(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物、漢方の湿布薬およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/232 20060101AFI20220428BHJP
A61K 36/27 20060101ALI20220428BHJP
A61K 36/489 20060101ALI20220428BHJP
A61K 36/902 20060101ALI20220428BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20220428BHJP
A61K 36/708 20060101ALI20220428BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220428BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220428BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220428BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220428BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220428BHJP
A61K 35/64 20150101ALI20220428BHJP
A61K 36/896 20060101ALI20220428BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A61K36/232
A61K36/27
A61K36/489
A61K36/902
A61K36/9066
A61K36/708
A61P25/04
A61P7/10
A61K9/70 405
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/18
A61K9/70 401
A61K9/12
A61K9/08
A61K35/64
A61K36/896
A61K36/53
(21)【出願番号】P 2020544923
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2019072610
(87)【国際公開番号】W WO2019223352
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】201810501430.X
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520318856
【氏名又は名称】上海市皮膚病医院
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ズー、チュエンガン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジョンジエン
(72)【発明者】
【氏名】モン、グアフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ズー、ソンソン
(72)【発明者】
【氏名】リー、イン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ルージュエン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ホェイジュン
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第100124795(CN,B)
【文献】中国特許第100944983(CN,B)
【文献】中国特許第103020153(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物であって、ビャクビ180-195部、クジン180-195部、トウキ180-195部、サンリョウ180-195部、ガジュツ180-195部、ダイオウ370-380部、セッケンセン555-570部、キョウサ
ン85-100部、ホウボウ180-195部、
およびシチヨウイッシカ555-570部
を含むことを特徴とする
、漢方薬組成物。
【請求項2】
ビャクビ185-190部、クジン185-190部、トウキ185-190部、サンリョウ185-190部、ガジュツ185-190部、ダイオウ373-377部、セッケンセン560-565部、キョウサ
ン90-95部、ホウボウ185-190部、
およびシチヨウイッシカ560-565部
を含むことを特徴とする、請求項1に記載
の漢方薬組成物。
【請求項3】
ビャクビ188部、クジン188部、トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376.0部、セッケンセン564部、キョウサン
94部、ホウボウ188部、およびシチヨウイッシカ564部
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の
漢方薬組成物。
【請求項4】
前記漢方薬組成物は、
外部剤形であることを特徴とする、請求項1-3のいずれか一項に記載の
漢方薬組成物。
【請求項5】
前記
外部剤形は、軟膏剤、石膏剤、ゲル剤、ペースト剤、コーティング剤、パップ剤、貼付剤、外部液体剤、外部皮膚フィルム剤、外部エアロゾル剤または外部チンキ剤であることを特徴とする、請求項4に記載の漢方薬組成物。
【請求項6】
癌性疼痛を治療するための薬の調製における請求項1-3のいずれか一項に記載の漢方薬組成物の適用。
【請求項7】
前記癌性疼痛は肺癌、胃癌、腸癌、肝癌又は膵臓癌性疼痛を含むことを特徴とする、請求項6に記載の適用。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の漢方薬組成物を含む、癌性疼痛および腹水を治療するための湿布薬。
【請求項9】
前記癌性疼痛は肺癌、胃癌、腸癌、肝癌又は膵臓癌性疼痛を含むことを特徴とする、請求項8に記載
の湿布薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬の技術分野、具体的には、癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物、漢方の湿布薬およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は臨床的に固形腫瘍と非固形腫瘍に分けられ、固形腫瘍は有形の腫瘍であり、X線撮影、CTスキャン、B超音波または触診などの臨床検査により触知できる有形の腫物は固形腫瘍と呼ばれる。非固形腫瘍はX線、CTスキャン、B超音波及び触診で見えず、または触知できない血液疾患における白血病などの腫瘍である。西洋医学によれば、固形腫瘍は、さまざまな腫瘍形成因子の作用下で、人体の局所組織細胞過形成によって形成された占拠性塊状突起の新しい生物であると考えられており、新生物としても知られている。新生物の細胞特性と人体への害の程度に応じて、また固形腫瘍を良性腫瘍と悪性腫瘍2つのカテゴリーに分類している。漢方医学によれば、固形腫瘍の病因は、主に内因と外因に分けられる。外因には、六淫邪気、飲食不節、七情による損傷などがあり、内因には、弱い体質、正氣の不足、内臓機能障害、陰陽気血の失調などがある。内因と外因の複合効果は、正氣の不足、内臓機能障害、気停滞血、または寒湿凝滞にもつながり、痰、湿気、気滞、おけつ、熱毒などが時間とともに蓄積していく。後期には、気と血の欠乏、津液枯稿、臓器不全なども現れることがあり、それは患者の生活の質の急激な低下を引き起こし、世界中の人間の生活と健康を深刻に脅かしている。
固形腫瘍について現在の西洋医学治療方法には、主に手術、免疫療法、放射線療法(内分泌療法を含む)、化学療法などがあり、手術は初期がんの最初の選択肢であり、がんの中期および後期では、主に放射線療法と化学療法が使用される。しかしながら、ほとんどの高齢者や虚弱な患者では手術治療が困難であり、手術が成功しても医原性損傷および厳重な合併症を伴うことになる。放射線療法は組織選択性が低く、患者の服薬コンプライアンスは低く、従来の化学療法薬は、正常および急速に分裂する骨髄および消化管細胞に対する明らかな影響など、多くの有害な副作用を伴うことがよくある。また、化学療法の乱用により、腫瘍に薬剤耐性が驚くべき速度で現れているため、伝統的な中国医学の治療は注目されることになる。
伝統的な漢方薬の腫瘍の外用療法の適用の起源には長い歴史があり、早くも戦国時代の『五十二病方』には伝統的な漢方薬の外用療法の処方箋があり、それ以来、すべての王朝の交代に伴い発展してきて、そのメカニズムは呉師機の「病気の外的治療でも内的治療でも、真実は同じで、唯一の違いは方法である」である。腫瘍の外部治療は同様に内部治療の効果を達成することができるが、方法は異なるため、その適用範囲は比較的広い。漢方薬の外用療法は主に次の側面で使用される:癌性疼痛の治療、免疫力の強化、軟堅散結、合併症の治療。癌性疼痛はがん治療の重要な側面であり、世界保健機関の統計によると、少なくとも500万人のがん患者が毎日疼痛に苦しんでいる。伝統的な漢方薬は癌に良い鎮痛効果があり、その効果は長く持続し、ゆっくりであり、副作用は少なく、依存症は少ない。悪性胸腹水も悪性腫瘍患者の一般的な合併症であり、伝統的な漢方薬の外部治療は癌性腹水治療に積極的な役割を果たしてきた。
特許文献1には抗疼痛漢方薬の組成物が開示されている。その処方にはマチンシ、地竜、トウコツソウ、キョウサン、漢防已、イレイセン、トウキ、生大黄、澤蘭、ニュウコウ、モツヤク、シンキョウ、オウブリュウコウ、サイシン、シゴカヒ、キレンソウ、コウロウヨウ、ゴコウ、シカラク、マオウ、ドベツチュウ、ドクカツ、生草烏、カンスイ、ゴバイシ、ニッケイ、ボウフウ、キジツ、ゴボウシ、ケツヨが含まれている。特許文献2には即効性の経絡鎮痛クリームが開示され、漢方薬の以下の重量配合比率原料から作られた:ジャバイ20~30、モッカ20~30、ドクカツ20~30、センキュウ20~30、ボウフウ20~30、キョウサン20~30、ロッカクソウ20~30、ジュクジ20~30、キキョウ20~30、ハンゲ20~30、ハゲキテン20~30、ジュウヨウ20~30、ブクシン20~30、ショウウイキョウ20~30、エンゴサク20~30、トウキ20~30、オウギ20~30、オウゴン20~30、サンシシ20~30、レンギョウ20~30、ビャクシャク20~30、キンギンカ20~30、ダイオウ20~30、ゴシツ20~30、ショウブ20~25。特許文献3には首、肩、腰、脚の痛みを治療するための外用漢方薬の組成物が開示され、セツザンイッシコウ25-35部、サンブンサン60-30部、ショクダン25-35部、センキュウ30-60部、センウ30-60部、草烏30-60部、マチンシ80-100部、シカラク30-60部、ボウフウ30-60部、センコジツ30-60部、キョウカツ30-60部、ジチャ8-10部、トウキ25-35部、センショウ25-35部、ジンギョウ45-55部、カコン45-55部、ブクリョウ30-50部、オウギ45-55部、ダイオウ30-50部、ケイケットウ50-30部、コウカ60-90部、ウショウダ1匹、ゼンカツ35-45部、ゴコウ25-35匹、ゲンゴサク25-35部、サイシン25-35部、ソフ90-110部、ショウノウ6-10部、ヒョウヘン25-35部、キョウサン45-55部、ソウジシ70-90部、カイカ25-35部、セイソウ45-55部、ヘキコ45-55部、カンコウ6-10部、ロウコ25-35部を原料として調製した。従来技術において、本発明による癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物、漢方の湿布薬およびその調製方法に関しては、現在はまだ報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許2015100124795
【文献】中国特許2005100944983
【文献】中国特許2014103020153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、従来技術の欠点に対して、癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物を提供することである。
本発明の第2の目的は、従来技術の欠点に対して、癌性疼痛を治療するための薬の調製における前記漢方薬組成物の適用を提供することである。
本発明の第3の目的は、従来技術の欠点に対して、癌性疼痛および腹水を治療するための漢方の湿布薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第1の目的を達成するために、本発明が用いる技術的解決手段は以下のとおりである。
癌性疼痛および腹水を治療するための漢方薬組成物であって、前記漢方薬組成物は下記重量部の原材料薬から作られた。ビャクビ180-195部、クジン180-195部、トウキ180-195部、サンリョウ180-195部、ガジュツ180-195部、ダイオウ370-380部、セッケンセン555-570部、キョウサン(ふすまで炒め)85-100部、ホウボウ180-195部、シチヨウイッシカ555-570部。
本発明の好ましい実施形態として、前記漢方薬組成物は下記重量部の原材料薬から作られた。ビャクビ185-190部、クジン185-190部、トウキ185-190部、サンリョウ185-190部、ガジュツ185-190部、ダイオウ373-377部、セッケンセン560-565部、キョウサン(ふすまで炒め)90-95部、ホウボウ185-190部、シチヨウイッシカ560-565部。
本発明の好ましい実施形態として、前記漢方薬組成物は下記重量部の原材料薬から作られた。ビャクビ188部、クジン188部、トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376.0部、セッケンセン564部、キョウサン(ふすまで炒め)94部、ホウボウ188部、シチヨウイッシカ564部。
本発明の好ましい実施形態として、前記漢方薬組成物はさらに従来の外部剤形に作られた。前記従来の外部剤形は軟膏剤、石膏剤、ゲル剤、ペースト剤、コーティング剤、パップ剤、貼付剤、外部液体剤、外部皮膚フィルム剤、外部エアロゾル剤または外部チンキ剤であってもよい。
処方箋中の薬の組成の解釈:処方箋においてセッケンセン及びシチヨウイッシカを君薬として、熱を下げ毒を取り除き、痛みを止めて腫れを消す。臣薬としてのダイオウは、血液を冷却し、毒を取り除き、停滞する液体を追い出して息と血の経路を流暢させ、補佐としてサンリョウ、ガジュツで出血して、気の流れを良くし、消化を促進して食物滞留を除去して痛みを止めて、ビャクビ、クジンは、熱を除去して身体を濡れて利尿し、トウキは、血行を良くして血液を補充し、抵抗力を強化して欠乏を補う効果があり、ホウボウ、キョウサンを用いて補助として風邪を除いて痛みを止める。
【0006】
上記第2の目的を達成するために、本発明が用いる技術的解決手段は以下のとおりである。
癌性疼痛を治療するための薬の調製における上記いずれか一項に記載の漢方薬組成物の適用。
具体的には、前記癌性疼痛は肺癌、胃癌、腸癌、肝癌又は膵臓癌性疼痛などを含む。
【0007】
上記第3の目的を達成するために、本発明が用いる技術的解決手段は以下のとおりである。
癌性疼痛および腹水を治療するための漢方の湿布薬であって、前記漢方の湿布薬にはグリセリン、NP-700、PVP K-90、EDTA-2Na、漢方薬エキス、アゾンが含まれ、質量比は11:5:0.7:0.1:8:0.9であり、前記漢方薬エキスの調製方法は以下のとおりである。請求項1-3の配合比率に応じて漢方薬原料を取り、粗い粒子に粉砕し、均一に混合し、60%エタノールの10倍の量を追加して3回、毎回1h抽出し、抽出液を組み合わせ、ブリネルでろ過し、エタノールをアルコール味がなくなるまで回収し、濃縮および乾燥して漢方薬エキスを得る。
本発明の好ましい実施形態として、漢方の湿布薬の調製プロセスではさらに以下のステップを含む。NP700、PVP K-90にグリセリンを添加し、次にアゾンを添加し、均一に撹拌するとA相になる。漢方薬エキスを蒸留水に溶解し、EDTA-2Naを添加し、均一に混合するとB相になる。B相をA相にゆっくりと添加し、室温で撹拌しながら添加し、均一に撹拌した後、不織布に塗布し、粘着防止層でカバーし、陰干し、切断し、包装すると、目標製品が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は以下のとおりである。
1、本発明の漢方薬組成物には、熱を下げ毒を取り除き、血行を良くして停滞するものを追い出し、腫脹を減退して痛みを止めるという効果があり、肺、肝臓、乳房、甲状腺などの良性または悪性腫瘍及び未知の腫瘍の治療に使用できる。
2、漢方薬組成物の組成とそれらの間の配合比率がテストスクリーニングされ、これは明らかな効果の利点がある。
3、本発明は、腫瘍治療の外部適用貼付療法を採用し、薬物を調和させて患部に適用して直接抗腫瘍効果を発揮し、且つ悪性腫瘍の癌性疼痛および悪性胸腹水などのその合併症を効果的に制御し、患者の症状を大幅に改善し、患者の苦しみを緩和する。
4、薬は直接体表に投与され、薬は局所の皮膚または経絡系を介して吸収され、薬の力は直接病巣に到達し、鎮痛は迅速かつ効果的である。
5、本発明は、漢方薬の抽出プロセスを最適化し、最良のプロセスをスクリーニングする。最良のプロセスは以下の通りである。溶媒は、60%のエタノールを選択し、溶媒の量は、医薬原料の量の10倍で、0.5h浸漬し、3回煎り、毎回1時間煎り、抽出液を組み合わせ、120メッシュでふるい、且つ濃縮して蒸発乾燥させ乾燥エキスを得る。エキスにおいて、1gセッケンセン煎じ薬にはロスマリン酸0.3236mgが含まれ、1gシチヨウイッシカ煎じ薬にはポリフィリンII56.1634mgが含まれ、最適化されたプロセスでは、乾燥エキスの収率、ロスマリン酸及びポリフィリンIIの含有量はすべて向上し、最適化されたプロセスが理想的であることを示している。
6、本発明は、石膏剤の調製プロセスを最適化する。プレテストおよび単一要素テストによって決定されたマトリックスのタイプと用量範囲に基づいて、主成分分析を使用して、漢方の湿布薬の複数の指標の包括的な評価方法を確立し、ゲル湿布の外観性状、初期粘着力、保持粘着力、剥離強度を指標として、均一な設計方法を使用してゲル湿布のマトリックス組成をスクリーニングし、最適な処方比率を決定する。最適な処方はグリセリン:NP700:PVP K-90:EDTA-2Na:エキス:アゾン:水(11:5:0.7:0.1:8:0.9:20)である。好ましいゲル湿布は、塗布しやすく、湿布本体は均一で、粘着性が高く、プロセスが安定して実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、発明を実施するための形態を参照しながら本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。さらに、当業者は、本発明に記載された内容を読んだ後、本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の特許請求の範囲によって定義される範囲に含まれることを理解すべきである。
【実施例1】
【0011】
漢方薬組成物:ビャクビ188部、クジン188部、トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376.0部、セッケンセン564部、キョウサン(ふすまで炒め)94部、ホウボウ188部、シチヨウイッシカ564部。
【実施例2】
【0012】
漢方薬組成物:ビャクビ180部、クジン180部、トウキ180部、サンリョウ180部、ガジュツ180部、ダイオウ380部、セッケンセン570部、キョウサン(ふすまで炒め)100部、ホウボウ195部、シチヨウイッシカ570部。
【実施例3】
【0013】
漢方薬組成物:ビャクビ195部、クジン195部、トウキ195部、サンリョウ195部、ガジュツ195部、ダイオウ370部、セッケンセン555部、キョウサン(ふすまで炒め)85部、ホウボウ180部、シチヨウイッシカ555部。
【実施例4】
【0014】
漢方薬組成物:ビャクビ180部、クジン195部、トウキ180部、サンリョウ195部、ガジュツ180部、ダイオウ380部、セッケンセン555部、キョウサン(ふすまで炒め)100部、ホウボウ180部、シチヨウイッシカ570部。
【実施例5】
【0015】
漢方薬組成物:ビャクビ195部、クジン180部、トウキ195部、サンリョウ180部、ガジュツ195部、ダイオウ370部、セッケンセン570部、キョウサン(ふすまで炒め)85部、ホウボウ195部、シチヨウイッシカ555部。
【比較例1】
【0016】
漢方薬組成物:ビャクビ188部、クジン188部、トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376部、セッケンセン564部、キョウサン(ふすまで炒め)94部、ホウボウ188部。
【比較例2】
【0017】
漢方薬組成物:ビャクビ188部、クジン188部、トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376部、キョウサン(ふすまで炒め)94部、ホウボウ188部、シチヨウイッシカ564部。
【比較例3】
【0018】
漢方薬組成物:トウキ188部、サンリョウ188部、ガジュツ188部、ダイオウ376部、セッケンセン564部、キョウサン(ふすまで炒め)94部、ホウボウ188部、シチヨウイッシカ564部。
【実施例6】
【0019】
漢方の湿布薬:実施例1の比率に応じて漢方薬原料を取り、粗い粒子に粉砕し、均一に混合し、60%エタノールの10倍の量を追加して3回、毎回1h抽出し、抽出液を組み合わせ、ブリネルでろ過し、エタノールをアルコール味がなくなるまで回収し、濃縮および乾燥して漢方薬エキスを得た。グリセリン、部分中和ポリアクリル酸ナトリウムNP-700、ポビドンPVP K-90、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムEDTA-2Na、漢方薬エキス、アゾン(質量比が11:5:0.7:0.1:8:0.9)を取り、NP700、PVP K-90をグリセリンに添加し、次にアゾンを添加し、均一に撹拌するとA相になった。漢方薬エキスを蒸留水(漢方薬エキス:蒸留水=6:20)に溶解し、EDTA-2Naを添加し、均一に混合するとB相になった。B相をA相にゆっくりと添加し、室温で撹拌しながら添加し、均一に撹拌した後、不織布に塗布し、粘着防止層でカバーし、陰干し、切断し、包装すると、目標製品が得られた。
【実施例7】
【0020】
抽出プロセスのスクリーニングテスト
アルコール抽出プロセス、つまり加熱還流を使用した。エタノール濃度、溶媒量、抽出時間、抽出回数を要素として、L9直交テストを使用して最適化を行い、溶媒量、エキス収率とロスマリン酸とポリフィリンIIの指標成分含有量を指標として総合的な調査とスコアリングを行った。
1.機器と試薬
1.1機器
Agilent 1200 series 高速液体クロマトグラフィー(VWD 検出器、四元定流量ポンプ、オンラインデガッサ、オートサンプラ)(アメリカのアジレント社)。
10,000分の1電子分析天びん(北京00000249、北京ザルトリウス計器システム株式会社)。
10万分の1電子分析天びん(ES225SM-DR.SWISS MADE)。
電気恒温水槽(XMTF-6000、上海申生科技有限公司)。
超音波洗浄器(CQ-250-DSTタイプ、上海躍進医療光学機器)。
1.2試薬
ロスマリン酸参照物質(中国食品医薬品検査研究所、バッチ番号111871-201404、含有量測定用)。
ポリフィリンII参照物質(上海同田バイオテクノロジー株式会社、バッチ番号14121831、含有量測定用)。
1.3煎じ薬
本研究では使用された煎じ薬は、中国薬局方《中国薬局方》(2015年版の第一部)の規定に従って医薬原料などの基本的なソース識別、TLC同定および識別を行い適格な医薬品として認定された。
2.方法及び結果
2.1抽出液におけるエキス収率の測定
単回投与量の煎じ薬(30g)から抽出した煎じ液を取り、50mlまで濃縮し、一定温度まで加熱された蒸発皿に置き、60℃で減圧乾燥させ、冷却した後に計量し、且つ抽出物エキスの収率を計算した。
2.2抽出プロセス研究
2.2.1予備作業
処方薬のほとんど医薬原料(シチヨウイッシカ、セッケンセン、キョウサン、ビャクビなど)には、主にステロイド配糖体成分が含まれ、少量の医薬原料(サンリョウ、ガジュツなど)は主に揮発性油を含み、少量の医薬原料(ホウボウ、クジン)には、主に水溶性成分が含まれ、総合的に考慮してアルコール抽出、加熱、還流抽出の方法を選択して抽出をした。予備実験は、アルコール抽出がロスマリン酸とポリフィリンIIへの含有量抽出効果は、水抽出よりも顕著であることを示していた。
2.2.2アルコール抽出プロセスの直交実験
アルコール抽出効果に影響を与える主な要素は、エタノールの濃度、溶媒の量、抽出時間、抽出回数などである。アルコール抽出の最適なプロセスは、直交実験によって最適化され、直交実験計画表を表1に示す。
表1要素レベル表。
処方比率に従って医薬原料30gを秤量し、9部を並行して準備し、各部を直交テスト表に従って実験をスケジュールし、濾過し、濃縮し、蒸発皿に置いて100℃で水浴蒸発乾燥させ、60℃で減圧乾燥させ、エキス重量を測定し、エキス収率を計算した。ロスマリン酸及びポリフィリンIIの含有量測定方法に従って測定をした。各指標の効果に従って、この実験はその重要性に従って重みを設定し、ロスマリン酸:ポリフィリンII:エキス収率=0.4:0.4:0.2。実験結果は次のとおりである。
表2直交実験結果
表3総合スコア表
注記:総合指標=(ポリフィリンII含有量/ポリフィリンII含有量の最大値)×40%+(ロスマリン酸含有量/ロスマリン酸含有量の最大値)×40%+(エキス収率/エキス含有量最大値)×20%。
表4直感的な分析表
表5分散分析表
直感的な分析結果は、4つの要素の重要性順番がD>C>A>Bであり、最適なプロセス配合がD
3C
2A
1B
3であることを示していた。分散分析結果の総合的な評価は、アルコール抽出中に、ポリフィリンIIとロスマリン酸の抽出効果に影響を与える主な要素は、抽出回数(D)であり、有意差があった。抽出時間(C)、溶媒量(B)及びエタノール濃度(A)の3つの要素は、ポリフィリンIIとロスマリン酸の抽出効果に有意差はないことを示した。好ましい抽出プロセス条件は、3回の抽出、各回1hの加熱および還流、60%エタノールの溶媒選択、および各回の量は医薬品の量の10倍である。
2.3アルコール抽出プロセス条件の検証
直交実験の好ましい抽出プロセスに従ってアルコール抽出プロセスを検証し、エキスの3つのバッチを並行して調製し、エキスにおけるロスマリン酸とポリフィリンIIの含有量及びエキス収率を測定し、結果は表6に示す。
表6プロセス検証実験結果
結果は、アルコール抽出最適化プロセスが安定しており、信頼でき、乾燥エキスの収率、ロスマリン酸およびポリフィリンIIの含有量はすべて改善されたことを示した。
【実施例8】
【0021】
ゲル湿布調製プロセスのスクリーニングテスト
ゲル湿布の剥離粘着性、初期粘着性等を指標として、単一要素検査により、ゲル湿布の架橋と粘着性に影響を与える処方とプロセス要素を理解し、次に均一な設計、主成分分析によりゲル湿布のマトリックス組成及び配合比率を最適化した。
1材料
1.1機器
10,000分の1電子分析天びん(北京00000249、北京ザルトリウス計器システム株式会社)。超音波洗浄器(CQ-250-DSTタイプ、上海躍進医療光学機器)。
1.2試薬
NP700(4120100688D米国アッシュランド株式会社)、PVP K-90(033322240上海昌為医薬品添加剤技術有限公司)、グリセリン(130826嘉里グリース化学工業有限公司)、アゾン(131101天門科捷製薬有限公司)、EDTA-2Na(20140303国薬集団化学試薬有限公司)。実施例6で調製した漢方の湿布薬。
2方法及び結果
2.1漢方薬の乾燥エキスの調製
処方比率に従って各医薬原料を秤量し、溶媒は、60%のエタノールを選択し、溶媒の量は、医薬原料の量の10倍で、0.5h浸漬し、3回煎り、毎回1時間煎り、抽出液を組み合わせ、ブリネルでろ過し、減圧下で濃縮し、蒸発乾燥させ、すると、乾燥エキスが得られた。
2.2ゲル湿布の調製方法
NP-700、PVP K90、アゾン、グリセリンをビーカに添加し、十分に撹拌し、均一に混合するとA相になった。エキス、EDTA-2Naを水が入ったビーカに添加して超音波溶解するとB相になった。次にB相をA相に添加し、添加しながら撹拌し、均一に撹拌した後、不織布に塗布し、粘着防止層を貼り付け、自然乾燥成形し、すると、ゲル湿布が得られた。
2.3ゲル湿布評価指標の確立
ゲル湿布の外観指標(均一性、表面光沢、延性、気泡状況、フィルム残留性、皮膚追従性、および繰り返し使用性7項を含み)をスコア付けし、指標スコア(初期粘着力、保持粘着力、剥離強度)を客観的定量し、湿布の各指標のスコアをフルスコア10点で記録し、10の指標の主要な情報を主成分分析によって抽出し、包括的な指標の最終スコアを統計計算によって取得する。
2.3.1外観評価方法
湿布の評価方法は以下のとおりである。(1)均一性:湿布本体は密度が高く、均一で、塊がなく、粒子沈殿がない場合にフルスコア10点である。(2)滑らかな表面:粘着防止層を繰り返し露出させて、粘着防止層に残留物がなく、湿布本体の表面が潤滑され、ピットがない場合にフルスコア10点である。(3)延性:マトリックスを混合して撹拌しやすく、塗布時に広がりがスムーズであり、成形湿布本体が均一で連続的である場合、フルスコア10点である。(4)気泡状況:マトリックスに気泡がない場合にフルスコア10点である。(5)残留性:3つのゲル湿布(3cm×5cm)を取り、そのうちの1つを取り、粘着防止層を露出させた後、同じサイズの別の3cm×5cmの新しい粘着防止層を取り、質量(m
1)を精密計量した後、湿布本体をカバーし、636g重物を湿布に押圧し、20min後、粘着防止層を剥がし、その質量(m
2)を精密計量した。別の1つを取り、それを皮膚に貼り付け、3min後に引きはがし、皮膚に残留している湿布本体をすべて収集し、質量(m
3)を精密計量した。保持粘着力テストのためにもう1つを取り、鉄板に残留しているすべての湿布本体を収集し、質量(m
4)を精密計量し、指定された総残留量(m
2-m
1+m
3+m
4)の最小値は10点で、他の総残留量の最終スコアは(最小値/測定値×10)を計算することにより求められた。(6)皮膚追従:ゲル湿布を被験者の手首の裏に完全に当て、手を持ち上げて激しく10回振った後、湿布は落ちない場合にフルスコア10点であった。(7)繰り返し使用性:湿布を皮膚に貼り付け、滑らかでしっかりして、剥がして、このように10回繰り返し、10回でも皮膚においていずれも残留がない場合にフルスコア10点であった。
2.3.2初期粘着力の評価方法
《中国薬局方》2015年版(第四部)粘着力測定法(通則0952第一法)を参照し、面積3cm×5cmのゲル湿布を取り、粘着防止層をはがしたゲル湿布面を上向きにし、斜面ローリングボール装置の底部に水平に置き、斜面は長さ30cmで、水平面に対して30°の角度を形成した。傾斜板の上部の固定位置から9番ボールをゼロ初速でスライドさせ、湿布面の9番ボールの最後の位置から斜面の底までの最短距離をフルスコア10点として、他の値の最後のスコアは計算により求められた(最小値/測定値×10)。
2.3.3保持粘着力の評価方法
面積3cm×6cmのゲル湿布を取り、粘着防止層を剥がし、上端3cm×5cm湿布本体(実験エリア)を表面が滑らかで傷のないステンレス鋼板に粘着し、下端3cm×1cmは湿布本体なしの部分であり、重い物をぶら下げるために自由端として用いられた。テストサンプルのテスト湿布面を鋼鈑に貼り付け、636g重量の金属棒で3回前後にローリングし、鋼鈑を垂直に置いた。20min後、下端に重量125gの分銅付きの軽量クリップを追加し、同時にタイミングが開始した。ゲル湿布が鋼鈑から剥がれるまでに必要な時間を測定した。3回測定して得られた平均時間の最大値を10点として、他の値の最後のスコアは計算により求められた(測定値/最大値×10)。
2.3.4剥離強度指標
面積3cm×6cmのゲル湿布を取り、粘着防止層を剥がし、下端3cm×5cm湿布本体(実験エリア)を表面が滑らかで傷のないステンレス鋼板に粘着し、上端3cm×1cmは湿布本体なしの部分であり、重い物をぶら下げるために自由端として用いられた。重量636gの金属棒で鋼鈑に貼り付けられたテストサンプルを3回前後にローリングし、鋼鈑を垂直に置いた。20min後、上端に重量20gの分銅付きの軽量クリップを追加し、同時にタイミングが開始した。ゲル湿布マトリックスが鋼鈑から剥がれるまでに必要な時間を測定した。3回測定して得られた平均時間の最小値を10点として、他の値の最後のスコアは計算により求められた(最小値/測定値×10)。
3部の湿布テストサンプルを並行調製し且つ裁断し、それぞれ以上の各項を順次評価し、その平均値を最終結果として求めた。
2.3.5スコアリングルール
詳細なスコア基準は表7に示した。
表7スコア基準。
2.4均一設計の要素レベルとテスト設計
関連する文献を参考にして、実験室の過去の経験と既存の条件を組み合わせて、補助材料の最終的な選択は次のとおりである。NP-700、PVP k-90、EDTA-2Na、グリセリン、アゾンでゲル湿布を調製し、最後の完成品湿布に対して外観の7つの指標と客観的な定量化の3つの指標を使用してスコアを計算し、10の指標の主要な情報を主成分分析によって抽出し、包括的な指標の最終スコアを統計計算によって取得し、望ましい最後のゲル湿布処方を選出した。添加剤の個数に応じて、6要素設計表を選択し、最適な均一性選択に応じて、レベル数は6であり、ゲル湿布の最適化された処方を取得するためにU
12(12
10)均一設計表を使用し、各要素レベル分布及びスコアリング結果は表8に示す。
表8均一設計要素レベル表
注記:表における各成分重量の単位はすべてgである。
2.5.1主成分分析
2.5.1.1主成分抽出
表9のデータに従って実験をスケジュールし、SPSS 17.0ソフトウェアを利用し、各テストサンプルの各スコアリング項の最終スコアを入力し、主成分を抽出して全要素を決定するための式を行い、統計して、合計分散が表10に示され、組成係数行列を表11に示した。1より大きい初期固有値を持つ成分は、合計分散の説明に大きな比率を占め、初期固有値が1より大きいのは最初の4つの成分で、固有値はそれぞれ4.552、2.529、1.514、1.395である。表10は、合計分散に対する最初の4つの成分の累積比率が83.252%に達することを示し、これらの独立変数によって伝えられる情報のほとんどを反映でき、したがって、この実験では最初の4つの成分が主成分として各並行テストでのゲル湿布の包括的な状況を評価するための元の10の指標の代表として選択される。
表9均一な設計テスト計画と結果
表10合計分散の説明
表11成分行列
2.5.1.2全要素スコアの計算
各主成分の寄与率を重み(c=分散/元の指標の数)として、湿布完成品の各グループの総合評価関数Fを取得し、その値は、各独立した実験各々の最終的な複合スコア
[11][12]として使用された。総合評価関数の計算式は次のとおりである(fは主成分):
F=0.3794f
1+0.2108f
2+0.1261f
3+0.1163f
4。
そのうちスコアリング項に関する主成分の方程式表現は、表11の成分行列から導出でき、表11の係数をそれぞれ主成分の初期固有値の平方根で除算して、この主成分でのこのスコアリング項の係数を取得した。最初の4つの主成分の式は次のとおりである(fは主成分を表し、zは評価指標を表す)。
f
1=0.1285Z
1+0.0571Z
2+0.0152Z
3-0.1076
Z4-0.1021Z
5+0.0892Z
6+0.2114Z
7+0.0878Z
8-0.0715Z
9-0.3720Z
10-1.2079
f
2=0.0556Z
1+0.0099Z
2+0.0910Z
3+0.0892Z
4+0.0344Z
5-0.0666Z
6+0.1380Z
7+0.1646Z
8-0.0374Z
9+0.2357Z
10-5.7257
f
3=-0.3328Z
1+0.0924Z
2-0.1437Z
3-0.0973Z
4-0.0517Z
5+0.0726Z
6+0.0668Z
7-0.0177Z
8+0.0611Z
9+0.0491Z
10-1.9707
f
4=0.2546Z
1+0.1690Z
2-0.0991Z
3+0.1202Z
4+0.0279Z
5+0.0181Z
6-0.0596Z
7+0.0110Z
8+0.0098Z
9+0.4418Z
10-3.9549
上記の式に従って計算するかソフトウェアを操作することで均一設計の各グループの合計評価スコアFを取得し、表9の列Fに結果を入力した。
2.5.2最適処方の計算
2.5.2.1重回帰モデルの確立
各成分の量と最終スコアの関係は、統計的モデリングによって表現できる。SPSS 17.0統計ソフトウェアを使用して、テスト結果とさまざまな要素の量を分析し、Shapiro-Wilkのp値は0.534>0.05で、データは正規分布から取得され、モデルを確立するために重回帰を使用することを検討し、その分散分析の評価を表12に示した。その確率値p<0.001は、ソフトウェアで近似された重回帰式に統計的有意性があることを示した。
表12回帰モデルの分散分析
2.5.2.2回帰モデルの分析
方程式の各独立変数と定数項の回帰モデルに対する比率と統計的有意性を表13に示す。表13のデータから、回帰式は(X
1からX
6はグリセリン、NP700、PVP K-90、EDTA-2Na、エキス、アゾンである)。
Y=-0.2192+0.6509*(X
2-3.5)+0.7395*(X
6-1.4)-0.0951*(X
1-16)+0.4702*(X
3-1.95)*(X
4-1.35)-0.1024*(X
4-1.35)+0.047*(X
5-3.5)
2-0.0398*(X5-3.5)*(X
6-1.4)+0.0291*(X
2-3.5)*(X
3-1.95)+0.0119*(X
2-3.5)*(X6-1.4)。
総合評価関数Fが最終スコアとして使用される場合、各変数はいずれも回帰モデルに選択され、定数項を含む各項のp値はずべて0.05未満であり、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6(つまり、グリセロール、NP700、PVP K-90、EDTA-2Na、エキス、アゾン)はすべて、成形プロセスに大きな影響を与える。共線性分析では、許容値は0.0954の1つの項を除いて、他は全て0.1より大きく、且つ拡張係数の1つだけは10よりわずかに大きいので、結果に対する方程式の多重共線性の影響は無視できると考えることができる。方程式の非定数項から、各要素間の相互作用が最終的な総合スコアに影響を与えることがわかり、そのうち、NP700、アゾン、EDTA-2NaおよびK-90の相互作用項の回帰係数は大きく、モデルに最大の影響を与え、それによりゲル湿布の成形プロセスに最大の影響を与える。
表13各変数の統計検定
2.5.2.3成型プロセスの最適化
統計処理によって得られた重回帰式を使用して、WPS office 2016を使用して計画して解を求め、コンピュータは、多数の計算を通じて対応する条件下で最適な解を取得し、総合スコアF値が最も高いときに、各要素の値を求めた:X
1=11,X
2=5,X
3=0.7,X
4=0.1,X
5=6,X
6=0.4。ゲル湿布の薬物負荷量が製剤の要件を満たすようにするために、添加されたエキスがゲル湿布の成形などに大きな影響を及ぼさないことを保証することを前提として、エキス量はできるだけ臨床投与量に合致する必要がある。抽出プロセスでは、最終的なエキスの収率は20%、処方箋によれば投与量は一回に30g、つまりエキス粉末に変換すると6gであると結論付けられた。本処方には動物薬及び色素含有ダイオウが含まれているため、エキス中のアゾンの量は、湿布本体の残留と黄変かどうかに影響する可能性があって、0.1g、0.5g、0.7g、0.8g、0.9g、1g、2.4gのアゾンを追加した場合の成形への影響をそれぞれ調査し、アゾンの追加量が0.9の場合、湿布本体にほとんど残留物がなく、明らかな黄変がなく、粘度の損失がないことがわかった。
湿布本体の厚さの外観検査により、塗布した湿布の厚さが2mmの場合、ペーストが薄すぎて薬物負荷量が不足することがないし、厚すぎて快適性、繰り返し使用性が低いこともないことがわかった。2mmの厚さで塗布された湿布本体の面積は大きく、市場に出ている漢方の湿布薬のサイズはほとんど8×12cm
2であり、したがって、8×12cm
2ごとに6gのエキス粉末が含まれる必要があると想定され、実験室での実情に基づいて、エキスの追加量は8gであると決定した。
ゲル湿布の成形性は、湿布の外観性状の指標、皮膚に付着した主観的な感じと残留があるかどうかなどの主観的および客観的な2つの指標によって評価でき、また他の客観的な定量的指標により、主観的評価が引き起こす可能性のあるバイアスのバランスをとる。複数の指標を使用すると、ゲル湿布の品質をより完全に反映できるけど、複数の評価指標では最終的なデータモデルを確立できないため、さまざまな要素を統合して、不十分な重みスコアリング情報面及び正確性を回避する必要があり、本実験では、主成分分析によって最終的な総合スコアFが取得され、実験結果と実際の状況を組み合わせて、最終的にゲル湿布の最適な処方比率は、グリセリン:NP700:PVP K-90:EDTA-2Na:エキス:アゾン:水(11:5:0.7:0.1:8:0.9:20)であると決定された。
2.5.2.4検証テスト
ゲル湿布のマトリックス組成の種類と比率は実験を通じて最適化され、実験結果と実際の状況を組み合わせ、ゲル湿布のより良い処方は:NP700 5g、PVP K-90 0.7g、EDTA-2Na 0.1g、 グリセリン11g、NP700 5g、PVP K-90 0.7g、EDTA-2Na 0.1g、エキス8g、アゾン0.9g、水20gであると決定された。ゲル湿布処方と「2.2」項の調製方法に従って、湿布サンプルの3つのバッチを調製した。再び「2.3.2」項の各項スコアリングを行い、回帰式によると、総合スコアF値は7.50121、RSDは1.2%であった。最終結果は、検証テストの3つのバッチの合計スコアが重回帰方程式で計画して求めた最適値に近いことを示しており、最適化されたゲル湿布の調製プロセスがより安定していて実現可能であることを示し、湿布サンプル図は
図1、
図2に示した。
3結論
本発明は、湿布の評価指標を確立し、指標総合分析の主成分分析と組み合わせた均一設計テストを使用して、各テスト湿布の最終スコアおよび対応する重回帰モデルを取得し、それによりゲル湿布の調製処方を最適化し、結果は、確立されたゲル湿布調製プロセス法が実行可能であり、且つ塗布が連続的で、湿布本体の色が均一で、繊細で柔らかいことを示した。本発明は、均一設計と主成分分析法を組み合わせて、様々な指標の結果を総合して分析し、結果は、主成分分析法に基づくゲル湿布の評価方法が実現可能であり、且つ均一設計最適化と最適解を通じて実験室に連絡することにより実際に決定されたゲル湿布の調製プロセスは、臨床医学のニーズをより満たしており、その後の臨床応用のための予備基礎研究を果たすことを示した。
【実施例9】
【0022】
一、急性毒性テスト(マウス)
体重18~22gの正常な昆明型のマウスを取り、オスとメスがそれぞれ半分であり、テスト前日、マウスの腹部の皮膚における毛を全部剃って、皮膚を完全に露出させ、翌日、腹部全体を実施例6で調製した漢方薬抽出液(水溶液、エキス:水=6:20)でコーティングし、毎回5.0g乾燥エキス/kg体重、3時間に1回、4回連続コーティングし、最後のコーティングから1時間後にきれいに拭き取り、皮膚の鬱血、浮腫、浸出または発疹があるかどうか、マウスの活動を観察した。同じ方法で7日間連続観察した。
二、急性毒性テスト(ラット)
Wistarラットについてオスとメスのそれぞれ半分を取り出し、ラットの尾の3/4を実施例6の漢方薬抽出液(水溶液であり、エキス:水=6:20)に浸し、3時間浸漬し続け、取り出した後、皮膚の鬱血、浮腫、浸出または発疹があるかどうかというラットの活動を観察した。同じ方法で7日間連続観察した。
三、急性痛テスト
1.酢酸ライジングによって誘発されたマウスの疼痛モデル(0.1ml/10gで0.6%酢酸を腹腔内に注射して疼痛を誘発してモデリング)、5つのグループにランダムに分割し、各グループに13匹があった。腹部全体を漢方薬エキス溶液(水溶液であり、エキス:水=6:20)でコーティングし、毎回5.0g乾燥エキス/kg体重、30分間おきに1回、6回連続コーティングし、最後のコーティングから30分間後、各マウスの腹部に0.6%酢酸溶液0.2ml/匹を注射し、タイマーでタイミングし、痛覚発生剤を注射して5分間後、ライジング回数を計算し始め(ライジング動作:後肢の伸展、ねじれ伸びた体、凹型の腹筋、断続的な収縮等の疼痛の指標)、20分以内にマウスのライジング反応回数及び各グループのライジングマウスの数を観察して、ライジング抑制率を計算した。鎮痛率=(空白のコントロールグループのライジング回数-投与グループのライジング回数)/空白のコントロールグループのライジング数
2.ホットプレート法による疼痛のマウスモデル:室温16-20℃および湿度75%の恒温水槽55±0.5℃の条件下で、昆明マウスを予備的スクリーニングして、投与前に各マウスの疼痛閾値を測定した。マーキングした後にランダムにグループ化し、漢方薬エキス溶液(水溶液であり、エキス:水=6:20)を各グループの腹部と足底に10分ごとに3回連続して塗布し、最後の投与から15分後に疼痛閾値の測定を開始し、その後に30分ごとに測定し、計6回測定した。疼痛閾値の増加の割合を計算した。疼痛閾値増加率=(投薬後の平均疼痛閾値-投薬前の平均疼痛閾値)/投薬前の平均疼痛閾値。
四、結果
1.急性毒性テスト(マウス)
昆明マウスの塗布プロセス中、最後の塗布から1時間、12時間、24時間、48時間、72時間から7日目まで、マウスは正常に行動し、死亡、貧しい精神、抜け毛、食欲不振などは発生しなかった。薬物がコーティングされた皮膚に紅斑または浮腫は現れず、薬物投与前後の皮膚は滑らかなままであり、乾燥またはしわの症状はなく、対照グループとの有意差はなかった。結果は、本発明の漢方薬の組み合わせが外部から適用され、マウスに対して非毒性、非刺激性であり、投与しても安全であることを示している。
2.急性毒性テスト(ラット)
ラットは、浸漬プロセス中に異常な反応はなく、浸漬後1時間、12時間、24時間、48時間、72時間から7日目まで、ラットは正常に行動し、死亡、貧しい精神、抜け毛、食欲不振などはなかった。マウスの尾の浸漬部分に紅斑や浮腫は見られず、浸漬前後の皮膚は滑らかなままであり、乾燥やしわの症状はなく、対照グループとの有意差はなかった。結果は、本発明の漢方薬の組み合わせが体外に浸漬されて投与され、ラットには無毒であり、刺激性がなく、投与しても安全であることを示した。
3.急性疼痛テスト(マウス酢酸ライジング法)
マウスに連続的に薬を塗布した後、実施例6の鎮痛率は60.87%、比較例1の鎮痛率は42.14%、比較例2の鎮痛率は42.74%、比較例3の鎮痛率は43.76%である。本発明の漢方薬組成物は、酢酸によって刺激される疼痛に対して明らかな抑制効果を有し、鎮痛効果は他の伝統的な漢方薬グループよりも優れている。
表14マウスの酢酸ライジングに対する異なる投与グループの影響
4.急性疼痛テスト(マウスホットプレートによる疼痛)
実施例6グループでは、3回の連続投与後、疼痛閾値は15分と45分で有意に変化しなかったが、75分で有意に増加し始め、時間の経過とともに疼痛閾値は増加し続け、165分に最高に達し、疼痛閾値は65.8%増加し、これは投与前と比較して統計的に有意であった(P<0.05)。対照グループでは、疼痛閾値は測定時間中に有意に変化せず、その差は統計的に有意ではなかった(P> 0.05)。実施例6を比較例1-3と比較すると、実施例6のグループは、より短い作用発現時間およびより良い鎮痛効果を有していた。
表15異なる投与グループでの投与前後のマウスの疼痛閾値の変化
【実施例10】
【0023】
一、臨床研究
1.臨床資料
1.1通常の資料
入院患者は、計男性56人と女性49人を集めて、年齢は42-85歳、平均年齢は64.8歳、うちで32例の肺癌、26例の肝臓癌、16例の大腸癌、19例の胃癌、12例の乳癌でした。WHOの疼痛有効性基準の包括的なNRSスコアリング方法によると、疼痛の分類:グレードIの48例、グレードIIの33例、グレードIIIの18例、グレードIVの6例。
1.2包含基準
すべての選択された患者は、病理学または細胞学によって進行性悪性腫瘍に罹ると診断された上に中等度または重度の疼痛を伴って薬物療法が必要な患者であった。他の非癌性疼痛の要因を除外した。通常の言語能力、自分の疼痛と一般的な状態を判断する能力があり、疼痛と生活の質のコンテンツの評価に協力することができた。グループに入る前の12h以内に鎮痛剤や鎮静剤は服用されず、心臓、肝臓、腎臓の機能に深刻な障害はなく、薬物乱用の既往もなかった。
1.3除外基準
包含基準を満たさない人。呼吸抑制、気道閉塞、低酸素症、高熱を伴う人。心臓、脳、肝臓、腎臓の機能障害が明らかな人、または出血があり出血傾向が明らかな人。薬にアレルギーのある人。妊娠中および授乳中の女性。薬物乱用の歴史を持つ人。精神障害や意識障害があり、評価に協力できない人。
2.治療方法
実施例6で調製した漢方薬エキス30gを疼痛のある部位に塗布し、塗布範囲は疼痛のある部位より2~3cm大きく、1~2日おきに1回、2週間連続的に塗布し、同時に、がん性疼痛患者の原発疾患によると、従来の腫瘍手術抗がん治療を採用した。
3.観察指標
治療前後の疼痛、生活の質、副作用を観察し、安全性等を観察した。
4.有効性基準
4.1疼痛有効性評価
WHOの4レベル分類基準とNRSスコアリング方法を組み合わせた。0から10までの11の数字があり、無痛から最も激しい疼痛までを示し、患者は、1つの数字に丸を付けて疼痛の強さを示した。グレード0は無痛を示し、1~3軽度の疼痛で、わずかな疼痛、正常に生活でき、睡眠に影響を与えなかった。4~6中程度の疼痛で、継続的な激しい疼痛、睡眠障害、鎮痛剤の必要性として表示された。7~9激しい疼痛で、激しい持続的な疼痛は、強迫姿勢と自律神経機能障害、および激しい睡眠障害を伴うことがあった。疼痛軽減パーセンテージ=(治療前の疼痛強度-治療後の疼痛強度)/治療前の疼痛強度。完全な緩和:治療後の疼痛の91%-100%軽減。部分的な緩和:治療後の疼痛の61%-90.9%軽減。軽度の緩和:治療後の疼痛の21.0%-60.9%軽減。無効:治療後の疼痛の軽減20.9%未満。
4.2生活の質はKamofskyスコアに従って評価された
改善:治療前と比較して、治療後は10点以上増加した。
減少:治療前と比較して、治療後は10点以上減少した。
安定:治療前後の変化<10点
4.3安全性観察
治療前後の検査:(1)一般的な身体診察。(2)血液、尿、および糞便の日常の臨床検査。(3)心臓、肝臓、および腎臓の機能検査。
5.統計的分析
t検定とX2検定を使用した。P<0.05は、差が統計的に有意であることを意味した。
6.結果
6.1疼痛有効性
治療前の疼痛強度は(7.48±0.66)であり、治療後は(2.62±0.58)であり、差は有意であった(P<0.05)。グレードIの48例は完全に緩和し、有効率は100%であった。グレードIIの33例のうち、11例は完全に緩和し、9例は部分的に緩和し、10例は軽度に緩和し、3例は無効であり、総有効率は90.9%であった。グレードIIIの18例のうち、4例は完全に緩和し、7例は部分的に緩和し、5例は軽度に緩和し、2例は無効であり、総有効率は88.9%であった。グレードIVの6例のうち、0例は完全に緩和し、2例は部分的に緩和し、3例は軽度に緩和し、1例は無効であり、総有効率は83.3%であった。
6.2Kamofskyスコアリングの比較
治療前は(62.84±8.62点)、治療後は(79.47±9.23)であり、差は有意であった(P<0.01)。
6.3安全性評価
血液、尿、糞便への通常の検査及び心臓、肝臓、腎臓の機能を検査した結果、副作用は見つからなかった。
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者にとって、本発明の方法から逸脱することなく、いくつかの改善および補足を行うことができ、これらの改善および補足も本発明の保護範囲と見なされるべきである。