(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】テザー締付組立体並びに関連する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A61B17/70
(21)【出願番号】P 2019562413
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 US2019015698
(87)【国際公開番号】W WO2020159483
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517193419
【氏名又は名称】オーソ デベロップメント コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Ortho Development Corporation
【住所又は居所原語表記】12187 So. Business Park Drive Draper, Utah 84020(United States of America)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バオ - クーアン ゴック グエン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー. アンサイン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0223845(US,A1)
【文献】特表2018-529422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0271354(US,A1)
【文献】特表2004-512898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0303121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脊椎の脊椎形体と係合するよう構成され
、係止歯がないテザーと、
第1の連結部品と、
前記第1の連結部品を第2の連結部品内に挿入することにより、前記第1の連結部品と入れ子式に連結されるよう構成される、第2の連結部品と、
前記テザーの第1の部分を受容するよう構成され、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材の両方によって部分的に画定される第1の通路と
を備える脊椎固定組立体であって、前記第1の通路は、第1の表面及び第2の表面によって画定され、前記テザーが前記第1の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、前記テザーを適所に係止するように、また
同時に前記テザーが前記第1の通路を通って、前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、前記第1の表面と前記第2の表面との間で前記テザーを締め付けることができるよう構成される、脊椎固定組立体。
【請求項2】
前記テザーは、断面が矩形の形状を有し、粗さが少なくとも実質的に均一である対向する表面を備える、請求項1に記載の脊椎固定組立体。
【請求項3】
前記テザーの前記対向する表面は滑らかである、請求項2に記載の脊椎固定組立体。
【請求項4】
前記脊椎の形体に係合するためのテザーの輪を画定するように、前記テザーの第2の部分を受容するよう構成される第2の通路をさらに備える、請求項1に記載の脊椎固定組立体。
【請求項5】
前記第1の表面は、前記第2の表面の表面粗さより大きい表面粗さを有し、前記第2の通路は、第1の表面及び第2の表面によって画定され、前記第2の通路の前記第1の表面は、前記第2の通路の前記第2の表面の表面粗さより大きい表面粗さを有する、請求項4に記載の脊椎固定組立体。
【請求項6】
前記第1の連結部品は、内側連結部品を含み、前記第2の連結部品は、外側連結部品を含み、前記内側連結部品は、前記外側連結部品内に収容されるよう構成される、請求項1に記載の脊椎固定組立体。
【請求項7】
前記第1の表面は、前記外側連結部品の内壁上に形成され、前記第2の表面は、前記内側連結部品の外壁上に形成される、請求項6に記載の脊椎固定組立体。
【請求項8】
前記第1の表面は、前記テザーと係合するよう構成される複数の突部を備える、請求項7に記載の脊椎固定組立体。
【請求項9】
前記第2の表面は滑らかである、請求項8に記載の脊椎固定組立体。
【請求項10】
前記複数の突部のそれぞれは、前記第1の表面上に形成される複数の細長い溝によって画定される、請求項8に記載の脊椎固定組立体。
【請求項11】
前記第1の表面及び前記第2の表面は、その間で前記テザーを締め付けるくさび係止部を作り出すように、前記第1の連結部品の中心軸に対してテーパ付けされる、請求項1に記載の脊椎固定組立体。
【請求項12】
骨に係合するよう構成されるテザーと、
内側連結部品と、
前記内側連結部品を受容するよう構成される外側連結部品と、
前記外側連結部品の内面及び前記内側連結部品の外面によって少なくとも部分的に画定され、それを通して前記テザーを受容するように構成される第1の通路と
を備えるテザー締付組立体であって、前記第1の通路は、前記テザーが前記第1の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、前記テザーを適所に係止するように、また
同時に前記テザーが前記第1の通路を通って、前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、前記内側連結部品に対する前記外側連結部品の移動により、前記内面と前記外面との間で前記テザーを締め付けることができるよう構成され
、前記内面及び前記外面の少なくとも一方が、前記テザーと係合するよう構成される複数の突部を備える、テザー締付組立体。
【請求項13】
前記内面及び前記外面の一方のみが、前記テザーと係合するよう構成される複数の突部を備える、請求項12に記載のテザー締付組立体。
【請求項14】
前記外側連結部品の内面及び前記内側連結部品の外面によって少なくとも部分的に画定され、前記骨を係合するためのテザーの輪を画定するように、それを通して前記テザーの第2の部分を受容するよう構成される第2の通路をさらに備える、請求項12に記載のテザー締付組立体。
【請求項15】
前記第2の通路は、前記テザーが前記第2の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、前記テザーを適所に係止するように、また前記テザーが前記第2の通路を通って、前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、前記第2の通路の前記内面と前記第2の通路の前記外面との間で前記テザーを締め付けることができるよう構成される、請求項14に記載のテザー締付組立体。
【請求項16】
前記内側連結部品と係合するよう構成されるキャップをさらに備える、請求項12に記載のテザー締付組立体。
【請求項17】
前記キャップは、ねじを切られ、前記内側連結部品に形成されたねじを切られた開口部と係合するよう構成され、前記外側連結部品と係合するよう構成されるフランジを備える、請求項16に記載のテザー締付組立体。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
本明細書では、テザー締付組立体、テザー締付組立体がそれと共に使用され得る関連する骨固定組立体、並びに様々な他の本発明の方法及びデバイスの、様々な実施例を開示する。好ましい実施例では、テザー締付組立体は、その中にテザーの1部又は複数の部分を受容し且つ係止するように、また、細長いロッドなどの固定部材と連結されるように構成され得る。従って、本明細書で開示する本発明のデバイス、機構、及び方法は、脊椎の固定に関連した使用に特に好適であり得る。しかし、本明細書で開示する本発明の機構及び方法は、以下により詳細に開示するように、他の医療用インプラント及び/又はデバイスにおいても使用され得ることを意図している。
【0002】
いくつかの実施例による脊椎固定組立体のより具体的な実例では、組立体は、棘突起、横突起、及び/又は脊椎の椎弓板など、患者の脊椎の脊椎形体に係合するよう構成されるテザーを備え得る。いくつかの実施例では、テザーには係止する歯がなくてもよい。従って、かかるいくつかの実施例では、テザーは滑らかであるか、又は少なくとも実質的に滑らかであり得る。いくつかの実施例では、テザーは、矩形の断面形状を有する平らなテザーを含むことができる。いくつかの実施例では、テザーは、粗さが少なくとも実質的に均一である対向する表面を備えることができる。かかるいくつかの実施例では、対向する両方の表面は滑らかであるか、又は少なくとも実質的に滑らかであり得る。
【0003】
脊椎固定組立体は、第1の連結部品と、第1の連結部品と連結されるよう構成される第2の連結部品とを具備し得る、テザー締付組立体をさらに備えることができる。いくつかのかかる実施例では、第1の連結部品は内側連結部品を含むことができ、第2の連結部品は外側連結部品を含むことができ、内側連結部品は、外側連結部品内に入れ子式に嵌まり込むか、さもなければ収容されるよう構成され得る。
【0004】
テザー締付組立体は、テザーの第1の部分を受容するよう構成される第1の通路を備えることができる。一方又は両方の通路は、その中にテザーのくさび係止部を設けるよう構成することができる。これは、たとえば、通路を画定する対向する表面を備えることによって設けることができ、通路の表面は、組立体の外側連結部品及び内側連結部品のそれぞれ内面及び外面の一部であってもよく、いくつかの実施例では、キャップ及び/又は止めネジの軸と一致し得るテザー締付組立体の中心軸に対して、同じ方向にテーパ付けされている。いくつかの実施例では、このくさび係止部を強化するために、2つの表面のそれぞれの角度がわずかに異なり得る。しかし、或いは、2つの表面は同じ角度で、又は少なくとも実質的に同じ角度で、テーパ付けされてもよい。
【0005】
いくつかの実施例では、第1の通路を、第1の表面及び第2の表面によって画定することができ、ここで第1の表面は、第2の表面の表面粗さより大きい表面粗さを有し、ここで第1の通路は、テザーが第1の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、テザーを適所に係止するように、またテザーが第1の通路を通って、第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、第1の表面と第2の表面との間でテザーを締め付けることができるよう構成される。
【0006】
いくつかの実施例は、テザーの第2の部分を受容して、脊椎の形体に係合するテザーの輪を画定するよう構成される、第2の通路をさらに備えることができる。いくつかのかかる実施例では、第2の通路も、第1の表面及び第2の表面によって画定することができ、ここで第2の通路の第1の表面は、第2の通路の第2の表面の表面粗さより大きい表面粗さを有する。
【0007】
いくつかの実施例では、一方又は両方の通路の第1の表面を、外側連結部品の内壁に形成することができ、第2の表面を、内側連結部品の外壁に形成することができる。通路の一方又は両方の2つの対向する表面間に所望の表面粗さの差を設けるために、第1の表面は、テザーと係合するよう構成される複数の突部を備えることができる。複数の突部は、たとえば、複数の細長い溝及び/又は複数の歯によって画定され得る。いくつかの実施例では、一方又は両方の通路の第2の表面は滑らかであり得る。
【0008】
いくつかの実施例によるテザー締付組立体の別の特定の実例では、組立体は、患者の脊椎の一部などの骨に係合するよう構成されるテザーを備えることができる。組立体は、内側連結部品と、内側連結部品を受容するよう構成される外側連結部品とを、さらに備えることができる。第1の通路は、外側連結部品の内面と内側連結部品の外面とによって少なくとも部分的に画定され、通路を通してテザーを受容するように構成され得る。第1の通路は、テザーが第1の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、テザーを適所に係止するように、またテザーが第1の通路を通って、第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、内面と外面との間でテザーを締め付けることができるよう構成され得る。好ましくは、内面及び外面の少なくとも一方は、テザーと係合するよう構成される複数の突部を備える。或いは、そうでない場合は、内面及び外面の一方は、摩擦力の差をもたらすように、起伏が付けられ(contoured)、且つ/又は表面が粗面化され得る。
【0009】
いくつかの実施例では、内面及び外面の一方のみが、テザーと係合するよう構成される複数の突部を備える。
【0010】
いくつかの実施例は、外側連結部品の内面及び内側連結部品の外面によって少なくとも部分的に画定される、第2の通路をさらに備えることができる。第2の通路は、骨と係合するテザーの輪を画定するように、テザーの第2の部分を第2の通路を通して受容するよう構成され得る。第1の通路と同様に、いくつかの実施例では、第2の通路は、テザーが第2の通路を通って第1の方向に移動することを可能にし、テザーを適所に係止するように、またテザーが第2の通路を通って、第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを少なくとも実質的に防ぐように、第2の通路の内面と第2の通路の外面との間でテザーを締め付けることができるよう構成され得る。
【0011】
いくつかの実施例は、キャップをさらに備えることができる。いくつかのかかる実施例では、キャップは、内側連結部品を螺合することなどによって、内側連結部品と係合するよう構成され得る。キャップにねじが切られているいくつかの実施例では、キャップは、内側連結部品に形成された、ねじを切られた開口部と係合するよう構成され得る。キャップはさらに、又は別法として、外側連結部品と係合するよう構成され得るフランジを備えることができる。
【0012】
テザーを解剖学的形体に固定する方法の特定の実例では、この方法は、脊椎の形体などの患者の解剖学的形体の周りに輪の形で柔軟なテザーを延出するステップを含むことができる。ロッドなどの細長い部材は、締付組立体に連結され得る。柔軟なテザーの第1の端部を、締付組立体の第1の通路を通して挿通することができる。第1の通路は、好ましくは別の表面粗さを有する、対向する表面の第1の対によって画定され得る。いくつかの実施態様では、柔軟なテザーの第1の端部と反対側の第2の端部を、やはり好ましくは別の表面粗さを有する、対向する表面の第2の対によって画定される第2の通路を通して挿通することができる。いくつかの実施態様では、柔軟なテザーの第1の端部を第1の通路を通して挿通するステップ、及び柔軟なテザーの第2の端部を第2の通路を通して挿通するステップにより、輪のサイズが拡がるのを防ぐために2次係止機構及び/若しくはステップを使用することなく、解剖学的形体の周りの適所に柔軟なテザーを係止する。
【0013】
いくつかの実施態様では、締付組立体は、内側連結部品と、内側連結部品を受容するよう構成される外側連結部品とを備えることができる。いくつかのかかる実施態様では、第1の通路及び第2の通路の一方又は両方は、外側連結部品の内面及び内側連結部品の外面によって少なくとも部分的に画定され得る。
【0014】
細長い部材がロッドを含むいくつかの実施態様では、内側連結部品は、ロッドを受容して係合するよう構成されるスロットを備えることができる。従って、いくつかのかかる実施態様では、細長い部材を締付組立体に連結するステップは、ロッドをスロットに係合させるステップを含むことができる。
【0015】
一実施例に関連して本明細書に開示する機構、構造、ステップ、又は特徴は、1つ又は複数の代替実施例において、任意の好適な手法で組み合わせることができる。
【0016】
以下の図を参照して、本開示の様々な実施例を含む、本開示の非限定的且つ非網羅的な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】いくつかの実施例による、テザー締付組立体を備える脊椎固定組立体の分解斜視図である。
【
図2A】
図1の脊椎固定組立体の、分解側面図である。
【
図3】いくつかの実施例による、テザー締付組立体の内側連結部品の斜視図である。
【
図5】いくつかの実施例による、テザー締付組立体の外側連結部品の斜視図である。
【
図7】本明細書で開示する1つ又は複数のテザー締付組立体と共に使用され得る、ねじを切られたキャップの斜視図である。
【
図8】いくつかの実施例による、テザー締付組立体の斜視図である。
【
図9】別の実施例による、テザー締付組立体を備える脊椎固定組立体の斜視図である。
【
図10】
図9のテザー締付組立体の内側連結部品の斜視図である。
【
図11】
図9のテザー締付組立体の外側連結部品の斜視図である。
【
図12】さらに別の実施例による、テザー締付組立体の斜視図である。
【
図13】
図12のテザー締付組立体の内側連結部品の斜視図である。
【
図14】
図12のテザー締付組立体の外側連結部品の斜視図である。
【
図15】
図12のテザー締付組立体と共に使用されるよう構成される、整列用挿入器具の斜視図である。
【
図16】いくつかの実施例による、一体型テザー締付組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の様々な実施例と整合する装置、システム、及び方法の詳細を以下に説明する。いくつかの実施例を説明しているが、本開示は、開示された特定の実施例のいずれにも限定されず、それどころか多数の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを理解されたい。さらに、本明細書で開示する実施例の完全な理解を提供するために、以下の説明で多数の特定の詳細を示すが、こうした詳細の一部又は全部がなくても、いくつかの実施例を実行することができる。さらに、明確にするために、関連技術において知られている特定の技術資料は、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細を説明していない。
【0019】
本明細書では、脊椎の固定又は他の骨の固定に関係する装置、方法、及びシステムについて開示する。いくつかの実施例では、脊椎固定の助けになる、脊椎の形体の周りにテザーを締付するために使用される締付組立体など、テザー締付組立体を提供することができる。より具体的には、いくつかの実施例では、テザー締付組立体はまた、脊椎固定ロッドと係合するよう構成され得る。好ましい実施例では、締付組立体は、どんな追加の係止要素、機構、又はステップも必要とせずに、テザーの一部又は複数部分が締付組立体内で自己係止され得るよう構成され得る。このようにして、たとえば、テザーは、脊椎の形体又は他の解剖学的形体に巻き付けられ、ロッドなどの固定要素と連結され、次いで、解剖学的形体を安定させるため適所に係止され得る。
【0020】
本開示の実施例は、図面を参照することで最もよく理解することができ、ここで同じ部品を、同じ数字を使って指示することができる。本明細書の図で概ね説明及び図示しているように、開示する実施例の構成要素は、多種多様な相異なる構成で配置及び設計できることが容易に理解されよう。従って、本開示の装置及び方法の実施例の以下の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、本開示の可能な実施例の単なる代表例である。さらに方法のステップは、別段の指定がない限り、必ずしもどんな特定の順序でも、又は順次実行することすら必要なく、ステップを1回だけ実行する必要があるわけでもない。ここで添付図面を参照して、特定の好ましい実施例及び実施態様に関するさらなる詳細を、より詳細に説明することにする。
【0021】
図1は、いくつかの実施例による、脊椎固定組立体100の分解図である。組立体100は、好ましい実施例では、脊椎の椎弓板及び/又は患者の脊椎の横突起などの他の脊椎形体に巻き付けられるなど、患者の脊椎の脊椎形体に係合するよう構成されるテザー110を備える。いくつかの実施例では、テザー110は、たとえば一切れのテープに似た平坦で柔軟なバンドを含むことができる。好ましい実施例では、テザー110は、両面上が平坦且つ/又は滑らかであり得る。たとえば、好ましい実施例では、テザー110は、係止歯及び/又は他の突部がなくてもよい。
【0022】
組立体100は、椎弓根ねじ又は他の同様の骨侵襲性構成要素を使用することなく、所望の位置での患者の脊椎の連結を容易にするように、ロッド120又は他の細長い部材などの連結部材をテザー110と係合及び連結するよう構成されるテザー締付組立体130をさらに備える。組立体100は、以下により詳細に説明するように、テザー締付組立体130と係合するよう構成されるキャップ160をさらに備える。組立体100を含む本明細書に開示する好ましい実施例は、テザーと脊椎の形体との連結を可能にするように構成され得るが、本明細書で開示する本発明の原理は、たとえば、大腿骨などの折れた、又はひびの入った骨の2つの部分をしっかり留めるなど、テザーが他の解剖学的形体を締め付ける/しっかり留めるために適用され得ることを意図している。脊椎の解剖学的構造を含まない、かかるいくつかの実施例では、以下で論じる脊椎用ロッド又は他の固定部材を省略することができる。いくつかのかかる実施例では、テザー及びロッド/固定部材の両方を締め付けるのではなく、骨自体を、締付組立体130を使って締め付けることができる。
【0023】
図2Aは、脊椎固定組立体100の側面図である。この図に示すように、テザー締付組立体130は、2つの別個の部品、すなわち第1の、すなわち内側連結部品140と、第1の連結部品140と連結されるよう構成される第2の、すなわち外側連結部品150とを備える。
【0024】
第1の/内側連結部品140は、ロッド120又は他の細長い、及び/若しくは剛性の連結部材を、それを通して受容するスロット145を画定する。好ましくは、スロット145は、ロッド120がスロット145によってしっかりと係合/把持され得るよう、ロッド120の外面の形状に整合するか、又は少なくとも実質的に整合するように成形される。いくつかの実施例では、スロット145は、ロッド120と内側連結部品140との間の強固な係合をさらに容易にするために、歯、溝、スパイク、又は起伏が付いた(contoured)及び/若しくは粗面化された表面など、複数の係合形体141を備えることができる。いくつかの実施例では、この粗面化は、ダイヤモンドめっき、噴射加工などによって加えられ得る。いくつかの実施例では、連結部品の一方又は両方は、以下でより詳細に論じるように、スロット145が弾性的に曲がってその中にロッド120を受容し、次いでロッド120をしっかりと係合するためにスナップ留めして適所に戻ることを可能にする機構を備えることができる。
【0025】
スナップ式の機構を提供する実施例では、スロット145は、前述のように、粗面化される、テクスチャ加工される、且つ又は歯若しくは他の係合形体141を備えることもできる。このようにして、内側連結部品140を、ロッド120にスナップ留めすることができ、また内側連結部品140を、施術者がロッドを適所に保持する必要なしに、係合機構141及び/又はテクスチャ加工された、若しくは粗面化された表面によって、ロッド上の適所に保持することができる。しかし、内側連結部品140をロッド120上のその所望の場所に摺動できるようにするために、施術者が手術中必要に応じて、内側連結部品140及び/又は組立体100を手動で摩擦に打ち勝って動かすことができるような、摩擦による係合を形成することが好ましい場合がある。
【0026】
図2Bは、脊椎固定組立体100の断面図である。この図に示すように、第1の/内側連結部品140は、入れ子式に第2の/外側連結部品150内に収容されるよう構成される。図示の実施例を含むいくつかの実施例では、第1の/内側連結部品140は、第2の/外側連結部品150内に完全に収容されるように構成される。しかし他の実施例では、外側連結部品の一部が内側連結部品から突出してもよく、又は以下の別の実施例に関連して論じるように、テザー締付組立体130は、その代わりに単一の要素を備え得ることを意図している。
【0027】
第2の/外側連結部品150は、内側連結部品140を外側連結部品150と連結すると、スロット145と整列するよう構成され得る、スロット155を同様に備えることができる。内側連結部品140を外側連結部品150と連結することにより、それを通してテザー110の別個の部分を受容する、一対の対向する通路が画定される。
【0028】
従って、第1及び第2の通路を、それぞれ、外側連結部品150の内面152及び内側連結部品140の外面142によって画定することができ、この両方が、テザー110の別個の部分を、通路を通して受容するよう構成され得る。好ましい実施例では、締付組立体130は自己係止式である。言い換えれば、一方又は両方の通路を通ってテザー110を進めることにより、テザー110の張力だけで、締付組立体130のテザー110がきつく締まり、好ましくは係止するという結果になる。
【0029】
締付組立体130は、テザー110が一方又は両方の通路を通って第1の方向に移動し、テザーを適所に係止できるように、しかしテザー110が一方又は両方の通路を通って、第1の方向とは反対の第2の方向に移動するのを防止するか、又は少なくとも実質的に防止するように、テザー110を締付組立体130内で締め付け、且つ/又は係止できるよう構成されることが好ましい。従って、
図2A及び
図2Bの図に関して、テザー110は、両方の対向する通路に沿って上方向に進むことができ、それにより、テザーの輪(
図1参照)がより小さくなるという結果をもたらすが、下方向へ進むことは防止されるか、少なくとも実質的に防止され得る。従って、テザー110へ上方向に力を加えると、輪は適所に、好ましくは脊椎の形体の周りに係止する。いくつかの実施例では、係止方向に加えられる力が大きいほど、係止は一層きつくなり、従って、係止方向と反対方向にテザーを動かすことが一層困難になる。
【0030】
図示する実施例では、テザー110の1部又は複数の部分がそれを通って受容される2つの対向する表面間に摩擦力の差を設けることにより、この自己係止機構を強化することができる。この摩擦力の差は、可動表面が対向する非可動表面よりも大きな表面粗さを有するように与えられることが好ましい。以下でより詳細に論じるように、本明細書に開示する本発明の方法のいくつかの実施態様では、外側連結部品150を内側連結部品140に連結する前に、内側連結部品140をロッド120又は他の細長い部材に連結することができるので、外側連結部品150は、締付組立体130の「可動」要素と見なされ得る。
【0031】
従って、たとえば、
図2Bに示すように、外側連結部品150の内面152は、複数の突部153を備える。いくつかの実施例では、突部153は、外側連結部品150の内面152上に形成された、複数の細長い溝によって画定され得る。しかし、突部153が、たとえば歯を備えることができる代替実施例を意図している。さらに別の代替形態として、外側連結部品150の内面152は、いくつかの実施例では、意図的に形成された突部がない場合があり、その代わりに単に粗面を備える場合がある。いくつかの実施例では、内側連結部品140の外面142は、滑らかな表面を備え得る。しかしいくつかの実施例では、突部153を備えることによるか否かによらず、摩擦力の差が設けられる限り、外面142は滑らかである必要はない。従って、表面142及び152は、それぞれの表面の形体と共に、ロッド連結組立体内でテザーを自己係止する手段の一実例である。
【0032】
しかし、いくつかの実施例では、上記の摩擦力の差を設けることなく好適な係止を提供できることも意図している。たとえば、
図2Bに示す実施例も、くさび係止機構によるテザー110の自己係止を提供する。従って、2つの対向する表面142/152に摩擦力の差を持たせることが好ましい場合があるが、これは、特定の意図する実施例では省略され得る。これらの2つの表面が同一又は少なくとも実質的に同一である実施例では、両方の表面が、粗面化され、起伏を付けられ、且つ/又はたとえば歯又は突出部などの摩擦形体を備えて形成されることも好ましい。しかし、特定の用途では、対向する表面142/152は、その代わりに両方とも滑らかであり得ることも意図している。
【0033】
組立体100の固有の設計のために、テザー110の係止部は、ロッド120の把持部をさらに係止する/きつく締めるという結果ももたらし得る。たとえば、外側連結部品150の内側連結部品140上へのくさび留めにより、外側連結部品150及び内側連結部品140によって画定される2つの対向する通路を通してテザー110の一端又は両端を引っ張ることで、テザー110の張力が締める方向に増加するので、テザー110が連結部品間によりしっかりと挟まれ、緩むのを防止するばかりでなく、同時に、内側連結部品140の内面によって作り出されたスロット145が、ロッド120を押しつけてよりしっかりと圧迫され、さらにテザー締付組立体130をロッド120に対して適所に係止する。この機構は、前述のくさび係止部によって提供され、この圧縮を容易にするために、スロット145のサイズを変えることができるように、内側連結部品140を柔軟にすることと組み合わせて、2つのテーパ面が互いに対して(その間にあるテザー110と共に)くさび留めされる。図示の実施例に示すように、これらのテーパ面は、円錐台の表面であることが好ましい。
【0034】
脊椎固定組立体100の他の態様/機構は、
図3~
図8に見ることができる。たとえば、
図3に示すように、内側連結部品140は、キャップ160を受容するためにねじを切られ得る中央開口部147を備えることができる。開口部147は、
図5に示すように、外側連結部品150が内側連結部品140と連結すると、外側連結部品150の開口部157に整列されるよう構成され得る。開口部147及び157は、外側連結部品150が内側連結部品140と連結されるときに、整列されるよう構成されることが好ましいが、開口部157は、ねじを切られた開口部147がキャップ160と係合し、その結果開口部157自体が直接キャップ160とのねじ接続を必要とすることなく、外側連結部品150と係合することができるので、ねじを切られる必要はない。
【0035】
内側連結部品140は、対向する溝144をさらに備えることができる。溝144は、スロット145の柔軟性を向上させるために設けられ得る。たとえば、前述のように、スロット145は、ロッド120を受容するために拡張し、次いで、ロッド120を少なくとも部分的に包み込むために、弾性的にスナップ留めして適所に戻るように構成され得るが、その機能は溝144によって提供され得る。いくつかの実施例では、溝144はさらに、又は別法として、外科的処置の1つ又は複数の段階の間に、連結部品140を適所に取り付けるように、且つ/又は連結部品140を適所に保持するように使用され得る器具を、容易に把持/係合するための場所をもたらすように使用され得る。
【0036】
また、
図4によりよく見られるように、内側連結部品140は、対向する外面142A及び142Bを備えることができ、その各々は、別個のテザー用通路を部分的に画定することができる。前述のように、外面142A及び142Bは滑らかであるか、又は少なくとも、外面142A及び142Bと共に対向するテザー用通路を画定する、外側連結部品150によって画定され得る、それぞれの対向する表面の粗さよりも小さい表面粗さを有することが好ましい。同様に、
図4は、対向する外面142A及び142Bからそれぞれ直接延在する、対向する溝144A及び144Bをよりよく示す。この図で最もよく示すように、溝144A及び144Bは、スロット145と共に、前述の柔軟性をもたらし、且つ/又は好適な器具用に係合場所を提供する、対向する狭小部分を形成する。
【0037】
図5は、外側連結部品150の斜視図である。この図に最もよく見られるように、外側連結部品150の上部は、所望の機能を容易にするための1つ又は複数の形体を備えることができる。たとえば、前述のように、キャップ及び/又は止めねじからの、ねじを切られた突部又は別の突部を受容するために、開口部157を設けることができる。さらに、開口部157はねじ切りされる必要はないが、開口部157と整列されるよう構成される、ねじを切られた開口部147を画定する内側連結部品140の一部と係合するよう構成されるプレート151によって画定され得る。その結果内側連結部品140は、外側連結部品150の中へ延出することができるが、外側連結部品150の反対側の端部の外へ延出することはできない。プレート151はまた、以下でより詳細に論じるように、キャップ160のフランジ部分164は、テザー110の一部を留める、且つ/又は挟むことができる面を設けるよう構成され得る。
【0038】
プレート151は、対向するテザー用開口部156A及び156Bをさらに画定することができる。テザー110などの細長い矩形断面を有するテザーを使用する実施例では、テザー用開口部156A及び156Bは、テザーが、対向する通路内に適切に配向されたときに、適所にスナップ留めされるように、同様の一致する形状を有することができ、開口部はその一端で、テザー用開口部156A及び156Bによって画定される。
【0039】
テザー用開口部156A及び156Bは、開口部157を画定する外側連結部品150の一部に沿って配置される、4つの角部158によって部分的に画定され得る。角部158は、スリット155に平行に延在する(従って、その中に配置されるロッドによって画定される軸に平行に延在する)それぞれの壁と共に、開口部157によって画定される。これらのテザー用開口部156A/156Bは、テザーを一時的に(係止する/締め付ける前に)適所に保持することができ、施術者が取付け/手術の終了を待つ間に他の作業を実行できるようにするのに有用であり得る。
【0040】
やはり
図5に示すように、対向するスリット159A及び159Bが、プレート151に隣接して形成され得る。キャップ160が適所にある組立体130を示す
図8に最もよく見られるように、スリット159A及び159Bは、キャップ160のフランジ部分164と共に、それを通ってテザー110の対向する部分が組立体130の対向する側部から出ることができる、対向する開孔を画定することができる。
【0041】
いくつかの実施例は、好適な器具を用いた係合を容易にするための、1つ又は複数の形体をさらに備える。従って、たとえば、外側連結部品150は、好適な外科用器具の対応する突出要素と係合することができる窪み154を備える。
図5では見えないが、いくつかの実施例では、外側連結部品150の反対側に同様の窪みが形成され得る。
【0042】
図6は、外側連結部品150の湾曲した内面152A内に形成された突部153をより明確に示す。この図に示すように、突部153は、内面152A内の細長い平行な溝を切削することにより形成され得る。
図6では見えないが、前述のように、好ましい実施例では、対向する内面も同様に、組立体130の自己係止機構を容易にするために複数の突部153を備える。
【0043】
図7は、いくつかの実施例による、脊椎固定組立体100のキャップ160の斜視図である。キャップ160は、プレート151などの外側連結部品150の上面に係合するように構成され得る、フランジ部分164を備える。キャップ160は、雄ねじを切られた部分162及びキー・スロット(keyed slot)161をさらに備える。前述のように、雄ねじを切られた部分162を、内側連結部品140の雌のねじと係合するように構成することができ、外側連結部品150は、その間に締め付けられ得る。キー・スロット161は、キャップ160を組立体130に連結するために使用される、ドライバなどの器具と係合するよう構成され得る。
【0044】
いくつかの実施例では、テザー110の一部、又はいくつかのかかる実施例では2つの対向する部分を、キャップ160のフランジ部分164と、対向するスリット159A及び159B又は外側連結部品150のプレート151によって形成されるでっぱりなどの、組立体130の別の部分との間で締め付けることができる。従って、キャップ160は、ロッド連結組立体内でテザーを係止するための2次手段の一実例である。キャップ160は、ロッド及び/若しくはテザーの係止を強め、且つ/又は望ましくからざる緩み/分解の可能性を低減する機能を果たすこともできる。
【0045】
さらに、キャップ160を提供することにより、テザー110の切断後に、テザー110のほつれた部分が組立体130内へ下方に延出する可能性を低減することができる。これは、そうでない場合に可能な又は望ましい状態よりも、組立体130の近くでテザー110を切断することを可能にし得る。しかし、先に説明したように、テザー締付組立体130の一方又は両方のテザー通路の対向する表面の摩擦力の差によって、自己係止がもたらされ得る。従って、いくつかの実施例では、キャップ160を省略できることを意図している。キャップ160は、いくつかの実施例では、フランジ部分のない止めねじを含み得ることも意図している。
【0046】
図8は、テザー締付組立体130の斜視図であり、内側連結部品140が外側連結部品150内に完全に挿入され、キャップ160が内側連結部品140と完全に係合した状態を示している。通常この構成では、テザーが、内側連結部品140と外側連結部品150との対向する表面間それぞれに係合されることになるが、組立体130の特定の態様をよりよく見ることを可能にするために、テザー110は
図8から省略されている。最も注目すべきは、テザーが組立体130の両側から出ることを可能にし得る、対向する開孔が示されていることである。これらの開孔は、キャップ160のフランジ部分164の下面と共に、対向するスリット159(
図8ではそのうちの1つだけが見える)によってそれぞれ画定される。
【0047】
組立体100及び/又は130の別の独特な面は、再調整のためにテザー110上の把持/係止/締付を緩める機能である。前述のように、テザー110を内側及び外側連結部品の対向する表面間に係合し、テザーを一方又は両方の開口部を通して係止方向に引っ張ることにより、自動的にテザーを係止させることができる。任意選択でキャップ160がある場合、テザー110及び/又はロッド120のこの係止はさらに強化される。これにより、システム内の新しい場所に移動させる間、器具を所定の場所に残さずに、脊椎固定システムの様々な要素の順次締付けを可能にすることができ、器具トレイが削減され、手術時間が短縮され得る。
【0048】
しかし、緩めなければならない場合、外側連結部品150を内側連結部品140からわずかに持ち上げて離し、テザー110を係止解除してテザー110を緩めることを可能にするために、外側連結部品150をおそらく好適な器具と係合することができる。いくつかの実施例では、窪み154は、この緩めるのを円滑にするために、好適な外科用器具の対応する要素と係合するよう構成され得る。
【0049】
図9は、脊椎固定組立体900の代替実施例の斜視図である。
図9には示していないが、組立体900は、典型的には、テザー110に類似し得るテザーを備え、このテザーは、好ましい実施例では、脊椎の椎弓板及び/又は患者の脊椎の横突起などの他の脊椎の形体に巻き付けられるなど、患者の脊椎の脊椎形体に係合するよう構成されることになる。
【0050】
組立体100と同様に、組立体900は、椎弓根ねじ又は他の同様の骨侵襲性構成要素を使用することなく、所望の位置での患者の脊椎との連結を円滑にするように、ロッド920又は他の細長い部材などの連結部材をテザーと係合及び連結するよう構成されるテザー締付組立体930をさらに備える。テザー締付組立体930はやはり、テザーの1部又は複数(好ましくは2つ)の部分をその中で締め付けるように、互いに連結されるよう構成される2つの別個の要素を備える。より具体的には、テザー締付組立体930は、外側連結部品950内に収容されるよう構成される内側連結部品940を備える。
【0051】
しかし、テザー締付組立体930は、いくつかの点でテザー締付組立体130とは異なる。たとえば、
図9及び
図10に示すように、内側連結部品940は、一対の取外し可能なタブ、すなわち、タブ970A及び970Bを備える。タブ970A及び970Bは、外側連結部品950と内側連結部品940との連結を容易にするよう構成され得る。タブ970A及び970Bは、複数の隆起部972を備えることができる。
【0052】
各隆起部972、又は隣接する隆起部972の各対は、取付プロセス中に別の目的に役立ち得る。たとえば、隆起部972の一番上の対を使って、たとえば、ロッド920をスロット945内にスナップ留めする際に、外側連結部品950が組立体930から外れるのを防ぐことができる。隆起部972の中央の対は、外側連結部品950が内側連結部品940のねじを切られた開口部947に隣接して完全に下まで落ちるのを防ぎ、この段階の間、器具又は外科医の手のための空間を設けることができる。
【0053】
この段階の後に、外側連結部品950を、前述したように、外側連結部品950のそれぞれの内面、及び内側連結部品940の対向するそれぞれの外面によって画定される、対向する通路にテザーを挿通することを可能にするために、隆起部の最も下の対よりも下に落とすことができる。テザーをこれらの通路に挿通した後、テザーは、脊椎の形体及び/又は骨の周りで張力をかけられ得る。
【0054】
前述のように、テザー締付組立体930は、テザーの自己係止をもたらすように構成されることが好ましい。言い換えると、いくつかの実施例では、テザー締付組立体930は、テザーを、通路を通って第1の方向に移動させることを可能にし、テザーを適所で係止するように、また、さらなるどんなステップ又は係止要素/機構もなしに、テザーが通路を通って第1の方向とは反対の第2の方向に移動することを少なくとも実質的に防止するように、テザーを対向する表面間に締め付けることができるよう構成され得る。やはり前述のように、テザーの1部又は複数の部分がそれを通って受容される2つの対向する表面間に摩擦力の差を設けることにより、この自己係止機構を設けることができる。この摩擦力の差は、可動表面が対向する非可動表面よりも大きな表面粗さを有するように与えられることが好ましい。
【0055】
従って、たとえば、
図10及び
図11に示すように、外側連結部品950の対向する内面952は、細長い溝で形成され得る複数の突部953を備える。いくつかの実施例では、内側連結部品940の外面942は、滑らかな表面、又は少なくとも突部/溝のない表面を備えることができる。しかし、やはり、突部953を備えることによるか否かによらず、摩擦力の差が設けられる限り、外面942は滑らかである必要はない。従って、表面942及び952は、それぞれの表面の形体と共に、ロッド連結組立体内でテザーを自己係止する手段の別の実例である。
【0056】
テザーに好適に張力がかけられ、適所に係止されると、タブ970A及び970Bを取り外すことができる。かかる取外しを容易にするために、折れやすい弱化された線などの弱化部分975を、タブ970A及び970Bの一方又は両方に形成することができる。内側連結部品940は、スロット945の柔軟性を高めるため、且つ/又は外科用器具による把持/係合を円滑にするために、対向する溝944を備えることもできる。
【0057】
外側連結部品150と同様に、外側連結部品950は、キャップ及び/又は止めネジのねじを切られた突部又は別の突部を受容するよう構成され得る、開口部957を備える。開口部957は、ねじを切られる必要はないが、前述のように、内側連結部品940のねじを切られた開口部947と整列するよう構成され得る。外側連結部品950は、好適な外科用器具の対応する突出要素と係合することができる、1つ又は複数の窪み954をさらに備えることができる。
【0058】
しかし、外側連結部品950は、いくつかの点で外側連結部品150とは異なる。たとえば、対向する開孔956は、テザー(図示せず)が前述の対向する通路を通って延出し、上面から出る代わりに、外側連結部品950の側壁に形成された対向する開孔956を通って延出することができるように、外側連結部品に形成される(
図11では、そのうちの1つだけが見える)。
【0059】
さらに、外側連結部品150の場合のように、外側連結部品の上面に対向するスリット159A及び159Bを備える代わりに、外側連結部品950は、外側連結部品950の内面に形成される、対向するスリット959A及び959Bを備える。対向するスリット959A及び959Bは、隆起部972を部分的に収容するよう構成され得る。しかし、タブ970A/970B上の所望の位置に外側連結部品950をしっかり留めるために、スリット959A/959Bは、隆起部972が外側連結部品950の通過を妨げるように、隆起部972よりわずかに小さいことが好ましい。たとえば、タブ970A/970Bを曲げることにより、所与の隆起部972の組を越えて外側連結部品950を通過させることができる。
【0060】
図12は、脊椎固定組立体1200の別の代替実施例をさらに示す。
図12には示していないが、組立体1200は、典型的には、テザー110に類似し得るテザーを備え、このテザーは、患者の脊椎の脊椎形体、及び細長い固定部材又はロッドなど他の連結部材に係合するよう構成されることになる。
【0061】
組立体100及び900と同様に、組立体1200は、テザー及びロッド又は他の連結部材の1部又は複数(好ましくは2つ)の部分をその中で締め付けるように、互いに連結されるよう構成される2つの別個の要素を備える、テザー締付組立体1230を備える。より具体的には、テザー締付組立体1230は、前述のように、外側連結部品1250内に収容されるよう構成される内側連結部品1240を備える。
【0062】
しかし、テザー締付組立体1230は、いくつかの点で前述のテザー締付組立体とは異なる。たとえば、
図12及び
図15に示すように、テザー締付組立体1230は、外側連結部品1250及び/又は内側連結部品1240に形成された開口部内に受容されるよう構成される整列用挿入器具(alignment insert)1280を備える。整列用挿入器具1280を使用して、外側連結部品1250と内側連結部品1240とを容易に連結することができ、且つ/又は止めねじ(図示せず)を内側連結部品1240内へ容易に導入することができる。従って、整列用挿入器具1280は、内側連結部品1240のねじを切られた開口部1247(
図13参照)及び外側連結部品1250の開口部1257(
図14参照)のうちの一方又は両方内に先端部1282を収容することができるように、隣接する本体部分1284に比べて、より小さい直径を有するよう構成され得る先端部1282を備える。先端部1282の反対側にハンドル1286があり、これは外科医又は施術者が整列用挿入器具1280を1つ又は複数の受容する開口部に押し込み、ねじを切られた開口部1247内へ止めねじを容易に導入及び連結することを可能にするよう構成され得る。中央の穴1285を、整列用挿入器具1280に形成することができ、この穴は、止めねじが穴を通って移動できるように、ハンドル1286から先端部1282まで延在し得る。かかる連結をさらに容易にするのに好適な器具も、穴1285内に受容され得る。
【0063】
内側連結部品1240の斜視図を
図13に示す。この図に示すように、内側連結部品1240は、一対の対向する外面、すなわち表面1242A及び1242Bを備える。先に論じたように、表面1242A及び1242Bはそれぞれ、テザー(図示せず)がそこを通って受容される通路の一方の側部を画定するよう構成され得る。やはり先に論じたように、表面1242A及び1242Bは、滑らかであるか、又は少なくとも、外側連結部品1250の1つ又は複数の内面によって画定され得る、対向する表面の表面粗さより小さい表面粗さを有することが好ましい。
【0064】
やはり先に論じたように、内側連結部品1240は、ロッドがスロット1245によってしっかりと係合/把持され得るように、ロッドの外面の形状に一致する、又は少なくとも実質的に一致する形状のスロット1245を備えることができる。いくつかの実施例では、スロット1245は、ロッドと内側連結部品1240との間の強固な係合をさらに容易にするために、複数の歯(図示せず)又は起伏が付いた及び/若しくは粗面化された表面を備えることができる。内側連結部品1240は、一対の対向する溝、すなわち溝1244A及び1244Bをさらに備え、これは、スナップ嵌込接続によってスロットの中にロッドを受容することができるように、スロット1245の柔軟性を高め得る。図示の実施例では、溝1244A及び1244Bは、スロット1245に隣接して終端をなすスリットを備える。
【0065】
外側連結部品1250の斜視図を
図14に示す。この図に示すように、内側連結部品1240と同様に、外側連結部品1250は、スロット1245と整列され得るスロット1255を備え、それによりロッド(図示せず)又は別の連結部材が、スロット1245及び1255によって画定されるスロットを通って延出することができる。
【0066】
やはり
図14に示すように、対向する開孔1256A及び1256Bは、テザー(図示せず)が前述の対向する通路を通って延出し、最終的に対向する開孔1256A及び1256Bを通って延出することができるように、外側連結部品1250に形成される。開孔1256A及び1256Bは、外側連結部品1250の対向する棚1259A及び1259Bに形成される。棚1259A及び1259Bは、外側連結部品1250を内側連結部品1240と完全に連結すると、内側連結部品1240の上面と整列する、又は少なくとも実質的に整列するよう構成され得る。
【0067】
最後に、先に論じたように、外側連結部品1250は、複数の突部1253をそれぞれが具備する、2つの内面をさらに備え、いくつかの実施例では、突部は、前述のように一連の平行な溝によって画定され得る。こうした表面は、やはり前述したように、内側連結部品1240の外面1242A及び1242Bと共に、それを通してテザーの対向する部分を受容するための2つの別個の通路を画定する。従って、これらの2つの通路を画定する、対向する表面は、それぞれの表面の形体と共に、ロッド連結組立体内でテザーを自己係止する手段の別の実例である。
【0068】
図16~
図18は、脊椎固定組立体などの固定組立体と共に使用され得るテザー締付組立体1630のさらに別の実施例を示す。テザー締付組立体1630は、先に論じたように、輪を画定して脊椎の形体又は他の解剖学的形体の周りに輪をきつく締めるように、それを通してテザーの2つの部分(図示せず)を受容するよう構成される。しかし、テザー締付組立体1630は、テザー締付組立体1630が、一体に連結された2つの別個の構造体ではなく、単一の構造体によって画定されるという点で、本明細書に記載の他の連結組立体とは異なる。より具体的には、テザー締付組立体1630は、2つの係止部材1651A及び1651Bによって画定される内側構造体を備える。
【0069】
係止部材1651A及び1651Bは、両側に空の空間を画定するように、それぞれの内部チャンバに可動(図示の実施例では枢動可能に)配置される。より具体的には、係止部材1651A及び1651Bは、それぞれ内側空間1657A/1657Bと外側空間1659A/1659Bとの間に配置される。図示の実施例では、
図18の断面図に最もよく見られるように、対向するテザー受容経路は、外側空間1659A/1659Bによって画定される。
【0070】
係止部材1651A及び1651Bのそれぞれの外面は、複数の突部1653を備えることができるか、又はさもなければ、対向する内面1642A及び1642Bに比べて粗面化された表面であり得る。従って、連結メカニズム1630の両方の通路は、そこを通って受容されるテザーの部分に対して自己係止するよう構成される。言い換えると、これらの通路を通してテザーのそれぞれの部分を延出させ、(
図16及び
図17の向きに対して)上方向に張力をかけると、テザーの部分はかけられた張力を保持し、反対の、下方向に引っ張られることが防止されるか、又は少なくとも抑制される。従って、通路1659A及び1659Bを画定する、対向する表面は、それぞれの表面の形体と共に、ロッド連結組立体内でテザーを自己係止する手段の別の実例である。
【0071】
表面1642Aは、突部1653Aがその上に形成される表面と共に、柔軟なバンドなどのテザーの第1の部分を、そこを通して受容する第1の通路1659Aを画定する。同様に、表面1642Bは、突部1653Bがその上に形成される表面と共に、テザーの第2の部分を、そこを通して受容する第2の通路1659Bを画定する。これらの通路は、テザー締付組立体1630の両端に開口部、すなわち上側開口部1656A及び1656B、並びにそれぞれの下側開口部1652A及び1652Bを備える。
【0072】
好ましくは、係止部材1651A及び1651Bは、それぞれのチャンバ内で枢動可能に動くことができる。従って、外側空間1659A/1659Bはそれぞれ、係止部材1651A及び1651Bが、テザー締付組立体1630の中心に向かって所定の距離だけ弾性的に付勢され得るよう構成され得る。それに対応して、係止部材1651A及び1651Bによって部分的に画定された対向する通路の幅は、係止部材1651A及び1651Bがこのように枢動するにつれて、わずかに増加し得る。さらに、図に示すように、係止部材1651A及び1651Bのそれぞれの基部は、この枢動/動きを可能にする柔軟性をもたらすように狭められ得る。
【0073】
先に論じたように、係止部材1651A及び1651Bは可動なので、係止部材1651A及び1651Bの表面(可動表面)が、対向する非可動表面より大きな表面粗さを有するように、通路を画定する対向する表面間の摩擦力の差が与えられることが好ましい。従って、前述のように、突部1653は、係止部材1651A及び1651Bのこれらの表面上にだけ形成され、テザー締付組立体1630の内側チャンバの対向する内面1642A及び1642B上には形成され得ない。
【0074】
テザー締付組立体1630は、自己係止機構が係止解除されることを可能にする、解放メカニズムをさらに備える。図示の実施例では、こうした解放メカニズムは、係止部材1651A及び1651Bの上面に形成された、各係止部材の開口部1654A及び1654Bへのアクセスを可能にするよう配置された、テザー締付組立体の開口部1658A及び1658Bを備える。
図18の断面図に最もよく示すように、開口部1654A及び1654Bは、尖った突起物(prong)などの好適な器具の部分を受容するように構成され得る。いくつかの実施例では、これにより、ユーザは、たとえば、係止部材1651A及び1651Bを互いに向かって圧迫することができ、それにより上側開口部1656A及び1656Bとそれぞれの下側開口部1652A及び1652Bとの間に延在するテザー用通路を通って延出するテザーの部分のそれぞれの係止を、解除することができる。もちろん、テザー締付組立体1630の係止/締付けを、テザー締付組立体1630を通って延出するテザーの両方の部分の代わりに、一方の部分のみ係止解除するために、必要に応じて、係止部材の開口部1654A及び1654Bのうちの一方だけが係合され得る。
【0075】
本明細書で教示する本発明の締付組立体又はかかる組立体の部分的な要素のうちの1つ又は複数を使用して、テザーを脊椎の形体又は他の解剖学的形体に締め付ける様々な方法も実行され得る。たとえば、かかる方法のいくつかの実施態様では、いくつかのかかる実施態様における柔軟なバンドなどのテザーは、たとえば脊椎の横突起又は脊椎の椎弓板の周りなど、解剖学的形体の周りに輪の形で延出することができる。剛性のロッドなどの細長い部材は、本明細書で開示する様々な締付組立体のいずれかなどの締付組立体と連結され得る。
【0076】
次いで、テザーの第1の端部を、締付組立体の第1の通路を通して送ることができる。いくつかの実施態様では、第1の通路は、別の表面粗さを有する、対向する表面の第1の対によって画定され得る。いくつかのかかる実施態様では、(細長い部材に対する)可動表面は、対向する非可動表面、より大きな表面粗さを有することができる。従って、たとえば可動表面を、表面粗さ及び/又はテザーを把持する力を増大させるために、複数の溝及び/又は突部を備えて形成することができる。
【0077】
いくつかの実施態様では、柔軟なテザーの第1の端部と反対側の第2の端部も、別の表面粗さを有する対向する表面の第2の対によって画定され得る第2の通路を通して送ることができる。いくつかの実施態様では、柔軟なテザーの第1の端部を第1の通路を通して送ることができ、及び/又は柔軟なテザーの第2の端部を第2の通路を通して送ることができ、柔軟なテザーを、輪のサイズが拡がるのを防ぐための係止キャップ、止めネジなどの2次係止機構を使用することなく、自動的に解剖学的形体の周りの適所に係止する。
【0078】
いくつかの実施態様では、締付組立体は、内側連結部品と、内側連結部品を受容するよう構成される外側連結部品とを備えることができる。いくつかのかかる実施態様では、第1の通路及び第2の通路は、外側連結部品の内面及び内側連結部品の外面によって少なくとも部分的に画定され得る。
【0079】
いくつかの実施態様では、締付組立体は、自己係止処置の後に、係止解除することもできる。たとえば、ユーザは、たとえば係止部材1651A及び1651Bの上面に形成された係止部材開口部1654A及び1654Bなどの自己係止テザーを係止解除する手段を使用して、一方又は両方のテザー部分を係止解除することができる。これにより、組立体内でテザーを自己係止した後に、テザー締付組立体を再調整又は緩めることが可能となり得る。
【0080】
前述の明細書は、様々な実施例及び実施態様を参照して説明してきた。しかし、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解されよう。たとえば、様々な動作ステップばかりでなく、動作ステップを実行するための構成要素も、特定の用途に応じて、又はシステム動作に関連するいくつのコスト関数でも考慮して、様々なやり方で実施することができる。従って、ステップのいずれか1つ又は複数を削除、修正、又は他のステップと組み合わせることができる。
【0081】
さらにこの開示は、制限的な意味ではなく例示的な意味に見なされるべきであり、かかる修正はすべて、その範囲内に含まれることを意図している。同様に、様々な実施例に関して、先に、利益、他の利点、及び問題の解決策について説明してきた。ただし、利益、利点、問題の解決策、及び生じる、若しくはより顕著になるどんな利益、利点、又は解決策をももたらし得るいかなる要素も、重要な、必要な、又は不可欠な機構又は要素として解釈されるべきではない。
【0082】
当業者は、本発明の基礎となる原理から逸脱することなく、上記の実施例の詳細に多くの変更を加えることができることを理解されよう。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。