(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】単結晶半導体アイランドを含む構造、そのような構造を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/20 20060101AFI20220428BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220428BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20220428BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20220428BHJP
C30B 29/40 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L21/205
H01L27/12 E
C30B29/40 C
(21)【出願番号】P 2019517074
(86)(22)【出願日】2017-09-21
(86)【国際出願番号】 FR2017052529
(87)【国際公開番号】W WO2018060570
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド ソッタ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ コノンチュク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク ベソー
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-507864(JP,A)
【文献】特表2016-529731(JP,A)
【文献】特開2003-183100(JP,A)
【文献】特開2002-009004(JP,A)
【文献】特開2010-278313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
H01L 21/205
H01L 21/02
C30B 29/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-V族材料(6)からなる少なくとも1つの活性層を作製するための構造(10)であって、主面を有するキャリア(2)と、前記キャリアの前記主面上に位置する誘電体層(3)と、前記誘電体層(3)上に直接位置する複数の単結晶半導体アイランド(4)とからなる基板を備え、前記アイランドは、前記活性層の成長のためのシードとして使用されることになる上部表面を有し、前記構造は、前記アイランド(4)の前記上部表面をマスクすることなく、前記アイランド(4)によって覆われない前記誘電体層(3)の部分上に直接、前記単結晶半導体アイランド(4)間に位置する多結晶AlNシード層(5)を備え、その結果、前記誘電体層(3)は、もはやその環境に露出されず、
前記多結晶AlNシード層(5)は、その露出された表面での前記活性層の後続の形成を促進して前記後続の形成が前記アイランド(4)の縁部に固着するのを防止することができるように、前記活性層の構成要素との化学親和力を有するように構成され、前記多結晶AlNシード層(5)の厚さは、前記アイランド(4)の厚さ以下であり、これにより、前記活性層が作製される前記アイランド(4)の表面上に均一な厚さをもたらすことを特徴とする構造。
【請求項2】
前記キャリア(2)は、ケイ素またはサファイアからなることを特徴とする請求項1に記載の構造(10)。
【請求項3】
前記誘電体層(3)は、酸化ケイ素および/または窒化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の構造(10)。
【請求項4】
前記単結晶半導体アイランド(4)は、III-V族材料を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の構造(10)。
【請求項5】
前記単結晶半導体アイランド(4)は、InGaNからなり、またはInGaNを含むことを特徴とする請求項4に記載の構造(10)。
【請求項6】
構造(10)を作製するための方法であって、主面を有するキャリア(2)と、前記キャリア(2)の前記主面上に位置する誘電体層(3)と、前記誘電体層(3)上に直接位置する複数の単結晶半導体アイランド(4)とで形成される基板(1)を提供するステップを含み、前記アイランドは、III-V族材料の活性層の成長のためのシードとして使用されることになる上部表面を有し、前記アイランド(4)の前記上部表面をマスクすることなく、前記アイランド(4)によって覆われない前記誘電体層(2)の部分上に直接位置する、前記単結晶半導体アイランド(4)間の多結晶AlNシード層(3)を形成するステップを含み、その結果、前記誘電体層(3)は、もはやその環境に露出され
ず、
前記多結晶AlNシード層(5)は、その露出された表面での前記活性層の後続の形成を促進して前記後続の形成が前記アイランド(4)の縁部に固着するのを防止することができるように、前記活性層の構成要素との化学親和力を有するように構成され、前記多結晶AlNシード層(5)の厚さは、前記アイランド(4)の厚さ以下であり、これにより、前記活性層が作製される前記アイランド(4)の表面上に均一な厚さをもたらすことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記シード層(5)の前記形成は、前記単結晶半導体アイランド(4)上に、およびその間に前記シード層(5、5’)を堆積するステップと、次いで前記結晶半導体アイランド(4)上に位置する前記シード層(5’)の部分を選択的に除去するステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記単結晶半導体アイランド(4)上に位置する前記シード層(5’)の部分の前記選択的除去は、機械的化学的研磨によって実施されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シード層(5)の前記形成は、前記単結晶半導体アイランド(4)上で保護層(7)を選択的に形成するステップと、前記保護層上におよび前記単結晶半導体アイランド(4)間の前記誘電体層(3)の露出された表面上に前記シード層(5、5’)を堆積するステップと、前記保護層(7)および前記単結晶半導体アイランド(4)上に位置する前記シード層(5’)の部分を選択的に除去するステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記保護層(7)は、感光性樹脂を含み、前記保護層(7)の前記選択的形成は、フォトリソグラフィのステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記保護層(7)および前記保護層(7)上に位置する前記シード層(5’)の前記選択的除去は、化学エッチングによって実施されることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
半導体デバイスを製造するための方法であって、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の構造(10)を提供するステップと、前記単結晶半導体アイランド(4)上でIII-V族材料の少なくとも1つの活性層を形成するステップとを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア上に位置する単結晶半導体アイランドを含む構造に関する。この構造は、発光ダイオードなど半導体デバイスを構成する、III-V族材料の活性層またはそのような活性層のスタックを受けることが意図されている。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1、特許文献1、および特許文献2は、主面を有するキャリア、キャリアの主面上の誘電体層、および誘電体層上の複数の単結晶半導体アイランドによって形成された基板を作製するための異なる方法を開示している。
【0003】
これらの文献に述べられているように、単結晶半導体アイランドは、材料の連続的な膜内において、弛緩処理中の変形によってこの膜に元々存在する応力を解放するように形成される。このようにして、弛緩または部分的に弛緩されたアイランドが、それらのアイランドが十分に小さな寸法を有することを条件に座屈による過剰な変形なしに形成される。
【0004】
アイランドの形成および弛緩処理は、連続的な膜が誘電体層および基板キャリア上に位置する間に実施することができる。あるいは、アイランドの形成および弛緩処理は、連続的な膜が中間キャリア上にある間に実施することができ、中間キャリアから、弛緩または部分的に弛緩されたアイランドが、キャリアを覆う誘電体層に転写され、したがって基板を形成することになる。
【0005】
アイランドは、ゲルマニウム、SiGe、一般的な配合InAlGaNのIII-N族材料、または塊状の形態で一般に存在しない任意の他の材料製であることが有利である。
【0006】
基板を作製するために使用される方法にかかわらず、アイランドは、半導体デバイスを構成するIII-V族材料の活性層またはそのような半導体層および結晶層のスタックを受けることを意図することができる。これらは、たとえば、発光ダイオードの量子井戸を構成する単結晶活性層、または光電池の光発電層とすることができる。特許文献3を参照することができる。
【0007】
機能的かつ効率的な半導体デバイスの開発は、それらを構成する活性層の性質および厚さの非常に精密な制御を必要とする。これらは、典型的には、数nmから数百nmに及ぶ厚さを有することができる。
【0008】
このために、活性層の構成および均一性に影響を及ぼす成長機器のパラメータ(前駆体流の均一性、堆積チャンバ内の温度および分圧)が非常に精密に制御される。
【0009】
これらのパラメータを制御するためになされるあらゆる注意にかかわらず、本出願人は、「アイランド」基板のアイランド上に形成されたIII-V族材料の活性層は、アイランドの縁部上でその中央部におけるより大きい不均一な厚さを有する可能性があることを観察した。これは、弛緩または部分的に弛緩されたInGaNアイランド上にInGaNの活性層が成長するとき特に当てはまる。この大きすぎる周辺領域は活用することができず、これはアイランドの有用な表面積を制限する。
【0010】
アイランドの寸法は、必ずしもこの使用可能でない周辺領域を補うために自由に選ぶことができないことに留意されたい。実際、これらの寸法は、過剰な座屈なしにアイランドの弛緩を可能にするために課されることがある。したがって、アイランドの有用な表面積は必然的に制限され、これは、大きな半導体構成要素の形成を可能にせず、これらの基板の利益を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第2151852号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2151856号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015155331号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】”Buckling suppression of SiGe islands on compliant substrates”, Yin et al (2003), Journal of Applied Physics, 94(10), 6875-6882
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の欠点のすべてまたは一部を補うことが意図されている。具体的には、均一な厚さを有する少なくとも1つの活性層の開発のための「アイランド」基板を提供することが目的である。
【0014】
これらの目的の1つを達成することに鑑みて、本発明の対象は、III-V族材料の少なくとも1つの活性層を準備するための構造であって、主面を有するキャリア、キャリアの主面上に位置する誘電体層、および誘電体層上に直接位置する複数の単結晶半導体アイランドによって形成された基板を備え、アイランドは、活性層の成長のためのシードとして使用されることになる上部表面を有する構造を提案する。本発明によれば、この構造は、アイランドの上部表面をマスクすることなく、アイランドによって覆われない誘電体層の部分上に直接、単結晶半導体アイランド間に位置するシード層を備え、その結果、誘電体層は、もはやその環境に露出されない。
【0015】
本発明による構造は、成長によって、少なくとも1つの活性層を受けることが意図されている。広範な実験を行った後、本出願人は、活性層を構成するいくつかの種が、特にIII-V族材料製であったとき、誘電体層の誘電体との化学親和力がない可能性があり、したがってそこに固定されない可能性があることを観察した。次いで、これらの種は、活性層の成長中、アイランドの縁部に固定されるように移動する可能性が高く、これは、アイランド上に形成する活性層の厚さ均一性を損なう。
【0016】
構造に半導体アイランド間の誘電体層上に直接シード層を提供することにより、本発明の構造は、この現象を防止することを可能にし、特に均一な活性層を形成する。
【0017】
単独での、または任意の技術的に可能な組合せにおける本発明の他の利点および非制限的な特徴によれば、
・ キャリアは、ケイ素またはサファイア製である。
・ 誘電体層は、酸化ケイ素および/または窒化ケイ素を含む。
・ 単結晶半導体アイランドは、III-V族材料、より具体的にはIII-N族材料を含む。
・ 単結晶半導体アイランドは、InGaN製であり、またはInGaNを含む。
・ シード層は、多結晶AIN製である。
【0018】
また、本発明は、構造を作製するための方法であって、主面を有するキャリア、キャリアの主面全体の上に位置する誘電体層、および誘電体層上に直接位置する複数の単結晶半導体アイランドで構成される基板を提供するステップを含み、アイランドは、III-V族材料の活性層の成長のためのシードとして使用されることになる上部表面を有する、方法を提案する。本発明によれば、この方法は、アイランドの上部表面をマスクすることなく、アイランドによって覆われない誘電体層の部分上にシード層を形成するステップを含み、その結果、誘電体層は、もはやその環境に露出されない。
【0019】
単独での、または任意の技術的に可能な組合せにおける本発明の他の利点および非制限的な特徴によれば、
・ シード層の形成は、単結晶半導体アイランド上およびその間にシード層を堆積するステップと、次いで結晶半導体アイランド上に位置するシード層の部分を選択的に除去するステップとを含む。
・ 単結晶半導体アイランド上に位置するシード層の部分の選択的除去は、機械的化学的研磨によって実施される。
・ シード層の形成は、単結晶半導体アイランド上での保護層の選択的形成と、保護層上および単結晶半導体アイランド間の誘電体層の露出された表面上でのシード層の堆積と、保護層、および単結晶半導体アイランド上に位置するシード層の部分の選択的除去とを含む。
・ 保護層は、感光性樹脂を含み、保護層の選択的形成は、フォトリソグラフィステップを含む。
・ 保護層および保護層上に位置するシード層の選択的除去は、化学エッチングによって実施される。
【0020】
また、本発明は、半導体デバイスを作製するための方法であって、本発明による構造を提供するステップと、単結晶半導体アイランド上でIII-V族材料の少なくとも1つの活性層を形成するステップとを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の本発明の詳細な説明から明らかになろう。
【
図1a】本発明による構造の概略的な断面図である。
【
図1b】本発明による構造の概略的な上面図である。
【
図2a】本発明による構造を使用して半導体デバイスを作製するための方法の図である。
【
図2b】本発明による構造を使用して半導体デバイスを作製するための方法の図である。
【
図2c】本発明による構造を使用して半導体デバイスを作製するための方法の図である。
【
図3a】第1の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図3b】第1の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図3c】第1の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図4a】第2の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図4b】第2の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図4c】第2の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【
図4d】第2の実施形態による本発明による構造を作製するための方法のステップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1aおよび
図1bは、本発明による構造10の断面図および上面図を概略的に示す。構造10は、たとえば直径2インチ(50mm)、4インチ(100mm)、さらには200mmの標準的なサイズの円形ウェハのように形作ることができる。しかし、本発明は、決してこれらの寸法または形状に限定されない。
【0023】
構造10は、たとえばケイ素またはサファイア製のキャリア2を含む。キャリア2は、主面を有する。誘電体層3は、キャリア2のこの主表面上に位置する。誘電体層3は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または、たとえばこれらの材料製の層の単一もしくは複数のスタック製とすることができる。誘電体層3は、10nmと数ミクロンの間の厚さを有することができる。
【0024】
また、構造10は、誘電体層3上に直接、複数の単結晶半導体アイランド4(以下の説明では、より単純に「アイランド」と称される)を含む。「複数のアイランド」は、
図1bに示されているように誘電体層3を露出するトレンチによって境界を画すことができる独立した、接合されていない領域のセットによって形成される膜を指す。すべてのアイランドが、同じまたは異なるサイズおよび/または形状を有してよい。
【0025】
本発明は、決して特定の性質のアイランド4に限定されないが、構造10は、これらのアイランドが弛緩または部分的に弛緩されたIII-V族材料、特にInGaN製であるとき特に興味深い用途がある。InGaN材料は、1%と10%の間のインジウム含有量を有することができる。各アイランドは、100nmと200nmの間の厚さ、および数ミクロンと1mmの間の主寸法(アイランドの形状に応じて直径または長さ)を有することができる。アイランド4は、その幅を1ミクロンと50ミクロンの間とすることができ誘電体層をその環境に露出するトレンチによって、互いに分離されていることができる。
【0026】
したがって、構造10には、その露出された表面が0.3189nmと0.3210nmの間の格子パラメータを有し、発光ダイオードなど半導体デバイスを形成するためにIII-V族材料の少なくとも1つの活性層を受けることが可能であるアイランド4を形成することができる。
【0027】
また、作製される半導体デバイスの性質に応じて、AlGaNの、またはIII-V族材料、より具体的にはIII-N材料など任意の他の材料の複数のアイランドを作製しようと決めることができる。
【0028】
本発明によれば、構造10は、誘電体層3上に直接、アイランド4間に結合層5をも含む。このシード層5は、アイランド4によって覆われない誘電体層3の部分上に直接位置し、その結果、この誘電体層3は、もはやその環境に直接露出されない。結合層5は、活性層(または活性層のスタック)の成長のためのシードとしてアイランド4の上部表面を使用することができるようにこれらの表面をマスクしない。シード層5の性質は、構造10上に形成されることになる活性層のすべての構成要素と十分な化学親和力を有するように選ばれる。したがって、結合層5は、これらの要素を固定し、活性層の形成中にその移動を防止するのに適している。換言すれば、シード層5は、その性質およびその配置により、シード層5の表面からアイランド4またはこれらのアイランド上に形成される活性層6の表面への材料の輸送、典型的には吸着原子の拡散を制限する。
【0029】
たとえば、構造10、および特にアイランド4が、III-V族材料を含む活性層を受けることが意図されているとき、シード層5は、AlN製であることが好ましい。誘電体層3上に直接堆積することによって形成されるとき、シード層5は、多結晶とすることができる。したがって、特に例示的な実装において、層5は、多結晶AlN製とすることができる。
【0030】
実際のところ、出願人は、広範な実験中、III族およびV族のいくつかの元素(特にインジウム)は、誘電体層3の誘電体と特に反応性がなく、したがってそこに固定することができないことを観察することができた。しかし、それらはすべて、AINシード層5上に容易に固定することができる。
【0031】
シード層5の厚さは、その露出された表面の性質だけが本発明の範囲内で利用されるため、特に決定的なものではない。したがって、シード層は、互いに積み重ねられた複数の層で構成することができ、表面が環境に露出された層だけが活性層の構成要素との化学親和力を必要とする。具体的には、この厚さは、その露出された表面を維持し後続の活性層の形成を促進するためにアイランド4の厚さ以下のままである厚さでアイランド4間の誘電体層3を完璧に覆えば十分である。たとえば、シード層5は、数nmと数百nmの間の厚さを有してよい。
【0032】
図2は、ちょうど述べた構造10を利用する半導体デバイスを作製するための方法を示す。
【0033】
図2aに示されている第1のステップでは、本発明による構造10が提供される。構造10は、従来の成長機器のチャンバ11内に位置することができる。それ自体周知であるように、チャンバは、活性層を構成する種を輸送する前駆体ガスの流れが横断し、加熱される。
図2bに概略的に示されているように、チャンバ11内で循環する前駆体ガス内に含まれる種は、構造10の露出された表面と反応する。単結晶半導体アイランドの露出された表面上には、単結晶活性層6がエピタキシによって徐々に形成される。シード層5と活性層6を構成するすべての種との間の良好な化学親和力は、シード層5上でアイランド4間の層6’の形成をももたらす。これは、シード層5がない場合のように、いくつかの種が移動し、アイランドの露出された表面の縁部に固着するのを防止する。
【0034】
このステップが完了したとき、
図2cに示されているように、活性な半導体の単結晶層6を有する構造10が、均等な厚さを有するアイランド4の表面上に得られる。たとえば、活性層6は、それが形成されたアイランドのものと同様の均一性を有してよい。
【0035】
アイランド4間において、シード層5上に、多結晶とすることができる残さ層6’が形成されている。この残さ層6’は特に有用でなく、感光性樹脂で有用な層6をマスクすること、フォトリソグラフィ露光、および層6’のドライまたはウェットエッチングの従来のステップによって除去することができる。
【0036】
構造10上の活性層6は、半導体デバイスの実現を完了しそれを機能するものにするために、追加の層の形成、電気接点の形成、最終基板の転写など、それ自体周知の追加の処理を受けることができる。
【0037】
図3は、第1の実施形態による本発明に準拠した構造10の実現に含まれるステップを示す。
【0038】
図3aに示されている第1のステップでは、主面を有するキャリア2と、キャリア2の主面全体の上の誘電体層3と、誘電体層3上に直接位置する複数の結晶半導体アイランド4とを備える基板1が提供される。
【0039】
この基板1が得られた特定の方法は、本発明に特に関係がなく、たとえば、従来技術の開示に提示されている方法の1つが選ばれてよい。
【0040】
第2のステップ3bでは、基板1の露出された表面全体の上にシード層5、5’が形成される。シード層5’の一部分はアイランド4上に位置し、シード層5の相補的な部分は、誘電体層3上に直接、アイランド4間に位置する。
【0041】
第3のステップでは、アイランド4上に位置するシード層5’の部分が除去され、後続の活性層6または複数のそのような層の堆積のためにその表面を露出する。
【0042】
この後退させるステップは、多数の方法で実施することができる。
【0043】
第1の手法では、
図3bにおける基板は、機械的化学的薄化によって基板表面のアイランド4上に位置する結合層5’の部分を選択的に除去するために機械的化学的研磨ステップ(「化学的機械的研磨」の頭字語のCMP)にかけられる。
【0044】
別の手法は、誘電体層3上に直接位置するシード層5の部分を保護層で事前に選択的にマスクした後、アイランド4上に位置するシード層の部分5’をドライまたはウェットエッチングすることによって除去することである。この選択的マスキングは、樹脂の完全な表面堆積、除去されることになる樹脂の領域を画定するフォトリソグラフィマスクを通してのこの樹脂の露光、およびこれらの領域内の樹脂の化学的除去という従来のステップによって達成することができる。
【0045】
このステップが完了したとき、
図3cに示されているように、本発明に準拠した構造10が得られ、これは、誘電体層3上に直接、アイランド4間だけに位置するシード層5を含む。
【0046】
図4は、第2の実施形態による本発明に準拠した構造10の実現に含まれるステップを示す。
【0047】
図4aに示されている基板1を提供する第1のステップは、第1の実施形態のものと同一であり、同じコメントが当てはまる。
【0048】
図4bに示されている第2のステップでは、アイランド4の露出された表面が、保護層7、たとえば樹脂層で選択的にマスクされる。
【0049】
この選択的マスキングステップは、従来の完全表面樹脂堆積プロセス、樹脂が保存されなければならないアイランド4に対応する領域を画定するためのフォトリソグラフィマスクを通してのその露光、およびこれらの領域の外側の樹脂の選択的な化学的除去によって実施することができる。
【0050】
図4cに示されている第3のステップでは、シード層5、5’が、基板1の露出された表面全体の上に形成される。シード層5’の一部分は、アイランド4をマスクする保護層7上にあり、シード層5の別の部分は、アイランド4間で誘電体層5上に直接位置する。
【0051】
第4のステップでは、保護層7、および保護層7上にあるシード層5’の部分が除去される。これは、たとえば、保護層7を選択的に除去しシード層5’の部分の除去をもたらす化学エッチング解決策を提供することによって達成することができる。このステップが完了したとき、
図4dに示されている本発明に準拠した構造10が得られる。
【0052】
当然ながら、本発明は記載の例に限定されず、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を超えることなしに代替の実施形態を提供することができる。
【0053】
したがって、「単結晶半導体」は、結晶格子が連続的である、すなわち結晶粒界を有していない結晶形態にある半導体材料を意味する。しかし、結晶は、その単結晶特徴を失うことなしに、欠陥、または点欠陥、転位など不完全部を有してよい。
【0054】
構造10は、基板2、誘電体層3、アイランド4、およびシード層5に加えて、たとえば誘電体層3の下に位置する他の層を含んでよい。
【0055】
さらに、誘電体層3がキャリア2の主表面全体を覆う必要はない。たとえば、それはアイランド4間でキャリア2上だけ、またはさらにはアイランド4間でキャリア2の表面の一部上だけに位置することができる。あらゆる場合において、本発明によれば、シード層5は、その環境に露出される可能性が高い誘電体層3上に少なくとも直接形成される。