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特許7065251熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/02 20060101AFI20220428BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A47J36/02 A
A47J27/00 107
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021500766
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 KR2018006548
(87)【国際公開番号】W WO2019203390
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0043904
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520362424
【氏名又は名称】スリーババ シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】ユーン, ミュン シク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ジェオン ヒー
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0281767(KR,Y1)
【文献】特開2006-000275(JP,A)
【文献】特開平08-033560(JP,A)
【文献】特開2004-173737(JP,A)
【文献】特開2003-187952(JP,A)
【文献】特開2003-204872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(20)の底面(21)に磁性鋼板(30)が固定結合された熱変形防止構造を有する調理容器(10)において、
前記調理容器(10)は、前記本体(20)の前記底面(21)と前記磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)を有し、
前記磁性鋼板(30)には、複数の貫通孔(31)が設けられ、前記貫通孔(31)の外周縁には突出部(32)が設けられ、
前記磁性鋼板(30)の前記突出部(32)は、前記調理容器(10)の前記本体(20)の前記底面(21)に位置するように結合固定され、
前記調理容器(10)の本体(20)の素材は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の中から1種が選択され、
前記磁性鋼板(30)の素材は、ステンレス素材または炭素鋼材から選択され、
前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の部分に対応するように位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が完全に充填されるように充填部(22)が形成され、
前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の周辺部(b)の部分に対応して位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が一部のみ充填されるように充填部(22)が形成されることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器。
【請求項2】
本体加圧金型(110)及び磁性鋼板加圧金型(120)からなるプレスを用いて、本体(20)の底面(21)に磁性鋼板(30)が固定結合された調理容器(10)であって、前記調理容器(10)は、前記本体(20)の前記底面(21)と前記磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)を有し、前記磁性鋼板(30)には、複数の貫通孔(31)が設けられ、前記貫通孔(31)の外周縁には突出部(32)が設けられ、前記磁性鋼板(30)の前記突出部(32)は、前記調理容器(10)の前記本体(20)の前記底面(21)に位置するように結合固定された熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法において、
前記調理容器(10)の前記本体(20)の内部で、前記底面(21)の位置に対応するように位置して、前記調理容器(10)の前記本体(20)の水平構造の前記底面(21)と対応するように加圧面が水平構造で形成される本体加圧金型(110)、及び
前記磁性鋼板(30)の前記本体(20)とは反対側で、前記磁性鋼板(30)の位置に対応するように位置して、前記調理容器(10)の前記底面(21)の前記中央部(a)に設けられる円形の前記段差溝(40)の構造に対応するように加圧面の中央部(a)に段差突起(121)が設けられる磁性鋼板加圧金型(120)に圧力を加えて、
前記調理容器(10)は、前記本体(20)の前記底面(21)と前記磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)が形成され、
前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の部分に対応するように位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が完全に充填されるように充填部(22)が形成され、
前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の周辺部(b)の部分に対応して位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が一部のみ充填されるように充填部(22)が形成されることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法に係り、より具体的には、本体の底面と磁性鋼板とが結合された部分の中央部に円形の段差溝を設け、磁性鋼板の貫通孔の空間内に本体の素材が充填されるように結合された構造であって、従来の厨房容器とは異なり、長期間使用しても、加熱により中央部が膨らむことを防止することができ、本体と磁性鋼板との結合力を向上させたことを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、誘導レンジは、従来のガスレンジや電気レンジを代替する調理機器であって、どの調理機器よりも安全で、経済的で、便利であり、且つ清潔であるため、最近、使用する家庭が増えている。
誘導レンジを使用するには、調理容器の底面に、抵抗成分を持つ金属が一体に形成される必要があるが、一般的に使われているダイカスト類の調理容器は、磁性を持たないため使用することができないという問題点がある。
かかる問題点を解決するために、通常の調理容器の底面に、磁性を持つ金属を一体化して生産している。
このような調理容器の例には、軽量性のために比較的軽い非導電性のアルミニウム材質の容器本体と、この容器本体の底面に付着したステンレス製の板とで構成されたものがある。
上述した調理容器に関連する先行技術としては、特許第0469850号公報(2008年8月15日登録)に開示されている電磁調理器用鍋があるが、この「電磁調理器用鍋」は、図1に示すように、ステンレス鋼板7とアルミニウム板6からなる底部3及び側壁部4を含む調理器用鍋1において、底部3は、環状成形溝9が形成されることを特徴とする。
【0003】
また、韓国公開実用新案公報第20-2009-0002403号(2009年3月10日公開)に開示されている誘導レンジ用調理容器があるが、この「誘導レンジ用調理容器」は、図2に示すように、誘導電流加熱調理器によって加熱される磁性体である誘導部材20が容器本体10の底部に設置されるものであって、前記容器本体10の底面13から外側面がテーパーになるように突設された多数の突部12と、前記誘導部材20に設けられ、前記突部12が挿入される通孔部21と、前記通孔部21の周縁部に内側壁がテーパーになるように突設されたエンボス部22とで構成され、前記通孔部21に嵌め込まれて突出した突部12がエンボス部22を包み込むようにプレスして形成されることを特徴とする。
【0004】
さらに、韓国公開特許公報第10-2017-0117647号(2017年10月24日公開)に開示されている誘導レンジ用調理容器の製造方法及び製造された調理容器があるが、この「誘導レンジ用調理容器」は、図3に示すように、本体10の下面が加熱板20からの吸収熱をより長く維持することができるように本体10の側面よりも下面が厚く形成され、前記本体の下面に突起が一体に形成され、前記突起が加圧によって変形して突起11とバリ(burr)21の形状が本体10の内側に行くほど広くなる形状の傾きを持つようにするが、突起11の変形によって圧着される結合溝12の内側面が本体10の下面の内側に入り込んだバリ21の側面を強く圧迫固定するようにして、本体10と加熱板20とが堅固に一体化されることを特徴とする。しかし、上述した従来の調理容器は、アルミニウム材質の本体とステンレス材質の磁性鋼板との間に磁力線が伝達されながら、本体が発熱するときに、磁力線の流れは、その特性上、本体の底中央部で最も強く、周辺部に行くほど弱くなるため、本体の底中央部で最も多くの変形が生じる。すなわち、図4に示すように、本体の底中央部が凸状に膨らむ変形が生じる。
また、本体に結合される磁性鋼板は、本体の底中央部が膨らむにつれて、本体と磁性鋼板との熱変形程度の差により遊隔が発生して本体から磁性鋼板が分離される問題が頻繁に発生するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第0469850号公報
【文献】韓国公開実用新案公報第20-2009-0002403号
【文献】韓国公開特許公報第10-2017-0117647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、かかる従来の問題点を改善するために提案されたもので、本体の中央部に円形の段差溝を設け、ここに結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるように固定結合させる。これにより、本体の中央部が、磁性鋼板から発熱する熱と本体素材との円滑な熱交換によって周辺部に比べて激しく過熱されないので、従来の厨房容器とは異なり、長期間使用しても、加熱により中央部が膨らむことを防止することができ、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力を向上させることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本体の底面の周辺部に結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるようにするか或いは調理容器の素材が一部のみ充填されるようにする充填部を形成することにより、周辺部で磁性鋼板からの熱が本体素材と円滑に熱交換するとともに、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力をさらに向上させて厨房容器の耐久性を向上させることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の態様によれば、本体(20)の底面(21)に磁性鋼板(30)が固定結合された熱変形防止構造を有する調理容器(10)において、前記調理容器(10)は、本体(20)の底面(21)と磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)を有し、前記磁性鋼板(30)には、複数の貫通孔(31)が設けられ、前記貫通孔(31)の外周縁には突出部(32)が設けられ、前記磁性鋼板(30)の前記突出部(32)は、前記調理容器(10)の前記本体(20)の前記底面(21)に位置するように結合固定され、前記調理容器(10)の本体(20)の素材は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金の中から1種が選択され、前記磁性鋼板(30)の素材は、ステンレス素材または炭素鋼材から選択され、前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の部分に対応するように位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が完全に充填されるように充填部(22)が形成され、前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の周辺部(b)の部分に対応して位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が一部のみ充填されるように充填部(22)が形成されることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器が提供される。
【0008】
一方、本発明の他の態様によれば、本体加圧金型(110)及び磁性鋼板加圧金型(120)からなるプレスを用いて、本体(20)の底面(21)に磁性鋼板(30)が固定結合された調理容器(10)であって、前記調理容器(10)は、前記本体(20)の前記底面(21)と前記磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)を有し、前記磁性鋼板(30)には、複数の貫通孔(31)が設けられ、前記貫通孔(31)の外周縁には突出部(32)が設けられ、前記磁性鋼板(30)の前記突出部(32)は、前記調理容器(10)の前記本体(20)の前記底面(21)に位置するように結合固定された熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法において、前記調理容器(10)の前記本体(20)の内部で、前記底面(21)の位置に対応するように位置して、前記調理容器(10)の前記本体(20)の水平構造の前記底面(21)と対応するように加圧面が水平構造で形成される本体加圧金型(110)、及び前記磁性鋼板(30)の前記本体(20)とは反対側で、前記磁性鋼板(30)の位置に対応するように位置して、前記調理容器(10)の前記底面(21)の前記中央部(a)に設けられる円形の前記段差溝(40)の構造に対応するように加圧面の中央部(a)に段差突起(121)が設けられる磁性鋼板加圧金型(120)に圧力を加えて、前記調理容器(10)は、前記本体(20)の前記底面(21)と前記磁性鋼板(30)とが固定結合された部分の中央部(a)に円形の段差溝(40)が形成され、前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の部分に対応するように位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が完全に充填されるように充填部(22)が形成され、前記調理容器(10)は、前記底面(21)の円形の前記段差溝(40)が設けられた前記中央部(a)の周辺部(b)の部分に対応して位置する前記磁性鋼板(30)に設けられた複数の前記貫通孔(31)の空間内に前記調理容器(10)の素材が一部のみ充填されるように充填部(22)が形成されることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法が提供される。

【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明に係る熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法によれば、本体の中央部に円形の段差溝を設け、ここに結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるように固定結合させることにより、本体の中央部が、磁性鋼板から発熱する熱と本体素材との円滑な熱交換によって周辺部に比べて激しく過熱されないので、従来の厨房容器とは異なり、長期間使用しても、加熱により中央部が膨らむことを防止することができ、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力を向上させるという効果がある。
また、本発明は、本体の底面の周辺部の部分に結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるようにするか或いは調理容器の素材が一部のみ充填されるようにする充填部を形成することにより、周辺部で磁性鋼板からの熱が本体素材と円滑に熱交換するとともに、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力をさらに向上させて厨房容器の耐久性を向上させるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の技術を説明するための図である。
図2】従来の技術を説明するための図である。
図3】従来の技術を説明するための図である。
図4】従来の技術の調理容器を加熱するときに底中央部が膨らんだ状態を示す図である。
図5】本発明の好適な実施形態による熱変形防止構造を有する調理容器の底面に磁性鋼板を結合させる前の状態を示す斜視図である。
図6図5の磁気鋼板のA部分を拡大して示す図である。
図7】本発明の好適な実施形態による熱変形防止構造を有する調理容器の本体と磁性鋼板に圧力を加えて磁性鋼板が本体底板の底面に固定結合された状態を示す図である。
図8】本発明の好適な実施形態による熱変形防止構造を有する調理容器の本体の底面に磁性鋼板が固定結合された状態を示す斜視図である。
図9図7のB部分を拡大して示す図である。
図10図7のB部分を拡大して示す図である。
図11】本発明の好適な実施形態による熱変形防止構造を有する調理容器を製造する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明し、図5乃至図11において、同じ機能を行う構成要素については同一の符号を付する。一方、図面の図示及び詳細な説明において、本発明の技術的特徴に直接関連付けられていない要素の具体的な技術的構成及び作用についての詳細な説明及び図示は省略し、本発明に係る技術的構成のみを簡略に図示及び説明した。
図5乃至図8を参照すると、本発明の好適な実施形態に係る本体20の底面21に磁性鋼板30が固定結合された熱変形防止構造を有する調理容器10は、本体20の底面21と磁性鋼板30とが固定結合された部分の中央部aに円形の段差溝40が設けられることを特徴とする。
【0012】
前記本体20は、内部に食べ物を収容するもので、底面21の下部に磁性鋼板30が固定結合され、本体20の側面には、ユーザーが把持することができるようにハンドル(図示せず)が設けられてもよい。
前記磁性鋼板30は、図5及び図6に示すように、複数の貫通孔31が設けられ、この貫通孔の外周縁には突出部32が設けられた構造であって、突出部32は、調理容器の本体20の底面21に位置するように結合固定される。
前記調理容器の本体20の素材は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金の中から1種を選択することが好ましい。
また、磁性鋼板30の素材は、ステンレス素材または炭素鋼素材であることが好ましく、鉄が含有された素材であって、磁場により発生する誘導電流によって加熱が可能な素材であれば、いずれも適用可能である。
【0013】
また、前記調理容器10は、本体20と磁性鋼板30とが固定結合される構造であって、図7(a)に示すように、本体20の内部の底面21と磁性鋼板30の外部位置にそれぞれ対応するようにプレス金型(図示せず)を配置し、圧力Pを加えて、図7(b)及び図8に示すように、本体20の底面21と磁性鋼板30とが固定結合された部分の中央部aに円形の段差溝40が設けられるようにする。
【0014】
本発明に係る熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法は、詳細に後説することにし、ここではその説明を省略する。
本発明に係る調理容器の本体20と磁性鋼板30との結合構造は、図9および図10に示すように、様々な構造によって固定結合される。
本体の底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの部分に磁性鋼板30が固定結合される構造を考察すると、図9及び図10に示すように、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの部分に対応するように位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全に充填されるように充填部22が形成される。
【0015】
また、本体の底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に磁性鋼板30が固定結合される構造を考察すると、図9及び図10に示すように、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に対応して位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全充填されるか或いは一部のみ充填されるように充填部22が形成されてもよい。
【0016】
そして、本発明に係る本体の底面21に磁性鋼板30が固定結合された熱変形防止構造を有する調理容器は、食べ物が収容される本体20の内面にコーティング層が形成できる。
前記コーティング層は、フッ素コーティング層(テフロン(登録商標)コーティング層)またはセラミックコーティング層など、さまざまな方式で形成できる。本発明の好適な実施形態では、フッ素コーティング層で形成したが、これは例示に過ぎず、本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な変化及び変更が可能であるのは、当該分野における通常の技術者であればよく理解することができるだろう。
【0017】
次に、本発明に係る熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法を説明する。
本発明は、図11(a)乃至図11(d)に示すように、本体加圧金型及び磁性鋼板加圧金型からなるプレスを用いた、熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法において、調理容器10の本体20の内部で底面21の位置に対応するように位置する本体加圧金型110、及び磁性鋼板30の外部で磁性鋼板の位置に対応するように位置する磁性鋼板加圧金型120に圧力を加えて、前記調理容器10は、本体20の底面21と磁性鋼板30とが固定結合された部分の中央部aに円形の段差溝40が設けられることを特徴とする。
【0018】
前記本体加圧金型110は、図11(a)に示すように、調理容器の本体20の水平構造の底面21と対応するように加圧面が水平構造で形成され、磁性鋼板加圧金型120は、図11(a)に示すように、調理容器の底面21の中央部aに設けられる円形の段差溝40の構造に対応するように加圧面の中央部aに段差突起121が設けられる。
従って、本体加圧金型110、及び加圧面の中央部aに段差突起121が設けられた磁性鋼板加圧金型120に圧力を加えて、本体の底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの部分に磁性鋼板30が固定結合される構造は、図9及び図10に示すように、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの部分に対応するように位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全に充填されるように加圧する。
【0019】
従って、本体20の中央部aに円形の段差溝40を設け、ここに結合される磁性鋼板の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全に充填されるように固定結合させることにより、本体20と磁性鋼板30とが強固に結合され、本体20の中央部aが磁性鋼板30から発熱する熱と本体20素材との円滑な熱交換によって周辺部bに比べて大きく過熱されないので、従来の厨房容器とは異なり、長期間使用しても、加熱によって中央部aが膨らむことを防止することができるという効果があり、また、本体20の素材が磁性鋼板30の貫通孔31の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体20と磁性鋼板30との結合力を向上させるという効果がある。
【0020】
このとき、本体の底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に磁性鋼板30を固定結合するとき、本体の底面21に侵入して固定結合される磁性鋼板30の突出部32の侵入深さhを適切に調節することができるように、プレスに加える圧力を調節することにより、本体の底面21に侵入して固定結合される磁性鋼板30の突出部32の侵入深さhに基づいて、図9に示すように、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に対応して位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全充填されるか、或いは、図10に示すように、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に対応して位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が一部のみ充填されるように、プレスに加える圧力を適切に調節する。
【0021】
このように、本発明に係る熱変形防止構造を有する調理容器は、プレスの加圧によってアルミニウムまたはマグネシウムなどの延性素材である本体20の素材が、プレスによって加えられる圧力によってステンレス鋼などの剛性素材である磁性鋼板30の貫通孔31の空間内に押し寄せられることにより、充填部22を形成する。
従って、本体の底面21の周辺部bの部分に結合される磁性鋼板の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全に充填されるようにするか、或いは調理容器10の素材が一部のみ充填されるようにする充填部22を形成することにより、周辺部bで磁性鋼板30からの熱が本体20の素材と円滑に熱交換するとともに、本体20の素材が磁性鋼板30の貫通孔31の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体20と磁性鋼板30との結合力を向上させて厨房容器の耐久性をさらに向上させるという効果がある。
【0022】
上述した本発明の好適な実施形態による熱変形防止構造を有する調理容器及びその製造方法を、前述した説明及び図面に基づいて示したが、これは、例を挙げて説明したものに過ぎず、本発明の技術的思想から外れな範囲内で多様な変化及び変更が可能であるのは、当該分野における通常の技術者であればよく理解することができるだろう。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の態様によれば、本体20の底面21に磁性鋼板30が固定結合された熱変形防止構造を有する調理容器10において、前記調理容器10は、本体20の底面21と磁性鋼板30とが固定結合された部分の中央部aに円形の段差溝40が設けられることを、発明の実施のための形態とする。
【0024】
また、前記磁性鋼板30は、複数の貫通孔31が設けられ、この貫通孔の外周縁には突出部32が設けられ、前記磁性鋼板30の突出部32は、調理容器の本体20の底面21に位置するように結合固定されることを、発明の実施のための形態とする。
【0025】
また、前記調理容器の本体20の素材はアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金の中から1種を選択することを、発明の実施のための形態とする。
【0026】
また、前記調理容器10は、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの部分に対応するように位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全に充填されるように充填部22が形成されることを、発明の実施のための形態とする。
【0027】
また、前記調理容器10は、底面21の円形の段差溝40が設けられた中央部aの周辺部bの部分に対応するように位置する磁性鋼板30に設けられた複数の貫通孔31の空間内に調理容器10の素材が完全充填されるか或いは一部のみ充填されるように充填部22が形成されることを、発明の実施のための形態とする。
【0028】
一方、本発明は、本体加圧金型及び磁性鋼板加圧金型からなるプレスを用いた、熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法において、調理容器10の本体20の内部に底面21の位置に対応するように位置する本体加圧金型110、及び磁性鋼板30の外部に磁性鋼板の位置に対応するように位置する磁性鋼板加圧金型120に圧力を加えて、前記調理容器10は、本体20の底面21と磁性鋼板30とが固定結合された部分の中央部aに円形の段差溝40が設けられることを特徴とする、熱変形防止構造を有する調理容器の製造方法を、発明の実施のための形態とする。
【0029】
また、前記磁性鋼板加圧金型120は、調理容器の底面21の中央部aに設けられる円形の段差溝40の構造に対応するように加圧面の中央部aに段差突起121が設けられたことを、発明の実施のための形態とする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、本体の中央部に円形の段差溝を設け、ここに結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるように固定結合させることにより、本体の中央部が磁性鋼板から発熱する熱と本体素材との円滑な熱交換によって周辺部に比べて激しく過熱されないので、従来の厨房容器とは異なり、長期間使用しても、加熱により中央部が膨らむことを防止することができ、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力を向上させるという効果があるという点において、産業上広く利用されるものと期待される。
【0031】
また、本発明は、本体の底面の周辺部に結合される磁性鋼板の貫通孔の空間内に調理容器の素材が完全に充填されるようにするか、或いは調理容器の素材が一部のみ充填されるようにする充填部を形成することにより、周辺部で磁性鋼板からの熱が本体素材と円滑に熱交換するとともに、本体の素材が磁性鋼板の貫通孔の空間内に押し寄せられて結合されることにより、本体と磁性鋼板との結合力をさらに向上させて厨房容器の耐久性を向上させるという効果があるという点において、産業上広く利用されるものと期待される。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】