(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20220428BHJP
E06B 9/303 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/303
(21)【出願番号】P 2018104969
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 公利
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-248368(JP,A)
【文献】特開2001-182457(JP,A)
【文献】特開2011-202411(JP,A)
【文献】特開2008-214936(JP,A)
【文献】米国特許第05184660(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105604467(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/26 - 9/327
9/56 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を開閉させる駆動装置、前記駆動装置と連動して回転する回転軸、及び、前記回転軸から回転を伝動されると共に、前記遮蔽材を昇降させる昇降コードを巻取り又は巻解き自在に係留した巻取ドラムをヘッドボックスの内部に配置したブラインドであって、
前記駆動装置は、前記回転軸側から伝動される回転を阻止する規制手段を有し、
前記駆動装置と前記回転軸との間に介在され、前記駆動装置から前記回転軸に捩じれが生じた状態において、前記回転軸から前記駆動装置に回転を伝達することなく、前記回転軸の捩じれを解消する方向に、前記回転軸の回転を許容する中間クラッチを備えている、ブラインド。
【請求項2】
前記中間クラッチは、
前記駆動装置の出力軸と共に回転するクラッチ入力軸と、
前記回転軸と共に回転するクラッチ出力軸と、を備え、
前記クラッチ入力軸は、前記クラッチ入力軸が前記回転軸の捩じれを解消する方向に反転動作を開始してから前記クラッチ出力軸へ回転を伝達するまでに、所定の空転動作を実施する、請求項1記載のブラインド。
【請求項3】
前記クラッチ出力軸は、前記クラッチ入力軸が前記回転軸の捩じれを解消する方向に反転動作を開始してから、前記クラッチ入力軸の回転に追随して回転する、請求項2記載のブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドに関する。特に、ブラインドを確実に開閉できる操作手段を備えたブラインドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブラインドは、スラットと呼ばれる細長い複数の帯状の遮蔽材を水平方向に配列し、これらのスラットを垂直方向に開閉する横型ブラインドが知られている。このような横型ブラインドの構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1によるブラインドは、複数のスラットをラダーコード及び昇降コードで繋いでいる。ラダーコードは、その一端を回転ドラムに係留している。回転ドラムを所定角度、回動することで、複数のスラットの傾斜角度を一斉に調整できる。昇降コードは、その一端を巻取ドラムに係留している。巻取ドラムを一方又は他方の方向に回転することで、複数のスラットを垂直方向に開閉できる。
【0004】
特許文献1によるブラインドは、回転ドラム及び巻取ドラムの中心部を長尺の回転軸に固定又は嵌合している。又、回転軸は、プーリを端部に固定している。そして、プーリに巻き掛けした操作コードを操作することで、回転ドラムを回動でき、巻取ドラムを回転できる。
【0005】
一方、プーリを介して、操作コードの操作による回転を回転軸に伝動できるが、回転軸からの回転が阻止される駆動装置を備えたブラインドが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-248368号公報
【文献】特開2008-214936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図19は、従来技術によるブラインドの構成を示す正面図である。なお、本願の
図19は、特許文献2の
図7に相当している。
【0008】
図19を参照すると、従来技術によるブラインド9は、C形チャンネル状のヘッドボックスBhを上部に取り付けている。ヘッドボックスBhは、複数のラダーコードCeを介して、複数のスラットStを吊り下げている。又、ヘッドボックスBhは、操作コードChを介して、スラットStを角度調整するためのメカニズムを内部に配置している。ブラケットBrを用いて、ヘッドボックスBhを二点以上支持すると共に、ブラケットBrを窓枠の上面又は天井に固定することで、ブラインド9を窓の内側に配置できる。
【0009】
図19を参照すると、ヘッドボックスBhは、一組のドラム台Sd・Sdを内部に備えている。ドラム台Sdは、図示しない回転ドラム及び巻取ドラムを回転自在に支持している。ラダーコードCeは、その一端を回転ドラムに係留している。回転ドラムを所定角度、回動することで、複数のスラットStの傾斜角度を一斉に調整できる。昇降コードCrは、その一端を巻取ドラムに係留している。巻取ドラムを一方又は他方の方向に回転することで、複数のスラットStを垂直方向に開閉できる。
【0010】
図19を参照すると、ブラインド9は、図示しない回転ドラム及び巻取ドラムの中心部を長尺の回転軸Srに固定又は嵌合している。又、回転軸Srは、その一方の端部を駆動装置1に連結している。駆動装置1は、プーリ1pを回転軸Srと反対側に取り付けている。
【0011】
図19を参照すると、プーリ1pには、操作コードChを巻き掛けしている。駆動装置1は、プーリ1pを介して、操作コードChの操作による回転を回転軸Srに伝動できるが、回転軸Srからの回転が阻止されるように構成している。
【0012】
図19を参照して、回転軸Srが一方の方向に回転するように、操作コードChを操作すると、図示しない巻取ドラムが昇降コードCrを巻き取ることで、複数のスラットStを閉じることができる。
【0013】
一方、
図19を参照して、回転軸Srが他方の方向に回転するように、操作コードChを操作すると、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重で、昇降コードCrが巻取ドラムを巻き戻すことで、複数のスラットStを開くことができる。
【0014】
しかしながら、特許文献2の構成によるブラインド9は、そのサイズが大きくなると、昇降ドラムに作用する荷重が大きく、回転軸への負荷が大きくなる。回転軸が長尺になり、かつ、回転軸へのモーメントが大きくなると、回転軸には捩じれが生じ易くなる。
【0015】
図19を参照して、昇降ドラムに作用する荷重が大きく、かつ、回転軸が長尺の場合には、回転軸Srを介して、駆動装置1から昇降コードCrを巻き取る方向に、複数の昇降ドラムを回転すると、駆動装置1から最も遠い昇降ドラムに保持された回転軸Srの他端部に対して、駆動装置1に近い昇降ドラムに保持された回転軸Srの一端部は、捩じれた状態になる。
【0016】
図19を参照して、回転軸Srの他端部に対して、回転軸Srの一端部が捩じれた状態で、駆動装置1から昇降コードCrを巻き戻す方向に回転軸Srを回転すると、捩じれが解消する前に、駆動装置1から最も遠い昇降ドラムと駆動装置1に近い昇降ドラムが複数のスラットStを開く方向に時間差をもって回転するので、これらのスラットStの下降動作が不安定になる事象が発生し易いという心配があった。
【0017】
駆動装置と連動して回転する回転軸、及び、回転軸から回転が伝動され、複数のスラットを昇降する昇降コードが巻き取り及び巻き戻しに連結した巻取ドラムと、を備えたブラインドであって、複数のスラットを確実に開閉できるブラインドが求められていた。そして、以上のことが本技術の課題といってよい。
【0018】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、駆動装置と連動して回転する回転軸、及び、回転軸から回転が伝動され、複数のスラットを昇降する昇降コードが巻き取り及び巻き戻しに連結した巻取ドラムと、を備えたブラインドであって、複数のスラットを確実に開閉できるブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、駆動装置と回転軸を直結することなく、両者の間に中間クラッチを介在させることで、回転軸に捩じれが発生したとき、捩じれの反発力による回転を駆動装置に伝動せずに中間クラッチにて吸収することで、回転軸の捩じれを解消することができ、複数のスラットを確実に開閉できると考え、以下のような新たなブラインドを発明するに至った。
【0020】
(1)本発明によるブラインドは、遮蔽材を開閉させる駆動装置、前記駆動装置と連動して回転する回転軸、及び、前記回転軸から回転を伝動されると共に、前記遮蔽材を昇降させる昇降コードを巻取り又は巻解き自在に係留した巻取ドラムをヘッドボックスの内部に配置したブラインドであって、前記駆動装置は、前記回転軸側から伝動される回転を阻止する規制手段を有し、前記駆動装置と前記回転軸との間に介在され、前記駆動装置から前記回転軸に捩じれが生じた状態において、前記回転軸から前記駆動装置に回転を伝達することなく、前記回転軸の捩じれを解消する方向に、前記回転軸の回転を許容する中間クラッチを備えている。
【0021】
(2)前記中間クラッチは、前記駆動装置の出力軸と共に回転するクラッチ入力軸と、前記回転軸と共に回転するクラッチ出力軸と、を備え、前記クラッチ入力軸は、前記クラッチ入力軸が前記回転軸の捩じれを解消する方向に反転動作を開始してから前記クラッチ出力軸へ回転を伝達するまでに、所定の空転動作を実施することが好ましい。
【0022】
(3)前記クラッチ出力軸は、前記クラッチ入力軸が前記回転軸の捩じれを解消する方向に反転動作を開始してから、前記クラッチ入力軸の回転に追随して回転することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるブラインドは、駆動装置と巻取ドラムを回転させる回転軸との間に介在された中間クラッチを備え、駆動装置から回転軸に捩じれが生じた状態において、回転軸から駆動装置に回転を伝達することなく、回転軸の捩じれを解消する方向に、回転軸の回転を許容するので、複数の遮蔽材を確実に開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるブラインドの構成を示す正面図である。
【
図2】前記実施形態によるブラインドの構成を示す正面図であり、ブラインドに備わる駆動装置及び中間クラッチを拡大した図である。
【
図3】前記実施形態によるブラインドに備わる駆動装置の斜視図である。
【
図4】前記実施形態によるブラインドに備わる駆動装置の斜視分解組立図である。
【
図5】前記実施形態によるブラインドに備わる駆動装置の平面図である。
【
図6】前記実施形態によるブラインドに備わる駆動装置の平面図であり、
図6(A)は、駆動装置に連結した駆動軸を一方の方向に回転させる状態図、
図6(B)は、駆動装置に連結した駆動軸を他方の方向に回転させる状態図、
図6(C)は、駆動装置に連結した駆動軸の回転を停止させた状態図である。
【
図7】前記実施形態によるブラインドに備わる駆動装置の斜視図であり、
図7(A)は、駆動装置に備わる回転軸を一方の方向に回転させている状態図、
図7(B)は、駆動装置に備わる回転軸を他方の方向に回転させている状態図である。
【
図8】
図1のA-A矢視断面図を拡大した図である。
【
図9】前記実施形態によるブラインドに備わる中間クラッチの斜視分解組立図である。
【
図10】前記実施形態によるブラインドに備わる中間クラッチの斜視分解組立図であり、一方のケースと他方のケースを対向配置した状態図である。
【
図11】前記実施形態によるブラインドに備わる中間クラッチの斜視図である。
【
図12】前記実施形態によるブラインドに備わる中間クラッチを拡大した縦断面図である。
【
図14】前記実施形態によるブラインドの状態変化図であり、
図14の左欄は、ブラインドの状態変化図を示し、
図14の右欄は、中間クラッチの状態変化図を示し、
図14(A)は、複数の遮蔽材を最も開いた状態図、
図14(B)は、複数の遮蔽材を最も閉じた状態図、
図14(C)は、複数の遮蔽材が下降する直前の状態図、
図14(D)は、複数の遮蔽材が下降している状態図である。
【
図15】前記実施形態によるブラインドに備わるコード巻取り装置及びクラッチ装置を拡大した縦断面図である。
【
図16】前記実施形態によるブラインドに備わるコード巻取り装置及びクラッチ装置の斜視分解組立図である。
【
図18】
図15のC-C矢視断面図であり、
図18(A)は、複数の遮蔽材が停止した状態図、
図18(B)は、複数の遮蔽材を閉じる状態図、
図18(C)は、複数の遮蔽材を開いた状態図である。
【
図19】従来技術によるブラインドの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0026】
(全体構成)
最初に、本発明の一実施形態によるブラインドの全体構成を説明する。なお、従来技術で付した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じにするので、以下、説明を省略することがある。
【0027】
図1又は
図2及び
図8を参照すると、本発明の一実施形態によるブラインド10は、駆動装置1、回転軸Sr、及び、複数の巻取ドラム22・22をヘッドボックスBhの内部に配置している。駆動装置1は、回転軸Srを介して、巻取ドラム22を回転することで、複数の遮蔽材となるスラットStを開閉できる。
【0028】
図1又は
図2及び
図8を参照すると、回転軸Srは、駆動装置1と連動して回転できる。巻取ドラム22は、回転軸Srから回転を伝動される。又、巻取ドラム22は、スラットStを昇降させる昇降コードCrを巻取り又は巻解き自在に係留している。駆動装置1は、回転軸Sr側から伝動される回転を阻止する規制手段となるクラッチバネ13を内部に備えている(
図4から
図7参照)。
【0029】
図1又は
図2及び
図8を参照すると、ブラインド10は、中間クラッチ4をヘッドボックスBhの内部に更に備えている。中間クラッチ4は、駆動装置1と回転軸Srとの間に介在されている。中間クラッチ4は、駆動装置1から回転軸Srに捩じれが生じた状態において、回転軸Srから駆動装置1に回転を伝達することなく、回転軸Srの捩じれを解消する方向に、回転軸Srの回転を許容できる。なお、中間クラッチ4の詳細な説明は後述する。
【0030】
図1又は
図2及び
図8を参照すると、実施形態によるブラインド10は、駆動装置1と回転軸Srを直結することなく、両者の間に中間クラッチ4を介在させることで、回転軸Srに捩じれが発生したとき、捩じれの反発力による回転を駆動装置1に伝動せずに中間クラッチ4にて吸収することで、回転軸Srの捩じれを解消することができ、複数のスラットStを確実に開閉できる。
【0031】
(駆動装置の構成)
次に、実施形態による駆動装置1の構成を説明する。
図1から
図7を参照すると、駆動装置1は、内部に空洞を有する第1ケース11k及び第2ケース12kとカバー13kを互いに組み合して、外殻を構成している(
図3参照)。第1ケース11kは、その一端部側を閉塞し、プーリ1pを配置している。第2ケース12kは、その他端部側を開放し、カバー13kで閉塞されている。駆動装置1は、ヘッドボックスBhの内部に着脱自在に固定されている(
図1又は
図2参照)。
【0032】
図1から
図3を参照して、駆動装置1は、プーリ1pに巻き掛けした操作コードChを手動操作することで、プーリ1pの回転を出力軸に伝動できる。又、
図2を参照すると、駆動装置1は、歯車減速器として遊星歯車機構Gpを第2ケース12kの内部に配置している。これにより、プーリ1pの回転速度が減速して出力軸に伝動されるが、出力軸のトルクを増強できる。
【0033】
図2又は
図4を参照すると、駆動装置1は、入力軸11と回転軸12を備えている。又、駆動装置1は、クラッチバネ13とリング状のバネ受け14を備えている。入力軸11と回転軸12は、それらの中心が同軸上に配置されている。
【0034】
図2又は
図4を参照すると、入力軸11は、中心軸部11a、鍔部11f、及び、押圧片11bを有している。中心軸部11aは、第1ケース11kの一端部側から突出している。中心軸部11aは、第1ケース11kに回転自在に軸受されている。又、中心軸部11aには、プーリ1pを固定している。プーリ1pと入力軸11を一体で回転できる。鍔部11fは、外周の一部が中心軸部11aと反対側に延出した押圧片11bを形成している。
【0035】
図2又は
図4を参照すると、回転軸12は、小径部12a、鍔状のバネ受け部12f、第1バネ巻回軸12c、及び、出力軸部12dを連続して形成している。小径部12aは、バネ受け部12fの中心部から突出している。小径部12aは、中心軸部11aの内部に回転自在に挿入されている。第1バネ巻回軸12cには、クラッチバネ13の一部が巻回されている。出力軸部12dは、第2ケース12kの内部で、第2ケース12kに回転自在に軸受されている。
【0036】
図2又は
図4及び
図5を参照すると、回転軸12は、円弧状の切欠部121をバネ受け部12fの外周部に形成している。切欠部121には、入力軸11の押圧片11bが横断している(
図5参照)。そして、回転軸12が回転すると、バネ受け部12fの切欠部121の両端面は、押圧片11bのいずれか一方の側面が当接できる。又、切欠部121の中央部には、回転軸12の中心部に向って窪んだ係止溝122を形成している(
図4参照)。係止溝122には、クラッチバネ13の一端13aを係止している(
図6参照)。
【0037】
図4を参照すると、回転軸12は、太陽歯車12eを出力軸部12dの先端部に形成している。
図2又は
図4を参照すると、第2ケース12kは、その内周面に内歯12gを形成している。太陽歯車12eと第2ケース12kの内歯12gの間には、複数の遊星歯車12pを介在させている(
図2参照)。
【0038】
図2を参照すると、太陽歯車12e、複数の遊星歯車12p、及び、内歯12gを含む第2ケース12kは、遊星歯車機構Gpを構成している。太陽歯車12eを回転すると、複数の遊星歯車12pは、自転しながら太陽歯車12eの回りを公転できる。
【0039】
図2を参照すると、駆動装置1は、出力軸15と角棒からなる駆動軸16を更に備えている。出力軸15は、複数の遊星歯車12pを回転自在に保持する軸部を一方の面から突出している。又、出力軸15は、カバー13kに回転自在に保持される軸部を中心部に有している。太陽歯車12eを回転すると、複数の遊星歯車12pが公転することで、出力軸15を太陽歯車12eと同じ方向に回転できる。
【0040】
図2を参照すると、駆動軸16は、その一端部側を出力軸15の中心部に相対回転不能に埋設している。回転軸12を回転すると、遊星歯車機構Gp及び出力軸15を介して、回転軸12の回転を駆動軸16に伝動できる。
【0041】
図4を参照すると、第2ケース12kは、円筒状の第2バネ巻回軸12sを突出している。第2バネ巻回軸12sは、その外径を第1バネ巻回軸12cの外径と同一に形成している。又、第2バネ巻回軸12sは、第1バネ巻回軸12cに近接配置されている。そして、第2バネ巻回軸12sから第1バネ巻回軸12cに亘り、クラッチバネ13が第2バネ巻回軸12s及び第1バネ巻回軸12cの外周に巻回されている(
図2参照)。
【0042】
図2又は
図4を参照すると、バネ受け14は、第2ケース12kの第2バネ巻回軸12sの基端部に回転自在に外装されている。
【0043】
図2又は
図4及び
図5を参照すると、バネ受け14は、円弧状の切欠部141を外周部に形成している。切欠部141には、入力軸11の押圧片11b先端部が横断している(
図5参照)。そして、回転軸12が回転すると、バネ受け14の切欠部141の両端面は、押圧片11bのいずれか一方の側面が当接できる。
【0044】
又、
図4を参照すると、バネ受け14は、複数の係止溝142を切欠部141と反対側に形成されている。複数の係止溝142の中から一つの係止溝142が選択されて、クラッチバネ13の他端13bが係止される。これにより、クラッチバネ13の捩り力を調整できる。
【0045】
なお、
図5を参照すると、バネ受け部12fの切欠部121と、バネ受け14の切欠部141の周方向位置は、一致しておらず、ずれている。
【0046】
図1を参照して、操作コードChを操作して、プーリ1pを介して入力軸11に一方の方向の回転を入力すると、入力軸11の押圧片11bが
図5に示した状態から、切欠部121及び切欠部141を移動して、押圧片11bの一方の側面が切欠部121の一方の端部に当接する(
図6(A)参照)。そして、
図7(A)に示すように、入力軸11を一方の方向に更に回転すると、回転軸12が一方の方向に回転することで、クラッチバネ13の一端13aが押圧されて、クラッチバネ13が弛緩する。これにより、第2ケース12kに対して、クラッチバネ13と共に回転軸12を回転でき、駆動軸16を一方の方向に回転できる。
【0047】
図19に示した従来例では、回転軸Srを出力軸15に直結しているので(
図2参照)、プーリ1pを一方の方向に回転すると、複数のスラットStを閉じることができる。
【0048】
図1を参照して、操作コードChを操作して、プーリ1pを介して入力軸11に他方の方向の回転を入力すると、入力軸11の押圧片11bが
図5に示した状態から、切欠部121及び切欠部141を移動して、押圧片11bの他方の側面が切欠部141の他方の端部に当接する(
図6(B)参照)。そして、
図7(B)に示すように、入力軸11を他方の方向に更に回転すると、バネ受け14が他方の方向に回転することで、クラッチバネ13の他端13bが押圧されて、クラッチバネ13が弛緩する。これにより、第2ケース12kに対して、クラッチバネ13と共に回転軸12を回転でき、駆動軸16を他方の方向に回転できる。
【0049】
図19に示した従来例では、回転軸Srを出力軸15に直結しているので(
図2参照)、プーリ1pを他方の方向に回転すると、複数のスラットStを開くことができる。
【0050】
次に、
図1又は
図2を参照して、操作コードChを操作していない状態において、回転軸12を他方の方向に回転させる力が駆動軸16から伝動されると、この回転は、回転軸12に伝達して、バネ受け部12fを他方の回転しようとし、クラッチバネ13の一端13aが
図6(A)の場合と反対方向に押圧されるが、クラッチバネ13が第2バネ巻回軸12sに締着されるために、クラッチバネ13は回転できない。これにより、回転軸12の回転も阻止されるため、駆動軸16は、停止状態を維持できる(
図6(C)参照)。
【0051】
このように、実施形態による駆動装置1は、駆動軸16から伝動される駆動力を阻止する規制手段となるクラッチバネ13を備えている。
【0052】
図1から
図7を参照すると、実施形態によるブラインド10は、プーリ1pに巻き掛けした操作コードChを手動操作することで、出力軸15を回転させる手動式の駆動装置1を用いたが、手動式の駆動装置に換えて、電動式のクラッチ付きモータを用いることもできる。
【0053】
(コード巻取り装置及びクラッチ装置の構成)
次に、実施形態によるコード巻取り装置2及びクラッチ装置3の構成を説明する。
図1又は
図15を参照すると、実施形態によるブラインド10は、一組のドラム台Sd・SdをヘッドボックスBhの内部に備えている。ドラム台Sdには、コード巻取り装置2を設置している。
【0054】
図15から
図18を参照すると、コード巻取り装置2は、円柱状の回転ドラム21と円筒状の巻取ドラム22を備えている。回転ドラム21は、その中心部が回転軸Srに嵌合している。回転軸Srをその軸回りに回転すると、回転軸Srと一体に回転ドラム21を回転できる。巻取ドラム22は、固定シャフト22sを介して、回転軸Srと相対回転自在に配置されている。
【0055】
図15を参照すると、回転ドラム21と巻取ドラム22は、それらの回転中心が同軸上に配置されている。又、回転ドラム21と巻取ドラム22は、それらの外周の一部が回転自在に重なりあっている。クラッチ装置3は、回転ドラム21の回転を巻取ドラム22に伝動できる連結状態と、回転ドラム21と巻取ドラム22の連結が解除された解除状態に切り換えることができる。
【0056】
図15又は
図16を参照すると、回転ドラム21は、クラッチバネ21cを一方の端部側に巻回している。クラッチバネ21cは、ラダーコードCeの上端を係留している。ラダーコードCeを巻き取る方向に、回転ドラム21を所定角度だけ回動すると、ラダーコードCeが巻取られることで、複数のスラットStを水平状態に配置できる(
図8参照)。回転ドラム21を所定角度以上回動すると、回転ドラム21に対してクラッチバネ21cが空転することで、スラットStの水平状態を維持できる。
【0057】
図15又は
図16を参照すると、巻取ドラム22は、昇降コードCrの上端を外周に係留している。巻取ドラム22を一方の方向に回転することで、昇降コードCrを巻き取ることができ、巻取ドラム22を他方の方向に回転することで、昇降コードCrを巻き解くことができる。昇降コードCrは、ヘッドボックスBhから垂下され、複数のスラットStを挿通し、スラット列の最下端に配置されるボトムレールRbに係留されている(
図1又は
図8参照)。
【0058】
(クラッチ装置の構成)
図15又は
図16を参照すると、クラッチ装置3は、切換筒31と係合筒32を備えている。係合筒32は、複数のピン32b、クラッチバネ32s、円筒状のバネ受け32eを含んでいる。更に、クラッチ装置3は、固定シャフト22sを含んでいる。
【0059】
図15又は
図16を参照すると、切換筒31は、回転ドラム21に対して、回転方向に所定量の遊びを有して連結されている。係合筒32は、切換筒31に対して、回転方向に所定量の遊びを有して連結されている。複数のピン32bは、係合筒32の外周に回転自在に保持されると共に、係合筒32の軸回りの回転に連動して公転できる。
【0060】
図15又は
図16を参照すると、バネ受け32eは、その外周にクラッチバネ32sを巻回している。クラッチバネ32sは、バネ受け32eに対して係合筒32の回転方向を許容又は規制できる。バネ受け32eに固定シャフト22sに固定されている。固定シャフト22sは、バネ受け32eと一体に軸回りに回転できる。
【0061】
図16を参照すると、回転ドラム21は、円柱状のボス部211を他端部側に突出している。ボス部211は、巻取ドラム22の内部に向かって延出している(
図15参照)。又、ボス部211は、外径方向に突出した突出部212を外周面に形成している。
【0062】
図15を参照すると、回転ドラム21のボス部211は、切換筒31の内周と回転自在に連結している。一方、切換筒31は、一方の端面から軸方向に突出した円弧状の突出片312を形成している(
図15又は
図16参照)。切換筒31の突出片312は、回転ドラム21のボス部211と回転方向で当接可能に配置されている(
図18参照)。言い換えれば、回転ドラム21は、切換筒31に対して、その突出部212が突出片312に当接するまで、相対回転できる(
図18参照)。
【0063】
図16を参照すると、切換筒31は、周方向に延びる一対の円弧状の溝31b・31bを形成している。一方、係合筒32は、一方の端面から軸方向に突出した一対の突出片32f・32fを形成している。そして、係合筒32の突出片32f・32fが切換筒31の一対の溝31b・31bに挿入された状態で組み立てられている(
図17(A)参照)。そして、突出片32fは、溝31bの端面に回転方向で当接可能に配置されている(
図17(A)参照)。言い換えれば、切換筒31と係合筒32は、突出片32fが溝31bの端面に当接するまで、相対回転できる。
【0064】
又、
図16を参照すると、切換筒31は、円筒状の係合受部31cを他方の端部に突設している。係合受部31cは、周方向に等間隔に離間して三つの円弧状の凹部31dを外周面に形成している。係合受部31cは、係合筒32の内部と回転自在に嵌合している(
図15参照)。
【0065】
一方、
図16を参照すると、係合筒32は、周方向に等間隔に離間して三つの切欠溝32dを一方の端部に形成している。なお、三つの切欠溝32dの内、一つの切欠溝32dは、突出片32fの中央部を通り軸方向に切り欠いている。三つの切欠溝32dには、それぞれピン32bが嵌め込まれている(
図17(G)参照)。これらのピン32bは、切欠溝32dによって径方向に移動可能に案内され、かつ、係合筒32の回転に追従して移動できる(
図17(G)、
図17(H)、又は
図17(J)参照)。
【0066】
図17(G)又は
図17(H)を参照すると、三つのピン32bは、係合受部31cの外周に当接している。一方、
図17(J)を参照すると、切換筒31の凹部31dと係合筒32の切欠溝32dとの周方向の位置が一致しており(
図17参照)、ピン32bは、凹部31dに陥没している。
【0067】
図16を参照すると、巻取ドラム22は、一方の端部の内周から突出した複数のリブ22bを有している。又、巻取ドラム22は、複数のリブ22bで区画され、ピン32bが転動自在な複数の凹溝22aを形成している。
図17(G)又は
図17(H)を参照すると、ピン32bは、リブ22b及び凹溝22aに当接している。
【0068】
又、
図15又は
図16を参照すると、係合筒32には、クラッチバネ32sの一端が挿入されている。クラッチバネ32sは、バネ受け32eの外周を巻回しており、その他端が遊端となっている。バネ受け32eは、非円形断面の固定シャフト22sに固定されている。クラッチバネ32sは、係合筒32が一方の方向(巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取る方向と同じ方向)に回転するときに拡径されて、バネ受け32eに対する係合筒32の回転を許容する。一方、係合筒32が他方の方向に回転しようとするときには、クラッチバネ32sが縮径してバネ受け32eを締め付けることで、バネ受け32eに対する係合筒32の回転を禁止する。このように、バネ受け32eに対する係合筒32は、一方の方向にのみ回転可能となっている。
【0069】
図15から
図16を参照すると、巻取ドラム22は、原動歯車22gを他方の端部に固定している。
図1又は
図15を参照すると、ブラインド9は、角棒からなる補助シャフト23を回転軸Srと平行に配置している。補助シャフト23は、従動歯車23gを固定している(
図15参照)。
【0070】
図15を参照すると、巻取ドラム22に固定した原動歯車22gは、従動歯車23gに噛み合っている。そして、これらの歯車機構は、巻取ドラム22の回転を補助シャフト23に伝動できる。
図1を参照すると、補助シャフト23は、複数のコード巻取り装置2に亘り、配設されている。従動歯車23g及び補助シャフト23は、複数の巻取ドラム22を同期して回転することを補助している。
【0071】
次に、コード巻取り装置2及びクラッチ装置3の動作を説明する。
図15又は
図17(G)を参照して、回転軸Srを停止中は、回転ドラム21は、回転軸Srで回り止めされているので、その回転を停止している。又、
図16又は
図17(G)を参照すると、複数のピン32bは、リブ22b及び凹溝22aに当接している。
【0072】
図17(G)を参照して、複数のピン32bがリブ22b及び凹溝22aに当接している状態において、係合筒32を介して、巻取ドラム22には、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重で、昇降コードCrが巻取ドラム22を巻き解く方向に回転力が作用する。しかし、巻取ドラム22を巻き解く方向に、巻取ドラム22が回転しようとすると、クラッチバネ32sがバネ受け32eを締め付けることで、バネ受け32eに対する係合筒32の回転を禁止するので、巻取ドラム22の回転が回転ドラム21に伝動することなく、複数のスラットStは、閉じる途中の状態を維持している(
図1参照)。
【0073】
一方、
図17(G)又は
図17(H)に示した状態から、回転ドラム21がラダーコードCeを巻き取る方向に(
図15参照)、回転軸Srを回転すると、回転軸Srと一体に回転ドラム21が回転する(
図15参照)。例えば、
図17(A)から
図17(C)又は、
図18(A)から
図18(C)を参照すると、回転ドラム21の突出部212と切換筒31の突出片312とは、回転方向に遊びがあるために、回転ドラム21の突出部212と切換筒31の突出片312とが当接するまでは、回転ドラム21の回転は切換筒31に伝動されず、スラットStのみを傾動できる(
図8参照)。
【0074】
図17(A)又は
図18(B)を参照して、突出部212と突出片312が当接した状態から、巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取る方向に(
図15参照)、回転軸Srを回転すると、突出片312が突出部212で押されることで、切換筒31は、回転軸Srと同じ方向に回転する(
図18(B)参照)。
【0075】
図17(A)を参照して、切換筒31が回転軸Srと同じ方向に回転すると、突出片32fが切換筒31の溝31bの端面に当接しているので、係合筒32は、切換筒31と同じ方向に回転できる。そして、係合筒32を介して、回転軸Srの回転が巻取ドラム22に伝動し、巻取ドラム22は、昇降コードCrを巻き取ることができる。この場合、クラッチバネ32sは拡径されて、バネ受け32eに対する係合筒32の回転を許容しているので、係合筒32は、巻取ドラム22を回転できる。回転軸Srの回転を停止したときは、クラッチバネ32sが縮径してバネ受け32eを締め付けることで、バネ受け32eに対する係合筒32の回転を禁止している。
【0076】
一方、操作コードChを操作して、巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き解く方向に(
図15参照)、回転軸Srを回転すると、回転軸Srと一体に回転ドラム21が回転するので、回転ドラム21の突出部212が切換筒31の突出片312に向って
図17(B)又は
図18(C)の矢印の方向に回転する。
図17(B)又は
図18(C)の矢印の方向から、突出部212が突出片312に当接した状態では、停止状態の巻取ドラム22に対して、切換筒31を
図17(B)又は
図18(C)の矢印の方向に回転できる。
【0077】
切換筒31が
図17(C)又は
図18(C)の矢印の方向に回転すると、停止状態の係合筒32に対して、切換筒31を同図の矢印の方向に回転できる。この場合、
図17(H)を参照すると、複数のピン32bは、係合筒32に保持されているので、複数のピン32bは、係合受部31cの周面を転動できる(
図17参照)。
図18(C)に示した状態まで操作コードChの操作を継続すると、複数のピン32bと切換筒31の凹部31dの位置関係は、
図17(J)に示した状態に至ることができる。
【0078】
図17(J)を参照して、係合筒32の切欠溝32dに保持されたピン32bと切換筒31の凹部31dが対向した状態では、ピン32bは、凹部31dに陥没している。こうして、巻取ドラム22のリブ22bと係合筒32及び切換筒31との係合が解除されることで、巻取ドラム22は、回転軸Sr及び回転ドラム21と連結が解除される。そして、ボトムレールRb及びスラットStの自量により下降し、昇降コードCrは、巻取ドラム22から巻き解かれる(
図1参照)。
【0079】
このように、巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取るときは、クラッチ装置3が回転軸Srと巻取ドラム22を連結している。一方、巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き解く方向に、回転軸Srを回転すると、回転軸Srと巻取ドラム22の連結を解除して、ボトムレールRb及びスラットStの自量により下降し、巻取ドラム22を巻き解く方向に空転できる。
【0080】
しかし、
図1を参照して、回転軸Srを回転して、巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取るときは、駆動装置1から最も遠い巻取ドラム22に保持された回転軸Srの他端部に対して、駆動装置1に近い巻取ドラム22に保持された回転軸Srの一端部は、捩じれた状態になる。
【0081】
図1を参照して、回転軸Srの他端部に対して、回転軸Srの一端部が捩じれた状態で、駆動装置1から昇降コードCrを巻き戻す方向に回転軸Srを回転すると、捩じれが解消する前に、駆動装置1から最も遠い巻取ドラム22と駆動装置1に近い巻取ドラム22が複数のスラットStを開く方向に時間差をもって回転するので、駆動装置1から最も遠い巻取ドラム22のクラッチ装置3が解除できないという問題があった。
【0082】
このようなことから、本発明は、駆動装置1から回転軸Srに捩じれが生じた状態において、回転軸Srから駆動装置1に回転を伝達することなく、回転軸Srの捩じれを解消する方向に、回転軸Srの回転を許容する中間クラッチ4を駆動装置1と回転軸Srとの間に介在させた。
【0083】
(中間クラッチの構成)
次に、中間クラッチ4の構成を説明する。
図2又は
図8から
図13を参照すると、中間クラッチ4は、内部に空洞を有する第1ケース41k及び第2ケース42kと中間ケース40kを互いに組み合して、外殻を構成している(
図11参照)。又、中間クラッチ4は、クラッチ入力軸41とクラッチ出力軸42を備えている。
【0084】
図9を参照すると、クラッチ入力軸41は、第1軸部41s、第1鍔部41f、及び、一対の第1冠歯41g・41gを連続して形成している。第1軸部41sは、第1ケース41kに開口した軸穴41hに挿入され、回転自在に保持されている。第1鍔部41fは、第1ケース41kと中間ケース40kで保持され、クラッチ入力軸41のスラスト方向の移動が規制されている。一対の第1冠歯41g・41gは、第1鍔部41fの面から第1軸部41sと反対側に突出している。
【0085】
同様に、
図9を参照すると、クラッチ出力軸42は、第2軸部42s、第2鍔部42f、及び、一対の第2冠歯42g・42gを連続して形成している。第2軸部42sは、第2ケース42kに開口した軸穴42hに挿入され、回転自在に保持されている。第2鍔部42fは、第2ケース42kと中間ケース40kで保持され、クラッチ出力軸42のスラスト方向の移動が規制されている。一対の第2冠歯42g・42gは、第2鍔部42fの面から第2軸部42sと反対側に突出している。
【0086】
図12を参照すると、第1鍔部41fと第2鍔部42fは、中間クラッチ4の内部で対向配置されている。又、クラッチ入力軸41とクラッチ出力軸42は、それらの回転中心が同軸上に配置されている。更に、
図8又は
図13を参照すると、一対の第1冠歯41g・41gと一対の第2冠歯42g・42gは、回転方向に余裕を有して対向しているが、互いに噛み合うことができる。
【0087】
図2を参照すると、クラッチ入力軸41の第1軸部41sには、駆動軸16が相対回転不能に連結している。クラッチ出力軸42の第2軸部42sには、回転軸Srが相対回転不能に連結している。
【0088】
図1又は
図2を参照して、プーリ1pを一方の方向(巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取る方向)に回転すると、一対の第1冠歯41g・41gが一対の第2冠歯42g・42gに噛み合うことで(
図14(A)の右欄参照)、回転軸Srを一方の方向に回転できる。
【0089】
(中間クラッチの作用)
次に、実施形態による中間クラッチ4の動作を説明しながら、中間クラッチ4の作用及び効果を説明する。
【0090】
図14(A)を参照すると、ブラインド10は、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重で、昇降コードCrが巻取ドラム22を巻き解くことで、複数のスラットStを開いている。一方、中間クラッチ4は、クラッチ入力軸41の第1冠歯41gがクラッチ出力軸42の第2冠歯42gに当接している。これにより、回転軸Srは停止状態を維持している。
【0091】
図14(B)を参照して、操作コードChを操作して、プーリ1pを一方の方向(巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き取る方向)に回転すると、クラッチ入力軸41の第1冠歯41gがクラッチ出力軸42の第2冠歯42gを押し続けることで、昇降コードCrを巻き取る方向に、複数の巻取ドラム22を回転できる。
【0092】
しかし、
図14(B)を参照すると、複数の巻取ドラム22には、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重が作用しているので、駆動装置1から最も遠い巻取ドラム22に保持された回転軸Srの他端部に対して、駆動装置1に近い巻取ドラム22に保持された回転軸Srの一端部は、捩じれた状態になっている。
【0093】
図14(C)を参照して、操作コードChを操作して、プーリ1pを他方の方向(巻取ドラム22が昇降コードCrを巻き解く方向)に回転すると、クラッチ入力軸41の第1冠歯41gがクラッチ出力軸42の第2冠歯42gから離間する方向に回転する。このとき、第1冠歯41gが第2冠歯42gから離間することで、第2冠歯42g及び回転軸Srは、回転軸Srの捩じれが解消する方向に回動できるので、クラッチ出力軸42の第2冠歯42g(及び回転軸Sr)は、クラッチ入力軸41の第1冠歯41gに追随する方向に回転する(
図14(C)の右欄参照)。
【0094】
次に、
図14(D)を参照して、回転軸Srの捩じれが解消するとクラッチ出力軸42は追随する方向の回転を停止するが、クラッチ入力軸41のみ回転を継続し、クラッチ入力軸41の第1冠歯41gがクラッチ出力軸42の第2冠歯42gに当接する。クラッチ入力軸41の第1冠歯41gがクラッチ出力軸42の第2冠歯42gに当接している状態で、更に操作コードChを操作して、プーリ1pを他方の方向に回転すると、クラッチ装置3が解除され(
図15から
図17参照)、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重で複数のスラットStを開くことができる。
【0095】
このように、
図2又は
図8から
図14を参照すると、実施形態による中間クラッチ4は、駆動装置1の出力軸15と共に回転するクラッチ入力軸41と、回転軸Srと共に回転するクラッチ出力軸42を備え、クラッチ入力軸41は、クラッチ入力軸41が回転軸Srの捩じれを解消する方向に反転動作を開始してからクラッチ出力軸42へ回転を伝達するまでに、所定の空転動作を実施している。
【0096】
実施形態による中間クラッチ4は、駆動装置1を駆動することで回転するクラッチ入力軸41と、回転軸Srと共に回転するクラッチ出力軸42との間に、所定の空転領域を形成することで、一方の駆動力を他方に伝達させない回転を実現できる。
【0097】
又、
図2又は
図8から
図14を参照すると、実施形態による中間クラッチ4は、クラッチ入力軸41が回転軸Srの捩じれを解消する方向に反転動作を開始してから、クラッチ入力軸41の回転に追随して回転するクラッチ出力軸42を備えている。
【0098】
実施形態による中間クラッチ4は、通常は、駆動装置1からの回転がクラッチ入力軸41を介してクラッチ出力軸42に伝達されている。クラッチ入力軸41が反転動作を開始すると、クラッチ出力軸42は停止した状態で保持されると共に、クラッチ入力軸41が空転動作後にクラッチ出力軸42に回転を伝達する。一方、回転軸Srの捩じれが生じている状態において、クラッチ入力軸41が反転動作を開始すると、クラッチ出力軸42は、回転軸Srの反発力でクラッチ入力軸41の回転に追随して回転し、捩じれが解消すると回転を停止し、そこからクラッチ入力軸41が空転動作後、クラッチ入力軸41からクラッチ出力軸42に回転を伝達できるようになる。そして、複数のスラットStが閉じた状態から、複数のスラットStを確実に開くことができる。
【符号の説明】
【0099】
1 駆動装置
4 中間クラッチ
10 ブラインド
13 クラッチバネ(規制手段)
22 巻取ドラム
Bh ヘッドボックス
Cr 昇降コード
Sr 回転軸
St スラット(遮蔽材)