知は体型変化(成人の場合であれば太ったなど)の示唆にもなるため、ユーザがダイエットや健康管理に気を配る動機づけにもなり得る。
【0110】
<その他の実施の形態>
(1)上記実施の形態では、住宅10の玄関部11のうち屋内側にカメラ21を設置したが、これに代えて又は加えて屋外側に設置してもよい。この場合、ユーザの帰宅時においてユーザの着用物を撮影する。このような構成においても、外出時の着用物を撮影することができ、普段着等のデータが着用物データベース31に蓄積されることが好適に抑制される。なお、本構成においては、屋外側の撮像手段をインターフォンのカメラや防犯カメラにより兼用してもよい。
【0111】
上記構成において、電子キーによる施解錠システムを備える住宅の場合には、電子キー認証によりユーザが帰宅したことの判断を行い、その判断結果に基づいて着用物の登録を行う構成としてもよい。具体的には、電子キー認証又はそれによる解錠が行われた場合には、帰宅時であると判定して着用物の撮影又は着用物の登録処理を行う一方、電子キー認証又は解錠処理が行われない場合には、帰宅時ではないと判定して着用物の撮影等を行わない構成とする。この構成によれば、玄関ドア18を手動解錠して郵便物を取りに行く場合や庭に出ただけの場合など、出掛ける気がなく一時的に屋外に出た場合を、着用物の登録対象から除外することができる。これにより、普段着のデータが着用物データベース31に蓄積される可能性を一層低減することができ、外出着のデータを精度よく蓄積することが可能になる。
【0112】
(2)上記実施の形態では、ユーザ登録情報に基づいてユーザの年齢を把握し、ユーザが子供であるか否かを判定する構成としたが、例えば撮影結果から推定されるユーザの身長が所定値以下であれば子供であるなど、身長の推定値に基づいて上記判定を行う構成としてもよい。これに代えて又は加えて身長の変化に基づいて判定する構成としてもよい。具体的には、ユーザを撮影する都度、その身長を推定するとともに、その結果を着用物データベース31又は記憶部33に記憶する。そして、各撮影時の身長の結果から所定期間での身長の伸び量(変化量)を把握し、その値が所定値以上であれば子供であると判断する。
【0113】
(3)上記実施の形態では、撮影結果からユーザの身長を推定し、その結果とユーザの年齢とから身長の変化を予測する構成としたが、身長の推定を省略し、ユーザの年齢から身長の変化を予測する構成としてもよい。具体的には、成長曲線データ41を曲線データ42のみとし、これにユーザの年齢を当て嵌めて身長の変化を予測する構成とする。
【0114】
(4)上記実施の形態において、ユーザの身体に対する着用物の余裕度と、予測した身長の変化(伸び量G1,G2)とに基づいて一定期間経過後の着用可否を判定する構成としてもよい。具体的には、例えばトップスであれば、初回着用時においてユーザの腕や上半身の長さに対する着用物の袖丈や着丈の余裕度を、ズボンであれば脚の長さに対する股下の余裕度を画像認識処理の結果から計測する。併せて、予測した身長の変化から一定期間経過後の腕や上半身、脚の長さ、すなわち、腕の長さ等の変化量を予測する(例えば、身長の伸びと同比率で腕や上半身、脚の長さが伸びると推定する)。そして、計測した初回着用時の余裕度と、予測した腕の長さ等の変化量とから一定期間経過後の余裕度を予測する。その結果、袖丈、着丈及び股下のいずれかで一定期間経過後の余裕度が所定値以下となる場合には着用できないと判定し、それらの全てで所定値よりも大きい場合には着用できると判定する。この構成によれば、着用物の大きさも加味して着用可否が判定されるため、判定精度を向上させることが可能になる。
【0115】
(5)上記実施の形態では、トップス及びボトムスのデータを登録したが、靴や靴下、帽子等のデータを登録してもよい。例えば、靴を着用物として登録する場合、その余裕度は、画像認識処理から把握される靴の大きさとユーザの足の大きさ(指先から踵までの長さ)とを比較し、靴を履いたときのつま先の状態を計測することで導出する。
【0116】
(6)上記実施の形態において、着用履歴情報を着用物データベース31に登録する場合に、その着用日(撮影日)における天候や気温等の気象情報をさらに登録し、気象情報を加味してコーディネート案を作成してもよい。具体的には、外出予定日をユーザが入力するとともに、その外出予定日における気象状況を把握し、同じ状況(例えば天候が同じ)の日の着用履歴情報を対象としてコーディネート案を作成する。この構成によれば、寒暖や降雨の状況も踏まえたコーディネート案を提案することができ、利便性が向上する。
【0117】
なお、気象情報はユーザが入力してもよいが、例えばインターネットに接続可能な通信部をコントローラ25に設け、気象情報提供者(例えば気象庁)が運営する気象情報提供サーバにアクセス可能とし、当該サーバから住宅10の所在地における気象情報を取得する構成としてもよい。これによれば、各着用日の気象情報を自動的に登録したり、ユーザの入力がなくても外出予定日の気象状況を把握したりすることができ、ユーザの手間が軽減される。
【0118】
(7)上記実施の形態において、着用履歴情報を着用物データベース31に登録する場合に、その着用日(撮影日)におけるユーザの外出目的(仕事、ショッピング等)をさらに登録し、それを加味してコーディネート案を作成してもよい。具体的には、外出予定日の外出目的をユーザが入力し、同じ目的で外出した日の着用履歴情報を対象としてコーディネート案を作成する。この構成によれば、外出日のユーザの行動に適したコーディネート案を提案することが可能になる。なお、各着用日の外出目的は、例えば、ユーザのスケジュールを入力・管理するためのアプリケーション(スケジューラ)をコントローラ25又は表示用端末35にインストールし、スケジューラ上で入力された内容を読み出して着用物データベース31に登録するとよい。
【符号の説明】
【0119】
10…住宅としての住宅、21…撮像手段としてのカメラ、25…コントローラ、31…着用物データベース、35…報知手段としての表示用端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12