IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7065020車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム
<>
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図1
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図2
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図3
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図4
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図5
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図6
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図7
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図8
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図9
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図10
  • 特許-車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】車両検出装置、車両検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220428BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20220428BHJP
   G08G 1/015 20060101ALI20220428BHJP
   G01B 11/04 20060101ALI20220428BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G08G1/04 A
G08G1/015 A
G01B11/04 Z
G01V8/20 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018243606
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020106329
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】恋塚 葵
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓也
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-515116(JP,A)
【文献】特開平10-170636(JP,A)
【文献】特開2018-101275(JP,A)
【文献】特開2001-034886(JP,A)
【文献】特開2018-151953(JP,A)
【文献】特表2005-513636(JP,A)
【文献】特開2005-069838(JP,A)
【文献】米国特許第05896190(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0278365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0222639(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1901747(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G08G 1/04
G08G 1/015
G01B 11/04
G01V 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出する第1測距センサと、
前記第1位置から車両走行方向上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出する第2測距センサと、
前記第1測距センサが検出した前記第1距離と、前記第2測距センサが検出した前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出する車両検出部と
を備え、
前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され
前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、車両検出装置。
【請求項2】
前記第1測距センサは第1周期で光を照射し、前記第2測距センサは第2周期で光を照射し、
前記車両検出部は、回数閾値以上連続して、前記第1距離と前記第2距離とが距離閾値以下となる場合に、前記車路を通過する車両を検出したと判定する、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
前記第1測距センサが検出した前記車両の前端部との間の距離である先端部間第1距離と前記先端部間第1距離を検出した時刻である先端部間距離検出第1時刻と、前記第2測距センサが検出した前記車両の前端部との間の距離である先端部間第2距離と前記先端部間第2距離を検出した時刻である先端部間距離検出第2時刻と、前記第1測距センサが検出した前記車両の後端部との間の距離である後端部間第1距離と前記後端部間第1距離を検出した時刻である後端部間距離検出第1時刻と、前記第2測距センサが検出した前記車両の後端部との間の距離である後端部間第2距離と前記後端部間第2距離を検出した時刻である後端部間距離検出第2時刻とに基づいて、前記車路を通過する車両の車長を導出する車長導出部
をさらに備える、請求項1又は請求項に記載の車両検出装置。
【請求項4】
前記車長導出部は、前記第1距離の時間変化に基づいて、前記先端部間第1距離と前記先端部間距離検出第1時刻とを導出し、前記第2距離の時間変化に基づいて、前記後端部間第2距離と前記後端部間距離検出第2時刻とを導出する、請求項に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記車長導出部は、前記車両検出部によって回数閾値以上連続して、前記第1距離と前記第2距離とが距離閾値以下となる場合に、前記距離閾値以下となる検出時刻判定閾値に基づいて、前記先端部間第1距離と前記先端部間距離検出第1時刻とを導出し、前記検出時刻判定閾値に基づいて、前記後端部間第2距離と前記後端部間距離検出第2時刻とを導出する、請求項に記載の車両検出装置。
【請求項6】
車両検出装置が実行する車両検出方法であって、
第1測距センサが、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出するステップと、
第2測距センサが、前記第1位置から車両走行方向上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出するステップと、
前記第1距離と、前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出するステップと
を有し、
前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され
前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、車両検出方法。
【請求項7】
車両検出装置のコンピュータに、
第1測距センサが、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出するステップと、
第2測距センサが、前記第1位置から車両走行方向上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出するステップと、
前記第1距離と、前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出するステップと
を実行させ、
前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され
前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検出装置、車両検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車長を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、車長検出装置は、車路において車両走行方向の第1位置における車両の存在を検出する第1センサと、第1位置から車両走行方向下流側に所定距離をおいた第2位置における車両の存在を検出する第2センサと、第1位置と第2位置との離間距離、離間距離を車両が移動するのに要した時間、及び第1センサもしくは第2センサが車両を検出していた時間に基づいて、車長を算出する処理装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-180611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した車長検出装置は、車両走行方向の第1位置における車両の存在を検出する第1センサと、第1位置から車両走行方向下流側に所定距離をおいた第2位置における車両の存在を検出する第2センサとを備えるため、広い設置スペースが必要である。
車長検出装置は、限られたスペースに設置されることが多いため、小型化されたものであるのが好ましい。さらに、車長検出装置を設置する環境には、電力を安定的に確保できることが、要求される。さらに、多数の地点に車長検出装置を設置する場合が多いことから、低コストが要求される。また、車長検出装置を設置する場所によっては、センサ前を歩行者などが通過する可能性があるため、車長検出装置は、車両と車両以外の物体とを区別できることが必要である。以上は、車長検出装置に限らず、車両を検出する車両検出装置にも当てはまる。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、省スペースに設置でき、且つ誤検知を低減できる車両検出装置、車両検出方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出する第1測距センサと、前記第1位置から車両走行方向の上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出する第2測距センサと、前記第1測距センサが検出した前記第1距離と、前記第2測距センサが検出した前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出する車両検出部とを備え、前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され、前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、車両検出装置である。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の車両検出装置において、前記第1測距センサは第1周期で光を照射し、前記第2測距センサは第2周期で光を照射し、前記車両検出部は、回数閾値以上連続して、前記第1距離と前記第2距離とが距離閾値以下となる場合に、前記車路を通過する車両を検出したと判定する
(3)本発明の一態様は、上記(1)又は上記(2)に記載の車両検出装置において、前記第1測距センサが検出した前記車両の前端部との間の距離である先端部間第1距離と前記先端部間第1距離を検出した時刻である先端部間距離検出第1時刻と、前記第2測距センサが検出した前記車両の前端部との間の距離である先端部間第2距離と前記先端部間第2距離を検出した時刻である先端部間距離検出第2時刻と、前記第1測距センサが検出した前記車両の後端部との間の距離である後端部間第1距離と前記後端部間第1距離を検出した時刻である後端部間距離検出第1時刻と、前記第2測距センサが検出した前記車両の後端部との間の距離である後端部間第2距離と前記後端部間第2距離を検出した時刻である後端部間距離検出第2時刻とに基づいて、前記車路を通過する車両の車長を導出する車長導出部をさらに備える。
)本発明の一態様は、上記()に記載の車両検出装置において、前記車長導出部は、前記第1距離の時間変化に基づいて、前記先端部間第1距離と前記先端部間距離検出第1時刻とを導出し、前記第2距離の時間変化に基づいて、前記後端部間第2距離と前記後端部間距離検出第2時刻とを導出する。
)本発明の一態様は、上記()に記載の車両検出装置において、前記車長導出部は、前記車両検出部によって回数閾値以上連続して、前記第1距離と前記第2距離とが距離閾値以下となる場合に、前記距離閾値以下となる検出時刻判定閾値に基づいて、前記先端部間第1距離と前記先端部間距離検出第1時刻とを導出し、前記検出時刻判定閾値に基づいて、前記後端部間第2距離と前記後端部間距離検出第2時刻とを導出する。
【0006】
)本発明の一態様は、車両検出装置が実行する車両検出方法であって、第1測距センサが、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出するステップと、第2測距センサが、前記第1位置から車両走行方向上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出するステップと、前記第1距離と、前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出するステップとを有し、前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され、前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、車両検出方法である。
【0007】
(7)本発明の一態様は、車両検出装置のコンピュータに、第1測距センサが、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の第1端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出するステップと、第2測距センサが、前記第1位置から車両走行方向上流側又は下流側の前記車両の第2端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出するステップと、前記第1距離と、前記第2距離とに基づいて、前記車路を通過する車両を検出するステップとを実行させ、前記第1測距センサと、前記第2測距センサとが、前記第1測距センサの放射方向と前記第2測距センサの放射方向とが所定の角度をなすように設置され、前記所定の角度は、前記所定の角度をθとし、前記第1測距センサの放射角度をΦとし、前記第2測距センサの放射角度をΦとし、検出対象の車両の最短の車長をLcmin、車両の最高速度をVmax、前記車両と前記第1測距センサ又は前記第2測距センサとの垂直距離の最大値をHmax、前記第1測距センサ又は前記第2測距センサの測定間隔時間をTとした場合に、
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax}
によって表される、プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、省スペースに設置でき、且つ誤検知を低減できる車両検出装置、車両検出方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の車両検出システムの一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態の車両検出システムを構成する車両検出装置の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態の車両検出装置の測距センサの設置位置の第一例を示す図である。
図4】車両検出情報の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の車両検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態の車両検出装置の測距センサの設置位置の第二例を示す図である。
図7】本発明の実施形態の変形例の車両検出システムを構成する車両検出装置の一例を示す図である。
図8】車長関連情報の一例を示す。
図9】本発明の実施形態の変形例の車両検出装置の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態の変形例の車両検出装置が車長を導出する処理の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態の変形例の車両検出装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本実施形態の車両検出装置、車両検出方法、及びプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
(実施形態)
(車両検出システム)
図1は、本発明の実施形態の車両検出システムの一例を示す図である。本実施形態の車両検出システム1は、車両検出装置100と、外部記憶装置60とを備える。これらの装置は、通信網50を介して互いに、接続される。通信網50は、例えば、無線基地局、Wi-Fiアクセスポイント、通信回線、プロバイダ、インターネットなどを含む。なお、通信網50は、一部にローカルなネットワークを含んでもよい。
車両検出装置100は、二個の測距センサ(第1測距センサ、第2測距センサ)を備える。車両検出装置100は、第1測距センサが照射する光(ビーム)と第2測距センサが照射する光とが車路から離れた上を通過するように設置される。車両検出装置100は、第1測距センサが照射する光の方向と第2測距センサが照射する光の方向とのなす角度が2θとなるように設置される。第1測距センサが第1周期で照射する光の方向と第2測距センサが第2周期で照射する光の方向とのなす角度2θについては、後述する。第1測距センサと第2測距センサとは、互いに異なる方向の対象物との間の距離を測定する。
【0012】
車両検出装置100は、第1測距センサが測定した第1距離を示す情報と、第2測距センサが測定した第2距離を示す情報とに基づいて、車両を検出する。具体的には、車両検出装置100は、第1距離を示す情報と第2距離を示す情報とに基づいて、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる状態が、回数閾値以上連続して継続したことを検出した場合に、車両を検出したと判定する。つまり、車両検出装置100は、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる状態が、回数閾値以上連続して継続したことを検出した場合に、車両が、車路を通過したと判定する。ここで、距離閾値の一例は、設置環境に依存するが、例えば、400cm~600cm程度が好ましい。
車両検出装置100は、車両が、車路を通過したと判定した場合に、第1測距センサと、第2測距センサとのうち、いずれの測距センサが先に車両を検出したかに基づいて、車両の走行方向を判定する。
車両検出装置100は、車両を検出した場合に、車両を検出したことを識別することを示す情報である車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けて記憶する。車両検出装置100は、記憶した車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けた情報を、外部記憶装置60に送信する。次に、車両検出装置100について、詳細に説明する。
【0013】
(車両検出装置)
図2は、本発明の実施形態の車両検出システムを構成する車両検出装置の一例を示す図である。
車両検出装置100は、測距センサ10と、情報処理部20と、記憶部30と、通信部40とを備える。情報処理部20と、測距センサ10と、記憶部30と、通信部40とは、内部バスによって接続され、互いに情報のやり取りができるように構成されている。
測距センサ10は、複数のセンサを備える。ここでは、一例として、測距センサ10が第1測距センサ11と、第2測距センサ12との二つのセンサを備える場合について説明を続ける。第1測距センサ11と、第2測距センサ12とは、地表から所定の高さで、且つ第1測距センサ11が照射する光の方向と第2測距センサ12が照射する光の方向とのなす角度が2θ(<180度)となるように設置される。本実施形態では、一例として、第1測距センサ11が照射する光と第2測距センサ12が照射する光とが、地表に対して水平になるように、車両検出装置100が設置される場合について説明を続ける。第1測距センサ11が照射する光と、第2測距センサ12が照射する光との両方は、車両が走行する走行ルート(車路)の上を通過する。所定の高さの一例は、20cm~40cm程度である。
【0014】
第1測距センサ11と、第2測距センサ12との各々は、光源を備え、その光源から照射した光が、対象物にあたることによって反射された光である反射光を受光素子で受光する。第1測距センサ11は、第1周期で光を照射し、受光素子で受光した反射光に基づいて第1測距センサ11と対象物との間の第1距離を導出する。例えば、第1測距センサ11は、距離変化による受光素子の結像位置を距離に換算する三角測距式によって第1距離を導出してもよいし、光が照射された時間から受光素子が受光されるまでの時間を測定し、測定した時間差を距離に換算するタイムオブフライト式によって第1距離を導出してもよい。第1測距センサ11は、第1距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。
第2測距センサ12は、第2周期で光を照射し、受光素子で受光した反射光に基づいて第2測距センサ12と対象物との間の第2距離を導出する。第1周期と第2周期とは、同じであり、且つ第1測距センサ11が光を照射するタイミングと、第2測距センサ12が光を照射するタイミングとは同期している。例えば、第2測距センサ12は、距離変化による受光素子の結像位置を距離に換算する三角測距式によって第2距離を導出してもよいし、光が照射された時間から受光素子が受光されるまでの時間を測定し、測定した時間差を距離に換算するタイムオブフライト式によって第2距離を導出してもよい。第2測距センサ12は、第2距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。
【0015】
ここで、第1測距センサ11が照射する光の方向と第2測距センサ12が照射する光の方向とのなす角度2θについて説明する。
角度2θは、車両検出部21が車両の検出を行う上で適切に設定する必要がある。角度2θが大きすぎる場合、走行ルート上で、第1測距センサ11が照射する光の位置と第2測距センサ12が照射する光の位置との距離が長くなるため、走行ルートを、車両が走行した場合に、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となることがない。このため、走行ルートを、車両が走行した場合でも、車両検出部21が、車両が走行ルートを通過したことを判定できない。
逆に、角度2θが小さすぎる場合、走行ルート上で、第1測距センサ11が照射する光の位置と第2測距センサ12が照射する光の位置との距離が短くなるため、走行ルートを、歩行者などの車両よりも全長の短い物体が通過した場合でも、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる。このため、全長の短い物体が走行ルートを通過した場合でも、車両が通過したと誤判定してしまう。
そこで、以下に示すように、第1測距センサ11が照射する光の方向と第2測距センサ12が照射する光の方向とのなす角度2θを設定する。
【0016】
図3は、本発明の実施形態の車両検出装置の測距センサの設置位置の第一例を示す図である。図3に示される例では、走行ルートに垂直な方向を基準とした場合に、第1測距センサ11が照射する光の方向は、時計回りに角度θであり、第2測距センサ12が照射する光の方向は、反時計回りに角度θである。
図3に示すように、第1測距センサ11の放射角度をΦとし、第2測距センサ12の放射角度をΦとする。つまり、第1測距センサ11のレーザー照射口の法線方向を基準とした場合に、その基準から時計回りに角度Φと、反時計回りに角度-Φとの範囲で、レーザー光が照射される。また、第2測距センサ12のレーザー照射口の法線方向を基準とした場合に、その基準から時計回りに角度Φと、反時計回りに角度-Φとの範囲で、レーザー光が照射される。
また、検出対象として、想定される最も車長の短い車両70の車長をLcmin、想定される車両70の最高速度をVmax、走行ルートを通過する車両70の車両検出装置100からの最長垂直距離をHmax、第1測距センサ11と第2測距センサ12との各々がレーザーを照射することによって測距する時間間隔である測定間隔時間をTとする。
式(1)に基づいて角度θを設定することによって、車両70が、走行ルートを通過した場合に、通過した車両を正しく車両と判定しつつ、角度2θを最大にできる。
【0017】
θ=Φ+Arctan{(Lcmin-Vmax×T)/2×Hmax} (1)
【0018】
この場合、全長Lh(Lh<Lcmin)の車両と車両以外の物体は、車路に対して平行に走行する場合に、測距センサ10からの走行ルートに垂直な方向沿った垂直距離がLh/2×tan(θ-Φ)より離れていれば車両と判定されない。図2に戻り説明を続ける。
【0019】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部30には、情報処理部20により実行されるプログラム31と、アプリ32とが記憶される。さらに、記憶部30には、車両検出情報33が記憶される。
プログラム31は、例えば、オペレーティングシステムであり、ユーザやアプリケーションプログラムとハードウェアの中間に位置し、ユーザやアプリケーションプログラムに対して標準的なインターフェースを提供すると同時に、ハードウェアなどの各リソースに対して効率的な管理を行う。
アプリ32は、第1測距センサ11に、対象物と第1測距センサ11との間の距離である第1距離を測定させる。アプリ32は、第2測距センサ12に、対象物と第2測距センサ12との間の距離である第2距離を測定させる。アプリ32は、車両検出装置100に、第1測距センサが測定した第1距離を示す情報と、第2測距センサが測定した第2距離を示す情報とに基づいて、車両を検出させる。アプリ32は、車両検出装置100に、第1測距センサが第1距離を測定した時刻である第1時刻と、第2測距センサが第2距離を測定した時刻である第2時刻とに基づいて、車両の走行方向を導出させる。アプリ32は、車両検出装置100に、車両検出識別情報を生成させ、生成させた車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けて記憶させる。アプリ32は、車両検出装置100に、記憶させた車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けた情報を、外部記憶装置60に送信させる。
【0020】
(車両検出情報)
車両検出情報33は、車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けたテーブル形式の情報である。
図4は、車両検出情報の一例を示す図である。図4に示す例では、車両検出識別情報「A0001」と、検出日時「**月**日**時**分」と、走行方向「右→左」が関連付けられ、車両検出識別情報「A0002」と、検出日時「〇〇月〇〇日〇〇時〇〇分」と、走行方向「左→右」が関連付けられる。図2に戻り説明を続ける。
情報処理部20の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部30に格納されたプログラム31とアプリ32とを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部20の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部20は、例えば、車両検出部21と、記憶処理部23とを有する。
車両検出部21は、第1測距センサ11が測定した第1距離を示す情報と、第2測距センサ12が測定した第2距離を示す情報とを取得し、取得した第1距離を示す情報と、第2距離を示す情報とに基づいて、車両を検出する。車両検出部21は、第1距離が距離閾値未満である場合には、第1測距センサ11の前に物体が存在すると判定する。車両検出部21は、第2距離が距離閾値未満である場合には、第2測距センサ12の前に物体が存在すると判定する。車両検出部21は、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる状態が、回数閾値以上連続して継続したことを検出した場合に、車両が存在していたと判定する。つまり、車両検出部21は、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる状態が、回数閾値以上連続して継続したことを検出した場合に、車両が走行ルート(車路)を通過したと判定する。
【0021】
車両検出部21は、車両が走行ルート(車路)を通過したと判定した場合に、第1測距センサ11が第1距離を測定した時刻である第1時刻と、第2測距センサ12が第2距離を測定した時刻である第2時刻とに基づいて、車両の走行方向を導出させる。具体的には、車両検出部21は、第1時刻が第2時刻より前である場合には、車両の走行方向を、第1測距センサ11の設置位置から第2測距センサ12の設置位置へ向かう方向(図3では、左方向)とする。つまり、車両検出部21は、第1距離と第2距離とのうち、第1距離が第2距離よりも、先に距離閾値未満となり、その後第1距離が第2距離よりも、先に距離閾値以上となった場合には、第1測距センサ11から第2測距センサ12の方向に、車両が走行していると判定する。
また、車両検出部21は、第2時刻が第1時刻より前である場合には、車両の走行方向を、第2測距センサ12の設置位置から第1測距センサ11の設置位置へ向かう方向(図3では、右方向)とする。つまり、車両検出部21は、第2距離と第1距離とのうち、第2距離が第1距離よりも、先に距離閾値未満となり、その後第2距離が第1距離よりも、先に距離閾値以上となった場合には、第2測距センサ12から第1測距センサ11の方向に、車両が走行していると判定する。
車両検出部21は、車両が走行ルートを通過したと判定した場合に、車両検出識別情報を生成し、生成した車両検出識別情報と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けた車両検出情報を、記憶処理部23に出力する。
記憶処理部23は、車両検出部21が出力した車両検出情報を取得し、取得した車両検出情報を、記憶部30の車両検出情報33に記憶する。記憶処理部23は、取得した車両検出情報を含み、外部記憶装置60をあて先とする車両検出通知情報を作成し、作成した車両検出通知情報を、通信部40に出力する。
通信部40は、記憶処理部23が出力した車両検出通知情報を取得し、取得した車両検出通知情報を、外部記憶装置60に送信する。
【0022】
(車両検出装置の動作)
図5は、本発明の実施形態の車両検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、一例として、車両検出装置100が、第1測距センサ11の設置位置から第2測距センサ12の設置位置へ向かう方向(図3の左方向)に車両が通過したか否かを判定する処理を示す。
(ステップS1)
情報処理部20の車両検出部21は、カウント値をリセットする。
(ステップS2)
第1測距センサ11は、第1距離を検出し、検出した第1距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。情報処理部20の車両検出部21は、第1測距センサ11が出力した第1距離を示す情報を取得し、取得した第1距離を示す情報に基づいて、第1距離が距離閾値以下であるか否かを判定することによって、距離閾値以下の第1距離を測定したか否かを判定する。車両検出部21は、距離閾値以下の第1距離を測定していないと判定した場合には、ステップS1に戻る。
(ステップS3)
第2測距センサ12は、第2距離を検出し、検出した第2距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。情報処理部20の車両検出部21は、距離閾値以下の第1距離を測定したと判定した場合には、第2測距センサ12が出力した第2距離を示す情報を取得し、取得した第2距離を示す情報に基づいて、第2距離が距離閾値以下であるか否かを判定することによって、距離閾値以下の第2距離を測定したか否かを判定する。車両検出部21は、距離閾値以下の第2距離を測定していないと判定した場合には、ステップS1に戻る。
(ステップS4)
車両検出部21は、距離閾値以下の第2距離を測定したと判定した場合には、カウント値を増加させる。
(ステップS5)
車両検出部21は、カウント値が、回数閾値以上であるか否かを判定する。車両検出部21が、回数閾値以上でないと判定した場合に、ステップS2に戻る。
(ステップS6)
車両検出部21は、カウント値が回数閾値以上であると判定した場合に、車両が通過したと判定する。
【0023】
図5は、一例として、車両検出装置100が、第1測距センサ11の設置位置から第2測距センサ12の設置位置へ向かう方向に車両が通過したか否かを判定する場合について示したが、ステップS2とステップS3とを入れ替えることによって、車両検出装置100が、第2測距センサ12の設置位置から第1測距センサ11の設置位置へ向かう方向(図3の右方向)に車両が通過したか否かを判定することができる。
前述した実施形態では、角度2θの設定例で、走行ルートに垂直な方向を基準とした場合に、第1測距センサ11が照射する光の方向が、時計回りに角度θであり、第2測距センサ12が照射する光の方向が、反時計回りに角度θである場合について説明したが、この例に限られない。例えば、走行ルートに垂直な方向を基準とした場合に、第1測距センサ11が照射する光の方向が、時計回りに角度θ+αであり、第2測距センサ12が照射する光の方向が、反時計回りに角度θ-αである場合についても適用できる。
図6は、本発明の実施形態の車両検出装置の測距センサの設置位置の第二例を示す図である。
図3と同様に、第1測距センサ11の放射角度をΦとし、第2測距センサ12の放射角度をΦとする。また、想定される最も車長の短い車両70の車長をLcmin、想定される車両70の最高速度をVmax、走行ルートを通過する車両70の車両検出装置100からの最長垂直距離をHmax、第1測距センサ11と第2測距センサ12との各々がレーザーを照射することによって測距する時間間隔である測定間隔時間をTとする。車両検出装置100に対する走行ルートの最大角度をαとする。つまり、走行ルートに垂直な方向を基準とした場合に、第1測距センサ11が照射する光の方向は、時計回りに角度θ+αであり、第2測距センサ12が照射する光の方向は、反時計回りに角度θ-αである。
第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが検出した車両側面の前端部から後端部までの長さDの最大値は、式(1a)で示される。
【0024】
D=Hmax×sin(θ-φ)×(1/cos(θ-φ-α)+1/cos(θ-φ+α)) (1a)
【0025】
式(1a)より、D≦Lcmin-Vmax×Tを満たしつつθを最大とすることで、車両の通過時に正しく車両と判定しつつ、車両以外の物体を非検知とすることができる。全長Lh(Lh<Lcmin)の車以外の物体は、測距センサ10からの垂直距離がLh/2×tan(θ-Φ)より離れていれば車両と判定されない。
前述した実施形態では、車両検出装置100が、車両が走行しているか否かを検出する車線が一車線である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、複数の距離閾値を設定することによって、車両検出装置100が、複数の車線を並行して走行する車両を検出するようにしてもよい。
前述した実施形態では、第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが、地表から20cm~40cm程度などの所定の高さに設置される場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが、地表から2m~3mの高さに設置されてもよいし、地中に設置されてもよい。第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが、地表から2m~3mの高さに設置されることによって、地表から20cm~40cmに設置される場合よりも、障害物がないことが想定されるため、誤検出を少なくできる。
【0026】
実施形態の車両検出装置100によれば、車両検出装置100は、車両が通過する車路において車両走行方向の車両の先端部である第1位置との間の距離である第1距離を検出する第1測距センサ11と、第1位置から車両走行方向下流側の車両の後端部である第2位置との間の距離である第2距離を検出する第2測距センサ12と、第1測距センサ11が検出した第1距離と、第2測距センサ12が検出した第2距離とに基づいて、車路を通過する車両を検出する車両検出部とを備える。第1測距センサ11の放射方向と、第2測距センサ12の放射方向とのなす角度2θが、180度未満である。このように構成することによって、第1測距センサ11が第1距離を検出する場合の放射方向と、第2測距センサ12が第2距離を検出する場合の放射方向とのなす角度2θが、180度未満となるように取り付けられた第1測距センサ11と、第2測距センサ12とを搭載した車両検出装置100を、車路の側方のポールや杭に設置することによって、第1測距センサ11と第2測距センサ12との各々が、レーザー光を照射する範囲を走行する車両と、車両が走行する方向とを検出できる。
従来技術では、2個の測距センサ間の各々を設置する位置に、2個の測距センサの各々の放射方向が平行であるため、2個の測距センサ間にある程度の間隔が必要であった。しかし、車両検出装置100によれば、第1測距センサ11の放射方向と、第2測距センサ12の放射方向とのなす角度2θが、180度未満となるように取り付けることによって、第1測距センサ11と、第2測距センサ12との間隔を狭くできる。また、第1測距センサ11の放射方向と、第2測距センサ12の放射方向とのなす角度2θが、180度未満となるように取り付けることによって、全長Lh(Lh<Lcmin)の車両と車両以外の物体は、車路に対して平行に走行する場合に、測距センサ10からの走行ルートに垂直な方向沿った垂直距離がLh/2×tan(θ-Φ)より離れていれば車両と判定されないため、誤検知を低減できる。このため、本実施形態では、車両検出装置100の前を通過する物体に対し車両とそれ以外との区別が可能となり、車両検出装置100の前を歩行者などが通過する環境下でも、通過車両のカウントを正確に行うことができる。
【0027】
(変形例)
本発明の実施形態の変形例の車両検出システムの一例は、図1を適用できる。ただし、車両検出装置100の代わりに、車両検出装置100aを備える。
車両検出装置100aは、第1測距センサ11が検出した車両70の前端部との間の距離である先端部間第1距離と先端部間第1距離を検出した時刻である先端部間第1距離検出時刻t1と、第2測距センサ12が検出した車両の前端部との間の距離である先端部間第2距離と先端部間第2距離を検出した時刻である先端部間距離検出第2時刻t2と、第1測距センサ11が検出した車両70の後端部との間の距離である後端部間第1距離と後端部間第1距離を検出した時刻である後端部間距離検出第1時刻t3と、第2測距センサ12が検出した車両の後端部との間の距離である後端部間第2距離と後端部間第2距離を検出した時刻である後端部間距離検出第2時刻t4とを検出し、検出した先端部間第1距離と、先端部間距離検出第1時刻t1と、先端部間第2距離と、先端部間距離検出第2時刻t2と、後端部間第1距離と、後端部間距離検出第1時刻t3と、後端部間第2距離と、後端部間距離検出第2時刻t4とに基づいて、車長を導出する。
【0028】
具体的には、第1測距センサ11が出力したレーザーが車両70の側面先端部に照射されたことによって、第1測距センサが測定した第1距離が、距離閾値より大きい値から距離閾値以下の値となった場合に、その距離閾値以下の第1距離である先端部間第1距離を検出した先端部間距離検出第1時刻t1を検出する。
車両検出装置100は、第1測距センサが測定した第1距離が、距離閾値以下の値となった後に、第2測距センサが出力したレーザーが車両の側面先端部に照射されたことによって、最初に、第2測距センサが測定した第2距離が、距離閾値より大きい値から距離閾値以下の値となった場合に、その距離閾値以下の第2距離である先端部間第2距離を検出した先端部間距離検出第2時刻t2を検出する。
車両検出装置100は、第2測距センサが測定した第2距離が、距離閾値以下の値となった後に、第1測距センサが出力したレーザーが車両の側面後端部より後ろに照射されたことによって、最初に、第1測距センサ11が測定した第1距離が、距離閾値以下の値から距離閾値より大きい値となった場合に、その距離閾値より大きい第1距離である後端部間第1距離を検出した後端部間距離検出第1時刻t3を検出する。
車両検出装置100は、第1測距センサが測定した第1距離が、距離閾値より大きい値となった後に、第2測距センサが出力したレーザーが車両の側面後端部より後ろに照射されたことによって、最初に、第2測距センサが測定した第2距離が、距離閾値以下の値から距離閾値より大きい値となった場合に、その距離閾値より大きい第2距離である後端部間第2距離を検出した後端部間距離検出第2時刻t4を検出する。
車両検出装置100は、検出した先端部間距離検出第1時刻t1と、先端部間距離検出第2時刻t2と、後端部間距離検出第1時刻t3と、後端部間距離検出第2時刻t4と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離とに基づいて、車長を導出する。
車両検出装置100aは、車両を検出した場合に、車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の移動方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付けて記憶する。車両検出装置100は、記憶した車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の移動方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付けた情報を、外部記憶装置60に送信する。次に、車両検出装置100aについて、詳細に説明する。
【0029】
(車両検出装置)
図7は、本発明の実施形態の変形例の車両検出システムを構成する車両検出装置の一例を示す図である。
車両検出装置100aは、測距センサ10と、情報処理部20aと、記憶部30aと、通信部40とを備える。情報処理部20aと、測距センサ10と、記憶部30aと、通信部40とは、内部バスによって接続され、互いに情報のやり取りができるように構成されている。
記憶部30aは、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部30aには、情報処理部20aにより実行されるプログラム31と、アプリ32aとが記憶される。さらに、記憶部30aには、車長関連情報34が記憶される。
アプリ32aは、アプリ32が、車両検出装置100に実行させる機能に加えて、以下の機能を、車両検出装置100aに実行させる。
アプリ32aは、車両検出装置100aに、先端部間距離検出第1時刻t1と、先端部間距離検出第2時刻t2と、後端部間距離検出第1時刻t3と、後端部間距離検出第2時刻t4とを検出させる。アプリ32aは、車両検出装置100aに、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離とを検出させる。アプリ32aは、車両検出装置100aに、検出させた先端部間距離検出第1時刻t1と、先端部間距離検出第2時刻t2と、後端部間距離検出第1時刻t3と、後端部間距離検出第2時刻t4と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出させた第1距離と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出させた第2距離とに基づいて、車長を導出させる。アプリ32は、車両検出装置100に、車両を検出した日時を示す情報と、車両の移動方向と、車長とを関連付けて記憶させる。アプリ32は、車両検出装置100に、記憶した車両を検出した日時を示す情報と、車両の移動方向と、車長とを関連付けた情報を、外部記憶装置60に送信させる。
【0030】
(車長関連情報)
車長関連情報34は、車両検出識別情報と、車両を検出した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付けたテーブル形式の情報である。
図8は、車長関連情報の一例を示す図である。図8に示す例では、車両検出識別情報「A0001」と、検出日時「**月**日**時**分」と、走行方向「右→左」と、車長「××m」とが関連付けられ、車両検出識別情報「A0002」と、検出日時「〇〇月〇〇日〇〇時〇〇分」と、走行方向「左→右」と、車長「△△m」とが関連付けられる。図7に戻り説明を続ける。
情報処理部20aの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部30に格納されたプログラム31とアプリ32aとを実行することにより実現されるソフトウェアである。なお、情報処理部20aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部20aは、例えば、車両検出部21aと、車長導出部22と、記憶処理部23とを有する。
車両検出部21aは、第1測距センサ11が出力した第1距離を示す情報と、第2測距センサ12が出力した第2距離を示す情報とを取得した場合に、その第1距離を検出した時刻である第1検出時刻と、その第2距離を検出した時刻である第2検出時刻とを取得する。
車両検出部21aは、取得した第1距離を示す情報と、第2距離を示す情報とに基づいて、車両を検出する。車両検出部21aは、第1距離が距離閾値未満である場合には、第1測距センサ11の前に物体が存在すると判定する。車両検出部21aは、第2距離が距離閾値未満である場合には、第2測距センサ12の前に物体が存在すると判定する。車両検出部21aは、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値未満となる状態が、回数閾値以上連続して継続したことを検出した場合に、車両が走行ルート(車路)を通過したと判定する。
車両検出部21aは、第1距離と第2距離とのうち、第1距離が第2距離よりも、先に距離閾値未満となり、その後第1距離が第2距離よりも、先の距離閾値以上となった場合には、第1測距センサ11から第2測距センサ12の方向に、車両が走行していると判定する。車両検出部21aは、第2距離と第1距離とのうち、第2距離が第1距離よりも、先に距離閾値未満となり、その後第2距離が第3距離よりも、先の距離閾値以上となった場合には、第1測距センサ11から第2測距センサ12の方向に、車両が走行していると判定する。
車両検出部21aは、車両が走行ルートを通過したと判定した場合に、車両検出識別情報を生成し、生成した車両検出識別と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けて、記憶処理部23に出力する。
車両検出部21aは、車両が走行ルートを通過したと判定した場合に、車両検出識別情報と、検出した先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報とを、車長導出部22に出力する。
【0031】
車長導出部22は、車両検出部21aが出力した車両検出識別情報と、先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報とを取得する。
車長導出部22は、取得した車両検出部21aが出力した先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報とに基づいて、車長を導出する。
以下、車両が、等速直線移動を行っている前提で説明を続ける。
【0032】
本実施形態の車両検出装置が車長を導出する処理を、図6を参照して説明する。図6に示す例では、走行ルートに垂直な方向を基準とした場合に、第1測距センサ11が照射する光の方向は、時計回りに角度θ+αであり、第2測距センサ12が照射する光の方向は、反時計回りに角度θ-αである。
また、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離の平均を第1平均距離d1とする。また、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離の平均を第2平均距離d2とする。
第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが検出した車両側面の前端部から後端部までの長さDは、式(2)によって導出される。
【0033】
D=sqrt(d1+d2-2×d1×d2×cos2(θ-Φ)) (2)
【0034】
また、長さDを車両が走行するのに要した時間は((t2-t1)+(t4-t3))/2となることから、車両の速さVは式(3)より導出できる。
【0035】
V=2×D/((t2-t1)+(t4-t3)) (3)
【0036】
以上より、車長Lcは、式(4)により導出される。
【0037】
Lc=V((t3-t1)+(t4-t2))/2 (4)
【0038】
車長導出部22は、導出した車長を示す情報と、車両検出識別情報とを関連付けた情報を、記憶処理部23に出力する。
【0039】
記憶処理部23は、車両検出部21aが出力した車両検出識別と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報とを関連付けた情報を取得する。また、記憶処理部23は、車長導出部22が出力した車両検出識別と、車長を示す情報とを関連付けた情報を取得する。記憶処理部23は、取得した情報に基づいて、車両検出識別と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付け、車両検出識別と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付けた情報を、記憶部30の車長関連情報34に記憶する。また、記憶処理部23は、車両検出識別と、車両が走行ルートを経過した日時を示す情報と、車両の走行方向を示す情報と、車長を示す情報とを関連付けた情報を含み、外部記憶装置60をあて先とする車両検出通知情報を作成し、作成した車両検出通知情報を、通信部40に出力する。
【0040】
(車両検出装置の動作)
図9は、本発明の実施形態の変形例の車両検出装置の一例を示すフローチャートである。図9は、車両検出装置100aが、車長を導出する処理を示す。
(ステップS11)
第1測距センサ11は、第1距離を検出し、検出した第1距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。情報処理部20の車両検出部21aは、第1測距センサ11が出力した第1距離を示す情報を取得し、取得した第1距離を示す情報に基づいて、第1距離が、距離閾値より大きい値から距離閾値以下の値となった場合に、その距離閾値以下の第1距離である先端部間第1距離を検出した先端部間距離検出第1時刻t1を検出する。
(ステップS12)
第2測距センサ12は、第2距離を検出し、検出した第2距離を示す情報を、情報処理部20aに出力する。情報処理部20の車両検出部21aは、第2測距センサ12が出力した第2距離を示す情報を取得し、取得した第2距離を示す情報に基づいて、第1距離が、距離閾値以下の値となった後に、最初に、第2距離が、距離閾値より大きい値から距離閾値以下の値となった場合に、その距離閾値以下の第2距離である先端部間第2距離を検出した先端部間距離検出第2時刻t2を検出する。
(ステップS13)
第1測距センサ11は、第1距離を検出し、検出した第1距離を示す情報を、情報処理部20に出力する。情報処理部20の車両検出部21aは、第1測距センサ11が出力した第1距離を示す情報を取得し、取得した第1距離を示す情報に基づいて、第2距離が、距離閾値以下の値となった後に、最初に、第1距離が、距離閾値以下の値から距離閾値より大きい値となった場合に、その距離閾値より大きい第1距離である後端部間第1距離を検出した後端部間距離検出第1時刻t3を検出する。
【0041】
(ステップS14)
第2測距センサ12は、第2距離を検出し、検出した第2距離を示す情報を、情報処理部20aに出力する。情報処理部20の車両検出部21aは、第2測距センサ12が出力した第2距離を示す情報を取得し、取得した第2距離を示す情報に基づいて、第1距離が、距離閾値より大きい値となった後に、最初に、第2距離が、距離閾値以下の値から距離閾値より大きい値となった場合に、その距離閾値より大きい第2距離である後端部間第2距離を検出した後端部間距離検出第2時刻t4を検出する。
車両検出部21aは、検出した先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報とを、車長導出部22に出力する。
(ステップS15)
車長導出部22は、車両検出部21aが出力した先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報とを取得する。
車長導出部22は、取得した先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を示す情報に基づいて、取得した先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離を平均化することによって、第1平均距離d1を導出する。
(ステップS16)
車長導出部22は、取得した先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を示す情報に基づいて、取得した先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離を平均化することによって、第2平均距離d2を導出する。
(ステップS17)
車長導出部22は、先端部間距離検出第1時刻t1を示す情報と、先端部間距離検出第2時刻t2を示す情報と、後端部間距離検出第1時刻t3を示す情報と、後端部間距離検出第2時刻t4を示す情報と、第1平均距離d1を示す情報と、第2平均距離d2を示す情報とに基づいて、車長Lcを導出する。
【0042】
前述した実施形態の変形例では、先端部間距離検出第1時刻t1と、後端部間距離検出第1時刻t3とが、第1距離と距離閾値とに基づいて検出され、先端部間検出第2時刻t2と、後端部間距離検出第2時刻t4とが、第2距離と距離閾値とに基づいて検出される場合について説明したが、この例に限られない。
図10は、本発明の実施形態の変形例の車両検出装置が車長を導出する処理の一例を示す図である。図10に示されるように、例えば、先端部間距離検出第1時刻t1と、後端部間距離検出第2時刻t4とについては、距離閾値に基づいて検出することによって、第1測距センサ11が放射するレーザーが車両70の側面ではなく車両70の前面に照射されることで、先端部間距離検出第1時刻t1が実際よりも早い時刻として検出されるおそれがある。同様に、第2測距センサ12が放射するレーザーが車両70の側面ではなく車両70の後面に照射されることで、後端部間距離検出第2時刻t4が実際よりも遅い時刻として検出されるおそれがある。
そこで、例えば、車両70の側面の検出精度を向上させるために、以下の2つの方法が考えられる。
(1)車両検出部21aは、第1距離の時間変化に基づいて、先端部間距離検出第1時刻t1を導出する。具体的には、車両検出部21aは、第1距離の時間変化が時間変化閾値以上となる時刻を先端部間距離検出第1時刻t1とする。これは、車両70の側面を検出している間は、第1距離はほぼ一定値となるのに対し、車両70の前面又は後面を検出している間は、第1距離は大きく変化する性質を利用する。
同様に、車両検出部21aは、第2距離の時間変化に基づいて、後端部間距離検出第2時刻t4を導出する。具体的には、車両検出部21aは、第2距離の時間変化が時間変化閾値以上となる時刻を後端部間距離検出第2時刻t4とする。これは、車両70の側面を検出している間は、第2距離はほぼ一定値となるのに対し、車両70の前面又は後面を検出している間は、第2距離は大きく変化する性質を利用する。
(2)第1距離と第2距離との両方が、距離閾値以下である場合の第1距離と第2距離とに基づいて、先端部間距離検出第1時刻t1と後端部間距離検出第2時刻t4とを検出するための閾値である検出時刻判定閾値を設定する。具体的には、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値以下である場合の第1距離と第2距離との平均値からその平均値よりもわずかに長い距離を検出時刻判定閾値とする。車両検出部21aは、第1距離が、検出時刻判定閾値以下の値となった場合に、その検出時刻判定閾値以下の第1距離である先端部間第1距離を検出した先端部間距離検出第1時刻t1を検出する。また、車両検出部21aは、第2距離が、検出時刻判定閾値以下の第2距離である後端部間第2距離を検出した後端部間距離検出第2時刻t4を検出する。これは、車両70を検出している場合には、第1距離と第2距離との両方が、距離閾値以下であり、この場合の第1距離と第2距離とに基づいて、先端部間距離検出第1時刻t1と後端部間距離検出第2時刻t4とを検出するための検出時刻判定閾値を設定することで、先端部間距離検出第1時刻t1と、後端部間距離検出第2時刻t4との検出精度を向上させる。
前述した実施形態の変形例では、式(4)において、第1測距センサ11と、第2測距センサ12とのいずれかの前を車両の側面が通過するのに要する時間に基づいて、車長Lcを導出する場合について説明した。しかし、実際には車両の前面及び後面の形状は丸みを帯びている場合があるため、車両の側面長は車長よりも短い場合がある。そのため、導出される車長Lcは実際の値より短くなる場合がある。そこで、車長を以下の方法で導出してもよい。
後端部間距離検出第1時刻t3にて検出された第1距離をd1a、先端部間距離検出第2時刻t2にて検出された第2距離をd2aとする。第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが検出した車両の前端部から後端部までの長さDaは、式(5)によって導出される。
【0043】
Da=sqrt(d1a+d2a-2×d1a×d2a×cos2(θ-φ)) (5)
【0044】
また、前述したように、先端部間距離検出第1時刻t1から後端部間距離検出第1時刻t3までの間に検出された第1距離の平均は第1平均距離d1であり、先端部間距離検出第2時刻t2から後端部間距離検出第2時刻t4までの間に検出された第2距離の平均は第2平均距離d2である。
第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが検出した車両側面の前端部から後端部までの長さDは、式(6)によって導出される。
【0045】
D=sqrt(d1+d2-2×d1×d2×cos2(θ-φ)) (6)
【0046】
また、長さDを車両が走行するのに要した時間は((t2-t1)+(t4-t3))/2となることから、車両の速さVは式(7)より導出できる。
【0047】
V=2×D/((t2-t1)+(t4-t3)) (7)
【0048】
第1測距センサ11と第2測距センサ12とがともに車両を検出している時間はt3-t2となることから、車長Lcは、式(8)により導出される。
【0049】
Lc=Da+(t3―t2)V (8)
【0050】
このように構成することによって、車長の導出において誤差の要因となっていた(t3-t1)と(t4-t2)との値を利用しないため、より正確な車長を導出できる。ただし、t1~t4の各値は、前述した車両70の側面の検出精度を向上させるために説明した2つの方法のいずれかで、補正した値を使用するのが好ましい。
【0051】
前述した実施形態の変形例では、記憶部30aの車長関連情報34に、車両検出識別情報と、検出日時を示す情報と、走行方向を示す情報と、車長を示す情報とが関連付けて記憶される場合について説明したが、この例に限られない。例えば、車長を示す情報に基づいて、車両が大型車、中型車、小型車などのクラスに分類されてもよい。クラスごとに、車両のカウント数が、累積的に記憶されてもよい。
実施形態の変形例の車両検出装置100aによれば、車両検出装置100aは、第1測距センサ11が検出した車両の前端部との間の距離である先端部間第1距離と先端部間第1距離を検出した時刻である先端部間距離検出第1時刻t1と、第2測距センサが検出した車両の前端部との間の距離である先端部間第2距離と先端部間第2距離を検出した時刻である先端部間距離検出第2時刻t2と、第1測距センサ11が検出した車両の後端部との間の距離である後端部間第1距離と後端部間第1距離を検出した時刻である後端部間距離検出第1時刻t3と、第2測距センサが検出した車両の後端部との間の距離である後端部間第2距離と後端部間第2距離を検出した時刻である後端部間距離検出第2時刻t4とに基づいて、車路を通過する車両の車長を導出する。
このように構成することによって、第1測距センサ11が第1距離を検出する場合の放射方向と、第2測距センサ12が第2距離を検出する場合の放射方向とのなす角度2θが、180度未満となるように取り付けられた第1測距センサ11と、第2測距センサ12とを搭載した車両検出装置100を、車路の側方のポールや杭に設置することによって、第1測距センサ11と第2測距センサ12との各々が、レーザー光を照射する範囲を走行する車両と、車両が走行する方向とに加え、車長を導出できる。
前述した実施形態の変形例では、車両検出装置100aが、車長を導出する車両が走行している車線が一車線である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、複数の距離閾値を設定することによって、車両検出装置100aが、複数の車線を並行して走行する車両の車長を導出するようにしてもよい。
【0052】
(適用例)
駐車場出入口に車両検出装置100aを設置し、車両の進行方向ごとの通過数と、算出された車長に基づくクラスごとのカウント数とを、ネットワークを経由して、外部記憶装置60に保管する。このように構成することによって、駐車場の空き情報を、クラスごとに通知できる。
図11は、本発明の実施形態の変形例の車両検出装置の適用例を示す図である。図11に示される例では、車両検出装置100aに赤外線センサ80が、車路に向けて垂直に設置されている。赤外線センサ80が物体を検出した場合に、車両検出装置100aは、測距センサ10を起動する。このように構成することによって、測距センサ10が消費する電力を削減できる。ただし、赤外線センサ80は測距センサ10よりも先に物体を検知する必要があるため、赤外線センサ80の検出角度を角度ψとした場合に、少なくともθ+Φ<ψである必要がある。赤外線センサ80が物体を認識した後に、第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが計測を開始する。第1測距センサ11が第1距離を計測し、直ちに第2測距センサ12が第2距離を計測する。その後、約50msなどの所定の時間待機し、再び第1測距センサ11と、第2測距センサ12とが計測を行う。以上の計測が、赤外線センサ80が無反応で、且つ第1測距センサ11と、第2測距センサ12との両方が物体を非検知という状態が検知回数閾値以上連続するまで繰り返す。ここで、距離閾値は、赤外線センサ80が物体に反応した後に、測距センサ10が物体を検出するまでに余裕がある場合には、測距センサ10が測定した初期距離を基準とした値としてもよい。
【0053】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した車両検出システム1に含まれる車両検出装置100と、車両検出システム1aに含まれる車両検出装置100aとは、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【符号の説明】
【0054】
1、1a…車両検出システム、10…測距センサ、11…第1測距センサ、12…第2測距センサ、20、20a…情報処理部、21、21a…車両検出部、22…車長導出部、23…記憶処理部、30、30a…記憶部、31…プログラム、32、32a…アプリ、33…車両検出情報、34…車長関連情報、40…通信部、50…通信網、60…外部記憶装置、80…赤外線センサ、100、100a…車両検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11