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特許7065078逆波長分散を有する多層光学補償フィルム
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  • 特許-逆波長分散を有する多層光学補償フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】逆波長分散を有する多層光学補償フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220428BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20220428BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G02B5/30
C08F8/30
C08G73/10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019507743
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017046490
(87)【国際公開番号】W WO2018031880
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/374,247
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/486,207
(32)【優先日】2017-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513071182
【氏名又は名称】アクロン ポリマー システムズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ペイヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン、ドン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、サウミン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、アラン
(72)【発明者】
【氏名】フー、ラン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、シャオリアン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】デン、リウ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルムロス、テッド
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-522901(JP,A)
【文献】特表2013-539076(JP,A)
【文献】特表2016-511839(JP,A)
【文献】特表2010-522902(JP,A)
【文献】国際公開第2016/118873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジティブCプレート材料を含む第1の層と、
ポリイミドを含む第2の層とを含む、多層光学補償フィルムであって、
前記多層光学補償フィルムは、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差であり、前記ポジティブCプレート材料は、400nm~800nmの光波長範囲にわたって0.015より大きいポジティブ面外複屈折を与えることができる材料である、
多層光学補償フィルム。
【請求項2】
前記ポジティブCプレート材料は、液晶分子、ポリアクリレート、ポリエステル、セルロースエステル、メソゲンジャケットポリマー、スチレンポリマー、スチレンフルオロポリマー、ビニル芳香族フルオロポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項3】
前記ポジティブCプレート材料は、400nm~800nmの光波長範囲にわたって0.02より大きいポジティブ面外複屈折を有する、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項4】
前記第1の層はスチレンフルオロポリマーフィルムであり、前記第2の層はポリイミドフィルムである、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項5】
前記ポジティブ面外位相差は、0.8<R(450)/R(550)<0.9及び1.01<R(650)/R(550)<1.2の関係を満たす、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項6】
前記スチレンフルオロポリマーは、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)である、
請求項4に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項7】
前記スチレンフルオロポリマーは、以下のスチレン基を有するニトロ化スチレンフルオロポリマーである、
請求項4に記載の多層光学補償フィルム。
【化1】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、nは前記スチレン環上のニトロ基の数を表す1~5の整数である)
【請求項8】
前記ニトロ化スチレンフルオロポリマーは、前記スチレン環の前記ニトロ基について、0.2~1の平均置換度を有するニトロ化ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)である、
請求項7に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項9】
前記ポリイミドフィルムは、面外複屈折を有する
請求項4に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項10】
前記ポリイミドは、芳香族二無水物と芳香族ジアミンを含む成分の反応生成物である、
請求項9に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項11】
前記芳香族二無水物は、以下に示す、ピロメリット酸二無水物(PMDA)(2)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)(3)、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(4)、4,4'-(エチン-l、2-ジイル)ジフタル酸無水物(EDDPA)(5)、4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)(6)、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NDA)(7)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項10に記載の多層光学補償フィルム。
【化2】
【請求項12】
前記芳香族ジアミンは、以下に示す、2,4-ジアミノメシチレン(DAM)(8)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(PFMB)(9)、1,5-ナフタレンジアミン(DAN)(10)、[1,1'-ビナフタレン]-5,5'-ジアミン(DABN)(11)、3,5-ジエチル-トルエン-2,6-ジアミン(2,6-DETDA)(12)、3,5-ジエチル-トルエン-2,4-ジアミン(2,4-DETDA)(13)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FRDA)(14)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項10に記載の多層光学補償フィルム。
【化3】
【請求項13】
前記芳香族二無水物は、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(4)、4,4'-(エチン-l、2-ジイル)ジフタル酸無水物(EDDPA)(5)、及び4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)(6)からなる群から選択され、
前記芳香族ジアミンは、2,4-ジアミノメシチレン(DAM)(8)、3,5-ジエチル-トルエン-2,6-ジアミン(2,6-DETDA)(12)、3,5-ジエチル-トルエン-2,4-ジアミン(2,4-DETDA)(13)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)(14)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項10に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項14】
前記第1の層は、スチレン環上のニトロ基の平均置換度が0.6~0.8であるニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、
前記第2の層は、面外複屈折を有するポリイミドフィルムであり、
前記ポリイミドフィルムは、
i.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、15~25モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、20~30モルパーセントの量の4,4'-(エチン-l、2-ジイル)ジフタル酸無水物(EDDPA)、
iii.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、45~55ルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)、及び
iv.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FRDA)
を含む成分の反応生成物であるポリイミドを含む、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項15】
前記第1の層は、スチレン環上のニトロ基の平均置換度が0.6~0.8であるニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、
前記第2の層は、面外複屈折を有するポリイミドフィルムであり、
前記ポリイミドフィルムは、
i.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、25~35モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、65~75モルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)及び
iii.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FRDA)
を含む成分の反応生成物であるポリイミドを含む、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項16】
前記第1の層は、スチレン環のニトロ基の平均置換度が0.6~0.8であるニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、
前記第2の層は、面外複屈折を有するポリイミドフィルムであり、
前記ポリイミドフィルムは、
i.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、40~48モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、52~60モルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)、及び
iii.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FRDA)
を含む成分の反応生成物であるポリイミドを含む、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項17】
前記スチレンフルオロポリマーフィルムは、400nm~800nmの波長範囲にわたって、0.03より大きいポジティブ面外複屈折を有する、
請求項4に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項18】
前記ポリイミドフィルムは、400nm~800nmの波長範囲にわたって、-0.03未満のネガティブ面外複屈折を有する、
請求項4に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項19】
前記フィルムは、波長(λ)550nmで100nm~150nmのポジティブ面外位相差及び5ミクロン(μm)~20ミクロン(μm)の膜厚を有する、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項20】
屈折率プロファイルnx>ny=nz(nx及びnyは面内屈折率を表し、nzは厚さ屈折率を表す)を有するAプレートをさらに含む、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【請求項21】
屈折率プロファイルnx>ny≠nz(nx及びnyは面内屈折率を表し、nzは厚さ屈折率を表す)を有するBプレートをさらに含む、
請求項1に記載の多層光学補償フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2017年4月17日出願の米国仮出願第62/486,207号及び2016年8月12日出願の米国仮出願第62/374,247号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポジティブ面外位相差を有する広視野光学補償フィルムに関する。特に、本発明は、アクロマティック(又はブロードバンド)位相差補償を提供することのできる逆波長分散を有するポジティブCプレートに関する。本発明の光学フィルムは、制御された光管理が望ましい、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード表示装置(OLED)、3D表示装置、光スイッチ又は導波路等の光学装置に使用してよい。
【背景技術】
【0003】
光学補償の技術分野では、波長に応じて光の位相差が変化し、色ずれを引き起こすことが知られている。色ずれが低減されるように光学素子を設計する際に、補償フィルムのこの波長依存(又は分散)性を考慮することができる。波長分散曲線は、ポジティブ又はネガティブ位相差(又は遅延)を有する補償フィルムに関して「正常」(又は「適切」又は「反転」と定義される。ポジティブ位相差を有する補償フィルム(ポジティブA又はCプレート)は、位相遅延の値がより短い波長に向かって正へと増大する正規曲線又は位相遅延の値がより短い波長に向かって正へと減少する反転曲線を有することができる。ネガティブ位相差を有する補償フィルム(ネガティブA又はCプレート)は、位相遅延の値がより短い波長に向かって負へと増大する正規曲線と、位相遅延の値がより短い波長に向かって負へと減少する反転曲線を有することができる。これらの曲線の例示的な形状を図1に示す。
【0004】
波長板は、それらの屈折率プロファイルに従って、通常、以下のように命名される。
ポジティブCプレート:nx=ny<nz、ネガティブCプレート:nx=ny>nz
ポジティブAプレート:nx>ny=nz、ネガティブAプレート:nx<ny=nz
式中、nx及びnyは面内屈折率を表し、nzは厚さ屈折率を表す。
Cプレート及びAプレート波長板は一軸複屈折板である。波長板は、二軸複屈折であってもよく、nx、ny及びnzはすべて等しくなく、このようなプレートは、通常、2軸フィルムと呼ばれる。
【0005】
波長の1/4(λ/4)に等しい面内位相差(Re)を有するAプレートを、1/4波長板(QWP)と呼ぶ。同様に、波長の半分(λ/2)に等しいReを有するAプレートを1/2波長板(HWP)と呼ぶ。理想的なアクロマティックQWPは、波長毎にλ/4だけ入射偏光を遅延させることができる。この理想的なアクロマティックQWPを達成するために、QWPの波長分散を反転しなければならず、以下の式を満たさなければならない。
Re(450)/Re(550)=0.818及びRe(650)/Re(550)=1.182
式中、Re(450)、Re(550)及びRe(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長における面内位相差である。アクロマティック(又はブロードバンド)波長板は、波長毎に同じように光を導くことができ、最適な視野品質を得ることができるので、非常に望ましい。しかし、通常の波長板は、ブロードバンド波長板用途に適していない正規分散曲線を示す。
【0006】
ポジティブAプレートと同様に、逆波長分散曲線を有するポジティブCプレートは、ブロードバンド用途にも望ましい。このようなCプレートは、以下の式を満たす。
Rth(450)/Rth(550)=0.818及びRth(650)/Rth(550)=1.182
式中、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)は、波長450nm、550nm、650nmの光波長における面外位相差である。面外位相差に関して、逆波長分散性を有するポジティブCプレートが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第9096719号明細書
【文献】米国特許第5344916号明細書
【文献】米国特許第5480964号明細書
【文献】米国特許第5580950号明細書
【文献】米国特許第7820253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
補償フィルムとしての液晶表示装置(LCD)には、視野角を改善するために、Aプレートが一般に使用されている。OLED(有機発光ダイオード)表示装置においても使用することができる。例えば、QWPは、OLED装置に直線偏光子を提供するために、直線偏光子と共に使用して、OLEDによって反射された周囲光を低減して視認性を向上することができる。こうした適用では、典型的には、面内位相変位補償のためにAプレートによって提供される面内位相差を利用する。例えば、C-プレートとAプレートを組み合わせると、斜め視角での交差偏光子の光漏れを低減するのに特に有用である。しかしながら、Aプレートは、ネガティブ面外位相差Rthも示し、これは、式Rth=[nz-(nx+ny)/2]×dで定義され、|Re/2|の値はその配向から生じる。この特性は、光学装置においてネガティブRthが望ましい場合に有益である。例えば、垂直方向に整列した(VA)モードLCDにおいて、LCセル内の液晶分子をホメオトロピック配向させることにより、ポジティブ位相差が生じる。このように、VA-LCDにおける面内補償に加えて、面外補償を提供することができる。しかしながら、面内スイッチ(IPS)モードLCD及びOLED表示装置のような他の装置では、軸外光に位相シフトを生じさせて光漏れを引き起こすおそれがあるので、Aプレートに示されるRthは好ましくない。したがって、当該分野において、表示装置の視野角及びコントラスト比を改善するために、面外位相差が低減された、ポジティブ面内位相差を提供することが必要とされている。面外位相差の低減は、Aプレートと組み合わせてポジティブCプレートを用いることによって達成することができる。さらに、アクロマティック補償を実現するためには、ポジティブCプレートが逆波長分散特性を有することが最も望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示された実施形態において、多層光学補償フィルムは、
(a)ポジティブCプレート材料を含む第1の層と、
(b)ポリイミドを含む第2の層とを含み、
該多層光学補償フィルムは、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差であり、該ポジティブCプレート材料は、400nm~800nmの光波長範囲にわたって0.015より大きいポジティブ面外複屈折を与えることができる材料である。
【0010】
本明細書に開示された特定の実施形態において、
(a)スチレンフルオロポリマーと、
(b)ポリイミドフィルムと
を含む多層光学補償フィルムが提供され、該光学補償フィルムは、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差であり、式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子である。
【0011】
スチレンフルオロポリマーフィルム(a)は、以下のスチレン基を有するスチレンフルオロポリマーを含むポリマー溶液の溶融キャスティングにより製造される。
【化1】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、Rはそれぞれ独立にスチレン環上の置換基であり、nはスチレン環上の置換基の数を表す0~5の整数である。
【0012】
一実施形態において、スチレンフルオロポリマーは、以下のスチレン基を有するニトロ化スチレンフルオロポリマーである。
【化2】

式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、nは前記スチレン環上のニトロ基の数を表す1~5の整数である。
【0013】
ポリイミドフィルム(b)は、ポリイミドを含むポリマー溶液の溶液キャスティングにより製造される。本発明で用いるポリイミドは、基板に溶融キャスティングした際に面外配向を形成することのできる剛性ロッド状基を含む。
【0014】
本明細書に記載したさらなる実施形態において、多層光学補償フィルムは、
(a)スチレンフルオロポリマーフィルムと、
(b)ポリイミドフィルムとを含み、
該多層光学補償フィルムは、0.98<R(450)/R(550)<1.02及び0.98<R(650)/R(550)<1.02の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差である。
【0015】
他の特定の実施形態において、ポリマー樹脂が提供される。樹脂は、以下の基を有する。
【化3】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、Rはそれぞれ独立にスチレン環上の置換基であり、nはスチレン環上の置換基の数を表す0~5の整数である。特定の実施形態において、Rはニトロ基である。特定の実施形態において、ポリマー樹脂は、スチレンフルオロポリマー(上記)とポリイミドの混合物又はコポリマーを含む。
【0016】
本発明の他の実施形態において、ポリマー溶液が提供される。ポリマー溶液は、溶媒と以下の基を有するポリマーとを含む。
【化4】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、Rはそれぞれ独立にスチレン環上の置換基であり、nはスチレン環上の置換基の数を表す0~5の整数である。特定の実施形態において、Rはニトロ基である。特定の実施形態において、ポリマー樹脂は、スチレンフルオロポリマー(上記)とポリイミドの混合物又はコポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)ポジティブ位相差のための反転曲線、(b)ポジティブ位相差のための正規曲線、(c)ネガティブ位相差のための正規曲線及び(d)ネガティブ位相差のための反転曲線を含についての、例示的な波長分散曲線の形状を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
波長板の位相差(R)は、式R=Δn×dにより定義され、式中、Δnは複屈折であり、dは波長板の厚みである。複屈折は、面内複屈折Δnin=nx-nyと面外複屈折Δnth=nz-(nx+ny)/2に分類される。面内位相差は、式Re=(nx-ny)×dで表され、面外位相差は、Rth=[nz-(nx+ny)/2]×dで表される。
【0019】
波長板の複屈折(Δn)は、異なる増分で約400nm~約800nmの波長範囲にわたって波長板の複屈折を求めることにより、測定することができる。あるいは、特定の光波長で複屈折を測定してもよい。本明細書では、波長を特定することなく、複屈折又はは位相差の関係が与えられる場合、約400nm~約800nmの波長範囲にわたるものが当てはまる。
【0020】
ある実施形態において、本発明は、
(a)ポジティブCプレート材料を含む第1の層と、
(b)ポリイミドを含む第2の層とを含む、多層光学補償フィルムを提供し、
該多層光学補償フィルムは、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差であり、前記ポジティブCプレート材料は、400nm~800nmの光波長範囲にわたって0.015より大きいポジティブ面外複屈折を与えることができる材料である。
【0021】
ポジティブCプレート材料としては、業界において公知の、例えば、液晶分子、ポリアクリレート、ポリエステル、セルロースエステル、メソゲンジャケットポリマー(内容を参照することにより組み込まれる特許文献1に開示されているようなもの)、スチレンポリマー、スチレンフルオロポリマー及びビニル芳香族フルオロポリマーが挙げられる。望ましくは、ポジティブCプレート材料は、400nm~800nmの光波長範囲にわたって0.015より大きい、0.02より大きい、0.025より大きい、0.03より大きい又は0.035より大きいポジティブ面外複屈折を与えることができる。最も好ましい第1の層(a)はスチレンフルオロポリマーフィルムであり、第2の層はポリイミドフィルムである。
【0022】
本明細書に開示された特定の実施形態において、多層光学補償フィルムは、
(a)スチレンフルオロポリマーフィルムと、
(b)ポリイミドフィルムとを含み、
該多層光学補償フィルムは、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差である。
【0023】
本発明による光学補償フィルムは、ポジティブ面外位相差(Rth)及び反転面外波長分散特性を有し、波長が短くなっていくにつれ、フェーズ位相差の値が減少してポジティブとなる。この分散特性は、450nm、550nm及び650nmの波長で測定された位相差の比で表され、R(450)/R(550)<1及びR(650)/R(550)>1の関係を満たす。R(450)/R(550)の比は、0.71~0.99、0.72~0.98、0.74~0.97、0.76~0.96、0.78~0.95、0.8~0.9又は0.81~0.85とすることができる。R(650)/R(550)の比は、1.01~1.24、1.02~1.23、1.03~1.22、1.04~1.21、1.05~1.2又は1.1~1.19とすることができる。一実施形態において、ポジティブ面外位相差は、0.8<R(450)/R(550)<0.9及び1.01<R(650)/R(550)<1.2の関係を満たす。
【0024】
本明細書に開示された実施形態において、光学補償フィルムの面外位相差(Rth)は、波長(λ)550nmで約50nm~約200nm、最も好ましくは、約100nm~約150nmである。好ましくは、膜厚は、約5~約30ミクロン(μm)であり、最も好ましくは約5ミクロン~約20ミクロンである。
【0025】
特定の実施形態において、スチレンフルオロポリマーフィルムは、以下のスチレン基を有するスチレンフルオロポリマーを含むポリマー溶液の溶融キャスティングにより製造される。
【化5】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうち少なくとも1つはフッ素原子であり、Rはそれぞれ独立にスチレン環上の置換基であり、nはスチレン環上の置換基の数を表す0~5の整数である。
【0026】
スチレン環上の置換基Rは、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、フォスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、シアノ及びこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0027】
スチレンフルオロポリマーフィルム(a)をキャストするのに用いる該スチレンフルオロポリマーは、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)、ポリ(α,β-ジフルオロスチレン)、ポリ(β,β-ジフルオロスチレン)、ポリ(α-フルオロスチレン)又はポリ(β-フルオロスチレン)といったホモポリマーである。一実施形態において、スチレンフルオロポリマーは、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)である。スチレンフルオロポリマーは、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)である。スチレンフルオロポリマーは、1つ以上の含フッ素モノマーと、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの共重合により製造されたコポリマーであってもよい。このような含フッ素モノマーの例としては、α,β,β-トリフルオロスチレン、α,β-ジフルオロスチレン、β,β-ジフルオロスチレン、α-フルオロスチレン及びβ-フルオロスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
一実施形態において、スチレンフルオロポリマーは、α,β,β-トリフルオロスチレンと、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、メタクリル酸、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、ビニルビフェニル、アクリロニトリル、イソプレン及びこれらの組み合わせを含む群から選択される1つ以上のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーである。
【0029】
他の実施形態において、スチレンフルオロポリマーは、以下のスチレン基を有するニトロ化スチレンフルオロポリマーである。
【化6】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、式中、R、R及びRの少なくとも1つはフッ素原子であり、nは、スチレン環上のニトロ基の数を表す1~5の整数である。
【0030】
ニトロ化スチレンフルオロポリマーでは、各スチレン基は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよいが(少なくとも1つは置換されている)、スチレンフルオロポリマー中のスチレン基のニトロ基の平均数は、約0.2~約1の範囲とすることができ、ここでは、ポリマー中のニトロ基の置換度(DS)と称す。好ましくは、ニトロ基のDSは約0.5~約0.9、0.6~0.8又は0.65~0.75の範囲である。
【0031】
ニトロ化スチレンフルオロポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい、スチレンフルオロポリマーのニトロ化によって製造することができる。好ましくは、ニトロ化スチレンフルオロポリマーは、フィルムにキャスティングされると、Δnth>0.02又は>0.025又は>0.03又は0.035の式を満たす面外複屈折(Δnth)を有する。より高い複屈折材料は、薄膜として、十分なポジティブ面内位相差(Rth)を提供し、ポリイミドフィルム中に発生するネガティブRthを低減又は排除することができるという利点を有する。
【0032】
本明細書に開示された実施形態において、ポジティブCプレート材料は、溶媒とビニル芳香族ポリマーとを含むポリマー溶液からキャストされたポリマーフィルムであり、ポリマーは、下式から選択される1つ以上の基を有する。
【化7】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、式中、R、R及びRの少なくとも1つはフッ素原子である。1つ以上のそのような基を有するポリマーは、本発明の説明において、ビニル芳香族フルオロポリマーとして示されている。該ビニル芳香族フルオロポリマーは、芳香環上に1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アルキル、置換アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、フォスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル等が挙げられる。ある実施形態において、ビニル芳香族フルオロポリマーの芳香族環の置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、フェニル、シアノ、トリフルオロメチル及びこれらの組合せからなる群から選択される。他の実施形態において、置換基は、ニトロである。
【0033】
本明細書に開示された実施形態において、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを含むポリマー溶液の溶液キャスティングにより製造される。本発明で用いるポリイミドは、基板に溶融キャスティングした際に面外配向を形成することのできる剛性ロッド状基を含む。このようにして作製されたポリイミドフィルムは、ネガティブ面外複屈折を示し、光学的位相差補償のためのネガティブCプレートとして一般に知られている。
【0034】
このようなポリイミドは、典型的には、芳香族二無水物と芳香族ジアミンとを反応させることによって調製される。芳香族二無水物は、ベンゼン(下式2-5)又はナフタレン(下式6-7)をベースとすることができ、芳香族ジアミンは、ベンゼン(下式8および9)かナフタレン(下式10及び11)のいずれかをベースとすることもできる。本発明に適したポリイミドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献2~5に開示されている。好ましくは、ポリイミドは、1つ以上の二無水物、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)(2)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)(3)、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(4)、4,4'-(エチン-l、2-ジイル)ジフタル酸無水物(EDDPA)(5)、4,4'-ビナフチル-l、l',8、8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)(6)及び(1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NDA)(7)と、1つ以上のジアミン、例えば、2,4-ジアミノメシチレン(DAM)(8)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(PFMB)(9)、1,5-ナフタレンジアミン(DAN)(10)、[1,1'-ビナフタレン]-5,5'-ジアミン(DABN)(11)、3,5-ジエチル-トルエン-2,6-ジアミン(2,6-ジアミン))(12)、3,5-ジエチル-トルエン-2,4-ジアミン(2,4-DETDA))(13)及び4,4'-(9-フルオレニリデン))(FRDA)(14)を反応させることにより製造される。最も望ましい二無水物は、6FDA(4)、EDDPA(5)及びBNDA(6)であり、最も望ましいジアミンは、DAM(8)、2,6-DETDA(12)、2,4-DETDA(13)及びFRDA(14)である。一実施形態において、芳香族二無水物は、6FDA(4)、EDDPA(5)、BNDA(6)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上であり、芳香族ジアミンは、DAM(8)、2,6-devid(12)、2,4-DETDA(13)、FRDA(14)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上である。二無水物及び芳香族ジアミンの様々な化学組成を以下に示す。
【化8】
【化9】
【0035】
ここで使用されるポリイミドを形成するのに適した他の二無水物又はジアミンは、下式15(5,5'-[1,4-フェニレンビス(1,3,4-オキサジアゾール-5,2-ジイル)]ビス-1,3-イソベンゾフランジオン)、16(5,5'-(1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル)ビス-1,3-イソベンゾフランジオン)、17(4,4'-(1,4-フェニレン)-ビス(1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル))ジ(o-トルイジン))、18(4,4'-メチレンビス(2,6-ジエチル-アニリン))、19(4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン)及び20(4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)-ビス(p-フェニレンオキシ)ジアニリン)が挙げられる。これらの付加的な二無水物及びジアミンは、以下に示す通りである。
【化10】
【化11】
【0036】
一実施形態において、スチレンフルオロポリマーフィルムは、スチレンフルオロポリマーと溶媒とを含むポリマー溶液から基材上にキャストされているコーティングフィルムである。溶液キャストポリマーフィルムは、熱処理、光照射又は延伸を行うことなく、溶媒蒸発時に面外異方性配向(ポジティブCプレート)を形成することができ、400nm<λ<800nmの波長範囲にわたって、0.015より大きい、0.02より大きい、0.025より大きい、0.03より大きい又は0.035より大きいポジティブ複屈折を有する。スチレンフルオロポリマーフィルムの厚さは、3~30μm又は5~15μmであるのが好ましい。
【0037】
本明細書に開示された特定の実施形態において、ポリマー溶液は、スチレンフルオロポリマーを溶媒に溶解することによって調製することができる。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
基板上へのポリマー溶液のキャスティングは、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング又は浸漬コーティング等の当該技術分野で公知の方法によって実施することができる。基板は当該技術分野で公知のトリアセチルセルロース(TAC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、ポリカーボネート、コポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ガラス及びLCD装置に一般的に使用される他の材料が挙げられる。
【0039】
溶液キャストフルオロポリマーフィルムを、乾燥時に基板から除去すると、自立フィルムが得られる。自立フィルムは、積層により、例えば、Aプレート等の光学フィルムに貼り付けることができる。あるいは、基板上のフルオロポリマーフィルムを、Aプレートに積層した後、基板を剥がすこともできる。
【0040】
さらなる実施形態において、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを含むポリマー溶液からフルオロポリマーフィルム上にキャストされているコーティングフィルムである。ポリマー溶液は、ポリイミドを溶媒に溶解することによって調製することができる。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
ポリイミドフィルムの厚さは、1~10μm又は2~5μmであるのが好ましい。好ましくは、ポリイミドフィルムは、式Δth<-0.03又は<-0.04又は<-0.05を満たす面外複屈折(Δnth)を有する。より高い複屈折材料は、薄膜において、より効率的な逆波長分散特性を提供し得るという利点を有する。ある実施形態において、ポリイミドフィルムをラビングし、配向させて、液晶分子のように、第1の層のポジティブC材料に所望の配向を与える。
【0042】
特定の実施形態において、多層光学補償フィルムは、第1及び第2の層を含む。第1の層は、スチレン環のニトロ基について、約0.6~約0.8の平均DSを有するニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、第2の層は、溶媒とポリイミドを含むポリマー溶液の溶液キャスティングにより製造されたポリイミドフィルムであり、ポリイミドは、
i.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、約15~約25モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、約20~約30モルパーセントの量の4,4'-(エチン-l、2-ジイル)ジフタル酸無水物(EDDPA)、
iii.(i)、(ii)及び(iii)の合計モルを基準にして、約45~約55モルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)及び
iv.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)を含む成分の反応生成物である。
【0043】
他の実施形態において、第1の層は、スチレン環のニトロ基について、約0.6~約0.8の平均DSを有するニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、第2の層は、溶媒とポリイミドを含むポリマー溶液の溶液キャスティングにより製造されたポリイミドフィルムであり、ポリイミドは、
i.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、約25~約35モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、約65~約75モルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)及び
iii.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)を含む成分の
反応生成物である。
【0044】
さらに他の実施形態において、第1の層は、スチレン環のニトロ基について、約0.6~約0.8の平均DSを有するニトロ化スチレンフルオロポリマーであり、第2の層は、溶媒とポリイミドを含むポリマー溶液の溶液キャスティングにより製造されたポリイミドフィルムであり、ポリイミドは、
i.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、約40~約48モルパーセントの量の4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
ii.(i)及び(ii)の合計モルを基準にして、約52~約60モルパーセントの量の4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)及び
iii.4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)を含む成分の反応生成
【0045】
Aプレートと組み合わせた場合、開示された実施形態は、Aプレートに存在する望ましくないネガティブ面外位相差を排除することができる。さらに、その反転分散特性のために、本発明の実施形態は、観察品質の最適な改善のためにアクロマティックの補償を与えることができる。
【0046】
本明細書に記載したさらなる実施形態は、本発明の多層光学補償フィルムと、nx>ny=nzの屈折率プロファイルを有するAプレートとを含み、nx及びnyは面内屈折率を表し、nzは厚さ屈折率を表す。一実施形態において、該Aプレートは、1/4波長板(QWP)である。さらなる一実施形態において、線形偏光子と組み合わせたQWPは円偏光子として機能する。このような円偏光子は、周囲光を低減するためにOLED表示装置に使用することができ、したがって、観察品質を向上させることができる。
【0047】
他の実施形態において、光学フィルムは、本明細書に記載された多層光学補償フィルムと、屈折率プロファイルがnx>ny≠nzのBプレートとを含み、nx及びnyは面内屈折率を表し、nzは厚さ屈折率を表す。一態様において、該Bプレートは、二軸QWPである。さらなる実施形態において、直線偏光子と組み合わせた二軸QWPが円偏光子として機能する。このような円偏光子は、OLED表示装置に使用することができ、周囲光を低減し、したがって、視野品質を向上させることができる。
【0048】
このような光学フィルムは、Aプレートを備えた本発明の多層フィルムを積層することにより、又は溶液キャスティングにより得られる。一実施形態において、スチレンフルオロポリマーフィルムを、Aプレートにキャストした後、ポリイミドフィルムをスチレンフルオロポリマーフィルムにキャスティングして、多層フィルムを得る。他の実施形態において、ポリイミドフィルムをAプレートにキャストした後、スチレンフルオロポリマーフィルムを、ポリイミドフィルムにキャスティングして、多層フィルムを得る。
【0049】
同様に、本明細書に記載した光学フィルムの実施形態はまた、Bプレートを備えた本発明の多層フィルムを積層することにより、又は溶液キャスティングにより得られる。一実施形態において、スチレンフルオロポリマーフィルムを、Bプレートにキャストした後、ポリイミドフィルムをスチレンフルオロポリマーフィルムにキャスティングして、多層フィルムを得る。他の実施形態において、ポリイミドフィルムをBプレートにキャストした後、スチレンフルオロポリマーフィルムを、ポリイミドフィルムにキャスティングして、多層フィルムを得る。
【0050】
本発明の光学補償フィルムは、面内スイッチング液晶表示装置を含む液晶表示装置、OLED表示装置、3D表示装置、円偏光子又は3Dメガネに用いることができる。該表示装置は、テレビ、コンピュータ、携帯電話、カメラ及び他の用途に使用することができる。
【0051】
本発明のさらなる実施形態において、ポリマー樹脂が提供される。ポリマー樹脂は、以下の基を有する。
【化12】
【0052】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、フッ素原子であり、Rはそれぞれ独立にスチレン環上の置換基であり、nはスチレン環上のニトロ基の数を表す0~5の整数である。
【0053】
ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基Rは、アルキル、置換アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、フォスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、シアノ及びトリフルオロメチルからなる群の1つ以上から選択される。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基Rは、臭素(Br)及びニトロ(NO)の1つ以上から選択される。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はBrであり、Brの置換度(DS)は1より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はBrであり、BrのDSは1.5より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はBrであり、BrのDSは2より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.25より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.4より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.6より大きい。ポリマー樹脂の特定の実施形態において、スチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.8より大きい。
【0054】
本発明の一実施形態において、ポリマー溶液が提供される。ポリマー溶液は、溶媒と、以下のスチレン基を有するポリマーとを含む。
【化13】
【0055】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、フッ素原子であり、nはスチレン環上のニトロ基の数を表す0~5の整数である。
【0056】
ポリマー溶液の特定の実施形態において、溶媒は、トルエン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン及びこれらの混合物からなる群から選択される。ポリマー溶液の特定の実施形態において、溶媒は、メチルエチルケトン、塩化メチレン、シクロペンタノン及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基Rは、アルキル、置換アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、フォスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、シアノ及びトリフルオロメチルからなる群の1つ以上から選択される。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基Rは、臭素(Br)及びニトロ(NO)の1つ以上から選択される。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はBrであり、Brの置換度(DS)は1より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はBrであり、BrのDSは1.5より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はBrであり、BrのDSは2より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.25より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.4より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.6より大きい。ポリマー溶液の特定の実施形態において、ポリマーのスチレン環の置換基はニトロであり、ニトロのDSは0.8より大きい。
【0058】
本明細書に記載の樹脂のいずれかを本明細書に記載の溶媒と組み合わせて溶液を形成し、次いでフィルムとして溶液キャストすると、樹脂から形成されたフィルムは、本明細書に開示された他の実施形態に従った特性を示す。
【0059】
本明細書に開示された特定の実施形態は、0.7<R(450)/R(550)<1及び1<R(650)/R(550)<1.25の関係を満たす逆波長分散を有する多層光学フィルムに関する。ある実施形態において、2つの値、R(450)/R(550)及びR(650)/R(550)は両方とも1に近く、この場合、波長分散曲線は略平坦である。平坦な分散を有する光学フィルムは、視野品質を改善するという有用性を持ち得る。
【0060】
本発明のさらなる実施形態において、多層光学補償フィルムは、
(c)スチレンフルオロポリマーフィルムと、
(d)ポリイミドフィルムとを含み、
該多層光学補償フィルムは、0.98<R(450)/R(550)<1.02及び0.98<R(650)/R(550)<1.02の関係を満たすポジティブ面外位相差を有し、R(450)、R(550)及びR(650)は、それぞれ、450nm、550nm及び650nmの光波長での面外位相差である。本実施形態において、該スチレンフルオロポリマーは、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)又はニトロ化ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)である。
【実施例
【0061】
以下の実施例は、本明細書に記載されたポリマー、ポリマー溶液、ポリマーフィルム及び方法の例示的な実施形態を説明及び実証する。例示的な実施形態は、例示の目的のためにのみ提供され、本開示を限定するものとは解釈されず、本開示の技術思想及び範囲から逸脱することなく、その多くの変形が可能である。
【0062】
実施例1:DS=0.68のニトロ化ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)(N-PTFS1)の合成
材料:固有(IV)が1.10dL/gであるポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)(PTFS)は、未処理で用いられた内部生成物であった。ジクロロメタン(DCM)は、SiOに通して精製されたアクロス製であった。HNOは、アクロス製のものをそのまま用いた(68%~70%)。HSOは、シグマアルドリッチ製のもの(95.0%~98.0%)であった。
【0063】
窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた1リットル三口丸底フラスコに、ジクロロメタン(DCM)中PTFS(IV、1.10dL/g)溶液(200g、5重量%)を入れた。別途、濃硫酸(31.18g)を硝酸(11.75g)に添加して混合酸溶液を調製した。フラスコを室温で水浴中に入れた。フラスコ中の攪拌されたPTFS溶液に、混合酸を10分間かけて添加した。反応混合物を室温で23時間反応させた後、脱イオン水/氷(500ml)を添加することにより急冷した。上部の水相をデカントし、有機相を脱イオン水で繰り返し洗浄して酸を除去した。得られた有機層をメタノール(約1リットル)に沈殿させ、高速ブレンダー中で粉砕して粉末懸濁液を得た。次いで、粉末を濾過し、水及びメタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は1.20dL/gであった。生成物中のニトロ基の置換度(DS)は、元素分析(EA)により0.68と求められた。
【0064】
実施例2:ポリイミド1(EDDPA/DETDA、100/100)の合成
4,4'-(エチン-l,2-ジイル)ジフタル無水物(EDDPA)を、等モルのDETDA(3,5-ジエチル-トルエン-2,6-ジアミン(2,6-DETDA)及び3,5-ジエチル-トルエン-2,4-ジアミン(2,4-DETDA)の混合物)と反応させることにより、ポリイミド1(EDDPA/DETDA、100/100)を調製した。窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコに、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(22ml)、EDDPA)(3.2945g、5.00mmol)及びDETDA(2.1790g、4.91mmol)を入れた。反応混合物を室温で18時間反応させ、次いでピリジン(1.0ml)及び無水酢酸(2.5ml)を添加した。反応を120℃で2時間継続させた。冷却後、得られた溶液をメタノール(約100ml)に沈殿させて、繊維状生成物を得た。生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は0.52dL/gであった。
【0065】
実施例3:N-PTFSとポリイミド1(EDDPA/DELTA、100/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS及びポリイミド1(EDDPA/DETDA、100/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。N-PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、N-PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド1の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0066】
実施例4:PTFSとポリイミド1(EDDPA/DELTA、100/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS及びポリイミド1(EDDPA/DETDA、100/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド1の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0067】
実施例5:N-PTFS/ポリイミド1及びPTFS/ポリイミド1の多層光学フィルムの特性
自立ポリマーフィルムの複屈折及び厚さを、633nmの波長における単一フィルムモードを使用するメトリコンモデル2010/Mプリズムカプラーによって測定した。位相差及び分散は、J.A.Woollam M-2000又はRC2エリプソメトリーによって求められた。633nmでの複屈折、厚さ及び分散係数Rth(450)/Rth(550)及びRth(650)/Rth(550)を表1に示す。
【表1】
【0068】
実施例6:ポリイミド2(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)の合成
窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコに、DMAc(24ml)、DAM(1.5037g、10.01mmol)、4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)(1.9717g、5.00mmol)及び6FDA(2.2285g、5.02mmol)を入れた。反応混合物を室温で18時間反応させ、次いでピリジン(2.0ml)及び無水酢酸(5.0ml)を添加した。反応を120℃で2時間継続させた。冷却後、得られた溶液をメタノール(約100ml)に沈殿させて、繊維状生成物を得た。生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は1.35dL/gであった。
【0069】
実施例7:N-PTFSとポリイミド2(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS及びポリイミド2(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。N-PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、N-PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド2の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、N-PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0070】
実施例8:PTFSとポリイミド2(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
PTFS及びポリイミド2(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド2の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0071】
実施例9:N-PTFS/ポリイミド2及びPTFS/ポリイミド2の多層光学フィルムの特性
自立ポリマーフィルムの複屈折及び厚さを、633nmの波長における単一フィルムモードを使用するメトリコンモデル2010/Mプリズムカプラーによって測定した。位相差及び分散は、J.A.Woollam M-2000又はRC2エリプソメトリーによって求められた。633nmでの複屈折、厚さ及び分散係数Rth(450)/Rth(550)及びRth(650)/Rth(550)を表2に示す。
【表2】
【0072】
実施例10:ポリイミド3(6FDA/EDDPA/DETDA、1.5/98.5/100)の合成
6FDA/EDDPA/DETDAの組成を有するポリイミド3を、6FDA、EDDPA及びDETDAを1.5/98.5/100のモル比を用いることにより、実施例2の方法に従って調製した。
【0073】
実施例11:N-PTFSとポリイミド3(6FDA/EDDPA/DETDA、1.5/98.5/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS及びポリイミド3(6FDA/BNDA/DAM、50/50/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。N-PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、N-PTFSの12重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド3の12重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、N-PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0074】
実施例12:N-PTFS/ポリイミド3の多層光学フィルムの特性
実施例11の方法を用いることにより、N-PTFS/ポリイミド3(PI3)の2層フィルムをキャストし、その光学特性を測定した。結果から、各層の厚さを変えた一連の2層フィルムの位相差値を表3に示す。
【表3】
【0075】
実施例13:ポリイミド4(EDDPA/DETDA/FRDA、1100/50/50)の合成
EDDPA/DETDA/FRDAの組成を有するポリイミド4を、EDDPA、DETDA及び4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)を100/50/50のモル比で用いることにより、実施例2の方法に従って調製した
【0076】
実施例14:N-PTFS/ポリイミド4の特性
実施例11の方法を用いることにより、N-PTFS/ポリイミド4(PI4)の2層フィルムをキャストし、その光学特性を測定した。結果から、各層の厚さを変えた一連の2層フィルムの位相差値を表4に示す。
【表4】
【0077】
実施例15:DS=0.72のニトロ化ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)(N-PTFS2)の合成
19Lのリアクターで、窒素雰囲気下、ポリ(α,β,β-トリフルオロスチレン)(PTFS、IV、1.10dL/g)(1.2kg)を、1,2-ジクロロエタン(13.8kg)と混合した。混合物を攪拌しながら50℃に加熱した。全ての固体が溶解すると、混合物をさらに55℃に加熱した、硫酸(98%、2.89kg)と硝酸(69%、1.12kg)の予備混合物を2.5時間添加した。次いで、混合物を60℃に加熱し、4時間保持した。プロピオン酸(13.3kg)を加え、混合物を室温まで冷却しながら生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を濾過し、粗粉体を、まず、プロピオン酸で2回洗浄した後、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で60℃で乾燥させて、1.3kgの粉末生成物を得た。生成物中のニトロ基の置換度(DS)は、元素分析(EA)により0.72と求められた。
【0078】
実施例16:ポリイミド5(6FDA/BNDA/DAM/FRDA、18/25/50/100)の合成
m-クレゾール中、180℃で18時間、4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)を過剰の2,4-ジアミノメシチレン(DAM)と(モル比DAM/BNDA>2.5)反応させることによりDAM-BNDA-DAMジアミンを調製した。反応溶液を過剰のメタノールに沈殿させて粉末生成物を得た。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を、減圧下で80℃で一晩乾燥させ、次の工程の重合のために準備した。
【0079】
窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコに、DMAc(26ml)、FRDA-BNDA-FRDA(3.166g、3.00mmol)、EDDPA(0.477g、1.50mmol)及び6FDA(0.486g、1.09mmol)を入れた。反応混合物を室温で18時間反応させ、次いでピリジン(0.6ml)及び無水酢酸(1.5ml)を添加した。反応を120℃で2時間継続させた。冷却後、得られた溶液をメタノール(約200ml)に沈殿させて、繊維状生成物を得た。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は0.71dL/gであった。
【0080】
実施例17:N-PTFS(又はPTFS)とポリイミド5(6FDA/EDDPA/BNDA/FRDA、18/25/50/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS2(DS=0.72)(又はPTFS)及びポリイミド5(6FDA/EDDPA/BNDA/FRDA、18/25/50/100)を用いることにより、ポリマーフィルムを製造した。ポリマー固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させることにより、N-PTFS(又はPTFS)の10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド5の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、N-PTFS(又はPTFS)溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0081】
実施例18:N-PTFS/ポリイミド5及びPTFS/ポリイミド5の多層フィルムの特性
実施例17に記載した通りにして、N-PTFS/ポリイミド5(又はPTFS/ポリイミド5(PI5))の2層フィルムをキャストし、実施例5の方法を用いて、その光学特性を測定した。結果から、各層の厚さを変えた一連の2層フィルムの位相差値を計算することができる。位相差及び分散は、J.A.Woollam RC2エリプソメトリーによって求められた。厚さ及び分散係数Rth(450)/Rth(550)及びRth(650)/Rth(550)を表5に示す。
【表5】
【0082】
実施例19:ポリイミド6(6FDA/BNDA/FRDA、26/67/100)の合成
m-クレゾール中、180℃で18時間、4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)を4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)と(正確なモル比FRDA/BNDA=3/2)反応させることによりFRDA-BNDA-FRDA-BNDA-FRDA(この構造は、平均的な構造を表すためのみに用いる)ジアミンを調製した。反応溶液を過剰のメタノールに沈殿させて粉末生成物を得た。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を、減圧下で80℃で一晩乾燥させ、次の工程の重合のために準備した。
【0083】
窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコに、DMAc(20ml)、FRDA-BNDA-FRDA-BNDA-FRDA(3.524g、2.00mmol)及び6FDA(0.700g、1.58mmol)を入れた。反応混合物を室温で18時間反応させ、次いでピリジン(0.4ml)及び無水酢酸(1.0ml)を添加した。反応を120℃で2時間継続させた。冷却後、得られた溶液をメタノール(約200ml)に沈殿させた。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は0.78dL/gであった。
【0084】
実施例20:N-PTFSとポリイミド6(6FDA/BNDA/FRDA、26/67/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS2(DS=0.72)及びポリイミド6(6FDA/BNDA/FRDA、26/67/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。N-PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、N-PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド6の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、N-PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0085】
実施例21:N-PTFS/ポリイミド6の多層光学フィルムの特性
実施例20に記載された通りにして、N-PTFS/ポリイミド6(又はPTFS/ポリイミド6(PI6)の2層フィルムをキャストし、実施例5の方法を用いて、その光学特性を測定した。位相差及び分散は、J.A.Woollam RC2エリプソメトリーによって求められた。厚さ及び分散係数Rth(450)/Rth(550)及びRth(650)/Rth(550)を表6に示す。
【表6】
【0086】
実施例22:ポリイミド7(6FDA/BNDA/FRDA、43/50/100)の合成
m-クレゾール中、180℃で18時間、4,4'-ビナフチル-1,1',8,8'-テトラカルボン酸二無水物(BNDA)を過剰の4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン)(FRDA)と(モル比FRDM/BNDA>2.5)反応させることによりFRDA-BNDA-FRDAジアミンを調製した。反応溶液を過剰のメタノールに沈殿させて粉末生成物を得た。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を、減圧下で80℃で一晩乾燥させ、次の工程の重合のために準備した。
【0087】
窒素インレット/アウトレット及びメカニカルスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコに、DMAc(20ml)、FRDA-BNDA-FRDA(3.166g、3.00mmol)及び6FDA(1.163g、2.62mmol)を入れた。反応混合物を室温で18時間反応させ、次いでピリジン(1.0ml)及び無水酢酸(2.5ml)を添加した。反応を120℃で2時間継続させた。冷却後、得られた溶液をメタノール(約200ml)に沈殿させて、繊維状生成物を得た。次いで、生成物を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄した。得られた生成物を減圧下で80℃で一晩乾燥させた。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶剤として用い、30℃で、キャノン(登録商標)自動毛管粘度計により測定されたポリマーの固有粘度(IV)は0.631dL/gであった。
【0088】
実施例23:N-PTFS(又はPTFS)とポリイミド7(6FRDA/BNDA/FRDA、43/50/100)の溶液からキャストされた多層光学フィルムの製造
N-PTFS2(DS=0.72)及びポリイミド7(6FDA/BNDA/FRDA、43/50/100)をそれぞれ用いることにより、ポリマー溶液を調製した。N-PTFS固体をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させることにより、N-PTFSの10重量%溶液を調製した。別途、ポリイミド7の10重量%溶液をシクロペンタノン中で調製した。ポリイミド溶液を、ブレードキャスティング法を用いて平坦なガラス基板に塗布した。得られたコーティングフィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて150℃の真空オーブンに2時間入れた。乾燥後、N-PTFS溶液をポリイミドにキャストした。得られた2層フィルムを室温で1時間乾燥させ、続いて、150℃の真空オーブンに2時間入れた。このようにして得られた多層フィルムを、ガラス基板から剥離した。
【0089】
実施例24:N-PTFS/ポリイミド7の多層フィルム
実施例23に記載した通りにして、N-PTFS/ポリイミド7(又はPTFS/ポリイミド7(PI7))の2層フィルムをキャストし、実施例5の方法を用いて、その光学特性を測定した。位相差及び分散は、J.A.Woollam RC2エリプソメトリーによって求められた。厚さ及び分散係数Rth(450)/Rth(550)及びRth(650)/Rth(550)を表7に示す。
【表7】
【0090】
本明細書に記載された用語は、実施形態の説明のためのものであり、全体として本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。特に断りのない限り又は、言及がなされた文脈に反すると明らかに示されない限りは、本開示の単一の特徴又は限定についての言及は全て、対応する複数の特徴又は限定を含むものとする。その逆も同様である。特に断りのない限り、「1つ」及び「少なくとも1つ」等は区別なく用いられる。さらに、明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形は、文脈上、明らかに別の意味を示していない限り、複数形を含む。
【0091】
本明細書で用いられる全てのパーセンテージ、部及び比率は、特に指定されない限り、全組成物の重量基準である。列挙された成分に関連する全てのそのような重量は、活性レベルに基づいており、したがって、特に断りのない限り、市販されている材料中に含まれ得る溶媒又は副生成物は含まなれない。
【0092】
全ての範囲及びパラメータは、本明細書に開示されたパーセンテージ、部及び比率に限定されず、想定内及び包含される全ての下位範囲が含まれるものと考えられる。例えば、「1~10」という指定範囲には、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わる全ての下位範囲(例えば、1~6.1又は2.3~9.4)及びその範囲内の各整数(1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10)が含まれるものと考えられる。
【0093】
本明細書で使用される方法又はプロセスステップの任意の組み合わせは、特に断らない限り又は参照された組み合わせが行われる文脈に反すると明らかに示されない限りは、任意の順序で実施することができる。
【0094】
「含む(include, includes, including)」という用語を明細書又は請求項で用いる場合、請求項における移行句として用いるときの解釈と同じ「含む(comprising)」と解釈されるものとする。さらに、「又は」を用いる場合(例えば、A又はB)、「A又はBあるいはAとBの両方」を意味するものとする。出願人が、「A又はBのみで、両方ではない」ことを示すことを意図しているときは、「A又はBのみで、両方ではない」という文言を用いる。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は包括的であり、排他的でない。本開示において、「1つの」という用語には、単数と複数の両方が含まれるものとする。逆に、複数の項目に対する任意の参照には、適宜、単数が含まれるものとする。
【0095】
特定の実施形態において、様々な本発明の概念を互いに組み合わせて利用することが可能である(例えば、1つ又は複数の様々な実施形態を互いに組み合わせて利用することができる)。さらに、具体的に開示された実施形態に関して記載された任意の特定の要素は、特定の要素の組み込みが実施形態の表現用語と矛盾しない限り、開示された全ての実施形態で使用できるものと解釈すべきである。当業者には、さらなる利点及び修正が容易に明らかになるであろう。したがって、本開示は、そのより広い態様において、提示された特定の詳細、代表的な装置又は図示され説明された例示的な実施例に限定されない。したがって、本発明の技術的思想又は範囲から逸脱することなく、その詳細を変更することができる。
図1