(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20220428BHJP
G01C 7/02 20060101ALI20220428BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G01C7/02
G01C15/00 101
G01C15/00 102C
(21)【出願番号】P 2018175340
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪東 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博史
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-172428(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116577(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/164172(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138552(WO,A1)
【文献】特開2016-160741(JP,A)
【文献】特開2016-186210(JP,A)
【文献】特開2014-074319(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111148(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056266(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
G01C 7/02
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体本体と、
前記車体本体に取り付けられた作業装置と、
前記車体本体及び前記作業装置の姿勢に関する情報および前記作業装置の方位を検出して作業機械姿勢情報として出力する作業機械姿勢検出装置と、
前記車体本体の位置を検出して作業機械位置情報として出力する作業機械位置検出装置と、
施工現場の現況地形を示す現況地形データを取得する現況地形データ取得装置と、
前記施工現場の設計地形を示す設計地形データに基づいて設定される目標面の位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記作業機械位置情報とを用いて、前記目標面と前記作業装置との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算するガイダンス制御装置と、
前記現況地形データを記憶する記憶装置と、
前記ガイダンス制御装置により演算された前記ガイダンス情報をオペレータに提示するモニタと
を備えた作業機械において、
前記ガイダンス制御装置は、前記作業機械位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記目標面の位置情報とに基づいて、前記目標面と前記作業機械とが正対している正対状態であるかどうかを判定し、正対状態であると判定され
た場合に前記現況地形データ取得装置によって取得された前記現況地形データ
と目標面とを前記記憶装置に記憶するとともに、前記記憶装置に記憶した前記現況地形データを用いて前記ガイダンス情報を演算して前記モニタに表示することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ガイダンス制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記現況地形データと前記目標面の位置情報と前記設計地形データとに基づいて、前記設計地形と前記現況地形との間に位置するように前記目標面の位置を調整することを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ガイダンス制御装置は、前記ガイダンス情報として、前記目標面と前記作業装置との相対位置の情報に加え、前記現況地形データを前記モニタに表示することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1記載の作業機械において、
前記ガイダンス制御装置は、位置範囲と第一及び第二角度範囲とを予め設定し、前記目標面と前記車体本体の距離が前記位置範囲内であり、かつ、前記目標面と前記車体本体の位置を結ぶ直線と前記作業装置が向く方位との角度差及び前記目標面の向く方向との角度差がそれぞれ前記第一及び第二角度範囲内である場合に前記正対状態であると判定することを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1記載の作業機械において、
前記ガイダンス制御装置は、前記現況地形データ及び前記作業機械姿勢情報に基づいて、前記施工現場の現在の地形のうち前記作業装置によって前記現況地形データ取得装置による前記現況地形データの取得が遮蔽される領域を遮蔽領域として演算し、前記遮蔽領域に基づいて前記現況地形データの信頼度を演算し、現在、前記記憶装置に記憶されている前記現況地形データの信頼度と前記現況地形データ取得装置で取得した最新の前記現況地形データの信頼度とを比較して信頼度の高い前記現況地形データを前記記憶装置に記憶することを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
土木作業現場においては、現場の地形データの確認は非常に重要であり、測量者が作業範囲を測量し、掘削の目標としていわゆる丁張りを張る作業を行うことで、所望の作業結果が得られるように準備を行う。一方で、作業中に丁張りがずれてしまう場合もあり、このような場合には再度の測量と丁張りの調整をする必要が生じるため、丁張りにより掘削の目標を定める方法は、時間や手間暇のかかるものであった。
【0003】
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、掘削の目標を設定するのに要する時間と手間を省くことを目的として、レーザー測距装置と車体の位置と姿勢を取得する装置を搭載した建設機械により、自動的に作業現場の現在の地形を示した現況地形データを取得し、施工現場の設計データから計算した掘削の目標面と現況地形データを合わせてオペレータに提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術においては、前回の地形データを取得してから一定時間経過する毎に、レーザー測距装置により現況地形データを取得して、目標面と現況地形データを合わせて提示することで、建設機械のオペレータに対して掘削すべき個所のガイダンスを行っている。しかしながら、現況地形データの更新タイミングを前回の計測からの時間経過によって決定しているため、例えば、旋回動作中に計測が行われた場合には、作業を行っている地点がレーザー測距装置の視野を外れてしまい、十分な現況地形データを取得できないため、正しいガイダンスができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、オペレータに対して目標面と現況地形データを適切に提示することができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、車体本体と、前記車体本体に取り付けられた作業装置と、前記車体本体及び前記作業装置の姿勢に関する情報および前記作業装置の方位を検出して作業機械姿勢情報として出力する作業機械姿勢検出装置と、前記車体本体の位置を検出して作業機械位置情報として出力する作業機械位置検出装置と、施工現場の現況地形を示す現況地形データを取得する現況地形データ取得装置と、前記施工現場の設計地形を示す設計地形データに基づいて設定される目標面の位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記作業機械位置情報とを用いて、前記目標面と前記作業装置との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算するガイダンス制御装置と、前記現況地形データを記憶する記憶装置と、前記ガイダンス制御装置により演算された前記ガイダンス情報をオペレータに提示するモニタとを備えた作業機械において、前記ガイダンス制御装置は、前記作業機械位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記目標面の位置情報とに基づいて、前記目標面と前記作業機械とが正対している正対状態であるかどうかを判定し、正対状態であると判定された場合に前記現況地形データ取得装置によって取得された前記現況地形データと目標面とを前記記憶装置に記憶するとともに、前記記憶装置に記憶した前記現況地形データを用いて前記ガイダンス情報を演算して前記モニタに表示するものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オペレータに対して目標面と現況地形データを適切に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る作業機械の一例として油圧ショベルの外観を模式的に示す右側面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る作業機械の一例として油圧ショベルの外観を模式的に示す左側面図である。
【
図3】ガイダンス制御装置の処理機能を関連構成とともに示す機能ブロック図である。
【
図4】ガイダンス制御装置によるガイダンス制御の処理内容を示すフローチャートであり、目標面設定処理の処理内容を示すフローチャートである。
【
図5】現場座標系における油圧ショベル及び目標面の一例を示す上面図である。
【
図6】車体座標系における油圧ショベル及び目標面の一例を示す上面図である。
【
図7】作業装置による現況地形データの遮蔽領域を示す図である。
【
図8】油圧ショベル、設計地形データ、及び、目標面の関係の一例を示す上面図である。
【
図9】ガイダンス制御装置によるガイダンス制御の処理内容を示すフローチャートであり、ガイダンス情報提示処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<全体構成:油圧ショベル100>
図1及び
図2は、本発明の一実施の形態に係る作業機械の一例として油圧ショベルの外観を模式的に示す側面図であり、
図1は右側面図、
図2は左側面図である。
【0012】
図1及び
図2において、油圧ショベル100は、垂直方向にそれぞれ回動可能な複数のフロント部材(ブーム104、アーム105、バケット106)を連結して構成された多関節型の作業装置103と、車体本体を構成する上部旋回体102及び下部走行体101とを備えており、上部旋回体102は下部走行体101に対して旋回可能に設けられている。
【0013】
上部旋回体102は、図示しない旋回フレーム上に各部材を配置して構成されており、図示しない旋回油圧モータの回転駆動によって下部走行体101に対して旋回可能となっている。
【0014】
作業装置103のブーム104の基端は上部旋回体102の前部に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム105の一端はブーム104の基端とは異なる端部(先端)に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム105の他端にはバケット106が垂直方向に回動可能に支持されている。作業装置103のブーム104、アーム105、及び、バケット106は油圧アクチュエータであるブームシリンダ107、アームシリンダ108、及び、バケットシリンダ109により駆動されて回動動作を行う。
【0015】
作業装置103のブーム104、アーム105、及び、バケット106には、作業装置103姿勢に関する情報である作業機械姿勢情報(ここでは、相対角度)を取得するための作業機械姿勢検出装置202(後の
図3参照)を構成する角度センサ112A,112B,112Cが配置されている。角度センサ112Aは、上部旋回体102に対するブーム104の回動角を検出する。同様に、角度センサ112Bはブーム104に対するアーム105の回動角を、角度センサ112Cはアーム105に対するバケット106の回動角をそれぞれ検出する。
【0016】
なお、角度センサ112A~112Cは、作業装置103を構成するブーム104、アーム105、及び、バケット106の作業機械姿勢情報を取得できれば良く、例えば、ブーム104、アーム105、及び、バケット106のそれぞれの角速度及び加速度を計測する慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)や、水平2軸の傾斜を検出する2軸傾斜検出装置などを用いても良い。例えば、慣性計測装置を用いる場合には、作業装置103の各構成部材104,105,106にそれぞれ配置された各センサに予め設定されたIMU座標系における加速度や角速度を計測し、それらの計測値と、各慣性計測装置の取り付け状態(つまり、慣性計測装置と作業装置103の各構成部材104,105,106との相対的な位置関係)などの情報とを用いることで作業装置103の各構成部材104,105,106の姿勢を知ることができる。
【0017】
下部走行体101は、左右一対のクローラフレーム11a,11bにそれぞれ掛け回された一対のクローラ12a,12bと、クローラ12a,12bをそれぞれ駆動する走行油圧モータ13a,13b(図示しない減速機構を含む)とから構成されている。下部走行体101は、左右の走行油圧モータ13a,13bによりそれぞれ駆動されて走行動作を行う。
【0018】
上部旋回体102を構成する旋回フレーム上には、図示しないが、エンジン等の原動機や、原動機によって駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプから吐出されてブームシリンダ107、アームシリンダ108、バケットシリンダ109、旋回油圧モータ(図示せず)、及び左右の走行油圧モータ13a,13bなどの油圧アクチュエータに供給される作動油の方向及び流量を制御するコントロールバルブなどが配置されている。
【0019】
上部旋回体102の前部であって、作業装置103のブーム104の基端の支持部の横側(本実施の形態では左側)には、オペレータが搭乗して油圧ショベル100の運転を行うための運転席111が配置されている。
【0020】
運転席111には、作業装置103の動作や上部旋回体102の旋回動作を指示するための操作レバー装置(図示せず)や、下部走行体101の走行動作を指示するための走行操作レバー装置(図示せず)などのほか、掘削作業等を支援するためのガイダンス情報(後述)をオペレータに提示する出力装置204が配置されている。
【0021】
出力装置204は、モニタ114を有しており、ガイダンス情報として、例えば、施工現場の設計図から作成した3次元データ(以降、設計地形データと称する)とその設計地形データに対する作業装置103の相対的な位置情報とを表示してオペレータに提示し、オペレータに掘削すべき箇所を案内することにより、オペレータの操作を支援している。
【0022】
運転席111の上部には、施工現場における油圧ショベル100の前方の現在の地形の3次元形状を表す点群情報である地形データ(以降、現況地形データと称する)を取得するためのステレオカメラ504が設けられている。なお、ステレオカメラ504の代わりにレーザー測距装置を用いて現況地形データを取得するように構成しても良い。
【0023】
上部旋回体102には、車体本体(油圧ショベル100とも言える)の施工現場における位置を検出して作業機械位置情報として出力する作業機械位置検出装置201を構成するGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)502と、車体本体(上部旋回体102とも言える)の姿勢に関する情報(ここでは、対地姿勢(対地傾斜および方位))を取得するための作業機械姿勢検出装置202を構成するAHRS(Attitude Heading Reference System)503とが配置されている。
【0024】
作業機械位置検出装置201を構成するGNSS502は、上部旋回体102の上部に配置された受信アンテナと図示しない演算装置により構成されており、受信アンテナにより受信した測位衛星からの電波を演算装置によって演算することで上部旋回体102の地球座標系(測地系)における3次元の位置情報(対地位置)を検出し、施工現場の中に定義された3次元の直交座標系(以降、現場座標系と称する)における位置に変換して作業機械位置情報として出力する。
【0025】
作業装置103の角度センサ112A,112B,112Cとともに作業機械姿勢検出装置202を構成するAHRS503は、上部旋回体102の対地姿勢(対地傾斜および方位)を3軸の加速度値と角速度の積分値および地磁気により検出する。
【0026】
なお、例えば、AHRS503を対地傾斜のみ検出可能な傾斜計に置き換えるとともに、GNSS502の受信アンテナを2つ設けたり、或いは、GNSS502自体を2つ設けたりすることによって、GNSS502による2点の観測点を上部旋回体102上に設け、GNSS502の2点の測位結果から上部旋回体102の向く絶対方位を検出するとともに、傾斜計の検出結果から対地傾斜をそれぞれ検出し、これらの検出結果をもってAHRS503の検出結果(すなわち、対地傾斜および方位の情報を含む対地姿勢の情報)に代えてもよい。
【0027】
また、上部旋回体102には、掘削作業におけるオペレータの操作を支援するためのガイダンス情報を演算し、出力装置204のモニタ114を介してオペレータに提示するガイダンス制御を行うガイダンス制御装置110が配置されている。
【0028】
図3は、ガイダンス制御装置の処理機能を関連構成とともに示す機能ブロック図である。
【0029】
図3において、ガイダンス制御装置110は、施工現場の設計地形を示す設計地形データを取得して出力する設計地形データ取得部206と、設計地形データに基づいて作業装置103による掘削作業の目標面を設定する目標面設定部207と、作業機械位置情報と作業機械姿勢情報と目標面とに基づいて、目標面と作業装置103との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算するガイダンス部211と、作業機械位置情報と作業機械姿勢情報と目標面とに基づいて、目標面と油圧ショベル100とが正対している正対状態であるかどうかを判定する正対判定部208と、正対判定部208において正対状態であると判定されている場合の現況地形データと目標面とを対応付けて記憶する正対地形データ記憶部209と、設計地形データ取得部206で取得した設計地形データと正対地形データ記憶部209に記憶された現況地形データ及び目標面とに基づいて目標面を調整する目標面調整部210とを備えている。
【0030】
ガイダンス制御装置110には、作業機械姿勢情報、作業機械位置情報、及び、現況地形データがそれぞれ所定の周期(例えば、0.1~1秒程度)で検出されて送られる。すなわち、油圧ショベル100に搭載された作業機械姿勢検出装置202は所定の周期(例えば、0.1~1秒程度)で検出作業機械姿勢情報(すなわち、角度センサ112Aで検出されたブーム104の回動角、角度センサ112Bで検出したアーム105の回動角、角度センサ112Cで検出したバケット106の回動角、AHRS503で検出した上部旋回体102の対地姿勢)を検出してガイダンス制御装置110に出力し、作業機械位置検出装置201は所定の周期(例えば、0.1~1秒程度)で作業機械位置情報(すなわち、GNSS502で検出した上部旋回体102の対地位置)を検出してガイダンス制御装置110に出力し、現況地形データ取得装置203は所定の周期(例えば、0.1~1秒程度)で取得した現況地形データ(すなわち、ステレオカメラ504で取得した施工現場の現在の地形の3次元形状を示す点群情報)をガイダンス制御装置110に出力する。
【0031】
設計地形データ取得部206は、油圧ショベル100の外部から無線通信や記憶媒体などを介して掘削の目標となる施工現場の設計地形データ205を取得し、目標面設定部207及び目標面調整部210に送る。
【0032】
設計地形データ205は、施工現場の設計図から作成した3次元データであり、施工現場の中に定義された3次元の直交座標系(以降、現場座標系と称する)の3つの点の座標によってそれぞれ表現された複数の面(以降、部分設計面と称する)の情報がリストとなったものである。
【0033】
例えば、設計地形データ205におけるリストのn番目の部分設計面の情報は、部分設計面(n)={{x_d_1_n、y_d_1_n、z_d_1_n},{x_d_2_n、y_d_2_n、z_d_2_n},{x_d_3_n、y_d_3_n、z_d_3_n}}のように表現される。また、この面には表裏が定義されており、具体的には、部分設計面を表す3点の記録順序(指定順序)が時計回りとして見える面を表として扱うこととする。
【0034】
ガイダンス制御装置110で演算されたガイダンス情報は、出力装置204に送られ、モニタ114に表示される目標面や現況地形データを示す画像としてオペレータに提示される。
【0035】
現況地形データ取得装置203は、ステレオカメラ504の2つのカメラから得られる画像情報のマッチングを行って視差を計算し、撮影された物体の3次元形状情報を点群情報として出力する。
【0036】
ステレオカメラ504は、油圧ショベル100の運転席111上部に固定されており、例えば、油圧ショベル100の回動中心に原点を設定した座標系(以降、車体座標系と称する)における位置(座標)は予め測定しておくことができる。したがって、この位置関係を用いた座標変換をステレオカメラ504から得られる3次元の形状情報に適用することで、油圧ショベル100の車体座標系における座標で表現された現況地形データを得ることができる。なお、車体座標系、現場座標系、及び、地球座標系は、互いの関係が予め定義されており、相互に変換可能である。
【0037】
目標面設定部207は、設計地形データ取得部206から取得される設計地形データ205と目標面調整部210から得られるオフセット量(後述)とを用いて、掘削の目標となる目標面を演算し、演算結果である目標面を正対判定部208とガイダンス部211とに出力する。
【0038】
正対判定部208は、作業機械位置検出装置201より得られる作業機械位置情報と作業機械姿勢検出装置202で得られる作業機械姿勢情報と目標面設定部207によって得られる目標面の情報とを用いて、油圧ショベル100と目標面とが正対している正対状態であるかどうか判定し、判定結果を正対地形データ記憶部209に出力するものであり、正対範囲設定部212と信頼度演算部213とを有している。
【0039】
正対範囲設定部212は、作業機械位置検出装置201より得られる作業機械位置情報と、作業機械姿勢検出装置202で得られる作業機械姿勢情報とについて、正対判定部208において正対状態であるかどうかの判定に用いる作業機械位置情報の範囲(以降、位置範囲と称する)と作業機械姿勢情報の範囲(以降、姿勢範囲と称する)とを設定する。正対判定部208では、作業機械位置情報が位置範囲の範囲内であり、かつ、作業機械姿勢情報が姿勢範囲の範囲内である場合に正対状態であると判定する。
【0040】
信頼度演算部213は、現況地形データ取得装置203で取得された現況地形データと作業機械姿勢検出装置202で検出された作業機械姿勢情報とに基づいて、施工現場の現在の地形(現況地形)のうち作業装置103によって現況地形データ取得装置203による現況地形データの取得が遮蔽される領域を遮蔽領域として演算し、現況地形データに対する遮蔽領域の割合を現況地形データの信頼度として演算し、演算結果である信頼度を正対地形データ記憶部209に出力する。なお、本実施の形態における遮蔽領域は、現況地形データ取得装置203のステレオカメラ504により現況地形を撮像した場合に作業装置103によって死角になり撮像されない領域のことである。
【0041】
正対地形データ記憶部209は、正対判定部208により正対状態であると判定された場合(すなわち、判定結果が正対状態であるとする場合)には現況地形データ取得装置203により取得される現況地形データと目標面とを対応付けて記憶し、正対状態ではないと判定された場合(すなわち、判定結果が正対状態ではないとする場合)には現況地形データを記憶しない。ただし、正対地形データ記憶部209は、現在記憶されている現況地形データの信頼度と現況地形データ取得装置203で取得した最新の現況地形データの信頼度とを比較して信頼度の高い現況地形データを記憶する。
【0042】
目標面調整部210は、正対地形データ記憶部209から得られる現況地形データと目標面との差分を演算し、その差分と設計地形データ205とを用いて設計地形データ205から目標面までのオフケット量を演算し、演算結果であるオフセット量を目標面設定部207に送る。
【0043】
ガイダンス部211は、作業機械位置検出装置201より得られる作業機械位置情報と作業機械姿勢検出装置202より得られる作業機械姿勢情報と目標面設定部207から得られる目標面の情報とを用いて、オペレータに提示するガイダンス情報を演算し、演算結果であるガイダンス情報を出力装置204に出力する。
【0044】
なお、ガイダンス制御装置110は、入力部と、プロセッサである中央処理装置(CPU)と、記憶装置であるリードオンリーメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)と、出力部とを有して構成されている。入力部は、ガイダンス制御装置110に入力される各種情報をCPUが演算可能なように変換する。ROMは、ガイダンス制御装置110における各種演算処理を実行する制御プログラムと、演算処理の実行に必要な各種情報等が記憶された記録媒体であり、CPUはROMに記憶された制御プログラムに従って入力部及びROMやRAMから取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。正対地形データ記憶部209は、記憶装置の記憶領域の一部で構成されている。出力部からは、出力装置204に表示するためのガイダンス情報などが出力される。なお、記憶装置は上記のROM及びRAMという半導体メモリに限られず、例えば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置に代替可能である。
【0045】
図4及び
図9は、ガイダンス制御装置によるガイダンス制御の処理内容を示すフローチャートであり、
図4は目標面設定処理の処理内容を示すフローチャート、
図9はガイダンス情報提示処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0046】
ガイダンス制御装置110における目標面設定処理は、ガイダンス情報提示処理において用いる目標面を設定する処理であり、ガイダンス情報提示処理は、作業機械位置情報と作業機械姿勢情報と目標面とに基づいて、目標面と作業装置103との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算して出力装置204に出力し、オペレータに提示する処理である。
【0047】
図4に示すように、目標面設定処理では、ガイダンス制御装置110は、まず、設計地形データ取得部206によって設計地形データを取得する(ステップS100)。また、ガイダンス制御装置110は、作業機械位置検出装置201から作業機械位置情報を取得するとともに、作業機械姿勢検出装置202から作業機械姿勢情報を取得する(ステップS110)。
【0048】
図5、現場座標系における油圧ショベル及び目標面の一例を示す上面図であり、
図6は車体座標系における油圧ショベル及び目標面の一例を示す上面図である。
図5に示すように、油圧ショベル100の位置は上部旋回体102の旋回中心を油圧ショベル100の基準位置とした場合に、現場座標系において{x_s,y_s,z_s}として得られ、また、上部旋回体102の正面方向が向く方位は、x軸方向に対して成す角θ_sとして得られる。
【0049】
続いて、目標面設定部207は、設計地形データと目標面調整部210から得られるオフセット量(初回の場合は予め定めた初期値)とに基づいて目標面を設定する(ステップS120)。
【0050】
次に、正対判定部208は、作業機械位置情報及び作業機械姿勢情報と、目標面設定部207からの目標面とに基づいて、油圧ショベル100と正対する部分目標面(後述)を検索する(ステップS130)。
【0051】
目標面は、設計地形データと同様に複数の面(以降、部分目標面と称する)によって構成されており、ステップS130では、設計地形データを構成する全ての部分目標面を対象にして検索を行う。ステップS130における油圧ショベル100と正対する部分目標面の検索では、まず、複数の部分目標面の中から判定対象とする部分目標面を1つずつ順番に選択する。
【0052】
図5に示すように、設計地形データ205と同様に、部分目標面は3点で表現される。例えば、あるn番目の部分目標面300の情報は、部分目標面(n)={{x_t_1_n,y_t_1_n、z_t_1_n}、{x_t_2_n、y_t_2_n、z_t_2_n},{x_t_3_n、y_t_3_n、z_t_3_n}}のように表現される。また、部分目標面300の表裏の定義についても設計地形データ205と同様に、部分目標面300を表す3点の記録順序(指定順序)が時計回りとして見える面を表として扱うこととする。
【0053】
そして、部分目標面300の3点の情報から部分目標面300の重心位置301及び部分目標面300の表面の向く方向を示す方向ベクトル302を演算し、部分目標面300の面の重心位置301と方向ベクトル302からn番目の部分目標面300が油圧ショベル100と正対状態であるかどうかを判定する。
【0054】
具体的には、
図6に示すように、部分目標面300の重心位置301と油圧ショベル100の基準位置との距離Lが予め設定した範囲(以降、距離範囲と称する)内であり、かつ、重心位置301と油圧ショベル100の基準位置(例えば、旋回中心)を結ぶ直線と上部旋回体102が向く方向との水平方向における角度差θ_diff1が予め設定した範囲(以降、第一角度範囲と称する)内であり、かつ、部分目標面300の方向ベクトル302と上部旋回体102が向く方向との水平方向における角度差θ_diff2が予め設定された範囲(以降、第二角度範囲と称する)に入る場合に、部分目標面300と油圧ショベル100が正対状態にあると判定する。なお、距離範囲は位置範囲の一種であるとともに、第一角度範囲および第二角度範囲は姿勢範囲の一種であって、正対範囲設定部212において任意のタイミングで設定を行うことができ、正対状態の判定に用いるこれらの範囲を正対範囲設定部212で設定することにより、正対状態と判定される部分目標面の幅を調整することができる。
【0055】
続いて、信頼度演算部213は、現況地形データ取得装置203で取得された現況地形データと作業機械姿勢検出装置202で検出された作業機械姿勢情報とに基づいて、現況地形データで示される現在の地形(現況地形)のうち作業装置103によって現況地形データ取得装置203による現況地形データの取得が遮蔽される領域を遮蔽領域として演算し(ステップS140)、現況地形データに対する遮蔽領域の割合を現況地形データの信頼度として演算する(ステップS150)。
【0056】
図7は、作業装置による現況地形データの遮蔽領域を示す図である。
図7に示すように、信頼度演算部213による遮蔽領域の演算は、現況地形303に対して取得された現況地形データ304とステレオカメラ504の視野範囲305と作業機械姿勢検出装置202より得られる作業装置103の作業機械姿勢情報とを用いる。作業装置103の作業機械姿勢情報と油圧ショベル100の設計データとから、視野範囲305と作業装置103との位置関係を演算し、作業装置103によって遮蔽される遮蔽領域306を演算する。
【0057】
また、信頼度演算部213による信頼度の演算は、遮蔽領域306を用いて、現況地形データ304から作業装置103に相当する形状情報を判別する。そして、現況地形データ304の3次元の点群の点数を母数とし、現況地形データ304から作業装置103に相当する部分を削除した3次元点群の点数を母数で割った値を遮蔽領域の割合として求める。この遮蔽領域の割合を現況地形データ304の信頼度とする。
【0058】
続いて、正対地形データ記憶部209は、ステップS130で正対状態であると判定された部分目標面に対し、以前に対応づけて記憶された現況地形データの信頼度を参照し、現在の現況地形データの信頼度とを比較して、現在の現況地形データの方が信頼度が高いかどうかを判定し(ステップS160)、判定結果がNOの場合には処理を終了する。
【0059】
また、正対地形データ記憶部209は、ステップS160での判定結果がYESの場合、すなわち、現在の現況地形データの方が信頼度が高い場合には、記憶している目標面とそれに対応する現況地形データとを更新(上書き)するように、目標面と現在の現況地形データとを対応付けて記憶し(ステップS170)、目標面調整部210は、正対地形データ記憶部209に記憶された目標面と現況地形データとの差分を演算する(ステップS180)。具体的には、正対地形データ記憶部209は、部分目標面ごとに、部分目標面の重心位置から一定距離内にある現況地形データの点群情報を収集し、部分目標面と収集された点群情報とを対応付けて記憶する。本実施の形態においては、ステップS170の処理により、信頼度の低い現況地形データが正対地形データ記憶部209に記憶されることを防ぎ、目標面の更新によって生じる誤差を低減することができる。
【0060】
続いて、目標面調整部210は、ステップS170で正対地形データ記憶部209において更新された目標面と現況地形データとの差分の値(差分値)を演算する(ステップS180)。具体的には、目標面と対応付けられた現況地形データの点群情報について、目標面に対する垂直方向の距離の平均値を差分値として算出する。なお、この差分値は、目標面の表面の向く方向の距離を正とし、例えば、目標面に対して現況地形が主に凸形状となる場合には、目標面に対する点群情報の垂直方向の距離の平均値が正となるので差分値も正の値をとると考えられ、また、主に凹形状となる場合は差分値も負の値をとると考えられる。
【0061】
続いて、目標面調整部210は、ステップS180で算出された差分値に基づいて、目標面の調整が必要であるかどうかを判定し(ステップS190)、判定結果がNOの場合には処理を終了する。
【0062】
図8は、油圧ショベル、設計地形データ、及び、目標面の関係の一例を示す上面図である。目標面調整部210におけるステップS190の判定では、
図8に示すように、設計地形データ205のうち、ステレオカメラ504の視野範囲305(現況地形データが取得される範囲)において、正対状態と判定された全ての部分目標面300(部分目標面307)における差分値の平均値を求め、この平均値が予め定めた範囲外となった場合に目標面の調整が必要であると判定する。
【0063】
ステップS190における判定結果がYESの場合、すなわち、目標面の調整が必要であると判定された場合には、目標面調整部210は、ステップS180で算出された差分値を用いて、設計地形データ205に対する目標面のオフセット値を決定する(ステップS200)。具体的には、設計地形データ205に対し、予め設定した幅でオフセット値の候補を用意し、オフセット値を用いて目標面の候補(目標面候補)を演算する。そして、ステップS180と同様に現況地形データと目標面候補とについて差分値を演算し、目標面候補の中で現況地形データに対する差分値が、ステップS180で演算された目標面に対する現況地形データの差分値と近い候補を選び、この目標面の候補のオフセット値を次のオフセット値として決定する。
【0064】
続いて、目標面設定部207は、ステップS200で決定された目標面のオフセット値に基づき、新たな目標面の設定を行う。具体的には、設計地形データ205の面の法線方向に対してオフセット値の距離だけ平行移動した面の座標値を演算する。そして、正対地形データ記憶部209において、次の目標面の座標値を現況地形データと対応付けて記憶する。
【0065】
図9に示すように、ガイダンス情報提示処理では、ガイダンス制御装置110のガイダンス部211は、まず、作業機械位置検出装置201から作業機械位置情報を取得するとともに、作業機械姿勢検出装置202から作業機械姿勢情報を取得する(ステップS300)。また、ガイダンス部211は、目標面設定部207から目標面設定処理で設定された目標面を取得する(ステップS310)。
【0066】
続いて、ガイダンス部211は、作業機械位置情報および作業機械姿勢情報に基づいて、作業装置103の作業平面308(
図8参照)上から一定の範囲にある目標面を探索する(ステップS320)。具体的には、
図8に示したように、作業装置103の作業平面308と交差する目標面の情報を収集する。
【0067】
続いて、ガイダンス部211は、対応する目標面が存在するかどうか、すなわち、作業装置103の作業平面308と交差する目標面の個数が1以上であるかどうかを判定し(ステップS330)、判定結果がNOの場合には、ガイダンス情報の演算および出力を行わないと判定して処理を終了する。
【0068】
また、ステップS330での判定結果がYESの場合には、ステップS320で検索された目標面について、正対地形データ記憶部209に対応して記憶された現況地形データを取得する(ステップS340)。
【0069】
次に、ガイダンス部211は、ステップS320で検索された目標面とステップS340で取得された現況地形データとから、オペレータに提示する掘削面の断面形状を演算する(ステップS350)。
図10は、出力装置のモニタに表示されるガイダンス情報の一例を示す図である。
図10に示すように、ステップS350では、作業平面308と目標面が交差する箇所の及び現況地形データの交差する箇所309と作業平面308と現況地形データが交差する箇所310を求め、作業平面308における断面図を出力する。
【0070】
次に、ガイダンス部211は、ステップS350で算出した作業平面308での断面図に対して、ステップS300で取得した作業機械位置情報と作業機械姿勢情報とを用いて作業平面308での断面図に対するバケット106の位置を算出し、バケット106を示すアイコン311を断面図に合成して、その画像情報を出力装置204のモニタ114に出力することによりオペレータに提示し(ステップS360)、処理を終了する。
【0071】
以上のように構成した本実施の形態における作用効果を説明する。
【0072】
従来技術としては、例えば、掘削の目標を設定するのに要する時間と手間を省くことを目的として、レーザー測距装置と車体の位置と姿勢を取得する装置を搭載した建設機械により、自動的に作業現場の現在の地形を示した現況地形データを取得し、施工現場の設計データから計算した掘削の目標面と現況地形データを合わせてオペレータに提示するものがある。この従来技術においては、前回の地形データを取得してから一定時間経過する毎に、レーザー測距装置により現況地形データを取得して、目標面と現況地形データを合わせて提示することで、建設機械のオペレータに対して掘削すべき個所のガイダンスを行っている。しかしながら、現況地形データの更新タイミングを前回の計測からの時間経過によって決定しているため、例えば、旋回動作中に計測が行われた場合には、作業を行っている地点がレーザー測距装置の視野を外れてしまい、十分な現況地形データを取得できないため、正しいガイダンスができないという問題があった。
【0073】
これに対して、本実施の形態においては、車体本体(下部走行体101及び上部旋回体102)と、上部旋回体102に取り付けられ、回動可能に連結された複数のフロント部材(ブーム104、アーム105、及びバケット106)からなる多関節型の作業装置103と、上部旋回体102及び作業装置103の姿勢に関する情報を検出して作業機械姿勢情報として出力する作業機械姿勢検出装置202と、油圧ショベル100の施工現場における位置を検出して作業機械位置情報として出力する作業機械位置検出装置201と、施工現場の現在の地形の状態を示す現況地形データを取得して出力する現況地形データ取得装置203と、作業機械姿勢情報及び作業機械位置情報を用いてオペレータの作業装置103による掘削作業を支援するためのガイダンス情報を演算するガイダンス制御装置110と、ガイダンス制御装置110により演算されたガイダンス情報をオペレータに提示する出力装置204とを備えた油圧ショベル100において、ガイダンス制御装置110は、施工現場の設計地形を示す設計地形データを取得して出力する設計地形データ取得部206と、設計地形データに基づいて作業装置103による掘削作業の目標面を設定する目標面設定部207と、作業機械位置情報と作業機械姿勢情報と目標面とに基づいて、目標面と作業装置103との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算するガイダンス部211と、作業機械位置情報と作業機械姿勢情報と目標面とに基づいて、目標面と作業機械100とが正対している正対状態であるかどうかを判定する正対判定部208と、正対判定部208において正対状態であると判定されている場合の現況地形データと目標面とを対応付けて記憶する正対地形データ記憶部209と、設計地形データ取得部206で取得した設計地形データと正対地形データ記憶部209に記憶された現況地形データ及び目標面とに基づいて目標面を調整する目標面調整部210とを備えて構成したので、オペレータに対して目標面と現況地形データを適切に提示することができる。
【0074】
以上のように構成した本実施の形態の特徴を説明する。
【0075】
(1)上記の実施の形態では、車体本体(例えば、下部走行体101及び上部旋回体102)と、前記車体本体に取り付けられた作業装置103と、前記車体本体及び前記作業装置の姿勢に関する情報および前記作業装置の方位を検出して作業機械姿勢情報として出力する作業機械姿勢検出装置202と、前記車体本体の位置を検出して作業機械位置情報として出力する作業機械位置検出装置201と、施工現場の現況地形を示す現況地形データを取得する現況地形データ取得装置203と、前記施工現場の設計地形を示す設計地形データに基づいて設定される目標面の位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記作業機械位置情報とを用いて、前記目標面と前記作業装置との相対位置の情報を含むガイダンス情報を演算するガイダンス制御装置110と、前記ガイダンス制御装置により演算された前記ガイダンス情報をオペレータに提示するモニタ114とを備えた作業機械において、前記ガイダンス制御装置は、前記作業機械位置情報と前記作業機械姿勢情報と前記目標面の位置情報とに基づいて、前記目標面と前記作業機械とが正対している正対状態であるかどうかを判定し、正対状態であると判定されている場合に前記現況地形データ取得装置によって取得された前記現況地形データを正対地形データ記憶部209に記憶するものとした。
【0076】
これにより、オペレータに対して目標面と現況地形データを適切に提示することができる。
【0077】
(2)また、上記の実施の形態では、上記(1)の作業機械(例えば、油圧ショベル100)において、前記ガイダンス制御装置110は、前記正対地形データ記憶部209に記憶された前記現況地形データと前記目標面の位置情報と前記設計地形データとに基づいて、前記設計地形と前記現況地形との間に位置するように前記目標面の位置を調整するものとした。
【0078】
(3)また、上記の実施の形態では、上記(1)の作業機械(例えば、油圧ショベル100)において、前記ガイダンス制御装置110は、前記ガイダンス情報として、前記目標面と前記作業装置103との相対位置の情報に加え、前記現況地形データを前記モニタ114に表示するものとした。
【0079】
(4)また、上記の実施の形態では、上記(1)の作業機械(例えば、油圧ショベル100)において、前記ガイダンス制御装置110は、位置範囲と第一及び第二角度範囲とを予め設定し、前記目標面と前記車体本体(例えば、下部走行体101及び上部旋回体102)の距離が前記位置範囲内であり、かつ、前記目標面と前記車体本体の位置を結ぶ直線と前記作業装置103が向く方位との角度差及び前記目標面の向く方向との角度差がそれぞれ前記第一及び第二角度範囲内である場合に前記正対状態であると判定するものとした。
【0080】
(5)また、上記の実施の形態では、上記(1)の作業機械(例えば、油圧ショベル100)において、前記ガイダンス制御装置110は、前記現況地形データ及び前記作業機械姿勢情報に基づいて、前記施工現場の現在の地形のうち前記作業装置103によって前記現況地形データ取得装置203による前記現況地形データの取得が遮蔽される領域を遮蔽領域として演算し、前記遮蔽領域に基づいて前記現況地形データの信頼度を演算し、現在、前記正対地形データ記憶部209に記憶されている前記現況地形データの信頼度と前記現況地形データ取得装置で取得した最新の前記現況地形データの信頼度とを比較して信頼度の高い前記現況地形データを前記正対地形データ記憶部209記憶するものとした。
【0081】
<付記>
なお、上記の実施の形態においては、作業腕を有する作業機械として油圧ショベルを例示して説明したが、作業腕を有する作業機械であれば他の作業機械であっても本願発明を適用可能である。
【0082】
また、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0083】
11a,11b…クローラフレーム、12a,12b…クローラ、13a,13b…走行油圧モータ、100…油圧ショベル(作業機械)、101…下部走行体、102…上部旋回体、103…作業装置、104…ブーム、105…アーム、106…バケット、107…ブームシリンダ、108…アームシリンダ、109…バケットシリンダ、110…ガイダンス制御装置、111…運転席、112A,112B,112C…角度センサ、114…モニタ、201…作業機械位置検出装置、202…作業機械姿勢検出装置、203…現況地形データ取得装置、204…出力装置、205…設計地形データ、206…設計地形データ取得部、207…目標面設定部、208…正対判定部、209…正対地形データ記憶部、210…目標面調整部、211…ガイダンス部、212…正対範囲設定部、213…信頼度演算部、300…部分目標面、301…重心位置、302…方向ベクトル、303…現況地形、304…現況地形データ、305…視野範囲、306…遮蔽領域、307…部分目標面、308…作業平面、502…GNSS、503…AHRS、504…ステレオカメラ