(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】炭素/炭素一体型高電力密度ウルトラキャパシタ、及びそのキャパシタからなる電池
(51)【国際特許分類】
H01G 11/82 20130101AFI20220428BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20220428BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20220428BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20220428BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20220428BHJP
【FI】
H01G11/82
H01G11/74
H01G11/80
H01G11/10
H01G11/84
(21)【出願番号】P 2018561976
(86)(22)【出願日】2017-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2017062787
(87)【国際公開番号】W WO2017203040
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-26
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513306442
【氏名又は名称】オーユー スケルトン テクノロジーズ グループ
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】レイス ヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ラヘェール アン
(72)【発明者】
【氏名】ピラカス プリート
(72)【発明者】
【氏名】アルレップ マティ
(72)【発明者】
【氏名】ヌーティネン マッティ
(72)【発明者】
【氏名】パークソン アンティ
(72)【発明者】
【氏名】マディベルク タ-ヴィ
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-103672(JP,A)
【文献】実開昭49-109127(JP,U)
【文献】特開2008-192321(JP,A)
【文献】国際公開第2004/084246(WO,A1)
【文献】特開2008-258596(JP,A)
【文献】特開2004-200118(JP,A)
【文献】特表2005-509284(JP,A)
【文献】特開2008-066075(JP,A)
【文献】中国実用新案第202887989(CN,U)
【文献】実開平06-077160(JP,U)
【文献】特開2001-060534(JP,A)
【文献】中国実用新案第203192894(CN,U)
【文献】国際公開第2015/020453(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/82
H01G 11/74
H01G 11/80
H01G 11/10
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素/炭素一体型高エネルギー密度ウルトラキャパシタであって、
前記ウルトラキャパシタは、片側に底部を有し、もう片側はエンドキャップ(2)で封止されている円筒型の外装ケース(1)を備え、
前記エンドキャップ(2)は第1の電流端子(3)と一体化されており、前記第1の電流端子(3)は、前記ウルトラキャパシタに電解液を充填するための貫通孔(6)を有しており、
前記ウルトラキャパシタは更に、前記エンドキャップ(2)を前記外装ケース(1)から電気的に絶縁するためのシール部材(5)と、前記円筒型の外装ケース(1)内に配置され底面に平坦な正極及び負極を有する電気二重層キャパシタ用の炭素電極(7)と、第2の電流端子(4)と、を備え、
前記円筒型の外装ケース(1)の前記底部には開口部(8)があり、前記開口部(8)を介して、前記第2の電流端子(4)の端子端部は、前記円筒型の外装ケース(1)の外側へと突き出ており、
前記第2の電流端子(4)の端子端部は、前記開口部(8)の縁部に沿って前記円筒型の外装ケース(1)の前記底部に溶接されており、
前記エンドキャップ(2)は、前記ウルトラキャパシタから突出する前記第1の電流端子(3)の端子端部を外へ導くための開口部(9)を有し、
前記エンドキャップ(2)と前記第1の電流端子(3)の端子端部とは、前記開口部(9)の縁部に沿って溶接され、
前記第1の電流端子(3)及び前記第2の電流端子(4)は、いずれもその中心から放射状に延在して星状構造を構成する延在部材(10、20)を具備し、
前記延在部材(10、20)の形状は、下部表面が平坦であり補強リブ(11、21)がその両側縁部に形成されることで断面がU字型であり、
前記延在部材(10、20)の平坦な下部表面と前記平坦な正極又は負極とが、それぞれレーザにより溶接され、
前記第1の電流端子(3)の放射状の延在部材(10)間に、前記貫通孔(6)につながるチャネル(17)が延在していることを特徴とする、ウルトラキャパシタ。
【請求項2】
前記第2の電流端子(4)の端子端部は、前記外装ケース(1)の底部に対して外側に溶接されることを特徴とする、請求項1記載のウルトラキャパシタ。
【請求項3】
前記エンドキャップ(2)はその外縁部に、前記シール部材(5)の厚みに対応する高さを有する段差(12)を有し、
前記エンドキャップ(2)は、前記円筒型の外装ケースの端部の平面の上に延在するカラー(13)を、前記開口部(9)周囲に有し、
前記カラー(13)には接続スリーブ(14)が取り付けられ、そして、前記接続スリーブ(14)の外側直径が前記カラーの直径に対応することを特徴とする、請求項1記載のウルトラキャパシタ。
【請求項4】
前記接続スリーブ(14)はねじ貫通孔(15)を有しており、そして、前記接続スリーブ(14)は前記エンドキャップ(2)の前記カラー(13)に溶接されることを特徴とする、請求項3記載のウルトラキャパシタ。
【請求項5】
前記第2の電流端子(4)の端部はねじ切りされ、
前記電気二重層ウルトラキャパシタをそれぞれ、キャパシタ電池に直列に組み立てることができるように、ねじ切りされた部分の寸法は、前記接続スリーブ(14)の前記ねじ貫通孔(15)の寸法に対応していることを特徴とする、請求項3記載のウルトラキャパシタ。
【請求項6】
前記シール部材(5)はL字状の断面を有するリングであり、そして、前記シール部材(5)のL字状の短い側の突出部で、前記エンドキャップ(2)の外縁部の前記段差(12)は支持され、
前記炭素電極を前記円筒型の外装ケースの中心に配置し、前記炭素電極を前記外装ケースから分離するために、前記シール部材(5)のL字状の長い側の突出部で、円筒型の充填された前記炭素電極を包むことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項記載のウルトラキャパシタ。
【請求項7】
蓄電装置のためのエンドキャップと一体化された電流端子であって、前記電流端子(103)は、中心から放射状に延在して星状構造(100)を構成する延在部材(110)と製造時に前記蓄電装置を電解液で充填するための貫通孔(106)とを具備し、
前記延在部材(110)の形状は、下部表面が平坦であり補強リブ(111)がその両側縁部に形成されることで断面がU字型であり、
前記電流端子の底面では、前記貫通孔(106)から、前記星状構造(100)の前記放射状の延在部材(110)
同士が接触する箇所まで、チャネル(117)が延在していることを特徴とする電流端子。
【請求項8】
前記電流端子の前記放射状の延在部材(110)の底面は、巻回された電極の円筒型ゼリーロール面上で巻き込んだ集電体箔の平坦な端部に溶接されることを特徴とする、請求項7記載の一体化された電流端子。
【請求項9】
前記溶接は、レーザスポット溶接であることを特徴とする、請求項8記載の一体化された電流端子。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のウルトラキャパシタを製造する方法であって、以下のステップを備える。
a)星状構造の上側面に形成される補強リブが外装ケースの底部に取り付けられるよう、そして、第2の電流端子の端子端部が前記外装ケースから突出するように、前記第2の電流端子を前記ウルトラキャパシタの円筒型の前記外装ケース内に配置するステップ
b)円筒型の前記外装ケースの底部に、前記第2の電流端子の端子端部を溶接するステップ
c)円筒型の充填された炭素電極を前記外装ケース内に配置するステップ
d)その後、前記炭素電極の上部を囲むように、シール部材を用いてエンドキャップを取り付けるステップ
e)前記ウルトラキャパシタが封止され密封されるように、円筒型の前記外装ケース内部の上端部をローリングするステップ
f)第1の電流端子の孔を介してウルトラキャパシタに電解液を充填し、それから、前記孔をキャップで封止するステップ
g)接続スリーブを第1の電流端子に溶接するステップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒型の外装ケースを有する炭素複合電極を備える一体型高エネルギー密度電気二重層ウルトラキャパシタと、そのウルトラキャパシタからなる電池とに関する。
【背景技術】
【0002】
二重層キャパシタ(コンデンサ)のさまざまな構造は、従来技術により公知である。
2012年4月16日に公開されたOU Skeleton Technologiesによるエストニア特許出願公開第EE05629号では、本発明の発明者が、プリズム二重層キャパシタについて記載している。これまでの円筒二重層キャパシタに関する主な課題は、電極と電流端子間における接触である。
【0003】
2003年5月15日に公開されたMaxwell Technologies、Inc.による国際公開第03/041097号には、第1端子及び第2端子を備える二重層キャパシタが記載されている。そして、キャパシタ缶に巻回電極構造が配置される。その後キャパシタ缶は、接触端部及び第1のスタッド/集電体によって封止される。第2のディスク/端子柱は、キャパシタ缶の他端に配置される。円筒キャパシタの主な課題は、「ゼリーロール」電極と電流端子間の接触である。
【0004】
2009年7月16日に公開されたMaxwell Technologies、Inc.による米国特許出願公開第2009/0180238号には、対向面を有する第1の集電体と第2の集電体とを備える二重層蓄電装置について記載されている。第1及び第2の電極構造は、対応する集電体の対向する側に隣接して配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】エストニア特許出願公開第EE05629号
【文献】国際公開第03/041097号
【文献】米国特許出願公開第2009/0180238号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高比容量かつ高エネルギー密度の炭素/炭素電気二重層キャパシタ(EDLC)に関し、そして、全体に亘って多孔性を有するセパレータによって互いに分離される、負帯電ミクロ/メソポーラス炭素複合電極と、正帯電ミクロ/メソポーラス炭素複合電極とを含む。
【0007】
本発明はまた、高比容量及び高エネルギー密度の円筒型の炭素/炭素EDLCの構造に関し、そして、電気化学系において、効率的な充填密度と低い内部抵抗とを部分的に保証する。
【0008】
本発明は更に、付加的な支持要素なく、EDLCの個別要素を高圧EDLC電池に組み込むことを可能にする円筒型のEDLCの特色に関する。
【0009】
本発明の目的は、低い内部抵抗を有する高電力密度の円筒型ウルトラキャパシタの設計を提供することである。前記目的は、キャパシタの第1の電流端子とエンドキャップ(封口体)とを一体化することよって達成された。そして、第1の電流端子は、電流端子の中心から放射状に延在する脚部又は突起部又は部材と、放射状に延在する部材の縁の一方に形成される補強リブとを有する放射状構造又は星状構造で構成される。
電流端子は、放射状に延在する部材の底部に沿ってキャパシタの電極にレーザ溶接される。キャパシタは有底の外装ケースを備え、その底部には、第2の電流端子の端子端部を外装ケースから外へ突き出すための開口部を備える。前記設計により、従来技術の他のウルトラキャパシタと比較して、よりコンパクトかつ高電力密度のウルトラキャパシタとすることができる。
【0010】
本発明の実施例は、以下の図面とあわせて、詳細な説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による円筒ウルトラキャパシタの半断面図を示す。
【
図2】ウルトラキャパシタ外装ケース、キャパシタエンドキャップ、及び充填された炭素電極との間の充填状態の拡大断面図を示す。
【
図3】本発明による円筒二重層ウルトラキャパシタの別の実施例を示す。
【
図4】高電圧の電池ブロックにおける隣接するウルトラキャパシタの接合箇所の断面図を示す
【
図5A】補強リブを有する星状構造である第1の電流端子の断面図を示し、星状構造の底面で放射状に延在する部材及びリブ及びチャネルの断面である。
【
図5B】補強リブを有する星状構造である第1の電流端子の断面図を示し、星状構造の底面で放射状に延在する部材及びリブ及びチャネルの断面である。
【
図5C】補強リブを有する星状構造である第1の電流端子の断面図を示し、星状構造の底面で放射状に延在する部材及びリブ及びチャネルの断面である。
【
図5D】補強リブを有する星状構造である第1の電流端子の断面図を示し、星状構造の底面で放射状に延在する部材及びリブ及びチャネルの断面である。
【
図6】円筒型の外装ケースを封止するためのウルトラキャパシタのエンドキャップを示す。
【
図7】円筒型の外装ケースを封止するためのウルトラキャパシタのエンドキャップを示す。
【
図8】ウルトラキャパシタに電解液を充填した後の、エンドキャップ、第1の電流端子、キャパシタ外装ケース、装填された炭素電極、シール部材、及び封止キャップの断面部分図を示す。
【
図9】本発明による第2の電流端子の断面部分図を示す。
【
図10】電流端子の中心から放射状に延在する部材を有する星状構造を図式化した、
図9に示される第2の電流端子の上面図を示す。
【
図12】電極対の円筒形ゼリーロール状に巻回された層の略図を示す。
【
図13】本発明により製造される、キャパシタに配置される円筒型のゼリーロールの略図である。
【
図14】高電力密度のウルトラキャパシタに使用される、装填された炭素/炭素電極のゼリーロール状に取り付けられる本発明の電流端子を示す。
【
図15A】蓄電装置(例えば本発明のウルトラキャパシタ)に使用される一体化された電流端子の異なる図を示し、そして、補強リブを有する星状構造である電流端子の部分的な上面図である。
【
図15D】二重層キャパシタを製造する際に、電解液をゼリーロール側に向かわせるためのチャネルを図示するための、電流端子103の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による電気二重層キャパシタは円筒型の外装ケース1を備え、当該円筒型の外装ケース1の片端は封止されて(閉じて)おり、他端もエンドキャップ又は蓋2により封止されている。そして当該エンドキャップ又は蓋2は第1の電流端子3と一体化している(
図1)。
第1の電流端子3は、キャパシタを製造する際に、キャパシタに電解液を充填するための貫通孔6を有する。シール部材5は、円筒型の外装ケース1からエンドキャップ2を電気的に絶縁することを目的とする。円筒型の外装ケースには、炭素/炭素電極7が装填される。円筒型の外装ケース1の封止された端部(底部)には開口部/孔8があり、その開口部/孔8を介して、キャパシタ外装ケース1内に位置する第2の電流端子4の端子端部が突出する。第2の電流端子4の端部は、開口部8の縁部に沿って、外装ケース1の底部に溶接される(
図3)。
【0013】
キャパシタ外装ケースを封止するためのエンドキャップ2は、前記キャパシタから突出する第1の電流端子3の端子端部を外へ導くための開口部/孔9を有する。一方で、エンドキャップ2と第1の電流端子3の端子端部とは、開口部9の縁部に沿って溶接される(
図8)。
エンドキャップ2は、外縁部には段差12を有し、その高さはシール部材5の厚みに対応する。そしてエンドキャップ2は開口部9の周囲に、円筒型の外装ケースの端部の平面の上に拡がる円筒形カラー13を有し、そして、円筒形カラー13の外径に対応する外径を有する接続スリーブ14に取り付けられる。接続スリーブ14はねじ貫通孔15を有し、そして、前記スリーブはエンドキャップ2のカラー13に溶接される。
【0014】
第2の電流端子4の端子端部はねじ切りされ、そのネジ山の寸法は、接続スリーブ14のネジ孔15のネジ山の寸法に対応する。その結果、個々の電気二重層キャパシタを、キャパシタのブロックと直列に接続することができ、すなわち、高電圧電池を組み立てることができる(
図4)。
【0015】
第1の電流端子3(
図5A~5B)は、星状構造の中心から放射状に延在する、矩形の突起部10(又は電流端子の中心から放射状に延在する部材)を有する星状構造を有し、そして、放射状の延在部材10の上側(一方)に補強リブ11が形成され、キャパシタのエンドキャップ2の底部と接触した状態で配置される。
本発明において、用語「星状構造」は詳細には、脚部、又は放射状に延在する部材、又は放射状に電流端子の中心から突出する突起部を備えるものと理解されなければならない。そして前記脚部、又は放射状の延在部材、又は放射状に突出する突起部は、それぞれ電流端子の中心でのみ接続している(
図5B、5D、10を参照)。
【0016】
二重層キャパシタを組み立てる際、電流端子3の星状構造における放射状の延在部材10の底面は、円筒型の外装ケース1に配置される巻回された炭素電極7のゼリーロール状の面上で巻き込んだ集電体箔の平坦になった(flattened)正極又は負極に、それぞれレーザスポット溶接される。
放射状の延在部材10には補強リブ11が形成されており(断面が)矩形状であり、そして、電流端子3の星状構造の上側に放射状に配置される。星状構造である、第1の電流端子3の放射状の延在部材10間では、第1の電流端子3の貫通孔6からチャネル(通路)17が延在する。
キャパシタを製造する際、電流端子3を電極に溶接するときは、これらのチャネル17により電解液がゼリーロール7に向けられる(誘導される)。
【0017】
同様に第2の電流端子4は、放射状に電流端子4の中心から突出する、矩形の延在部材20を有する星状構造を有する。そして、星状構造の突起部20の上側に、円筒型の外装ケース1の底部と接触した状態で配置される補強リブ21が形成されている。
二重層キャパシタを組み立てる際、第2の電流端子4の星状構造の放射状の延在部材10の底面は、円筒型の外装ケース1に配置される巻かれた炭素電極7のゼリーロールの平坦な負極又は正極に、それぞれレーザスポット溶接される。
【0018】
図14及び
図15A~
図15Dには、蓄電装置(例えば高電力密度のウルトラキャパシタ又は前記キャパシタから作られる電池)で使用される一体化された 電流端子が示される。
前記一体化された電流端子は、電流端子103の中心から放射状に延在する、矩形の延在部材110とを備え、「星状構造」(3)を備え、補強リブ111が、延在部材110の上側の縁に形成されている。
【0019】
一体化された電流端子103は、製造の際、電解液を例えば二重層キャパシタに充填するために、貫通孔106を有する。電解液を均一に分配するために、電流端子の底面にはチャネル(通路)117が設けられており、前記チャネルは、貫通孔106から星状構造100の延在部材110同士が接触する箇所まで延びる。
【0020】
ウルトラキャパシタを製造する際、電流端子を電極に溶接するときは、これらのチャネル117により電解液がゼリーロールに向けられる(誘導される)。
【0021】
放射状に延在する電流端子の部材114の底面は、円筒型の、ゼリーロールの面上で巻き込んだ集電体箔の平坦になった端部に溶接される。溶接の際は、レーザー溶接又はレーザスポット溶接を使用することができる。
【0022】
二重層キャパシタを組み立てる際に、第1及び第2の電流端子の円形基部の底面は、円筒型の外装ケース1に配置される装填された円筒型の炭素電極7の正極及び負極にそれぞれレーザスポット溶接された。補強リブ11、21は、電流端子の上側に形成され放射状に配置される。
【0023】
本発明による「星状電流端子」により設けられ、装填された炭素電極のゼリーロールを覆って巻き込んだ集電体箔の平坦になった正極及び負極にそれぞれレーザ溶接される利点は、以下である。
1.集電体箔と電流端子間の低い接触抵抗
2.一般の板状電流端子と比較した重量の軽減
3.電解液を充填する間の余分な空間の節約
【0024】
エンドキャップ2と装填された炭素電極7をキャパシタとを円筒型の外装ケース1から電気的に絶縁するために、シール部材5を用いる。
シール部材5は、L字状の横断面を有するリングでありL字状の短い方の突出部がエンドキャップ2の外縁部の段差12に支持され、そして、L字状の長い方の突出部は、円筒型のに充填された炭素電極の周囲を包む。このように、電極は外装ケースの中央に配置され、外装ケースから分離される。
【0025】
電気二重層キャパシタは、以下のように準備される。
まず、第2の電流端子の薄板状円形基部の上側の補強リブが円筒型の外装ケースの底部で支持されるよう、そして、第2の電流端子の端子端部が外装ケースの外側まで延在するように、第2の電流端子を円筒型の外装ケースに配置する。
第2の電流端子の端子端部は、外装ケースの底部に対して外側に溶接される。
円筒型のに装填された炭素電極は外装ケースに配置され、そして、シール部材が炭素電極の上部を囲むように、円筒型の外装ケースはシール部材によりエンドキャップで封止される。(電極は外装ケースから分離される)
その後、キャパシタを封止し密封するように、円筒型の外装ケースの上部端部が丸められる(ローリングされる)。
キャパシタは製造の際、第1の電流端子の孔6を介して電解液が満たされる、そしてその後、孔は封止キャップ16により封止される。キャパシタに電解液を充填する前か後に、接続スリーブ14は、第1の電流端子の端子端部に溶接される。
【0026】
接着された電極を製造するための実施例
キャパシタの充電可能な陽極(アノード)を用意するために、不規則な非グラファイト構造を有する微小孔構造の合成第1次炭素から抽出された0.85グラムの炭化チタン(H.C.Starck)、及び微小孔構造グラフェン層からなる合成第2次炭素から抽出された0.15グラムの炭化ケイ素(Sika-Tech)が、3mlのエタノールに混合される。
得られた混合物に、8%の高分子バインダ(PTFE、Aldrich、水中60%の分散)が加えられた。混合の後に得られた混合物は、大気圧で約1時間、90℃で乾燥させた。
その後混合物は、厚さ2~3mmのシートに押圧され、そして、ロータリー圧縮機を用いて、段階的に厚さ約90μm(マイクロメータ)及び幅約50mmの炭素活性層フィルムに形成された。
同様に、充電可能な負電極が用意され、1次炭素は、好適にはより高い比表面積で、用いられる。カーボンフィルムは、真空下150℃で乾燥された。乾燥カーボンフィルムは、接着層を用いて幅165mmのアルミニウム箔に接着された(例えば、C209、KDK Corporation、20mm)。
使用される接着層は、予め準備した50%のカーボンブラック及び10%のPVDF(Aldrich)のNMP(Nメチル―2―ピロリドン)溶液である。
その後、電極は片側から活性炭素層が被覆され、100℃で乾燥された。そして、カーボンフィルムは、カーボン層の反対側のアルミストリップ(薄板)の反対側に接着された。その後、得られた両面被覆電極を、真空にて48時間130℃で乾燥させた。
【0027】
活性炭素層を有する両面被覆電極は、カーボンストリップの幅が50mmで、片側の端部から突出する箔の幅が60mmとなるように切断された。
【0028】
幅60mmのセパレータが加工面に配置され、そして、正帯電キャパシタ電極が、セパレータの端部が等しく両側から活性層カーボンフィルムを超すように配置された。
同様に前記電極が第2のセパレータに配置され、そして、その上に、負帯電電極(箔の端部が前出の電極の対向する端部にある)が配置される。
電極及び絶縁テープの片側の端部に、直径5mmの管が取り付けられ、そして、電極及び絶縁テープは、前記管の周りに巻かれる。
外径29mmに仕上げられたこの巻回物はテープで固定され、その後、5mmの管は取り外された。電極より突出する箔は平らに形成され、そして、正極端子のパッケージは、キャパシタの正極電流端子にスポット溶接された。
その後、円筒型のパッケージはキャパシタ外装ケースに挿入され、そして、パッケージの負極端子はキャパシタの負極電流端子にスポット溶接された。第1の電流端子は外装ケース内に配置され、対応するシール部材によって封止され、そして、外装ケースは密封ローリングされた。
【0029】
封止されたキャパシタの電気抵抗はオームメータにより検査され、またその気密性は約5気圧(506,625kPa)のHeガスにより検査された。その後キャパシタは、真空システム(約7mm/Hg)に接続され、72時間、120℃でそのままの状態にしておいた。
【0030】
すべての空気を除去した後に、キャパシタは、アセトニトリル(Aldrich)と、30%のトリエチルメチル・アンモニウム・テトラフルオロボレート(Stella Chemical)からなる予め準備した無水電解液の溶液で満たされた。
【0031】
以下の表は、本発明において使用するナノ多孔性電極対の実施例を示し、そして、異なる構成の炭素を有する本発明の使用を明らかに制限しない。
【0032】
テーブル
注意:炭素電極は集電体に接着された(1487以外)。炭素電極の圧力接触は、カーボン層で覆われている箔のためである。
【0033】
本発明によれば、活性炭の層は、電流端子の両方の表面に接続しており、接続方法は、以下であり得る。
集電体の表面に対するカーボンフィルムに圧力接触する
カーボンフィルムを集電体の表面に接着する
集電体に乾燥混合物又は炭素及び結合剤のペーストをコンパクティング(成形)する
集電体は、非常に良好な電気伝導度を有する電気化学的に耐性のある材料であればよく、通常は薄い金属箔であり、例えば厚さ5~100μmのAl箔である。そして次に、活性炭と集電体の間で電気的接触を改善するために、薄い(例えば厚み1~2μm)セラミック又は他の任意の導電層で被覆される。あるいは、電気的接触を改善する方法は、真空蒸着方法(例えば熱又はプラズマ真空蒸着PVD法(物理蒸着法)又は金属噴霧方法)による、薄い金属層での活性炭膜の被覆であってもよい。
【0034】
集電体及び端子を接続するための考えられる方法は、スポット溶接、TIG溶接、レーザー溶接、拡散接合、Alスパッタである。
【0035】
非プロトン性電解液は、イオン対のためのドナーである有機溶剤及び非プロトン性塩を備え得る。
電解質塩は、第4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、及び、例えば、テトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレートであり得る。
【0036】
陽イオンの電解質塩は、(R1R2)4N+又はR1R2P+であり得る。ここで、R1及びR2は-CH3~-C5H11までのアルキル基、又は環状フェニル環―C6H5、及びアニオンBF4-、PF6-、AsF6-、Ph4B-、CF3SO3―等である。
【0037】
使用する溶媒は、以下の溶媒及びその混合物から選択される。アセトニトリル、ベンゾニトリル、スルホラン、プロピレンカーボネート、エチレン炭酸塩、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、酢酸メチル、γ―ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N、N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、スルホラン、ジメチル・ケトン等。
【0038】
電解液、イオン液体が、イミダゾール部分(例えば、濃縮EMIBF6、EMICF3SO3その他)として、または、溶媒により使用され得る。
【符号の説明】
【0039】
1: 円筒型の外装ケース
2: エンドキャップ(封口部)/蓋
3: 第1の電流端子
4: 第2の電流端子
5: シール部材
6: 貫通孔
7: 炭素電極
8: 開口部
9: 孔
10: 矩形の突起部(延在部材)
11: 補強リブ
12: 段差
13: 円筒カラー
14: 接続スリーブ
15: ねじ貫通孔
16: 封止キャップ
17: チャネル
20: 矩形の突起部(延在部材)
21: 補強リブ
100: 星状構造
103: 電流端子
106: 貫通孔
110: 放射状の突起部(延在部材)
111: 補強リブ
117: チャネル