(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220428BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2020079378
(22)【出願日】2020-04-28
(62)【分割の表示】P 2016186671の分割
【原出願日】2016-09-26
【審査請求日】2020-04-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-174877(JP,A)
【文献】特開2007-095618(JP,A)
【文献】特開平04-130419(JP,A)
【文献】国際公開第01/082273(WO,A1)
【文献】特開2007-199708(JP,A)
【文献】特開2007-219517(JP,A)
【文献】特開2010-109357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/00 - 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1トランジスタ、および容量素子と、を有し、
前記第1トランジスタは、ゲートとして機能する第1電極と、前記第1電極上に形成され、第1絶縁層を介して前記第1電極と重畳する第1半導体層と、を有し、
前記容量素子は、前記第1電極と、前記第1電極よりも下層に形成され、第2絶縁層を介して前記第1電極と重畳する第2半導体層と、を有することを特徴とする、半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層は、酸化物半導体材料を含み、
前記第2半導体層は、多結晶シリコンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体層は、前記第1トランジスタのドレインと電気的に接続されていることを特徴とする、請求項
1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。特に、シリコン系半導体及び酸化物半導体を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられている低温多結晶シリコン(LTPS:Low Temperture Poly-Silicon)は高いキャリア移動度を有することから、現在の中小型表示装置に広く用いられている技術となっている。有機EL表示装置においても、LTPS技術を基礎としてアレイ工程の開発が進められてきた。
【0003】
しかし、エキシマレーザアニール(ELA)工程において、十分にムラの少ないLTPS層を形成することは困難である。LTPSのムラに起因する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)特性のばらつきは、有機EL表示装置の輝度ムラ等の原因となってしまう。
【0004】
そこで、周辺回路や画素内に補正回路を形成して、でTFT特性のばらつきを低減したりするような対策が行われている。また、ELA工程において、レーザを多数回重ねて照射するような対策も行われている。しかし、これらのような対策は、装置コスト、レーザの材料コスト等の面において課題がある。
【0005】
そこで、消費電力低減やトランジスタ特性のばらつき対策のため、駆動能力が高いとされる多結晶シリコンで作製されるトランジスタのみでなく、特性ばらつきが小さいことが期待される透明アモルファス酸化物半導体を用いたトランジスタが研究されている。
【0006】
例えば特許文献1には、一つの画素に二以上のトランジスタを有し、二以上のトランジスタは、チャネル半導体層が多結晶シリコンである第1トランジスタと、チャネル半導体層が酸化物半導体である第2トランジスタとを含む表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
つまり、特許文献1に記載された発明は、一画素において、チャネル半導体層が多結晶シリコンである第1トランジスタと、チャネル半導体層が酸化物半導体である第2トランジスタが混載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1には、複数の画素回路に加え、それらを駆動する駆動回路を含めた回路において、チャネル半導体層が異なる半導体材料であるトランジスタが混載される技術は開示されていない。
【0010】
そこで本発明は、複数の画素回路に加え、それらを駆動する駆動回路を含めた回路において、チャネル半導体層が異なる半導体材料であるトランジスタを混載することによって、表示特性が改善され、製造コストが低減された表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、前記基板の一表面に配列された複数の画素とを備え、前記複数の画素の各々は、発光素子、駆動トランジスタ、選択トランジスタ及び保持容量を含み、前記駆動トランジスタは、ボトムゲート構造を有し、前記駆動トランジスタの半導体層は、第1半導体を含み、前記保持容量は、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極は前記駆動トランジスタのゲートと共通であり、前記第2電極は前記第1電極より下層に配置され、第2半導体を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略構成を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を説明する回路図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素が有する画素回路の回路構成を説明する回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の構成を説明する平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の構成を説明する断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6D】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6E】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6F】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6G】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6H】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6I】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6J】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6K】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6L】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6M】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6N】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6O】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の構成を説明する平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の構成を説明する断面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9C】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9D】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9E】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9F】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図9G】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態による表示装置について詳細に説明する。なお、本発明の表示装置は以下の実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行ない実施することが可能である。全ての実施形態においては、同じ構成要素には同一符号を付して説明する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
[外観の構成]
図1は、本実施形態に係る表示装置100の外観の構成を説明する斜視図である。
図1を用いて、本実施形態に係る表示装置100の外観の構成について説明する。
【0014】
本実施形態に係る表示装置100は、アレイ基板102と、対向基板106とを有している。
【0015】
アレイ基板102は、少なくとも第1基板104、複数の画素110、周辺回路及び複数の接続端子112を有している。
【0016】
第1基板104は、その一表面に表示領域104a、端子領域104b及び周辺回路領域104cが配置される。第1基板104は、複数の画素110の支持体としての役割を果たす。第1基板104の材料としては、ガラス基板、アクリル樹脂基板、アルミナ基板、ポリイミド基板等を用いることができる。第1基板104は、可撓性を有する基板であってもよい。可撓性を有する基板としては、樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子材料を用いるのが好ましく、例えば、ポリイミドが用いられる。具体的には、第1基板104として、ポリイミドをシート状に成形したフィルム基板が用いられる。
【0017】
複数の画素110は、第1基板104の一表面に配列されている。複数の画素が配列される領域が表示領域104aに相当する。本実施形態においては、複数の画素110は、行列状に配列されている。複数の画素110の配列数は任意である。例えば、行方向にm個、列方向にn個の画素110が配列される(m及びnは整数)。複数の画素110の各々は、
図1には示されていないが、後述するように、少なくとも駆動トランジスタ132、選択トランジスタ134、発光素子136及び保持容量138を有する画素回路130から構成される(
図3)。
【0018】
周辺回路は、第1基板104の一表面に配置されている。周辺回路が配置される領域が周辺回路領域104cに相当する。周辺回路は、複数の画素110の各々に設けられた画素回路130を駆動し、複数の画素110の発光を制御する。
【0019】
複数の接続端子112は、第1基板104の一端部、且つ対向基板106の外側に配置されている。複数の接続端子が配置される領域が端子領域104bに相当する。複数の接続端子112には、映像信号を出力する機器や電源などと表示装置100とを接続する配線基板(図示せず)が接続される。配線基板と接続される複数の接続端子112との接点は、外部に露出している。
【0020】
対向基板106は、第2基板108を有している。第2基板108は、第1基板104と同様の基板を用いてもよい。第2基板108は、表示領域104aの上面に、第1基板104と対向するように設けられている。第2基板108は表示領域104aを囲むシール材170によって、第1基板104に固定されている。第1基板104に配置された表示領域104aは、第2基板108とシール材170とによって封止されている。尚、第1基板102と第2基板108の固定には必ずしもシール材170を用いなくてもよく他の手段でも構わない。例えば粘着性を有する充填材などの使用が考えられ、この場合表示領域104aは、第2基板108と粘着性を有する充填材で封止されることになる。もちろん他の方法でもよい。
【0021】
尚、本実施形態に係る表示装置100は前述のような第2基板108を有しているが、板状の部材に限定されず、フィルム基材、樹脂等がコーティングされた封止基材に置換えられてもよい。
【0022】
対向基板106は、図示はしないが、カラーフィルタ、遮光層、偏光板、位相板等を更に有していてもよい。カラーフィルタは、複数の画素110の各々に対向した位置に配置される。遮光層(ブラックマトリクスとも呼ばれる)は、複数の画素110の各々を区画する位置に配置される。偏光板及び位相板は、複数の画素110を覆い、対向基板106の外側表面に配置される。偏光板及び位相板は、表示装置100に入射した外光が、画素電極で反射することによる視認性の劣化を抑制するために配置される。
【0023】
以上、本実施形態に係る表示装置100の外観の構成について説明した。次いで、図面を参照して本実施形態に係る表示装置100の回路構成について説明する。
【0024】
[回路構成]
図2は、本実施形態に係る表示装置100の回路構成を説明する回路図である。
図3は、本実施形態に係る表示装置100の複数の画素110の各々が有する画素回路130の回路構成を説明する回路図である。
【0025】
本実施形態に係る表示装置100は、周辺回路と、複数の画素回路130と、複数の走査信号線140と、複数の映像信号線142とを備えている。
【0026】
周辺回路は、複数の画素110の各々に設けられた画素回路130を駆動し、複数の画素110の発光を制御する。周辺回路は、制御回路120、走査線駆動回路122、映像線駆動回路124、駆動電源回路126及び基準電源回路128を含む。
【0027】
尚、周辺回路が有するトランジスタの半導体層は、第2半導体を含んでいる。第2半導体の具体的な材料については後述する(段落[0040])。
【0028】
制御回路120は、走査線駆動回路122、映像線駆動回路124、駆動電源回路126及び基準電源回路128の動作を制御する。
【0029】
走査線駆動回路122は、複数の走査信号線140に接続されている。複数の走査信号線140は、複数の画素110の水平方向の並び(画素行)毎に設けられている。走査線駆動回路122は、制御回路120から入力されるタイミング信号に応じて複数の走査信号線140を順番に選択する。
【0030】
映像線駆動回路124は、複数の映像信号線142に接続されている。複数の映像信号線142は、複数の画素110の垂直方向の並び(画素列)毎に設けられている。映像線駆動回路124は、制御回路120から映像信号を入力され、走査線駆動回路122による走査信号線140の選択に合わせて、選択された画素行の映像信号に応じた電圧を複数の映像信号線142の各々を介して書き込む。
【0031】
駆動電源回路126は、画素列毎に設けられた駆動電源線144に接続されている。駆動電源回路126は、選択された画素行の画素110を発光させる電流を供給する。
【0032】
基準電源回路128は、複数の画素110に共通して設けられた基準電源線146に接続されている。基準電源回路128は、発光素子136のカソード電極を構成する共通電極に定電位を与える。
【0033】
次いで、
図3を用いて複数の画素回路130の各々の回路構成について説明する。尚、以下で説明する画素回路130の回路構成は一例であって、これに限定されるものではない。
【0034】
複数の画素回路130の各々は、少なくとも駆動トランジスタ132、選択トランジスタ134、発光素子136及び保持容量138を含む。
【0035】
駆動トランジスタ132は、発光素子136に接続され、発光素子136の発光輝度を制御するトランジスタである。駆動トランジスタ132は、ゲート-ソース間電圧によってドレイン電流が制御される。駆動トランジスタ132は、ゲートが選択トランジスタ134のドレインに接続され、ソースが駆動電源線144に接続され、ドレインが発光素子136の陽極に接続されている。駆動トランジスタ132の半導体層132dは、第1半導体を含んでいる。第1半導体の具体的な材料については後述する。
【0036】
選択トランジスタ134は、オンオフ動作により、映像信号線142と駆動トランジスタ132のゲートとの導通状態を制御するトランジスタである。選択トランジスタ134は、ゲートが走査信号線140に接続され、ソースが映像信号線142に接続され、ドレインが駆動トランジスタ132のゲートに接続されている。選択トランジスタ134の半導体層134dは、駆動トランジスタ132と同様に第1半導体を含んでいる。第1半導体の具体的な材料については後述する。
【0037】
つまり、本実施形態においては、周辺回路を構成するトランジスタが有する半導体(第2半導体)と、選択トランジスタ134及び駆動トランジスタ132が有する半導体(第1半導体)とは異なる材料である。
【0038】
発光素子136は、陽極が駆動トランジスタ132のドレインに接続され、陰極が基準電源線146に接続されている。
【0039】
保持容量138は、駆動トランジスタ132のゲート-ドレイン間に接続される。保持容量138は、駆動トランジスタ132のゲート-ドレイン間電圧を保持する。
【0040】
以上、本実施形態に係る表示装置100の周辺回路の回路構成及び複数の画素110の各々が有する画素回路130の回路構成について説明した。ここで、周辺回路を構成するトランジスタ、画素回路130を構成する駆動トランジスタ132及び選択トランジスタ134に要求される特性について説明する。更に、第1半導体及び第2半導体の具体的な材料について説明する。周辺回路を構成するトランジスタ、画素回路130を構成する駆動トランジスタ132及び選択トランジスタ134は、それぞれ要求される特性が異なる。
【0041】
周辺回路が有するトランジスタは、周辺回路が、額縁の幅、消費電力化等に関する制約条件を満たすために、キャリア移動度が高く、CMOSを形成することが可能であることが好ましい。そこで、本実施形態においては、周辺回路を構成するトランジスタが有する第2半導体としては、多結晶シリコンを用いる。
【0042】
駆動トランジスタ132は、飽和状態で駆動する。そのため、オン状態でのばらつきの小さい飽和特性を有することが好ましい。更に、一定以上のチャネル長を有することが望ましい。駆動トランジスタ132のチャネル長が短すぎると、所謂短チャネル効果に起因するばらつきが顕在化してしまう。
【0043】
そこで、駆動トランジスタ132が有する第1半導体としては、可能な限りオン状態のばらつきを抑えることができる半導体が好ましい。本実施形態においては、第1半導体として酸化物半導体を用いる。第1半導体として多結晶シリコンを用いると、ELA(Excimer Laser Anneal)の際のレーザ照射に起因するばらつきが生じてしまうが、第1半導体として酸化物半導体を用いることによってこの問題を回避することができる。
【0044】
選択トランジスタ134は、良好なスイッチング特性を有することが望まれる。つまり、オン状態での電流値が大きく、オフ状態での電流値が小さい程好ましい。
【0045】
そこで、選択トランジスタ134が有する第1半導体としては、選択トランジスタ134のオフ状態におけるリーク電流を極力抑制できる材料を用いることが好ましい。本実施形態においては、第1半導体として、前述のように酸化物半導体を用いる。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ状態におけるリーク電流が、シリコン系の半導体を用いたトランジスタに比べて十分に小さいことが知られている。
【0046】
これによって、選択トランジスタ134は、オフ状態におけるリーク電流を低減することができる。これにより、
図3で示す画素回路130を参照すれば、選択トランジスタ134がオフ状態においても、保持容量138の電荷がソース-ドレイン間のリーク電流によって消失することを抑制することができる。
【0047】
次いで、図面を参照して本実施形態に係る表示装置100が有する複数の画素110の各々の構成について詳細に説明する。
【0048】
[画素の構成]
図4は、本実施形態に係る表示装置100が有する画素110の構成を説明する平面図である。
図5は、本実施形態に係る表示装置100が有する画素110の構成を説明する断面図である。
図5は、
図4のA-A´間及びB-B´間の断面を示している。
【0049】
本実施形態に係る表示装置100は、第1基板104と、複数の画素110とを備えている。
【0050】
第1基板の一表面には、表示領域104a、端子領域104b及び周辺回路領域104cが配置されている。第1基板104に用いることができる材料の例は、外観の構成の説明の際に説明した。
【0051】
複数の画素110は、第1基板104の一表面に配列されている。複数の画素110が配列される領域が表示領域104aに相当する。複数の画素110の各々は、少なくとも、発光素子136、駆動トランジスタ132、選択トランジスタ134、保持容量138、第1コンタクト電極174a、第2コンタクト電極174bを含んでいる。
【0052】
保持容量138は、第1絶縁層152の上に配置されている。第1絶縁層152は、第1基板104の一方の面に、少なくとも表示領域104aに亘って配置される。第1絶縁層152は、第1基板104が含有する不純物等の異物が、複数の画素110の各々に侵入することを防止する。第1絶縁層152の材料としては、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等を用いることができる。または、これらを組み合わせた積層構造としてもよい。
【0053】
保持容量138は、第1電極138a及び第2電極138bを有している。第1電極138aは駆動トランジスタ132のゲート132aと共通である。第2電極138bは第1電極138aより下層に配置されている。第2電極138bの材料としては、第2半導体を含む。第2半導体は、本実施形態においては、前述のように多結晶シリコンである。第2半導体としては、容量の一方の電極を担うため、キャリアの移動度が高く、キャリア密度が高いことが好ましい。本実施形態において、第2電極は、多結晶シリコンに対してリン(P)等の不純物が高濃度に注入され、n型の導電性が付与されている。以下では、第2半導体を多結晶シリコンと呼称して説明する場合がある。
【0054】
保持容量138は、第1電極138a及び第2電極138bが第2絶縁層154を挟持することによって形成されている。第2絶縁層154は、層構造においては、第1電極及び第2電極に挟持されている。また、第2絶縁層154は、平面構造においては、少なくとも表示領域104aに亘って配置されている。第2絶縁層154の材料としては、前述した第1絶縁層152と同様の材料を用いてもよい。
【0055】
駆動トランジスタ132は、半導体層の下方にゲート絶縁層を介してゲートが配置される、所謂ボトムゲート構造を有している。駆動トランジスタ132の半導体層132dは、第1半導体を含んでいる。第1半導体は、本実施形態においては、前述のように酸化物半導体である。以下では、第1半導体を酸化物半導体と呼称して説明する場合がある。駆動トランジスタ132のゲート132aは、保持容量138の第1電極138aと共通である。
【0056】
駆動トランジスタ132のゲート絶縁層は、第3絶縁層156である。第3絶縁層156は、層構造については、保持容量138の上層に配置されている。また、第3絶縁層156は、平面構造については、表示領域104aに亘って配置されている。第3絶縁層156は、駆動トランジスタ132及び選択トランジスタ134のゲート絶縁層として機能する。第3絶縁層156の材料としては、前述した第1絶縁層152と同様の材料を用いてよい。
【0057】
図4からわかるように、駆動トランジスタ132のチャネル領域は、平面視において、第2電極138bと重畳する領域を有する。ここで、チャネル領域とは、半導体層とゲート絶縁層との界面において、キャリアが蓄積され、チャネルが形成される領域である。本実施形態においては、駆動トランジスタ132のチャネル領域は、平面視において、第2電極138bが占める領域を全て含んでいる。
【0058】
つまり、駆動トランジスタ132及び保持容量138は、層構造においては異なる層に配置され、平面視においては重畳する領域に配置されている。このような構成を有することによって、一画素内に配置される素子が占める面積を低減することができる。これによって、一画素のサイズを縮小し、高精細な表示装置100を提供することができる。
【0059】
また、
図4からわかるように、駆動トランジスタ132のゲート132aは、ジャンパ配線148に接続されている。ジャンパ配線148は、第4絶縁層158の上に配置され、駆動トランジスタ132のゲート132aと選択トランジスタ134のドレイン134cとを接続する。駆動トランジスタ132のソース132bは、駆動電源線144に接続されている。駆動電源線144は、第4絶縁層158の上に配置されている。駆動トランジスタ132のドレイン132cは、画素電極164に接続されている。画素電極164は、平坦化絶縁層160の上に配置されている。
【0060】
選択トランジスタ134は、半導体層の下方にゲート絶縁層を介してゲートが配置される、所謂ボトムゲート構造を有している。選択トランジスタ134の半導体層134dは、第1半導体(酸化物半導体)を含んでおり、駆動トランジスタ132の半導体層132dと同じ層に配置されている。製造工程においては、選択トランジスタ134の半導体層134dと、駆動トランジスタ132の半導体層132dとは、同一のフォトリソグラフィ工程によって同時に形成されてもよい。
【0061】
更に、選択トランジスタ134のゲート134aは、駆動トランジスタ132のゲート132aと同じ層に配置されている。つまり、選択トランジスタ134のゲート134aは、保持容量138の第1電極138aと同じ層に配置されているともいえる。
【0062】
図4からわかるように、選択トランジスタ134のゲート134aは、走査信号線140から延びている。走査信号線140は、第2絶縁層154の上に配置されている。つまり、走査信号線140は、選択トランジスタ134のゲート134aを兼ねる。選択トランジスタ134のソース134bは、映像信号線142に接続されている。映像信号線142は、第4絶縁層158の上に配置されている。選択トランジスタ134のドレイン134cは、ジャンパ配線148に接続されている。ジャンパ配線148は、第4絶縁層158の上に配置され、駆動トランジスタ132のゲート132aと選択トランジスタ134のドレイン134cとを接続するために設けられている。第4絶縁層158は、層構造については、駆動トランジスタ132及び選択トランジスタ134の上層に配置されている。また、第4絶縁層158は、平面構造については、表示領域104aに亘って配置されている。第4絶縁層158の材料としては、前述した第1絶縁層152と同様の材料を用いてよい。
【0063】
第1コンタクト電極184aは、駆動トランジスタ132よりも上層から駆動トランジスタ132のソース132bに到達する第1コンタクトホール182aに設けられている。第1コンタクトホール182aは、平面視において駆動トランジスタ132のソース132bに重畳する位置に設けられ、第4絶縁層158を貫通する。第1コンタクト電極174aは、駆動トランジスタ132のソース132bに接続される。これによって、電源電位線及び駆動トランジスタ132のソース132bが接続される。
【0064】
第2コンタクト電極184bは、駆動トランジスタ132よりも上層から第2電極138bに到達する第2コンタクトホール182bに設けられている。第2コンタクトホール182bは、平面視において駆動トランジスタ132のドレイン132cに重畳する位置に設けられ、第4絶縁層158、駆動トランジスタ132のドレイン132c、第3絶縁層156及び第2絶縁層154を貫通する。これによって、第2コンタクト電極174bは、駆動トランジスタ132のドレイン132c及び第2電極138bに接続される。これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132c及び保持容量138の第2電極138bが接続される。ここで、第2コンタクト電極184bは、ドレイン132cを貫通する開口部の側壁のみならず、当該開口部の端部周辺の表面にも接触する。これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cとコンタクト電極184bとの電気的な接触不良を抑えることができる。
【0065】
ここで、第1コンタクトホール182a及び第2コンタクトホール182bはそれらの深さが異なるが、同一のフォトリソグラフィ工程によって同時に形成することができる。駆動トランジスタ132のドレイン132cをフォトリソグラフィ工程によって形成する際に、第2コンタクトホール182bを形成する位置に開口部を有するレイアウトとしておけばよい。または、駆動トランジスタ132のドレイン132cをフォトリソグラフィ工程によって形成する際に、端部が第2コンタクトホール182bを形成する位置に接するレイアウトとしておけばよい。これによって、第1コンタクトホール182aについては駆動トランジスタ132のソース132bがエッチストッパとなり、第2コンタクトホール182bについては保持容量138の第2電極138bがエッチストッパとなる。
【0066】
尚、第4絶縁層158上に、第2コンタクト電極184bから第3電極138cが延びている。第3電極138cは、
図4に示すように、保持容量138の第2電極138bと重畳する領域を有する。本実施形態においては、第3電極138cは、平面視において第2電極138bが占める領域を覆っている。これによって、第3電極138cと第2電極138bとによって、容量を更に形成することができる。
【0067】
発光素子136は、平坦化絶縁層160の上に設けられる。発光素子136は、自発光型の発光素子である。自発光型の発光素子としては、例えば有機EL発光素子を用いることができる。有機EL発光素子は、画素電極164、共通電極166及び発光層168を有している。
【0068】
画素電極164は、複数の画素110の各々に対して配置されている。画素電極164の材料としては、発光層168で発生した光を共通電極166側に反射させるために、反射率の高い金属層を含むことが好ましい。反射率の高い金属層としては、例えば銀(Ag)を用いることができる。
【0069】
更に、前述の反射率の高い金属層に加え、透明導電層が積層されてもよい。透明導電層としては、例えばITO(酸化スズ添加酸化インジウム)やIZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)等を用いることが好ましい。また、それらの任意の組み合わせを用いてもよい。
【0070】
共通電極166は、複数の画素110に亘って配置されている。共通電極166の材料としては、発光層168で発生した光を透過させるために、透光性を有し、且つ導電性を有する材料が好ましい。共通電極166の材料としては、例えばITO(酸化スズ添加酸化インジウム)やIZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)等が好ましい。又は、共通電極166として、出射光が透過できる程度の膜厚を有する金属層を用いても良い。尚、共通電極166は本実施例のように全画素を覆う配置ではなく複数の画素110で共有する複数のブロックに分割されていてもよく、各々の画素110毎に独立して設けられてもよい。
【0071】
発光層168は、画素電極164及び共通電極166に挟持されて配置されている。発光層168の材料は、電流が供給されると発光する有機EL材料である。有機EL材料としては、低分子系又は高分子系の有機材料を用いることができる。低分子系の有機材料を用いる場合、発光層168は発光性の有機材料に加え、発光性の有機材料を挟持するように正孔注入層や電子注入層、更に正孔輸送層や電子輸送層等を含んで構成される。
【0072】
平坦化絶縁層160は、第4絶縁層158の上に配置される。平坦化絶縁層160は、下層に配置された各種トランジスタや配線等に起因する凹凸を平坦化するために設けられる。平坦化絶縁層160の材料としては、有機絶縁材料を用いることができる。有機絶縁材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。
【0073】
隣接する2つの画素110間には、バンク162が設けられている。バンク162は、画素電極164の周縁部を覆うように設けられている。更に、駆動トランジスタ132のドレイン132cと画素電極164との接続部を覆うように設けられている。
【0074】
バンク162の材料としては、絶縁材料を用いることが好ましい。絶縁材料としては、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、又はそれらの組み合わせ等を用いることができる。有機絶縁材料としては、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、又はそれらの組み合わせ等を用いることができる。無機絶縁材料と有機絶縁材料との組み合わせを用いてもよい。
【0075】
絶縁材料で形成されたバンク162が配置されることによって、共通電極166と画素電極164とが、画素電極164の端部において短絡することを防止することができる。更に、隣接する画素110間を確実に絶縁することができる。
【0076】
[製造方法]
図6A乃至6Oは、本実施形態に係る表示装置100の製造方法を説明する平面図である。これらの図において、
図4のA-A´間及びB-B´間の断面を示している。
【0077】
先ず第1基板104上に、第1絶縁層152を形成し、その上に多結晶シリコン層171を形成する(
図6A)。
【0078】
第1絶縁層152の材料としては、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等を用いることができる。または、これらを組み合わせた積層構造を用いることができる。成膜方法としては、例えばCVD法を用いることができる。
【0079】
多結晶シリコン層の形成は、先ず、CVD法によってアモルファスシリコン層を形成する。その後、熱処理やELA(Excimer Laser Anneal)法によって多結晶化し、多結晶シリコン層171を得る。
【0080】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、多結晶シリコン層171をパターニングして、島状の多結晶シリコン層172を形成する(
図6B)。この工程においては、保持容量の第2電極となる層及び図示しない周辺回路が有するトランジスタの半導体層が同時に形成される。
【0081】
次いで、多結晶シリコン層172に対し、必要回数のイオン注入処理を行う(
図6C)。リン(P)等の不純物を注入してn型領域を形成し、ホウ素(B)等の不純物を注入してp型領域を形成する。図面においては、保持容量の第2電極138bが示されており、多結晶シリコン層に対してリン(P)等の不純物が高濃度に注入され、n型の導電性が付与されている。これによって、保持容量138の第2電極138bが形成される。
【0082】
尚、以上の工程において、多結晶シリコン層172のパターニングの後にイオン注入を行う例を示したが、順序はこれに限られず、逆であってもよい。
【0083】
次いで、第2絶縁層154を形成し、その上に第1金属層176を形成する(
図6D)。第2絶縁層154は、保持容量138を構成する絶縁層である。第2絶縁層154としては、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等を用いることができる。成膜方法としては、例えばCVD法を用いることができる。
【0084】
第1金属層176としては、例えばW、MoW、Mo/Al/Mo、Ti/Al/Ti等を用いることができる。成膜方法としては、例えばスパッタリング法を用いることができる。
【0085】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、第1金属層176をパターニングする(
図6E)。エッチングの方法としては、ドライエッチング又はウェットエッチングを用いることができる。この工程によって、保持容量138の第1電極138aを兼ねる駆動トランジスタのゲート132a、選択トランジスタのゲート134a及び走査信号線140が形成される。
【0086】
次いで、第3絶縁層156を形成し、その上に第1半導体層(酸化物半導体層)174を形成する(
図6F)。第3絶縁層156は、駆動トランジスタ及び選択トランジスタのゲート絶縁層を構成する絶縁層である。第3絶縁層156としては、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等を用いることができる。成膜方法としては、例えばCVD法を用いることができる。
【0087】
酸化物半導体層174の成膜方法としては、スパッタリング法を用いることができる。スパッタリング法による成膜においては成膜時に基板加熱を行い、混合ガスAr/O2を利用し、ガス比はAr<O2とする。スパッタリング用の電源としてはDC電源を用いてもRF電源を用いても良く、スパッタリングターゲットの形成条件に合わせて決めることができる。スパッタリングターゲットは、例えばInGaZnOであれば、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4(In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:2)等とすることができ、組成比は目的(トランジスタ特性など)に応じて決めることができる。
【0088】
酸化物半導体層174から脱水素及び密度向上等の膜質改善のため、アニール処理を行ってもよい。アニール条件としては、雰囲気(真空、窒素、ドライエアー、大気のいずれか)、温度(250~500℃)、時間(15分~1時間)を目的に合わせて決めることができる。
【0089】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、酸化物半導体層174をパターニングする(
図6G)。これによって、駆動トランジスタ132の半導体層132d及び選択トランジスタ134の半導体層134dを同時に形成する。
【0090】
尚、本実施形態においては、酸化物半導体層174のパターニングの前にアニールを行う例を示したが、これに限られず、アニールはパターニング前後のどちらでも良い。尚、温度が高い場合、酸化物半導体層174のシュリンクによるパターンずれを抑えるため、パターニング前が好ましい。
【0091】
次いで、第2金属層178を形成する(
図6H)。第2金属層178としては、例えばW、MoW、Mo/Al/Mo、Ti/Al/Ti等を用いることができる。成膜方法としては、例えばスパッタリング法を用いることができる。
【0092】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、第2金属層178をパターニングする(
図6I)。エッチングの方法としては、ドライエッチング又はウェットエッチングを用いることができる。この工程によって、駆動トランジスタ132のソース・ドレイン及び選択トランジスタ134のソース・ドレインが形成される。
【0093】
ここで、駆動トランジスタ132のドレイン132cには、少なくとも一つの開口部133を形成しておく。後のコンタクトホール形成によって、駆動トランジスタ132のソース132bに到達する第1コンタクトホール182aと、駆動トランジスタ132のドレイン132cを貫通し、第2電極138bに到達する第2コンタクトホール182bとを同時に形成するためである。
【0094】
次いで、第4絶縁層158を形成する(
図6J)。第4絶縁層158としては、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等を用いることができる。成膜方法としては、例えばCVD法を用いることができる。
【0095】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、第4絶縁層158から、複数のコンタクトホールを形成する(
図6K)。本実施形態においては、駆動トランジスタ132のソース132bに到達する第1コンタクトホール182a、駆動トランジスタ132のドレイン132cを貫通し、第2電極138bに到達する第2コンタクトホール182b、選択トランジスタ134のソース134bに到達する第3コンタクトホール182c及び駆動トランジスタ134のドレイン134cに到達する第4コンタクトホール182dを同時に形成する。第2コンタクトホール182bは、駆動トランジスタ132のドレイン132cに予め設けられた開口部133に重畳する位置に設ける。これによって、第1コンタクトホール182a、第2コンタクトホール182b、第3コンタクトホール182c及び第4コンタクトホール182dはそれぞれ、駆動トランジスタ132のソース132b、保持容量138の第2電極138b、選択トランジスタ134のソース134b及び選択トランジスタ134のドレイン134cがエッチストッパとなるため、深さの異なるこれらのコンタクトホールを同時に形成することができる。
【0096】
このとき、第2コンタクトホール182bは、平面視において、開口部133と重畳する領域を有するように形成する。更にこのとき、第2コンタクトホール182bは、開口部133の領域を含む領域に亘って形成することが好ましい。または、第2コンタクトホール182bの面積は、開口部133の面積よりも大きいことが好ましい。
【0097】
これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cにおいて、開口部133の端部周辺の表面及び開口部133の側壁が露出する。これによって、後のコンタクト電極の形成時に、第2コンタクトホール182bを充填する第2コンタクト電極184bは、ドレイン132cに対し、開口部133の側壁のみならず、開口部133の端部周辺の表面にも接触する。これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cとコンタクト電極184bとの電気的な接触不良を抑えることができる。
【0098】
次いで、第3金属層を形成し、フォトリソグラフィ工程によって、第3金属層をパターニングする(
図6L)。第3金属層としては、例えばW、MoW、Mo/Al/Mo、Ti/Al/Ti等を用いることができる。成膜方法としては、例えばスパッタリング法を用いることができる。エッチングの方法としては、ドライエッチング又はウェットエッチングを用いることができる。この工程によって、映像信号線142、駆動電源線144及びジャンパ配線148が形成されると共に、第1コンタクト電極184a、第2コンタクト電極184b、第3コンタクト電極184c及び第4コンタクト電極184dが形成される。
【0099】
ここで、第2コンタクト電極184bは、駆動トランジスタ132のドレイン132c及び保持容量138の第2電極138bを接続する。前述のように、第2コンタクト電極184bは、ドレイン132cに対し、開口部133の側壁のみならず、開口部133の端部周辺の表面にも接触する。これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cとコンタクト電極184bとの電気的な接触不良を抑えることができる。
【0100】
次いで、上記の各種配線上に平坦化絶縁層160を形成し、所望のコンタクト開口部を形成する(
図6M)。平坦化絶縁層160は、下層に配置された各種トランジスタや配線等に起因する凹凸を平坦化するために設けられる。平坦化絶縁層160の材料としては、有機絶縁材料を用いることができる。有機絶縁材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。成膜方法としては、例えば塗布法を用いることができる。
【0101】
次いで、平坦化絶縁層160上に画素電極164を形成する(
図6N)。画素電極164の材料としては、前述のように、銀(Ag)等の反射率の高い金属層を含むことが好ましい。更に、ITO(酸化スズ添加酸化インジウム)やIZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)等の透明導電層が積層されてもよい。
【0102】
次いで、隣接する2つの画素110間に、バンク162を形成する(
図6O)。バンク162は、画素電極164の周縁部を覆うように設けられる。バンク162の材料としては、絶縁材料を用いることが好ましい。絶縁材料としては、前述のように、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いることができる。
【0103】
次いで、画素電極164及びバンク162を覆うように、発光層168を形成し、表示領域104a内の複数の画素110を覆う共通電極166を形成して、
図5に示したアレイ基板102が完成する。発光層168の成膜方法としては蒸着法を用いることができる。共通電極166の成膜方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0104】
以上、本実施形態に係る表示装置100の構成及び製造方法について説明した。本実施形態に係る表示装置100は、周辺回路を構成するトランジスタには多結晶シリコンを用いることによって、額縁の幅及び消費電力とうの制約条件を満たすことができる。また、画素回路130を構成する駆動トランジスタ132には酸化物半導体を用いることによって、画素110の発光量のばらつきを抑制することができる。また、画素回路130を構成する選択トランジスタ134には酸化物半導体を用いることによって、保持容量138の電荷がソース-ドレイン間のリーク電流によって消失することを抑制することができる。更に、駆動トランジスタ132及び保持容量138は平面視において重畳して配置されることによって、画素110のサイズを縮小することができ、高精細な表示装置100を提供することができる。
【0105】
<第2実施形態>
本実施形態に係る表示装置200(
図8)の構成について、図面を参照しながら説明する。尚、第1実施形態に係る表示装置100と本実施形態に係る表示装置200との共通する発明特定事項については説明を省略することがあり、相違点を中心に説明する。
【0106】
本実施形態に係る表示装置200は、第1実施形態に係る表示装置100と比較すると、複数の画素110の各々が有する選択トランジスタ134の構成が異なっている。具体的には、選択トランジスタ134の半導体層134dとしては第2半導体を含んでいる。
【0107】
前述のように、選択トランジスタ134は、良好なスイッチング特性を有することが望まれる。つまり、オン状態での電流値が大きく、オフ状態での電流値が小さい程好ましい。
【0108】
そこで、選択トランジスタ134が有する第2半導体としては、キャリア移動度が高い材料を用いることが好ましい。第1実施形態で説明したように、第2半導体は多結晶シリコンである。
【0109】
これによって、選択トランジスタ134は、オン状態において十分に大きい電流を供給することができる。これにより、
図3で示す画素回路130を参照すれば、選択トランジスタ134のオン状態において、映像信号線142と、駆動トランジスタ132のゲート132aとの間における高抵抗化を抑制することができる。
【0110】
図7は、本実施形態に係る表示装置200が有する画素110の構成を説明する平面図である。
図8は、本実施形態に係る表示装置200が有する画素110の構成を説明する断面図である。
図8は、
図7のA-A´間及びB-B´間の断面を示している。
【0111】
選択トランジスタ134は、半導体層の上方にゲート絶縁層を介してゲートが配置される、所謂トップゲート構造を有している。選択トランジスタ134の半導体層134dは、第2半導体(多結晶シリコン)を含み、保持容量138の第2電極138bと同じ層に配置される。
【0112】
本実施形態においては、選択トランジスタ134は、ゲート134a、ソース134b及びドレイン134cの各々の電極が、多結晶シリコン層172の上方に配置される、所謂スタガ型の構造を有する。そのため、逆スタガ型の構造を有する第1実施形態に係る表示装置100の選択トランジスタ134に比べて、寄生容量が小さく、スイッチング動作が高速化される。
【0113】
[製造方法]
図9A乃至9Eは、本実施形態に係る表示装置200の製造方法を説明する断面図である。これらの図において、
図7のA-A´間及びB-B´間の断面を示している。
【0114】
先ず第1基板104上に、第1絶縁層152を形成し、その上に多結晶シリコン層172を形成する(
図9A)。ここまでの工程は、第1実施形態に係る表示装置100の製造方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0115】
次いで、フォトリソグラフィ工程によって、多結晶シリコン層172をパターニングする(
図9B)。この工程においては、保持容量138の第2電極138bとなる層、選択トランジスタ134の半導体層134d及び図示しない周辺回路が有するトランジスタの半導体層が同時に形成される。
【0116】
次いで、多結晶シリコン層172に対し、必要回数のイオン注入処理を行う(
図9C)。リン(P)等の不純物を注入してn型領域を形成し、ホウ素(B)等の不純物を注入してp型領域を形成する。図面においては、保持容量138の第2電極138bが示されており、多結晶シリコン層172に対してリン(P)等の不純物が高濃度に注入され、n型の導電性が付与されている。これと共に、選択トランジスタ134の半導体層134dが示されており、半導体層134dのソース・ドレイン領域に対して選択的にリン(P)等の不純物が高濃度に注入され、n型の導電性が付与されている。
【0117】
次工程から駆動トランジスタ132のソース・ドレイン及び選択トランジスタ134のソース・ドレインを形成するまで(
図9D)の工程は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
駆動トランジスタ132のソース・ドレイン及び選択トランジスタ134のソース・ドレインを形成した後、第4絶縁層158を形成する(
図9E)。
【0119】
第4絶縁層158の形成後、複数のコンタクトホールを形成する方法が第1実施形態と異なっている。本実施形態においては、第3コンタクトホール182c及び第4コンタクトホール182dの到達する層が第1実施形態と異なっている。本実施形態においては、第3コンタクトホール182c及び第4コンタクトホール182dが、共に選択トランジスタ134の半導体層134dに到達する条件でエッチングを行う(
図9D)。このとき、第1コンタクトホール182aについては駆動トランジスタ132のソース132bがエッチストッパとなり、第2コンタクトホール182については、第2電極138bがエッチストッパとなる。これによって、深さの異なるこれらのコンタクトホールを同時に形成することができる。
【0120】
このとき、第1実施形態と同様に、第2コンタクトホール182bは、平面視において、開口部133と重畳する領域を有するように形成する。更にこのとき、第2コンタクトホール182bは、開口部133の領域を含む領域に亘って形成することが好ましい。または、第2コンタクトホール182bの面積は、開口部133の面積よりも大きいことが好ましい。
【0121】
これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cにおいて、開口部133の端部周辺の表面及び開口部133の側壁が露出する。これによって、後のコンタクト電極の形成時に、第2コンタクトホール182bを充填する第2コンタクト電極184bは、ドレイン132cに対し、開口部133の側壁のみならず、開口部133の端部周辺の表面にも接触する。これによって、駆動トランジスタ132のドレイン132cとコンタクト電極184bとの電気的な接触不良を抑えることができる。
【0122】
次いで、第3金属層を形成し、フォトリソグラフィ工程によって、第3金属層をパターニングする(
図9G)。この工程によって、映像信号線142、駆動電源線144及び148ジャンパ配線が形成されると共に、第1コンタクト電極184a、第2コンタクト電極184b、第3コンタクト電極184c及び第4コンタクト電極184dが形成される。次工程以降は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0123】
以上、本実施形態に係る表示装置200の構成及び製造方法について説明した。本実施形態に係る表示装置200は、周辺回路を構成するトランジスタには多結晶シリコンを用いることによって、額縁の幅及び消費電力等の制約条件を満たすことができる。また、画素回路130を構成する駆動トランジスタ132には酸化物半導体を用いることによって、画素110の発光量のばらつきを抑制することができる。また、画素回路130を構成する選択トランジスタ134には多結晶シリコンを用いることによって、選択トランジスタ134のオン状態において、映像信号線142と、駆動トランジスタ132のゲート132aとの間における高抵抗化を抑制することができる。更に、駆動トランジスタ132及び保持容量138は平面視において重畳して配置されることによって、画素110のサイズを縮小することができ、高精細な表示装置200を提供することができる。
【0124】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0125】
100、200:表示装置 102:アレイ基板 104:第1基板 104a:表示領域 104b:端子領域 104c:周辺回路領域 106:対向基板 108:第2基板 110:画素 112:接続端子 120:制御回路 122:走査線駆動回路 124:映像線駆動回路 126:駆動電源回路 128:基準電源回路 130:画素回路 132:駆動トランジスタ 132a:ゲート 132b:ソース 132c:ドレイン 132d:半導体層 132e:ゲート絶縁層 134:選択トランジスタ 134a:ゲート 134b:ソース 134c:ドレイン 134d:半導体層 134e:ゲート絶縁層 136:発光素子 138:保持容量 140:走査信号線 142:映像信号線 144:駆動電源線 146:基準電源線 148:ジャンパ配線 152:第1絶縁層 154:第2絶縁層 156:第3絶縁層 158:第4絶縁層 160:平坦化絶縁層 162:バンク 164:画素電極 166:共通電極 168:発光層 170:シール材 171、172:多結晶シリコン層 174酸化物半導体層 176:第1金属層 178:第2金属層 182a:第1コンタクトホール 182b:第2コンタクトホール 182c:第3コンタクトホール 182d:第4コンタクトホール 184a:第1コンタクト電極 184b:第2コンタクト電極 184c:第3コンタクト電極 184d:第4コンタクト電極