(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】RSVの処置のための組合せ製品
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20220428BHJP
A61K 31/41 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20220428BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220428BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220428BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A61K31/437 ZMD
A61K31/41
A61K31/4745
A61K31/519
A61K31/55
A61K31/5513
A61K31/7056
A61K39/395 M
A61K39/395 S
A61P31/14
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2018540796
(86)(22)【出願日】2017-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2017052201
(87)【国際公開番号】W WO2017134133
(87)【国際公開日】2017-08-10
【審査請求日】2020-01-30
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】イセバート,ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーイバーツ,ネレ イーサ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイマンズ,ダーク アンドレ イー.
(72)【発明者】
【氏名】コール,アニル
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/055791(WO,A1)
【文献】特表2014-503525(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174018(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/026792(WO,A1)
【文献】Antiviral Research,2003年,Vol.60, No.1,p.51-59
【文献】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2015年12月14日,Vol.60, No.3,p.1264-1273
【文献】The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE,2014年,Vol.371, No.8,p.711-722
【文献】MEJIAS ASUNCION,NEW OPTIONS IN THE TREATMENT OF RESPIRATORY SYNCYTIAL VIRUS DISEASE,JOURNAL OF INFECTION,2015年04月25日,VOL:71,PAGE(S):S80-S87,http://dx.doi.org/10.1016/j.jinf.2015.04.025
【文献】DRUGS OF THE FUTURE,2015年,Vol.40, No.11,p.765-766
【文献】WORLD JOURNAL OF PEDIATRICS,2010年,Vol.6, No.4,p.296-300
【文献】JOURNAL OF VIROLOGY,2005年,Vol.79, No.20,p.13105-13115
【文献】XIONG HUI; FOULK MELINDA; ET AL,DISCOVERY OF A POTENT RESPIRATORY SYNCYTIAL VIRUS RNA POLYMERASE INHIBITOR,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,NL,PERGAMON,2013年10月16日,VOL:23, NR:24,PAGE(S):6789 - 6793,http://dx.doi.org/10.1016/j.bmcl.2013.10.018
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/437
A61K 31/41
A61K 31/4745
A61K 31/519
A61K 31/55
A61K 31/5513
A61K 31/7056
A61K 39/395
A61P 31/14
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RSV感染症
を処置または改
善するための、
化合物Aとして、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩
を含む医薬組成物であって、ここで、前記医薬組成物は、
リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bと
組合せ
て使用され、化合物Aの量および化合物Bの量は、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、
医薬組成物。
【請求項2】
RSV感染症を処置または改善するための、
化合物Aとして、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩と、
リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bと、
薬学的に許容される担体と
を含む医薬組成物であって、ここで、化合物Aの量および化合物Bの量は、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、医薬組成物。
【請求項3】
化合物Bがリバビリンである、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
化合物BがGS-5806である、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
化合物BがMDT-637である、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
化合物BがA-60444である、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
化合物Bが、CR9501およびパリビズマブから選択されるモノクローナル抗体である、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
化合物BがN-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミドである、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
化合物Bが4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンである、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
化合物
Aが10mg~2500mgの
量で毎日投与され、化合物
Bが10mg~2500mgの
量で毎日投与される、請求項
9に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物Aと前記化合物Bが、同時に、別々に、または、逐次的に投与されるものである、請求項1
および3~
10のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
RSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法に使用するための医薬組成物であり、
化合物Aとして、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩を含有し、
リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはこれらのいずかの薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bと組
合せて使用され、
前記方法が、前記化合物Aと前記化合物Bの組
合せを、治療有効量で前記対象に投与するステップを含み、ここで、化合物Aの量および化合物Bの量が、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、医薬組成物。
【請求項13】
化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの前記組合せが、単一の医薬組成物に製剤化されている、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの前記組合せが、化合物Aを含む別個の医薬組成物、および1種または複数種の化合物Bを含む別個の医薬組成物として製剤化されており、
それにより、前記医薬組成物が同時にまたは逐次的に投与される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
RSV感染症の処置または改善に使用するための医薬品を製造するための
、化合物Aとしての3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩の使用
であって、
ここで、前記化合物Aは、リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bと組合せて使用され、化合物Aの量および化合物Bの量は、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RSV感染症を処置または改善するための、RSV阻害化合物A、すなわち3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンと、リバビリン、GS-5806、MDT-637、BTA-9881、BMS-433771、YM-53403、A-60444、TMC-353121、RFI-641、CL-387626、MBX-300、AZ-27、MEDI8897、CR9501、パリビズマブ、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル}メチル)-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、3-[[7-クロロ-3-(2-エチルスルホニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル]-1-シクロプロピル-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンから選択される1種または複数種のRSV阻害化合物Bとの組合せを対象とする。本発明は、さらに、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せ製品、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとを含む医薬製品、化合物Aと、化合物Bのうち1種または複数種との組合せ-または化合物Aと1種または複数種の化合物Bとを含む医薬製品-のRSV感染症の処置のための使用、およびRSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法であって、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せを有効量で前記対象に投与するステップを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトRSVまたは呼吸器合胞体ウイルスは、ウシRSVウイルスとともにニューモウイルス(Pneumoviridae)科、オルソニューモウイルス(Orthopneumovirus)属に属する大型のRNAウイルスである。ヒトRSVは、世界中の全年齢の人々において、様々な気道疾患の原因となる。ヒトRSVは、乳幼児期および小児期の下気道疾病の主因である。全乳幼児のうち半数を超える乳幼児が、生後1年以内にRSVに遭遇し、ほぼすべての乳幼児が生後2年以内にRSVに遭遇する。若年小児の感染は、長年続く肺障害を引き起こす可能性があり、その後の人生における慢性肺疾患(慢性喘鳴、喘息)の原因となる恐れがある。年長小児および成人は、RSV感染すると(悪性の)感冒に罹患することが多い。高齢者では易罹患性が再び増加し、RSVは高齢者の肺炎発生に関連することが多く、これにより死亡率が著しく高くなる。
【0003】
現在、RSV感染症に対する使用に承認されているのは3種の薬物のみである。第1の薬物はリバビリンであり、これは入院小児の重篤なRSV感染症にエアゾール処置がされるヌクレオシド類似体である。他の2種の薬物、RespiGam(登録商標)(RSV-IG)およびSynagis(登録商標)(パリビズマブ)、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体免疫賦活薬は、予防的に使用するように意図されている。両薬物ともきわめて高価であり、非経口投与を必要とする。RSV感染症の処置用に臨床開発中の化合物がいくつかある。それらの化合物のうちの1つが、国際公開第2012/080447号パンフレットに化合物P55として開示されている、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)-プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンである。
【発明の概要】
【0004】
今般、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)-プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン(以下、化合物Aと呼ぶ)と、RSV複製を阻害する特性を有する1種または複数種の化合物Bとの組合せが、RSV感染症の処置において改善型の治療を提供することが発見された。
【0005】
本明細書に開示している一部の実施形態は、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せ、およびRSV感染症を処置または改善するためのこの組合せの使用を必要とする対象における、RSV感染症を処置または改善するためのこの組合せの使用に関する。
【0006】
他の実施形態は、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せを含む医薬製品、およびRSV感染症を処置または改善するための前記医薬製品の使用に関する。
【0007】
さらに他の実施形態は、RSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法であって、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せを有効量で前記対象に投与するステップを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
化合物Aは、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンであり、国際公開第2012/080447号パンフレットに、以下の構造:
【化1】
を有する化合物P55として開示されている。
【0009】
1種または複数種のRSV阻害化合物Bは、リバビリン、GS-5806、MDT-637、BTA-9881、BMS-433771、YM-53403、A-60444、TMC-353121、RFI-641、CL-387626、MBX-300、AZ-27、MEDI8897、CR9501、パリビズマブ、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル}メチル)-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、3-[[7-クロロ-3-(2-エチルスルホニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル]-1-シクロプロピル-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンから個別に選択される。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
以下で使用する場合は常に、化合物A、化合物B、1種または複数種の化合物B、複数種の化合物Bという用語、または類似の用語は、化合物Aおよび/または化合物Bの、その遊離塩基形態およびその薬学的に許容される塩形態の両方を含むものとする。
【0015】
化合物Aまたは化合物Bは、薬学的に許容される塩形態または遊離(すなわち非塩)形態で使用することができる。塩形態は、遊離形態を酸または塩基で処理することにより得ることができる。目的とするのは、薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩であり、化合物が形成し得る治療活性のある無毒の酸付加塩および塩基付加塩の形態を含むものとする。化合物Aまたは化合物Bの薬学的に許容される酸付加塩は、遊離形態を次のような適切な酸で処理することにより簡便に得ることができる。適切な酸には、例えば無機酸、例えば臭化水素酸もしくは特に塩酸などのハロゲン化水素酸、もしくは硫酸、硝酸およびリン酸などの酸;または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、およびパモ酸などの酸が含まれる。化合物Aまたは化合物Bは、適切な有機塩基または無機塩基で処理することにより、薬学的に許容される金属塩またはアミン付加塩の形態に変換することもできる。適切な塩基塩の形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩もしくはカリウム塩;またはマグネシウム塩もしくはカルシウム塩;有機塩基との塩、例えば、ベンザチン塩、N-メチル-D-グルカミン塩、ヒドラバミン塩、ならびにアミノ酸との塩、例えば、アルギニンおよびリシンなどとの塩が含まれる。付加塩形態という用語は、化合物Aまたは化合物Bが形成し得る、その塩に加えて、任意の溶媒和物も含むものとする。このような溶媒和物としては、例えば、水和物、およびアルコール付加物、例えばエタノール付加物などがある。
【0016】
化合物Bの第1の群は、化合物Bが、リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンから選択される群である。
【0017】
化合物Bの第2の群は、化合物Bが、モノクローナル抗体の、MEDI8897、CR9501、およびパリビズマブから選択され、特に、化合物Bがパリビズマブである群である。
【0018】
化合物Bの第3の群は、化合物Bが、リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444およびAZ-27から選択される群である。
【0019】
化合物Bの第4の群は、化合物Bが、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンから選択される群である。
【0020】
ある実施形態では、本発明による組合せ中の化合物Aの量および化合物Bの量は、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である。
【0021】
毎日投与される本発明の組合せ中の化合物Aの量は、約10mg~約2500mg、約50mg~約1000mg、または約50mg~約500mgと変動し得る。
【0022】
毎日投与される本発明の組合せ中の1種または複数種の化合物Bの量は、1種または複数種の化合物Bの総量について、約10mg~約2500mg、約50mg~約1000mg、または約50mg~約500mgと変動し得る。
【0023】
本段落および以下の段落に記載する量はすべて、遊離形態(すなわち非塩形態)についてのものである。上記の値は、遊離形態相当値、すなわち遊離形態を投与すると仮定した場合の量を示す。塩を投与する場合、その量は、塩と遊離形態との分子量比に応じて算出する必要がある。
【0024】
上記の1日量は、平均体重約70kgに対して算出されたものであり、小児用の場合、または体重がそれとかなり異なる患者に使用する場合には、計算し直さなければならない。
【0025】
投与量は、1日を通して適切な間隔を空けて投与される、1回分、2回分、3回分または4回分以上の部分用量として提供することができる。使用される投与量は、好ましくは、化合物Aおよび上記の1種または複数種の化合物Bの1日量、またはその部分用量、例えば、その1/2、1/3または1/4などに相当する。剤形は、化合物Aおよび1種または複数種の化合物Bを、上記の段落に記載した範囲または量に等しい量で、別個の製剤中または組合せ製剤中に含有することができる。このような組合せ製剤が好ましい。
【0026】
化合物Aおよび1種または複数種の化合物Bが1日1回投与されるべき場合、これは、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとを含有する組合せの、組合せ固定用量を投与することにより、実現することができる。投与することができる剤形は以下に記載されるが、経口剤形、特に経口溶液が好ましい。
【0027】
活性成分は、別個に、または組合せ医薬組成物として、医薬組成物に製剤化することができる。後者の場合、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と、1種または複数種の化合物Bまたはその薬学的に許容される塩との治療有効量、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。この場合の治療有効量とは、RSV感染症を、感染した対象において、安定化させ、または低減するのに十分な量である。治療有効量は、特に、毎日投与される上記の量または毎日複数回投与することが容易なその部分用量に相当するものとすることができる。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、薬学的に許容される担体を、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、および有効量の1種または複数種の化合物Bまたはその薬学的に許容される塩と、均質に混合するステップを含む、本明細書に記載の医薬組成物を調製する方法に関する。
【0029】
本明細書で提供する組合せは、RSV治療に同時にまたは逐次的に使用するための組合せ製剤として製剤化することもできる。このような場合、化合物Aは、薬学的に許容される他の添加剤を含有する医薬組成物に製剤化され、1種または複数種の化合物Bは、それとは別に、薬学的に許容される他の添加剤を含有する医薬組成物に製剤化される。好都合には、これらの別個の医薬組成物は、同時にまたは逐次的に使用するためのキットの一部とすることができる。
【0030】
本発明の組み合わせの個々の成分は、同時に、もしくは治療中の異なる時間に別々に、または分割した形態でもしくは単一の組合せ形態で同時に投与することができる。
【0031】
したがって、化合物Aおよび1種または複数種の化合物Bは、個々にまたは組み合わされて、投与目的に適した様々な医薬組成物に製剤化することができる。これらにおいて、特定の化合物AおよびBの各々の治療有効量は、薬学的に許容される担体と組み合わされるが、担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。医薬組成物は、経口、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、経直腸、バッカルまたは経鼻で投与される医薬品として調製することができる。経口投与に好適な組成物としては、散剤、顆粒剤、凝集体剤、錠剤、圧縮丸剤または被覆丸剤、糖衣錠剤、サシェ剤、硬カプセル剤またはゼラチンカプセル剤、シロップ剤および懸濁剤が挙げられる。非経口投与に好適な組成物としては、水性または非水性の溶液剤または乳剤が挙げられ、経直腸投与について投与に好適な組成物としては、親水性または疎水性の賦形剤を有する坐剤が挙げられる。経鼻送達については、好適なエアゾール送達システムを使用することができる。
【0032】
例えば、経口投与用の組成物を調製する際に、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液剤などの経口液体組成物の場合には、例えば、水、グリコール類、油およびアルコールなどの通常の医薬媒体のいずれかを使用することができ、または固体組成物の場合には、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤および崩壊剤などの固体担体を使用することができる。非経口組成物では、担体は、通常、滅菌水を少なくとも大部分含むが、溶解補助剤、乳化剤または他の補助剤などの他の成分をそれに添加することができる。注射液剤を調製することができ、その担体は、生理食塩水溶液、グルコース溶液またはこの両方の混合物を含む。注射懸濁液を調製することもでき、その場合、適切な液体担体および懸濁化剤などを使用してもよい。また、再構成される散剤などの、使用直前に液体形態製剤に変換することが意図された固体形態製剤も含まれる。
【0033】
医薬組成物は、投与が容易で投与量が均一になるように、単位剤形で提供することが好都合であり得る。例としては、錠剤(割線入り錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、坐剤、散剤分包、カシェ剤および注射用溶液剤または懸濁剤など、ならびにそれらを複数に分割したものが挙げられる。
【0034】
本明細書に記載の化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの組合せは、RSVに感染した温血動物、特にヒトの処置において有用である。
【0035】
本発明はまた、RSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法であって、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩の組合せを、治療有効量で、前記対象に投与するステップを含む方法にも関する。化合物Aの量は5mg/kg~50mg/kgの範囲とすることができ、化合物Bの量は5mg/kg~50mg/kgの範囲とすることができる。
【0036】
ある実施形態では、本発明は、さらに、RSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法であって、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩の組合せを投与するステップを含み、化合物Aの量および化合物の量が、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、方法に関する。
【0037】
他の実施形態は、RSVウイルスに感染した細胞に、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩の組合せの有効量を接触させるステップを含む、RSV感染症を処置または改善する方法に関する。
【0038】
本明細書で使用する場合、「処置する」「処置すること」「処置」「治療の」および「治療」という用語は、必ずしも疾患または状態の完全治癒または消去を意味するものではない。いずれかの程度までの、ウイルス量の任意の低減、または疾患もしくは状態の任意の好ましくない徴候もしくは症状の軽減のことを、処置および/または治療と考えることができる。
【0039】
「治療有効量」および「有効量」という用語は、指定された生物学的応答または薬物応答を引き出す活性化合物または医薬剤の量を示すために使用される。例えば、化合物の治療有効量は、疾患の症状を予防、軽減または改善するため、ウイルス量を低減するため、または治療を受ける対象の生存期間を延長するために必要な量とすることができる。この応答は、組織、系、動物またはヒトにおいて生じ得るものであり、ウイルス量の低減、治療を受ける疾患の徴候または症状の軽減を含む。有効量の決定は、本明細書に記載の本開示に照らすと、十分に当業者の能力の範囲内にある。用量として必要とされる、本明細書に開示している化合物の治療有効量は、投与経路、処置を受ける動物の種類(ヒトを含む)、および想定している特定の動物の身体特性に依存することになる。用量は、所望の効果を実現するために合わせて調整することができるが、体重、食事、併用投薬、および医療技術の当業者が認識し得る他の要因などの要因に依存することになる。
【0040】
呼吸器シンクチカル(syncytical)ウイルス(RSV)感染症を処置する方法の有効性を判定するための種々の指標が当業者に公知である。好適な指標の例として、以下に限定されるものではないが、ウイルス量の低減、ウイルス複製の低減、セロコンバーション(患者血清中にウイルス検出不能)までの時間の短縮、臨床成績における罹患率もしくは死亡率の低減、および/または疾患応答の他の指標が挙げられる。
【0041】
一部の実施形態では、化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの、またはこれらの薬学的な許容される塩の組合せは、ウイルス力価を検出不能レベルまで、例えば、1.7log10プラーク形成単位当量(PFUe)/mL未満、または0.3log10プラーク形成単位当量(PFUe)/mL未満まで低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物の組合せは、ウイルス量を、本組合せの投与前のウイルス量と比較して(例えば、本組合せの初期投与を受けてから60時間後)低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物の組合せは、ウイルス量を、1.7log10(PFUe)/mLより低く、または0.3log10(PFUe)/mLより低くまで低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物の組合せは、対象の血清中のウイルス力価の低減を、本組合せの投与前のウイルス量と比較して、約1.5-log~約2.5-logの低減、約3-log~約4-logの低減、または約5-logの低減よりも大きい範囲で実現することができる。例えば、ウイルス量は、本組合せの投与前、および本組合せの初期投与を受けてから数時間後(例えば、本組合せの初期投与を受けてから60時間後)に測定される。
【0042】
一部の実施形態では、化合物Aと、化合物Bのうち1種または複数種との、またはこれらの薬学的な許容される塩の組合せは、対象の処置前のレベルを基準にしたRSVの複製を、本組合せの初期投与を受けてから数時間後(例えば、本組合せの初期投与を受けてから60時間後)に測定した場合、少なくとも1/1、1/2、1/3、1/4、1/5、1/10、1/15、1/20、1/25、1/50、1/75、1/100またはそれ以上に低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組合せは、処置前のレベルを基準にしたRSVの複製を、約1/2~約1/5、約1/10~約1/20、約1/15~約1/40、または約1/50~約1/100の範囲に低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組合せは、RSV複製を、単剤治療として投与される1種の抗RSV剤の使用によって実現されるRSVの低減の低減と比較して、1~1.5log、1.5log~2log、2log~2.5log、2.5~3log、3log~3.5logまたは3.5~4log以上のRSV複製の低減の範囲で低減することができ、または同等の低減をより短時間で実現することができる。
【0043】
経時で、感染因子は1種または複数種の治療剤に対して耐性を生じさせる可能性がある。「耐性」という用語は、本明細書で使用する場合、ウイルス株の治療剤に対する応答が遅延、低下および/またはなくなることを指す。例えば、抗ウイルス剤での処置後に、耐性ウイルスに感染した対象のウイルス量は、非耐性株に感染した対象が示すウイルス量の低減量と比較して、ごくわずかな程度までしか低減しない場合がある。一部の実施形態では、化合物Aと、化合物Bのうち1種または複数種との、またはこれらの薬学的な許容される塩の組合せは、1種または複数種の異なる抗RSV剤(例えばリバビリン)に耐性であるRSVに感染した対象に投与することができる。一部の実施形態では、耐性RSV株の発生は、対象が本明細書に記載の化合物の組合せで処置される場合、単剤治療として投与される他の抗RSV剤に対するRSV株耐性の発生と比較して、遅らせることが可能である。
【0044】
一部の実施形態では、化合物Aと、化合物Bのうち1種または複数種との、またはこれらの薬学的な許容される塩の組合せは、RSVウイルス感染症から合併症になる対象のパーセンテージを、1種の抗RSV剤で処置されて合併症になる対象のパーセンテージと比較して減少させることができる。例えば、本明細書に記載の化合物の組合せで処置されて合併症になる対象のパーセンテージは、単剤治療として投与される1種の抗RSV剤のみで処置される対象と比較して、5%、10%、25%、40%、50%、60%、70%、80%および90%少なくすることができる。
【0045】
化合物Aと、化合物Bのうち1種または複数種との、またはこれらの薬学的な許容される塩の組合せを利用することの潜在的な利点は、化合物Aもしくはその薬学的に許容される塩、および/または化合物Bのうち1種もしくは複数種、もしくはその薬学的に許容される塩の、RSV感染症の処置において有効な必要量を、1種もしくは複数種の化合物(B)もしくはその薬学的に許容される塩、および/または化合物Aもしくはその薬学的に許容される塩の場合に同等の治療結果を実現するための必要量と比較して、低減するということであり得る。例えば、化合物Aもしくはその薬学的に許容される塩、および/または化合物Bのうち1種もしくは複数種、もしくはその薬学的に許容される塩の量は、単剤治療として投与された場合に同等のウイルス量の低減を実現するために必要な前述の化合物の量と比較して、少なくすることができる。本明細書に記載の組合せを利用することの別の潜在的な利点は、作用機序の異なる2種以上の化合物を使用すると、耐性ウイルス株の発生に対するバリアを、化合物が単剤治療として投与された場合のバリアと比較して、高くすることができるということである。本明細書に記載の組合せを利用することのさらなる利点には、組合せの化合物間に交差耐性が皆無かそれに近いこと、組合せの化合物の排泄経路が異なること、組合せの化合物間に重複する毒性が皆無かそれに近いこと、シトクロムP450に対する大幅な影響が皆無かそれに近いこと、および/または組合せの化合物間に薬物動態学的な相互作用が皆無かそれに近いことが含まれ得る。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明を以下の実施例に限定するものではない。
【0047】
実施例1:RSVアッセイ
底部が透明の黒色384ウェルのマイクロタイタープレート(Corning,Amsterdam,The Netherlands)にエコー・リキッドハンドラー(Labcyte,Sunnyvale,California)を使用して音響液滴吐出により充填した。200nLの化合物原液(100%のDMSO)をアッセイプレートに移した。化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、384ウェルプレートの「水平方向に」段階希釈(1:3)して12の異なる濃度にし、化合物(B)またはその薬学的に許容される塩を、384ウェルプレートの「垂直方向に」段階希釈(1:3)して12の異なる濃度にした。空所も、参照対照として使用するための化合物の各々単独の力価測定用に割り当てた。各ウェルに10μLの培養培地(フェノールレッド不含のRPMI培地、10%FBS-熱不活性化、0.04%ゲンタマイシン(50mg/mL)を添加することによりアッセイを開始した。すべての添加工程は、マルチドロップ・ディスペンサー(Thermo Scientific,Erembodegem,Belgium)を使用して行われる。次に、培養培地で希釈したrgRSV224ウイルス(MOI=1)をプレートに添加した。rgRSV224ウイルスは付加GFP遺伝子を含む遺伝子組換えウイルスであり(Hallak LK,Spillmann D,Collins PL,Peeples ME.Glycosaminoglycan sulfation requirements for respiratory syncytial virus infection;Journal of virology(2000),74(22),10508-13)、NIH(Bethesda,MD,USA)からライセンスを受けて導入された。最後に、20μLのHeLa細胞懸濁液(3,000細胞/ウェル)をプレーティングした。培地、ウイルス感染および偽感染の対照を、各試験に含めた。ウェルは体積当たり0.05%のDMSOを含有する。細胞を5%CO2雰囲気下にて37℃でインキュベートした。自社開発のMSMレーザ顕微鏡(Tibotec,Beerse,Belgium)で細胞中のGFP発現を測定することにより、ウイルス曝露3日後のウイルスの複製を定量した。EC50を、GFP発現に対する50%阻害濃度と定義した。
【0048】
細胞生存率アッセイ
並行して、化合物を、一連の白色384ウェルのマイクロタイタープレート(Corning)中で3日間インキュベートし、HeLa細胞中の化合物の細胞毒性を、ATPliteキット(Perkin Elmer,Zaventem,Belgium)を製造者の使用説明書に従って使用して細胞のATP含量を測定することによって判定した。CC50を、細胞毒性に対する50%濃度と定義した。
【0049】
データ解析
抗RSV活性および細胞生存率の両方について、各実験をN=3で行った。3つの実験のレプリコンの平均パーセント阻害値を生成し、抗RSV活性については、組合せ指数(Combination Index:CI)を、BiosoftソフトウェアのプログラムCalCuSyn(Biosoft,UK):CI=[(D)1/(Dx)1]+[(D)2/(Dx)2]により算出する。組合せは、CI<1:相乗作用、CI>1:拮抗作用、CI=1:相加作用と定義される。CIのより詳細な範囲を以下の表に示す。
【0050】
【0051】
実施例2:組合せ試験-ウミシイタケレポーターを有するRSV
ウミシイタケルシフェラーゼを発現するRSV(A2-RL-株19F)を、Emory University,Atlanta,GA,USAのDr.Martin Mooreが作製した。A2-RL-株19Fのin vitroでのウイルスの動態は、野生型RSVの動態と類似している。宿主細胞HEp-2をATCCから購入し(カタログ番号CCL-23)、この細胞を、L-グルタミンおよび15mM HEPESを含有するDMEM/HamのF-12 50/50lx(Mediatech、カタログ番号10-092-CM)中で培養した。培地にさらに5%(v/v)FBS(Mediatech、カタログ番号35-010-CV)および1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech、カタログ番号30-002-CI)を添加した。HEp-2細胞を、加湿した5%CO2雰囲気下にて37℃で維持した。
【0052】
薬物処置およびウイルス投与
化合物の組合せの有効性を判定するために、以下の手順を続けた。初日、96ウェルプレートに、ウェル当たり20,000のHEp-2細胞をプレーティングした。翌日、試験物を100%DMSOに溶解して、200×の望ましい最終試験濃度にした。続いて、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、96ウェルプレートの「水平方向に」段階希釈(1:3)して9つの異なる濃度にし、化合物(B)またはその薬学的に許容される塩を、96ウェルプレートの「垂直方向に」段階希釈(1:3)して7つの異なる濃度にした。次いで、段階希釈した200×試験物を、細胞培養培地中に1:10に希釈して20×試験物を生成した。20×試験物から5μLを分取し、90μLで存在する培地を伴う細胞に、チェッカーボード状に添加した。空所も、参照対照として使用するための化合物の各々単独の力価測定用に割り当てた。試験物を12時間プレインキュベートしてから、MOlが0.5のA2-RL-株19Fをプレートに添加し、さらに5%CO2下にて37℃で2日間インキュベートした。
【0053】
抗RSV活性の判定
Renilla Luciferase Assay System(Promega、カタログ番号E2820)を使用して、抗RSVレプリコン活性を測定した。アッセイプレートを上記のように準備した。発光を、Perkin ElmerマルチラベルカウンターVictor3Vを使用して記録した。
【0054】
細胞生存率アッセイ
Promega CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay、カタログ番号G7572)を使用して細胞生存率を測定した。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assayは、培養中の生細胞の数を、代謝的に活性な細胞の存在を示す、存在するアデノシン三リン酸(ATP)の定量に基づいて決定するホモジニアス法である。細胞生存率アッセイにはウイルスを添加しなかったこと以外は抗RSVアッセイと同じ形式で、アッセイプレートを準備した。CellTiter-Glo試薬から100μLを分取して各ウェルに添加し、室温で8分間インキュベートした。発光を、Perkin ElmerマルチラベルカウンターVictor3Vを使用して記録した。
【0055】
データ解析
抗RSV活性および細胞生存率の両方について、各実験をN=5で行った。5つの実験のレプリコンの平均パーセント阻害値を生成し、抗RSV活性については、2つの薬物相互作用解析モデル、アイソボログラム解析および/またはPrichardのモデルを使用して解析した。
【0056】
アイソボログラム解析
薬物-薬物の組合せの有効性を、Loewe相加性モデルにより評価し、実験データを、ChouおよびTalalay法に基づくコンピュータープログラムであるCalcuSyn(Biosoft,Ferguson,MO)を使用して解析した。実験の組合せの各々について組合せ指数(CI)値およびアイソボログラムを算出した。CI値<1、1および>1は、それぞれ、相乗作用、相加作用および拮抗作用を示す。相乗作用の範囲内では、CI<0.1はきわめて強力な相乗作用、CI0.1~0.3は強力な相乗作用、CI0.3~0.7は相乗作用、およびCI0.7~0.85は穏やかな相乗作用と考えられる。薬物の相加作用、相乗作用および拮抗作用を図式表示するアイソボログラム解析も使用して、抗ウイルス活性の相互作用をモデル化した。この表示法では、1種の薬物の有効濃度(EC)値が1つの軸にプロットされ、対応する第2の薬物のEC値が第2の軸にプロットされ、これらの2種の点を結ぶ線は、その効果が相加作用であると仮定した場合の、EC値に等しい量に到達するのに必要な、組合せ中の各薬物の量を表す。
【0057】
Prichardのモデル(Mac Synergy II)
Dr.M.Prichard(University of Michigan)の好意によりMacSynergy IIソフトウェアの提供を受けた。このプログラムは、Bliss-Independenceモデルを用いて、2種の阻害剤のチェッカーボード式の組合せから生成されるすべてのデータ点の薬物相互作用の三次元検証を可能にする。信頼限界はレプリケートのデータから決定される。95%信頼限界(CL)が理論上の相加作用面に重ならない場合、2種の薬物間の相互作用は相加作用とは大いに異なる。相乗作用または拮抗作用の大きさを判定し、三次元で図式表示することができ、2種の薬物濃度の変化量当たりの相乗作用または拮抗作用の相対量が表示される。相乗作用および拮抗作用の大きさは、両化合物が異なる標的に独立に作用することを仮定しているBliss independenceモデルに基づいている。Bliss independenceモデルにおける一連の予測される部分的応答faABを、faAB=faA+faB-faA・faBとして算出するが、faAおよびfaBは、考えられる応答の部分、例えば、量がそれぞれdAおよびdBの化合物AおよびBの%阻害を表し、量が(dA+dB)での化合物AとBとの組合せの%阻害を表す。faAB>faA+faB-faA・faBの場合はBliss相乗作用があり、faAB<faA+faB-faA・faBの場合はBliss拮抗作用がある。95%相乗作用/拮抗作用の大きさとは、観察された阻害間の差の総和であり、Bliss independenceモデルにおけるfaABの予測の95%信頼限界である。表1は、Bliss Independence解析の結果について、大きさおよび対応する大きさの説明を示す。Mac Synergy IIをデータ解析に使用した。
【0058】
【0059】
実施例3:RSVアッセイ組合せ実験
組合せのRSVに対する抗ウイルス効果を評価するために、JNJ-53718678(「化合物A」)と、作用機序の異なる種々の化合物(「化合物B」)とを用いてin vitro組合せ試験を行った。手短に言えば、9種の濃度の化合物Aを、6種または7種の濃度のある特定の化合物Bと組み合わせた。種々の濃度の化合物Aと化合物Bとを個々にまたは組み合わせて存在させて、HeLa細胞を、eGFPをコードする遺伝子組換えRSV株であるrgRSV224に感染させた(Hallak LK,Spillmann D,Collins PL,Peeples ME.Glycosaminoglycan sulfation requirements for respiratory syncytial virus infection;Journal of Virology(2000),74(22),10508-13)。
【0060】
化合物原液は100%DMSO中5mMとし、以下を例外とした:リバビリン、20mM;A60444、10mM;CR9501、PBS中141μM;パリビズマブ、PBS中156μM;MDT637、メタノール中100μM。最初に、化合物をDMSOに段階希釈して3倍希釈系列にし、CR9501およびパリビズマブは細胞培養培地に段階希釈し、MDT637はメタノールに段階希釈した。この濃度系列を細胞培養培地に100倍希釈して組合せマトリックスを得た。これらの化合物溶液10μLを、底部が透明の黒色384ウェルの組織培養処理したプレートに移した。次に、mL当たり150000細胞のHeLa細胞懸濁液10μLを添加して、ウェル当たり3000細胞にした。最後に、希釈ウイルスストック10μLを添加してMOIを1にした。すべてのウェルの最終DMSO濃度を0.5%DMSOとし、例外としてMDT637実験では0.25%DMSO+0.25%メタノールとした。化合物濃度の各組合せを3つの別々のプレートに4レプリケートで試験し、これにより全部で12レプリケートとした。プレートを、加湿した5%CO2雰囲気下にて37℃で3日間インキュベートした。GFPシグナルをPerkinElmer EnVision装置で405nmフィルターを使用して測定した。
【0061】
統計解析については、観察されたGFPシグナルを、対応するプレートのウイルス対照(VC)および細胞対照(CC)を使用して正規化した:応答=(GFP-CC)/(VC-CC)であり、CCをすべてのブランクウェル(ウイルスなし)の中央値GFPとして計算し、VCをすべての対照ウェル(化合物なし)の中央値GFPとして計算した。
【0062】
Harbronの方法(Statistics in Medicine,2010,DOI:10.1002/sim3916)を使用して相乗作用を評価した。Loeweの定義を使用して、2種の化合物を:
【数1】
によって、相加、相乗または拮抗と特徴づける。
【0063】
式中、d1およびd2は、組み合わされて有効性yを生じさせる2種の化合物の用量を表し、Dy,1およびDy,2は、単剤治療として投与された場合に同等の有効性yを生じさせる2種の化合物の用量を表す。3PLモデル(3-パラメーター対数ロジスティックモデル)を単剤治療の用量-応答データについて使用し、ベースライン応答を1に固定した。
【0064】
Harbronの方法に従って、以下のモデルをデータにフィットさせた。
「相加的」:2種の化合物間に相互作用はないと仮定
「一様性」:すべての用量の組合せにおいて一定の相互作用指数τを仮定
「線形のA」:相互作用指数は化合物Aのlog10用量に線形に従属すると仮定:τ=τ1+τ2log10(dA)
「個別のA」:相互作用指数τは化合物Aの各用量について個別の値をとると仮定
後の2つのモデルは化合物Bについても考慮される:
「線形のB」:相互作用指数は化合物Bのlog10用量に線形にτ従属すると仮定:τ=τ1+τ2log10(dB)
「個別のB」:相互作用指数τは化合物Bの各用量について個別の値をとると仮定
【0065】
「個別のA」モデルを、赤池情報量規準(AIC)に基づき、試験したすべての組合せについて選択した。化合物Aと種々の化合物Bとの組合せの試験結果を以下に報告する。
【0066】
組合せ:化合物A、および化合物Bとしてプルモサイド(pulmocide)化合物(N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド)
【0067】
【0068】
表3は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.57nM以上の用量でかなりの程度の相乗作用が現れる。概して、相乗作用の程度は用量レベルの増加に伴って高くなり、5.1~139nMあたりでプラトーになる。
【0069】
【0070】
組合せ:化合物A、および化合物Bとしてパリビズマブ
【0071】
【0072】
表5は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。このモデルは、化合物Bの3PLモデルの勾配を、単剤治療のフィットから得られた推定値に固定することにより、フィットさせたことに留意されたい。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、考慮した用量レベルのすべてにおいてかなりの程度の相乗作用が現れる。概して、相乗作用の程度は用量レベルの増加に伴って高くなり、5.1~139nMあたりでプラトーになる。
【0073】
【0074】
組合せ:化合物A、および化合物BとしてAZ-27
【0075】
【0076】
表7は、「個別のA」モデルの95%CIでの相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、考慮した用量レベルのすべてにおいてかなりの程度の相乗作用が現れる。概して、相乗作用の程度は用量レベルの増加に伴って高くなり、5.1~139nMあたりでプラトーになる。
【0077】
【0078】
組合せ:化合物A、および化合物BとしてGS-5806
【0079】
【0080】
表9は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.57~15nMの用量においてかなりの程度の相乗作用が現れる。最高濃度での相互作用指数は評価不可であったことに留意されたい。
【0081】
【0082】
組合せ:化合物A、および化合物BとしてMDT-637
【0083】
【0084】
個別のAモデルについて、2種の最高濃度での相互作用指数は評価不可であった(τ8およびτ9)が、結果は局所最適に基づいていることに留意されたい。表11は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.19~15nMの用量においてかなりの程度の相乗作用が現れる。
【0085】
【0086】
組合せ:化合物A、および化合物Bとして4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)-エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン
【0087】
【0088】
化合物Bの単剤治療データに相当する第3のプレートのカラム1に製造誤差があり、これらのデータは解析では無視した(12ではなく10レプリケートになった)ことに留意されたい。表13は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.57~46nMの濃度においてかなりの程度の相乗作用が現れる。
【0089】
【0090】
組合せ:化合物A、および化合物Bとしてモノクローナル抗体CR9501
【0091】
【0092】
表15は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、すべての濃度においてかなりの程度の相乗作用が現れる。
【0093】
【0094】
組合せ:化合物A、および化合物Bとしてリバビリン
【0095】
【0096】
表17は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。下限をゼロに固定した2PLモデルを化合物Bの単剤治療データにフィットさせたことに留意されたい。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.19~139nMの濃度においてかなりの程度の相乗作用が現れる。
【0097】
【0098】
組合せ:化合物A、および化合物BとしてA-60444
【0099】
【0100】
表19は、「個別のA」モデルの95%信頼区間(CI)での相互作用指数(τ)推定値を示す。下限をゼロに固定した2PLモデルを化合物Bの単剤治療データにフィットさせたことに留意されたい。相乗作用の程度は化合物Aの用量によって変動することが可能であり、0.57~139nMの濃度においてかなりの程度の相乗作用が現れる。
【0101】
【表24】
本発明は以下を提供する。
[1]
RSV感染症の処置または改善に使用するための、
化合物Aとして、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩と、
リバビリン、GS-5806、MDT-637、BTA-9881、BMS-433771、YM-
53403、A-60444、TMC-353121、RFI-641、CL-387626、MBX-300、AZ-27、MEDI8897、CR9501、パリビズマブ、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)-プロピル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル}メチル)-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、3-[[7-クロロ-3-(2-エチルスルホニル-エチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル]-1-シクロプロピル-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはその薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bと
を含む組合せ。
[2]
化合物Bが、リバビリン、GS-5806、MDT-637、A-60444、AZ-27、CR9501、パリビズマブ、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンから選択される、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[3]
化合物Bがリバビリンである、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[4]
化合物BがGS-5806である、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[5]
化合物BがMDT-637である、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[6]
化合物BがYM-
53403である、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[7]
化合物BがA-60444である、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[8]
化合物BがMEDI8897、CR9501およびパリビズマブから選択されるモノクローナル抗体である、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[9]
化合物BがN-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミドである、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[10]
化合物Bが4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオンである、上記[1]に記載の使用のための組合せ。
[11]
化合物Aの量および化合物Bの量が、RSVに対する相乗的な抗ウイルス効果が得られるような量である、上記[1]~[10]のいずれかに記載の使用のための組合せ。
[12]
化合物Aの量が10mg~2500mgの範囲であり、化合物Bの量が10mg~2500mgの範囲である、上記[10]に記載の使用のための組合せ。
[13]
上記[1]~[12]のいずれかに記載の組合せと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
[14]
RSV感染症を処置または改善する方法を必要とする対象におけるRSV感染症を処置または改善する方法であって、化合物Aとして、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-インドール-2-イル}メチル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オンまたはその薬学的に許容される塩と、リバビリン、GS-5806、MDT-637、BTA-9881、BMS-433771、YM-
53403、A-60444、TMC-353121、RFI-641、CL-387626、MBX-300、AZ-27、MEDI8897、CR9501、パリビズマブ、3-({5-クロロ-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル}メチル)-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、3-[[7-クロロ-3-(2-エチルスルホニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル]-1-シクロプロピル-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン、N-(2-フルオロ-6-メチルフェニル)-6-(4-(5-メチル-2-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ニコチンアミド)ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b]チエノ[2,3-d]アゼピン-2-カルボキサミド、および4-アミノ-8-[3-[[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]プロピル]-6,6-ジメチル-2-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-h]イソキノリン-7,9(6H,8H)-ジオン、またはこれらのいずかの薬学的に許容される塩から選択される1種または複数種の化合物Bとを含む組合せを、治療有効量で前記対象に投与するステップを含む方法。
[15]
化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの前記組合せが、単一の医薬組成物に製剤化される、上記[14]に記載の方法。
[16]
化合物Aと1種または複数種の化合物Bとの前記組合せが、化合物Aを含む別個の医薬組成物、および1種または複数種の化合物Bを含む別個の医薬組成物として製剤化され、
それにより、前記医薬組成物が同時にまたは逐次的に投与される、上記[14]に記載の方法。
[17]
RSV感染症の処置または改善に使用するための医薬品を製造するための上記[1]~[12]のいずれかに記載の組合せの使用。
[18]
RSV感染症の処置または改善に使用するための医薬品を製造するための上記[13]に記載の医薬組成物の使用。