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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】住宅プラン提案システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220428BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20220428BHJP
【FI】
G06Q30/02 480
G06Q50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018095676
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019200668
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】脇田 亜佑美
【審査官】阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-357097(JP,A)
【文献】特開2007-034351(JP,A)
【文献】特開2003-050833(JP,A)
【文献】特開2000-200301(JP,A)
【文献】特開2002-235318(JP,A)
【文献】特開2005-284713(JP,A)
【文献】特開2006-318011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた建設予定地に建設予定の住宅を対象に、その住宅の外観プランを作成し提案するための住宅プラン提案システムであって、
前記建設予定地の周囲の外観に関する周囲外観情報を取得する周囲外観情報取得手段と、
その周囲外観情報取得手段により取得された周囲外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成する住宅プラン作成手段と、
を備えるとともに、さらに、
住宅外観について顧客の好みに関する住宅外観好み情報を取得する住宅外観好み情報取得手段と、
前記住宅プラン作成手段により作成された前記住宅についての複数の外観プランのうち、顧客に採用された外観プランである顧客採用プランを、前記複数の外観プランと、前記住宅外観好み情報とに対応付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に対応付けて記憶された前記顧客採用プラン、前記複数の外観プラン及び前記住宅外観好み情報に基づき、それら3者の相関関係を分析する相関関係分析手段と、
を備え、
前記住宅プラン作成手段は、前記相関関係分析手段の分析結果に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする住宅プラン提案システム。
【請求項2】
記住宅プラン作成手段は、前記住宅外観好み情報に基づいて、前記住宅プランを作成することを特徴とする請求項1に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項3】
前記周囲外観情報取得手段は、前記建設予定地の近隣に建てられた近隣住宅の外観情報を前記周囲外観情報として取得し、
前記住宅プラン作成手段は、前記近隣住宅の外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項4】
前記住宅プラン作成手段は、前記住宅の外観プランとして、前記住宅の外構を含めた外構付きの外観プランを作成し、
前記周囲外観情報取得手段は、前記近隣住宅の外構の外観情報を前記周囲外観情報として取得し、
前記住宅プラン作成手段は、前記近隣住宅の外構の外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする請求項3に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項5】
前記周囲外観情報取得手段により取得された前記近隣住宅の外観情報に基づき、前記近隣住宅と調和する前記住宅の外観基準を設定する設定手段を備え、
前記住宅プラン作成手段は、前記設定された外観基準に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする請求項3又は4に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項6】
過去に提案を行った外観プランが顧客に採用されたか否かに関するプラン採否情報を記憶する採否情報記憶手段を備え、
前記住宅プラン作成手段は、前記採否情報記憶手段に記憶されたプラン採否情報に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の住宅プラン提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた建設予定地に建設予定の住宅を対象に、その住宅の外観プランを作成し提案するための住宅プラン提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅販売会社では、住宅の購入を考えている顧客に対し、コンピュータグラフィック(以下、CGという)により作成した住宅プランをディスプレイ上に表示させて提案するといったことがよく行われている。特許文献1には、こうした提案に際し用いられるプラン提案システムとして、住宅を建設する建設予定地の周囲環境(隣家等)に関する情報を取得し、その取得した周囲環境をCGで作成した住宅(住宅プラン)とともにディスプレイ上に表示するシステムが開示されている。このシステムによれば、住宅だけでなく、住宅の周囲環境との調和についても確認することができるため、顧客が住宅購入後の生活をイメージし易い等の利点を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-146569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のシステムでは、作成した住宅プランによっては、その住宅プランが周囲環境と調和しない場合が想定される。その場合、顧客の満足する住宅プランを提案することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、周囲環境と調和した住宅プランを提案することができる住宅プラン提案システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅プラン提案システムは、予め定められた建設予定地に建設予定の住宅を対象に、その住宅の外観プランを作成し提案するための住宅プラン提案システムであって、前記建設予定地の周囲の外観に関する周囲外観情報を取得する周囲外観情報取得手段と、その周囲外観情報取得手段により取得された周囲外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成する住宅プラン作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、予め定められた建設予定地の周囲の外観に関する周囲外観情報が取得され、その取得された周囲外観情報に基づき建設予定地に建設予定の住宅についてその外観プランが作成される。これにより、建設予定地の周囲の外観に調和する外観プランを作成することができるため、周囲環境と調和した住宅プランを提案することができる。
【0008】
第2の発明の住宅プラン提案システムは、第1の発明において、住宅外観について顧客の好みに関する住宅外観好み情報を取得する住宅外観好み情報取得手段を備え、前記住宅プラン作成手段は、前記住宅外観好み情報に基づいて、前記住宅プランを作成することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、住宅外観についての顧客の好みに基づき住宅の外観プランを作成することができる。これにより、周囲環境との調和を図りつつ、顧客の好みに合った住宅プランを提案することができる。
【0010】
第3の発明の住宅プラン提案システムは、第1又は第2の発明において、前記周囲外観情報取得手段は、前記建設予定地の近隣に建てられた近隣住宅の外観情報を前記周囲外観情報として取得し、前記住宅プラン作成手段は、前記近隣住宅の外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、建設予定地の近隣に建てられた近隣住宅の外観情報に基づき住宅の外観プランが作成される。この場合、近隣住宅の外観と調和する外観プランを作成することができるため、近隣住宅と調和した住宅プランを提案することができる。
【0012】
第4の発明の住宅プラン提案システムは、第3の発明において、前記住宅プラン作成手段は、前記住宅の外観プランとして、前記住宅の外構を含めた外構付きの外観プランを作成し、前記周囲外観情報取得手段は、前記近隣住宅の外構の外観情報を前記周囲外観情報として取得し、前記住宅プラン作成手段は、前記近隣住宅の外構の外観情報に基づき、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、近隣住宅の外構の外観情報に基づいて住宅の外観プランが作成される。この場合、例えば近隣住宅の外構と調和する外構を含む外観プランを作成することができるため、近隣住宅とより調和した住宅プランを提案することができる。
【0014】
第5の発明の住宅プラン提案システムは、第3又は第4の発明において、前記周囲外観情報取得手段により取得された前記近隣住宅の外観情報に基づき、前記近隣住宅と調和する前記住宅の外観基準を設定する設定手段を備え、前記住宅プラン作成手段は、前記設定された外観基準に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、近隣住宅の外観情報に基づき近隣住宅と調和する住宅の外観基準が設定され、その外観基準を基に住宅の外観プランが作成される。これにより、近隣住宅と調和する住宅プランを具体的に作成し提案することができる。
【0016】
第6の発明の住宅プラン提案システムは、第1乃至第5のいずれかの発明において、過去に提案を行った外観プランが顧客に採用されたか否かに関するプラン採否情報を記憶する採否情報記憶手段を備え、前記住宅プラン作成手段は、前記採否情報記憶手段に記憶されたプラン採否情報に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、過去に提案を行った外観プランが顧客に採用されたか否かに関するプラン採否情報に基づき、住宅の外観プランが作成される。この場合、過去に提案を行った外観プランのうち、顧客に採用された外観プランに基づき、住宅の外観プランを作成するといったことが可能となる。これにより、周囲環境との調和を図りつつ、顧客に受け入れられ易い住宅プランを提案することが可能となる。
【0018】
第7の発明の住宅プラン提案システムは、第1乃至第6のいずれかの発明において、住宅外観について顧客の好みに関する住宅外観好み情報を取得する住宅外観好み情報取得手段と、前記住宅プラン作成手段により作成された前記住宅についての複数の外観プランのうち、顧客に採用された外観プランである顧客採用プランを、前記複数の外観プランと、前記住宅外観好み情報とに対応付けて記憶する記憶部と、前記記憶部に対応付けて記憶された前記顧客採用プラン、前記複数の外観プラン及び前記住宅外観好み情報に基づき、それら3者の相関関係を分析する相関関係分析手段と、備え、前記住宅プラン作成手段は、前記相関関係分析手段の分析結果に基づいて、前記住宅の外観プランを作成することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、住宅についての複数の外観プランのうち、顧客に採用された外観プラン(顧客採用プラン)が上記複数の外観プランと顧客の住宅外観好み情報とに対応付けて記憶され、それら記憶された3者の情報を基にそれら3者の相関関係が分析される。この場合、例えば、顧客の住宅外観の好みに応じて、その顧客がどのような外観プランを採用するか分析したりすることができる。そして、その分析結果に基づき、住宅の外観プランが作成されるため、顧客の好みに応じてその顧客に受け入れられ易い住宅プランを提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】住宅プラン提案システムの電気的構成を示す図。
図2】住宅プラン提案処理を示す機能ブロック図。
図3】建設予定地の周辺環境を示す図。
図4】マンセル色立体を用いた住宅色基準の設定について説明するための図。
図5】外観プランの一例を示す図。
図6】顧客の好みに合う外壁色の設定について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、予め定められた建設予定地に建設予定の住宅を対象に、その住宅の外観プランを作成し顧客に提案するための住宅プラン提案システムについて具体化している。図1は、その住宅プラン提案システムの電気的構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、住宅販売会社には住宅プラン提案装置10が設けられている。本実施形態では、住宅販売会社に訪れた顧客に対し、住宅プラン提案装置10を用いて住宅の外観プランを提案することを想定している。また、本実施形態では、住宅販売会社の販売スタッフが、顧客との面談時(顧客対応時)に、顧客から建設予定の住宅に関する各種情報を聞き出し、その聞き出した情報を基に住宅プラン提案装置10による住宅プランの提案を行うことを想定している。
【0023】
住宅プラン提案装置10は、パーソナルコンピュータにより構成され、制御部11と、操作部12と、表示部13と、記憶部14とを備える。制御部11は、操作部12、表示部13及び記憶部14と接続されている。制御部11は、住宅の外観プランの提案を行う住宅プラン提案処理等、各種処理を行うものである。
【0024】
操作部12は、住宅プラン提案処理に必要な各種情報を入力するためのもので、キーボードやマウス等を備えて構成されている。操作部12に対して入力操作が行われると、その入力された情報が制御部11に入力される。本実施形態では、住宅販売会社の販売スタッフが顧客から建設予定の住宅に関する各種情報を聞き出し、その聞き出した情報を販売スタッフが操作部12により入力する。
【0025】
表示部13は、住宅プラン提案処理により作成される住宅の外観プラン等、各種情報を表示するためのもので、ディスプレイを備えて構成されている。制御部11より表示部13に各種情報が入力されると、その入力された情報が表示部13に表示される。
【0026】
住宅プラン提案装置10は、インターネット等のネットワーク15を介して地理情報サーバ16と接続されている。地理情報サーバ16は、日本全土の地理情報を記憶するデータベースを有している。このデータベースには、地理情報として、地図情報の他、衛星画像やストリートビュー画像等の画像情報が記憶されている。地理情報サーバ16としては、例えば、Googleマップ(登録商標)やGoogleストリートビュー(登録商標)、Googleアース(登録商標)等が用いられる。住宅プラン提案装置10の制御部11は、必要に応じて、地理情報サーバ16にネットワーク15を通じてアクセスし、同サーバ16から住宅の建設予定地周辺の画像情報を取得する。
【0027】
次に、住宅プラン提案装置10により実行される住宅プラン提案処理の流れを図2に基づいて説明する。図2は、住宅プラン提案処理を示す機能ブロック図である。なお、住宅プラン提案装置10では、図2中の各ブロック21~27,33~37が制御部11により実現され、各データベース31,32が記憶部14により構築されている。
【0028】
本実施形態では、上述したように、建設予定地に建設を予定している住宅(以下、住宅Xという)を対象として、その住宅Xの外観プランを住宅プラン提案処理により作成し提案することとしている。そこで、住宅プラン提案処理の説明に先立ち、まず、住宅Xの建設予定地の周辺環境について図3を参照しながら簡単に説明する。図3は、建設予定地の周辺環境を示す図である。
【0029】
図3に示すように、住宅Xの建設予定地17の周辺には複数の住宅18が建てられている。これらの住宅18は建設予定地17の近隣に建てられた近隣住宅18となっている。これら各近隣住宅18の周りには植栽19として樹木が植えられている。なお、これらの植栽19は近隣住宅18の外構に相当する。また、建設予定地17に建設予定の住宅Xについても、その周囲に植栽(以下、植栽Yという)として樹木が植えられることが予定されている。
【0030】
住宅プラン提案処理においては、まず図2に示すように、建設予定地取得部21にて、建設予定地17に関する建設予定地情報を取得する。建設予定地取得部21は、操作部12により建設予定地の住所が入力されると、その住所を建設予定地情報として取得する。
【0031】
周囲外観情報取得部22は、建設予定地取得部21により取得された建設予定地情報に基づいて、建設予定地17の周囲の外観に関する周囲外観情報を取得する。周囲外観情報取得部22は、地理情報サーバ16に建設予定地情報(例えば建設予定地の住所)を送信し、同サーバ16に建設予定地17周辺の画像情報の送信を要求する。地理情報サーバ16は、この要求に基づいて、建設予定地17周辺の画像情報を制御部11に送信する。この建設予定地17周辺の画像情報が制御部11において受信されると、周囲外観情報取得部22は、その画像情報を周囲外観情報として取得する。この場合、建設予定地17周辺の画像情報には、各近隣住宅18の画像情報と、それら近隣住宅18の植栽19の画像情報とが含まれている。これら近隣住宅18及び植栽19の画像にはストリートビューの画像(水平方向から見た画像)が含まれている。周囲外観情報取得部22は、近隣住宅18の画像情報を近隣住宅18の外観情報として取得し、植栽19の画像情報を植栽19の外観情報として取得する。なお、周囲外観情報取得部22が周囲外観情報取得手段に相当する。
【0032】
住宅外観基準設定部23は、周囲外観情報取得部22により取得された近隣住宅18の外観情報に基づいて、近隣住宅18と調和する住宅Xの外観基準を住宅外観基準として設定する。本実施形態では、住宅外観基準として、住宅Xの高さ(屋根高さ)に関する住宅高さ基準と、住宅Xの外装材(外壁材や屋根材)の色に関する住宅色基準とを設定する。なお、住宅外観基準設定部23が設定手段に相当する。
【0033】
住宅高さ基準の設定に際しては、まず各近隣住宅18の画像情報に基づき、それら近隣住宅18の高さ(高さ寸法)を算出する。この算出は、例えば周知の画像解析等により行う。そして、算出した各近隣住宅18の高さに基づき、住宅高さ基準を設定する。具体的には、各近隣住宅18の高さの平均値Hv(平均屋根高さ)を算出し、その算出した平均値Hvに基づき住宅高さ基準を設定する。例えば、算出した平均値Hvの0.8倍~1.2倍の高さ範囲(0.8Hv~1.2Hv)を住宅高さ基準として設定する。
【0034】
続いて、住宅色基準の設定に際してはまず、各近隣住宅18の画像情報に基づき、それら近隣住宅18の外装材(外壁材及び屋根材)の色情報を取得する。例えば、色情報をRGB値で取得する。そして、取得した各近隣住宅18の外装材の色情報に基づき、住宅Xの住宅色基準を設定する。具体的には、各近隣住宅18の外壁材の色情報に基づき、住宅Xの外壁材に関する色基準を設定する。また、各近隣住宅18の屋根材の色情報に基づき、住宅Xの屋根材に関する色基準を設定する。
【0035】
住宅色基準の設定に際しては、例えばマンセル色立体を用いる。マンセル色立体は予め記憶部14に記憶されている。図4には、そのマンセル色立体を用いた住宅色基準の設定について説明するための図が示されている。この場合、図4に示すように、まずマンセル色立体Vに上記取得した各近隣住宅18の外装材の色情報をマッピングする。そして、そのマッピングした各色情報を内包する最小の球範囲(図4のハッチング範囲)を算出し、その算出した球範囲に対応する色範囲を住宅色基準として設定する。
【0036】
植栽外観基準設定部24は、周囲外観情報取得部22により取得された各近隣住宅18の植栽19の画像情報に基づき、これら植栽19と調和する植栽Y(住宅Xの周りに植えられる植栽Y)の外観基準を植栽外観基準として設定する。本実施形態では、植栽外観基準として、植栽Yの種類に関する植栽種類基準と、植栽Yの高さに関する植栽高さ基準とを設定する。
【0037】
植栽種類基準の設定に際しては、まず、各近隣住宅18の植栽19の画像情報に基づいて、それら植栽19(具体的には樹木)の種類をそれぞれ特定する。この特定に際しては、例えば植栽の種類を検索可能な検索サイトを利用する。この場合、ネットワーク15(インターネット)を通じて上記検索サイトにアクセスし、その検索サイトを用いて植栽19の画像を基に当該植栽19の種類を検索し特定する。
【0038】
各近隣住宅18の植栽19の種類を特定した後、その特定結果に基づいて、建設予定地17の周囲で多く用いられている植栽19の種類を分析(特定)する。例えば、植栽19として用いられている数の多い上位5種類の植栽19を特定する。この場合、その特定された上位5種類を植栽種類基準として設定する。
【0039】
続いて、植栽高さ基準の設定に際してはまず、各近隣住宅18の植栽19の画像情報に基づいて、それら植栽19の高さ(高さ寸法)を算出する。この算出は、例えば周知の画像解析等により行う。そして、算出した各植栽19の高さに基づいて、植栽高さ基準を設定する。具体的には、各植栽19の高さに基づいて、植栽19の高さと本数との関係を示す分布図を作成する。つまり、植栽19が各高さ(高さ範囲)ごとに何本あるかを示す分布図を作成する。そして、その分布図に基づいて、植栽19の本数が比較的多い高さ範囲を植栽高さ基準として設定する。
【0040】
住宅プラン候補作成部25は、顧客に提案する住宅Xの外観プランPの候補を作成する。住宅プラン候補作成部25は、コンピュータグラフィック(CG)により外観プランPの候補を作成する。図5には、その外観プランP(の候補)の一例が示されている。同図5に示すように、住宅プラン候補作成部25は、住宅Xの外観プランPの候補をファザード(正面外観)として作成する。この外観プランPは、住宅Xの周囲に植えられる植栽Yを含めた植栽付きの外観プランとなっている。そのため、外観プランPには、住宅Xに加え植栽Yの外観がデザインされている。したがって、外観プランPには、住宅Xの外観デザインである住宅デザインD1と、植栽Yの外観デザインである植栽デザインD2とが含まれている。なお、詳しくは、外観プランPには、建設予定地17の周囲の外観に関するデザインについては含まれておらず、そのため、外観プランPには、住宅デザインD1及び植栽デザインD2のみが含まれている。
【0041】
住宅プラン候補作成部25は、住宅デザインD1を作成する住宅デザイン作成部26と、植栽デザインD2を作成する植栽デザイン作成部27とを有している。住宅プラン候補作成部25は、住宅デザイン作成部26により作成した住宅デザインD1と、植栽デザイン作成部27により作成した植栽デザインD2とに基づいて、外観プランPの候補を作成する。具体的には、住宅プラン候補作成部25は、作成した住宅デザインD1と植栽デザインD2とを組み合わせることで外観プランPの候補を作成する。
【0042】
住宅デザイン作成部26は、住宅外観基準設定部23により設定された住宅外観基準に基づいて、住宅デザインD1を作成する。具体的には、住宅デザイン作成部26は、住宅外観基準設定部23により設定された住宅高さ基準及び住宅色基準に基づいて、住宅デザインD1を作成する。この場合、住宅デザイン作成部26は、住宅高さ基準及び住宅色基準をそれぞれ満たすように、住宅デザインD1を作成する。
【0043】
また、住宅デザイン作成部26は、住宅の製造を行う住宅メーカにおいて取り扱われている外装材(外壁材や屋根材)に基づき、住宅デザインD1を作成する。住宅メーカで取り扱われている外装材に関する情報は外装材情報として外装材データベース31に記憶されている。外装材データベース31には、外装材情報として、住宅メーカで取り扱われている外装材の種類(仕様)の情報が記憶されている。詳しくは、外装材データベース31には、外壁材及び屋根材のそれぞれについて、取り扱い可能な複数の種類(寸法や色の異なる複数の種類)が記憶されている。住宅デザイン作成部26は、その外装材データベース31に記憶されている外装材情報に基づいて、住宅デザインD1を作成する。
【0044】
また、住宅デザイン作成部26は、過去に提案を行った外観プランが採用されたか否かに関するプラン採否情報に基づき、住宅デザインD1を作成する。過去のプラン採否情報はプラン採否情報データベース32に記憶されている。プラン採否情報データベース32には、過去に提案を行った複数の外観プランについてのプラン採否情報が記憶されている。住宅デザイン作成部26は、プラン採否情報データベース32に記憶されているプラン採否情報に基づき、住宅デザインD1を作成する。例えば、過去に採用された外観プラン(詳しくは同プラン中の住宅デザイン)に基づいて、住宅デザインD1を作成する。なお、プラン採否情報データベース32が採否情報記憶手段に相当する。
【0045】
植栽デザイン作成部27は、植栽外観基準設定部24により設定された植栽外観基準に基づいて、植栽デザインD2を作成する。具体的には、植栽デザイン作成部27は、植栽外観基準設定部24により設定された植栽種類基準及び植栽高さ基準に基づいて、植栽デザインD2を作成する。この場合、植栽デザイン作成部27は、植栽種類基準及び植栽高さ基準をそれぞれ満たすように、植栽デザインD2を作成する。
【0046】
住宅外観好み情報取得部33は、住宅の外観について顧客の好みに関する住宅外観好み情報を取得する。住宅外観好み情報取得部33は、操作部12により住宅の外観についての顧客の好みが入力されることに基づき、住宅外観好み情報を取得する。本実施形態では、操作部12により顧客の好きな住宅の外観スタイル(及び嫌いな外観スタイル)が入力されるようになっており、その入力された外観スタイルの情報が住宅外観好み情報として取得される。なお、住宅外観好み情報取得部33が住宅外観好み情報取得手段に相当する。
【0047】
外装材設定部34は、住宅外観好み情報取得部33により取得された住宅外観好み情報(外観スタイルの好み情報)に基づいて、顧客の好みに合う外装材の種類(仕様)を設定する。例えば、外装材設定部34は、顧客の好みに合う外壁材の色(つまり外壁色)を設定する。ここで、かかる外壁色の設定に関し図6を用いながら説明すると、図6の例では、住宅外観好み情報取得部33により取得された顧客の好きな外観スタイルが「和モダン」とされ、嫌いな外観スタイルが「洋風」とされている。記憶部14には、住宅の外観スタイルごとに、その外観スタイルにおいて推奨される外壁色(推奨色)と推奨されない外壁色(非推奨色)とが記憶されている。外装材設定部34により顧客の好みに合う外壁色を設定する際には、まず、住宅外観好み情報取得部33により取得された顧客の好きな外観スタイル、嫌いな外観スタイルに対応する推奨色及び非推奨色を記憶部14より読み出す。例えば、顧客の好きな外観スタイルである「和モダン」の場合、それに対応する推奨色として「外壁色A」「外壁色B」が読み出され、非推奨色として「外壁色C」「外壁色D」が読み出される。
【0048】
続いて、記憶部14より読み出された顧客の好きな外観スタイル、嫌いな外観スタイルに対応する推奨色及び非推奨色に基づき、顧客の好みに合う外壁色を設定する。図6の例では、かかる外壁色を優先順位を付けて5つ設定している。具体的には、顧客の好きな外観スタイルである「和モダン」の推奨色と、顧客の嫌いな外観スタイルである「洋風」の非推奨色とをそれぞれ、顧客の好みに合う外壁色として設定している。この場合、優先順位としては、前者が高く、後者が低く設定されている。
【0049】
なお、顧客の好みに合う外壁色の設定の仕方は必ずしも上記の仕方に限ることはなく、例えば、顧客の好きな外観スタイルに対応する推奨色のみを顧客の好みに合う外壁色として設定するようにしてもよい。
【0050】
植栽好み情報取得部35は、植栽(樹木)について顧客の好みに関する植栽好み情報を取得する。植栽好み情報取得部35は、操作部12により植栽についての顧客の好みが入力されることに基づき、植栽好み情報を取得する。例えば、「落葉樹」や「桜」といった顧客の好きな植栽の種類が操作部12により入力されることで、その植栽の種類を植栽好み情報として取得する。また、この場合、「落葉樹を除く」といった除く形式で植栽の種類を入力するようにしてもよい。例えば顧客が落ち葉掃除をしたくないという要望をもっている場合等にはこうした入力が有効となる。
【0051】
住宅プラン絞込み部36は、住宅プラン候補作成部25により作成された住宅Xの外観プランPの候補を絞り込むことで、顧客に提案する外観プランPを決定する。住宅プラン絞込み部36は、外装材設定部34により設定された外装材の種類に基づいて、外観プランPの候補を絞り込む。本実施形態では、外装材設定部34により設定された外壁色に基づいて、外観プランPの候補を絞り込む。具体的には、外観プランPの候補を、(住宅デザインD1の)外壁色が上記設定された外壁色とされている外観プランPに絞り込む。
【0052】
また、住宅プラン絞込み部36は、植栽好み情報取得部35により取得された植栽好み情報に基づき、外観プランPの候補を絞り込む。具体的には、住宅プラン絞込み部36は、外観プランPの候補を、植栽デザインD2が顧客の好きな植栽からなる外観プランPに絞り込む。
【0053】
上記のように、外観プランPの候補が住宅プラン絞込み部36により絞り込まれることで、残った候補が顧客に提案する外観プランPとして決定される。本実施形態では、かかる外観プランPが複数決定されるようになっており、それにより、顧客に対し複数の外観プランPを提案することが可能となっている。但し、外観プランPは必ずしも複数決定される必要はなく、1つだけ決定されるようにしてもよい。
【0054】
なお、住宅プラン候補作成部25と住宅プラン絞込み部36とにより、顧客に提案する住宅Xの外観プランPを作成する「住宅プラン作成手段」が構成されている。
【0055】
住宅プラン表示部37は、住宅プラン絞込み部36による絞り込みにより決定された各外観プランPを表示部13に出力することで、それら外観プランPを表示部13に表示させる。これにより、各外観プランPが顧客に対して提示(提案)される。
【0056】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
予め定められた建設予定地17の周囲の外観に関する周囲外観情報を取得し、その取得した周囲外観情報に基づき建設予定地17に建設予定の住宅Xについてその外観プランPを作成するようにした。これにより、建設予定地17の周囲の外観に調和する外観プランPを作成することができるため、周囲環境と調和した住宅プランを顧客に提案することができる。
【0058】
住宅外観についての顧客の好みに関する住宅外観好み情報を取得し、その取得した住宅外観好み情報に基づき、住宅の外観プランPを作成するようにした。この場合、住宅外観についての顧客の好みに応じて外観プランPを作成することができるため、周囲環境との調和を図りつつ、顧客の好みに合った住宅プランを提案することができる。
【0059】
建設予定地17の近隣に建てられた近隣住宅18の外観情報を取得し、その取得した近隣住宅18の外観情報に基づき、住宅Xの外観プランPを作成するようにした。この場合、近隣住宅18の外観と調和する外観プランPを作成することができるため、近隣住宅18と調和した住宅プランを提案することができる。
【0060】
近隣住宅18の植栽19の外観情報を取得し、その取得した植栽19の外観情報に基づき、住宅Xの外観プランPを作成するようにした。この場合、近隣住宅18の植栽19と調和する植栽Yを含む外観プランPを作成することができるため、近隣住宅18とより調和した住宅プランを提案することができる。
【0061】
近隣住宅18の外観情報に基づき近隣住宅18と調和する住宅Xの外観基準を設定し、その住宅外観基準を基に住宅Xの外観プランPを作成するようにした。また、近隣住宅18の植栽19の外観情報に基づき植栽19と調和する植栽Yの外観基準を設定し、その植栽外観基準を基に(植栽Yを含む)住宅Xの外観プランPを作成するようにした。これにより、近隣住宅18と調和する住宅プランを具体的に作成し提案することができる。
【0062】
近隣住宅18及び植栽19の外観情報を地理情報サーバ16から取得するようにしたため、住宅販売会社の営業が建設予定地17に出向いて周辺調査等を行う手間を省くことができる。
【0063】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、周囲外観情報取得部22において建設予定地17の周囲外観情報を地理情報サーバ16から取得するようにしたが、周囲外観情報は必ずしも地理情報サーバ16から取得する必要はない。例えば、建設予定地17周辺の画像を予め撮影し記憶部14に記憶しておき、周囲外観情報取得部22では、記憶部14から建設予定地17周辺の画像を読み出し周囲外観情報を取得するようにしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、住宅プラン絞込み部36において、住宅外観好み情報と植栽好み情報と(すなわち、住宅外観と植栽についての顧客の好み)に基づいて、住宅Xの外観プランPの候補を絞り込んだが、かかる絞り込みは必ずしも行う必要はない。その場合、住宅プラン絞込み部36(さらには各好み情報取得部33,35)が不具備となる。そのため、住宅プラン候補作成部25により作成された外観プランPの候補がそのまま顧客に提案される外観プランPとなり、その外観プランP(の候補)が住宅プラン表示部37において表示部13に表示されることになる。したがって、この場合、住宅プラン候補作成部25が、顧客に提案する外観プランPを作成する「住宅プラン作成手段」に相当することになる。
【0066】
・住宅プラン表示部37により表示部13に表示された複数の外観プランPのうち、いずれの外観プランPが顧客に採用されたかを制御部11により判定するようにし、そして、顧客に採用されたと判定した外観プランPを、制御部11により、顧客採用プランとして記憶部14に逐次記憶するようにしてもよい。この場合、各外観プランPのうちいずれの外観プランPが採用されたかは、操作部12によりいずれの外観プランPが選択されたかに基づき判定する。そして、記憶部14に記憶された顧客採用プランに基づいて、住宅プラン作成手段(住宅プラン候補作成部25等)により、外観プランPを作成するようにしてもよい。この場合にも、顧客に受け入れられ易い住宅プランを提案することが可能となる。
【0067】
また、制御部11により顧客採用プランを記憶部14に記憶するに際し、顧客採用プランを、表示部13に表示された(換言すると住宅プラン作成手段により作成された)複数の外観プランPと、住宅外観好み情報取得部33により取得した住宅外観好み情報とに対応付けて記憶するようにしてもよい。そして、制御部11により、記憶部14に記憶された顧客採用プラン、複数の外観プランP及び住宅外観好み情報に基づいて、それら3者の相関関係を分析するようにしてもよい(相関関係分析手段に相当)。この分析は、例えばAI(人工知能)を用いて行う。この場合、例えば、顧客の住宅外観の好みに応じて、その顧客がどのような外観プランを採用するか分析したりすることができる。そして、その分析結果に基づいて、住宅プラン作成手段により、外観プランPを作成するようにする。この場合、顧客の好みに応じてその顧客に受け入れられ易い住宅プランを提案することが可能となる。
【0068】
・上記実施形態では、住宅Xの外観プランPとして、植栽Yを含む植栽Y付きの外観プランを作成したが、植栽Yを含まない住宅Xのみの外観プランを作成してもよい。また、植栽Y以外の外構を含む外観プランを作成してもよい。例えば、塀を含む外観プランを作成することが考えられる。この場合、近隣住宅18の塀の外観画像を取得し、その外観画像を基に塀の外観デザイン、ひいては塀を含む外観プランを作成することが考えられる。
【0069】
・住宅Xの外観プランPは必ずしもファザード(正面外観)として作成する必要はなく、斜めから見た外観により作成してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、作成した外観プランPを表示部13に出力したが、これに代えて又は加えて、プリンタに出力してもよい。この場合、外観プランPを顧客に印刷物として手渡すことができる。
【符号の説明】
【0071】
10…住宅プラン提案装置、11…制御部、17…建設予定地、18…近隣住宅、19…外構としての植栽、22…周囲外観情報取得手段としての周囲外観情報取得部、23…設定手段としての住宅外観基準設定部、32…採否情報記憶手段としてのプラン採否情報データベース、33…住宅外観好み情報取得手段としての住宅外観好み情報取得部、P…外観プラン、X…住宅、Y…外構としての植栽。
図1
図2
図3
図4
図5
図6