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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20220428BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20220428BHJP
   F28F 1/42 20060101ALI20220428BHJP
   F28F 1/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
F28D7/10 Z
F28D7/02
F28F1/42 B
F28F1/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018045013
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019158228
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502345393
【氏名又は名称】株式会社ワイ・ジェー・エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】水田 聖之
(72)【発明者】
【氏名】村田 健二
(72)【発明者】
【氏名】井上 猛
(72)【発明者】
【氏名】西田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 靖彦
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255856(JP,A)
【文献】特開2005-061771(JP,A)
【文献】特開昭59-176593(JP,A)
【文献】特開2015-215100(JP,A)
【文献】特開2005-030673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/10
F28D 7/02
F28F 1/42
F28F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の流体(b)が流れる外管(10)と、その外管(10)内に設けられて他の流体(a)が流れる複数本の内管(20)とからなって、前記一の流体(b)と他の流体(a)との間で熱交換する管式の熱交換器(A)であって、
上記内管(20)が、その外周面にその長さ方向に向かって螺旋溝(21)が形成されたものであり、かつ3本以上の内管(20)がその長さ方向に向かって多条ネジ形式で螺旋状にねじり合わされており、前記各内管(20)の中心に円筒状の空隙が形成されており、
上記外管(10)内において、一の流体(b)は内管(20)のねじれ及びその外周面の螺旋溝(21)の負荷を受けながら螺旋状に流れることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
上記内管(20)は、U字状本体部分(20a)と、U字状本体部分(20a)を連結するU字状接続部分(20b)とを有し、U字状本体部分(20a)のU字部分(20a’)の各内管(20)はねじり合わされていないことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
上記内管(20)は、その内周面にも長さ方向の螺旋溝(22)が形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
上記複数の内管(20)に、質の異なる熱交換媒体又は被熱交換媒体の上記他の流体(a)となる一方が流通し、上記外管(10)に前記熱交換媒体又は被熱交換媒体の上記一の流体(b)となる他方が流通し、上記ねじり合わされた内管(20)全体が保護管(9)で被覆され、その保護管(9)は、各内管(20)の外面に密着されて、保護管(9)の外面も内管(20)の螺旋溝(21)に倣って凹凸状となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
上記複数の内管(20)と1本の円管(8、20b)への接続部は、前記複数の内管(20)のそれぞれの端部が断面扇状に形成されてその扇状部分を寄せ集めた外周円状となって、その扇状部分を寄せ集めた外周円状部が、前記円管(8、20b)が水密に嵌め込まれている円筒状ヘッダー(7)の内面に水密に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一つに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の内管と、その内管を内装する外管とからなり、その両管内の流体間で熱交換する管式熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、給湯装置として、圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、及び外気を熱源とする熱源側熱交換器からなる冷凍サイクルと、給湯用熱交換器、給水ポンプ、及び給湯タンクからなる給湯サイクル(ヒートポンプユニット)とから構成されるものがある。この給湯装置は、給湯用熱交換器で、圧縮機からの高温冷媒によって給水ポンプからの水を加熱して湯とし、この湯を給湯タンクに貯蔵して台所や湯槽等に供給する(特許文献1、段落0029~0033、図1図2等参照)。
この給湯装置の場合、冷凍サイクルの熱交換媒体はCO、R410A、R32等であり、給湯サイクルの被熱交換媒体は主に水であり、異なる質(性状)の熱交換媒体と被熱交換媒体との間の熱交換を行う。
【0003】
また、ヒートポンプユニットや電気加熱機等の加熱源で加熱された湯(温水)を、さらに、室内の熱交換器に送り込んで、床暖房等の熱交換媒体とするものもある。この場合、室内の熱交換器における熱交換媒体及び被熱交換媒体は共に水であって、例えば、少量の35℃の温水から30℃のそれより大量の温水に熱交換する。
さらに、複数のコルゲート管(螺旋管)を並列し、その並列したコルゲート管を内管としてその外周面に外筒(外管)を嵌めたものもある(特許文献2、図5図8参照)。
【0004】
このような熱交換器において、複数の内管がその長さ方向に向かって螺旋状にねじり合わされている熱交換器がある(特許文献1、図2等参照)。
この熱交換器は、内管がねじり合わされていることにより、内外管の間(外管内)を流れる流体が螺旋状の流れとなって乱流が生じて内管表面との接触面積が大きくなり、熱交換率が高まる。
さらに、その各内管表面に長さ方向の溝を設けるとともに凹部を形成し、その凹部及び溝によって内外管の間を流れる流体を乱流としてさらなる熱交換率を高めたものもある(特許文献1、図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-32183号公報
【文献】特開2012-2495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各内管表面に長さ方向の溝を設けるとともに凹部を形成し、その各内管をねじり合わせた熱交換器はそれなりに熱交換率が向上したが、さらなる熱交換率の向上が望まれている。
この発明は、そのさらなる熱交換率の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、この発明は、各内管表面の長さ方向の溝をさらに螺旋状としたのである。
その溝が内管表面において螺旋状であれば、その表面を流れる流体もさらに乱流となって熱交換率が向上する。
【0008】
この発明に係わる熱交換器の構成としては、一の流体が流れる外管と、その外管内に設けられて他の流体が流れる複数本の内管とからなる管式の熱交換器であって、前記内管が、その外周面にその長さ方向に向かって螺旋溝が形成されたものであり、かつその複数の内管がその長さ方向に向かって螺旋状にねじり合わされている構成を採用することができる。
このとき、内管を流れる一の流体を熱交換媒体又は被熱交換媒体、外管を流れる他の流体を被熱交換媒体又は熱交換媒体として、その両流体(熱交換媒体と被熱交換媒体)の間で熱交換する。
【0009】
この構成において、上記各内管は、その内周面にも長さ方向の螺旋溝が形成されたものであれば、内管内を流れる流体も螺旋状の流れとなって乱流となり、熱交換率が向上する。
内管外周面の螺旋溝は切削や押し込み等によって形成することができるが、内外面に螺旋溝を形成する場合は、ローラの押圧による絞り加工によって同時に形成すれば、製作コストの安価なものとなる。
また、上記複数の内管のねじり合わせた方向と内管の螺旋溝の螺旋方向は同一方向でも逆方向でも良いが、逆方向とすれば、乱流効果が向上するため、熱交換率も向上することが考えられる。
【0010】
上記各熱交換器は、一の流体と他の流体が異なる質の場合、例えば、前者がCO、R410A、R32等の冷媒で、後者が水である場合でも使用することができるが、内管が破損すると、その内外の媒体(冷媒と水)が混合する不都合が生じる。この場合、内管を二重管としてその混合を防止する。このとき、その両管間を漏洩検知ゾーンとし、そのゾーンに漏洩液が漏れると、管端でその漏洩を検知するようにすることができる。
この具体的なこの発明の構成としては、上記複数の内管に、質の異なる熱交換媒体又は被熱交換媒体の上記他の流体となる一方が流通し、上記外管に、前記熱交換媒体又は被熱交換媒体の上記一の流体となる他方が流通し、上記ねじり合わされた内管全体が保護管で被覆され、その保護管は、各内管の外面に密着されて、保護管の外面も内管の螺旋溝に倣って凹凸状となっている構成を採用することができる。
【0011】
さらに、上記複数の内管と1本の円管への接続部は、前記複数の内管のぞれぞれの端部が断面扇状に形成されてその扇状部分を寄せ集めた外周円状となって、その扇状部分を寄せ集めた外周円状部が、前記円管が水密に嵌め込まれている円筒状ヘッダーの内面に水密に嵌め込まれている構成等を採用することができる。
また、上記内管を蛇行状に配置すれば、小スペースで熱交換率の高い熱交換器とすることができる(図7参照)。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、以上のように構成したので、熱交換率の高い熱交換器となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係る熱交換器を採用した熱交換装置の一実施形態の概略正面図
図2図1のI-I線切断拡大図
図3】同熱交換器の外管を除去した部分拡大正面図
図4】同熱交換器の内管の部分拡大正面図
図5】他の実施形態の断面図
図6】さらに他の実施形態の斜視図
図7】同実施形態の切断平面図
図8】(a)は図6の正面図、(b)は一部切断右側面図
図9】同実施形態の内管を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線断面図
図10】同実施形態の外管湾曲部の一方を示し、(a)は平面図、(b)は切断正面図
図11】同他方を示し、(a)は下面図、(b)は切断正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明に係る熱交換器の一実施形態を図1図5に示し、この実施形態の熱交換器Aは、内部を流体bが流れる外管10と、その外管10内に設けられて流体aが流れる4本の内管20とからなる管式であり、床暖房用熱交換器として使用されるものである。その熱交換媒体(被熱交換媒体)a、bは共に水であって、少量の温水aからそれより大量の水bに熱交換し、例えば、水bを30℃から35℃にする(5℃上げる)。内管20の本数は複数であれば、2本、3本、5本等と任意である。この実施形態では4本とした。
【0015】
外管10は、断熱性の高い材料からなり、金属や樹脂が考えられるが、この実施形態では、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使用した。この外管10の内周面には、その長さ方向に伸びる螺旋溝又は螺旋突条を形成することができる。その螺旋溝又は螺旋突条は間欠的とすることもできる。外管10の長さは、熱交換率や設置場所等を考慮して実験などによって適宜に設定する。この実施形態の1本の熱交換器Aでは、7リットル/分の水bの流通量とした。このため、被熱交換媒体(水)bとして、例えば、40リットル/分以上を得たい時には、この熱交換器Aを四本以上並列すればよい。
【0016】
各内管20は、その外周面にその長さ方向に向かって1本の螺旋溝21が形成されたものであり、かつ、その長さ方向に向かって螺旋状にねじり(撚り)合わされている。その螺旋溝21は、図4に鎖線で示すように、銅や銅合金等の熱伝導性の高く塑性変形可能な金属からなる管の外周面に、例えば、押圧ローラ1を押し当てて、管を回転しつつその長さ方向に送ることによる絞り加工によって形成する。このとき、同図に示すように、内管20の内周面にも同様に螺旋溝(螺旋条)22が形成される。押圧ローラ1は円盤状として、その周縁断面を、例えば、0.75mm直径の円弧状とすることができる。内管20には内面溝付管を採用することができる。
【0017】
螺旋溝21及びねじり合わせの螺旋ピッチは、熱交換率の最適なものを実験などによって適宜に設定する。その内管20のねじり方向と内管20の螺旋溝21の螺旋方向は図示の同方向としたり、逆方向としたりすることができる。螺旋溝21(22)も二本以上を並列して形成することもできる。
ねじり合わせた複数の内管20は、コネクタに一方をなす締め付け金具6aでその端末が纏められて一体とされ、その金具6aにコネクタの他方をなすキャップ6bをOリング等の止水材を介して嵌めることによって並行に導出される。
ねじり合わせた複数の内管20は、その外周面が外管10の内周面に接していても(図2の状態)離れていても良い。
【0018】
内管20のねじり合わせは、複数の内管20をダイスに挿し通し、そのダイスを回転することによって行い、そのねじり合わせる際、図2鎖線で示すように、中心に円筒棒状芯金50を介在すると、各内管20の中心に円筒状の空隙が確実に形成されるとともに、複数の内管20も均一にねじ込まれる(螺旋状とされる)ため、流体の流れがねじり合わせた内管全周に亘って均一となって熱交換が円滑に行われるようになる。芯金50は内管20をねじり合わせた後、引き抜いて除去する。
【0019】
この実施形態の熱交換器Aは以上の構成であり、例えば、図1に示すように、外管10の両端にT字管5がそれぞれ接続され、そのT字管5の一口が床暖房用水bのタンク(図示せず)の給排口に接続されて、そのタンクからその水bが外管10内に循環して流通する。
内管20の導出端はヘッダー7を介して集合管8となり、冷凍サイクル等による温水のタンクの給排口に接続されて、内管20内に温水aが循環して流通する。
【0020】
この構成の熱交換器Aにおいて、この熱交換器Aに、温水a及び水bが流通すると、内管20内において、温水aは螺旋溝22(螺旋突条)によって螺旋状の流れの負荷を受けながら、内管20の螺旋状(ねじれ)に沿って流れる。
一方、外管10内において、水bは内管20のねじれ(螺旋状)及びその外周面の螺旋溝21の負荷を受けながら螺旋状に流れる。
このため、この両管10、20内の各水a、bの螺旋状の流れは乱流となり、内管20を介した接触面積が多くなって温水aから水bへの熱の受け渡しが効率良く行われる。すなわち、円滑な(高い効率の)熱交換が行われる。
【0021】
図5にはこの発明に係る他の実施形態の熱交換器A’を示し、この熱交換器A’は、質(性状)の異なる熱交換媒体、例えば、内管20に、上記冷凍サイクルのCO、R410A、R32等の冷媒aが流通し、外管10に水bが流通し、その間で熱交換するものである。このため、上記の熱交換器Aとは異なり、上記温水aを作る場合に採用される。
このような、質の異なる熱交換媒体a、b間の熱交換の場合、内管20が損傷して、熱交換媒体aが水bに混入すると支障がある、このため、この熱交換器A’は、内管20を同一材料からなる保護管9で被覆している。
【0022】
その保護管9は、実線で示すように、できるだけ各内管20の外表面全域に密着していることが好ましいが、鎖線で示すように各内管20、20間は直線状の被覆状態でも良い。また、保護管9は、内管20への被覆時、螺旋溝21に入り込んで(図5の破線状態)その表面に波状の凹凸が生じ、その入り込みによって、両者20、9の一体性(密着性)が確保されて内管20の内面と保護管9外面の熱伝導性が高くなっており、その保護管9表面の凹凸により、上記螺旋溝21と同様に、その表面を流れる流体(水)bが乱流となって、熱交換率の高いものとなる。
【0023】
この実施形態の熱交換器A’は以上の構成であり、この熱交換器A’を給湯装置の給湯用熱交換器として図1に示す熱交換装置とすると、圧縮機からの高温冷媒aが内管20内を流通し、給水ポンプからの水bが外管10内を流通する。このとき、内管20内面の螺旋溝22によって熱交換媒体aが乱流になり、さらに、保護管9が内管20に一体となって両者の熱伝導性が高いものとなっているとともに、保護管9の凹凸によって外管10内を流通する水bが乱流となるため、内管20内の高温冷媒bと水aとの熱交換は円滑になされる。
【0024】
なお、この熱交換器A’において、内管20と保護管9との空隙23内に漏液検知線を設けたり、その空隙23の長さ方向一端に漏液検知器を設けたりすることによって、内管20や保護管9が破損してその空隙23に漏液した場合、その漏液を検出し得るようにすることができる。
【0025】
図6図11には、上記熱交換器A’の別態様の実施形態を示し、この実施形態の熱交換器A’’は、外管10をPPS等の樹脂製の筒管で形成し、複数の内管20を蛇行状に同じく蛇行状の外管10内に装填したものである。この実施形態も内管20は4本とした。
外管10は、直線部10aと湾曲部10b(10b、10b)とからなり、湾曲部10bを直線部10aに水密に連結することによって蛇行する管路を形成している。その蛇行度合い(回数)は任意であり、この実施形態においては、3箇所に蛇行部分(U字部分)を有している。その湾曲部10bは、図10図11の各(a)、(b)に示す部材10b、10bからなる。直線部10aは成形上の関係から左右2分割しているが、一本物でもよい。
【0026】
内管20は、上記実施形態と同様にして形成されており、2本のU字状本体部分20aとその本体部分20aを連結するU字状接続部分20bとからなる(図7図9(a)参照)。
この実施形態における4本の内管20と集合管8、中間接続管(U字状接続部分)20bとの接続は、図9(b)に示すように、その各内管20の接続端を絞り加工などにより断面扇状に成形し、その4本を纏めて周囲円形として円筒状ヘッダー7の内面に嵌め込み、さらにそのヘッダー7に集合管8を接続している。その接続部(嵌め込み部)は溶接などによって水密とする。U字状本体部分20aのU字部分20a’の各内管20はねじり合わせることなく、そのU字状部分の湾曲中心が同一線上に位置するようになっている。
【0027】
因みに、この複数の内管20をその先端を断面扇状として1本の集合管8等に接続する構造は、この実施形態の螺旋溝21、22付内管20に限らず、図1に示す実施形態や螺旋溝21、22を有しない内管20にも採用し得る。
図中、12は外管10の流体入口、13は同出口、14は流体出口13と連通した分岐口であり、分岐の有無に応じて適宜に栓をする。15は排水栓である。
【0028】
この熱交換器A’’も同様に、ヒートポンプユニットの圧縮機からの高温冷媒aが内管20内を流通し、給水ポンプからの水bが外管10内を流通する。このとき、内管20内において、冷媒aは螺旋溝22(螺旋突条)によって螺旋状の流れの負荷を受けながら、内管20の螺旋状(ねじれ)に沿って流れる。
一方、外管10内において、水bは内管20のねじれ(螺旋状)及びその外周面の螺旋溝21の負荷を受けながら螺旋状に流れる。
このため、この両管10、20内の各冷媒a及び水bの螺旋状の流れは乱流となり、内管20を介した接触面積が多くなって冷媒aから水bへの熱の受け渡しが効率良く行われる。すなわち、円滑な(高い効率の)熱交換が行われる。このとき、冷媒aと水bは相対する方向に流れてその熱交換をさらに円滑にしている。
【0029】
上記実施形態の熱交換器Aは、床暖房用であったが、水以外の流体においても採用し得ることができ、さらに同質の流体間の熱交換を行うのみならず、異なる質の流体間の熱交換器として使用し得ることは勿論である。このとき、内管20に被熱交換媒体(例えば、水a)、外管10内に熱交換媒体(例えば、冷媒b)を流通させることもできる。
また、上記実施形態の熱交換器A’、A’’は、冷媒aと水bとによる熱交換の場合であったが、質の異なる熱交換媒体と被熱交換媒体との熱交換であれば、何れの態様においても採用し得ることは勿論である。このとき、同様に、内管20に被熱交換媒体(例えば、水)、外管10内に熱交換媒体(例えば、冷媒)を流通させることもできる。
【0030】
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0031】
A、A’、A’’ 熱交換器
a 熱交換媒体(温水、冷媒)
b 被熱交換媒体(水)
5 T字管
6a コネクタの締め付け金具
6b 同キャップ
7 ヘッダー
8 集合管
9 保護管
10 外管
10a 外管直線部
10b、10b、10b 外管湾曲部
20 内管
20a 内管U字状本体部分
20b 内管U字状接続部分(中間接続管)
21、22 螺旋溝
23 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11