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特許7064915異常検出機構付き駆動装置およびダンパ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】異常検出機構付き駆動装置およびダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20220428BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
F25D17/08 313
H02K7/116
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018053996
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019168123
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 岳彦
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-024083(JP,A)
【文献】特開昭63-073073(JP,A)
【文献】特開2015-061393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04 ~ 17/08
F24F 13/14
F16H 25/00 ~ 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源からの動力が伝達される駆動部材と、
前記駆動部材が第1軸線周りの一方側に回転した際に前記駆動部材から動力が伝達されて第2軸線周りの一方側に回転し、前記駆動部材からの動力の伝達が遮断された状態で前記第2軸線周りの他方側に回転する従動部材と、
前記従動部材が前記第2軸線周りの他方側に回転する際、前記従動部材が正常に回転する正常時と、前記従動部材の回転が阻止された異常時とにおいて異なる信号を出力する検出器と、
を有し、
前記検出器は、前記駆動部材が前記従動部材を前記第2軸線周りの一方側に駆動する際には前記駆動部材の角度位置に対応する第1信号を出力し、前記正常時には前記駆動部材の角度位置に対応する第2信号を出力し、前記異常時には第3信号を出力し、
前記第1信号、前記第2信号、および前記第3信号は各々、異なる信号であり、
前記駆動部材の前記第1軸線周りの回転に連動して第3軸線周りに回転可能な伝達部材を有し、
前記検出器は、前記伝達部材の位置に対応して前記第1信号、前記第2信号、および前記第3信号を出力し、
前記駆動部材は、前記伝達部材を前記第3軸線周りに回転させる位置検出用カム面を有し、
前記伝達部材は、第1付勢部材によって前記検出器に接近する方向に付勢されていることを特徴とする異常検出機構付き駆動装置。
【請求項2】
前記従動部材は、前記正常時には前記第2軸線周りの他方側に回転する途中に前記伝達部材を一時的に変位させることにより前記検出器の出力を一時的に変化する信号を前記第2信号として前記検出器に出力させ、前記異常時には前記伝達部材を変位させないことにより前記検出器の出力が変化しない信号を前記第3信号として前記検出器に出力させることを特徴とする請求項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項3】
前記従動部材は、前記正常時に前記伝達部材に接触して前記伝達部材を変位させる当接部を備えていることを特徴とする請求項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項4】
前記当接部は、前記正常時に、前記伝達部材を一時的に前記第3軸線周りの他方側に押し退けた後、前記第2軸線周りの他方側に回転移動することを特徴とする請求項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項5】
前記当接部および前記伝達部材のうちの少なくとも一方は、前記伝達部材と前記当接部とが当接した際の反力で変位可能であることを特徴とする請求項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項6】
前記伝達部材は、前記位置検出用カム面に接触する第1アーム部と、前記正常時に前記当接部が当接する第2アーム部と、を有していることを特徴とする請求項3から5までの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項7】
前記当接部は、前記従動部材の本体部と別体に構成されて前記本体部に保持された状態にあることを特徴とする請求項3から6までの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項8】
前記当接部は、前記従動部材に一体に構成されていることを特徴とする請求項3から6までの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項9】
前記検出器は、押圧式スイッチであることを特徴とする請求項1からまでの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項10】
前記従動部材が前記第2軸線周りの他方側に回転する際に前記従動部材を前記第2軸線周りの他方側に付勢する第2付勢部材を有していることを特徴とする請求項1からまでの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項11】
前記駆動源は、前記駆動部材を前記第1軸線周りの一方側のみに回転させるモータであることを特徴とする請求項1から10までの何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の異常検出機構付き駆動装置を備えたダンパ装置であって、
前記従動部材と一体に前記第2軸線周りに回転可能なバッフルと、
前記バッフルによって開閉される開口部を備えたフレームと、
を有することを特徴とするダンパ装置。
【請求項13】
前記異常時は、前記バッフルが前記開口部を閉じる際、前記バッフルと前記フレームとの間に異物が挟まって前記バッフルおよび前記従動部材の回転が阻止されることにより発生することを特徴とする請求項12に記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従動部材の回転に異常が発生したことを検出可能な異常検出機構付き駆動装置およびダンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷気の流れを制御するダンパ装置等には、駆動源と、駆動源からの動力が伝達される駆動部材と、駆動部材が第1軸線周りの一方側に回転した際に駆動部材から動力が伝達されて第2軸線周りの一方側に回転する従動部材とを有する駆動装置が用いられており、従動部材は、駆動部材からの動力の伝達が遮断された状態でバネの付勢力によって第2軸線周りの他方側に回転する。従って、従動部材自身をバッフルとした構成や、従動部材とバッフルとが一体に回転する構成とすれば、バッフルによって冷気通路の開閉を行うことができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8,545,297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、従動部材が第2軸線周りの他方側に回転する間も、駆動部材は第1軸線周りに回転する。より具体的には、従動部材が第2軸線周りの閉方向に回転する間も、駆動部材は、通常通り、第1軸線周りの一方側に回転する。このため、従動部材が第2軸線周りの閉側に回転する際に異物が挟まる等の不具合が発生して従動部材が閉方向に回転不能になっても、駆動部材は第1軸線周りの一方側に回転する。従って、駆動部材の回転位置をスイッチレバーを介して常時検出する構成を採用していても、従動部材が第2軸線周りの閉側に回転不能になったことを検出することができない。それ故、従動部材が第2軸線周りの閉側に回転不能になった以降も、駆動部材は、通常通り、従動部材を第2軸線周りの開側、あるいは閉側に駆動してしまい、温度制御が困難となる。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、駆動部材からの動力の伝達が遮断された状態で従動部材が回転する際に、従動部材が回転不能になったことを検出することのできる異常検出機構付き駆動装置、およびダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る異常検出機構付き駆動装置は、駆動源と、前記駆動源からの動力が伝達される駆動部材と、前記駆動部材が第1軸線周りの一方側に回転した際に前記駆動部材から動力が伝達されて第2軸線周りの一方側に回転し、前記駆動
部材からの動力の伝達が遮断された状態で前記第2軸線周りの他方側に回転する従動部材と、前記従動部材が前記第2軸線周りの他方側に回転する際、前記従動部材が正常に回転する正常時と、前記従動部材の回転が阻止された異常時とにおいて異なる信号を出力する検出器と、を有し、前記検出器は、前記駆動部材が前記従動部材を前記第2軸線周りの一方側に駆動する際には前記駆動部材の角度位置に対応する第1信号を出力し、前記正常時には前記駆動部材の角度位置に対応する第2信号を出力し、前記異常時には第3信号を出力し、前記第1信号、前記第2信号、および前記第3信号は各々、異なる信号であり、前記駆動部材の前記第1軸線周りの回転に連動して第3軸線周りに回転可能な伝達部材を有し、前記検出器は、前記伝達部材の位置に対応して前記第1信号、前記第2信号、および前記第3信号を出力し、前記駆動部材は、前記伝達部材を前記第3軸線周りに回転させる位置検出用カム面を有し、前記伝達部材は、第1付勢部材によって前記検出器に接近する方向に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、駆動部材からの動力の伝達が遮断された状態で従動部材が回転する際に、従動部材が回転不能になった異常時には、検出器が正常時と異なる信号を出力するため、従動部材が回転不能になったことを検出することができる。かかる態様によれば、共通の検出器によって、駆動部材の角度位置の検出と、異常時の検出とを行うことができる。
【0011】
本発明において、前記従動部材は、前記正常時には前記第2軸線周りの他方側に回転する途中に前記伝達部材を一時的に変位させることにより前記検出器の出力を一時的に変化する信号を前記第2信号として前記検出器に出力させ、前記異常時には前記伝達部材を変位させないことにより前記検出器の出力が変化しない信号を前記第3信号として前記検出器に出力させる態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記従動部材は、前記正常時に前記伝達部材に接触して前記伝達部材を変位させる当接部を備えている態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記当接部は、前記正常時に、前記伝達部材を一時的に前記第3軸線周りの他方側に押し退けた後、前記第2軸線周りの他方側に回転移動する態様を採用することができる。かかる態様によれば、伝達部材を正常時と異常時とにおいて大きく異なる姿勢とすることができる。
【0014】
本発明において、前記当接部および前記伝達部材のうちの少なくとも一方は、前記伝達部材と前記当接部とが当接した際の反力で変位可能である態様を採用することができる。かかる態様によれば、正常時に伝達部材を一時的に第3軸線周りの他方側に押し退ける際、当接部と伝達部材とが当接する際の力を逃がすことができるとともに、当接部は、正常時に伝達部材を一時的に第3軸線周りの他方側に押し退けて第2軸線周りの他方側にスムーズに回転移動することができる。
【0015】
本発明において、前記伝達部材は、前記位置検出用カム面に接触する第1アーム部と、前記正常時に前記当接部が当接する第2アーム部と、を有している態様を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記当接部は、前記従動部材の本体部と別体に構成されて前記本体部に保持された状態にある態様を採用することができる。
【0017】
本発明において、前記当接部は、前記従動部材に一体に構成されている態様を採用してもよい。
【0018】
本発明において、前記検出器は、押圧式スイッチである態様を採用することができる。
【0019】
本発明において、前記従動部材が前記第2軸線周りの他方側に回転する際に前記従動部材を前記第2軸線周りの他方側に付勢する第2付勢部材を有している態様を採用することができる。かかる態様によれば、比較的簡素な構成で、従動部材を第2軸線周りの他方側
に回転させることができる。
【0020】
本発明において、前記駆動源は、前記駆動部材を前記第1軸線周りの一方側のみに回転させるモータである態様を採用することができる。
【0021】
本発明に係る異常検出機構付き駆動装置を備えたダンパ装置は、前記従動部材と一体に前記第2軸線周りに回転可能なバッフルと、前記バッフルによって開閉される開口部を備えたフレームと、を有する。
【0022】
本発明において、前記異常時は、前記バッフルが前記開口部を閉じる際、前記バッフルと前記フレームとの間に異物が挟まって前記バッフルおよび前記従動部材の回転が阻止されることにより発生する態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、駆動部材からの動力の伝達が遮断された状態で従動部材が回転する際に、従動部材が回転不能になった異常時には、検出器が正常時と異なる信号を出力するため、従動部材が回転不能になったことを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用したダンパ装置の斜視図である。
図2図1に示すフレームを省略したダンパ装置の分解斜視図である。
図3図2に示すバッフル駆動機構等の平面図である。
図4図2に示す回転伝達機構等の斜視図である。
図5図4に示す駆動車および従動車を駆動歯形成部の側から見た斜視図である。
図6図4に示す駆動車および従動車をカム面形成部の側から見た斜視図である。
図7図4に示す駆動車および従動車の平面的な構成を示す説明図である。
図8図4に示す駆動車の角度位置等を監視する検出機構の説明図である。
図9図8に示す検出機構においてバッフルが閉状態から開状態に移行する様子を示す説明図である。
図10図8に示す検出機構においてバッフルが開状態から閉状態に移行する様子を示す説明図である。
図11図8に示す検出器から出力されるフィードバック信号の説明図である。
図12図8に示すバッフルが閉姿勢に向けて回転する際に異常が発生した様子の説明図である。
図13図8に示すバッフルが開姿勢に向けて回転する際に異常が発生した様子の説明図である。
図14】本発明を適用した駆動装置に用いた検出機構の変形例を示す斜視図である。
図15図14に示す検出機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を適用したスイッチ機構を備えるギアードモータおよび冷蔵庫用のダンパ装置について説明する。なお、本発明のダンパ装置は冷蔵庫用に限定されるものではなく、流体の取り入れ口を開閉して流量を調節する各種の装置に用いることができる。
【0026】
(全体構成)
図1は本発明を適用したダンパ装置1の斜視図であり、図2は、図1に示すフレーム2を省略したダンパ装置1の分解斜視図である。本明細書において、符号Lはバッフル4の回転中心軸線である。第1軸線L1は、バッフル4を駆動するバッフル駆動機構5の駆動車6の回転中心軸線であり、第2軸線L2は、従動車7の回転中心軸線である。また、回
転中心軸線Lに沿う方向をX方向とし、回転中心軸線Lに対して交差する方向(冷気の流れる方向)をZ方向とし、X方向およびZ方向と交差する方向をY方向とする。また、X方向の一方側をX1とし、X方向の他方側をX2とし、Y方向の一方側をY1とし、Y方向の他方側をY2とし、Z方向の一方側をZ1とし、Z方向の他方側をZ2とする。
【0027】
図1および図2に示すように、ダンパ装置1は全体としてX方向に長い直方体状であり、矩形の開口部20が形成されたフレーム2と、開口部20を開閉するためのバッフル4と、バッフル4を駆動するバッフル駆動機構5を備える。フレーム2の長手方向(X方向)の一端側には、バッフル駆動機構5を収容するケースであるカバー3が取り付けられている。フレーム2およびカバー3は樹脂製である。フレーム2は、Z方向の両側に開口する長方形断面の筒部21を備えており、筒部21の長手方向の一方側(X1方向)には、筒部21の内側とバッフル駆動機構5が配置される空間とを仕切る隔壁22が一体に形成されている。カバー3は、図示しないフック機構によってフレーム2に係合される。
【0028】
筒部21の内側には、Z方向およびY方向に対して斜めに傾いた枠状のシール部23が形成され、シール部23の内側が開口部20になっている。筒部21の内側において、バッフル4は、X方向に延在する回転中心軸線L周りに回転可能にフレーム2に支持されている。図1に示す状態で、バッフル4は、シール部23と当接し、開口部20を塞いだ閉姿勢4Aになっている。この状態から、バッフル駆動機構5がバッフル4を回転中心軸線L周りの一方側LCWに回転駆動してバッフル4をシール部23から離間させると、バッフル4は、開口部20を開放した開姿勢4Bとなる。
【0029】
バッフル4は、開口部20よりサイズが大きな開閉板41と、開閉板41の開口部20側の面に貼り付けられた発泡ポリウレタン等からなるシート状の弾性部材42とを有しており、弾性部材42が開口部20の周り(シール部23)に当接して開口部20を塞ぐ。冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側(Z方向の一方側Z1)とは反対側(Z方向の他方側Z2)から開口部20を通ってZ方向の一方側Z1に流れる。冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側(Z方向の一方側Z1)から開口部20を通ってZ方向の他方側Z2に流れる場合もある。
【0030】
(バッフル駆動機構)
図3は、図2に示すバッフル駆動機構5等の平面図である。図2および図3に示すように、バッフル駆動機構5は、モータ50と、モータ50の回転をバッフル4に伝達するための伝達機構55を備える。ダンパ装置1は、バッフル4を回転させる駆動装置1Aを備えており、駆動装置1Aは、カバー3およびフレーム2の間にバッフル駆動機構5を収容し、リード線59を接続して構成されている。伝達機構55は、モータ50の出力軸51に形成されたウォーム52と、ウォーム52と噛み合うウォームホイール56と、ウォームホイール56に形成された小径歯車561と噛み合う大径歯車571を備えた複合歯車57と、複合歯車57の小径歯車572を介して、複合歯車57の回転が伝達される回転伝達機構10とを有しており、回転伝達機構10からバッフル4に回転が伝達される。
【0031】
モータ50としては各種モータを用いることができる。本形態においては、モータ50としてDCモータが用いられているため、制御が容易である。モータ50は、モータ軸線周りの一方方向の回転のみを出力する。本形態において、モータ50は、バッフル4を回転中心軸線L周りの一方側LCW(開方向)に回転させる方向のみに回転する。すなわち、モータ50は、後述する駆動車6を第1軸線L1周りの一方側L1CCWに駆動させる回転駆動力のみを出力する。
【0032】
(回転伝達機構)
図4は、図2に示す回転伝達機構10等の斜視図である。図2図3および図4に示す
ように、回転伝達機構10は、バッフル4の回転中心軸線Lと平行にX方向に延在する第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転する駆動車6と、駆動車6によって第1軸線L1と平行な第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動される従動車7と、従動車7を第2軸線L2周りの他方側L2CCWに付勢する付勢部材(第2付勢部材)であるねじりコイルばね8とを有する。また、回転伝達機構10は、駆動車6または従動車7(バッフル4)の角度位置を監視する検出器92を備える。
【0033】
本形態において、従動車7は、バッフル4に連結される。従って、従動車7の回転中心軸線(第2軸線L2)は、バッフル4の回転中心軸線Lと一致している。回転伝達機構10において、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転すると、従動車7が第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転し、バッフル4が回転中心軸線L周りの一方側LCWに回転するので、バッフル4は開姿勢4Bとなる。これに対して、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転しても、駆動車6による従動車7の回転駆動が停止すると、従動車7は、ねじりコイルばね8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する。従って、バッフル4は、回転中心軸線L周りの他方側LCCWに回転し、閉姿勢4Aとなり、それ以上の回転中心軸線L周りの他方側LCCWの回転は、フレーム2に設けられたストッパ(図示せず)等によって阻止される。
【0034】
図1および図2に示すように、ねじりコイルばね8は、バッフル4とフレーム2との間に配置される。ねじりコイルばね8は、コイル部81と、コイル部81の軸線方向の両端から異なる方向に延びた直線状の端部82、83を備える。ねじりコイルばね8は、一方の端部82が筒部21の内面に設けられた係合部(図示省略)に保持され、他方の端部83がバッフル4の開閉板41の背面側(弾性部材42とは反対側)に設けられた係合部43に保持されている。ねじりコイルばね8は、バッフル4を回転中心軸線L回りの他方側LCCW(閉方向)に付勢することによって、従動車7を第2軸線L2回りの他方側L2CCWに付勢している。
【0035】
図2および図4に示すように、従動車7は、バッフル4を連結するための軸部75を備える。軸部75は、フレーム2の隔壁22を貫通する貫通部を経由して筒部21の内側に突出し、バッフル4と連結される。バッフル4の回転中心軸線L側の縁には、回転中心軸線L方向の両端に軸部45、46が形成されている。軸部75は、一方側の軸部45に形成された嵌合凹部451(図4参照)と嵌合する。他方側の軸部46の先端には、円柱状の凸部461(図2参照)が形成されている。凸部461は、フレーム2の筒部21に形成された保持孔(図示省略)に回転可能に保持される。
【0036】
(回転伝達機構10の構成)
図5は、図4に示す駆動車6および従動車7を駆動歯形成部660の側から見た斜視図である。図6は、図4に示す駆動車6および従動車7をカム面形成部670の側から見た斜視図である。図7は、図4に示す駆動車6および従動車7の平面的な構成を示す説明図であり、図7(a)はバッフル4が閉姿勢4Aである状態を示し、図7(b)はバッフル4が開姿勢4Bである状態を示す。
【0037】
図5および図6に示すように、駆動車6は、外周面に歯車610が形成された円盤部61と、円盤部61の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の第1胴部62と、第1胴部62の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の第2胴部63と、第2胴部63の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の軸部64とを有する。また、駆動車6は、円盤部61の中央から第1軸線L1方向の他方側L1bに突出した軸部65(図2および図3参照)を備えており、かかる軸部64、65がフレーム2の隔壁22に回転可能に支持されている。図2および図3に示すように、駆動車6に形成された歯車610は、複合歯車57の小径歯車572と噛み合って
いる。
【0038】
駆動車6には、従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動する複数の駆動歯66が周方向に配置された駆動歯形成部660と、従動車7がねじりコイルばね8による付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する際に従動車7が摺動するカム面形成部670とが周方向で隣り合うように設けられている。
【0039】
これに対して、従動車7には、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転した際に駆動歯66が順に当接する複数の従動歯76が周方向に配置された従動歯形成部760が設けられている。本形態において、従動車7は扇形歯車であり、外周面によって、従動歯形成部760が構成されている。従動車7において、扇形の中心には、第2軸線L2方向の一方側L2aに突出した軸部74と、第2軸線L2方向の他方側L2bに突出した軸部75とが形成されており、かかる軸部74、75がフレーム2の隔壁22に回転可能に支持されている。
【0040】
駆動車6では、複数の駆動歯66が各々、第1軸線L1方向の異なる位置に配置されており、第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。かかる構成に対応して、複数の従動歯76は各々、第2軸線L2方向の異なる位置に設けられており、第2軸線L2方向に沿って多段に形成されている。
【0041】
回転伝達機構10は、駆動車6が第1軸線L1線周りの一方側L1CCWに回転すると、駆動歯66が従動歯76を介して従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに駆動し、その後、駆動歯66と従動歯76との噛み合いが解除されると、従動車7は、ねじりコイルばね8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する。その際、従動車7は、駆動車6に設けられたカム面形成部670を摺動する。従って、駆動車6の第1軸線L1周りの一方側L1CCWのみに回転させた場合でも、従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動することができるとともに、従動車7を第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転させることができる。
【0042】
(駆動車6の構成)
駆動車6には、計4つの駆動歯66(第1駆動歯661、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664)が第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。4つの駆動歯66は各々、第1軸線L1方向の各位置に1つずつ形成されており、第1軸線L1方向からみたとき、4つの駆動歯66は等角度間隔に形成されている(図7参照)。
【0043】
4つの駆動歯66のうち、第1軸線L1方向の最も一方側L1aに形成された第1駆動歯661は、第1軸線L1周りの最も他方側L1CWに配置されており、第1駆動歯661に対して第1軸線L1周りの一方側L1CCWに沿って第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664が順に配置されている。従って、4つの駆動歯66のうち、第1軸線L1方向の最も他方側L1bに形成された第4駆動歯664は、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWに位置する。つまり、本形態では、4つの駆動歯66は、第1軸線L1方向の一方側L1aに位置する駆動歯66が第1軸線L1方向の他方側L1bに位置する駆動歯66より第1軸線L1周りの他方側L1CWに位置する。
【0044】
ここで、駆動車6は、第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転した際のみ、駆動歯66が従動車7を駆動する。このため、4つの駆動歯66は、図7に示すように、第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面が、インボリュート曲線をもつ歯面になっており、4つの駆動歯66の径方向外側の端部(歯先)から第1軸線L1周りの他方側L1CWは、4つの駆動歯66の径方向外側の端部から連続して延在する円周面になっている。
【0045】
本形態では、4つの駆動歯66のうち、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664の第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面は、単純なインボリュート曲線をもつ歯面になっている。これに対して、第1駆動歯661の第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面は、インボリュート曲線を基本にして径方向外側の端部の曲率半径を大きくしてある。このため、後述する動作を行った際、全開位置手前から全開位置への移行をスムーズに行うことができる。また、力の掛かる方向が急激に変化しないので、瞬間の衝撃音等を小さくすることができる。
【0046】
(従動車7の構成)
従動車7には、計4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)が第2軸線L2方向に沿って多段に形成されている。4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)は各々、4つの駆動歯66(第1駆動歯661、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664)と対応する位置に形成されている。4つの従動歯76は各々、第2軸線L2方向の各位置に1つずつ形成されており、第2軸線L2方向からみたとき、4つの従動歯76は等角度間隔に形成されている(図7参照)。
【0047】
4つの従動歯76のうち、第2軸線L2方向の最も一方側L2aに形成された第1従動歯761は、第2軸線L2周りの最も他方側L2CCWに配置されており、第1従動歯761から第2軸線L2周りの一方側L2CWに向かって第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764が順に配置されている。従って、4つの従動歯76のうち、第2軸線L2方向の最も他方側L2bに形成された第4従動歯764は、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWに位置する。それ故、複数の従動歯76では、第2軸線L2方向の一方側L2aに位置する従動歯76が第2軸線L2方向の他方側L2bに位置する従動歯76より第2軸線L2周りの他方側L2CCWに位置する。
【0048】
ここで、従動歯76は、第2軸線L2周りの他方側L2CCWからのみ駆動歯66が当接する。このため、4つの従動歯76は、第2軸線L2周りの他方側L2CCWの面が、インボリュート曲線をもつ歯面になっており、4つの従動歯76の径方向外側の端部(歯先)から第2軸線L2周りの一方側L2CWは、4つの従動歯76の径方向外側の端部から連続して延在する円周面になっている(図6参照)。
【0049】
また、従動車7の従動歯形成部760には、複数の従動歯76より第2軸線L2周りの一方側L2CWに、駆動車6が第1軸線L1線周りの一方側L1CCWに回転した際に駆動歯66が当接しない最終従動歯765が複数の従動歯76よりも第2軸線L2方向の他方側L2bに設けられている。
【0050】
ここで、4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)の各ピッチは等しい。これに対して、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWに位置する第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、4つの従動歯76のピッチより広い。例えば、第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、複数の従動歯76のピッチの1.1倍から1.8倍であり、本形態では、第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、複数の従動歯76のピッチの1.25倍である。
【0051】
(カム面形成部670)
駆動車6には、駆動歯形成部660に対して第1軸線L1周りの他方側L1CWに形成された円周面にカム面形成部670が構成されている。カム面形成部670には、従動車7がねじりコイルばね8による付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回
転する際に複数の従動歯76が順に摺動する複数のカム面67が第1軸線L1方向の異なる位置に配置されており、複数のカム面67は、第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。
【0052】
カム面形成部670には、4つの従動歯76に対応して4つのカム面67(第1カム面671、第2カム面672、第3カム面673および第4カム面674)が形成されている。また、カム面形成部670には、従動車7の最終従動歯765が当接する最終のカム面675が設けられている。従って、カム面形成部670には、計5つのカム面67が形成されている。
【0053】
5つのカム面67のうち、第1軸線L1方向の最も一方側L1aに形成された第1カム面671は、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWに配置されており、第1カム面671に対して第1軸線L1周りの他方側L1CWに沿って第2カム面672、第3カム面673、第4カム面674、および最終のカム面675が順に配置されている。従って、5つのカム面67のうち、第1軸線L1方向の最も他方側L1bに形成された最終のカム面675は、第1軸線L1周りの最も他方側L1CWに位置する。それ故、複数のカム面67では、第1軸線L1方向の一方側L1aに位置するカム面67が第1軸線L1方向の他方側L1bに位置するカム面67より第1軸線L1周りの一方側L1CCWに位置している。
【0054】
5つのカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの一方側L1CCWから他方側L1CWに円弧状に延在した円弧面からなり、周方向の一部に従動歯76が摺動する。このため、5つのカム面67はいずれも、周方向で隣り合うカム面同士は、一定の角度範囲で重なっている。本形態において、第1カム面671は、第1駆動歯661の径方向外側の端部から周方向に延在している。また、複数のカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWの端部が第1軸線L1周りの一方側L1CCWで隣り合うカム面67より径方向外側に位置する。
【0055】
5つのカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの一方側L1CCWから他方側L1CWに向けて縮径し、駆動歯66の歯底から第1軸線L1周りの他方側L1CWに連続して延在する第1胴部62の外周面に到達している。また、最終のカム面675は、他のカム面67(第1カム面671、第2カム面672、第3カム面673および第4カム面674)より、第1軸線L1周りの一方側L1CCWに位置する部分の外径の周方向での減少率が小さく、かつ、第1軸線L1周りの他方側L1CWに位置する部分の外径の周方向での減少率が大きい。また、第2カム面672は、第1軸線L1周りの他方側L1CWに設けられたカム面67(第3カム面673、第4カム面674、および最終のカム面675)より第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWの端部が径方向内側に位置する。従って、後述する動作を行う際、第2従動歯762より後段の第3従動歯763、第4従動歯764、および最終従動歯765は、第2カム面672から第1軸線L1方向の他方側L1bに延在している部分と干渉しない。
【0056】
また、本形態では、後述するように、複数の従動歯76が複数のカム面67に対して順に摺動する各区間の間には、現在の区間の従動歯76がカム面に接しているうちに、次の区間の従動歯76または最終従動歯765がカム面67に対して接するように構成されている。
【0057】
(検出器92等の構成)
図8は、図4に示す駆動車6の角度位置等を監視する検出機構9の説明図である。図4および図8に示すように、本形態の回転伝達機構10には、駆動車6または従動車7(バッフル4)の角度位置を監視する検出機構9が設けられている。本形態において、検出機
構9は、検出器920によって、駆動車6の角度位置を監視するように構成されている。
【0058】
検出機構9は、駆動車6の第2胴部63に設けられた位置検出用カム面630によって変位する伝達部材91と、伝達部材91の変位によって状態が切り換わる検出器92とを有している。位置検出用カム面630は、第1軸線L1の他方側L1CWに沿って、小径部631、拡径部634、大径部632および縮径部635が設けられている。
【0059】
検出器92は、例えば押圧式スイッチであり、伝達部材91の変位によってオンオフが行われる。なお、検出器92は、押圧式のスイッチ以外の種類のスイッチであってもよい。例えば、伝達部材91の変位などの変化量を電圧の変化で読み取るポテンショメータを用いるものであってもよい。検出器92は、基板94に実装されており、検出器92から出力された信号は基板94を介してモータ50の制御回路等に出力される。
【0060】
伝達部材91は、カバー3に形成されたレバー保持部(図示せず)によって回転可能に支持された軸部910と、軸部910から駆動車6の位置検出用カム面630に向けて突出した第1アーム部911と、第1アーム部911に沿うに延在して第1アーム部911に対して位置検出用カム面630とは反対側に位置する第2アーム部912と、軸部910から検出器92に向けて突出した第3アーム部916とを有している。伝達部材91は、軸部910の軸線である第3軸線L3周りに回転可能である。第1アーム部911の先端には、位置検出用カム面630に摺動する略円形の第1当接部913が設けられ、第3アーム部916の先端には、検出器92に当接する第2当接部914が設けられている。
【0061】
伝達部材91に対しては、カバー3によって支持された付勢部材(第1付勢部材)であるねじりコイルばね93が設けられている。ねじりコイルばね93の一方の端部931はカバー3に形成されたばね支持壁(図示せず)に支持され、ねじりコイルばね93の他方の端部932は、伝達部材91の第3アーム部916の先端に設けられた第2当接部914に支持されている。従って、伝達部材91は、ねじりコイルばね93によって第3軸線L3周りの一方側L3CCWに付勢されている。それ故、第1アーム部911の先端に設けられた第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631と対向している区間では、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92を押圧する一方、第1アーム部911の先端に設けられた第1当接部913が位置検出用カム面630の大径部632に当接している区間では、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92から離間する。従って、検出器92のオンオフを監視すれば、駆動車6の角度位置を検出することができ、それ故、従動車7およびバッフル4の角度位置を監視することができる。
【0062】
(異常検出機構の構成)
本形態の駆動装置1Aにおいて、検出機構9は、以下に説明するように、従動車7およびバッフル4が、ねじりコイルばね8の付勢力によって、第2軸線L2周りの他方側L2CCW(中心軸線L周りの他方側LCCW)に回転しようとした際、異物等によって回転不能にとなった際の異常を検出する異常検出機構として構成されている。従って、駆動装置1Aは、異常検出機構付き駆動装置として構成されている。
【0063】
具体的には、伝達部材91には、従動車7に向けて延在する第2アーム部912が形成されている一方、従動車7には、第2アーム部912の先端部912aに向けて突出した当接部773が構成されている。第2アーム部912の先端面912bは傾斜面になっている。また、図6に示すように、従動車7は、従動車7の本体部70に対してレバー部材77の筒状の基端部771が保持された構成になっており、レバー部材77の先端部が当接部773になっている。本形態において、従動車7の本体部70には円筒部713が形成されている一方、レバー部材77の基端部771には円筒部713が嵌る穴774が形成されており、穴774にはねじ78が止められている。従って、レバー部材77は、円
筒部713を中心に回転可能であるとともに、ねじ78の頭部によって円筒部713からの抜けが防止されている。ここで、従動車7の本体部70には、レバー部材77において基端部771と先端部(当接部773)とを繋ぐアーム部772の両側に向けて突出した凸部711、712が形成されている。従って、レバー部材77は、円筒部713を中心に回転可能な範囲が凸部711、712によって制限されている。
【0064】
このように構成した検出機構9においては、図9図10図11を参照して以下に示すように、従動車7およびバッフル4が、ねじりコイルばね8の付勢力によって、第2軸線L2周りの他方側L2CCW(中心軸線L周りの他方側LCCW)に正常に回転する際、当接部773が伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aに当接して伝達部材91を変位させる。これに対して、従動車7およびバッフル4が、ねじりコイルばね8の付勢力によって、第2軸線L2周りの他方側L2CCW(中心軸線L周りの他方側LCCW)に正常に回転することができない場合、当接部773が伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aに当接しない。それ故、検出器92は、正常時と異常時とにおいて異なる信号を出力する。
【0065】
(回転伝達機構の動作)
図9は、図8に示す検出機構9においてバッフル4が閉状態から開状態に移行する様子を示す説明図である。図10は、図8に示す検出機構9においてバッフル4が開状態から閉状態に移行する様子を示す説明図である。図11は、図8に示す検出器92から出力されるフィードバック信号の説明図であり、図11(a)、(b)、(c)は、正常時のフォードバック信号の説明図、バッフル4が閉姿勢4Aに向けて回転する際に異常が発生した場合のフォードバック信号の説明図、およびバッフル4が開姿勢4Bに向けて回転する際に異常が発生した場合のフィードバック信号FBの説明図である。
【0066】
まず、図9(a)に示すように、バッフル4が閉状態(開度=0°)にあるとき(区間t1)、伝達部材91の第1アーム部911の第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631と対向する位置にあるため、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92を押圧する。このため、検出器92から出力されるフィードバック信号FBは、オンレベルである(図11(a)参照)。かかる区間t1は、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の他方側Z2に位置する。
【0067】
この状態から、図9(b)に示すように、モータ50の駆動力が駆動車6に伝達されて駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWに回転すると、駆動車6の第4駆動歯664が従動車7の第4従動歯764に当接し、従動車7が第2軸線周りの一方側L2CWに回転し始める。従って、バッフル4が開方向に回転し始める(区間t2)。その際、第1アーム部911の第1当接部913が位置検出用カム面630の大径部632と接するため、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92から離間する。従って、検出器92から出力されるフィードバック信号FBは、オフレベルとなる。その際、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aに当接するが、その際に伝達部材91が受ける力は、第1アーム部911の第1当接部913が位置検出用カム面630の大径部632と接する状態を維持する方向に作用するため、フィードバック信号FBは、オフレベルのままである(図11(a)参照)。
【0068】
さらに、図9(c)に示すように、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWに回転すると、従動車7が第2軸線周りの一方側L2CWにさらに回転する。従って、第3駆動歯663が従動車7の第3従動歯763に当接し、続いて、第2駆動歯662が従動車7の第2従動歯762に当接し、さらに、第1駆動歯661が従動車7の第1従動歯761に当接し、その後、第1駆動歯661の歯先が従動車7の第1従動歯761の歯先に乗り上げるまで回転する。これにより、バッフル4が開姿勢4Bとなる(区間t2)。そ
の間、第3アーム部916の第2当接部914は、検出器92から離間した状態のままであるため、検出器92から出力されるフィードバック信号FBは、オフレベルのままの第1信号S1である(図11(a)参照)。その間に、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aをZ方向の一方側Z1に押し退けて、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の一方側Z1に移動する。その際、当接部773および伝達部材91の第2アーム部912のうちの少なくとも一方は、当接した際の反力で変位するので、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の一方側Z1に通り抜けることができる。本形態では、当接部773が伝達部材91の第2アーム部912と当接した際、レバー部材77のアーム部772が撓むことにより、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の一方側Z1に通り抜けることができる。
【0069】
次に、駆動車6がさらに第1軸線L1周りに一方側L1CCWに回転すると、駆動車6の第1駆動歯661と従動車7の第1従動歯761との係合が解除されるので、従動車7は、ねじりコイルばね8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転しようとする。但し、第1従動歯761が第1カム面671に当接しているため、従動車7が第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転することが阻止され、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWで停止した状態が維持される(区間t3)。従って、図10(a)に示すように、バッフル4も開姿勢4Bのまま停止しており、第1従動歯761は、第1カム面671を摺動する。
【0070】
図7(b)は、第1従動歯761が第1カム面671を摺動する途中の状態を示す。第1従動歯761が、第1カム面671の第1軸線L1周りの他方側L1CWの部分で第1カム面671が縮径している部分に到達するまでは、従動車7およびバッフル4は、開姿勢4Bのまま停止している。そして、検出器92では、伝達部材91の第1当接部913が位置検出用カム面630の大径部632から縮径部635を通って小径部631に移動すると、第3アーム部916の第2当接部914は、検出器92を押圧するので、フィードバック信号FBは、オンレベルとなる(図11(a)参照)。図7(b)は、伝達部材91の第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631へ移動する途中の状態を示している。
【0071】
第1従動歯761が、第1カム面671の第1軸線L1周りの他方側L1CWの部分で第1カム面671が縮径している部分に到達すると、図10(b)に示すように、従動車7は、ねじりコイルばね8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転し始める。従って、バッフル4は、回転中心軸線L周りの他方側LCCW(閉方向)に回転し始める(区間t4)。
【0072】
駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転すると、第1従動歯761が第1カム面671に接触した状態で、第2従動歯762が第2カム面672に接触する。そして、第2従動歯762が第2カム面672を摺動する。続いて、第1従動歯761が第1カム面671から離れ、第2従動歯762が第2カム面672に接触した状態で、第3従動歯763が第3カム面673に接触し、第3従動歯763が第3カム面673を摺動する。そして、第2従動歯762が第2カム面672から離れ、第3従動歯763が第3カム面673に接触した状態で、第4従動歯764が第4カム面674に接触し、第4従動歯764が第4カム面674を摺動する。さらに、第3従動歯763が第3カム面673から離れ、第4従動歯764が第4カム面674に接触した状態で、最終従動歯765が最終のカム面675に接触し、最終従動歯765が最終のカム面675を摺動する。
【0073】
従動車7は、最終従動歯765が最終のカム面675を外れるまで、ねじりコイルばね
8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転し、その後、停止する(区間t4)。従って、バッフル4は閉姿勢4Aの状態で停止する。その間、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転しても、第4駆動歯664が第4従動歯764に当接するまでは、従動車7およびバッフル4は停止している(区間t5)。そして、停止区間の途中で、検出器92に用いた伝達部材91の第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631から拡径部634を通って大径部632に移動する。従って、フィードバック信号FBは、オフレベルに切り換わる(図11(a)参照)。
【0074】
その間、従動車7の第2軸線L2周りの他方側L2CCWへの移動に伴い、図10(c)に示すように、当接部773が伝達部材91の第2アーム部912にZ方向の一方側Z1から当接した後、図10(d)、(e)に示すように、当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aをZ方向の他方側Z2に押し退けて、図10(f)に示すように、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の一方側Z1に移動する。その際、レバー部材77のアーム部772が撓むことにより、従動車7の当接部773は、伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の他方側Z2に通り抜けることができる。
【0075】
また、当接部773は、図10(d)、(e)に示すように、伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aをZ方向の他方側Z2に押し退けた際、第1アーム部911の第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631と対向する位置にあるため、伝達部材91は、第3軸線L3周りの他方側L3CWに回転する。従って、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92から離間するので、フィードバック信号FBはオフレベルとなる(図11(a)参照)。そして、図10(f)に示すように、当接部773が伝達部材91の第2アーム部912よりZ方向の他方側Z2に通り抜けた際、第1アーム部911の第1当接部913が位置検出用カム面630の大径部632に接する状態にあるため、伝達部材91は、第3軸線L3周りの一方側L3CCWに回転する。従って、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92を押圧するので、フィードバック信号FBはオンレベルとなる(図11(a)参照)。
【0076】
それ故、区間t4において、フィードバック信号FBが、オンレベルからオフレベルに切り換わった後、オンレベルに戻る第2信号S2の場合には、バッフル4が閉姿勢4Aになるまで、従動車7およびバッフル4が第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転したことを検出することができる。
【0077】
以降、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転すると、上記の動作が繰り返し行われる。
【0078】
(閉動作の異常時)
図12は、図8に示すバッフル4が閉姿勢4Aに向けて回転する際に異常が発生した様子の説明図である。図10を参照して説明した閉動作を行おうとした際、図12に示すように、バッフル4とフレーム2との間に異物が挟まったとする。この場合、バッフル4および従動車7の第2軸線L2周りの他方側L2CCWへの回転が回転できないため、図10(d)、(e)に示すように、従動車7の当接部773が伝達部材91の第2アーム部912の先端部912aをZ方向の他方側Z2に押し退ける動作が不可能である。従って、第3アーム部916の第2当接部914は、検出器92を押圧した状態のままでとなるので、図11(b)に示すように、フィードバック信号FBは、オンレベルのままとなる第3信号S3となる。従って、閉動作に異常が発生したことを検出することができる。
【0079】
(開動作の異常時)
図13は、図8に示すバッフル4が開姿勢4Bに向けて回転する際に異常が発生した様
子の説明図である。図9を参照して説明した開動作を行おうとした際、図13に示すように、バッフル4とフレーム2との間に異物が挟まって、バッフル4および従動車7の第2軸線L2周りの一方側L1CWへの回転が回転できない異常時には、図9(b)、(c)に示すように、第3アーム部916の第2当接部914が検出器92から離間した後、伝達部材91の第1当接部913が位置検出用カム面630の小径部631と対向する状態になっても、フィードバック信号FBは、オフレベルのままである(図11(c)参照)。従って、開動作に異常が発生したことを検出することができる。
【0080】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、駆動車6からの動力の伝達が遮断された状態で従動車7が第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する際に、従動車7が回転不能になった異常時には、検出器92が正常時と異なる信号を出力するため、従動車7が回転不能になったことを検出することができる。
【0081】
また、検出器92は、駆動車6が従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに駆動する際には駆動車6の角度位置に対応する第1信号S1(図11(a)参照)を出力し、従動車7が第2軸線L2周りの他方側L2CCWに正常に回転する際には、駆動車6の角度位置に対応する第2信号S2(図11(a)参照)を出力し、異常時には第3信号S3(図11(b)参照)を出力する。従って、共通の検出器92によって、駆動車6の角度位置の検出と、異常時の検出とを行うことができる。
【0082】
(異常検出用の当接部の変形例)
図14は、本発明を適用した駆動装置1Aに用いた検出機構9の変形例を示す斜視図である。図15は、図14に示す検出機構9の平面図である。図4および図8を参照して説明した検出機構9では、従動車7に当接部773を設けるにあたって、従動車7の本体部70と別体のレバー部材77を設けたが、図14および図15に示すように、従動車7と一体に形成されたレバー部770の先端部を当接部773としてもよい。この場合、レバー部770は、伝達部材91と当接した際、その反力を受けて撓んで変位することができる。
【0083】
[他の実施形態]
上記形態では、伝達部材91を付勢する第1付勢部材としてねじりコイルばね93を用いたが、他の付勢部材を用いてもよい。また、上記形態では、バッフル4を付勢する第2付勢部材としてねじりコイルばね8を用いているが、他の付勢部材を用いてもよい。例えば、板ばねを用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…ダンパ装置、1A…駆動装置(異常検出機構付き駆動装置)、2…フレーム、3…カバー(ケース)、4…バッフル、4A…閉姿勢、4B…開姿勢、5…バッフル駆動機構、6…駆動車(駆動部材)、7…従動車(従動部材)、8…ねじりコイルばね(第2付勢部材)、9…検出機構(異常検出機構)、10…回転伝達機構、20…開口部、41…開閉板、42…弾性部材、43…係合部、50…モータ(駆動源)、51…出力軸、55…伝達機構、91…伝達部材、92…検出器、923…ねじりコイルばね(第1付勢部材)、630…位置検出用カム面、631…小径部、632…大径部、634…拡径部、635…縮径部、660…駆動歯形成部、670…カム面形成部、760…従動歯形成部、911…第1アーム部、912…第2アーム部、913…第1当接部、914…第2当接部、916…第3アーム部、L…回転中心軸線、L1…第1軸線、L2…第2軸線、L3…第3軸線
図1
図2
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図15