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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】穴を有する化粧剤アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20220428BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A45D34/04 510D
A45D34/04 515Z
A46B5/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019532771
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 FR2017053784
(87)【国際公開番号】W WO2018115770
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】1663182
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518306713
【氏名又は名称】シャネル パヒューム ボーテ
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】カステックス ニコラ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0016985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283868(US,A1)
【文献】国際公開第2015/158909(WO,A1)
【文献】特表2010-518933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A46B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの空洞を有するコア(20)と、前記空洞をコアの外部に通じさせる側面穴(24)とを含み、前記側面穴(24)が千鳥状に配置されるとともに、前記側面穴(24)の少なくともいくつかが少なくとも1つの外側の面取り部(26、28)を有することを特徴とする睫毛用化粧品のアプリケータ(12;32)。
【請求項2】
前記コア(20)は、前記アプリケータの主軸(18)に垂直な平面でコアの任意の1つの断面が凸面になるような形状を有する、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記側面穴(24)の少なくともいくつかが、前記アプリケータの主軸(18)に平行な長軸を有する、請求項1および2のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記側面穴(24)が、前記アプリケータの主軸(18)に垂直な平面に延びる複数のクラウンを形成し、前記側面穴(24)の少なくともいくつかは、それらの長軸に沿って上方および下方の頂点を有し、少なくとも1つの前記側面穴(24)の上方の頂点は、それよりも上にある連続する1つのクラウンの少なくとも1つの側面穴(24)の下方の頂点よりも前記アプリケータの遠位端に近い、請求項3に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記側面穴(24)が、前記アプリケータの主軸(18)に垂直な平面に延びる複数のクラウンを形成し、1つのクラウンの2個の側面穴(24)の間の距離が、前記クラウンの平面に沿って、2個の側面穴(24)のうちの一方の側面穴(24)の大きい方の寸法未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記側面穴(24)が、前記アプリケータの主軸(18)に平行な複数の列を形成し、1つの列の2つの側面穴(24)の間の距離が、主軸(18)に沿って、2個の側面穴(24)のうちの一方の側面穴(24)の大きい方の寸法未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記側面穴(24)の少なくともいくつかが多角形である、請求項1から6のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記側面穴(24)の少なくともいくつかが菱形である、請求項1から7のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記側面穴(24)の少なくともいくつかが同一である、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項10】
各側面穴(24)が、前記空洞に向かって配向された法線方向の一段と小さい断面を有し、前記側面穴(24)の一段と小さい断面の集合が前記コア(20)の壁の面積の半分未満を占有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記側面穴(24)が、前記アプリケータの長さの半分未満を形成するアプリケータ区間に延びる、請求項1から10のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項12】
前記アプリケータが、このアプリケータの長さの半分以上にわたって突起(30)を含む、請求項11に記載のアプリケータ。
【請求項13】
各側面穴(24)が、コアの1周の15%未満にわたって延びる、請求項1から12のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項14】
突起(30)を含み、すべての突起が完全に前記側面穴(24)の外に延びている、請求項1から13のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記菱形の側面穴(24)の少なくともいくつかが8個の突起により囲まれており、すなわち、4個の突起が前記側面穴(24)の4個の頂点に向かい合って延び、4個の突起が、前記側面穴(24)の各辺の中央に向かい合って延びている、請求項8に記載のアプリケータ。
【請求項16】
前記アプリケータの主軸(18)に平行な列を形成する複数の突起(30)を含み、前記列の少なくともいくつかが、互いに異なる数の突起を有している、請求項1から15のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項17】
前記アプリケータの主軸(18)に垂直なクラウンを形成する複数の突起(30)を含み、前記クラウンの少なくともいくつかが、互いに異なる数の突起を有している、請求項1から16のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項18】
単一部品からなる、請求項1から17のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項19】
化粧品のリザーバと、請求項1から18のいずれか一項に記載のアプリケータとを含む化粧品(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧剤アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラ製品すなわち「マスカラ」は、一般にマスカラリザーバとアプリケータとを含む。特に、棒ブラシタイプと、射出成形タイプとの2種類のアプリケータが存在する。棒ブラシタイプのアプリケータは、アプリケータのコアを形成する撚り合わせ金属線内にファイバーからなる毛を閉じ込めたブラシを形成する。射出成形タイプのアプリケータは単一部品であり、プラスチック材料からなる毛または歯を含む。このようなアプリケータは、ユーザに対して満足のいく結果を与える。しかし、ユーザは、常に、新しい、あるいはより優れたメーキャップ効果、ならびに、ますます快適な使用(application)を求めている。そうした改良の中では、睫毛のよりよい分離、睫毛を長く見せる効果および/または睫毛をカールさせる効果、あるいはまた、一列の睫毛の睫毛位置に応じた異なるメーキャップ効果の研究に注目することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は化粧剤アプリケータを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明によれば、睫毛用の化粧剤のアプリケータは、空洞を有するコアと、この空洞をコアの外部に通じさせる側面穴とを含み、この穴が千鳥状に配置(a staggered arrangement)される。
【0005】
したがって、専用のリザーバにアプリケータを浸すと、穴と空洞に化粧剤を充填させることができる。その後、メーキャップ時に、アプリケータを被う化粧剤が睫毛に塗布される。一方で、化粧剤はまた、徐々に穴から排出されていく。これは、睫毛が穴に接触する通過作用で発生する。これはまた、場合によってはコアのたわみおよび/または圧縮の結果として得られ、その場合、コアは若干スポンジのような作用をする。実際、穴はコアの強度を弱め、コアにいっそうの柔軟性を与える。当然のことながら、こうした柔軟性は、コアのために選択された様々な寸法と1つまたは複数の材料とに依存する。
【0006】
有利には、コアが円筒形である。
【0007】
非円筒形のコア、たとえばその長さにわたって膨らみを有するコアでも本発明を実施可能であるが、コアを円筒形にすると有利である。なぜなら、このような円筒形は、アプリケータに沿ってまんべんなく化粧剤を充填するとともに、睫毛の列に化粧剤を適切に配分することによって均質なメーキャップを得やすくするからである。
【0008】
有利には、コアは、アプリケータの主軸に垂直な平面でコアの任意の1つの断面が凸面になるような形状を有する。
【0009】
上記特徴を持たないコアでも本発明を実施可能であるが、この特徴は、アプリケータの全周にわたって化粧剤を均質に充填するとともに、睫毛の上への化粧剤の均質な塗布をうながしながらメーキャップを容易にするので有利である。
【0010】
好ましくは、少なくともいくつかの穴が、アプリケータの主軸に平行な長軸を有する。
【0011】
有利には、穴が、アプリケータの主軸に垂直な平面に延びるクラウンを形成し、少なくともいくつかの穴は、それらの長軸に沿って上方および下方の頂点を有し、少なくとも1つの穴の上方の頂点は、それよりも上にある連続する1つのクラウンの少なくとも1つの穴の下方の頂点よりも前記アプリケータの遠位端に近い。
【0012】
好ましくは、コアが回転対称形である。
【0013】
有利には、穴が、アプリケータの主軸に垂直な平面に延びる複数のクラウンを形成し、1つのクラウンの2個の穴の間の距離が、このクラウンの平面に沿って、2個の穴のうちの一方の穴の大きい方の寸法未満である。
【0014】
好ましくは、穴が、アプリケータの主軸に平行な複数の列を形成し、1つの列の2つの穴の間の距離が、主軸に沿って、2個の穴のうちの一方の穴の大きい方の寸法未満である。
【0015】
また、少なくともいくつかの穴が多角形であるように構成可能である。
【0016】
有利には、少なくともいくつかの穴が菱形である。
【0017】
この形状は、コアの壁における穴の配置を最適化できるので、千鳥状の穴の配置に適している。
【0018】
好ましくは、少なくともいくつかの穴が同一であり、好ましくは、すべての穴が同一である。
【0019】
好ましくは、各穴が、空洞に向かって配向された法線方向の一段と小さい断面を有し、これらの穴の一段と小さい断面の集合がコアの壁の面積の半分未満を占有する。
【0020】
そのため、アプリケータで穴が占有する面積は比較的小さい。これによって、コアの壁が強化され、アプリケータの堅牢性が保たれる。
【0021】
1つの変形実施形態では、穴が、アプリケータの長さの半分未満を形成するアプリケータ区間に延びる。
【0022】
その場合、アプリケータが、このアプリケータの長さの半分以上にわたって複数の突起を含むように構成可能である。
【0023】
このようにして、メーキャップ中の化粧剤の再充填作用は、上記のアプリケータ区間でのみ実施される。したがって、ユーザは、化粧剤をそれほど充填されないアプリケータ領域の1つまたは複数の残っている区間を自由に使用し、比較的少ない化粧剤を睫毛に塗布しながら睫毛を梳かして配向することができる。
【0024】
有利には、各穴が、コアの1周の20%未満、好ましくは1周の15%未満、たとえば1周の10%未満にわたって延びる。
【0025】
これによって、メーキャップ時に睫毛が穴を通り抜けないようにする。これらの寸法は同様にアプリケータの堅牢性を高める。
【0026】
好ましくは、少なくともいくつかの穴が、1つの外側の面取り部を有する。
【0027】
したがって、この面取り部は、メーキャップの際に化粧剤が穴の外に出ることを容易にし、また化粧剤と睫毛との接触を容易にする。
【0028】
好ましくは、アプリケータが複数の突起を含み、すべての突起が完全に穴の外に延びている。
【0029】
そのため、穴は、メーキャップ時の化粧剤の受容とその後の排出とを行うために完全に空いている。また、睫毛への化粧剤の塗布に主に貢献する突起は穴と干渉しない。
【0030】
有利には、菱形の形状の少なくとも幾つかの穴が8個の突起により囲まれており、すなわち、4個の突起が穴の4個の頂点に向かい合って延び、4個の突起が穴の各辺の中央に向かい合って延びている。
【0031】
好ましくは、突起がアプリケータの主軸に平行な複数の列を形成し、少なくともいくつかの列が互いに異なる数の突起を有している。
【0032】
好ましくは、突起が、アプリケータの主軸に垂直な複数のクラウンを形成し、少なくともいくつかのクラウンが、互いに異なる数の突起を有している。
【0033】
列またはクラウン内の突起数が異なることに関するこの2つの特徴によって、他の領域より多く化粧剤を充填した領域を列またはクラウン内に設けることができる。したがって、化粧剤のために局部的な備蓄を形成して睫毛への化粧剤の塗布を改善し、一段と突起が密集した列またはクラウンの他の部分により得られるコーム効果を損なうことがない。
【0034】
好ましくは、アプリケータが単一部品からなる。
【0035】
これは、特に、後述するように付加合成により製造されるアプリケータに関与しうる。
【0036】
本発明によれば、同様に、化粧剤のリザーバと、本発明によるアプリケータとを含む化粧品を提供する。
【0037】
本発明によればまた、このようなアプリケータの付加合成による製造方法を提供し、この方法は、
-アプリケータに関するデータを得る工程、および、
-データによりアプリケータを付加合成する工程
を含む。
【0038】
特に、この製造モードの長所は、複雑な構造を有するアプリケータの製造を可能にすることにあり、こうした複雑な構造では、いくつかの逆抜き勾配部分の存在を特に考慮すると、射出成形が難しく、さらには不可能である。
【0039】
本発明を製造するために、当該技術の専門家に知られた様々な付加合成方法を使うことができる。たとえば選択的レーザ焼結(SLS:Selective Laser Sintering)およびステレオリソグラフィ(SLA)が挙げられる。付加合成による化粧剤アプリケータの製造方法の一例は、本出願人名義の特許文献1に記載されている。
【0040】
本発明によれば、本発明による方法の実施を命令するためにコンピュータプログラムにより使用可能なデータを含む、情報処理ファイルを同様に提供する。
【0041】
本発明によればまた、このような方法を実施可能なデータを記録された形態で含む電子記録媒体を提供する。
【0042】
さらに、本発明によれば、遠隔通信ネットワークでダウンロードするためにこのようなファイルを利用提供する方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【文献】国際公開第WO2008/113939号パンフレット
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下、添付図面に基づいて限定的ではなく例として挙げられた本発明の1つの実施形態および1つの変形実施形態について説明する。
図1】本発明の1つの実施形態による化粧品を示す縦断面図である。
図2図1の化粧品のアプリケータをその軸およびリザーバのキャップと共に示す側面図である。
図3図2のアプリケータの拡大図である。
図4図2のアプリケータの拡大図である。
図5図2のアプリケータの拡大図である。
図6図2のアプリケータの拡大図である。
図7図3のアプリケータの端部を示す図である。
図8図3のアプリケータのコアを示す平面展開図である。
図9】本発明によるアプリケータの変形実施形態を示す図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明による化粧品の第1の実施形態を図1から図8に示した。
【0046】
化粧品2は、この場合はマスカラである化粧剤6のためのリザーバを有する容器4を含む。容器は、この容器4の最大横断寸法より直径が小さい首部8を上部に有する。化粧品は、首部8の内部に固定された、たとえば円錐台形の搾り部10を含む。
【0047】
化粧品は、ロッド14の端部に固定されたアプリケータ12を含み、ロッドはその他端でキャップ16を支持している。化粧品は、ロッド14の遠位端部分とアプリケータ12の全体とが化粧剤6内に浸る位置でキャップ16を首部8にねじ止めできるように構成されている。図1で示したのはこの構成である。そのとき、化粧品は閉じられている。
【0048】
次に、アプリケータ12のさらなる詳細について説明する。アプリケータは長手軸18を有し、この長手軸は、ロッド14と、キャップ16と、化粧品2のアセンブリとの長手軸に一致する。
【0049】
アプリケータは、コアまたは本体20を含む。コアは、軸18を中心としてほぼ回転対称形である。
【0050】
コアは、ここでは円筒形の外面22を有する壁を含む。さらに、コアは、軸に垂直な平面でコアの任意の1つの断面が凸面になるように形成される。外面22は、軸に垂直なほぼ円形の断面を有する。そのため、軸は、ほぼスリーブまたはチューブの形状を有する。
【0051】
コア20は中空である。壁は、同様に、軸18に垂直な平面で円形の断面を有する円筒形の内面を備える。そのため、コアが空洞を画定する。図3からわかるように、この空洞は、コアの軸方向の両端で塞がれる。
【0052】
コアの壁は穴があけられている。そのため、コアの壁は、コアの外部とコアの空洞とをそれぞれが通じさせるように横方向の開口部または穴24を備えている。
【0053】
この場合、すべての穴は同じである。ここでは、穴は多角形、四辺形であり、菱形でもある。菱形は、その長い方の対角線が軸18に平行になるように配置されるので、短い方の対角線はコアの周方向に延びる。
【0054】
特に図5図6からわかるように、各穴は面取りされている。そのため、コアの外面22に隣接する第1の面取り部である外側の面取り部、すなわち主要面取り部26を有する。この面取り部はそれ自体が第2の面取り部26、すなわち内側の面取り部により穴の内部に向かって延長されている。したがって、この第2の面取り部に続く穴の部分は、穴の様々な断面の中で最小断面を有する部分である。この断面は、軸18に対する半径方向に対して垂直な平面でとられる。したがって、この方向は、空洞に向かう向きである。換言すれば、この断面は、空洞と軸とに向かう法線方向を有する。
【0055】
穴24の数とそれらの寸法は、これらの小断面の集合が、コアの外面の総面積の半分未満を占有するように選択される。コアを仮想的に平面に展開した図8で観察されるのがそれである。換言すれば、コアの側面領域は主に、穴24ではなく面22の非中空部分により占有される。
【0056】
さらに、各穴の寸法は、コアの1周の20%未満、好ましくは1周の15%未満、たとえば1周の10%未満に延びるように選択される。この場合、周方向に最大寸法を構成する菱形の短い方の対角線がコアの円周全体の寸法に対して有する比率は4~45であり、その結果、穴の寸法はコアの1周の8.89%にわたって延びる。この場合、これらの測定は外側の面取り部の内縁でなされているので、穴の最小断面で同じ測定をした場合、上記の比率はさらに小さくなる。外側の面取り部の外縁で測定した場合の比率は6~45となり、すなわち約13.3%になる。
【0057】
穴24は、軸18に平行な直線状の複数列を形成するように配置される。さらに、これらの穴は、軸18を中心として穴のクラウンを形成するように配置され、同一クラウンの複数の穴は同一平面に延びる。また、穴は千鳥状に配置される。そのため、同一列の隣り合った2個の穴の中心を隔てる距離を、単位と定義すると、1つの列の複数の穴は、隣り合った2列の穴に対して軸方向に半単位オフセットされる。同様に、同一クラウンの隣り合った2個の穴の中心を隔てる距離を、単位と定義すると、1つのクラウンの複数の穴は、隣り合った2つのクラウンの穴に対して周方向に半単位オフセットされる。
【0058】
この場合、すべての列が7個の穴24を含む。列数は10である。クラウン数は14であり、各クラウンが5個の穴を含む。したがって、穴数は70である。
【0059】
もちろん、この数は限定的ではない。より一般的には穴数を15~280、さらには30~140、さらには60~90にすることも可能である。
【0060】
列およびクラウンの配置および穴24の寸法は、菱形が、らせん形の列を同様に形成するように選択される。さらに、らせん形の各列では、菱形の対向する2辺が互いに共線となる。互いに最も近い4個の穴の任意の1つのグループを考慮する場合、それらの中心は、各穴の菱形と同じ比率を有する1つの菱形を形成する。
【0061】
したがって、穴は、格子模様または網状模様を形成することがわかる。
【0062】
たとえば、長さ0.9mm×0.4mmの対角線を持つ菱形を挙げることができる。
【0063】
アプリケータは同様に、この場合には毛を形成する突起30を含む。すべての突起は外面22を起点として延びており、穴24の1つの中に延びているものは一切なく、面取り部の1つを起点としているものもない。突起の長さが短いアプリケータの遠位端領域内を除いて、アプリケータのすべての突起は同じ長さである。本件の場合、この長さはコアの直径の80%を上回り、より一般的には、この直径の50%を上回る。
【0064】
突起30は、すべてが、軸18に対して半径方向に延び、この軸に対して垂直である。
【0065】
突起は次のように配置される。
【0066】
図8では、10列の穴の左から右に1から10の番号を振っている。
【0067】
列番号1では、この列の連続する各組の菱形の間に1個の突起30が延びている。しかし、突起は、これらの菱形の端部から離れて延びている。一方で突起は、隣り合った2列の隣り合った菱形の端部に隣接している。
【0068】
次の列番号2では突起30の配置が同じである。
【0069】
列番号3では、今度は、2個の突起30がこの列の連続する各組の菱形の間に延びており、各突起が、考慮された菱形の1つに隣接している。
【0070】
列番号4では、突起の配置が同じである。
【0071】
列番号5、6、9、10では、配置は列番号1と2の配置と同じである。
【0072】
列番号7と8では、配置は列番号3と4の配置と同じである。
【0073】
さらに、2列の隣り合った菱形の対向する辺の間には、他の突起30、(ここでは中間突起と呼ぶ)が配置される。そのため、考慮された各組の辺に対して、この2辺に隣接する1つの突起がみられる。これらの二次的な突起は、軸18に垂直な同一平面に延びて他の突起を全く含まない突起のクラウンを形成する。
【0074】
したがって、このような構成を理由として、突起は、軸18に平行な直線状の複数列を形成し、同数の突起を持つ列もあれば、そうでない列もある。このようにして、番号1と2の各列では7個の突起がみられる。番号3と4の列では14個である。中間突起の各列では同様に14個の突起がみられる。そしてここでは全部で18列の突起30が数えられる。
【0075】
特に図7から分かるように、この構成により、これらの列は軸を中心として均質に配分される。
【0076】
同様に、これらの突起30は、軸18に垂直な各平面に延びる複数のクラウンを形成し、同数の突起を持つクラウンもあれば、そうでないクラウンもある。そのため、中間突起の各クラウンは10個の突起を含む。他のクラウンでは、ある時は2個、ある時は3個の突起がみられる。ここでは全部で42列の突起30が数えられる。
【0077】
当然のことながら、列ごと、クラウンごとの穴の数および列ごとクラウンごとの突起の数に関するこれらのすべての数字は限定的ではなく、他の多数の構成を検討可能である。
【0078】
このアプリケータは単一部品である。これは、たとえばプラスチック材料から形成される。
【0079】
化粧品は、睫毛または眉毛を化粧する役割を果たす。休止時に、化粧品は図1の構成にあり、アプリケータ12はリザーバのマスカラ6内に浸されている。アプリケータの空洞と穴24はマスカラで満たされている。
【0080】
化粧品を使用する場合、ユーザはキャップ16を緩めてからアプリケータ12をリザーバから引き出す。アプリケータは、このように引き出す間に搾り器10を介して絞られ、余分なマスカラを除去される。このような絞りによって、突起30にある余分な化粧剤が除去される一方で、穴24と空洞にある化粧剤の大部分は保持される。
【0081】
その後、ユーザは、アプリケータを睫毛に位置付けてマスカラを塗る。したがって、突起についた化粧剤が徐々に睫毛に移っていく。この動きの間、穴に収容されている化粧剤の一部が毛管現象により面22と突起とに移る。さらに、睫毛は、マスカラを睫毛に直接充填するために穴の表面に移行するように導かれる。アプリケータの寸法とその材料は、アプリケータに特定の柔軟性を与えるように選択されるので、アプリケータは、その断面の反射運動と収縮運動とを有し、これらの運動によって同様に化粧剤をさらに出しやすくして空洞から穴、次いでコアの外に移行させるようにする。したがって、リザーバに浸すことによってアプリケータにマスカラを頻繁に充填しなおす必要はない。穴24と空洞は、実際、突起30に、また、睫毛にマスカラを塗布するにつれて睫毛に、だんだんとマスカラを供給する役割を果たす。これに関して、アプリケータは若干スポンジとして作用し、メーキャップを行うにつれて穴の外にマスカラを吐出する。さらに、突起の列はまた、実際、睫毛をとかして分離させ、だまが形成されないようにする。列は、マスカラをむらなく睫毛に被着しやすくし、睫毛を長くしてかつボリュームを持たせる効果を与えるのに貢献する。
【0082】
図9の変形実施形態では、アプリケータ20は、穴がアプリケータの狭い部分にのみ存在する点だけが図3のアプリケータと相違している。そのため、アプリケータは、その長さの半分以上にわたって穴がなく、穴は遠位端区間だけに延びている。
【0083】
この区間は、アプリケータの全長Lの半分未満の長さl1を有する。図9のアプリケータの下部は、この全長に考慮されない。なぜなら、この下部はロッド端部に差し込まれるのでメーキャップに一切貢献しないからである。
【0084】
さらに、遠位端区間では、穴24がアプリケータの円周全体に延びているわけではない。穴は、少数の円筒区間、この場合には、軸18を中心として規則正しく配分された全部で4個の円筒区間に配置される。そのため、図9に示された区間では、9個の穴24が弁別される。したがって、アプリケータはこの場合はたった36個の穴だけを含んでいる。より一般的には、このようなアプリケータは、たとえば15個から140個の数の穴を含むことができる。それに対して突起の配置と数は変わらない。しかし、当然のことながら、突起の数および/または配置を同様に修正することも検討可能である。
【0085】
そのため、この変形実施形態では、アプリケータがその全長Lの大部分にわたって突起30を含む一方で、アプリケータの遠位端区間で穴24と空洞とにより得られる化粧剤の再充填効果が約束される。このようにして得られるアプリケータは、メーキャップ時にリザーバ出口において、突起30を有するが穴24がないアプリケータの残りの部分よりも、穴を備えた遠位端区間での方が、マスカラをいっそう充填される。
【0086】
上記のアプリケータは、ここでは単一部品で製造される。特に、これらのアプリケータはここでは、3D印刷とも呼ばれる付加合成により製造される。
【0087】
これらのアプリケータの実現には、すべての材料が適している。これは、プラスチック材料、たとえばポリアミド、特にポリアミド1102、PEBA2301、またはABSタイプの樹脂か、あるいはまたステンレスまたはチタン等の粉末金属とすることができる。たとえば脂肪族ポリアミド系の熱可塑性ポリマーであるポリアミド11(ポリウンデカンアミド、ナイロン11、PA11、「フランスナイロン」と呼ばれることもある)を選択可能である。
【0088】
材料は、剛性とすることができるが、好ましくは弾性的にたわむ。材料は、アプリケータの形状特性と組み合わせてアプリケータに特定の柔軟性を与えることが好ましい。
【0089】
マスカラアプリケータの長さは一般に20mm未満であることを想起する。
【0090】
上記のアプリケータを実現するために複数の付加合成方法を使用可能である。特に、粉末材料からの選択的レーザ焼結とステレオリソグラフィ(SLA)を挙げることができる。本件の場合、選択的レーザ焼結方法が使用され、この方法は、複雑な形状の物体を製造できるという長所を持っている。
【0091】
アプリケータは、最初に、コンピュータ設計支援ソフトウェア(CAO)で設計される。次いで、このように設計されたアプリケータの設計データを含むフォーマットSTLのファイルを出力する。これらのデータはアプリケータの形状を決定する。付加合成のための標準ファイルの他のフォーマットを使用してもよい。
【0092】
その後、このファイルは、付加合成を実施するために使用される機械メーカーが提供するソフトウェアにより処理される。このソフトウェアは、フォーマットSLIまたはBFFの特定のデジタル画像の形態でファイルを幾つかの区間に切断し、その各々が、印刷すべきモデルの1つの層、すなわちアプリケータの長手軸に垂直な平面でとられるアプリケータ区間に対応する。その後、これらのデータをプリンタに伝送してアプリケータを生産する。
【0093】
付加合成が終了すると、アプリケータに様々な処理を施して、たとえば外観を改善することができる。
【0094】
もちろん、本発明の範囲を逸脱せずに本発明に多数の修正を行うことができる。
【0095】
円筒形ではなく、その断面が円形ではない形状、および/または回転対称形ではない形状をアプリケータに与えることも可能である。アプリケータの断面は、たとえば楕円形とすることができる。
【0096】
穴24は必ずしも四辺形やさらには多角形ではない。穴は、たとえば円形または四角形の形状にすることができる。本発明による同一アプリケータの幾つかの穴は、互いに異なる形状を有することができる。
【0097】
ここで示したアプリケータはほぼ直線状であるが、直線でない形状、たとえば曲線もしくは波形の形状をアプリケータに与えることもできる。
【0098】
上記のアプリケータは、毛を形成する同一の複数の突起30を含んでいるが、これらの突起が歯を形成し、あるいはまたアプリケータが、毛を形成する突起と歯を形成する他の突起を含むように構成することも同様に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9