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特許7065008X-Y駆動機構及びそれを備えた作業システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】X-Y駆動機構及びそれを備えた作業システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/00 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
G05D3/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018186489
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020057132
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢彰
(72)【発明者】
【氏名】竹本 貴紀
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164791(JP,A)
【文献】特開平11-108141(JP,A)
【文献】特開2003-280744(JP,A)
【文献】特開平5-259263(JP,A)
【文献】特開2000-39920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向に延設されて被作業対象物に連結された第1レールと、
前記第1レールに沿ってX軸方向に連結部を移動させることが可能なX軸駆動機構と、
前記第1レールに直交するY軸方向に延設された第2レールと、
前記第2レール上に配置されて前記第2レールをY軸方向に移動させることが可能な第1Y軸駆動機構と、
前記第2レールに沿って平行に配置された第3レールと、
前記第3レールを前記第2レールに沿って移動させることが可能な第2Y軸駆動機構と、を備えたX-Y駆動機構であって、
前記X-Y駆動機構は、容器内に取り付けられて前記容器内に配置された前記被作業対象物の被作業部に対して作業する際に使用され、
前記容器は、当該容器の外周部に設けられて当該容器内に前記X-Y駆動機構を着脱するのに利用される筒部と、
前記容器の内壁に設置されて、前記第1レールの両端部にそれぞれ設けた保持部を固定することによって、前記X-Y駆動機構を前記被作業対象物内に設置するためのブラケットと、を備えていることを特徴とするX-Y駆動機構。
【請求項2】
前記第1Y軸駆動機構は、ネジ孔を有する雌ネジ部材と、
前記ネジ孔に螺合する雄ネジ部材と、
前記雌ネジ部材または前記雄ネジ部材を回転駆動させる電動モータと、を備えたネジ駆動機構からなり、
前記ネジ駆動機構は、前記電動モータによって前記雌ネジ部材または前記雄ネジ部材を回転駆動させることにより、前記第2レールをY軸方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載のX-Y駆動機構。
【請求項3】
前記第2Y軸駆動機構は、流体が供給されるシリンダと、前記シリンダに供給される流体によってY軸方向に進退する前記第3レールを備えたシリンダ機構からなることを特徴とする請求項1に記載のX-Y駆動機構。
【請求項4】
前記第1レール、前記第2レール及び前記第3レールは、アルミニウム、あるいは、アルミニウム合金によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のX-Y駆動機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX-Y駆動機構によって駆動される作業装置を備えた作業システムであって、
前記第3レールには、前記作業装置を取り付けるための作業装置保持部が設けられていることを特徴とする作業システム。
【請求項6】
前記作業装置は、前記被作業対象物に設けられた複数の被作業部に対して作業を行う作業部と、
前記複数の被作業部に対して前記作業部を進退させる進退機構と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方向に駆動するX-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X軸方向、Y軸方向等の複数の方向に駆動する駆動機構を備えた装置としては、例えば、特許文献1,2,3に記載された微動ステージが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている微動ステージは、制御対象に存在する弾性振動を抑えることにより、制御対象を高精度に位置決めできるように構成されている。
また、特許文献2に記載されているXY微動ステージは、直進の精度に優れ、しかも、高速に位置決めできるように構成されている。
また、特許文献3に記載されている複数軸の位置制御装置は、サーボモータ1個でXYZの3軸の制御軸方向に駆動できるように構成されている。
特許文献1~3に記載の複数軸の位置制御装置は、高精度あるいは高速に位置決めすることができる機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-280744号公報
【文献】特開平5-259263号公報
【文献】特開2000-39920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1~3に記載の複数軸の位置制御装置は、例えば、多孔形状の被作業対象物に対して作業を行う場合に、一つ一つの孔に作業装置を容易に挿入させる機能は備えていない。このようなことから、作業装置を多数の孔等の作業部に容易に挿入させて種々の作業を行わせることができる装置が要望されている。
【0006】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、被作業対象物の複数の被作業部に対して容易にアクセスできるX-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るX-Y駆動機構は、X軸方向に延設されて被作業対象物に連結された第1レールと、前記第1レールに沿ってX軸方向に連結部を移動させることが可能なX軸駆動機構と、前記第1レールに直交するY軸方向に延設された第2レールと、前記第2レール上に配置されて前記第2レールをY軸方向に移動させることが可能な第1Y軸駆動機構と、前記第2レールに沿って平行に配置された第3レールと、前記第3レールを前記第2レールに沿って移動させることが可能な第2Y軸駆動機構と、を備えたX-Y駆動機構であって、前記X-Y駆動機構は、容器内に取り付けられて前記容器内に配置された前記被作業対象物の被作業部に対して作業する際に使用され、前記容器は、当該容器の外周部に設けられて当該容器内に前記X-Y駆動機構を着脱するのに利用される筒部と、前記容器の内壁に設置されて、前記第1レールの両端部にそれぞれ設けた保持部を固定することによって、前記X-Y駆動機構を前記被作業対象物内に設置するためのブラケットと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、X-Y駆動機構によって駆動される作業装置を備えた作業システムであって、前記第3レールには、前記作業装置を取り付けるための作業装置保持部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被作業対象物の複数の被作業部に対して容易にアクセスできるX-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るX-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムの設置状態を示す概略正面図である。
図2】X-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムを示す拡大概略斜視図である。
図3】X-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムを示す拡大概略平面図である。
図4】X-Y駆動機構及びそれを備えた作業システムを示す拡大概略側面図である。
図5】X-Y駆動機構の設置状態を示す要部拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図5を参照して本発明の実施形態にX-Y駆動機構200及びそれを備えた作業システム100を説明する。
まず、X-Y駆動機構200及びそれを備えた作業システム100を説明する前に、X-Y駆動機構200を取り付けて使用される被作業対象物1を説明する。
【0012】
<被作業対象物>
図1に示すように、被作業対象物1は、X-Y駆動機構200が取り付けられて、X-Y駆動機構200を使用して作業が行われる部材であればよく、使用用途、形状、材質等については特に限定されない。
【0013】
被作業対象物1は、例えば、容器11と、容器11内に収められた熱交換器6を備え、熱交換器6は上面視して多孔形状を呈しており、その孔1つ1つが検査される被検査部1a(被作業部)である。
【0014】
容器11は、熱交換器6(被作業対象物1)を検査する際に用いるX-Y駆動機構200が、検査時に、その内部に設置される。
筒部12は、作業者が容器11内に手を入れて、X-Y駆動機構200の着脱作業等を行うための部位である。筒部12は、例えば、容器11の外周部に設けられた円筒形状の部材からなる。
【0015】
<作業システム>
作業システム100は、例えば、熱交換器6を検査する作業を行う作業装置300と、作業装置300を水平方向に自由に移動させることが可能なX-Y駆動機構200と、を備えた装置である。
【0016】
<作業装置>
図1に示すように、作業装置300は、前記したように被作業部1a(被検査部)である熱交換器6の検査を定期的行う検査装置である。作業装置300は、図2に示すように、複数の被作業部1aに対して作業を行う作業部51と、複数の被作業部1aに対して作業部51を進退させる進退機構52と、複数の位置決めピン53と、基台54と、ゴムブロック55と、を備えている。作業装置300は、作業装置保持部45によって第3レール43に取り付けられている。そして、作業装置300は、X-Y駆動機構200によって前後左右の水平方向に自由に移動可能となっている。
【0017】
図1及び図4に示すように、作業部51は、例えば、複数の熱交換器6内の表面の検査を行う検査装置である。
進退機構52は、筒状の熱交換器6内に作業部51を進退させるための装置である。進退機構52は、作業部51を下降あるいは上昇させることが可能な装置であればよく、例えば、Z軸方向(上下方向)に駆動するロッドレスのエアシリンダ装置からなる。進退機構52は、作業部51及び位置決めピン53を保持する基台54にフローティング用のゴムブロック55を介在してその上側に設置されている。
位置決めピン53は、筒状の熱交換器6(図1参照)の上側開口部に係合する円錐形状部位を下端部に有する4本のピンからなる。位置決めピン53は、コイルばねを備えて上下方向に弾性的に伸縮するように構成されている。
【0018】
<X-Y駆動機構>
図2に示すように、X-Y駆動機構200は、作業装置300をX方向(前後方向)及びY方向(左右方向)に移動させるための駆動装置である。X-Y駆動機構200は、X軸駆動機構2と、第1Y軸駆動機構3と、第2Y軸駆動機構4と、を備えて構成されている。
【0019】
X軸駆動機構2は、後端の連結部26に設けた第1Y軸駆動機構3及び第2Y軸駆動機構4をX軸方向(前後方向)に移動させるための装置である。X軸駆動機構2は、第1Y軸駆動機構3をX軸方向に移動させることが可能な装置であれば、特に構造等は限定されない。X軸駆動機構2は、その一例を挙げると、雌ネジ部材21と、雄ネジ部材22と、電動モータ23と、第1レール24と、を備えて構成されたネジ駆動機構20からなる。
【0020】
図2に示すように、ネジ駆動機構20は、雄ネジ部材22を回転駆動させることによって、連結部26を介在して雌ネジ部材21が設けられた連結部26を介在して第2レール34をX軸方向(前後方向)に移動させることが可能である。
【0021】
図2及び図3に示すように、雌ネジ部材21は、雄ネジ部材22が螺合する部材であり、第1レール24上に設置されている。
雄ネジ部材22は、X軸方向に延設されて外周部にネジ山が形成された棒状部材である。雄ネジ部材22は、第1レール24に沿って平行に配置されて、前端部が電動モータ23のロータに噛合した歯車減速機構(図示省略)に噛合され、後端部が第1Y軸駆動機構3の第2レール34に連結された雌ネジ部材21に噛合した状態に配置されている。雄ネジ部材22は、例えば、台形ネジによって形成されているので、X軸駆動機構2を台形ネジ駆動により全位置に正確に移動させることが可能である。
電動モータ23は、歯車減速機構(図示省略)を介在して雄ネジ部材22を減速回転させる駆動源である。電動モータ23は、第1レール24上に設置されている。
【0022】
前記した第1レール24は、X軸方向に延設された左右一対の部材からなる。第1レール24は、両端部にそれぞれ設けた保持部25を容器11に設置されたブラケット15に締結することによって、容器11(図5参照)の内壁に水平に架設されている。即ち、X-Y駆動機構200(X軸駆動機構2)は、図5に示すように、保持部25をブラケット15に固定することによって、被作業対象物1内に設置されている。
【0023】
図5は、X-Y駆動機構の設置状態を示す要部拡大概略断面図である。ここで符号14は壁板部であり、符号15はブラケットである。一方のブラケットは容器11の内壁に固定され、もう一方のブラケット15は壁板部14に固定されている。この2つのブラケット15,15によって、X-Y駆動機構200の第1レール24が容器11の内部に固定される。
【0024】
図2及び図3に示すように、保持部25は、X軸駆動機構2を被作業対象物1(容器11の内部)に固定するときの座などを構成する部材である。保持部25には、被作業対象物1(容器11の内部)に固定するためのホールクランプ(図示省略)と、第1Y軸駆動機構3に連結するためのホールクランプ(図示省略)と、が設けられている。
【0025】
連結部26は、第1レール24を第1Y軸駆動機構3の第2レール34上に移動可能に連結するための部材である。
取っ手27は、左右一対の第1レール24の前端部及び後端部をそれぞれ連結して保持する部材である。取っ手27は、作業者が手で掴むときの把手の機能を備えている。
架設部材28は、左右一対の第1レール24上に架設されて、左右の第1レール24を等間隔に保持するための部材である。架設部材28は、第1レール24上に適宜な間隔で複数設けられている。
【0026】
<第1Y軸駆動機構>
図2及び図3に示すように、第1Y軸駆動機構3は、第2レール34を第3レール43に沿って移動させることが可能な駆動装置である。第1Y軸駆動機構3は、第2レール34をY軸方向(左右方向)に移動させることが可能な装置であれば、特に構造等は限定されない。第1Y軸駆動機構3は、その一例を挙げると、雌ネジ部材31と、雄ネジ部材32と、電動モータ33と、第2レール34と、取っ手35と、を備えて構成されたネジ駆動機構30からなる。
【0027】
ネジ駆動機構30は、電動モータ33によって雌ネジ部材31または雄ネジ部材32を回転駆動させることにより、第2レール34をY軸方向にY1ストローク(図1参照)移動させることが可能な台形ネジ駆動装置である。実施形態では、雄ネジ部材32を回転駆動させる場合の一例を説明する。
雌ネジ部材31は、ネジ孔を有する雌ネジ形状の部材からなる。雌ネジ部材31は、前後の第2レール34間に固定されている。
【0028】
雄ネジ部材32は、雌ネジ部材31のネジ孔に螺合する雄ネジ形状の部材である。雄ネジ部材32は、前記した前後一対の第2レール34間に回転自在に平行に配置されて、左右方向に延設されている。雄ネジ部材32は、雄ネジ部材22と同様、例えば、台形ネジによって形成されている。
電動モータ33は、例えば、雄ネジ部材32を回転駆動させて、雌ネジ部材31及び第2レール34をY軸方向(左右方向)に移動させるための駆動源である。
【0029】
図2及び図3に示すように、第2レール34は、第3レール43の上側に、第3レール43に沿って平行に配置されていると共に、前記した第1レール24に対して直交する方向に延設されたレールである。
【0030】
<第2Y軸駆動機構>
図2に示すように、第2Y軸駆動機構4は、第3レール43をY軸方向(左右方向)に移動させることが可能な駆動装置である。第2Y軸駆動機構4は、第3レール43をY軸方向に移動させることが可能な装置であれば、特に構造等は限定されない。第2Y軸駆動機構4は、その一例を挙げると、ロッドレスのシリンダ41と、スライダ42と、第3レール43と、を備えて構成されたシリンダ機構40からなる。第2Y軸駆動機構4は、底部13(図1参照)の上方に左右方向(Y軸方向)に水平に配置されている。
【0031】
シリンダ機構40は、シリンダ41内に供給された圧縮空気によって、スライダ42を移動させることで、スライダ42に連結された作業装置300をY軸方向にY2ストローク(図1参照)移動させることが可能なエアシリンダ機構からなる。第2Y軸駆動機構4は、シリンダ機構40の進退駆動によって、第3レール43を予め設定した距離からなるY2ストローク(図1参照)を直線往復移動させることが可能である。なお、シリンダ機構40は、圧縮空気によって駆動される装置に限定されず、油圧等の流体によるものであってもよい。
【0032】
シリンダ41は、流体が供給されるシリンダケースからなる。
スライダ42は、第3レール43の左端部と右端部との間をY2ストローク(図1参照)往復直線移動可能に配置されている。
【0033】
第3レール43は、第1レール24に直交するY軸方向に延設された板状の部材からなる。第3レール43の端部下面には、シリンダ41を介在して作業装置300が取り付けられている。前記した第1レール24、第2レール34及び第3レール43は、アルミニウム、あるいは、アルミニウム合金によって形成されている。
作業装置連結部材44は、第2Y軸駆動機構4と作業装置300とを連結する部材である。
【0034】
≪作用≫
次に、図1図4を参照しながら本発明の実施形態に係るX-Y駆動機構200及びそれを備えた作業システム100の作用を説明する。
【0035】
図1及び図2に示すように、作業システム100は、X-Y駆動機構200(X軸駆動機構2、第1Y軸駆動機構3及び第2Y軸駆動機構4)を備えていることで、作業装置300をX軸方向及びY軸方向に移動させることが可能である。これにより、作業システム100は、作業装置300を多数配置された熱交換器6の上に正確に移動させることができる。
【0036】
さらに、作業装置300は、作業部51(検査部)をZ軸方向(上下方向)に進退可能な進退機構52を備えていることによって、作業部51を筒状の熱交換器6内に挿入させて、熱交換器6内の検査を行ったり、熱交換器6内の種々の作業を容易に行ったりすることを可能にする。
【0037】
このように、本発明のX-Y駆動機構200は、図2に示すように、X軸方向に延設されて被作業対象物1に連結された第1レール24と、第1レール24に沿ってX軸方向に連結部26を移動させることが可能なX軸駆動機構2と、第1レール24に直交するY軸方向に延設された第2レール34と、第2レール34上に配置されて第2レール34をY軸方向に移動させることが可能な第1Y軸駆動機構3と、第2レール34に沿って平行に配置された第3レール43と、第3レール43を第2レール34に沿って移動させることが可能な第2Y軸駆動機構4と、を備えている。
【0038】
これにより、X-Y駆動機構200は、X軸駆動機構2と、第1Y軸駆動機構3と、第2Y軸駆動機構4と、を備えていることで、X軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)の平面方向に対して四方八方に水平に移動させることができる。X-Y駆動機構200は、被作業対象物1の複数の被作業部1aに対して容易にアクセスできるように移動させることができる。また、X-Y駆動機構200は、第1Y軸駆動機構3と、第2Y軸駆動機構4とを備えていることで、第1Y軸駆動機構3によってY1ストローク(図1参照)Y軸方向に移動させることができると共に、第2Y軸駆動機構4によってY2ストローク(図1参照)Y軸方向に移動させることができる。このため、X-Y駆動機構200は、Y軸方向に合計Y3ストローク(図1参照)移動させることができ、左右方向の移動範囲が広い。
【0039】
また、第1Y軸駆動機構3は、ネジ孔を有する雌ネジ部材31と、ネジ孔に螺合する雄ネジ部材32と、雌ネジ部材31または雄ネジ部材32を回転駆動させる電動モータ33と、を備えたネジ駆動機構30からなり、ネジ駆動機構30は、電動モータ33によって雌ネジ部材31または雄ネジ部材32を回転駆動させることにより、第2レール34をY軸方向に移動させることが好ましい。
これにより、第1Y軸駆動機構3は、電動モータ33を駆動させることによって、雌ネジ部材31または雄ネジ部材32を回転駆動して、第2レール34をY軸方向の全位置に正確に移動させることができる。
【0040】
また、第2Y軸駆動機構4は、流体が供給されるシリンダ41と、シリンダ41に供給される流体によってY軸方向に進退する第3レール43を備えたシリンダ機構40からなることが好ましい。
これにより、第2Y軸駆動機構4は、シリンダ機構40に流体を供給することによって、第3レール43をY軸方向に移動させることができる。
【0041】
また、第1レール24、第2レール34及び第3レール43は、アルミニウム、あるいは、アルミニウム合金によって形成されていることが好ましい。
これにより、第1レール24、第2レール34及び第3レール43は、軽いアルミ系の金属で形成されているので、軽量化を図ることができる。
【0042】
また、本発明は、X-Y駆動機構200によって駆動される作業装置300を備えた作業システム100であって、第3レール43には、作業装置300を取り付けるための作業装置保持部45が設けられていることが好ましい。
これにより、作業システム100は、X-Y駆動機構200によって前後左右方向に底面的に移動させることが可能な第3レール43に、作業装置300が取り付けられているため、作業装置300を360度の方向に水平に移動させることができる。
【0043】
また、作業装置300は、被作業対象物1に設けられた複数の被作業部1aに対して作業を行う作業部51と、複数の被作業部1aに対して作業部51を進退させる進退機構52と、を備えていることが好ましい。
これにより、作業装置300は、進退機構52を備えていることで、360度の方向に水平に移動させること可能なX-Y駆動機構200に対して、作業部51を直交する方向に進退させることができる。このため、作業装置300は、垂直方向に多数配置された筒状部材からなる被作業部1a内を作業する場合、作業部51を被作業部1a内に容易に挿入させて作業を行わせることができる。
【0044】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0045】
前記実施形態で説明したX軸駆動機構2、第1Y軸駆動機構3及び第2Y軸駆動機構4は、ネジ駆動機構20,30またはシリンダ機構40の場合を例に挙げて説明したが、第2レール34あるいは第3レール43を進退させることができるものであればよい。例えば、X軸駆動機構2、第1Y軸駆動機構3及び第2Y軸駆動機構4は、いずれもシリンダ機構40で構成してもよいし、いずれもネジ駆動機構20,30で構成してもよいし、あるいは、他の電動歯車機構を使用したものであってもよい。
【0046】
例えば、X軸駆動機構2、第1Y軸駆動機構3及び第2Y軸駆動機構4は、同じエアシリンダ機構によって構成することで、電動式や油圧式の装置を比較して、軽量化とコストダウンとを図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 被作業対象物
1a 被作業部
2 X軸駆動機構
3 第1Y軸駆動機構
4 第2Y軸駆動機構
24 第1レール
26 連結部
30 ネジ駆動機構
31 雌ネジ部材
32 雄ネジ部材
33 電動モータ
34 第2レール
40 シリンダ機構
41 シリンダ
43 第3レール
51 作業部
52 進退機構
100 作業システム
200 X-Y駆動機構
300 作業装置
図1
図2
図3
図4
図5