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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】水筒
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20220428BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20220428BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20220428BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20220428BHJP
   A45F 3/18 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C02F1/28 G
C02F1/44 A
B01D61/14 510
B01D63/02
A45F3/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019531242
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 GB2017053682
(87)【国際公開番号】W WO2018104737
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】1620769.8
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519204548
【氏名又は名称】アイコン ライフセイバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICON LIFESAVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラブグローブ,ジョセフ
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-504197(JP,A)
【文献】米国特許第02670081(US,A)
【文献】特表平05-507876(JP,A)
【文献】米国特許第05534145(US,A)
【文献】国際公開第1997/006879(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/037969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/44
B01D 61/00-71/82
A45F 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の流体リザーバ、フィルタ、ならびに開位置および閉位置を有する水出口によって画定された流体経路と、
流体入口と、および、
前記流体入口に連結されたポンプと、を備え、
前記ポンプが、逆止め弁と、および、
ピストン軸と、を備え、
前記ピストン軸を通じてピストンヘッドが移動可能であり、
前記ピストンヘッドは前記ピストン軸の第1の端部にあるオリフィスを通って摺動自在に移動可能なピストン棒に連結されており、
使用時に前記ポンプの作動により前記流体入口と連通する流体源から前記逆止め弁を介して流体リザーバに流れ込むように前記流体リザーバを加圧し、前記水出口が開放位置にあるときに圧力差により前記フィルターを通じて前記水出口に向かう前記流路経路に沿った水の流れを引き起こすように、前記オリフィスは前記ピストン棒の周りで封止されており、
前記ピストン軸が、前記フィルタによって実質的に包囲される、水容器。
【請求項2】
前記硬質の流体リザーバが、少なくとも300mlの貯蔵容量を有する、請求項1に記載の水容器。
【請求項3】
前記流体入口が、前記水容器の側壁に配置されている、請求項1または2に記載の水容器。
【請求項4】
前記流体入口が、前記ホースに取付け可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項5】
前記硬質の流体リザーバが、取外し可能なベース部分を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項6】
前記流体入口が、前記ピストンヘッドと前記流体入口との間に配置された流体が前記ポンプの作動中に前記流体源へ逆流しないように、第2の逆止め弁をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項7】
前記水出口の前記開位置および前記閉位置が、水栓によって操作される、請求項1から6のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項8】
前記フィルタが、圧力差の影響下で空気よりも水を優先して通過させるのに効果的な1つまたは複数の膜を備え、請求項1から7のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項9】
前記フィルタが、少なくとも1つの親水性毛管中空繊維膜を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項10】
前記フィルタが、複数の繊維膜を含むフィルタカートリッジを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項11】
前記フィルタおよび前記ピストン軸が、同軸である、請求項1から10のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項12】
前記硬質の流体リザーバおよび水出口のうちの少なくとも一方が、プラスチック材料で作られる、請求項1から11のいずれか一項に記載の水容器。
【請求項13】
閉鎖可能な水出口および流体入口を有する硬質の容器本体と、
前記容器本体に収容されかつ前記水出口に連結された水フィルタと、
前記容器本体に収容されかつ前記流体入口に連結されたポンプと、を備え、
前記ポンプが、逆止め弁と、および
ピストン軸と、を備え、
前記ピストン軸を通してピストンヘッドが移動可能であり、
前記ピストンヘッドが、前記ピストン軸の第1の端部にあるオリフィスを通って摺動自在に移動可能なピストン棒に連結されており、
使用時に前記ポンプの作動により前記流体入口と連通している流体源から前記逆止め弁を通して前記容器本体内へ流体が送り込むように前記容器本体を加圧し、前記水出口が開放位置にあるときに圧力差により前記容器本体から前記水フィルタを通って前記水出口へ向かう水の流れを引き起こすように、前記オリフィスが前記ピストン棒の周りで封止されており、
前記ピストン軸が、前記水フィルタによって実質的に包囲される、水容器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の水容器と前記水容器の前記流体入口に取付け可能なホースとを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水筒に関する。
【背景技術】
【0002】
いつでも利用できる飲料水源がない場合、飲用水が入っているボトルまたは他の入れ物を携行することが一般的である。ボトルは、人が安全な飲料水を自由に入手できるように、予め満たされる。その代わりに周囲環境由来の水を飲むことを選択した場合、水中に自然にいる細菌、嚢子、またはウイルスを介した疾患によって中毒になるかまたは倒れるリスクがある。
【0003】
国際特許公開WO2008037969、WO2011027125、およびWO2013038178は、印加された圧力差の作用の下で水を濾過するために中空繊維膜を利用するフィルタモジュールを含む水容器を開示している。圧力差は、容器内に空気を送り込むことによって得られる。
【0004】
この水濾過技術の背後にある原理は、水が「汚い状態で」容器内に集められて貯蔵され、実際に消費のために分注されるときにのみ濾過されることである。これらの公開で開示された容器は、人道援助の分野ではかなりの商業的成功を収めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消費者市場では、トレッキング中に次の水源をどこで見つけられるかに多少の不安があることが普通であるトレッキング旅行者の需要を満たす、より順応性のある製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、水容器であって、硬質の流体リザーバ、フィルタ、ならびに開位置および閉位置を有する水出口によって画定された流体経路と、流体入口と、流体入口に連結されたポンプと、を備え、ポンプが、逆止め弁と、ピストン軸とを備え、ピストン軸を通してピストンヘッドが移動可能であり、ピストンヘッドが、ピストン軸の第1の端部にあるオリフィスを通って摺動自在に移動可能なピストン棒に連結されており、オリフィスが、水出口が開位置にあるときに圧力差によりフィルタを通って水出口に向かう流体経路に沿った水の流れが引き起こされるように流体リザーバを加圧するために、使用時にポンプの作動により流体入口と連通している流体源から逆止め弁を通して流体リザーバ内へ流体が送り込まれるように、ピストン棒の周りで封止されており、ピストン軸が、フィルタによって実質的に包囲される、水容器が提供される。
【0007】
本発明の水容器は、様々な状況でトレッキング旅行者の要求を満たすように適応可能である。有利には、水入口とピストン棒の周りで封止されているピストン軸のオリフィスとが存在することにより、水容器は、使用者の状況に応じて、使用者に必要とされる通りに2つの別個のモードで使用され得る。
【0008】
例えば、使用者が遠隔環境でトレッキングしていて、河川または湖などの給水場所を見つけたが次の給水場所がどこで見つかるか分からない場合、本発明の水容器は、2次容器をきれいな飲用水で満たすために、汚い水を給水場所からフィルタを通して水出口の外へと連続的に送り込むのに使用することができる。これは、水出口が開位置にあることを確実にすること、流体入口を汚い水の供給場所に置くこと、および、ポンプを作動させることによって行われる。ポンプの作動は、水を給水場所から硬質の流体リザーバ内に引き込んで、流体リザーバを加圧する。これは、水が流体経路に沿ってフィルタを通過し水出口から出て2次容器に入るために必要とされる圧力差を提供する。圧力下でフィルタを通過する水の動きにより、出てくる水は、濾過されており、きれいで飲んでも安全である。このようにして、本発明のコンパクトな水容器は、使用者が次の給水場所を見つけるまで、使用者が飲むための十分に安全な飲用水で大きい容器を効率的に満たすために使用され得る。
【0009】
別の状況では、トレッキング旅行者が、それほど遠隔ではない環境にあって、短い時間枠内で水源を見つけられることが確実な場合がある。そのような例は、その後で歩行者が家に帰る、地方公園での午後の散歩であり得る。しかし、そのような散歩は、それでもなお激しい場合があり、歩行者が頻繁に水を飲むことを欲する場合がある。重くかつ扱いにくいであろうこの目的のための大きい水容器を持ち歩くのではなく、本発明の水容器を代わりに使用することができる。この場合、使用者は、水容器の水出口をその閉位置に変更し、上記で説明されたのと同じように、汚い水の供給場所から流体リザーバ内に水を送り込む。しかし、逆止め弁と水出口の閉位置とにより、汚い水は、使用者が飲料を必要とするまで、硬質の流体リザーバ内に貯蔵される。水を濾過して飲むために、使用者は、水出口をその開位置へと開く。次いで、すでに空気が存在しているリザーバ内に送り込まれたためにリザーバ内で圧力を受けて貯蔵されている汚い水は、流体経路に沿ってフィルタを通過して、流体出口から流出する。水がフィルタを通って流れるためにより大きい圧力差が必要とされる場合、使用者は、必要とされる圧力を提供するために、ポンプを使用して、空気を流体入口から流体リザーバ内に送り込む。使用者が容器内の貯蔵された水を全て飲んだ場合、使用者は、簡単に容器をもう一度いっぱいにすることができる。水容器は、上記のように硬質の流体リザーバ内に水を送り込むことによって満たされてもよく、あるいは、汚い水が(例えば、水を注ぎ込むことにより、または、水容器を使用して水源から直接水を「すくい取る」ことにより)硬質の流体リザーバ内に直接導入されてもよい。そのような場合、必要とされる圧力差を生じさせるために、流体リザーバ内に空気が送り込まれる必要がある。
【0010】
以上のように、本発明の水容器は、非常に順応性があり、かつ、様々な用途および起こり得る状況のために使用され得る。有利には、ピストン軸がフィルタによって実質的に包囲されるので、水容器は、コンパクトであり、容易に持ち運ぶことができる。
【0011】
流体経路に沿った水の流れを引き起こすために、流体リザーバ内の必要とされる圧力は、典型的には少なくとも0.25バールであり、好ましくは1.2バールである。水出口から出る水の流量は、1リットル/分であり得る。
【0012】
硬質の流体リザーバは、好ましくは少なくとも300ml、より好ましくは少なくとも450mlの貯蔵(すなわち、内部)容積を有する。これは、有利には、上記のような非常に順応性があるコンパクトな水容器を提供し、さらに、いつでも濾過して飲むことができるかなりの量の水を都合良く保持する水容器を提供する。
【0013】
典型的には、流体入口は、水容器の側壁に配置され、また、好ましくは、水容器の側壁に配置されたオリフィスを含む。この流体入口の位置決めは、流体入口の位置がポンプの作動に干渉しないので、水源からの水の容易な捕集を可能にする。実際、典型的には、流体入口はポンプから離間される。
【0014】
特に有利には、流体入口は、使用時に流体入口がホースにより流体源と連通するように、ホースに取付け可能とされ得る。有利には、この特徴は、流体リザーバ内に水を引き込むために、使用者がいわゆる「捕集ホース(scavenging hose)」の一方の端部を流体入口に取り付けて、ホースの反対側の端部を給水場所に置くことを可能にする。これは、水容器の特に容易な利用を可能にする。
【0015】
流体入口は、ピストンヘッドと流体入口との間に存在する流体がポンプの作動中に流体源へ逆流しないように、第2の逆止め弁をさらに備えてもよい。本発明者らは、水容器が水源から流体リザーバ内に水を引き込むために使用される場合に、ポンプの作動中にピストンヘッドがピストン軸を通って後退されるときに、水源(これは、典型的には、容器内の水塊よりもはるかに大きい水塊である)によって提供される圧力が、水が流体入口から押し出されて水源に戻されるのを防ぐことを見いだした。しかし、ダックビル弁などの逆止め弁が水入口において使用され得ることが、なおも想定される。
【0016】
硬質の流体リザーバは、取外し可能なベース部分を備えることが好ましい。これは、有利には、ベース部分を取り外して流体リザーバに水を導入することにより使用者が硬質の流体リザーバを満たすことができるように、流体リザーバへのアクセスの容易さを提供する。この作動モードは、水貯蔵器として機能する水容器で使用されることが想定される。この場合、リザーバ内に貯蔵された汚い水をフィルタに通すために、ポンプは、上記のように、流体リザーバ内に空気を送り込んで流体リザーバ内の圧力を高めるように作動される必要がある。
【0017】
水出口の開位置および閉位置は、水栓によって操作されることが好ましいが、例えば取外し可能なキャップといった、水出口を開閉する他の手段も想定される。
【0018】
有利には、水出口は、2次容器に取付け可能とされ得る。これは、上記で説明されたように、水容器が2次容器内へ連続的に水を送り込みかつ濾過するために使用される場合に、特に有益である。水出口は、例えば柔軟な袋のリザーバといった2次容器に水容器を取り付けることを可能にするホースに取付け可能であってもよい。水出口は、ホースへの取付けが特に容易なノズルを備えることが好ましい。
【0019】
水容器は、使用時に水出口を通って流れる水が2次容器に入るように、2次容器への取付けのための固定手段をさらに備え得る。これは、水容器が上記で説明されたような2次容器を満たすために使用される場合に、特に有益である。典型的には、そのような固定手段は、例えば広口のNalgene(登録商標)ボトルといった対応するねじ山を備える2次容器に水容器が取り付けられることを可能にする、ねじ山である。水出口がホースに取付け可能であり、かつ、水容器が2次容器への取付けのための固定手段を備える場合、様々な2次容器を効率的に満たすことができるので、このことは、本発明の適応性をさらに高める。
【0020】
フィルタは、圧力差の影響下で空気よりも水を優先して通過させるのに効果的な1つまたは複数の膜を備え得る。1つまたは複数の膜は、20ナノメートル未満、好ましくは15ナノメートル未満の平均径を有する複数の細孔を備えることが好ましい。これは、有利には、フィルタが限外濾過をすることができることを意味する。これは、細菌だけでなくウイルスも水から濾別されることを確実にする。好ましい膜は、細菌の99.9999%超、嚢子の99.99%超、およびウイルスの99.99%超の保持率を有する。膜はまた、堆積物、および浮遊状態の他のあらゆる沈殿物を、水から除去する。
【0021】
典型的には、フィルタは、少なくとも1つの親水性毛管中空繊維膜(hydrophilic capillary hollow fibre membrane)を備える。フィルタは、そのような膜のアレイを備えることが好ましい。リザーバ内に貯蔵された汚い水は、圧力差の下で毛管中空繊維膜の壁に通されて毛管繊維膜のそれぞれの開口端部へ向かわせられる。毛管中空繊維膜は、繊維膜の開口端部を互いに固定された関係で保持するために、開口端部において注封され得る。
【0022】
フィルタは、複数の繊維膜、好ましくは中空繊維膜を含む、フィルタカートリッジを備え得る。フィルタカートリッジは、水容器から取外し可能であることが好ましい。これは、有利には、「使用済みの」フィルタが使用者によって容易に交換されることを可能にする。そのような膜を使用することの1つの具体的な利点は、膜内の細孔が最終的には時間をかけて水から濾別された堆積物で満たされることである。このことが生じた場合、水はもはやフィルタを通過することができず、フィルタは交換を必要とする。これは、いつフィルタを交換するかの明瞭な指示を提供するだけでなく、流体リザーバから水出口への流体経路が閉鎖されたときに使用者が安全でない水を飲むのを防ぐ。
【0023】
そのようなフィルタカートリッジは、典型的には、水が流体リザーバから穴を通ってフィルタ膜へ流れることを可能にするために、複数の穴が貫通している外壁を有する環状ハウジングを備える。
【0024】
フィルタおよびピストン軸は、同軸、つまり共通軸を共有し得る。これは、コンパクトな水容器を可能にする。
【0025】
流体リザーバ、フィルタ、およびピストン軸は、実質的に円筒状でありかつ同軸であり得る。
【0026】
典型的には、水容器は、流体リザーバ内の圧力が過度に高くなるのを防ぐために、圧力調整器をさらに備える。圧力調整器は、流体リザーバ内の圧力が所定のレベルを超えて上昇するのを防ぐように適合された弁を備えることが好ましい。そのような弁は、例えばピストンヘッド内に位置決めされ得る。
【0027】
ポンプの逆止め弁は、好ましくはアンブレラ弁であるが、他の逆止め弁も想定される。
【0028】
流体経路は、フィルタと水出力部との間に配置された2次フィルタを備え得る。そのような2次フィルタは、有利には、例えば化学物質および重金属汚染物質を水から除去することといったさらなる濾過プロセスを提供し、また、典型的には炭素フィルタである。そのような2次フィルタは、水容器から取外し可能で、交換が可能とされることが好ましい。2次フィルタは主要なフィルタとは別々に取外し可能であることが想定され、これは、有利には、主要なフィルタの(例えば、汚れた指による)汚染を防ぐ。
【0029】
典型的には、硬質の流体リザーバおよび水出口のうちの少なくとも一方は、プラスチック材料、好ましくは水質等級のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)またはポリプロピレンで作られる。水出口は、細菌、菌類、およびカビの増殖を抑えるために、抗菌性の添加物を含むことが好ましい。典型的には、濾過されたきれいな水と接触する水容器のどの特徴も、そのような抗菌性の添加物を含む。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、水容器であって、閉鎖可能な水出口および流体入口を有する硬質の容器本体と、容器本体に収容されかつ水出口に連結された水フィルタと、容器本体に収容されかつ流体入口に連結されたポンプと、を備え、ポンプが、逆止め弁と、ピストン軸とを備え、ピストン軸を通してピストンヘッドが移動可能であり、ピストンヘッドが、ピストン軸の第1の端部にあるオリフィスを通って摺動自在に移動可能なピストン棒に連結されており、オリフィスが、水出口が開位置にあるときに圧力差により容器本体から水フィルタを通って水出口に向かう水の流れが引き起こされるように容器本体を加圧するために、使用時にポンプの作動により流体入口と連通している流体源から逆止め弁を通して容器本体内へ流体が送り込まれるように、ピストン棒の周りで封止されており、ピストン軸が、水フィルタによって実質的に包囲される、水容器が提供される。
【0031】
硬質の容器本体は、好ましくは少なくとも300ml、より好ましくは少なくとも450mlの内部容積を有する。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、3Dプリンタを使用して本発明の水容器を製造するために3D印刷命令をコード化するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、本発明の水容器のコンピュータモデルをコード化するコンピュータプログラム製品が提供される。そのような3D印刷および/またはモデリングのために、例えばSTEPファイルといった様々な3D CADファイルのタイプが使用され得る。CADファイルは、3Dプリンタが作動することができる命令に変換され得る。
【0034】
本発明の第5の態様によれば、本発明による水容器と流体入口に取付け可能なホースとを含むキットが提供される。
【0035】
次に、以下の図面を参照しながら、本発明の例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】好ましい水容器の側面図である。
図2】好ましい水容器の断面図である。
図3】好ましい水容器の部分的に分解された斜視図である。
図4】好ましい水フィルタの斜視図である。
図5】好ましい水容器のポンプの第1の側面図である。
図6】好ましい水容器のポンプの第2の側面図である。
図7】好ましい水容器のポンプの第3の側面図である。
図8】好ましい水容器のポンプの第4の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の説明は、本発明の特定の実施形態に関するが、以下の説明の代替案があり得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0038】
図1は、本発明による水容器100を示し、図2は、前述の水容器の断面図を示し、図3は、水容器100の主要構成部品を示す、部分的に分解された斜視図である。次に、図1、2、および3を参照しながら、水容器の全体像を示す。
【0039】
水容器100は、一方の端部に一体に形成された蓋10aを有し他方の端部に取外し可能な基部30を有する、実質的に円筒形で硬質の中空外側ハウジング10を備える。蓋10aは、一体に形成されたノズル15を備える締付け部材25に取り付けられる。締付け部材25は、蓋10a上の対応するねじ山25bにより締付け部材25がハウジング10の蓋10aに取外し可能に取り付けられることを可能にする、ねじ山25aを備える。実質的に環状のシール20aが、締付け部材25と蓋10aとの間でシールとして働く。シール20aは、可撓性のストラップ20bを介してキャップ20に取り付けられ、シール20aおよびストラップ20bは、典型的には、単一の部材として形成される。キャップ20は、キャップ20の下面に一体に成形された摩擦に基づくシールを介した締付け部材25との押込み嵌め接合部を有する。可撓性のストラップ20bは、使用者が締付け部材25からキャップ20を取り外したときにキャップ20を置き忘れることを防ぎ、また、容器100を容易に持ち運ぶまたはバッグに取り付けることを可能にする。ハウジング10は、使用者が容器を掴むのを支援するために、また、構造上の剛性を高めて荷重下でのハウジングの変形に抵抗するために、くぼめられた部分11を有する。
【0040】
基部30は、ねじ山33によりハウジング10に取外し可能に取り付けることができ、かつ、シール32により水密かつ気密のシールを形成する。基部30は、基部30の外壁において実質的に円形のオリフィスを含む流体入口50を備える。流体入口は、流体入口パイプ50aにより、ポンプ70のピストン軸71に連結される。ポンプ70は、ピストン軸71、ピストン軸内を移動するピストンヘッド73、および握り31を備える。ピストンヘッド73および握り31は、握りの運動がピストン軸71内でピストンヘッド73を移動させるのに有効であるように、ピストン棒72により互いに対して固定される。握り31は、基部30と一体に形成されるが、ピストンヘッド73をピストン軸内で移動させるために、容器100の軸に沿った自由度を有する。握り31は、使用してないときには(例えば、適切に設計された突起が握りから基部に入ることにより)基部30内にロックされ得る。
【0041】
逆止め弁77が、握りに対するポンプ70の遠位端部に設けられ、ピストン軸71は、ピストン軸における水密かつ気密のシールを作り出すために、シール74によりピストン棒の周りで封止される。シール74は、ニトリルゴムのOリングシールであることが好ましい。この実施形態のポンプは、使用者がポンプを作動させるために克服しなければならない圧力が容器内の圧力に等しいという点で、1:1ポンプである。それでもなお、ポンプをより容易に手動で作動させられるように、ラチェット式または歯車式のシステムを使用することが可能である(したがって、ポンプ内部の圧力を他の方法で可能とされるのよりも高い水準に高めることが可能とされる)。ポンプの作動については、図5から8を参照してより詳細に説明される。
【0042】
図2および3で明らかなように、フィルタカートリッジ60が、容器100のハウジング10内に配置される。フィルタカートリッジ60は、基部30に当接し、かつ、フィルタカートリッジ60のハウジング62の上端部上に位置決めされたフランジ68と蓋10a上の受入溝69との間の差込みロック作用を介してハウジングの蓋10aに取り付けられる。食品用シール61が、フィルタカートリッジ60と蓋10aとの間のシールが水密でもあり気密でもあるように、設けられる。この実施形態では、フィルタカートリッジ60は、ポンプ70を実質的に包囲し、ポンプ70、容器ハウジング10、およびフィルタカートリッジ60は、共通の軸を共有する。フィルタカートリッジ60については、図4を参照してより詳細に説明される。
【0043】
流体リザーバ12が、フィルタ60と蓋10aと基部30との間の空間内にハウジング10によって画定される。流体リザーバは、好ましくは少なくとも300ml、より好ましくは450mlの容積を有する。
【0044】
図3で明らかなように、水容器100はまた、フィルタカートリッジ60と水出口15との間に配置された追加の炭素フィルタ18を組み込み、したがって、水は、炭素フィルタ18を通過し、水出口15を通って水容器から出る。図2は炭素フィルタ自体を示していないが、炭素フィルタ18が位置する空間(18a)は明瞭に示されている。炭素フィルタは、水から化学物質および重金属汚染物質を除去するのに効果的であることが知られている。あるいは、またはさらに、様々なフィルタを容器100に組み込むことができる。例えば、樹脂フィルタは、効果的な海水脱塩フィルタとして知られている。このタイプのまたは他のタイプのフィルタが、フィルタカートリッジ60に組み込まれてもよい。
【0045】
好ましい実施形態で使用される炭素フィルタは、活性炭フィルタであるが、他のタイプの炭素ベースのフィルタ(木炭フィルタなど)が採用されてもよい。
【0046】
有利には、締付け部材25の取外しは、フィルタカートリッジ60を取り外さなくても使用者が(例えば、使用済みの炭素フィルタを交換するために)炭素フィルタにアクセスすることを可能にする。これは、フィルタカートリッジを汚染する危険を冒さずに炭素フィルタを交換できることを意味する。
【0047】
ノズル15は、それが開位置にあるときに、濾過された水がフィルタ60を通って水容器100から出ることを可能にするという点で、水出口として働く。ノズル15はまた、閉位置を有し、この閉位置では、水がノズルの端部から流出することができない。好ましい実施形態では、ノズル15の開位置および閉位置は、締付け部材25の側壁に位置決めされた入口210を通して締付け部材25と一体化される水栓部材200によって制御される。水栓部材は、その一方の端部に貫通穴204を有する長尺部材202を含む。長尺部材202の長さは、貫通穴204がノズル15と同じ径方向位置に配置されるような長さである(典型的には、ノズルは、平面図で見たときに、容器の中心に位置決めされ、したがって、長尺部材202の長さは、容器100の半径に実質的に等しい)。貫通穴204がノズル15の軸と一直線になると、流体が水栓部材200の貫通穴204を通ってノズルから流れることができるので、ノズルは開位置にあると考えられる。貫通穴がノズル15の軸と一直線にならないように(典型的には、貫通穴がノズルの軸に垂直であるように)水栓部材が回転されると、水はもはやノズルから流れることができないので、ノズル15は閉位置にある。水栓部材の回転は、締付け部材25から突き出る握り208によって発動される(図1参照)。このようにして、ノズル15および水栓部材200は、当業者によって理解されるように水栓として一緒に機能する。
【0048】
しかし、例えばノズルの端部を覆って取外し可能に位置決めされるキャップといった、ノズル15の開位置および閉位置を発動させる他の手段が想定される。
【0049】
図3に明瞭に示されるように、締付け部材25は、ノズル15を包囲する取付構造部15aをさらに備える。取付構造部15aは、実質的に環状の形状を有し、かつ、ノズル15と同軸であり、これは、ノズル15と取付構造部15aとの間に画定された空間内にホースのハウジングを配置することにより良好な水密シールを有してホースをノズルに取り付けられることを意味する。しかし、水出口15とホースとの間の良好な取付けを形成する他の手段が想定される。
【0050】
図4は、1つの好ましい実施形態のフィルタカートリッジ60を示す。示されるように、フィルタカートリッジ60は、中空繊維膜65のマトリクスが内部に配置される、実質的に環状のハウジング62を備える。中空繊維膜65は、典型的には、限界濾過をすることが可能な平均細孔径を有する。したがって、フィルタカートリッジ60は、細菌、ウイルス、嚢子、寄生生物、菌類、および他のあらゆる水媒介性病原体を除去するのに有効である。実際に、そのようなフィルタは、あらゆる微生物学的物質を水から除去して、安全な飲料水を提供する。
【0051】
繊維膜65は、図4に示されるように実質的に直線状に配置され、かつ、ノズル15に近い開口端部60aにおいて樹脂層67に注封され、かつ、遠位端部において密封される。膜は、図4で明らかなように、膜の円筒を形成するために、食品用接着剤によってまとまって保持される。
【0052】
好ましい実施形態では、膜内の開口部は、20nmよりも小さく、好ましくは15nmよりも小さい。これは、ウイルスおよび細菌が水から濾別されることを確実にする。好ましい繊維膜65は、水からの99.9999%超の細菌の保持率、99.99%超の嚢子の保持率、および99.99%超のウイルスの保持率を有する。繊維膜はまた、堆積物、および浮遊状態の他のあらゆる汚染物質を、水から除去する。
【0053】
フィルタ膜は、親水性であって、結果的に水(または任意の他の液体)が空気に優先してフィルタ膜を通過することが、好ましい。
【0054】
ハウジング62の外壁は、汚い水が流体リザーバ12から繊維膜65に入ることを可能にする、複数の穴63を含む。
【0055】
手動ポンプ70は、ノズルがその開位置にあるときに、水を流体リザーバ12から中空繊維膜65の壁に通し、その後ノズル15に近いそれらの開口端部まで繊維膜の長さに沿って進ませるために、膜壁にわたって必要とされる圧力差を提供する。
【0056】
本発明での使用に適した繊維膜は市販されており、例えばGE Power and Waterによる繊維膜が使用され得る。あらゆる濁り、細菌、およびウイルスをスクリーニングするには、中空限外濾過膜が効果的である。
【0057】
次に、図5から8を参照して、ポンプ70をより詳細に説明するが、これらの図は、例えば河川または湖であり得る水源300から水を引き込む際のポンプの働きを示している。図5から8では、図示を容易にするために、ポンプ70の主要構成要素だけが示されている。
【0058】
ポンプヘッド73は、逆止め弁77に近い第1のエンドストップ74aと逆止め弁77から遠い第2のエンドストップ74bとを画定する、環状の溝74を備える。第1のエンドストップと第2のエンドストップとの間で移動可能であるOリングシール75が、溝74に配置される。シール75が第1のエンドストップ74aに当接すると、第1のエンドストップ74aにある対向する切り欠き部分を通ってピストンヘッド73を通り越える流体経路が画定される。これは、図3中の76に最も明瞭に見られる。シール75が第2のエンドストップ74bに当接すると、ピストンヘッドは、ピストン軸71を実質的に封止する。
【0059】
使用時には、使用者は、捕集ホース51を流体出口50に取り付けて、ホースの遠位端部を水源に入れることができる。このようにして、容器100の流体入口50は、水源と流体連通する。図5に示されるように握り31が引き込み位置にある状態で、ポンプサイクルが始まる。
【0060】
使用者は、図6に示されるように、閉じる力F1を握り31に印加する。それにより、ピストン棒72による握り31とピストンヘッド73との連結に起因して、ピストンヘッド73がピストン軸71に沿って移動させられる。Oリングシール75は、ピストン軸71の内表面との摩擦により第2のエンドストップ74bに押し付けられ、その結果、密封位置に位置する。移動するピストンヘッド73の後側に作り出される低圧領域は、水源300から捕集ホース51に沿って流体入口50を経てピストン軸71内へと、水を引き込む。これは、陰影付け90によって示されている。ピストン軸とピストン棒72との間のシール74は、水だけが(すなわち、空気を含まずに)ピストンチャンバ71内に引き込まれることを確実にする。
【0061】
図7に示された閉位置まで握り31が押し込まれると、ピストン軸71は、陰影付け90によって示されるように水でいっぱいになる。
【0062】
図8に示されるように、使用者が握り31に引き出す力F2を印加すると、Oリングシール75は、摩擦により第1のエンドストップ74aにもたれて移動され、したがって非封止位置に位置し、それにより、図8で矢印によって示されているように、第1のエンドストップ74aにある切り欠き部分76を通ってピストンヘッド73を通り越える流体経路が開かれる。したがって、ピストン軸71の端部から水が押し出されるのを防ぐシール74の存在により、使用者が引き出す力F2を印加することにより握りが引き出されると、すでにピストン軸71内に引き込まれている水が、ピストンヘッドの周りを流れて、ピストンヘッドの上側のピストンヘッドと逆止め弁との間の領域を満たす。握り31が引き出されるときに水が流体入口50から逆流するのを防ぐには、水塊300の圧力で十分であることが分かっている。それでも、ダックビル弁などの逆止め弁が流体入口50に配置され得ることが想定される。
【0063】
握りが(図5におけるように)完全に引き出された位置にある状態では、ポンプヘッド73と逆止め弁77との間の領域内に多量の水が存在する。使用者により閉じる力がさらに印加されると、Oリングシール75は、その閉位置へ移動されて、したがって、ポンプヘッド73と逆止め弁77との間の領域内の水は、逆止め弁を通って流体リザーバ12内へ押し込まれる。すでに流体リザーバ12内に存在する空気により、流体リザーバ12内に送り込まれた水は、流体リザーバ12内の圧力を高める。
【0064】
したがって、握りの(図5に示されるような)引き出された位置と(図7に示されるような)閉じられた位置との間での繰返しの運動により、流体リザーバ内に水が送り込まれる。
【0065】
捕集ホースが水源に入れられておらず、大気に向かって開かれている(または、図1から3におけるように、流体入口50が大気と直接連通するように捕集ホースが取り外されている)場合、ポンプ70は、逆止め弁を通して流体リザーバ12内へ空気を押し込むように、同様に機能する。
【0066】
逆止め弁77は、きのこのような形状を有する。ポンプヘッド73がポンプ軸71に導入されるときに、ポンプ軸内の圧力が、逆止め弁77の側方先端部をわずかに立ち上がらせて、水(または空気)がポンプ軸にある穴78を介して流体リザーバ12に入ることを可能にする。ポンプヘッド73が後退されると、逆止め弁の側方先端部は、元の穴78の上に戻って、水(または空気)がリザーバ12から出るのを防ぐ。
【0067】
ポンプ70は、ポンプヘッド73の通路内に配置された圧力調整システムを備える。玉軸受81が、ばね82によりポンプヘッド73の先端に向かって付勢される。容器ハウジング10に圧力が印加されると、玉軸受は、印加された圧力に応じた距離だけ通路を下方に後退する。圧力が所定の最大レベルに達すると、玉軸受81は、水(または空気)が逆止め弁77を押し通されるのではなく逃し通路83を通過することができる程度まで後退することができ、それにより、ハウジング10にさらなる圧力が印加されるのを防ぐ。ばね82を収縮させるのに必要な圧力は、ばねの長さ、および、フックの法則によるばね定数に左右される。このようにして、ハウジング10に印加され得る最大圧力が調整される。
【0068】
次に、水容器100がどのように使用され得るかを、まず水容器100が2次容器(図示せず)を満たすために「直流」ポンプとして機能するモードにおいて説明する。最初にキャップ20が取り外され、ノズル15がその開位置に位置するように、水栓部材200が回転される。次いで、水容器100は、ノズル15から流出する水が2次容器に入るように、2次容器に取り付けられることが好ましい。これは、締付け部材25のねじ山21を2次容器(例えば、広口のNalgene(登録商標)ボトル)上の対応するねじ山に取り付けることによって、または、上記のように(例えば、2次容器として働く柔軟な袋への取付けのために)取付構造部15aにホースを取り付けることによって、行われ得る。
【0069】
いったん容器100が2次容器に取り付けられると、捕集ホース(例えば、図5~8参照)が流体入口50に取り付けられ、ホースの遠位端部が、河川または湖などの汚い水源に導入される。次いで、握りの引き出された位置から閉じられた位置への繰返しの運動による、使用者によるポンプの作動が、図5から8に関連して上記で説明されたように、水を流体リザーバ12内に引き込む。流体リザーバ12内への水の導入は、流体リザーバ12からの汚い水が、フィルタカートリッジ60の繊維膜に通され、炭素フィルタ18に通され、ノズル15から出されて2次容器に入れられるように、十分な圧力差を生じさせる。このようにして、使用者は、水容器100を使用して、必要とするのと同じ量の水を汚い水源から2次容器内に連続的に送り込むことができる。2次容器内の水は、濾過された飲用水である。これは、例えば使用者がトレッキング中に水源に出くわしたが次の給水場所がいつ見つかるか分からない場合に、特に有益である。水容器100を使用すると、彼/彼女は、必要であると考えるのと同じの量のきれいな飲料水を容易に作り出すことができる。
【0070】
水容器100はまた、必要なときに使用者によって濾過されて飲まれ得る汚い水のための貯蔵デバイスとして使用され得る。このモードでは、水栓部材200は、水出口15が閉位置に位置するように、回転される。上記で説明されたのと同様に、捕集ホースが流体入口50に取り付けられて、河川または湖などのきれいではない水源に導入される。ポンプ70の作動が、水源から流体リザーバ12内に水を引き込む。このようにして流体リザーバ12を水で満たすことは、流体リザーバ12内にすでに存在する空気により流体リザーバ12を加圧し、したがって、ノズル15が開位置に変更されるときに(すなわち、使用者が飲料を欲するときに)は、リザーバ12内に貯蔵された汚い水をフィルタ60の繊維膜に通し炭素フィルタ18に通してノズル15から出すのに十分な圧力差が存在する。
【0071】
しかし、リザーバ12からフィルタ60を経てノズルに向かうこの流体経路を有効にするためにより高い圧力が必要とされる場合、ポンプ70は、リザーバ12を加圧してリザーバ12内に貯蔵された汚い水をフィルタ60に通すのに必要とされる圧力差を生じさせるために、ノズルを閉めた状態で流体リザーバ12内に空気を送り込むのに使用され得る。流体リザーバ12内に空気を送り込むために、捕集ホースは、流体入口が水ではなく大気と流体連通するように水源から取り出される(また、流体入口から取り外され得る)。そのような場合、ポンプの作動が、上記で説明されたように流体リザーバ12内に空気を引き込み、それにより流体リザーバ内の圧力が高められる。
【0072】
水容器100が貯蔵デバイスとして使用される場合、水入口を通して水を送り込む代わりに、使用者は、単純に容器の基部30を緩め、水を(例えば、水源で水を注ぐまたは水源から水を「すくい取る」ことにより)直接流体リザーバ12に導入した末に、基部を元の位置に戻すことができる。そのような状況では、ポンプ70は、次いで、水をフィルタ60に通してノズル15から出すのに十分な圧力を生成するために、ノズルを閉めた状態で流体リザーバ12内に空気を送り込むのに使用されることが必要になる。
【0073】
上記で説明された水容器100の両方の(すなわち、直流ポンプとしての、または貯蔵容器としての)「モード」において、使用者は捕集ホースを使用するのではなく単純に水入口50を(例えば、水入口を水中で保持することにより)水源に導入できることが、留意されるべきである。
【0074】
水容器は、プラスチック材料で作られることが好ましく、特に、水質等級のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)またはポリプロピレンで作られることが好ましい。プラスチック製容器は、射出成形、ブロー成形、または3D印刷などの、当技術分野でよく知られた技法によって作られ得る。しかし、容器は、金属で作られてもよい。濾過された水と接触する材料は、SteriTouch(登録商標)によって製造されたものなどの抗菌性の添加物を含むことが好ましい。濾過された水と接触する容器の部品には、ノズル15、取付構造部15a、水栓部材200、キャップ20、フィルタハウジング62、樹脂層67、および締付け部材25のうちの少なくとも1つが含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8