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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】キュービクルのモニタ装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20220428BHJP
   H02B 13/065 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H02B3/00 M
H02B13/065 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018093786
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019201466
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】三谷 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝一
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178201(JP,A)
【文献】特開2018-010678(JP,A)
【文献】特開2017-037589(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
H02B 13/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュービクルに設けられる複数の変圧器に対応する複数の電力系統のそれぞれで計測される複数の計測情報を含んだ前記キュービクルに関連する複数の情報を複数の表示領域に分割してそれぞれ表示することが可能であるとともに、タッチ操作の可能なタッチパネルと、
前記タッチパネルを制御する制御部と、を備え、
複数の前記表示領域は、前記タッチパネルにおいて所定方向に並べて配置されており、
前記制御部は、
複数の前記表示領域のうちの所定の表示領域に対してフリック操作が行われた場合、前記所定の表示領域に表示されている情報のみを切り替えるとともに、
前記所定の表示領域に対して前記所定方向にフリック操作が行われた場合には、前記所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を、前記所定の電力系統の別の計測情報に切り替える一方、
前記所定の表示領域に対して前記所定方向と直交する方向にフリック操作が行われた場合には、前記所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を、前記所定の電力系統とは別の電力系統の計測情報に切り替える
キュービクルのモニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キュービクルのモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のキュービクル式高圧受電設備がある。特許文献1に記載のキュービクルは、変圧器、電力用コンデンサ、高圧負荷開閉器、及び複数のメータパネル等を有している。複数のメータパネルは、変圧器の前面に設けられた計器取付板に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-14500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなキュービクルでは、近年、その状態を点検者がより的確に認知することができるように、キュービクルに取り付けられるメータパネルの数が増加傾向にある。しかしながら、計器取付板のスペース的な制約により、計器取付板に取り付け可能なメータパネルの数には限界があるため、メータパネルの数を増やすことが困難となっている。
【0005】
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置スペースを小さくすることが可能であるとともに、操作性を向上させることの可能なキュービクルのモニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するキュービクルのモニタ装置は、キュービクルに関連する複数の情報を複数の表示領域に分割してそれぞれ表示することが可能であるとともにタッチ操作の可能なタッチパネルと、タッチパネルを制御する制御部と、を備える。制御部は、複数の表示領域のうちの所定の表示領域に対してタッチ操作が行われた場合、所定の表示領域に表示されている情報のみを切り替える。
【0007】
この構成によれば、キュービクルに関連する複数の情報をタッチパネルに表示することができるため、各情報を表示するためのメータパネルを個別に計器取付板に設ける場合と比較すると、計器取付板における設置スペースを小さくすることができる。また、タッチパネルの複数の表示領域に、キュービクルに関連する複数の情報が分割して表示されるとともに、その表示領域に表示されている情報をタッチ操作により切り替えることができる。その際、所定の表示領域に対して点検者がタッチ操作を行った場合には、その所定の表示領域に表示されている情報のみが切り替わり、それとは別の表示領域に表示されている情報は切り替わることがない。これにより、点検者は、キュービクルに関連する複数の情報のうち、自身の望む任意の複数の情報をタッチパネルに選択的に表示させることができる。したがって、操作性を向上させることができる。
【0008】
上記のキュービクルのモニタ装置において、所定の表示領域に表示されている情報を切り替えるためのタッチ操作は、所定の表示領域に対するフリック操作である。
この構成によれば、タッチパネルの所定の表示領域に対するフリック操作という最小限の操作で所定の表示領域に表示されている情報を変更することができるため、利便性を向上させることができる。
【0009】
上記のキュービクルのモニタ装置において、複数の表示領域は、タッチパネルにおいて所定方向に並べて配置され、制御部は、所定の表示領域に対して所定方向にフリック操作が行われた場合には、所定の表示領域に表示されている情報を第1態様で切り替え、所定の表示領域に対して所定方向と直交する方向にフリック操作が行われた場合には、所定の表示領域に表示されている情報を、第1態様とは異なる第2態様で切り替える。
【0010】
この構成によれば、所定の表示領域に対する所定方向へのフリック操作、及び所定方向と直交する方向へのフリック操作を点検者が選択的に実行することにより、所定の表示領域に表示されている情報を異なる態様で切り替えることができるため、利便性を向上させることができる。
【0011】
上記のキュービクルのモニタ装置において、キュービクルに関連する複数の情報には、キュービクルに設けられる複数の変圧器に対応する複数の電力系統のそれぞれで計測される複数の計測情報が含まれ、制御部は、第1態様での表示情報の切り替えとして、所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を所定の電力系統の別の計測情報に切り替える。
【0012】
この構成によれば、所定の電力系統で計測される複数の計測情報の切り替えが容易となる。
上記のキュービクルのモニタ装置において、キュービクルに関連する複数の情報には、キュービクルに設けられる複数の変圧器に対応する複数の電力系統のそれぞれで計測される複数の計測情報が含まれ、制御部は、第2態様での表示情報の切り替えとして、所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を、所定の電力系統とは別の電力系統の計測情報に切り替える。
【0013】
この構成によれば、所定の表示領域に表示されている電力系統の切り替えが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、設置スペースを小さくすることが可能であるとともに、操作性を向上させることの可能なキュービクルのモニタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態のキュービクルの正面構造を示す正面図である。
図2図2は、実施形態のキュービクルの電気的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態のモニタ装置の正面構造を示す正面図である。
図4図4は、実施形態のモニタ装置に表示される情報の一例を示す正面図である。
図5図5は、実施形態の制御部により実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態のモニタ装置に表示される情報の一例を示す正面図である。
図7図7は、実施形態のモニタ装置に表示される情報の一例を示す正面図である。
図8図8は、実施形態のモニタ装置に表示される情報の一例を示す正面図である。
図9図9は、参考例のメータパネルの配置例を示す正面図である。
図10図10は、実施形態のモニタ装置の配置例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、キュービクルのモニタ装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
はじめに、図1に示される本実施形態のキュービクル10の概要について説明する。図1に示されるキュービクル10は、キュービクル式高圧受電設備であって、電力会社等から供給される高圧の商用電力を、需要家の負荷設備の仕様に適合した電圧や周波数を有する電力に変換するための機器一式を金属製の外箱に収めた設備である。図1に示されるように、キュービクル10は、直方体状に形成された箱体21を備えている。箱体21には、計器用変圧変流器(VCT:Voltage Current Transformer)11と、変圧器12aと、電力用ヒューズ13付きの高圧負荷開閉器14と、モニタ装置15と、電力計16と、配線用遮断器17aとが設置されている。モニタ装置15は、箱体21の前面に設けられた板状の計器取付板23に取り付けられている。計器取付板23には、モニタ装置15の他、キュービクル10に用いられる各種機器が取り付け可能となっている。
【0017】
図2に示されるように、変圧器12aは、高圧母線からなる一次側電路W11から供給される高圧の交流電力を、負荷に供給可能な交流電力に変換する。変圧器12aにより変換された交流電力は、二次側電路W12aを通じて負荷に供給される。変圧器12aは、一次側電路W11から供給される高圧の交流電力を低圧の単相交流電力に変換する電灯変圧器や、高圧の交流電力を低圧の三相交流電力に変換する動力変圧器等からなる。なお、本実施形態では、変圧器12aは電灯変圧器からなる。以下では、変圧器12aに対応する電力系統を「第1電力系統」とも称する。
【0018】
計器用変圧変流器11は、一次側電路W11の途中に配置されている。計器用変圧変流器11は、一次側電路W11の高電圧及び大電流を、電力計16により計測可能な低電圧及び小電流に変換する。
電力計16は、計器用変圧変流器11により変換された電圧及び電流に基づいて、一次側電路W11を通じて変圧器12aに供給される電力、すなわち使用電力等を計測するとともに、計測した使用電力等を表示する。
【0019】
高圧負荷開閉器14は、一次側電路W11の途中に設けられている。高圧負荷開閉器14は、変圧器12aの一次側電路W11を開閉するための機器である。
配線用遮断器17aは、二次側電路W12aの途中に設けられている。配線用遮断器17aは、変圧器12aの二次側電路W12aを開閉するための機器である。
【0020】
一次側電路W11には、変圧器12aに対して電気的に並列に変圧器12bが接続されている。変圧器12bは、一次側電路W11から供給される高圧の交流電力を、負荷に供給可能な交流電力に変換するとともに、変換された交流電力を、二次側電路W12bを通じて負荷に供給する。変圧器12bも、変圧器12aと同様に、電灯変圧器や動力変圧器等からなる。なお、本実施形態では、変圧器12bは電灯変圧器からなる。二次側電路W12bにも、配線用遮断器17bが設けられている。なお、図1では、変圧器12bや配線用遮断器17b等の図示が省略されている。以下では、変圧器12bに対応する電力系統を「第2電力系統」とも称する。
【0021】
モニタ装置15は、キュービクル10に関する各種情報を表示するための装置である。詳しくは、モニタ装置15は、計測部150と、制御部151と、温度センサ152と、タッチパネル153とを備えている。
計測部150には、計器用変流器18a,18b及び計器用変圧器19a,19bから出力される電気信号が入力されている。計器用変流器18a,18b及び計器用変圧器19a,19bは、二次側電路W12a,W12bにそれぞれ設けられている。計器用変流器18a,18bは、二次側電路W12a,W12bをそれぞれ流れる大電流を、モニタ装置15により計測可能な小電流に変換する。計器用変圧器19a,19bは、二次側電路W12a,W12bにそれぞれ供給されている高電圧を、モニタ装置15により計測可能な低電圧に変換する。
【0022】
計測部150は、計器用変流器18a,18bのそれぞれの電気信号に基づいて二次側電路W12a,W12bのそれぞれのX相電流、N相電流、及びY相電流を計測する。なお、X相及びY相は電圧線であり、N相は中性線である。また、計測部150は、計器用変圧器19a,19bのそれぞれの電気信号に基づいて二次側電路W12a,W12bのそれぞれのX相-N相間電圧、N相-Y相間電圧、及びX相-Y相間電圧を計測する。計測部150は、これらの計測情報を制御部151に送信する。
【0023】
温度センサ152は、モニタ装置15の周辺の温度を検出するとともに、検出された温度に応じた信号を制御部151に出力する。
タッチパネル153は、キュービクル10の各種状態量を表示する表示部として機能するとともに、タッチ操作を行うことの可能な操作部として機能する。なお、タッチ操作には、タップ操作やフリック操作、スワイプ操作等、タッチパネル153において実行可能な各種操作が含まれる。
【0024】
制御部151は、二次側電路W12aの電流及び電圧等の情報を計測部150から取得する。また、制御部151は、二次側電路W12aの電流及び電圧から演算可能な物理量、例えば電力や力率、電力量等を演算する。以下では、これらの変圧器12aに対応する計測情報を「第1電力系統の計測情報」とも称する。なお、本実施形態の「計測情報」には、計測部150を通じて実際に計測される電流及び電圧等に限らず、それらの物理量に基づいて制御部151により演算される電力等の演算値も含む。
【0025】
また、制御部151は、二次側電路W12bの電流及び電圧等の情報を計測部150から取得する。さらに、制御部151は、二次側電路W12bの電流及び電圧から演算可能な物理量、例えば電力や力率、電力量等を演算する。以下では、これらの変圧器12bに対応する計測情報を「第2電力系統の計測情報」とも称する。
【0026】
さらに、制御部151は、温度センサ152の出力信号に基づいてモニタ装置15の周辺の温度の情報を取得する。
制御部151は、以上のようにして取得又は演算される計測情報を点検者のタッチ操作に基づいてタッチパネル153に表示する等、タッチパネル153の各種制御を統括的に実行する。
【0027】
次に、タッチパネル153について具体的に説明する。
図3に示されるように、タッチパネル153は、正面視において略直方体状に形成されている。以下では、タッチパネル153の長手方向を「X軸方向」と称し、タッチパネル153の短手方向を「Y軸方向」と称する。本実施形態では、X軸方向が水平方向であり、Y軸方向が鉛直方向である。また、X軸方向のうちの一方向を「X1方向」と称し、その他方向を「X2方向」と称する。さらに、Y軸方向のうちの一方向を「Y1方向」と称し、その他方向を「Y2方向」と称する。本実施形態では、X軸方向が所定方向に相当し、Y軸方向が、所定方向に直交する方向に相当する。
【0028】
タッチパネル153には、ステータス表示領域A10と、第1表示領域A11と、第2表示領域A12とが設けられている。表示領域A11,A12は、タッチパネル153においてX軸方向に並べて設けられている。ステータス表示領域A10は、表示領域A11,A12のY軸方向の上方に設けられている。
【0029】
第1表示領域A11には、電力系統表示部N11、及び計測情報表示部M11が設けられている。
電力系統表示部N11には、第1表示領域A11に表示されている情報に対応する電力系統の名称が表示される。本実施形態では、第1電力系統に対して「電灯1」の名称が予め付与されており、第2電力系統に対して「電灯2」の名称が予め付与されている。したがって、電力系統表示部N11には、「電灯1」及び「電灯2」のいずれか一方の名称が表示される。例えば、図3に示されるように、電力系統表示部N11に「電灯1」が表示されている場合には、第1表示領域A11に表示されている情報は、第1電力系統に対応するものであることを示す。
【0030】
計測情報表示部M11には、電力系統表示部N11に表示されている電力系統の複数の計測情報のうちのいずれか一つの計測情報の現在値が表示される。本実施形態のタッチパネル153では、第1電力系統の計測情報として、第1電力系統の電圧、電流、電力、力率、及び電力量が表示可能となっており、第2電力系統の計測情報として、第2電力系統の電圧、電流、電力、力率、及び電力量が表示可能となっている。本実施形態では、これらの情報が、キュービクル10に関連する複数の情報に相当する。図3では、計測情報表示部M11に第1電力系統のX相電流、N相電流、及びY相電流が表示されている場合を例示している。
【0031】
第1表示領域A11の下方には、項目アイコンL11が設けられている。項目アイコンL11は、計測情報表示部M11に表示されている情報を変更する際に操作する部分である。具体的には、タッチパネル153において項目アイコンL11をタップ操作すると、図4に示されるような計測情報選択画面が表示される。計測情報選択画面には、電力系統表示部N11に表示されている電力系統に対応する複数の計測情報のアイコンが表示される。この計測情報選択画面において任意の計測情報のアイコンをタップ操作して選択することにより、選択された計測情報を計測情報表示部M11に表示させることができる。
【0032】
図3に示されるように、第2表示領域A12には、第1表示領域A11と同様の電力系統表示部N12、及び計測情報表示部M12が設けられている。第2表示領域A12には、第1表示領域A11と同一又は異なる計測情報を表示することが可能である。また、第2表示領域A12の下方には、第1表示領域A11の下方に設けられる項目アイコンL11と同様の項目アイコンL12が設けられている。
【0033】
ステータス表示領域A10には、設定アイコンI10、履歴アイコンI11、モニタ装置15の周辺の温度、並びに現在の日付及び時刻がY軸方向に並べて表示されている。設定アイコンI10は、モニタ装置15の各種設定を行う際に操作する部分である。履歴アイコンI11は、表示領域A11,A12のそれぞれの計測情報表示部M11,M12に表示されている計測情報の過去の履歴を閲覧する際に操作する部分である。
【0034】
また、タッチパネル153では、表示領域A11,A12にそれぞれ表示されている電力系統及び計測情報をフリック操作により変更することが可能となっている。
次に、図5を参照して、タッチパネル153がフリック操作された際に制御部151により実行される処理の手順について具体的に説明する。
【0035】
図5に示されるように、制御部151は、タッチパネル153に対するフリック操作を検出した場合には、まず、ステップS10の処理として、第1表示領域A11に対してフリック操作が行われたか否かを判断する。制御部151は、ステップS10の処理で肯定判断した場合には、すなわち第1表示領域A11に対してフリック操作が行われたと判断した場合には、ステップS11の処理として、そのフリック操作の方向がX軸方向であるか否かを判断する。
【0036】
制御部151は、ステップS11の処理で肯定判断した場合には、すなわち第1表示領域A11におけるフリック操作の方向がX軸方向である場合には、ステップS12の処理として、第1表示領域A11の計測情報表示部M11に表示されている電力系統の計測情報を同一の電力系統の別の計測情報に切り替える。
【0037】
具体的には、本実施形態のモニタ装置15では、計測情報表示部M11における計測情報の表示順序が「・・・→電圧→電流→電力→力率→電力量→電圧→・・・」のように予め定められている。制御部151は、フリック操作の方向がX1方向である場合には、矢印の順序で計測情報を切り替える。これに対し、制御部151は、フリック操作の方向がX2方向である場合には、矢印の順序とは逆の順序で計測情報を切り替える。例えば、図3に示されるように計測情報表示部M11に第1電力系統の電流の情報が表示されている状態でタッチパネル153に対してX1方向にフリック操作が行われた場合、制御部151は、図6に示されるように、計測情報表示部M11に表示されている計測情報を第1電力系統の電力の情報に切り替える。また、図3に示されるように計測情報表示部M11に第1電力系統の電流の情報が表示されている状態でタッチパネル153に対してX2方向にフリック操作が行われた場合、制御部151は、図7に示されるように、計測情報表示部M11に表示されている計測情報を第1電力系統の電圧の情報に切り替える。
【0038】
図5に示されるように、制御部151は、ステップS12の処理を実行した後、図5に示される一連の処理を終了する。
一方、制御部151は、ステップS11の処理で否定判断した場合には、ステップS13の処理として、第1表示領域A11におけるフリック操作の方向がY軸方向であるか否かを判断する。制御部151は、ステップS13の処理で肯定判断した場合には、すなわちフリック操作の方向がY軸方向である場合には、ステップS14の処理として、第1表示領域A11に表示されている電力系統を切り替える。例えば、図3に示されるように第1表示領域A11に第1電力系統の計測情報が表示されている状態でタッチパネル153に対してY軸方向にフリック操作が行われた場合、制御部151は、図8に示されるように、第1表示領域A11に第2電力系統の計測情報を表示する。
【0039】
図5に示されるように、制御部151は、ステップS14の処理を実行した後、図5に示される一連の処理を終了する。
制御部151は、ステップS13の処理で否定判断した場合、すなわち第1表示領域A11におけるフリック操作の方向がX軸方向及びY軸方向のいずれの方向であるかを判断することができなかった場合には、図5に示される一連の処理を終了する。
【0040】
制御部151は、ステップS10の処理で否定判断した場合には、ステップS15の処理として、第2表示領域A12に対してフリック操作が行われたか否かを判断する。制御部151は、ステップS15の処理で肯定判断した場合には、すなわち第2表示領域A12に対してフリック操作が行われたと判断した場合には、上記の第1表示領域A11に対応するステップS11~S14の処理を第2表示領域A12に適用したステップS16~S19の処理を実行する。
【0041】
すなわち、制御部151は、ステップS15の処理で肯定判断した場合には、ステップS16の処理として、第2表示領域A12におけるフリック操作の方向がX軸方向であるか否かを判断する。制御部151は、ステップS16の処理で肯定判断した場合には、すなわち第2表示領域A12におけるフリック操作の方向がX軸方向である場合には、ステップS17の処理として、第2表示領域A12の計測情報表示部M12に表示されている計測情報を切り替えた後、図5に示される一連の処理を終了する。
【0042】
一方、制御部151は、ステップS16の処理で否定判断した場合には、ステップS18の処理として、第2表示領域A12におけるフリック操作の方向がY軸方向であるか否かを判断する。制御部151は、ステップS18の処理で肯定判断した場合には、すなわちフリック操作の方向がY軸方向である場合には、ステップS19の処理として、第2表示領域A12に表示されている電力系統を切り替えた後、図5に示される一連の処理を終了する。
【0043】
制御部151は、ステップS18の処理で否定判断した場合、すなわち第2表示領域A12におけるフリック操作の方向がX軸方向及びY軸方向のいずれの方向であるかを判断することができなかった場合には、図5に示される一連の処理を終了する。
制御部151は、ステップS15の処理で否定判断した場合には、すなわちタッチパネル153に対するフリック操作が第1表示領域A11及び第2表示領域A12のいずれの領域で行われたかを判断することができなかった場合には、図5に示される一連の処理を終了する。
【0044】
以上説明した本実施形態のキュービクル10のモニタ装置15によれば、以下の(1)~(4)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)キュービクル10に関連する複数の情報を点検者が確認できるようにするためには、例えば図9に示されるように、各情報を表示するための複数のメータパネル30~37を設置するためのスペースP10を計器取付板23に設ける必要がある。このような構造の場合、計器取付板23には、複数のメータパネル30~37を設置するためのスペース、すなわち図9に二点鎖線で囲まれる設置スペースP10が必要となるため、計器取付板23に大きなスペースを確保する必要がある。この点、本実施形態のモニタ装置15では、キュービクル10に関連する複数の情報をタッチパネル153に表示することができるため、図10に示されるように、計器取付板23には、モニタ装置15を設置するためのスペースP20を確保するだけでよい。よって、図9に示されるように複数のメータパネル30~37を計器取付板23に設ける場合と比較すると、計器取付板23における設置スペースを小さくすることができる。
【0045】
(2)タッチパネル153の表示領域A11,A12には、キュービクル10に関連する情報が分割してそれぞれ表示される。制御部151は、表示領域A11,A12のうちのいずれか一方の所定の表示領域に対してフリック操作が行われた場合、所定の表示領域に表示されている情報のみを切り替え、それとは別の表示領域に表示される情報を切り替えない。具体的には、制御部151は、第1表示領域A11に対してフリック操作が行われた場合には、第1表示領域A11に表示されている情報のみを切り替える。また、制御部151は、第2表示領域A12に対してフリック操作が行われた場合には、第2表示領域A12に表示されている情報のみを切り替える。これにより、点検者は、キュービクル10に関連する複数の情報のうち、自身の望む任意の複数の情報をタッチパネル153に選択的に表示させることができる。したがって、操作性を向上させることができる。
【0046】
(3)表示領域A11,A12に表示されている情報を切り替えるための操作として、表示領域A11,A12に対するフリック操作を用いることとした。これにより、フリック操作という最小限の操作で表示領域A11,A12に表示されている情報を変更することができるため、利便性を向上させることができる。
【0047】
(4)制御部151は、表示領域A11,A12のいずれか一方を所定の表示領域とするとき、所定の表示領域に対してX軸方向にフリック操作が行われた場合には、所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を所定の電力系統の別の計測情報に切り替える。本実施形態では、この計測情報の表示の切り替えが、第1態様での表示情報の切り替えに相当する。また、制御部151は、所定の表示領域に対してY軸方向にフリック操作が行われた場合には、所定の表示領域に表示されている所定の電力系統の計測情報を別の電力系統の計測情報に切り替える。本実施形態では、この電力系統の表示の切り替えが、第2態様での表示情報の切り替えに相当する。このような構成によれば、所定の表示領域に対するX軸方向へのフリック操作及びY軸方向へのフリック操作を点検者が選択的に実行することにより、所定の表示領域に表示されている情報を異なる態様で切り替えることができる。よって、利便性を向上させることができる。
【0048】
具体的には、図3に示されるように、第1電力系統及び第2電力系統のそれぞれに関して同一の計測情報を並べて表示すれば、異なる電力系統のそれぞれの計測情報の比較が容易となる。また、図8に示されるように、同一の電力系統に関して2つの異なる計測情報を並べて表示すれば、保守管理し易い見せ方を実現することもできる。例えば、同一の電力系統の力率と電力とを並べて表示すれば、電気の基本料金に関わる力率とその容量とがどの程度必要かを一目で確認することが可能である。
【0049】
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・タッチパネル153に表示される情報は、適宜変更可能である。例えば第1電力系統及び第2電力系統のそれぞれの異常情報等をタッチパネル153に表示してもよい。この場合、第1電力系統及び第2電力系統のそれぞれの異常情報が、キュービクル10に関連する情報に相当する。
【0050】
・表示領域A11,A12に対する操作としては、フリック操作に限らず、スワイプ操作等、タッチパネル153において実行可能な各種操作を採用することができる。
・キュービクル10に設けられる電力系統の数は3つ以上であってもよい。また、キュービクル10に設けられる電力系統の数に合わせて、モニタ装置15に表示可能な電力系統の数を適宜変更してもよい。
【0051】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0052】
A11,A12:表示領域
10:キュービクル
15:モニタ装置
151:制御部
153:タッチパネル
図1
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図3
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図10