(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】光結合素子及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2018547181
(86)(22)【出願日】2017-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2017032420
(87)【国際公開番号】W WO2018079091
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2016207650
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】尾山 雄介
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0036493(US,A1)
【文献】特開平10-303455(JP,A)
【文献】特開2010-237642(JP,A)
【文献】特開平09-325246(JP,A)
【文献】特開昭55-077709(JP,A)
【文献】特開2007-025143(JP,A)
【文献】特開2005-031556(JP,A)
【文献】特開2008-015224(JP,A)
【文献】特開2007-079267(JP,A)
【文献】特開2004-326066(JP,A)
【文献】特開2002-040305(JP,A)
【文献】特開平08-201666(JP,A)
【文献】米国特許第07393145(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26- 6/34
G02B 6/42- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射光を発する発光部と、外部からの入射光を受光し前記入射光の光軸上に配置された前記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備えた受発光素子と、
前記入射光の光軸付近の入射光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる光学素子と
を具備
し、
前記光学素子は、前記入射光の光軸付近の光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる第1の曲面と、前記入射光の他の光を前記光軸に接近するように屈折させ前記受光部に入射させる第2の曲面とを有するレンズを備え、
前記レンズは、その中心が前記入射光の光軸上に位置し、一方の面の中央域に前記レンズを厚み方向に貫通しない窪みを有し、
前記レンズの前記一方の面は、中心に向かって前記レンズの厚みが漸減する前記第1の曲面と、外方に向かって前記レンズの厚みが漸減する前記第2の曲面を有する
光結合素子。
【請求項2】
請求項
1に記載の光結合素子であって、
前記受光部はリング形状を有する
光結合素子。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記レンズと、前記レンズが一方の面に配置された基板と、前記基板の他方の面に配置された前記出射光を平行光とするレンズを具備する
光結合素子。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の光結合素子であって、
前記発光部から発せられ前記光学素子を通過した前記出射光及び前記光学素子に入射する前の前記入射光の光路を変換する光路変換素子を
更に具備する光結合素子。
【請求項5】
請求項
1に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記出射光が入射され前記入射光が出射される入出射面と、前記出射光及び前記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
前記入出射面は、
前記レンズを構成する凸部を有する
光結合素子。
【請求項6】
請求項
1に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記出射光が入射され前記入射光が出射される入出射面と、前記出射光及び前記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
前記反射面は、
前記レンズを構成する凸部を有する
光結合素子。
【請求項7】
光配線と、
出射光を発する発光部と前記光配線からの入射光を受光し前記入射光の光軸上に配置された前記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備える受発光素子と、前記入射光の光軸付近の入射光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる光学素子とを有する光結合素子
を具備
し、
前記光学素子は、前記入射光の光軸付近の光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる第1の曲面と、前記入射光の他の光を前記光軸に接近するように屈折させ前記受光部に入射させる第2の曲面とを有するレンズを備え、
前記レンズは、その中心が前記入射光の光軸上に位置し、一方の面の中央域に前記レンズを厚み方向に貫通しない窪みを有し、
前記レンズの前記一方の面は、中心に向かって前記レンズの厚みが漸減する前記第1の曲面と、外方に向かって前記レンズの厚みが漸減する前記第2の曲面を有する
光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光結合素子、これを用いた光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ等の光配線を用いた光通信システムには、例えば一芯双方向光通信モジュールが用いられている。一芯双方向通信モジュールは、光学フィルタを用いて受信用の光路と送信用の光路の分岐を行っている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような構造の通信モジュールでは、構造的に大きくなってしまい、短距離光通信には向いていない。
これに対して、小型化を目的として受光素子と面発光素子とを積層した構造が考えられている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-351608号公報
【文献】特開2012-209345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受光素子と面発光素子とが積層された構造では、光ファイバから受光素子に入射される光信号は面発光素子にも入射され、受光素子の光信号の光受光率が悪く、通信の品質が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、光ファイバからの光信号を効率よく受光し、通信品質が向上した光結合素子、これを用いた光通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一形態に係る光結合素子は、受発光素子と、光学素子とを具備する。
上記受発光素子は、出射光を発する発光部と、外部からの入射光を受光し前記入射光の光軸上に配置された前記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備える。
上記光学素子は、上記入射光の光軸付近の入射光を上記光軸から離間するように屈折させ上記受光部に入射させる。
【0007】
上記光結合素子において、出射光が通る光通過部が出射光の光軸上に位置するように受光部と発光部とが配置されていても、光軸付近の入射光を光軸から離間するように屈折させ受光部に入射させるよう光学素子が構成されているため、発光部への入射光の入射を減少させ、受光部への入射光の入射を増加させることができる。したがって、このような光結合素子を用いた光通信では安定した受信を行うことができる。
【0008】
上記光学素子は、上記入射光を上記受光部に入射させてもよい。
【0009】
上記受光部はリング形状を有してもよい。
【0010】
出射光が通る光通過部が出射光の光軸上に位置するように受光部と発光部とが配置されているので、光軸と直交する面に発光部及び受光部を投影したときに発光部を囲んで受光部が位置する。このように光通過部が中央部に位置する受光部をリング形状としてもよく、光学素子によりリング状に集光される入射光は効率よく受光部に入射され、発光部には入射光の入射がほとんどない。
【0011】
上記光学素子は、上記入射光の光軸付近の光を上記光軸から離間するように屈折させ上記受光部に入射させる第1の曲面と、上記入射光の他の光を上記光軸に接近するように屈折させ上記受光部に入射させる第2の曲面とを有するレンズを備えてもよい。
【0012】
このように、第1の曲面と第2の曲面を有する二曲面レンズを備える光学素子とすることができ、第1の曲面及び第2の曲面により入射光をリング状に受光部に集光させることができる。
【0013】
上記光学素子は、上記レンズと、上記レンズが一方の面に配置された基板と、上記基板の他方の面に配置された上記出射光を平行光とするレンズを具備してもよい。
【0014】
上記発光部から発せられ上記光学素子を通過した上記出射光及び上記光学素子に入射する前の上記入射光の光路を変換する光路変換素子を更に具備してもよい。
【0015】
上記光学素子はフレネルレンズであってもよい。
【0016】
上記光学素子は屈折率分布型レンズであってもよい。
【0017】
上記光学素子は液晶レンズであってもよい。
【0018】
上記光学素子は、上記出射光が入射され上記入射光が出射される入出射面と、上記出射光及び上記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
上記入出射面は、上記入射光の光軸付近の光を上記光軸から離間するように屈折させ上記受光部に入射させる第1の曲面と、上記入射光の他の光を上記光軸に接近するように屈折させ上記受光部に入射させる第2の曲面とを有してもよい。
【0019】
上記光学素子は、上記出射光が入射され上記入射光が出射される入出射面と、上記出射光及び上記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
上記反射面は、上記入射光の光軸付近の光を上記光軸から離間するように屈折させ上記受光部に入射させる第1の曲面と、上記入射光の他の光を上記光軸に接近するように屈折させ上記受光部に入射させる第2の曲面とを有してもよい。
【0020】
本技術の一形態に係る光通信システムは、光配線と光結合素子とを具備する。
上記光結合素子は、受発光素子と、光学素子とを有する。上記受発光素子は、出射光を発する発光部と上記光配線からの入射光を受光し上記入射光の光軸上に配置された上記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備える。上記光学素子は、上記入射光の光軸付近の入射光を上記光軸から離間するように屈折させ上記受光部に入射させる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本技術によれば、外部からの出射光の発光部への入射を減少させ、効率よく出射光を受光部に集光させることができるので、光通信特性の優れた光結合素子及び光通信システムを提供することができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本技術に係る光結合素子の主要部分の基本構成を示す図である。
【
図2】本技術に係る光結合素子の発光部と受光部との位置関係を示す概略図である。
【
図3】本技術に係る第1実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図4】本技術に係る第2実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図5】本技術に係る第3実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図6】本技術に係る第4実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図7】本技術に係る第5実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図8】本技術に係る第6実施形態の光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【
図9】第1実施形態に係る光結合素子の断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る光結合素子をアレイ状に複数設置した光モジュールの基本構成を示す概略分解斜視図である。
【
図11】第1実施形態に係る光結合素子を用いた光通信の、受信時、送信時それぞれにおける光線の様子を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る光結合素子を用いた場合の光通信の光受光率を示す図である。
【
図13】第6実施形態の光結合素子を用いた光通信の、受信時、送信時それぞれにおける光線の様子を示す図である。
【
図14】本技術に係る光結合素子を用いた光通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。本技術は、光伝送路として一芯光ファイバなどの光配線を用いた一芯双方向光通信システム、これに用いられる光結合素子に関するものであり、短距離光通信に最適な光結合素子を提供するものである。
【0024】
[光結合素子の基本構成]
図1は、本技術の後述する各実施形態に係る光結合素子の基本構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、光結合素子1は、受発光素子3と、光学素子2とにより構成される。光結合素子1は受光素子31と発光素子(後述する
図9における符号32)が積層された構造を有した、双方向伝送通信用の光結合素子である。光結合素子1の光学素子2側に光ファイバが配置されて、通信が行われる。
【0026】
受発光素子3は、受光素子31と、発光部32aを有する発光素子とからなる。
【0027】
受光素子31は、例えばフォトダイオードからなる受光部31aを有する。受光部31aには、外部からの入射光91(91a及び91b)である光ファイバ(図示せず。)から送信された入射光91が光学素子2を通って入射される。受光素子31の中央部には入射光91の光軸93の方向に沿って貫通した貫通孔である光通過部33が形成されている。
【0028】
発光部32aは例えば面発光レーザ素子からなり、レーザ光(出射光)92(92a及び92b)を発する。発光部32aから発せられたレーザ光(出射光)92は、受光部31aの光通過部33を通り、光学素子2を通って光ファイバへ向けて出射される。発光部32aには、面発光レーザ素子を含む半導体レーザ以外に、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンス素子等を用いてもよい。
【0029】
入射光91の光軸と出射光92の光軸とは一致するように光結合素子1は設計される。受光部31aと発光部32aとは同一光軸93上に積層して配置され、発光部32aの中心と受光部31aの中心は光軸93上に位置する。
【0030】
図2は、受光部31a及び発光部32aを光軸93と直交する面に投影した投影図である。
図2に示すように、受光部31aは、入射光91(91a及び91b)の光軸93と直交する面に投影した形状がリング状となるように形成される。リング状の受光部31aの中央部は、平面形状が円形の光通過可能な光通過部(貫通孔)33となっており、受光部31aの中心、すなわち光通過部33の中心は、入射光91の光軸93上に配置される。発光部32aは光通過部33に位置するように配置される。
【0031】
尚、受光部31aの形状はリング状に限定されず、投影図において発光部32aを囲むように複数の島状の受光部31aが位置するようにしてもよい。また受光部31a及び発光部32aの投影図における外形は円形であるが、これに限定されず例えば矩形状であってもよい。
【0032】
光ファイバからの入射光91は、光ファイバ側に設けられた集光レンズ(後述する
図11、符号43)によって平行光となり、光結合素子1に入射される。平行光となった入射光91のうち光軸付近の光である入射光91aは、光学素子2によって光軸93から離間するように屈折させられる。また、入射光91の光軸付近の光以外のその他の入射光91bのほぼ大部分は、光学素子2によって光軸93に接近するように屈折させられる。
【0033】
このように光学素子2を構成することにより、入射光91は、光学素子2によってリング状に集光されてリング状の受光部31aに入射され、発光部32aにはほとんど入射されない。従って、受光部31aの光受光率が高くなり、このような光学結合素子を用いた光通信では安定した受信を行うことができる。
【0034】
また、上述のように光学素子2を構成することにより、発光部32aから発せられるレーザ光がミラーや光ファイバ端面で反射し、再び発光部32aに向かって戻ってきても、この戻り光は、発光部32aにはほとんど入射されない。従って、戻り光の再注入によって、レーザ共振器の状態が不安定になり、出力が変動するということがない。
【0035】
また、光結合素子1は、受光部31aの光通過部33に対応して発光部32aが配置されて、受光部31aと発光部32aとが積層して構成されているので、小型化が可能であり、短距離光通信に最適である。
【0036】
なお、
図1及び後述する
図3、
図4、
図5、
図8において、光の屈折の方向をわかりやすくするために、光を示す矢印の数を数本としている。そして、光軸93から離間するように入射光91を屈折させる光学素子2の領域に入射する入射光を91a、出射光を92aと符号を付した。また、光軸93に接近するように入射光91を屈折させる光学素子2の領域に入射する入射光を91b、出射光を92bと符号を付した。
【0037】
また、これらの各図において、便宜上、光学素子2の光軸93を境にした右側に出射光92(92a及び92b)を図示し、左側に入射光91(91a及び91b)を図示したが、実際には、出射光92も入射光91も光軸93を回転対象軸とした光分布を有する。
【0038】
次に、上述した、入射光91をリング状に受光部31aに集光させる光学素子2の具体的な構造について、第1~6実施形態及びその他の実施形態を例にあげて以下に説明する。
【0039】
(第1実施形態)
第1実施形態の光結合素子及びこれを用いた光モジュールについて説明する。以下、上述した構成と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0040】
[光結合素子]
第1実施形態の光結合素子について
図3を用いて説明する。
図3は、第1実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。
【0041】
図3に示すように、光結合素子100は、受発光素子3と、光学素子としてのレンズ基板102とにより構成される。
【0042】
レンズ基板102は、光を透過する透明のガラス基板である支持基板1021と、該支持基板1021の一方の面(通信時、光ファイバ側に位置する面)に形成された二曲面レンズ1022を有する。二曲面レンズ1022は例えば樹脂成型により形成される。また、二曲面レンズ1022を支持する支持基板1021としてガラス基板ではなく透明樹脂を用いてもよく、支持基板1021と二曲面レンズ1022を樹脂で一体射出成型して形成してもよい。レンズ基板の材質、形成方法についてはこれらに限定されない。
【0043】
二曲面レンズ1022はその中心が光軸93上に位置し、一方の面(支持基板1021側の面)は平面、他方の面は中央部がやや窪んだレンズ形状をしている。二曲面レンズ1022は、その中央部付近が二曲面レンズ1022の中心に向かって窪む第1の曲面1022aと、第2の曲面1022bとを有するレンズである。第1の曲面1022a及び第2の曲面1022bは光軸93に回転対称で形成される。
【0044】
光軸93の周囲にある第1の曲面1022aが形成される領域は、光軸93に直交する面にリング状の受光部31aを投影したときの受光部31aの外形とほぼ一致している。
【0045】
光ファイバからの入射光91は、光ファイバ側に設けられた集光レンズ(後述する
図11、符号43)によって平行光となり、レンズ基板102に入射される。レンズ基板102を通過することによって、入射光91のうち光軸付近の入射光91aは二曲面レンズ1022の第1の曲面1022aにより光軸93から離間するように屈折し、その他の入射光91bは第2の曲面1022bによって光軸93に接近するように屈折する。
【0046】
図11は第1実施形態の光結合素子100を用いた光通信時の、受信、送信それぞれにおける光線の様子を示す図である。
図11Aは受信時の様子、すなわち光ファイバからの入射光91を受光素子31の受光部31aが受光する様子を示す。
図11Bは送信時の様子、すなわち発光素子32の発光部32aから発せられる出射光92が光ファイバへ送信される様子を示す。
図11Cは
図11Aの点線で囲んだ領域の拡大図である。
【0047】
図11A及び
図11Bにおいて、符号42は光ファイバ、符号41は光ファイバ保持部材、符号43は集光レンズを示し、光ファイバ42は光ファイバ保持部材41より保持される。集光レンズ43は、光ファイバ42からの入射光91を平行光にし、発光素子32から発せられ光結合素子100を通過した出射光92を集光し光ファイバ42へ出射する。
【0048】
図11A及び
図11Cに示すように、受信時、光ファイバ42からレンズ基板102に入射する入射光91のうち光軸93付近の入射光91aは第1の曲面1022aによって光軸93から離間するように屈折する。第2の曲面1022bに入射する入射光91bは光軸93に近づくように屈折する。入射光91はリング状に受光部31aに集光され、光通過部(貫通孔)33への入射光91の入射が低減される。従って、受光部31aの光受光率が高くなり、光通信での受信が安定する。
【0049】
図11Bに示すように、異なる2つの曲面を有する二曲面レンズ1022を用いる場合においても、送信時、発光部32aから発せられる出射光92の広がり角は、二曲面レンズ1022により小さくすることができる。従って、光ファイバ42への結合損失を、通常の集光レンズを用いる場合と同等近くに維持することができる。
【0050】
図12は、本実施形態の二曲面レンズ1022を備えた光結合素子を用いる場合(図上、対策ありに相当)と、中央部に窪みのない通常の集光レンズを光結合素子に用いる場合(図上、対策なしに相当)との光受光率の比較例を示す。
【0051】
図12に示すように、光ファイバ42からの入射光91を受光部で受光する受信時では、本実施形態の二曲面レンズ1022を用いる場合の方が、通常の集光レンズを用いる場合よりも、光受光率が大幅に向上していることがわかる。
【0052】
他方、発光部32aから出射光を発する送信時では、本実施形態の二曲面レンズ1022を用いる場合の方が通常のレンズを用いる場合よりも若干効率が悪くなっているもののほとんど変わらず、本実施形態の二曲面レンズ1022を用いた場合においても光ファイバ24への結合損失を通常の集光レンズを用いる場合と同等近く維持することができる。
【0053】
このように2つの異なる第1の曲面1022a及び第2の曲面1022bを有する二曲面レンズ1022を設けることにより、光ファイバ42からレンズ基板102に入射する入射光91のほとんどは、リング状の受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。従って、受光部31aの光受光率が向上し、このような光学結合素子を用いた光通信での受信が安定する。
【0054】
[光結合素子の構造]
次に
図9を用いて光結合素子100の詳細な構造について説明する。
図9は光結合素子100の断面図である。
【0055】
図9に示すように、光結合素子100は、受発光素子3と、レンズ基板102と、マザー基板8を備える。受発光素子3とレンズ基板102は光透過可能な接着層61によって貼りあわされている。受発光素子3は、マザー基板8にバンプ71及び73を介して電気的に接続する。
【0056】
受発光素子3は、受光素子31と、該受光素子31上に形成された接続孔62を有する絶縁層65と、該絶縁層65上に形成された配線層63及び67と、これら配線層を覆う絶縁層66と、発光部32aを有する発光素子32とを有する。
【0057】
受光素子31と配線層63は接続孔62を介して電気的に接続し、更に配線層63とマザー基板8とはパッド部64及びバンプ71を介して電気的に接続する。発光素子32はバンプ72及びパッド部64を介して配線層67と電気的に接続し、配線層67は、パッド部68及びバンプ73を介してマザー基板8と電気的に接続する。
【0058】
絶縁層65は光を透過し、光通過可能となっている。絶縁層66は、発光部32aに対応する領域が貫通孔66aになっており光通過可能となっている。発光部32a、貫通孔66a、光通過部33は光軸93上に位置するように配置される。
【0059】
[光モジュールの構造]
上述の光結合素子100は複数アレイ状に配置して光通信に用いられるのが一般的である。
図10を用いて、上述の光結合素子100が複数アレイ状に配置された光モジュール(双方向光通信モジュール)の構造について説明する。
図10は光モジュール10の概略分解斜視図である。上述と同様の構造については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0060】
光モジュール10は、複数の光結合素子100がアレイ状に配置されてなる光結合素子アレイ1000と、光ファイバアレイ4とを有する。光ファイバアレイ4は、6つの光ファイバ42と、光ファイバ42を保持する光ファイバ保持部材41と、各光ファイバ42に対応して配置された6つの集光レンズ(図示せず。
図11の符号43に該当。)を有する。
【0061】
光結合素子アレイ1000は、レンズアレイ基板1020と、受発光素子アレイ基板30とを有する。レンズアレイ基板1020は、支持基板1021と、該支持基板1021の光ファイバアレイ4側の一方の面にアレイ状に6つ配置された二曲面レンズ1022とを有する。受発光素子アレイ基板30は、3つの発光部32aが配置された2つの発光アレイ素子320と、3つの受光部31aが配置された2つの受光アレイ素子310とからなる。
【0062】
各発光部32a、各受光部31a及び各二曲面レンズ1022は、それぞれ対応して、各光軸93上に配置される。また各光軸93が、各光ファイバ42の長手方向と直交する面における中心に位置するように、各光ファイバ42と光結合素子アレイ1000の各二曲面レンズ1022とは対応して配置される。
【0063】
尚、ここでは、入射光91及び出射光92の光路が変換されない場合を例にあげたが、光結合素子アレイ1000と光ファイバアレイ4との間に光路を90度変換する光路変換素子を設けてもよい。また、光モジュールに第1実施形態に係る光結合素子100を用いた場合を例にあげたが、後述する各実施形態の光結合素子200、300、400、500、600を光モジュールに適用することも当然のことながら可能である。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態の光結合素子について
図4を用いて説明する。
図4は、第2実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。本実施形態では、第1実施形態と比較して光学素子の構造が異なる点が相違する。以下、上述に挙げた同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0065】
図4に示すように、光結合素子200は、受発光素子3と、光学素子としてのフレネルレンズ基板202とにより構成される。
【0066】
フレネルレンズ基板202は、光を透過する透明の支持基板である支持基板2021と、該支持基板2021の一方の面に形成されたフレネルレンズ2022を有する。尚、支持基板2021とフレネルレンズ2022を樹脂で一体射出成型して形成してもよい。
【0067】
フレネルレンズ2022はその中心が光軸93上に位置する。フレネルレンズ2022は複数の輪帯の溝を有する。フレネルレンズ2022は、入射光91のうち光軸93付近にある入射光91aを光軸93から離間するように屈折させる第1の領域2022aと、その他の入射光91bを光軸93に接近させるように屈折させる第2の領域2022bを有する。
【0068】
フレネルレンズ2022も、第1の実施形態のレンズ基板102と同様の作用をし、受信時及び送信時に
図11に示すような光線の様子を示す。すなわち、フレネルレンズ2022の中央部付近の第1の領域2022aによって、第1の領域2022aに入射する入射光91aは光軸93から離れるように屈折する。また、フレネルレンズ2022の中央部付近を除く第2の領域2022bによって、第2の領域2022bに入射する入射光91bは光軸93に近づくように屈折する。
【0069】
従って、光結合素子200の外部に位置する光ファイバからの入射光91は、フレネルレンズ2022の第1の領域2022a及び第2の領域2022bによってリング状に受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。したがって、光受光率が向上し、光通信の受信が安定する。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態の光結合素子について
図5を用いて説明する。
図5は、第3実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。本実施形態では、第1実施形態と比較して光学素子の構造が異なる点が相違する。以下、上述に挙げた同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0071】
図5に示すように、光結合素子300は、受発光素子3と、光学素子としての屈折率分布型レンズ302とにより構成される。
【0072】
屈折率分布型レンズ302は円柱形を有し、半径方向(光軸93と直交する方向)で屈折率が変化する屈折率勾配のあるレンズである。図上、ドットを用いて屈折率の大きさを濃淡で表し、色が濃いほど屈折率が高い。
【0073】
図に示すように、光軸93上に位置する屈折率分布型レンズ302の中心が最も屈折率が低くなっている。そして、屈折率分布型レンズ302の光軸93に直交する円形の断面において、円の中心から円の外形に向かって、連続的に屈折率が高くなっていき、続けて更に連続的に屈折率が低くなるように屈折率が変化している。屈折率分布型レンズ302の中心線は光軸93とほぼ一致し、屈折率分布は光軸93対象となっている。
【0074】
屈折率分布型レンズ302の中央部付近(光軸付近)の屈折率が高い領域によって、中央部付近に入射する入射光91a及び中央部付近を出射する出射光92aは、光軸93から離れるように屈折する。また、屈折率分布型レンズ302の中央部付近を除く領域によって、中央部付近を除く領域に入射する入射光91b及び中央部付近を除く領域に出射する出射光92bは、光軸93に近づくように屈折する。従って、光結合素子200の外部に位置する光ファイバからの入射光は、屈折率分布型レンズ302によってリング状の受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。したがって、光受光率が向上し、光通信の受信が安定する。
【0075】
(第4実施形態)
第4実施形態の光結合素子について
図6を用いて説明する。
図6は、第4実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。本実施形態では、第1実施形態と比較して光学素子の構造及び光学素子によって光路が変換される点が相違する。以下、上述に挙げた同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0076】
図6に示すように、光結合素子400は、受発光素子3と、光学素子としての光導波路402とにより構成される。本実施形態における光導波路402は、入射光91及び出射光92の光路を変換するとともに、上述の実施形態と同様に入射光91をリング状に集光してリング状の受光部31aに入射させるものである。
【0077】
光導波路402は光透過型の透明材料から形成される。光導波路402は反射面4021と入出射面4022とを有する。光路変換素子である反射面4021は入出射面4022に対して略45度の傾斜面であり、光導波路402に入射する光を反射し光の光路を90度変換する。入出射面4022は、反射面4021により光路が変換された光ファイバからの入射光91を受光部31aに出射し、また、発光部32aから発せられる出射光92が入射される面である。
【0078】
光ファイバは、光導波路402の入出射面4022に対して90度の面側に配置される。光ファイバからの光は光導波路402に入射し、反射面4021で反射して90度光路変換し、入出射面4022から出射して、受光部31aに入射される。
【0079】
発光部32aから発せられる出射光92は、入出射面4022から光導波路402に入射し、反射面4021で反射して90度光路変換して、光ファイバへと導かれる。
【0080】
入出射面4022には、第1の曲面4023aと第2の曲面4023bとを有する凸部4023が形成されている。この凸部4023の形状は、第1実施形態の、二曲面レンズ1022の第1の曲面1022a及び第2の曲面1022bの形状と同じである。
【0081】
光ファイバからの入射光91のうち光軸付近の入射光91aは、第1の曲面4023aによって光軸から離間するように屈折する。その他の入射光91bは第2の曲面4023bによって光軸に近づくように屈折する。
【0082】
従って、光結合素子400の外部に位置する光ファイバからの入射光91は、第1の曲面4023a及び第2の曲面4023bによってリング状に受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。したがって、光受光率が向上し、光通信の受信が安定する。
【0083】
(第5実施形態)
第5実施形態の光結合素子について
図7を用いて説明する。
図7は、第5実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。本実施形態では、第4実施形態と比較して光学素子の構造が異なり、第1及び第2の曲面が入出射面ではなく反射面に形成されている点が相違する。以下、第4実施形態と相違する点を主に説明し、上述に挙げた同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0084】
図7に示すように、光結合素子500は、受発光素子3と、光学素子としての光導波路502とにより構成される。本実施形態における光導波路502は、入射光及び出射光の光路を変換するとともに、上述の実施形態と同様に入射光91をリング状に集光してリング状の受光部31aに入射させるものである。
【0085】
光導波路502は光透過型の透明材料から形成される。光導波路502は反射面5021と入出射面5022とを有する。反射面5021は入出射面5022に対して略45度の傾斜面であり、入射する光を反射し光の光路を90度変換する。入出射面5022は、反射面5021により光路が変換された光ファイバからの入射光91を受光部31aに出射し、また、発光部32aから発せられる出射光92が入射される面である。
【0086】
反射面5021には、第1の曲面5023aと第2の曲面5023bとを有する凸部5023が形成されている。この凸部5023の形状は、第1実施形態の、二曲面レンズ1022の第1の曲面1022a及び第2の曲面1022bの形状と同じである。
【0087】
光ファイバからの入射光91のうち光軸93付近の入射光91aは、第1の曲面5023aによって光軸93から離間するように屈折する。その他の入射光のうち第2の曲面5023bに入射する入射光91bは光軸93に近づくように屈折する。
【0088】
従って、光ファイバからの入射光91は、第1の曲面5023a及び第2の曲面5023bによってリング状に受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。したがって、光受光率が向上し、光通信の受信が安定する。
【0089】
(第6実施形態)
第6実施形態の光結合素子について
図8を用いて説明する。
図8は、第6実施形態に係る光結合素子の主要部分の基本構成図である。本実施形態は、第1実施形態の光結合素子のレンズ基板にコリメータレンズを追加した構造となっている。以下、上述に挙げた同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0090】
図8に示すように、光結合素子600は、受発光素子3と、光学素子としての
コリメータレンズ付きレンズ基板602により構成される。
【0091】
コリメータレンズ付きレンズ基板602は、支持基板1021と、該支持基板1021の一方の面(通信時、光ファイバ側に位置する面)に配置された二曲面レンズ1022と、支持基板1021の他方の面(受発光素子側の面)に配置されたコリメータレンズ6021とを有する。尚、支持基板1021、二曲面レンズ1022及びコリメータレンズ6021を樹脂で一体射出成型して形成してもよい
【0092】
コリメータレンズ6021は、発光部32aから発せられる出射光92を平行光にするものである。コリメータレンズ6021は、光軸93上に、光通過部(貫通孔)33及び発光部32aに対応して配置される。
【0093】
このように第1実施形態の構成に加え、コリメータレンズ6021を更に具備させることにより、発光部32aからの出射光92の広がりを小さくすることができ、二曲面レンズ1022と光ファイバ側に配置されるレンズ(後述する
図13A及び12Bの符号43)の距離の許容度が広くなり、設計範囲が広くなる。
【0094】
図13は第6実施形態の光結合素子600を用いた光通信の、受信時、送信時それぞれにおける光線の様子を示す図である。
図13Aは受信時の様子、すなわち光ファイバからの入射光を受光部31aが受光する様子を示す。
図13Bは送信時の様子、すなわち発光素子32から発せられる出射光92が光ファイバへ送信される様子を示す。
図13Cは
図13Bの点線で囲んだ領域の拡大図である。
【0095】
図13B及び
図13Cに示すように、送信時、発光部32aから発せられる出射光92は光通過部33を通ってコリメータレンズ6021に入射される。コリメータレンズ付きレンズ基板602に入射した出射光92のうちコリメータレンズ6021に入射した出射光92は平行光となり、支持基板1021及び二曲面レンズ1022を通ってコリメータレンズ付きレンズ基板602から出射する。コリメータレンズ6021に入射されなかった出射光92もコリメータレンズ付きレンズ基板602から出射する。
【0096】
コリメータレンズ付きレンズ基板602から出射した出射光92は、集光レンズ43に集光され、光ファイバ42に送信される。
図13B及び
図13Cに示すように、コリメータレンズ6021を用いることにより、発光部32aからの出射光92の光線の広がりを小さくすることができ、効率よく光ファイバ42に光を集光させ送信することができる。したがって、二曲面レンズ1022と集光レンズ43との距離Gの許容度が広くなり、設計自由度が向上する。
【0097】
図13Aに示すように、コリメータレンズ6021を配置した場合においても、第1実施形態と同様に、光ファイバ保持部材41により保持された光ファイバ42からコリメータレンズ付きレンズ基板602に入射する入射光91のほとんどは、リング状の受光部31aに集光され、発光部32aにはほとんど入射されない。従って、受光部31aの光受光率が高くなり、このような光学結合素子を用いた光通信での受信が安定する。
【0098】
(その他の実施例)
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、種々変更を加え得ることは勿論である。
【0099】
上述の第1~第3及び第6の実施形態において、発光部32aから発せられ光学素子を通過した出射光92及び光学素子に入射する前の入射光91の光路を例えば90度変換する光路変換素子である反射板(光路変換ミラー)を更に配置してもよい。
【0100】
また、第6実施形態においては、第1実施形態に記載する二曲面レンズ1022を有するレンズ基板102にコリメータレンズ6021を搭載させた構造を示したが、これに限定されず、例えば第2~5実施形態に示す光学素子の受発行素子基板側にコリメータレンズを配置する構造としてもよい。
【0101】
また、第1実施形態においては二曲面レンズを用いたが、曲面に限定せず、平面を有していてもよく、リング状に光を集光させる形状であればよい。また、光学素子として、集光作用がある液晶レンズを用いてもよい。
【0102】
[光通信システム]
次に上述の光結合素子を用いた光通信システムについて説明する。
図14は、光通信システム700の一例である。光通信システム700は、上述の光結合素子を備えた光通信装置同士を、光ファイバ42を有する光ファイバーケーブル742で接続して双方向通信を実現する構成である。ここでは光通信装置としてはパーソナルコンピュータ701と携帯電話機702を例に挙げたが、他にカメラ、音楽プレーヤ、ビデオカメラ、プリンタ、ストレージデバイス等を用いることが可能である。
【0103】
このような光通信システム700では、光受光率が向上した光結合素子を用いているので、安定した受信を行うことができる。
【0104】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 出射光を発する発光部と、外部からの入射光を受光し前記入射光の光軸上に配置された前記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備えた受発光素子と、
前記入射光の光軸付近の入射光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる光学素子と
を具備する光結合素子。
(2) 上記(1)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記入射光を前記受光部に入射させる
光結合素子。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光結合素子であって、
前記受光部はリング形状を有する
光結合素子。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかに記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記入射光の光軸付近の光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる第1の曲面と、前記入射光の他の光を前記光軸に接近するように屈折させ前記受光部に入射させる第2の曲面とを有するレンズを備える
光結合素子。
(5) 上記(4)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記レンズと、前記レンズが一方の面に配置された基板と、前記基板の他方の面に配置された前記出射光を平行光とするレンズを具備する
光結合素子。
(6) 上記(1)から(5)のいずれかに記載の光結合素子であって、
前記発光部から発せられ前記光学素子を通過した前記出射光及び前記光学素子に入射する前の前記入射光の光路を変換する光路変換素子を
更に具備する光結合素子。
(7) 上記(2)又は(3)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子はフレネルレンズである
光結合素子。
(8) 上記(2)又は(3)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は屈折率分布型レンズである
光結合素子。
(9) 上記(2)又は(3)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は液晶レンズである
光結合素子。
(10) 上記(2)又は(3)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記出射光が入射され前記入射光が出射される入出射面と、前記出射光及び前記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
前記入出射面は、前記入射光の光軸付近の光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる第1の曲面と、前記入射光の他の光を前記光軸に接近するように屈折させ前記受光部に入射させる第2の曲面とを有する
光結合素子。
(11) 上記(2)又は(3)に記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記出射光が入射され前記入射光が出射される入出射面と、前記出射光及び前記入射光の光路変換をする反射面とを有し、
前記反射面は、前記入射光の光軸付近の光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる第1の曲面と、前記入射光の他の光を前記光軸に接近するように屈折させ前記受光部に入射させる第2の曲面とを有する
光結合素子。
(12) 上記(7)から(9)のいずれかに記載の光結合素子であって、
前記入射光及び前記出射光の光路を変換する光路変換素子を
更に具備する光結合素子。
(13) 上記(1)から(3)、(7)から(12)のいずれかに記載の光結合素子であって、
前記光学素子は、前記出射光を平行光とするレンズを具備する
光結合素子。
(14) 光配線と、
出射光を発する発光部と、前記光配線からの入射光を受光し前記入射光の光軸上に配置された前記出射光が通過する光通過部を有する受光部とを備える受発光素子と、前記入射光の光軸付近の入射光を前記光軸から離間するように屈折させ前記受光部に入射させる光学素子とを有する光結合素子
を具備する光通信システム。
【符号の説明】
【0105】
1、100、200、300、400、500、600…光結合素子
2…光学素子
3…受発光素子
31a…受光部
32a…発光部
33…光通過部(貫通孔)
91…入射光
92…出射光
93…光軸
102…レンズ基板
202…フレネルレンズ基板
302…屈折率分布型レンズ
402、502…光導波路
602…コリメータレンズ付きレンズ基板
700…光通信システム
1021…支持基板
1022…二曲面レンズ
1022a、4023a、5023a…第1の曲面
1022b、4023b、5023b…第2の曲面
2022…フレネルレンズ
4021、5021…反射面
4022、5022…入出射面
6021…コリメータレンズ