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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】電子機器、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220428BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/044
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020138060
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034319
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500661(JP,A)
【文献】特開2017-062391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0066616(US,A1)
【文献】特開2010-033376(JP,A)
【文献】特開2013-164867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサが設けられている第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、
前記第2筐体に設けられ、前記タッチセンサと電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくデータを出力するタッチコントローラと、
前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間は、前記タッチセンサによる検出結果を無効にする制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間が終了すると、タッチセンサのキャリブレーションを行ってから前記タッチセンサによる検出結果を有効にする、
電子機器。
【請求項2】
前記タッチセンサと前記タッチコントローラとが、FPC(Flexible Printed Circuits)を介して電気的に接続され、
前記タッチセンサから出力された検出信号が前記FPCを介して前記タッチコントローラへ入力される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
タッチセンサが設けられている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体とを備える電子機器における制御方法であって、
前記第2筐体に設けられたタッチコントローラが、前記タッチセンサと電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくデータを出力するステップと、
検出部が、前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出するステップと、
制御部が、前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間は、前記タッチセンサによる検出結果を無効にするステップと、
前記制御部が、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間が終了すると、タッチセンサのキャリブレーションを行ってから前記タッチセンサによる検出結果を有効にするステップと、
を有する制御方法。
【請求項4】
タッチセンサが設けられている第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、
前記第2筐体に設けられ、前記タッチセンサと電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくデータを出力するタッチコントローラと、
前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間が終了することに応じて、前記タッチセンサのキャリブレーションを行う制御部と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル式のディスプレイを搭載したクラムシェル型(ノート型)のPC(Personal Computer)がある。クラムシェル型のPCは、ディスプレイが設けられている第1筐体と、キーボードやマザーボードなどが設けられている第2筐体とがヒンジを介して回動可能に接続されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-200574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クラムシェル型のPCでは、使用中に第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されることがある。静電容量方式のタッチパネルを搭載したディスプレイを用いる場合には、第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの寄生容量の変動を最小限に抑えるために、タッチパネルを制御するコントローラボードを第1筐体側に設け、タッチパネルとコントローラボードを接続するFPC(Flexible Printed Circuits)とコントローラボードとを第1筐体側(例えば、ディスプレイの裏側)に物理的に固定する必要がある。
【0005】
しかしながら、携帯性やデザイン性の面から、ディスプレイの周囲の狭額縁化やディスプレイ側の筐体(第1筐体)の薄型化の要求があり、そのためにはコントローラボードを第2筐体側に設ける方が有利である。その場合、第1筐体側のタッチパネルと第2筐体側のコントローラボードとをヒンジ部分を介してFPCなどで電気的に接続する構成となる。この構成では、第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されるとFPCが移動することにより寄生容量が変化するため、タッチパネル(タッチセンサ)のノイズ耐性が低下する。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、タッチセンサのノイズ耐性の低下を抑制する電子機器、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る電子機器は、タッチセンサが設けられている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、前記第2筐体に設けられ、前記タッチセンサと電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくデータを出力するタッチコントローラと、前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間は、前記タッチセンサによる検出結果を無効にする制御部と、を備える。
【0008】
上記電子機器において、前記制御部は、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間が終了すると、前記タッチセンサによる検出結果を有効にしてもよい。
【0009】
上記電子機器において、前記制御部は、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間が終了すると、タッチセンサのキャリブレーションを行ってから前記タッチセンサによる検出結果を有効にしてもよい。
【0010】
上記電子機器において、前記タッチセンサと前記タッチコントローラとが、FPC(Flexible Printed Circuits)を介して電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号が前記FPCを介して前記タッチコントローラへ入力されてもよい。
【0011】
また、本発明の第2態様に係る電子機器は、タッチセンサが設けられている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間は、前記タッチセンサによる検出結果を無効にする制御部と、を備える。
【0012】
また、本発明の第3態様に係る、タッチセンサが設けられている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体とを備える電子機器における制御方法は、前記第2筐体に設けられたタッチコントローラが、前記タッチセンサと電気的に接続され、前記タッチセンサから出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくデータを出力するステップと、検出部が、前記第1筐体と前記第2筐体との相対的な回動を検出するステップと、制御部が、前記検出部による検出結果に基づいて、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動している期間は、前記タッチセンサによる検出結果を無効にするステップと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、タッチセンサのノイズ耐性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図。
図2】実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図3】実施形態に係る電子機器のヒンジ機構の部分の断面の模式図。
図4】実施形態に係るタッチ検出結果の有効/無効制御に関する機能構成の一例を示す図。
図5】実施形態に係るタッチ検出結果の有効/無効制御に関するソフトウェア構成の一例を示す図。
図6】実施形態に係るタッチ検出結果の有効/無効制御処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
まず、本実施形態に係る電子機器の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図示する電子機器10は、クラムシェル型(ノート型)のPC(パーソナルコンピュータ)である。電子機器10は、第1筐体11、第2筐体12、及びヒンジ機構13を備えている。第1筐体11及び第2筐体12は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体11の側面の一つと第2筐体12の側面の一つとがヒンジ機構13を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構13がなす回転軸の周りに第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動可能である。第1筐体11と第2筐体12との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、第1筐体11と第2筐体12とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態において第1筐体11と第2筐体12との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。開き角θとは、第1筐体11の内面と第2筐体12の内面とがなす角とも言うことができる。閉状態に対して第1筐体11と第2筐体12とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)以上の状態であり、典型的には100~130°程度となる。
【0016】
図1に示す電子機器10の外観は開状態の例を示している。開状態では、第1筐体11と第2筐体12とのそれぞれの内面が表れ、電子機器10は通常の動作を実行可能とすることが期待される。即ち、ユーザは、電子機器10を使用する際には、開状態にする。なお、ユーザは、使用中もヒンジ機構15によって回動可能な角度の範囲内で、開き角θを任意に変更することができる。
【0017】
第1筐体11の内面には、タッチスクリーン110が設けられている。一方、第2筐体の内面には、キーボード128が設けられている。また、第2筐体の内面または側面には、不図示の電源ボタンやUSB(Universal Serial Bus)コネクタ等が備えられている。また、第2筐体の内部には、電子機器10が実行する処理の主要な電子部品が実装された回路基板(マザーボード)やバッテリなどが備えられている。
【0018】
図2は、本実施形態に係る電子機器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図において、図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。電子機器10の第1筐体11には、タッチスクリーン110が備えられている。タッチスクリーン110は、表示部111と、表示部111の画面上に一体的に設けられたタッチパネル112とを備えている。表示部111は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。タッチパネル112は、ガラス又はフイルムの基板上に透明な電極で形成されたタッチセンサを含んで構成されており、表示部111の画面の表示を透過しつつ、画面に対するタッチ操作を検出する。例えば、タッチパネル112は、静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル112は、表示部111の画面に対応する領域へのタッチ操作に応じて変化する静電容量を検出するタッチセンサを有し、当該画面に対するタッチ操作に応じて当該領域におけるタッチ位置に応じた検出信号を出力する。また、電子機器10の第1筐体11には、加速度センサ115が備えられている。
【0019】
電子機器10の第2筐体12には、通信部121と、RAM(Random Access Memory)122と、Flashメモリ123と、CPU(Central Processing Unit)124と、スピーカ125と、タッチコントローラ126と、PCH127と、キーボード128と、加速度センサ129と、電源部130とを備えている。
【0020】
通信部121は、例えば、複数のイーサネット(登録商標)ポートや複数のUSB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信を行う通信デバイス等を含んで構成される。
【0021】
RAM122には、CPU124が演算や制御、処理などを行うプログラムやデータが展開され、適宜、各種データの保存または消去が行われる。また、RAM122は、表示部111の表示用のビデオメモリ(V-RAM)としても機能する。
【0022】
Flashメモリ123は、Flash-ROM(Resad Only Memory)などの不揮発性メモリである。例えば、Flashメモリ123には、BIOS(Basic Input Output System)のプログラムや設定データ、OS(Operating System)やOS上で動作するアプリケーションのプログラム等が保存されている。
【0023】
CPU124は、BIOS、OS、またはOS上で動作する各種のアプリケーションなどのプログラムを実行することにより、各種の演算及び処理などを行う。例えば、CPU124は、上記プログラムの実行に応じて、RAM122、Flashメモリ123などに対してデータの読み書きや消去などのメモリ制御や、表示部111に対する表示制御や、スピーカ125から出力する音の制御などを行う。なお、CPU124は、GPU(Graphic Processing Unit)など特定の演算及び処理を行なう構成を内部または外部に含んで構成されてもよい。スピーカ125は、電子音や音声などを出力する。
【0024】
タッチコントローラ126は、タッチパネル112から出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づいて、タッチパネル112に対する操作内容を示すタッチデータを生成する。ここで、タッチパネル112から出力される検出信号は、タッチパネル112静電容量の変化に応じたアナログの検出信号である。タッチコントローラ126は、アナログの検出信号からタッチのON/OFFに応じたデジタル信号に変換したタッチデータを出力する。
【0025】
PCH(Platform Controller Hub)127は、各部を接続するデータバスの管理や、CPU124の機能のサポートなどの機能を有する。例えば、PCH127は、キーボード128に対するキー操作に応じてキーデータを取得し、取得したキーデータに基づく操作データをCPU124へ出力する。また、PCH127は、タッチコントローラ126から出力されたタッチデータを取得し、取得したタッチデータに基づく操作データをCPU124へ出力する。CPU124は、PCH127から取得した操作データに基づいて、OSの処理やアプリケーションの処理を実行する。
【0026】
また、PCH127は、PCH127の一部の構成であるISH(Integrated Sensor Hub)を介して、加速度センサ115及び加速度センサ129から測定結果を取得する。そして、PCH127は、加速度センサ115及び加速度センサ129の測定結果に基づいて、第1筐体11と第2筐体12との相対的な回動(開閉)を検出する。また、PCH127は、タッチパネル112による検出結果の有効/無効などの制御やキャリブレーションの制御を行う。これらの制御について、詳しくは後述する。加速度センサ115は、第1筐体11側に設けられており、第1筐体11の傾きや動き(姿勢変化)に応じた加速度を測定する。加速度センサ129は、第2筐体12側に設けられており、第2筐体12の傾きや動き(姿勢変化)に応じた加速度を測定する。
【0027】
電源部130は、電子機器10の各部へ電力を供給するための電源系統を介して電力を供給する。電源部130は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくは内蔵バッテリから供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。
【0028】
次に、タッチパネル112からタッチコントローラ126への接続例について説明する。図3は、電子機器10のヒンジ機構13の部分の断面の模式図である。第1筐体11に設けられているタッチパネル112と、第2筐体12に設けられたタッチコントローラ126とはFPC(Flexible Printed Circuits)で電気的に接続されている。タッチパネル112に一端が圧着されたFPCは、ヒンジ機構13部分のAカバー11aとベゼル11bとの間を通って第2筐体12側へ配線されている。ここで、Aカバー11aは、第1筐体11の内面とは反対側の外面を構成する部材である。また、ベゼル11bは、タッチパネル112(タッチスクリーン110)を支持するためにタッチパネル112の周囲を囲む枠(所謂、額縁部分)である。
【0029】
第2筐体12側では、FPCの他端がコネクタCNを介してコントローラボード126Bに接続されている。コントローラボード126Bは、タッチコントローラ126などが実装されたPCB(Printed Circuit Board)である。なお、コントローラボード126Bは、CPU124などが実行されているマザーボード(不図示)と一体であってもよい。また、この図において、第2筐体12の内面を構成する部材をCカバー12cとし、内面と反対側の外面を構成する部材をDカバー12dとして示している。また、部材12eは、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動した際に、FPCへの負荷が軽減されるようにFPCの配線の引き回しを折り返して余裕を持たせて収納するためのガイド部材である。これにより、第1筐体11と第2筐体12とが開閉された場合、その開閉の動きに応じてFPCが若干移動することで、FPCに過度なテンションがかからないようにしている。
【0030】
また、加速度センサ115は、第1筐体11の動きと連動するように、FPCの第1筐体11側に実装されている。一方、加速度センサ129は、第2筐体12の動きと連動するように、FPCの第2筐体12側に実装されている。なお、加速度センサ115と加速度センサ129は、それぞれ第1筐体11と第2筐体12の動きと連動する場所であれば、FPC以外の場所に設けられてもよい。
【0031】
(タッチ検出結果の有効/無効制御)
図3を参照して説明したように、第1筐体11と第2筐体12とが開閉されて動いている最中(開閉中)にはFPCが移動するため、寄生容量が変化する。タッチパネル112から出力される検出信号はアナログ信号であるため、開閉中の期間では、寄生容量の変化に起因するノイズの影響を受けて誤検出が起きる可能性がある。そこで、電子機器10は、少なくとも開閉中の期間はタッチパネル112による検出結果を無効にすることで、タッチパネル112のノイズ耐性の低下を抑制する。以下、タッチ検出結果の制御について詳しく説明する。
【0032】
図4は、タッチ検出結果の有効/無効制御に関する機能構成の一例を示す図である。この図において、図2の各部と対応する構成には同一の符号を付している。PCH127は、ソフトウェアの実行により実現する機能構成として開閉検出部1271(検出部の一例)と、タッチ機能制御部1272(制御部の一例)とを備えている。
【0033】
開閉検出部1271は、加速度センサ115及び加速度センサ129の測定結果を取得し、取得した測定結果に基づいて第1筐体11と第2筐体12との相対的な回動(開閉)を検出する。例えば、開閉検出部1271は、第1筐体11の傾きや動き(姿勢変化)に応じた加速度と第2筐体12の傾きや動き(姿勢変化)に応じた加速度とに基づいて、開状態にあるか或いは閉状態にあるか、開き角θ、または開閉中であるか否か(即ち、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している最中であるか否か)などを検出する。なお、開閉検出部1271は、少なくとも開閉中であるか否かを検出してもよい。
【0034】
タッチ機能制御部1272は、電子機器10が起動すると、タッチパネル112による検出結果を有効にする。ここで、タッチパネル112による検出結果を有効にするとは、タッチコントローラ126から取得したタッチデータをCPU124へ出力し、CPU124で実行されている処理へ適用することを指す。例えば、タッチ機能制御部1272は、タッチコントローラ126からタッチデータを取得した場合(タッチイベントが生じた場合)、取得したタッチデータをCPU124へ出力する。
【0035】
また、タッチ機能制御部1272は、開閉検出部1271による検出結果に基づいて、少なくとも第1筐体11と第2筐体とが相対的に回動している期間(開閉中の期間)は、タッチパネル112による検出結果を無効にする。また、タッチ機能制御部1272は、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している期間(開閉中の期間)が終了すると、タッチパネル112による検出結果を有効にする。なお、タッチ機能制御部1272は、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している期間(開閉中の期間)が終了すると、タッチパネル112のキャリブレーションを実行させてからタッチパネル112による検出結果を有効にしてもよい。
【0036】
ここで、タッチパネル112による検出結果を無効にするとは、タッチコントローラ126からのタッチデータの出力を停止させ、CPU124で実行されている処理へ適用しないこと(即ち、タッチパネル112に対するタッチ操作があったとしても、タッチ操作が無かったものとすること)を指す。例えば、タッチ機能制御部1272は、タッチパネル112による検出結果を無効にする場合、タッチコントローラ126に対して「Disableコマンド」を送信し、タッチデータの出力を一時的に停止させる。また、タッチ機能制御部1272は、タッチパネル112による検出結果を無効から有効にする場合、タッチコントローラ126に対して「Enableコマンド」を送信し、タッチデータの出力を許可する。なお、タッチ機能制御部1272は、タッチパネル112による検出結果を無効にする場合、タッチコントローラ126からタッチデータを取得しても、取得したタッチデータをCPU124へ出力しないようにしてもよい。
【0037】
また、タッチ機能制御部1272は、タッチパネル112に対して「Calibrationコマンド」を送信し、キャリブレーションの実行をタッチコントローラ126へ指示する。タッチコントローラ126は、キャリブレーションを実行する際には、タッチパネル112から出力される検出信号(静電容量に応じた信号)のレベルを、タッチ操作がされていないときの信号レベルとみなして補正する。なお、タッチ機能制御部1272は、タッチパネル112のキャリブレーションを指示する際に、タッチ操作をしない旨を通知する情報を表示部111に表示させてもよい。また、タッチコントローラ126は、タッチパネル112のキャリブレーションを行う際に、タッチ操作がされていないときのタッチパネル112から出力される検出信号と、タッチ操作がされているときのタッチパネル112から出力される検出信号との両方に基づいて、キャリブレーションを行ってもよい。
【0038】
次に、PCH127が上記機能を実現するために実行するソフトウェアの構成を説明する。図5は、タッチ検出結果の有効/無効制御に関するソフトウェア構成の一例を示す図である。ISH(Integrated Sensor Hub) Micro driverは、図4の開閉検出部1271の機能に対応する処理を実行する。ISH Micro driverは、加速度センサ115及び加速度センサ129の測定結果を取得して開閉中であるか否かを検出し、開閉中であるか否かに応じたイベントを生成する。
【0039】
Background Service(Event handler)は、図4のタッチ機能制御部1272の機能に対応する処理を実行する。Background Serviceは、開閉中であるか否かに応じたイベントや、タッチパネル112による検出結果(タッチイベント)に基づいて、アプリケーションに適用する処理を選択する。例えば、Background Serviceは、ISH Micro driverから開閉中であるか否かに応じたイベントをDrivers及びMiddlewareを介して取得し、取得したイベントに応じた処理を選択する。例えば、Background Serviceは、タッチパネル112による検出結果の有効/無効やキャリブレーションの実施などの処理をイベントに応じて選択する。そして、Background Serviceは、選択した処理に応じて、「Disableコマンド」、「Enableコマンド」、「Calibrationコマンド」などを、Middleware、Driversを介して、タッチコントローラに対して送信する。
【0040】
次に、タッチ検出結果の有効/無効制御処理の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係るタッチ検出結果の有効/無効制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
(ステップS101)PCH10は、電子機器10の電源がONされて起動すると、まずタッチパネル112のキャリブレーションを実行する。例えば、PCH10は、「Calibrationコマンド」をタッチコントローラに対して送信し、タッチパネル112のキャリブレーションを実行させる。タッチコントローラ126は、タッチコントローラ126から出力される検出信号に基づいてキャリブレーションを実行する。そして、ステップS103の処理に進む。
【0042】
(ステップS103)PCH10は、「Enableコマンド」をタッチコントローラに対して送信し、タッチパネル112による検出結果を有効にする。PCH10は、タッチコントローラ126から取得したタッチデータをCPU124へ出力し、CPU124で実行されている処理へ適用する。そして、ステップS105の処理に進む。
【0043】
(ステップS105)PCH10は、加速度センサ115及び加速度センサ129の測定結果に基づいて、第1筐体11と第2筐体12との相対的な回動(開閉)を検出する。そして、ステップS107の処理に進む。
【0044】
(ステップS107)PCH10は、ステップS105の検出結果に基づいて、開閉中であるか否か(即ち、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している最中であるか否か)を判定する。PCH10は、開閉中でないと判定した場合(NO)、ステップS105の処理に戻る。即ち、タッチパネル112による検出結果を有効にした状態を継続する。一方、PCH10は、開閉中であると判定した場合(YES)、ステップS109の処理に進む。
【0045】
(ステップS109)PCH10は、「Disableコマンド」をタッチコントローラに対して送信し、タッチパネル112による検出結果を無効にする。具体的には、PCH10は、タッチコントローラ126からのタッチデータの出力を停止させ、CPU124で実行されている処理へ適用しない。
【0046】
(ステップS111)PCH10は、加速度センサ115及び加速度センサ129の測定結果に基づいて、第1筐体11と第2筐体12との相対的な回動(開閉)を検出する。そして、ステップS113の処理に進む。
【0047】
(ステップS113)PCH10は、ステップS111の検出結果に基づいて、開閉中であるか否かを判定する。PCH10は、開閉中であると判定した場合(YES)、ステップS111の処理に戻り、開閉中の状態が終了するまで検出を継続する。即ち、タッチパネル112による検出結果を無効にした状態を継続する。一方、PCH10は、開閉中でないと判定した場合(NO)、ステップS101の処理に戻り、タッチパネル112のキャリブレーションを行った後(ステップS101)、タッチパネル112による検出結果を有効にする(ステップS103)。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器10は、タッチパネル112(タッチセンサの一例)が設けられている第1筐体11と、第1筐11体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体12とを備えている。電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12との相対的な回動を検出し、検出結果に基づいて、少なくとも第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している期間(開閉中の期間)は、タッチパネル112による検出結果を無効にする。
【0049】
これにより、電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とが開閉中の期間はタッチパネル112による検出結果を無効にするため、開閉によりノイズが発生したとしても、当該ノイズの影響を受けないため、タッチパネル112のノイズ耐性の低下を抑制することができる。また、第1筐体11と第2筐体12とが開閉中の期間は、ユーザは電子機器10を操作する必要性が低いため、開閉中の期間はタッチパネル112による検出結果を無効にしても、操作性に影響は少ない。よって、電子機器10は、操作性を損ねることなく、タッチパネル112のノイズ耐性の低下を抑制することができる。
【0050】
また、電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している期間が終了すると、タッチパネル112による検出結果を有効にする。
【0051】
これにより、電子機器10は、開閉中でない期間は、タッチパネル112に対するタッチ操作に応じて処理を実行することができる。
【0052】
例えば、電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動している期間が終了すると、タッチパネル112のキャリブレーションを行ってからタッチパネル112による検出結果を有効にする。
【0053】
これにより、電子機器10は、一旦タッチパネル112による検出結果を無効にしてから、その後有効にした際の検出精度が低下しないようにすることができる。
【0054】
また、電子機器10は、タッチパネル112から出力された検出信号を受信し、受信した検出信号に基づくタッチデータを出力するタッチコントローラ126、をさらに備えている。そして、このタッチコントローラ126は、第2筐体12に設けられ、第1筐体11に設けられているタッチパネル112と電気的に接続されている。
【0055】
これにより、電子機器10は、タッチパネル112とタッチコントローラ126とを別々の筐体に設けて両者を電気的に接続した場合でも、タッチパネル112のノイズ耐性の低下を抑制することができる。
【0056】
また、電子機器10は、タッチパネル112とタッチコントローラ126とが、FPCを介して接続され、タッチパネル112から出力された検出信号がFPCを介してタッチコントローラ126へ入力される。
【0057】
これにより、電子機器10は、タッチパネル112とタッチコントローラ126とを別々の筐体に設けて両者をFPCで接続した場合でも、タッチパネル112のノイズ耐性の低下を抑制することができる。
【0058】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、上記の各実施形態で説明した構成は、任意に組み合わせてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態では、タッチパネル112とタッチコントローラ216とがFPCで電気的に接続されている例を説明したが、FPCに限定されず、ワイヤー(線材)などで接続されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、開閉検出部1271及びタッチ機能制御部1272の機能をPCH127が有する構成例を説明したが、その一部または全部をPCH127以外の処理部が有してもよい。例えば、開閉検出部1271及びタッチ機能制御部1272の機能の一部または全部を、各種のチップセット、EC(Embedded Controller)、CPU124などが有してもよい。
【0061】
また、上述した電子機器10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した電子機器10のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電子機器10のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0062】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電子機器10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0063】
また、上述した実施形態における電子機器10が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、電子機器10がクラムシェル型のPCである例を説明したが、これに限られるものではなく、ヒンジ機構を介して回動可能な複数の筐体を含む他の電子機器(スマートフォンやゲーム機など)であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、タッチセンサの一例として、表示部111(ディスプレイ)と一体に構成されたタッチパネル112の例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、タッチセンサは、ディスプレイと一体に構成されていないタッチパネル(例えば、タッチパッドなど)であってもよい。また、タッチセンサは、特定の面積内のタッチ位置を検出するものに限らず、単にタッチの有無を検出するのみのタッチセンサであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1筐体11と第2筐体12とが開状態であるか或いは閉状態であるかを、加速度センサ115、129を用いて検出する例を説明したが、検出方法は、これに限定されるものではない。例えば、加速度センサ115、129に代えて又は加えて、ジャイロセンサ、傾斜センサ、磁気センサ、地磁気センサなどを使用して検出してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 電子機器、11 第1筐体、12 第2筐体、13 ヒンジ機構、110 タッチスクリーン、111 表示部、112 タッチパネル、115 加速度センサ、121 通信部、122 RAM、123 Flashメモリ、124 CPU、125 スピーカ、126 タッチコントローラ、127 PCH、1271 開閉検出部、1272 タッチ機能制御部、128 キーボード、129 加速度センサ、130 電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6