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  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図1
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図2a
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図2b
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図3a
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図3b
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図4
  • 特許-防煙および防火を備えたトランジット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】防煙および防火を備えたトランジット
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20220428BHJP
   B63B 11/00 20060101ALI20220428BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A62C3/16 B
B63B11/00 Z
H02G3/04 012
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019535279
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2017083892
(87)【国際公開番号】W WO2018127423
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】17150364.2
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ホルン オラフ
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015101233(DE,A1)
【文献】特表平05-506494(JP,A)
【文献】実開昭54-012896(JP,U)
【文献】実開昭62-177227(JP,U)
【文献】特開昭57-203459(JP,A)
【文献】米国特許第04086736(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
B63B 11/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル、ケーブル束(9)、またはバスバー(12)用トランジットであり、前記ケーブルまたは前記バスバー(12)を収容するための貫通開口(2)を有するスリーブ(1)を含み、前記スリーブ(1)は隔壁(4)の貫通開口(5)内に収容されるべきである、トランジットであって、
前記スリーブ(1)の前記開口を通り抜けるガラス繊維ティッシュホース(7)が配置され、前記ティッシュホース(7)の端部は巻き返されて前記スリーブ(1)の外側に配置され、前記スリーブ(1)の内側と前記ティッシュホース(7)との間に1つ以上の膨張ストリップ(6)が配置され、前記ケーブルの周りおよび前記ケーブル間にまたは前記バスバー(12)の周りに難燃剤(10)が配置されることを特徴とする、トランジット。
【請求項2】
前記スリーブ(1)の前記外側で周方向にフランジ(3)が溶接される、請求項1記載のトランジット。
【請求項3】
前記スリーブ(1)の前記フランジ(3)は前記隔壁(4)に溶接されるように構成される、請求項2記載のトランジット。
【請求項4】
前記スリーブ(1)の前記内側と前記ティッシュホース(7)との間で、前記スリーブ(1)の前記貫通開口(2)の両端部の各々にて、1つの膨張ストリップ(6)が配置される、請求項1~3のいずれか1項記載のトランジット。
【請求項5】
前記ティッシュホース(7)の前記巻き返された端部は、前記スリーブ(1)の前記外側で金属ストラップ(8)によって緊締される、請求項1~4のいずれか1項記載のトランジット。
【請求項6】
前記ティッシュホース(7)は前記スリーブ(1)を越えて両側にて突出し、前記ティッシュホース(7)の前記突出部分は、前記ケーブル、ケーブル束(9)、またはバスバー(12)の前記外側で金属ストラップ(8)によって緊締される、請求項1~5のいずれか1項記載のトランジット。
【請求項7】
前記ティッシュホース(7)と前記ケーブル、ケーブル束(9)、またはバスバー(12)との間で、前記ケーブル、ケーブル束(9)、またはバスバー(12)に前記ティッシュホース(7)を緊締する前記金属ストラップ(8)が配置される領域に、軟性材料層(11)が配置される、請求項6記載のトランジット。
【請求項8】
前記ケーブルの周りおよび前記ケーブル間でまたは前記バスバー(12)の周りで、前記ケーブル、ケーブル束(9)、またはバスバー(12)に前記ティッシュホース(7)を緊締する前記金属ストラップ(8)が配置される前記領域に、防火塗料(10)が配置される、請求項6または7記載のトランジット。
【請求項9】
前記軟性材料層(11)は膨張特性を有する、請求項7または8記載のトランジット。
【請求項10】
前記金属ストラップ(8)はプラスチック材料で被覆される、請求項5~7のいずれか1項記載のトランジット。
【請求項11】
前記難燃剤(10)は耐火性シーラントである、請求項1~10のいずれか1項記載のトランジット。
【請求項12】
前記難燃剤(10)は防火塗料である、請求項1~10のいずれか1項記載のトランジット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防煙および防火を与える、ケーブルおよびバスバー用トランジットに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルおよびバスバーは、異なる種類の隔壁内の開口を、トランジットによってしばしば通過する。このような隔壁は、船舶の壁、屋根、仕切りまたはデッキ、ならびに、建物の壁または屋根、あるいは異なる種類の小区画とすることができるであろう。ケーブルはしばしばケーブル束の形態をしているが、1つ以上の個別のケーブルを有することも可能である。
【0003】
トランジットは、普通、トランジットを収容する隔壁のそれぞれの側で異なる領域間にシールを与えるべきものである。トランジットは、しばしば、防煙および/または防火を与えるべきであり、すなわち、煙および/または火がトランジットの一方の側からトランジットの他方の側へ行くのを遮るべきである。このような保護にはしばしば膨張材が使用される。当業者には良く知られているように、例えば火災により大量の熱に晒されると膨張材は膨れることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のトランジットは、主に、船舶の仕切りおよびデッキ内に配置するように開発されるが、その他の種類の隔壁への使用も可能である。
【0005】
トランジットは、1つ以上のケーブルまたはバスバーの単純な設置を与えるように開発されてきた。トランジットは、垂直にまたは水平に、または間に角度をつけて設置することができる。トランジットは、1つ以上のケーブルまたは電気バスバーを、これらが壁またはその他の隔壁を通過するように収容すべきである。
【0006】
本発明の一態様によれば、トランジットのスリーブは、ケーブルまたはバスバーを収容するための貫通開口を有する。スリーブは隔壁の貫通開口内に収容されるべきである。スリーブの開口を通り抜けるティッシュホースが配置される。ティッシュホースの端部は巻き返されてスリーブの外側に配置される。スリーブの内側とティッシュホースとの間に1つ以上の膨張ストリップが配置される。さらに、ケーブルの周りおよびケーブル間に、あるいはバスバーの周りに難燃剤が配置される。
【0007】
本発明の実施形態の、以下の詳細な説明を読めば、当業者には本発明のさらなる目的および利点が明らかになるであろう。
【0008】
以下でさらに、本発明を例示により同封の図面を参照して記載することにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のトランジットの一部の、トランジットが中に設置されるべき隔壁を共に示した斜視図である。
図2a】本発明のトランジットの一実施形態の、設置された状態の断面図である。
図2b図2aのトランジットの端面図である。
図3a図2aに対応する、本発明のトランジットのさらなる実施形態の、設置された状態の断面図である。
図3b図3aのトランジットの端面図である。
図4図2aおよび図2bのトランジットの一部の断面図である。
図5図3aおよび図3bのトランジットの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
トランジットはスリーブ1を含み、スリーブ1は内部貫通開口2を有する。さらに、スリーブ1は、スリーブ1の外周にフランジ3を有する。フランジ3は、スリーブ1の貫通開口2に対して直角に突出し、フランジ3はスリーブ1の全周に亘っている。フランジ3は、スリーブ1の外側で周方向に溶接される。スリーブ1は、壁または隔壁4の開口5内に配置されるべきである。スリーブ1およびフランジ3は普通は金属製であり、隔壁4も普通は金属製である。スリーブ1は普通、スリーブ1のフランジ3が隔壁に溶接されることにより、隔壁4に緊締される。溶接は周方向にすることができ、あるいは、フランジ3をスポット溶接することができる。緊締位置のとき、スリーブ1の端部は隔壁4の両側に突出する。
【0011】
スリーブ1の貫通開口2の内側には、ケーブル、ケーブル束9、またはバスバー12が収容されるべきである。図2aおよび図2bに、ケーブル束9を収容する際のトランジットを示し、図3aおよび図3bに、バスバー12を収容する際のトランジットを示す。
【0012】
1つ以上の膨張ストリップ6が、スリーブ1の内側で、隔壁4の両側にて突出する各部分の上に周方向に配置される。火災または過度の熱の場合には、膨張ストリップ6の膨張材が膨れてスリーブ1の貫通開口2を閉鎖することになる。スリーブ1の内側の膨張ストリップ6は、1つ以上の層を有することができる。
【0013】
ガラス繊維ティッシュホース7が、スリーブ1の開口2を通り抜け、スリーブ1の外側で巻き返される。ケーブル、ケーブル束9、またはバスバー12は、スリーブ1の内側のティッシュホース7の内側に通されるべきである。図4および図5に、ケーブル束9およびバスバー12と接続して設置された形態のティッシュホース7をそれぞれ示す。ティッシュホース7の、巻き返された各部分の端部は、スリーブ1のフランジ3の比較的近くに配置され、金属ストラップ8がティッシュホース7をスリーブ1上で包囲することによってスリーブ1に緊締される。一実施形態では、金属ストラップ8はプラスチックで被覆される。ティッシュホース7は、スリーブ1の両端を超える距離を延び、ティッシュホース7をスリーブ1に緊締するのに使用されるものと同じ種類の金属ストラップ8によってケーブル、ケーブル束9、またはバスバー12に緊締される。ティッシュホース7をケーブル、ケーブル束9、またはバスバー12に緊締するための金属ストラップ8は、普通、ティッシュホース7が巻き返される位置の近くに配置される。ガラス繊維ティッシュホース7は、トランジットの両側に規定の表面を描いており、光および冷煙の放出を防止して任意の物体の機械的浸透を不可能にする。
【0014】
膨張特性を備えたまたは備えていない軟性材料層11が、スリーブ1の各側にてケーブル、ケーブル束9、またはバスバー12の外側表面に巻き付けられる。スリーブ1の内側のケーブルの周りおよびケーブル間に難燃剤10が配置される。難燃剤10は、燃焼トランジットの両側のケーブル間の全ての間隙を閉鎖することになる。一実施形態において、難燃剤10は、耐煙および耐火性ガングレードアクリルシーラント等の耐火シールである。別の実施形態では、難燃剤10は防火塗料である。
【0015】
プラスチック被覆金属ストラップ8は、トランジットソリューションに圧縮および機械的保護を与える。金属ストラップ8は、道具類を使用することにより設置および再開放のみすることができる。金属ストラップ8を使用した緊締により、粉塵および物体が燃焼トランジットに侵入できないことが保証される。
【0016】
ケーブルまたはバスバーが通される前であっても、或る程度防火されることになる。膨張材が160℃超の熱放射に晒される際にはいつでも、包含された膨張特性が反応することになる。ケーブルまたはバスバーが通される前の、製造者により全ての部品が設置されるときに、この部分的防火が与えられる。
【0017】
スリーブ1は、2つ以上の開口2を有することができる。実施形態によっては、スリーブ1はフランジを持たないことがある。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5