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特許7065257人体模型試験デバイスの肉部材のための結合構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】人体模型試験デバイスの肉部材のための結合構造
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20220428BHJP
   G09B 23/32 20060101ALI20220428BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01M7/08 B
G09B23/32
G09B9/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021515626
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2019052473
(87)【国際公開番号】W WO2020061575
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】62/734,412
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519390483
【氏名又は名称】ヒューマネティクス イノベイティブ ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ゼンウェン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ンギー,トーン
(72)【発明者】
【氏名】マッキニス,ジョセフ ピー.
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4261113(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0086957(US,A1)
【文献】米国特許第5741989(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0140879(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2405713(GB,A)
【文献】米国特許第6310619(US,B1)
【文献】米国特許第5423685(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0078784(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294485(US,A1)
【文献】特開2015-099136(JP,A)
【文献】特開2015-099137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0189571(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015213589(DE,A1)
【文献】国際公開第2018/035550(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
G01M 17/007-17/06
G09B 23/28-23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース内面と、反対側のベース外面と、前記ベース内面を前記ベース外面に接続するベース周縁部とを含み、前記ベース内面が第1キャビティを画定するベース部材と、
前記ベース内面に結合され、少なくとも部分的に前記第1キャビティの中に配置されている少なくとも1つのベースコネクタと、
前記ベース部材に取り付けられている解剖学的構成要素であり、構成要素内面と、反対側の構成要素外面と、前記構成要素内面を前記構成要素外面に接続する構成要素周縁部とを含み、前記構成要素内面が第2キャビティを画定する解剖学的構成要素と、
前記解剖学的構成要素に結合されている少なくとも1つの構成要素コネクタとを備え、
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記構成要素コネクタは、前記ベースコネクタと係合し、前記ベース外面と前記構成要素外面との間の滑らかな移行を規定するように位置合わせで揃えられた前記ベース外面と前記構成要素外面とを伴って、前記構成要素周縁部が前記ベース周縁部に当接する、人体模型試験デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つの前記ベースコネクタは、前記ベース内面と一体に形成されている、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの前記ベースコネクタは少なくとも1つの位置決めキーを含み、前記構成要素コネクタは少なくとも1つのスロットを含み、
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、各1つの前記位置決めキーは、対応する各1つのスロットの中に結合されている、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの前記位置決めキーの各1つは、前記ベース内面と一体に形成されている、請求項3記載の人体模型試験デバイス。
【請求項5】
前記ベース部材の前記第1キャビティの中に配置されている第1構造的部材と、
前記解剖学的構成要素の前記第2キャビティの中に配置され、第1端部及び反対側の第2端部を有する第2構造的部材とをさらに備え、
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記第2構造的部材の前記第1端部は、前記第1構造的部材に結合される、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項6】
前記第2構造的部材の前記第2端部は接合関節を有する、請求項5記載の人体模型試験デバイス。
【請求項7】
前記ベースコネクタへの前記構成要素コネクタの係合は、前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記解剖学的構成要素に対する前記ベース部材の回転を阻止する、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項8】
さらに、前記ベースコネクタと前記構成要素コネクタとを貫通して延び、前記ベース部材を前記構成要素コネクタに固定する締結部を備えている、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項9】
前記ベース内面はストッパーを含み、前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記構成要素コネクタが前記構成要素周縁部から遠位端に向かって外方に延び、前記遠位端が前記ストッパーに当接する、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項10】
前記構成要素コネクタは、第3キャビティを画定するコネクタ内面を有し、前記第2及び第3キャビティは互いに連通する、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項11】
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記第3キャビティは前記第1キャビティと連通する、請求項10記載の人体模型試験デバイス。
【請求項12】
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記コネクタ内面は前記ベース内面と位置合わせで揃い、前記コネクタ内面と前記ベース内面との間の滑らかな移行を規定する、請求項11記載の人体模型試験デバイス。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記ベース部材の前記第1キャビティの中に配置されている第1構造的部材と、
少なくとも部分的に、前記解剖学的構成要素の前記第2キャビティと前記構成要素コネクタの前記第3キャビティとの中に配置され、第1端部及び反対側の第2端部を有する第2構造的部材とをさらに備え、
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、前記第2構造的部材の前記第1端部は、前記第1構造的部材に結合される、請求項12記載の人体模型試験デバイス。
【請求項14】
前記ベース部材及び前記解剖学的構成要素のそれぞれは、皮膚部で覆われた内側コア発泡体を含む、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項15】
前記ベース部材は、上大腿部材及び下大腿部材のうち1つを含み、前記解剖学的構成要素は、前記上大腿部材及び前記下大腿部材のうち他の1つを含む、請求項1記載の人体模型試験デバイス。
【請求項16】
第1キャビティを画定するベース部材と、第2キャビティを画定する解剖学的構成要素とを有する人体模型試験デバイスを形成する方法であって、
少なくとも1つのベースコネクタが前記第1キャビティの中にある状態で、少なくとも1つの前記ベースコネクタを前記ベース部材のベース内面に結合するステップと、
少なくとも1つの構成要素コネクタを前記解剖学的構成要素に結合するステップと、
前記ベース部材の前記第1キャビティの中に第1の構造的な構成要素を配置するステップと、
前記解剖学的構成要素の前記第2キャビティの中に第2の構造的な構成要素を配置するステップと、
前記解剖学的構成要素を前記ベース部材に取り付けるステップであり、ベース外面と構成要素外面との間の滑らかな移行を規定するように位置合わせで揃えられた前記ベース外面と前記構成要素外面とを伴って、ベース周縁部が構成要素周縁部に当接し、前記構成要素コネクタが前記第1キャビティ内に少なくとも部分的に配置され、前記ベースコネクタと係合する、取り付けるステップとを備えている方法。
【請求項17】
前記解剖学的構成要素を前記ベース部材に取り外し可能に取り付けるステップはさらに、前記第1の構造的な構成要素を前記第2の構造的な構成要素に結合することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの前記ベースコネクタは、前記ベース内面と結合されている少なくとも1つの位置決めキーを含み、前記構成要素コネクタは少なくとも1つのスロットを含み、
前記解剖学的構成要素が前記ベース部材に取り付けられたときに、各1つの前記位置決めキーは、対応する各1つのスロットの中に結合される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
メモリを有した少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータと、
前記メモリに記憶され、仮想人体模型試験デバイスを生成するように構成されている第1ソフトウェアアプリケーションとを備えているシステムであって、
前記仮想人体模型試験デバイスは、
ベース内面と、反対側のベース外面と、前記ベース内面を前記ベース外面に接続するベース周縁部とを含み、前記ベース内面が第1キャビティを画定する仮想ベース部材と、
前記ベース内面に結合され、少なくとも部分的に前記第1キャビティの中に配置されている少なくとも1つの仮想ベースコネクタと、
前記仮想ベース部材に取り付けられている仮想解剖学的構成要素であり、構成要素内面と、反対側の構成要素外面と、前記構成要素内面を前記構成要素外面に接続する構成要素周縁部とを含み、前記構成要素内面が第2キャビティを画定する仮想解剖学的構成要素と、
前記仮想解剖学的構成要素に結合されている少なくとも1つの仮想構成要素コネクタとを備え、
前記仮想解剖学的構成要素が前記仮想ベース部材に取り付けられたときに、前記仮想構成要素コネクタは、前記仮想ベースコネクタと係合し、前記ベース外面と前記構成要素外面との間の滑らかな移行を規定するように位置合わせで揃えられた前記ベース外面と前記構成要素外面とを伴って、前記構成要素周縁部が前記ベース周縁部に当接する、システム。
【請求項20】
前記第1ソフトウェアアプリケーションはさらに、生成された前記仮想人体模型試験デバイスに仮想衝突シミュレーションを実施するように構成されている、請求項19記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に人体模型試験デバイスに関し、より詳しくは、人体模型試験デバイスの肉部材のための結合構造に関し、人体模型試験デバイスの大腿の肉部を結合する結合構造に関するものである。
【0002】
本開示は、2018年9月21日に出願された「人体模型試験デバイスの大腿の肉部のための結合構造」と題された米国仮出願である特許出願番号第62/734,412号の優先権を主張する。その全体が本願に参照援用される。
【背景技術】
【0003】
自動車、航空機、及びその他の車両の製造業者は、車両及びその乗員に対する衝突の影響を測定するために、広範な種類の衝突試験を実施する。衝突試験は、クラッシュ試験と呼ばれることもあるが、これを通して、車両メーカーは車両の改良に利用できる貴重な情報を得る。
【0004】
衝突試験は、人体の負傷のリスクを推定するために、人体模型試験デバイスを使用することが多い。これは時には人体模型マネキンとも呼ばれ、「衝突試験ダミー」として一層よく知られている。衝突試験ダミーは典型的には、頭部組立体、脊柱組立体、胸郭組立体、骨盤組立体、左右の腕組立体、及び左右の脚部組立体を含む。関節は、さまざまな組立体を互いに結合し、人間の可動域をシミュレートする連接を可能にするために設けられる。さらに、これらの組立体は、典型的には、皮膚部で覆われた内側発泡材料を含む模擬肉で覆われる。人体模型試験デバイスは、対象となる人間の一般的な機械的性質、質量、関節、及び関節の剛性を有していなければならない。さらに、人体模型試験デバイスは、衝突試験中に人間に似たように車内と相互作用するのに十分な機械的な衝撃応答を持たなければならない。
【発明の概要】
【0005】
これらの装置で、肉部は、組み立て/分解及び取り扱いを容易にするために、肉部は、関節又は都合のよい位置で分割されることが多い。しかし肉部を分割すると、組み立てや取り扱いは容易になるが、衝突試験中に人間に似ていない反応が引き起こされてしまう。例えば、ある構造の脚部組立体では、装置の脚部組立体の上大腿部材及び下大腿部材は、関節を介して接続され、この関節に対応する位置で分割された大腿の肉部を含む。衝突試験中に、関節に対応する大腿の肉部に大きな位置ずれ又は分離が生じ、上大腿部材及び下大腿部材の間の不適切な肉部/塊の結合を生じ、大腿の肉部の皮膚部に沿った不連続な表面を生じる。この不適切な結合及び不連続な表面は、脚部及び骨盤の動力学に影響し、衝突試験ダミーの人間に似ていない反応の一因となる。
【0006】
本発明は、従来技術の結合構造に伴う分離の問題に対処して解決し、従って、衝突試験中により一層人間に似た応答を有する衝突試験ダミーを提供する。
【0007】
本発明は、人体模型試験デバイスの肉部材のための結合構造に関し、特に、ベース部材を解剖学的構成要素に結合することで形成される人体模型試験デバイスのための肉部の結合構造に関する。
【0008】
ベース部材は、ベース内面と、反対側のベース外面と、ベース内面をベース外面に接続するベース周縁部とを含み、ベース内面が第1キャビティを画定する。少なくとも1つのベースコネクタは、少なくとも部分的に第1キャビティの中にある状態で、ベース内面に結合されている。解剖学的構成要素は、ベース部材に取り付けられ、構成要素内面と、反対側の構成要素外面と、構成要素内面を構成要素外面に接続する構成要素周縁部とを含み、構成要素内面が第2キャビティを画定する。少なくとも1つの構成要素コネクタは、解剖学的構成要素に結合されている。
【0009】
解剖学的構成要素がベース部材に取り付けられたときに、構成要素コネクタは、ベースコネクタと係合し、ベース外面と構成要素外面との間の滑らかな(smooth、連続的な)移行を規定するように位置合わせで揃えられた(align)ベース外面と構成要素外面とを伴って、構成要素周縁部がベース周縁部に当接する。ある実施形態では、ベース部材を構成要素コネクタに固定するために、少なくとも1つの締結部が使用される。
【0010】
より具体的な態様によれば、人体模型試験デバイスは、第1キャビティの中に配置されている第1構造的部材と、第2キャビティの中に配置されている第2構造的部材とをさらに備え、解剖学的構成要素がベース部材に取り付けられたときに、第2構造的部材は、第1構造的部材に結合される。
【0011】
なお他の態様によれば、少なくとも1つのベースコネクタは少なくとも1つの位置決めキーを含み、構成要素コネクタは少なくとも1つのスロットを含み、解剖学的構成要素がベース部材に取り付けられたときに、各1つの位置決めキーは、対応する各1つのスロットの中に結合される。
【0012】
本開示のより具体的な態様によれば、ベース部材及び解剖学的構成要素は、人体模型試験デバイスにおける大腿の肉部を結合して合わせる構成要素である。従って、ベース部材は、上大腿部材及び下大腿部材のうち1つを含み、解剖学的構成要素は、上大腿部材及び下大腿部材のうち他の1つを含む。
【0013】
本開示の他の特徴及び利点は、一層よく理解されるように、添付する図面に関連して述べる下記の記載を読んだ後に容易に理解されることである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示による自動車座席上に配置された衝突試験ダミーの1つの実施形態の斜視図である。
図2】ベース部材及び一対の解剖学的構成要素を含む、本開示による図1の衝突試験ダミーの一部の1つの実施形態の斜視図であり、解剖学的構成要素の一方がベース部材に結合され、解剖学的構成要素の他方がベース部材から結合解除されて示される。
図3図2のベース部材の斜視図である。
図4図3のベース部材内に含まれている支持構造の内部斜視図である。
図5図1及び図2の1つの解剖学的構成要素の斜視図である。
図6図2の他の解剖学的構成要素からの追加の支持構造を含み、図5の解剖学的構成要素内に含まれている支持構造の内部斜視図である。
図7】線7-7に沿って得られた図3の断面図である。
図8】線8-8に沿って得られた図3の別の断面図である。
図9】線9-9に沿って得られた図5の断面図である。
図10】線10-10に沿って得られた図5の別の断面図である。
図11】線11-11に沿って得られた図5の別の断面図である。
図12】線12-12に沿って得られた図5の別の断面図である。
図13】線13-13に沿って得られた図2の断面図である。
図14】線14-14に沿って得られた図2の別の断面図である。
図15】仮想人体模型試験デバイスを作成して評価するシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、人体模型試験デバイス又は衝突試験ダミー10、より詳細には衝突試験ダミーの一部を開示する。これは、前部座席と後部座席とでの成人の乗員のための自動車の内部及び拘束システムの性能を試験するために主に使用される。本明細書で説明する実施形態の衝突試験ダミー10のサイズ及び重量は、身体計測学的研究に基づく。これは典型的には、以下の組織、ミシガン大学交通研究所(UMTRI)、米国軍人体計測調査(ANSUR)、及び米国及び欧州市民人体計測学リソース(CESAR)によって別々に実施されたものである。運動の範囲、重心、及び体節の質量は、身体計測データによって定義される人間の被験者の値をシミュレートすることを理解されたい。衝突試験ダミー10は、50パーセンタイル(50%)は男性タイプであり、図1には、自動車の座席25上に位置して座位で示されている。
【0016】
図1に示すように、衝突試験ダミー10は、全体的に11で示す頭部組立体を含む。また衝突試験ダミー10は、頭部組立体11に取り付けられ、ここから延びるネック組立体12を含む。また衝突試験ダミー10は、全体的に13で示された脊柱組立体を含み、これは、ネック組立体12に取り付けられた上端と、衝突試験ダミー10の胴部の領域の中へ延びる下端とを有する。さらに、衝突試験ダミー10は、脊柱組立体13の下端に結合された骨盤組立体14を含む。また衝突試験ダミー10の胴部の領域は、全体的に15で示された、脊柱組立体13に接続された胸郭組立体を含む。また、衝突試験ダミー10は、全体的に16で示された左腕組立体と、右腕組立体(図示せず)とを含む、衝突試験ダミー10に取り付けられた一対の腕組立体を有する。衝突試験ダミー10は、全体的に17で示され、左脚部組立体と右脚部組立体とを含む、骨盤組立体14に取り付けられた一対の脚部組立体をさらに含む。衝突試験ダミー10の骨格との結合を改善するために、衝突試験ダミー10のさまざまな構成要素は、後述の実施形態では皮膚部24で覆われた内側コア発泡体22として示された肉部と皮膚部との組立体で覆われていることが理解されるものとする。
【0017】
本開示は、上述した衝突試験ダミー10の一部を形成するために使用される肉部材を互いに結合する結合構造に関する。肉部材はさらに、ベース部材20及び解剖学的構成要素60として規定することができる。ベース部材20及び解剖学的構成要素60は、衝突試験ダミー10の一部を形成するために使用される任意の2つの肉部材を指すことができるが、本明細書に記載されるベース部材20及び解剖学的構成要素60を含む、本明細書に記載して図示される結合構造の実施形態は、脚部組立体17の一部を規定する衝突試験ダミー10の大腿部材を形成するのに用いる肉部材である。この脚部組立体17は、人の大腿部に全体的に対応する。
【0018】
以下に説明する、図2~14に例示された実施形態では、ベース部材20は、上大腿部材20を意味する。解剖学的構成要素60は、一対の下大腿部材60の一方又は両方を意味する。この下大腿部材対の1つが、衝突試験ダミー10の脚部組立体17の右脚部の下大腿部に対応し、下大腿部材対の他の1つが、衝突試験ダミー10の脚部組立体の左脚部の下大腿部に対応する。図2及び図4に例示されるように、上大腿部材20は、骨盤組立体14の肉部と連続した構造として示され、従って、骨盤組立体14の一部として考えられるが、他の実施形態では、肉部は、分離されているが結合された構造であってよい。
【0019】
図2,3及び7に示すように、ベース部材20は、皮膚部24で覆われた内側コア発泡体22を含む。ベース部材20は、ベース内面26と、その反対側のベース外面28と、ベース内面26を反対側のベース外面28に接続するベース周縁部30とを含む。
【0020】
また、各縁部30から内方に延びるベース内面26は、衝突試験ダミー10の1つ以上の構造的部材110を収容するキャビティ34を画定する。これらの構造的部材110(脚部組立体17の大腿部材内に延びる特有の支持構造110aを含む、一連の相互接続された構造的部材110が、図4に最もよく示されている)は、ベース部材20とともに、衝突試験ダミー10に構造的完全性を与えるのを助ける。ある実施形態では、これらの構造的部材110のうちのいずれか1つが、ベース部材20に対して、又は構造的部材110のうちの隣接する他の構造的部材に対して、移動又は連接してよい。さらに、構造的部材110は、他の構造的部材に対して、又は他の構造的部材と協調して、連接又は移動してよい。さらに、1つ以上のセンサーの連なり(1つの例示的なセンサー109が図4に示されている)が、衝突試験シミュレーションの間に運動を感知するように、構造的部材110、ベース部材20、又は解剖学的構成要素60に結合されてよい。これらのセンサー109はまた、衝突シミュレーションの間に衝突試験ダミー10の動きを処理することができるコントローラ(図4に107として示され、センサー109に結合される)に結合してよい。また例示的なセンサーは、ロードセルなどを含んでよい。
【0021】
図3に最もよく示されるように、ベース部材20はまた、1つ以上の挿入開口27を含み、挿入開口27のうちの少なくとも1つは、キャビティ34内にそれぞれ1つの解剖学的構成要素60を受け入れるように構成されている。従って、挿入開口27は、ベース部材20のキャビティ34の外側端とみなしてよい。
【0022】
ベース部材20が上大腿部材20であり、解剖学的構成要素60が一対の下大腿部材60である場合、上大腿部材20は、一対の挿入開口27a,27b(第1挿入開口27a及び第2挿入開口27bとして図3に示す)を含む。挿入開口27a,27bの各々は、下大腿部材60のそれぞれを受容するように構成されている。
【0023】
さらに、ベース内面26は、ベース周縁部30から延びる凹部内面36と、ベース周縁部30と反対方向に凹部内面36から延びる内側の段付き表面38とに、区分されてよい、即ちこれらを含んでよい。段の端面40が、凹部内面36及び内側の段付き表面38の各々に対して横断方向に延び、凹部内面36を内側の段付き表面38に接続する。
【0024】
ベース部材20はさらに、ベース内面26及びベース外面28を貫通して延びる1つ以上の開口42を含む。以下にさらに説明するように、これらの開口42は、それぞれ、ベース部材20を下大腿部材60の各1つに固定するために使用される締結部材100(図2参照)を受け入れるように構成されている。特に、1つ以上の開口42は、ベース部材20の一部の周囲に等間隔で配置され、ベース外面28から凹部内面36まで延びる。
【0025】
少なくとも1つのベースコネクタ44は、図2,3及び8に描かれた代表的な実施形態で3つのベースコネクタ44として最もよく示されるように、ベース部材20のベース内面26に結合、又は、これに一体的に形成されてよい。ある実施形態ではベースコネクタ44は、位置決めキー44であり、位置決めキー44は、ベース部材20のベース内面26の凹部内面36に結合、又は一体的に形成される。
【0026】
好ましくは位置決めキー44は、同じサイズ及び形状であり、キャビティ34内の内側凹部43から内側方向に突出する。ただし、図示しない他の実施形態では、位置決めキー44は、異なるサイズ又は形状を有してよい。図2及び図3に最もよく示されるように、ある実施形態では、位置決めキー44はブロック形状であり、距離をおいた互いに反対側の側面47の第1対と、距離をおいた互いに反対側の側面49の第2対とを含む。第2対の側面49の各々は、各第1対の側面47を横切って延び、各第1対の側面47を接続する。上面48は、第1対及び第2対の側面47、49の各々に接続され、それらに横切って延び、上面48を規定する平面は、凹部内面36の表面を規定する平面にほぼ平行に延びる。
【0027】
位置決めキー44の各々は、上面48から内側凹部に向かって横方向及び内側方向に延びる開口46を含んでよい。好ましくは、位置決めキー44のそれぞれの中の開口46は、ベース外面28からベース内面26の凹部内面36まで延びる開口42の対応する1つに揃えられ、対応するようにサイズ決定される。
【0028】
図2及び図3にも示すように、位置決めキー44の上面48、位置決めキー44を含まない凹部内面36の内面52、及び段の端面40の内面54は、まとめて、対応する内面32を規定してよい。
【0029】
別の構成では、ベース内面26は、段の端面40と類似するが異なる形態のストッパー(stop)(図示せず)を含む。構成要素コネクタ71の遠位端は、解剖学的構成要素60がベース部材20に取り付けられたときにストッパーに当接する。
【0030】
次に、図2図5及び図9図12を参照すると、解剖学的構成要素60は、ベース部材20のように、皮膚部64で覆われた内側コア発泡体62を含む。また、ベース構成要素20と同様に、解剖学的構成要素60の各々は中空であり、上述した構造的部材110と同様に機能する追加の構造的部材111、又は複数の構造的部材を含むことが可能にされている。以下にさらに説明するように、解剖学的構成要素60内に含まれる構造的部材111は第1端部112を有し、これは、ベース部材20への解剖学的構成要素60の可逆的な取り付けに関連して、構造的部材110に結合されてよい。図2及び図6に示すように構造的部材111は、構造的部材111の第2端部113から連接する膝関節115の一部として示される接合関節(articulating joint)114を含んでよい。これに代えて、構造的部材111は、接合関節を介して、同じ又は実質的に同じ方法で別の構造的部材に結合されてよい。さらに、構造的部材110と同様に、1つ以上のセンサーの連なりが、衝突試験シミュレーションの間の運動を感知する構造的部材111又は解剖学的構成要素60に結合されてよい。さらに、これらのセンサーは、衝突シミュレーション中に衝突試験ダミー10の動きを処理することができるコントローラ107に結合されてよい。
【0031】
図5及び図9-11に最もよく示されるように、解剖学的構成要素60は、構成要素内面66と、反対側の構成要素外面68と、構成要素内面66を反対側の構成要素外面68に接続する一対の構成要素周縁部69とを含む。構成要素内面66は、上述の追加の構造的部材111を収容するキャビティ73を画定する。
【0032】
さらに衝突試験ダミー10は、解剖学的構成要素60に結合、又はこれと一体的に形成されている構成要素コネクタ71を含む。
【0033】
図5及び図12に最もよく示されるように、構成要素コネクタ71は、コネクタ外面74と反対側のコネクタ内面76とを含み、構成要素周縁部69のうちの1つを横切って、これに間隔をおいて延びる。構成要素コネクタ71が解剖学的構成要素60と一体的に形成される実施形態では、構成要素コネクタ71は、皮膚部64aで覆われた内側コア発泡体62aを含み、これは、内側コア発泡体62及び皮膚部64の一部を規定してよい。コネクタ外面74と構成要素周縁部69との交点は、構成要素周縁部69と構成要素外面68との交点から内方に間隔をあけて設けられている。コネクタステップ端面78は、コネクタ外面74及びコネクタ内面76の各々に対して横断方向に延び、コネクタ外面74をコネクタ内面76に接続する。またコネクタ内面76は、第2キャビティ73と一緒に開いている(即ち、第2キャビティ73と連通している)第3キャビティ77を画定する。ある実施形態では、コネクタ内面76は、構成要素内面66に滑らかに移行する。
【0034】
図2及び図5に最もよく示されるように、ある実施形態では、コネクタ外面74は、少なくとも1つのスロット(溝)80を含む。スロット80の各々は、ベース部材20が解剖学的構成要素60に結合されたときに、対応する各1つの位置決めキー44に結合されるように構成される。好ましくは、スロット80のサイズ及び形状は、対応するそれぞれの位置決めキー44のサイズ及び形状に対応する。好ましくは、少なくとも1つのスロット80の数と、コネクタ外面74に沿った少なくとも1つのスロット80の位置とは、少なくとも1つの位置決めキー44の数と位置に対応する。さらに、スロット80の外面82、スロット80を含まないコネクタ外面74の外面84は、まとめて、構成要素コネクタ71の対応する外面88を規定する。
【0035】
さらに図2,5,10及び12に最もよく示されるように、スロット80の各々は、スロット80の外面82の横方向及び内側方向に延びる開口90も含む。好ましくはネジ付きインサート92は、各開口90のそれぞれの内側に結合される。それぞれのスロット80上の開口90の位置は、ベース部材20が解剖学的構成要素60に取り外し可能に結合されているときに、対応する開口42、46に対応してこれに揃えられる。
【0036】
上述のように、衝突試験ダミー10はさらに、揃った開口42、46、90を介してベース部材20を各解剖学的構成要素60に固定するために使用される少なくとも1つの締結部材100を含む。締結部材100の数は、揃った開口42、46、90の数に対応する。特に締結部材100のそれぞれの1つ、好ましくはネジ付き端部102を有するボルト100が、ベース部材20と位置決めキー44との部材の揃った開口42、46内に挿入され、構成要素コネクタ71の揃った開口90のネジ付きインサート92にネジ係合され、ベース部材20を構成要素コネクタ71に固定する。
【0037】
また、本開示は、構成要素コネクタ71を含む解剖学的構成要素60の一方又は両方と、ベース部材20を結合する関連する方法に関する。上述したように、ベース部材20は、所望の形状及びサイズの皮膚部24で内側コア発泡体22を覆うことで、上述のさまざまな特徴を含むように形成してよい。同様に、解剖学的構成要素60及び結合された構成要素コネクタ71は、所望のサイズ及び形状の皮膚部64で内側コア発泡体62を覆うことで、上述のさまざまな特徴を含むように形成してよい。覆うステップの一部として、内側コア発泡体22,62の各部分は、それぞれの皮膚部24、64内に密閉的に封入されてよく、又はそれ以外では、それぞれの皮膚部24、64内に保持又は固定されてよい。各ベース部材20と、結合された構成要素コネクタ71を有する解剖学的構成要素60とを形成する方法は、限定されず、皮膚部に覆われた発泡体の部分を形成する任意の方法を含んでよい。
【0038】
この方法は、少なくとも1つのベースコネクタ44をベース内面26に結合することで継続する。ある実施形態では、少なくとも1つのベースコネクタ44の結合は、少なくとも1つのベースコネクタ44をベース内面26に固定することを含む。これは、ベースコネクタ44がベース内面26に固定されるように、接着剤、ステープル又はネジなどの機械的ファスナ、又はその他の公知の固定方法又は技術を用いて行う。これに代えて、少なくとも1つのベースコネクタ44をベース部材20と一体的に形成してよい。従ってベースコネクタの外面は上述の皮膚部24である。
【0039】
ある実施形態では、本方法は、ベース部材20内に構造的部材110(構造的な構成要素)を導入し、解剖学的構成要素60及び結合した構成要素コネクタ71の中に構造的部材111(構造的な構成要素)を導入することで継続する。特に、構造的部材110は第1キャビティ34内に導入され、構造的部材111は解剖学的構成要素の第2キャビティ73内、及び構成要素コネクタ71の第3キャビティ77内に導入される。構造的部材110及び構造的部材111をベース部材20内又は解剖学的構成要素60内に導入するステップは具体的には、構造部品が組み立てられた後、ベース部材20又は解剖学的構成要素60が構造的部材110の周囲を囲むことを含む。皮膚部24、64を貫通し、内側コア発泡体22,62内に延びているそれぞれのスリット37,67を、ベース部材及び解剖学的構成要素は含む。
【0040】
この方法は、結合された構成要素コネクタ71とともに解剖学的構成要素60をベース部材20に取り付け、その結果、ベース外面28と構成要素外面68との間の滑らかな移行を規定するように位置合わせで揃えられたベース外面28と構成要素外面68とを伴って、ベース周縁部30が構成要素周縁面69に当接する。構成要素コネクタ71が第1キャビティ34内に少なくとも部分的に配置され、ベースコネクタ44と係合する。結合は、図2,13及び14に示されている。
【0041】
特に、このステップは、構成要素コネクタ71が第1キャビティ34内に少なくとも部分的に収容されるように、かつ、ベース部材20とコネクタ構成要素71との周縁面30,70が当接するように、構成要素コネクタ71をベース部材20の挿入開口27、27a、27b内に挿入することを含んでよい。この位置では、ベース部材20及び解剖学的構成要素60の外面28、68は、外面28、68の間の滑らかな移行を提供するように位置合わせで揃えられる。さらに、ある実施形態では、この位置でベースコネクタ44の各々は、構成要素コネクタ71と位置合わせで揃えられて結合され、又は、構成要素コネクタ71と係合される。ある実施形態では、この係合は、取り付けられた解剖学的構成要素60に対するベース部材20の回転を阻止する。
【0042】
別の構成では、ベース内面26がストッパー(図示せず)を含み、このステップの方法は、解剖学的構成要素60がベース部材20に取り付けられたときに、構成要素コネクタ71が構成要素周縁部70から遠位端に向かって外方に延び、遠位端がストッパーに当接するステップを含む。
【0043】
取り付けステップの一部として、本方法はまた、ベース部材20のキャビティ34内に収容されている構造的部材110を、解剖学的構成要素60及び結合した構成要素コネクタ71のキャビティ73、77内に収容されている構造的部材111に結合するステップを含んでよい。キャビティ34、73、及び77はすべて揃えられ、互いに連通している(即ち、互いにそれぞれに対して開いている)。結合部は、さらに、構造的部材110を構造的部材111に固定又は締結することとして定義することができる。
【0044】
この方法は継続し、少なくとも1つの締結部材100を用いてベース部材20を解剖学的構成要素60に固定する追加のステップを含む。
【0045】
ある実施形態では、例えば図2に示すように、締結部材100は、揃った開口42、46を通して挿入され、別の揃った開口90内に結合されたネジ付きインサート92にネジ係合される。このプロセスは、追加の締結部材100が、追加のそれぞれ揃った開口42、46を通して挿入され、それぞれ、別の揃った開口90内に結合されたネジ付きインサート92にネジ係合されるように繰り返される。従ってベース部材20は、それぞれの構成要素コネクタ71に固定される。
【0046】
上述した同じ方法は、第2挿入開口27b内に挿入された結合された構成要素コネクタ71と、解剖学的構成要素60とのそれぞれ第2群の部分に、ベース部材20を固定するのに使用することができる。
【0047】
代替的な等価な実施形態では、ベース部材20の構造と、解剖学的構成要素60の対応する構造とを逆転させてよい。特に、ベース部材20は、前述した内側に段付きの部分とコネクタ結合部材とを含んでよく、解剖学的構成要素60は、前述の内側凹部とコネクタ部材とを含んでよい。ベース部材20は、挿入開口内に挿入され、接続された部分のキャビティに部分的に収容されてよい。締結部材は、図1~14に示す実施形態に関して上述の方法と同様に、揃った開口とネジ付きインサートを通して挿入される。
【0048】
さらに本開示では、仮想人体模型試験デバイスを生成し、また、コンピュータに含まれるソフトウェアアプリケーションを用いて仮想衝突試験で、生成された仮想人体模型試験デバイスを評価するシステム1000を述べる。人体模型試験デバイスは、上述したような全ての特徴及び構成要素を含む、上述した人体模型試験デバイスの仮想的な表現である。
【0049】
次に図15を参照すると、コンピュータ1030は、少なくとも1つのプロセッサ1032、メモリ1034、大容量記憶メモリデバイス1036、入出力(I/O)インターフェース1038、及びヒューマンマシンインターフェース(HMI)1040を含んでよい。またコンピュータ1030は、ネットワーク1013及び/又は入出力インターフェース1038を介して、1つ以上の外部リソース1042に動作可能に結合されてよい。外部リソースは、限定されないが、サーバ、データベース、大容量記憶デバイス、周辺デバイス、クラウドベースのネットワークサービス、又はコンピュータ1030によって使用され得る他の任意の適切なコンピュータリソースを含んでよい。
【0050】
プロセッサ1032は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理装置、状態マシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、又はメモリ1034に記憶された動作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を操作する他の任意の装置から選択される、1つ以上の装置を含んでよい。メモリ1034は、限定されないが、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、又は情報を記憶することができる他の任意のデバイスなどを含む、単一のメモリデバイス又は複数のメモリデバイスを含んでよい。大容量記憶メモリデバイス1036は、ハードドライブ、光学ドライブ、テープドライブ、不揮発性固体デバイス、又は情報を記憶することができる他の任意のデバイスなどのデータ記憶デバイスを含んでよい。データベース1044は、大容量記憶メモリデバイス1036上に存在してよく、本明細書に述べたさまざまなシステム及びモジュールによって使用されるデータを収集し、整理するために使用されてよい。
【0051】
プロセッサ1032は、メモリ1034内に存在するオペレーティングシステム1046の制御下で動作してよい。メモリ1034内に存在するアプリケーション1048などの、1つ以上のコンピュータソフトウェアアプリケーションとして実現されたコンピュータプログラムコードが、プロセッサ1032によって実行される命令を有し得るように、オペレーティングシステム1046は、コンピュータリソースを管理してよい。代替的な実施形態ではプロセッサ1032は、アプリケーション1048を直接実行してよく、その場合、オペレーティングシステム1046は省略されてよい。また、1つ以上のデータ構造1050は、メモリ1034内に存在してよく、プロセッサ1032、オペレーティングシステム1046、及び/又はアプリケーション1048によって、データを記憶又は操作するために使用されてよい。本明細書で提供されるソフトウェアアプリケーション1048は、仮想人体模型試験デバイス10’を生成するソフトウェアアプリケーションと、仮想衝突試験設定において生成された仮想人体模型試験デバイス10’を評価するソフトウェアアプリケーションとを含む。
【0052】
入出力インターフェース1038は、プロセッサ1032をネットワーク1013及び/又は外部リソース1042などの他の装置及びシステムに動作可能に結合するマシンインターフェースを提供してよい。これによりアプリケーション1048は、本発明の実施形態を構成するさまざまな特徴、機能、アプリケーション、プロセス、及び/又はモジュールを提供するために入出力インターフェース1038を介して通信することで、ネットワーク1013及び/又は外部リソース1042と協働して動作してよい。またアプリケーション1048は、1つ以上の外部リソース1042によって実行されるプログラムコードを有してよく、又はそれ以外では、コンピュータ1030の外部の他のシステム又はネットワーク構成要素によって提供される機能及び/又は信号に依存してよい。実際に、ほぼ無限のハードウェア及びソフトウェア構成が可能であることを考えると、当業者であれば、本発明の実施形態は、コンピュータ1030の外部に配置されたアプリケーション、複数のコンピュータ又は他の外部リソース1042に分散されたアプリケーション、又はクラウドコンピューティングサービスなどのネットワーク1013上でサービスとして提供されるコンピュータリソース(ハードウェア及びソフトウェア)によって提供されたアプリケーションを含んでよいことを理解するであろう。
【0053】
HMI1040は、コンピュータ1030のユーザがコンピュータ1030と直接に相互作用を行うことを可能にするために、既知の方法でコンピュータ1030のプロセッサ1032に動作可能に結合されてよい。HMI1040は、ビデオ及び/又は英数字の表示部、タッチスクリーン、スピーカー、及びユーザに情報を提供し得る任意の他の適切なオーディオ及びビジュアルのインジケータを含んでよい。またHMI1040は、ユーザからのコマンド又は入力を受け入れ、入力された入力をプロセッサ1032に送信することが可能な英数字キーボード、ポインティングデバイス、キーパッド、押しボタン、制御ノブ、マイクロホンなどの入力デバイス及び制御装置を含んでよい。
【0054】
本開示は、従来技術の結合構造に伴う分離の問題に対処して解決し、従って、衝突試験中により一層人間に似た応答を有する衝突試験ダミーを提供する。ベース部材と解剖学的構成要素とが結合されるので、結合されたベース部材と解剖学的構成要素とは、従来技術の構造で発生したように衝突試験中に互いに位置ずれが生じたり(offset)、互いに対して回転されたりすることでは分離されない。ベース部材及び解剖学的構成要素が上大腿部材及び下大腿部材である実施形態では、装置の脚部組立体の上大腿部材及び下大腿部材が関節を介して互いに接続され、この関節に対応する位置で分割された大腿の肉部を含むのであるが、従来技術の構造で発生したように衝突試験中に、互いに対して位置ずれが生じること、又は互いに対して回転されることでは、結合された上大腿部材及び下大腿部材は分離されない。関連するシステムは、本明細書に開示されている衝突試験ダミー10が、分離の問題に対処して解決することを確認するために、仮想衝突試験シミュレーションを実行することを可能にする。
【0055】
本開示は、例示的な形で説明してきた。使用されてきた用語は、限定ではなく、記載を行う用語の性質であることを意図していることが理解されるものとする。
【0056】
本開示の多くの修正及び変形が、上記の教示に照らして可能である。従って、本開示は、具体的に記載された以外の構成で実施してよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15