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特許7065372廃棄プラスチックの熱分解によるベンゼンおよびキシレン類のような高価値産物への変換
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】廃棄プラスチックの熱分解によるベンゼンおよびキシレン類のような高価値産物への変換
(51)【国際特許分類】
   C07C 6/12 20060101AFI20220502BHJP
   C07C 15/02 20060101ALI20220502BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20220502BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20220502BHJP
   C10G 1/10 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
C07C6/12
C07C15/02
C07C15/04
C07C15/08
C10G1/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019536867
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2018050043
(87)【国際公開番号】W WO2018127812
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】62/442,684
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー,クリシュナ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナズワミー,ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガナパシー・ボートラ,ヴェンカタ・ラマナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガンジ,サントシュ
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0321976(US,A1)
【文献】特表2016-514170(JP,A)
【文献】特開2012-241174(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065420(WO,A1)
【文献】特表2014-500859(JP,A)
【文献】特開2003-321682(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103880584(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 6/12 - 15/08
C10G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって:
(a)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で炭化水素類液体流を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物が炭素数5以上の炭化水素類を含む工程、
(b)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流が炭素数5以上の飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流が炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含む工程、
(c)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、
(d)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流が炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含む工程、
(e)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、
(f)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流および炭素数11以上の芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、
(g)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、
(h)前記炭素数11以上の芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程、を含む方法。
【請求項2】
熱分解ユニットにおいてプラスチック廃棄物を前記炭化水素類液体流と熱分解ガス流とに変換することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素数11以上の芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記熱分解ユニットに搬送することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解ガス流、前記第一ガス流、前記第二ガス流、またはそれらの組み合わせが、HおよびC~C炭化水素類を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱分解ガス流、前記第一ガス流、前記第二ガス流、またはそれらの組み合わせが、前記改質ユニット、前記熱分解ユニット、前記水素化処理ユニット、またはそれらの組み合わせにおいて燃料として使用される請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットにリサイクルすることをさらに含む請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素類液体流を水素化処理触媒と接触させる前記工程(a)が、250℃から600℃の温度および1bargから200bargの圧力で行われる請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理ユニットがマイルド水素化分解ユニットを含む請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素産物が、該炭化水素産物の全重量に基づいて90重量%以上のC10-炭化水素類を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素産物が、該炭化水素産物の全重量に基づいて1重量%未満のオレフィン類を含む請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記C芳香族化合物類流を第一キシレン類流とエチルベンゼン流とに分離することをさらに含む請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エチルベンゼン流の少なくとも一部を前記不均化およびトランスアルキル化ユニットに搬送することをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、(i)異性化ユニットにおいて前記エチルベンゼン流の少なくとも一部を異性化することによりキシレンを生成することを含み、該異性化ユニットが異性化触媒を含み、および/または、(ii)脱アルキル化ユニットにおいて前記エチルベンゼン流の少なくとも一部を脱アルキル化することによりベンゼンを生成することを含み、該脱アルキル化ユニットが脱アルキル化触媒を含む請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せのうちの炭素数9以上の芳香族炭化水素類の含有量が、該第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて5重量%未満である請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ベンゼンおよびキシレン類の全収率が40%以上である請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ベンゼンの全収率が18重量%以上である請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
キシレン類の全収率が20重量%以上である請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第三芳香族化合物類流を、ベンゼンを含む第二C芳香族化合物類流と、第二キシレン類流と、に分離することをさらに含む請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって:
(a)熱分解ユニットにおいてプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流と熱分解ガス流とに変換する工程、
(b)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物が炭素数5以上の炭化水素類を含む工程、
(c)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流が炭素数5以上の飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流が炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含む工程、
(d)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、
(e)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流が炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含む工程、
(f)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、
(g)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流および炭素数11以上の芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、
(h)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、
(i)前記炭素数11以上の芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程、を含む方法。
【請求項20】
熱分解ユニット、水素化処理ユニット、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット、改質ユニット、第二芳香族化合物類分離ユニット、第三芳香族化合物類分離ユニット、ならびに不均化およびトランスアルキル化ユニットを含んでなる、ベンゼンおよびキシレン類を製造するシステムであって、
前記熱分解ユニットは、プラスチック廃棄物を受け取り、炭化水素類液体流および熱分解ガス流を生成するように構成されており、
前記水素化処理ユニットは水素化処理触媒を含み、該水素化処理ユニットは、水素および前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を受け取り、炭化水素産物および第一ガス流を生成するように構成されており、該炭化水素産物は炭素数5以上の炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて90重量%以上のC10-炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて1重量%未満のオレフィン類を含んでおり、
前記任意の第一芳香族化合物類分離ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部を受け取り、飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該飽和炭化水素類流は炭素数5以上の飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流は炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含んでおり、
前記改質ユニットは改質触媒を含み、該改質ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を受け取り、改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成するように構成されており、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多く、
前記第二芳香族化合物類分離ユニットは、前記改質ユニット産物の少なくとも一部を受け取り、非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第二芳香族化合物類流は炭素数6以上の芳香族炭化水素類を含んでおり、
前記第三芳香族化合物類分離ユニットは、前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を受け取り、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流および炭素数11以上の芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第一C芳香族化合物類流はベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流はトルエンを含み、該C芳香族化合物類流はキシレン類およびエチルベンゼンを含み、該炭素数11以上の芳香族化合物類流の少なくとも一部が前記水素化処理ユニットにリサイクルされ、かつ、
前記不均化およびトランスアルキル化ユニットは不均化およびトランスアルキル化触媒を含み、該不均化およびトランスアルキル化ユニットは、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを受け取り、第三芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第三芳香族化合物類流はベンゼンおよびキシレン類を含み、前記第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せのうちの炭素数9以上の芳香族炭化水素類の含有量が、該第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて5重量%未満である、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱分解、水素化処理、改質、ならびに不均化およびアルキル化を含むプロセスを介する混合プラスチックからの芳香族炭化水素類の製造に関し、ベンゼンおよびキシレン類が好ましい産物である。
【背景技術】
【0002】
ベンゼンおよびキシレン類は重要な化学薬品であり、その用途は化学中間体から溶媒に及ぶ。ベンゼンは原油の天然成分であり、エチルベンゼン、クメン、シクロヘキサン、ニトロベンゼン、アルキルベンゼン類などのより複雑な構造を持つ化学物質を製造するための前駆体として主に使用されている。ベンゼンはまた高いオクタン価を有し、それ自体ガソリンの重要な成分である。ベンゼンは、ある種のゴム、潤滑剤、染料、洗剤、薬物、爆薬および農薬の製造にも使用できる。
【0003】
キシレン類は原油中に低濃度で存在するが、キシレン類は、「改質油」として知られる接触改質の産物から抽出されたBTX芳香族化合物類(ベンゼン、トルエン、およびキシレン類)の一部として主に生成される。キシレン類は主に、印刷、ゴムおよび皮革産業のような種々の用途で溶剤として使用されており、インク、ゴム、接着剤、希釈性塗料、ワニスおよび洗浄剤(例:スチール、シリコンウエハー、集積回路用)の一般的な成分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8895790号明細書
【文献】国際公開第2016/009333号明細書
【文献】米国特許出願第15/085445号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有限の原油埋蔵量の枯渇が懸念されている。したがって、原油以外の供給原料、たとえば廃棄プラスチック由来の供給原料からベンゼンおよびキシレン類のような芳香族炭化水素類を製造する方法を開発する要望が続いている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されているのは、ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって、(a)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で炭化水素類液体流を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物がC+炭化水素類を含む工程、(b)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流がC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(c)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、(d)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(e)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、(f)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、(g)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、(h)前記C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程、を含む方法である。
【0007】
また、本明細書で開示されるのは、ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニットにおいてプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流と熱分解ガス流とに変換する工程、(b)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物がC+炭化水素類を含む工程、(c)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流がC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(d)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、(e)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(f)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、(g)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、(h)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、(i)前記C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程、を含む方法である。
【0008】
本明細書でさらに開示されるのは、熱分解ユニット、水素化処理ユニット、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット、改質ユニット、第二芳香族化合物類分離ユニット、第三芳香族化合物類分離ユニット、ならびに不均化およびトランスアルキル化ユニットを含んでなる、ベンゼンおよびキシレン類を製造するシステムであって、前記熱分解ユニットは、プラスチック廃棄物を受け取り、炭化水素類液体流および熱分解ガス流を生成するように構成されており、前記水素化処理ユニットは水素化処理触媒を含み、該水素化処理ユニットは、水素および前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を受け取り、炭化水素産物および第一ガス流を生成するように構成されており、該炭化水素産物はC+炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて約90重量%以上のC10-炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィンを含んでおり、前記任意の第一芳香族化合物類分離ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部を受け取り、飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該飽和炭化水素類流はC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、前記改質ユニットは改質触媒を含み、該改質ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を受け取り、改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成するように構成されており、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多く、前記第二芳香族化合物類分離ユニットは、前記改質ユニット産物の少なくとも一部を受け取り、非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第二芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、前記第三芳香族化合物類分離ユニットは、前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を受け取り、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第一C芳香族化合物類流はベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流はトルエンを含み、該C芳香族化合物類流はキシレン類およびエチルベンゼンを含み、該C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部が前記水素化処理ユニットにリサイクルされ、かつ、前記不均化およびトランスアルキル化ユニットは不均化およびトランスアルキル化触媒を含み、該不均化およびトランスアルキル化ユニットは、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを受け取り、第三芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第三芳香族化合物類流はベンゼンおよびキシレン類を含み、前記第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せのうちのC+芳香族炭化水素類の含有量が、該第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて約5重量%未満であるシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムの構成を示す図。
図2A】ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムの別の構成を示す図。
図2B】ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムのさらに別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示されているのは、炭化水素類液体流、たとえばプラスチック廃棄物を処理することによって製造される炭化水素類液体流からベンゼン類およびキシレン類などの高価値産物を製造するためのプロセスおよびシステムである。この方法は、少量のパラフィン類、イソパラフィン類、オレフィン類およびナフタレン類とともに、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン類のような芳香族化合物類を高収率として、ガスを最少化するとともに液体産物を最大化しつつ、廃棄プラスチックを変換することを含む。プラスチック廃棄物は、低温または高温の熱分解、および熱または触媒熱分解によって分解または熱分解することができ、熱分解産物の組成は、プロセス条件および触媒を変えることによって所望の産物を最大にするように変えることができる。次いで、ベンゼンを熱分解産物から回収することができ、残りの液体産物をさらにベンゼンのような芳香族化合物類に変換することができる。ベンゼン生成を最大にするために、低過酷度および/または高過酷度熱分解から得られた液体をさらに水素化分解および/または水素化処理して、重質物の沸点を下げることができ(たとえば、重質物を大部分C10-炭化水素類に分解できる)、液体オレフィンを飽和させることもできる。C10+重質物をC10-材料に変換するための水素化分解および/または水素化処理反応は、ナフテン類の異性化、パラフィン類のナフテン類への脱水素環化、ナフテン類の芳香族化合物類への脱水素化、水素化分解など、またはそれらの組み合わせを含みうる。水素化分解および/または水素化処理から回収された処理液は、さらに、芳香族化合物類抽出および/または他の炭化水素類を芳香族化合物類に変換するための改質に、付することができる。6個を超える炭素原子を有する芳香族産物は、不均化によりベンゼンに変換することができる。トルエンとともにC+材料を含む重質分は、ベンゼンおよびキシレン類の全収率を最大にするために不均化およびトランスアルキル化反応に付することができる。
【0011】
操作実施例以外にまたは他に指示がある場合を除き、明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件などに関する全ての数または表現は、全ての場合において用語「約」により修飾されると理解されるべきである。様々な数値範囲が本明細書に開示されている。これらの範囲は連続的なので、最小値と最大値の間のすべての値が含まれる。同じ特徴または構成要素を列挙しているすべての範囲の終点は、独立して組み合わせ可能でありおよび列挙された終点を含む。他に明示的に示されない限り、本出願において特定される様々な数値範囲は近似値である。同じ成分または特性を対象とするすべての範囲の端点は、端点を含み、独立して組み合わせることができる。「X以上」という用語は、指定された成分が値X、およびXより大きい値の量で存在することを意味する。
【0012】
用語「a」、「an」および「the」は、量の制限を意味するのではなく、むしろ言及された項目のうちの少なくとも一つの存在を意味する。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示対象を含む。
【0013】
本明細書で使用されるとき、「それらの組み合わせ」は、列挙された要素のうちの一つまたは複数を、任意に、列挙されていない同様の要素とともに含み、たとえば、一つまたは複数の指定された構成要素と、任意に、本質的に同じ機能を有する具体的に指定されていない一つまたは複数の他の構成要素との組み合わせを含む。本明細書で使用されるとき、用語「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応産物などを含む。
【0014】
本明細書における開示の目的において、特に断りのない限り、「量」という用語は、その特定の組成物の全重量(たとえば、その特定の組成物中に存在する全成分の全重量)に基づく、特定の組成物中の所定の成分の重量%を指す。
【0015】
たとえば混合プラスチック(たとえばプラスチック廃棄物)からベンゼンおよびキシレン類を製造する方法を、図1を参照してより詳細に説明する。
【0016】
図1を参照すると、ベンゼンおよびキシレン類製造システム100が開示されている。ベンゼンおよびキシレン類製造システム100は、一般に、熱分解ユニット10、水素化処理ユニット20、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット30、改質ユニット40、第二芳香族化合物類分離ユニット50、第三芳香族化合物類分離ユニット60、ならびに、不均化およびトランスアルキル化ユニット70(たとえば、Tatorayユニット)を含む。
【0017】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、熱分解ユニット内でプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流および熱分解ガス流に変換する工程を含むことができる。この方法は、廃棄プラスチックを熱分解ユニットに導入して熱分解産物を製造することを含むことができ、ここで熱分解産物は気相と液相とを含む。
【0018】
混合プラスチック(たとえば、廃棄プラスチック)は、熱分解ユニット10に入れるか、または廃棄プラスチック流11を介して熱分解ユニット10に供給することができる。熱分解ユニット10では、廃棄プラスチック流11は熱分解を介して熱分解産物に変換され、その熱分解産物は気相(たとえば、C~Cガス、水素(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、塩酸(HCl)ガスなどの熱分解ガス)および液相(たとえば、熱分解液)を含む。
【0019】
廃棄プラスチック流11を介して熱分解ユニット10に装填または供給する(loaded into or fed to)ことができるプラスチック廃棄物は、混合プラスチック廃棄物のような消費後廃棄プラスチックを含みうる。混合プラスチックは、非塩素化プラスチック(たとえば、ポリオレフィン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、コポリマーなど)、塩素化プラスチック(たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)など)など、またはそれらの混合物を含みうる。一般に、廃棄プラスチックは長鎖分子またはポリマー炭化水素類を含む。本明細書に開示される廃棄プラスチックは、使用済みタイヤも含む。
【0020】
熱分解ユニット10は、廃棄プラスチックを気相および液相産物に(たとえば同時に)変換するように構成された任意の適切な容器でありうる。容器は、気相、液相、気液相、気固相、液固相、またはスラリー相の操作用に構成することができる。容器は、砂、ゼオライト、アルミナ、接触分解触媒、またはそれらの組み合わせを含む不活性材料または熱分解触媒の一つ以上の床を含みうる。一般に、熱分解触媒は、熱分解ユニット10内で熱分解プロセスを受ける構成要素に熱を伝達することができる。あるいは、熱分解ユニット10は、触媒なしで動作させることができる(たとえば、純粋熱分解)。熱分解ユニット10は、断熱的に、等温的に、非断熱的に、非等温的に、またはそれらの組み合わせで運転することができる。本開示の熱分解反応は、一段階または多段階で実施することができる。たとえば、熱分解ユニット10は、直列に流体接続された二つの反応容器でありうる。
【0021】
熱分解ユニット10が二つの容器を含む構成では、熱分解プロセスは、第一の容器内で行われる第一の段階と、第二の容器内で行われる第一の段階の下流で流体接続される第二の段階とに分けられうる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りて、第二の段階は、第一の段階から第二の段階へ流れる中間熱分解産物流の熱分解を促進して、第二の段階から流れる熱分解産物を生成することができる。いくつかの構成では、第一の段階は廃棄プラスチックの熱分解を利用し、第二の段階は廃棄プラスチックの熱分解または接触分解を利用して第二の段階から流れる熱分解産物を生じさせることができる。あるいは、第一の段階で廃棄プラスチックの接触分解を利用し、第二の段階で廃棄プラスチックの熱分解または接触分解を利用して第二の段階から流れる熱分解産物を得ることができる。
【0022】
いくつかの構成では、熱分解ユニット10は、混合プラスチックを気相産物および液相産物に変換するように構成された一つまたは複数の装置を含みうる。一つ以上の装置は、上記のような不活性材料または熱分解触媒を含んでも含まなくてもよい。そのような装置の例には、一つ以上の加熱押出機、加熱回転キルン、加熱タンク型反応器、充填床反応器、バブリング流動床反応器、循環流動床反応器、空の加熱容器、プラスチックが壁に沿って流下してクラッキングする密閉加熱面、オーブンまたは炉に囲まれた容器、またはクラッキングを助長するために加熱面を提供する他の適切な機器が含まれる。
【0023】
熱分解ユニット10は、熱分解(たとえば、クラッキング)するように構成することができ、いくつかの態様においては(たとえば、水素が熱分解ユニット10に添加される場合)、熱分解ユニット10に供給される廃棄プラスチック流11の成分をさらに水素化する。熱分解ユニット10内で起こりうる反応の例としては、一つ以上のノルマルパラフィン類の一つ以上のi-パラフィン類への異性化、一つ以上のシクロパラフィン類の一つ以上のi-パラフィン類への選択的開環、長鎖分子から短鎖分子へのクラッキング、ヘテロ原子含有炭化水素類からのヘテロ原子の除去(たとえば、脱塩素)、プロセスで発生したコークスの水素化、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
熱分解ユニット10の一つ以上の構成において、熱分解段階(廃棄プラスチックの液相および/または気相産物への変換)の全体または一部においてヘッドスペースパージガスを利用することによって、プラスチックの分解を促進する、価値ある産物を生産する、水蒸気分解のための供給原料を提供する、またはそれらの組み合わせを行うことができる。ヘッドスペースパージガスとしては、水素(H)、C~C炭化水素ガス(たとえば、アルカン類、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン)、不活性ガス類(たとえば、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、蒸気)など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。廃棄プラスチックが塩素化プラスチックを含む場合、ヘッドスペースパージガスの使用は、熱分解ユニット10内の脱塩素を助ける。ヘッドスペースパージガスを熱分解ユニット10に導入して、熱分解ユニット10内に存在する溶融混合プラスチックに混入した揮発物の除去を促進することができる。
【0025】
たとえば、廃棄プラスチック流11とは無関係に熱分解ユニットに直接供給されるH含有流を介して、水素(H)含有流を熱分解ユニット10に添加することにより、熱分解ユニット環境をHで富化する、熱分解ユニット内に閉じ込められた水素をストリッピングするのを助ける、熱分解溶融物または液体中の水素に富む局所環境を提供する、またはそれらの組み合わせを奏することができる。いくつかの態様では、プラスチック供給物を用いた水素処理のために適切な安全対策が組み込まれた状態で、Hを流11とともに熱分解ユニット10に導入することもできる。
【0026】
熱分解ユニット10は、水素の存在下で、または水素とともに、廃棄プラスチック流11の成分のあらゆる反応を促進することができる。不飽和分子(たとえば、オレフィン類)の二重結合への水素原子の付加などの反応が起こる可能性があり、飽和分子(たとえば、パラフィン類、i-パラフィン類、ナフテン類)を生じる。追加的または代替的に、熱分解ユニット10内の反応は、有機化合物の結合の開裂を引き起こすことがあり、その後、反応および/またはヘテロ原子の水素との置換を伴う。
【0027】
熱分解ユニット10における水素の使用は、i)クラッキングの結果としてのコークスを減らす、ii)プロセス中に使用される触媒(もしあれば)を活性状態に保つ、iii)熱分解ユニット10からの熱分解産物が廃棄プラスチック流11に対して実質的に脱塩素化されるように流11からの塩化物の除去を改善し、熱分解ユニット10の下流のユニットにおける塩化物除去要求を最小にする、iv)オレフィン類を水素化する、v)熱分解産物中のジオレフィン類を減少させる、vi)熱分解ユニット10内の廃棄プラスチック流11の同レベルの変換のために低温で熱分解ユニット10を操作するのを助ける、またはi)~vi)の組み合わせの有益な効果を有することができる。
【0028】
熱分解ユニット10における熱分解プロセスは、低過酷度または高過酷度でありうる。低過酷度熱分解プロセスは、250℃~450℃、あるいは275℃~425℃、あるいは300℃~400℃の温度で起こる可能性があり、かなりの量の芳香族化合物類とともにモノオレフィン類およびジオレフィン類に富む熱分解油を生成しうる。高過酷度熱分解プロセスは、450℃~750℃、あるいは500℃~700℃、あるいは550℃~650℃の温度で起こる可能性があり、芳香族化合物類に富む熱分解油を生成しうる。
【0029】
廃棄プラスチックの熱分解プロセスの一例が米国特許第8895790号明細書(特許文献1)に開示されており、これはその全体が参考として援用される。熱分解プロセスの別の例が、国際公開第2016/009333号明細書(特許文献2)、および2016年3月30日に出願された米国特許出願第15/085445号明細書(特許文献3)に開示されており、その各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
熱分解産物は、熱分解ユニット10からの流出物として回収され、熱分解分離ユニットに運ばれる(たとえば、ポンプ輸送、重力、圧力差などを介して流れる)ことができる。熱分解産物は、熱分解分離ユニットにおいて熱分解ガス流12と炭化水素類液体流13とに分離することができ、熱分解ガス流12は熱分解産物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素類液体流13は熱分解産物の液相の少なくとも一部を含む。熱分解分離ユニットは、任意の好適な気液分離器、たとえば、蒸気-液体分離器、オイル-ガス分離器、ガス-液体分離器、脱気器、脱液器、スクラバー、トラップ、フラッシュドラム、コンプレッサーサクションドラム、重力分離器、遠心分離器、フィルターベーンセパレーター、ミストエリミネーターパッド、液-ガスコアレッサー、蒸留塔など、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0031】
いくつかの構成では、熱分解分離ユニットは、熱分解産物の一部を炭化水素類液体(たとえば、液体産物)に凝縮しながら炭化水素ガスを気相(たとえば、ガス産物)に残した状態で作動する凝縮器でありうる。液体産物は熱分解分離ユニットから炭化水素類液体流13中を流れ、ガス産物は熱分解分離ユニットから熱分解ガス流12中を流れる。熱分解ガス流12は、H、C~C炭化水素類、不活性ガス類(たとえば、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、水蒸気、CO、CO)など、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
炭化水素類液体流13は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、芳香族化合物類、有機塩化物類、またはそれらの組み合わせを含むことができる。炭化水素類液体流13がパラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類を含むとき、その流れはPIONA流と呼ぶことができ、炭化水素類液体流13がパラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類を含むとき、その流れはPONA流と呼ぶことができる。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13はプラスチック熱分解油および/またはタイヤ熱分解油を含むことができる。
【0033】
本明細書で論じられるように、本明細書に開示される方法の態様は、分子、特に炭化水素類液体流13の重質炭化水素分子の水素化分解を企図する。このように、炭化水素類液体流13の少なくとも一部は重炭化水素分子(たとえば、熱分解油の重質末端とも呼ばれる)を含むと考えられる。一つの態様では、炭化水素類液体流13中の重質炭化水素分子の量は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて10重量%未満でありうる。あるいは、炭化水素類液体流13中の重質炭化水素分子の量は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて10重量%~90重量%でありうる。本明細書において後により詳細に記載されるように、重質炭化水素分子は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、芳香族炭化水素類、またはそれらの組み合わせを含みうる。いくつかの態様では、重質炭化水素分子はC16以上の炭化水素類を含みうる。炭化水素類液体流13中の5、10、15、20、25、30重量%、またはそれ以上の重質炭化水素分子が水素化処理ユニット20内で水素化分解される。
【0034】
炭化水素類液体流13中に存在してもよいパラフィン類の例としては、限定されるものではないが、C~C22のn-パラフィン類およびi-パラフィン類が挙げられる。パラフィン類は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて10重量%未満の量で炭化水素類液体流13中に存在することができる。あるいは、パラフィン類は、炭化水素類液体流13中に、炭化水素類液体流13の全重量に対して10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、またはそれ以上の量で存在することができる。特定の炭化水素類液体流は炭素数22までのパラフィン類を含むが、本開示はパラフィン類の適切な範囲の上限として炭素数22に限定されず、そのパラフィン類はより高い炭素数、たとえば、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、およびそれ以上を含むことができる。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13中のパラフィン類の少なくとも一部は重質炭化水素分子の少なくとも一部を含む。
【0035】
炭化水素類液体流13中に存在しうるオレフィン類の例としては、C~C10オレフィン類およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱分解ユニット10における水素化反応のために水素が熱分解ユニット10に導入される場合、オレフィン類は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて10重量%未満の量で炭化水素類液体流13中に存在しうる。あるいは、オレフィン類は、炭化水素類液体流13中に、炭化水素類液体流13の合計重量に基づいて5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、またはそれ以上の量で存在することができる。特定の炭化水素類流は10までの炭素数のオレフィン類を含むが、本開示はオレフィン類の適切な範囲の上限値としての炭素数10に限定されず、オレフィン類はより高い炭素数、たとえば11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、およびそれ以上を含む。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13中の一つまたは複数のオレフィン類の少なくとも一部は、重質炭化水素分子の少なくとも一部を含む。あるいは、炭化水素類液体流13中の重質炭化水素分子はいずれもオレフィン類ではない。
【0036】
いくつかの態様では、炭化水素類液体流13はオレフィン類を含まず、たとえば炭化水素類液体流13は実質的にオレフィン類を含まない。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13は、1、0.1、0.01、または0.001重量%未満のオレフィン類を含む。
【0037】
炭化水素類液体流13中に存在しうるナフテン類の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびシクロオクタンが挙げられるが、これらに限定されない。ナフテン類は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて、10重量%未満の量で炭化水素類液体流13中に存在することができる。あるいは、ナフテン類は、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、またはそれ以上の量で炭化水素類液体流13中に存在することができる。特定の炭化水素類流は炭素数8までのナフテン類を含むが、本開示はナフテン類の適切な範囲の上限として炭素数8に限定されず、ナフテン類はより高い炭素数、たとえば9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、およびそれ以上を含むことができる。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13中のナフテン類の少なくとも一部は重質炭化水素分子の少なくとも一部を含む。
【0038】
炭化水素類液体流13は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、およびそれ以上の炭素数を有する芳香族炭化水素類を含むことができる。一つの態様では、芳香族炭化水素類の炭素数は22程度でありうる。炭化水素類液体流13の一部として本開示での使用に適した芳香族炭化水素類の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、プロピルベンゼン類、トリメチルベンゼン類、テトラメチルベンゼン類、ブチルベンゼン類、ジメチルナフタレン、ビフェニルなど、またはそれらの組み合わせが挙げられる。芳香族炭化水素類は、炭化水素類液体流13中に、炭化水素類液体流13の全重量に基づいて5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、50重量%、60重量%、またはそれ以上の量で存在することができる。いくつかの態様では、炭化水素類液体流13中の芳香族炭化水素類の少なくとも一部は重質炭化水素分子の少なくとも一部を含む。
【0039】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法は、水素化処理ユニット20において水素(たとえば、水素流23)の存在下で炭化水素類液体流13を水素化処理触媒と接触させて、炭化水素産物流21および第一ガス流22を生成する工程を含むことができ、その炭化水素産物流21はC+炭化水素類を含む。第一ガス流22は、H、C~C炭化水素類、不活性ガス類(たとえば、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、水蒸気、CO、CO)など、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0040】
水素化処理ユニット20は、水素化分解ユニット、水素化熱分解モードで操作される接触分解ユニット、水素化分解モードで操作される流動接触分解ユニット、水素化処理装置など、またはそれらの組み合わせのような任意の適切な水素化処理反応器(たとえば、ハイドロプロセッサー)でありうる。水素化処理ユニット20は、長鎖分子(たとえば、炭化水素類液体流13に含まれる重質炭化水素分子)を水添分解し、水素化処理ユニット20に供給された炭化水素類液体流13の成分を水素化および脱塩素化(流13が塩化物を含む場合)するように構成されている。水素化処理ユニット20において、炭化水素類液体流13が水素の存在下で水素化処理触媒と接触されて炭化水素産物流21が生成される。炭化水素類液体流13、H流またはそれらの組み合わせを段階的に添加してまたは添加せずに、炭化水素類液体流13を、上向流、下向流、半径方向流またはそれらの組み合わせで、水素化処理触媒と接触させることができると考えられる。
【0041】
水素化処理ユニット20は、本明細書に開示された水素化処理触媒を収容するように構成された任意の容器とすることができる。容器は、気相、液相、気液相、気液固相、またはスラリー相の操作用に構成することができる。水素化処理ユニット20は、固定床、流動床、移動床、沸騰床、スラリー床、またはそれらの組み合わせの構成で、水素化処理触媒の一つ以上の床を含みうる。水素化処理ユニット20は、断熱的に、等温的に、非断熱的に、非等温的に、またはそれらの組み合わせで運転することができる。一つの態様では、水素化処理ユニット20は一つまたは複数の容器を含むことができる。
【0042】
水素化処理ユニット20は、水素の存在下または水素とともに、炭化水素類液体流13の構成要素の任意の反応を促進することができる。反応は、不飽和分子(たとえば、オレフィン類、芳香族化合物類)の二重結合への水素原子の付加として起こる可能性があり、飽和分子(たとえば、パラフィン類、i-パラフィン類、ナフテン類)を生じる。さらに、水素化処理ユニット20内での反応は、有機化合物の結合の開裂を引き起こし、炭化水素分子の二つ以上のより小さな炭化水素分子への「クラッキング」をもたらし、またはその後の反応および/またはヘテロ原子の水素での置換をもたらす。水素化処理ユニット20で起こりうる反応の例としては、オレフィン類の水素化、ヘテロ原子含有炭化水素類からのヘテロ原子の除去(たとえば、脱塩素化)、長鎖パラフィン類またはi-パラフィン類の短鎖炭化水素分子への水素化分解、芳香族炭化水素類からより小さい環式または非環式炭化水素類への水素化分解、一種以上の芳香族化合物類から一種以上のシクロパラフィン類への変換、一種以上のノルマルパラフィン類から一種以上のi-パラフィン類への異性化、一種以上のシクロパラフィン類から一種以上のi-パラフィン類への選択的開環、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
一つの態様では、水素の存在下で炭化水素類液体流13を水素化処理触媒と接触させると、C~CガスおよびC+(C以上の重質)液体炭化水素類が生じる。廃棄プラスチック流11が塩化物を含有するとき、本明細書に記載されるような水素化処理触媒を用いた脱塩素化を、塩素吸着剤を使用することなく、脱塩素剤として機能するのに有効な量のNaCOを添加することなく、またはその両方の条件で、水素化処理ユニット20内で行いうると考えられる。
【0044】
水素化処理触媒は、オレフィン類および芳香族炭化水素類の水素化(たとえば、飽和)に使用される任意の触媒(たとえば、市販の水素化処理触媒)であってもよい。水素化処理触媒は、アルミナ担体上のコバルトおよびモリブデン触媒(Co-Mo触媒)、アルミナ担体上のニッケルおよびモリブデン触媒(Ni-Mo触媒)、アルミナ担体上のタングステンおよびモリブデン触媒(W-Mo触媒)、アルミナ担体上の酸化コバルトおよび酸化モリブデン、アルミナ担体上の酸化ニッケルおよび酸化モリブデン、アルミナ担体上の酸化タングステンおよび酸化モリブデン、アルミナ担体上の硫化コバルトおよび硫化モリブデン、アルミナ担体上の硫化ニッケルおよび硫化モリブデン、アルミナ担体上の硫化タングステンおよび硫化モリブデン、一種以上の金属を含むゼオライトなど、またはそれらの組み合わせ、を含むことができる。水素化処理触媒としての使用に適した他の触媒としては、アルミナ担体上の白金およびパラジウム触媒(Pt-Pd触媒)、スラリー加工に適した硫化ニッケル、スラリー加工に適した硫化モリブデンなど、またはそれらの組み合わせが挙げられる。ゼオライトは、ZSM-5、ZSM-11、Y、高シリカY、USYなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。ゼオライトの一種以上の金属の各金属は、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、銅、マグネシウム、スズ、鉄、亜鉛、タングステン、バナジウム、ガリウム、カルシウム、マンガン、ルテニウムおよびレニウムからなる群より独立して選択することができる。
【0045】
炭化水素類液体流13が一種以上の硫化物類および一種以上の塩化物化合物類を含有する構成では、炭化水素類液体流13を水素化処理触媒と接触させることは、硫化によって水素化処理触媒を活性化し、塩素化によって水素化処理触媒を酸性化するように作用する。水素化処理触媒を、一種以上の硫化物類、一種以上の塩化物化合物類、またはその両方を含有する炭化水素類液体流13と連続的に接触させると、触媒活性を連続的に維持することができる。本明細書の開示の目的において、水素化処理触媒に関する用語「触媒の活性」または「触媒活性」は、水素化分解反応、水素化脱塩素化反応などの水素化処理反応を触媒する水素化処理触媒の能力を指す。
【0046】
たとえば、炭化水素類液体流13とは無関係に直接水素化処理ユニットに供給される流れ23を介して、水素化処理ユニット20に水素流23を添加して、水素化処理ユニット環境をHで富化することができる。追加的または代替的に、水素化処理ユニット20に入る前に、H含有流を炭化水素類液体流13に加えることができる。水素化処理ユニット20への水素添加速度は、本明細書に開示される水素対炭化水素類の比を達成するのに一般的に十分である。
【0047】
開示された水素化処理ユニット20は様々な処理条件で運転することができる。たとえば、水素の存在下で炭化水素類液体流13を水素化処理触媒と接触させることは、水素化処理ユニット20内で250℃~600℃、あるいは275℃~550℃、あるいは300℃~500℃の温度で起こりうる。水素化処理ユニット20内の温度は、供給原料(たとえば、炭化水素類液体流13)予熱炉および/または供給原料-水素化処理ユニット流出物熱交換器を使用することによって達成することができる。炭化水素類液体流13を水素の存在下で水素化処理触媒と接触させることは、水素化処理ユニット20において1barg~200barg、あるいは10barg~150barg、あるいは20barg~60bargの圧力で起こりうる。炭化水素類液体流13を水素の存在下で水素化処理触媒と接触させることは、水素化処理ユニット20において0.1/hr~10/hr、あるいは1/hr~3/hrの重量時間空間速度(WHSV)で起こりうる。炭化水素類液体流13を水素の存在下で水素化処理触媒と接触させることは、水素化処理ユニット20において10NL/L~3000NL/L、あるいは200NL/L~800NL/Lの水素対炭化水素類(H/HC)流量比で起こりうる。
【0048】
いくつかの構成では、水素化処理ユニット20は、精製操作で使用されるマイルド水素化分解ユニットなどのマイルド水素化分解ユニットであってよく、水素化処理ユニット20は100bargまでの圧力および430℃までの温度で操作できる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りて、水素化処理ユニット20は、水素消費を節約し、単環式芳香族化合物類(および飽和の二環式芳香族化合物類および多環式芳香族化合物類、ならびにオレフィン類のみ)を保存するために、より低い圧力で運転することができる。一般に、マイルド水素化分解ユニットは、マイルド水素化分解ユニットに導入された液体オレフィン類を飽和させることができ、および選択的分解および水素化によって重質分を減らすことができ、その結果、単環芳香族化合物類の少なくとも一部を保存できる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、プラスチック熱分解油は石油残留物と比較して水素含有量が豊富であるので、100barg未満のより低い圧力で水素化処理を行うことが可能である。さらに、当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、100bargを超えるより高い圧力もプラスチック熱分解油とともに使用することができる。
【0049】
いくつかの態様では、水素化処理ユニット20はさらに水素化脱アルキル化ユニットを含むことができ、ここで水素化脱アルキル化ユニットは水素化脱アルキル化触媒を含むことができる。水素化脱アルキル化ユニットは、水素化分解ユニット、水素化分解モードで操作される接触分解ユニット、水素化分解モードで操作される流動接触分解ユニット、水素化処理ユニット、水素化脱アルキル化反応器など、またはそれらの組み合わせのような任意の適切な水素化処理装置でありうる。水素化脱アルキル化ユニットは、水素化脱アルキル化するように、およびいくつかの構成では、炭化水素類液体流13の成分をさらに水素化分解、脱塩素化および水素化するように構成することができる。
【0050】
水素化脱アルキル化ユニットは、本明細書に開示されている水素化脱アルキル化触媒を収容するように構成された任意の容器でありうる。容器は、気相、液相、気液相、気固相、気液固相、またはスラリー相の操作用に構成することができる。水素化脱アルキル化ユニットは、固定床、流動床、移動床、沸騰床、スラリー床、またはそれらの組み合わせにおける一つ以上の水素化脱アルキル化触媒の床を含みうる。水素化脱アルキル化ユニットは、断熱的に、等温的に、非断熱的に、非等温的に、またはそれらの組み合わせで運転することができる。一つの態様では、水素化脱アルキル化ユニットは一つまたは複数の容器を含みうる。
【0051】
水素化脱アルキル化ユニットは、水素の存在下または水素とともに炭化水素類液体流13の成分の任意の適切な反応を促進しうる。水素化脱アルキル化ユニットにおける反応は、C+芳香族炭化水素類の水素化脱アルキル化反応を含み、ここで、水素の存在下でのC+芳香族炭化水素類は、低分子量芳香族炭化水素類(たとえば、C6-8芳香族炭化水素類)およびアルカン類を形成する。たとえば、トリメチルベンゼン類は水素化脱アルキル化反応を受けてキシレン類およびメタンを生成することができる。不飽和分子(たとえば、オレフィン類、芳香族化合物類)の二重結合に水素原子が付加するなど、他の反応が水素化脱アルキル化ユニットにおいて起こる可能性があり、飽和分子(たとえば、パラフィン類、i-パラフィン類、ナフテン類)をもたらす。さらに、水素化脱アルキル化ユニット中の反応は、有機化合物の結合の切断を引き起こし、炭化水素分子の二つ以上のより小さい炭化水素分子への「クラッキング」をもたらし、または後続の反応および/またはヘテロ原子の水素による置換をもたらす。水素化脱アルキル化ユニット中で起こりうる反応の例には、C+芳香族炭化水素類の水素化脱アルキル化、オレフィン類の水素化、ヘテロ原子含有炭化水素類からのヘテロ原子の除去(たとえば脱塩素)、高分子量のパラフィン類またはi-パラフィン類の低分子量の炭化水素分子への水素化分解、芳香族炭化水素類からより小さい環式または非環式炭化水素類への水素化分解、一種以上の芳香族化合物類から一種以上のシクロパラフィン類への変換、一種以上のノルマルパラフィン類から一種以上のi-パラフィン類への異性化、一種以上のシクロパラフィン類から一種以上のi-パラフィン類への選択的開環、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
水素化脱アルキル化触媒は、水素化処理触媒について記載された触媒のような、オレフィン類および芳香族炭化水素類の水素化(たとえば、飽和)に使用される任意の適切な触媒でありうる(たとえば、市販の水素化処理触媒)。さらに、水素化脱アルキル化触媒は、アルミナ担体上の酸化クロム、シリカ担体上の酸化クロム、アルミナ担体上の酸化モリブデン、シリカ担体上の酸化モリブデン、アルミナ担体上の白金、シリカ担体上の白金、アルミナ担体上の白金酸化物、シリカ担体上の白金酸化物など、またはそれらの組み合わせのような、任意の適切な水素化脱アルキル化触媒(たとえば、市販の水素化脱アルキル化触媒)でありうる。
【0053】
炭化水素産物流21はC+液体炭化水素類を含み、C+液体炭化水素類は重質炭化水素分子を含む。水素化処理ユニット20において水素の存在下で炭化水素類液体流13を水素化処理触媒と接触させる工程の間の、炭化水素類液体流からの重質炭化水素分子の少なくとも一部の水素化分解が原因で、炭化水素産物流21中の重質炭化水素分子の量は、炭化水素類液体流13中の重質炭化水素分子の量より少ない。
【0054】
いくつかの態様では、炭化水素産物流21は、炭化水素産物流21の全重量に基づいて約90重量%以上、あるいは約92.5重量%以上、あるいは約95重量%以上のC10-炭化水素類を含むことができる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、水素化処理ユニット20の内部の条件は、生成された炭化水素産物がほとんどC10-炭化水素類を含むようなものでありうる。
【0055】
いくつかの態様では、炭化水素産物流21は、炭化水素産物流21の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類を含むことができる。
【0056】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法は、炭化水素産物流の少なくとも一部21aを第一芳香族化合物類分離ユニット30に任意に導入して飽和炭化水素類流31および第一芳香族化合物類流32を生成する工程を含むことができ、飽和炭化水素類流31はC+飽和炭化水素類を含み、第一芳香族化合物類流32はC+芳香族炭化水素類を含む。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、飽和炭化水素類流31のC+飽和炭化水素類は(i)C+芳香族炭化水素類を排除し、(ii)C+オレフィン類を排除し、(iii)C+パラフィン類、イソパラフィン類およびナフテン類を含む。第一芳香族化合物類流32は、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C10芳香族炭化水素類、およびこれらの組み合わせを含む。
【0057】
第一芳香族化合物類分離ユニット30は、炭化水素産物流21を飽和炭化水素類流31と第一芳香族化合物類流32とに分離するように構成された任意の適切な分離ユニットを含むことができる。たとえば、第一芳香族化合物類分離ユニット30は、選択的吸着、選択的吸収、抽出蒸留、溶媒抽出とそれに続く蒸留など、またはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0058】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、炭化水素産物流21の少なくとも一部および/または飽和炭化水素類流31の少なくとも一部を改質ユニット40(たとえば、改質器40)に供給して、改質ユニット産物流41(たとえば、改質器産物流41)、第二ガス流42および水素流43を生成することを含むことができ、該改質ユニット40は改質触媒を含む。一つの態様では、水素流43の少なくとも一部を、たとえば水素流23を介して水素化処理ユニット20にリサイクルすることができる。第二ガス流42は、HおよびC~C炭化水素類を含むことができる。
【0059】
いくつかの態様では、熱分解ガス流12の少なくとも一部、第一ガス流22の少なくとも一部、第二ガス流42の少なくとも一部、またはそれらの組み合わせを、熱分解ユニット10、水素化処理ユニット20、改質ユニット40、またはそれらの組み合わせにおいて燃料として使用することができる。
【0060】
改質ユニット40は、連続触媒改質器(CCR)、半再生改質器、AROMAXユニットなど、またはそれらの組み合わせのような任意の適切な芳香族化ユニットを含むことができる。芳香族化ユニットは、一般に、特定の芳香族化合物類の供給源としてナフテン類およびパラフィン類から芳香族化合物類を製造する。いくつかの態様では、改質ユニット40への供給物(たとえば、炭化水素産物流21および/または飽和炭化水素類流31)は、一般に、ベンゼン、トルエンおよびキシレン類のようなC~C芳香族炭化水素類の製造を最大化するためにC~C10化合物に制限することができる。一つの態様では、改質ユニット産物流41中のC~C芳香族炭化水素類の量は、炭化水素産物流21および/または飽和炭化水素類流31中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い。
【0061】
改質ユニット40は、改質触媒の存在下で、炭化水素産物流21および/または飽和炭化水素類流31の成分のあらゆる適切な反応を促進することができる。改質ユニット40における反応は、ナフテン類の芳香族化合物類への脱水素化、パラフィン類およびナフテン類の異性化、パラフィン類の芳香族化合物類への脱水環化など、またはそれらの組み合わせを含む。
【0062】
改質触媒は、炭化水素類芳香族化に使用される任意の適切な触媒でありうる。改質触媒は、単金属(たとえば、Pt)、二金属(Pt、Re)、多金属(たとえば、Pt、Re、Pd、Niなど)でありうる。改質触媒の金属は一般に、脱水素化および水素化を促進し、ならびに脱水素環化および異性化に寄与する。改質触媒は酸活性を有することができる(たとえば、アルミナベースに組み込まれたハロゲン/シリカ)。酸活性は異性化、水素化分解の最初の段階、ならびにパラフィン脱水素環化への関与を促進する。
【0063】
改質ユニット産物流41は、改質ユニット産物流41の全重量に基づいて、約55重量%、65重量%または75重量%以上の芳香族炭化水素類を含み、および約45重量%、35重量%または25重量%未満の非芳香族炭化水素類(たとえば、パラフィン類、イソパラフィン類、ナフテン類)を含むことができる。
【0064】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、改質ユニット産物流41の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニット50に導入して非芳香族化合物類リサイクル流51および第二芳香族化合物類流52を生成する工程を含むことができ、第二芳香族化合物類流52は、C+芳香族炭化水素類を含む。第二芳香族化合物類流52は、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C芳香族炭化水素類、C10芳香族炭化水素類、およびそれらの組み合わせを含む。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、非芳香族化合物類リサイクル流51は(i)C+芳香族炭化水素類を排除し、(ii)C+パラフィン類、イソパラフィン類およびナフテン類を含む。さらに、当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、改質ユニットまたは改質器への供給物は、一般に、パラフィン類、イソパラフィン類、ナフテン類および芳香族化合物類を含み、オレフィン類は含まないが、芳香族化合物類は、改質ユニットへの供給物から分離することができ、そのような場合、非芳香族化合物類リサイクル流51および/または飽和炭化水素類流31の場合のように、改質ユニットへの供給物はパラフィン類、イソパラフィン類およびナフテン類を含むことができる。
【0065】
第二芳香族化合物類分離ユニット50は、改質ユニット産物流41を非芳香族化合物類リサイクル流51と第二芳香族化合物類流52とに分離するように構成された任意の適切な分離ユニットを含むことができる。たとえば、第二芳香族化合物類分離ユニット50は、選択的吸着、選択的吸収、抽出蒸留、溶媒抽出とそれに続く蒸留など、またはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0066】
いくつかの態様では、非芳香族化合物類リサイクル流51の少なくとも一部を改質ユニット40にリサイクルすることができる。他の態様では、非芳香族化合物類リサイクル流51の少なくとも一部を熱分解ユニット10および/または水素化処理ユニット20にリサイクルすることができる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、所望の生成物が液体芳香族化合物類であるとき、非芳香族化合物類リサイクル流51を改質ユニット40にリサイクルすることが好ましい。さらに、当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、熱分解ガス流12および/または第一ガス流22のようなガス産物を最大にすることが望まれる場合、非芳香族化合物類リサイクル流51をそれぞれ熱分解ユニット10および/または水素化処理ユニット20にリサイクルすることが好ましい。
【0067】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、第一芳香族化合物類流32の少なくとも一部および/または第二芳香族化合物類流52の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニット60に導入して、第一C芳香族化合物類流61、C芳香族化合物類流62、C芳香族化合物類流63、C芳香族化合物類流64、C10芳香族化合物類流65、およびC11+芳香族化合物類流66を生成することを含むことができ、第一C芳香族化合物類流61はベンゼンを含み、C芳香族化合物類流62はトルエンを含み、C芳香族化合物類流63はキシレン類およびエチルベンゼン(EB)を含む。C芳香族化合物類流64は、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼンなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。C10芳香族化合物類流65は、テトラメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルプロピルベンゼンなど、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0068】
第三芳香族化合物類分離ユニット60は、第一芳香族化合物類流32および/または第二芳香族化合物類流52をその成分(たとえば、流61、62、63、64、65および66)に分離するように構成された任意の適切な分離ユニットを含むことができる。いくつかの態様では、第三芳香族化合物類分離ユニット60は一つまたは複数の蒸留塔を含むことができる。一般に、一つ以上の蒸留塔は、第一芳香族化合物類流32および/または第二芳香族化合物類流52の成分をそれらの沸点に基づいて分離することができる。
【0069】
いくつかの態様では、C11+芳香族化合物類流66の少なくとも一部を水素化処理ユニット20に搬送することができる。他の態様では、C11+芳香族化合物類流の一部66aを熱分解ユニット10に搬送することができる。C11+芳香族化合物類流66はメチルブチルベンゼン、ジエチルメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン、2-エチルナフタレン、ジメチルナフタレンなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0070】
いくつかの態様では、ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法は、たとえば抽出蒸留、分別結晶化、モレキュラーシーブを使用する選択的吸着、またはそれらの組み合わせによって、C芳香族化合物類流63を第一キシレン類流とEB流とに分離するステップをさらに含みうる。第一キシレン類流はp-キシレンを含みうる。EB流は、EBと、o-キシレンおよびm-キシレンと、を含みうる。
【0071】
いくつかの態様では、EB流の少なくとも一部をさらに異性化して異性化ユニット中にキシレン類(たとえば、p-キシレン)を生成することができ、異性化ユニットは異性化触媒を含む。異性化触媒は酸触媒、たとえば二官能性触媒を含むことができる。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、二官能性異性化触媒は、一官能性異性化触媒よりもコーキングによる失活に対してより安定である。二官能性異性化触媒は、ゼオライト(たとえば、ZSM-5、モルデナイト)およびアルミナまたはシリカ-アルミナ上に担持された貴金属(たとえば、Pt)を含みうる。触媒コーキングを回避するために異性化ユニットに水素を導入することができる。
【0072】
他の態様では、EB流の少なくとも一部をさらに脱アルキル化して脱アルキル化ユニット中にベンゼンを生成することができ、ここで脱アルキル化ユニットは脱アルキル化触媒を含む。EB脱アルキル化の主産物はベンゼンであり、脱アルキル化触媒は一般に金属担持ゼオライトを含み、ここで金属はPt、Pd、Ni、Moなどでありうる。
【0073】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、不均化およびトランスアルキル化ユニット70において水素の存在下でC芳香族化合物類流の少なくとも一部62a、C芳香族化合物類流64の少なくとも一部、C10芳香族化合物類流65の少なくとも一部、EB流の少なくとも一部、またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒に接触させて第三芳香族化合物類流71を生成することを含むことができ、第三芳香族化合物類流71はベンゼンおよびキシレン類を含む。一つの態様では、不均化およびトランスアルキル化ユニット70は、Tatorayユニット、すなわちTatorayプロセス(たとえば、不均化およびトランスアルキル化プロセス)を収容する不均化およびトランスアルキル化ユニットを含む。
【0074】
不均化およびトランスアルキル化プロセス(たとえば、Tatorayプロセス)は、一般に、たとえばキシレン類(たとえば、パラキシレン)生成を最大にするために、トルエンおよびC芳香族化合物類、場合によってはC10芳香族化合物類を選択的にベンゼンおよびキシレン類に変換するために用いられる。Tatorayプロセスは、トルエンおよび重質芳香族化合物類から混合キシレン類を生成する。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、Tatorayプロセスは一般に化学平衡をベンゼンの生成からキシレン類の生成にシフトさせる。
【0075】
Tatorayプロセスにおける二つの主な反応は、不均化およびトランスアルキル化である。本明細書における開示の目的において、トルエンのベンゼンおよびキシレン類への変換は、「不均化」(たとえば、トルエンの不均化)と呼ぶことができる。さらに、本明細書の開示の目的のために、「トランスアルキル化」という用語は、トルエンとC芳香族類との混合物、場合によってはC10芳香族類の、キシレン類への変換を指す。Tatorayプロセス反応は、触媒上でのコークス形成を最小限に抑えるために水素雰囲気中で行われる。Tatorayプロセスでは無視できるほどの環破壊があるため、水素の消費はほとんどない。Tatorayプロセスにおける水素消費の大部分は、Tatorayユニット(たとえば、不均化およびトランスアルキル化ユニット70)への供給物中の非芳香族不純物の分解に起因しうる。一般に、Tatorayプロセスは、約10~50気圧の全圧、約350~530℃の温度、約0.5~20モル/モルの水素対炭化水素類比、および約70モル%以上のTatoray装置(たとえば、不均化およびトランスアルキル化反応装置70)へのリサイクルガス中の水素濃度で実施することができる。新鮮なおよび/またはリサイクルされた水素とともにTatorayユニットへの供給物を炉内で予熱し、次いでTatoray装置に供給することができる。Tatorayプロセスは、断熱固定床反応器(たとえば、Tatorayユニット)において行うことができる。Tatorayユニットからの産物中の望ましくない芳香族化合物類(たとえば、トルエン、C+芳香族化合物類)は、そのような産物から回収され、Tatorayユニットへの供給物に戻してリサイクルすることができる。
【0076】
一つの態様では、ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法は、水素流43の少なくとも一部を不均化およびトランスアルキル化ユニット70に搬送することをさらに含むことができる。
【0077】
本開示での使用に適した不均化およびトランスアルキル化触媒の非限定的な例には、ゼオライト、約15:1以上のSi/Al比を特徴とするZSM-5、金属を担持したZSM-5(ここで金属は白金、モリブデン、マグネシウム、レニウム、またはそれらの組み合わせを含む)、モルデナイト、酸化ビスマス担持モルデナイト、ベータゼオライト、MCM-22など、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0078】
一つの態様では、第一C芳香族化合物類流61、C芳香族化合物類流63、および第三芳香族化合物類流71の組合せにおけるC+芳香族炭化水素類の含有量は、第一C芳香族化合物類流61、C芳香族化合物類流63、および第三芳香族化合物類流71の組合せの重量に基づいて約5重量%未満、あるいは約3重量%未満、あるいは約1重量%未満である。
【0079】
一つの態様では、第三芳香族化合物類流71は、たとえば蒸留によって、ベンゼンを含む第二C芳香族化合物類流と第二キシレン類流とにさらに分離することができる。いくつかの態様では、第二キシレン類流は、p-キシレン、o-キシレンおよびm-キシレンを含む。第二キシレン類流は、たとえば抽出蒸留、分別結晶化、モレキュラーシーブを使用する選択的吸着、またはそれらの組み合わせによって、p-キシレン画分と、o-キシレンおよびm-キシレン画分とに、さらに分離することができる。
【0080】
一つの態様では、本明細書に開示されているベンゼンおよびキシレン類の製造方法は、約18重量%以上、あるいは約20重量%以上、あるいは約23重量%以上の全ベンゼン収率によって特徴付けることができる。本明細書の開示の目的のために、全ての収率は、他に特定されない限り、プラスチック供給物(たとえば、熱分解ユニットまたは熱分解器に供給されるプラスチック)の全重量の重量%(wt.%)として計算および報告される。さらに、本明細書の開示の目的のために、全ベンゼン収率は、たとえば第一C芳香族化合物類流61および第二C芳香族化合物類流を介して、プロセスから任意の時点で回収されるベンゼンの占める割合を表す。
【0081】
一つの態様では、本明細書に開示されているベンゼンおよびキシレン類の製造方法は、約20重量%以上、あるいは約25重量%以上、あるいは約30重量%以上の全キシレン類収率によって特徴付けることができる。本明細書の開示の目的のために、全キシレン類収率は、たとえば第一キシレン類流および第二キシレン類流を介して、プロセスから任意の時点で回収されるキシレン類の占める割合を表す。
【0082】
一つの態様では、本明細書に開示されるベンゼンおよびキシレン類の製造方法は、約40重量%以上、あるいは約50重量%以上、あるいは約55重量%以上のベンゼンおよびキシレン類の全収率によって特徴付けることができる。
【0083】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、(a)低過酷熱分解ユニットにおいて約350℃~約450℃の温度でおよび/または高過酷熱分解ユニットにおいて約450℃以上の温度でプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流および熱分解ガス流に変換する工程、(b)マイルド水素化分解ユニットにおいて水素の存在下で約300℃~約430℃の温度および約10barg~約100bargの圧力で炭化水素類液体流の少なくとも一部を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物がC+炭化水素類を含む工程、(c)任意に炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流がC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(d)炭化水素産物の少なくとも一部および/または飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、(e)改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(f)非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、(g)第一芳香族化合物類流および/または第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、(h)Tatorayユニット(たとえば、不均化およびトランスアルキル化ユニット)において水素の存在下でC芳香族化合物類流の少なくとも一部、C芳香族化合物類流の少なくとも一部、C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせをTatoray触媒(たとえば、不均化およびトランスアルキル化触媒)と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、(i)C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部をマイルド水素化分解ユニットに搬送する工程、を含むことができる。本明細書に開示されるようなベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、芳香族化合物類の製造を主にベンゼンおよびキシレン類に集中させるために、下流のマイルド水素化分解ユニット、改質ユニットおよびTatorayユニットと組み合わせて、(低過酷度熱分解ユニットに対して)約450℃以上の熱分解温度で作動する高過酷度熱分解ユニットを用いることができるが、低過酷度熱分解ユニットを用いてベンゼンおよびキシレン類を製造するための他の点では類似の方法と比較して、高過酷度熱分解ユニットを用いてベンゼンおよびキシレン類を製造する方法について、ベンゼンおよびキシレン類の収率が低下する。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、熱分解液体(たとえば、炭化水素類液体流13)の収率は、高過酷度熱分解ユニット(たとえば、約50%未満の炭化水素類液体産物収率)において低熱分解ユニットと比較して低下する。これは、高過酷度熱分解ユニットにおいてガス状産物(たとえば、約50%以上)と軽ガスオレフィン類(たとえば、約35%以上)とが同時に高収率であるためである。
【0084】
いくつかの態様では、ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムは、低過酷度熱分解ユニット、マイルド水素化分解ユニット、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット、改質ユニット、第二芳香族化合物類分離ユニット、第三芳香族化合物類分離ユニット、およびTatorayユニット(たとえば、不均化およびトランスアルキル化ユニット)を含むことができ、該低過酷度熱分解ユニットは、プラスチック廃棄物を受け取り、約350℃から約450℃の温度で炭化水素類液体流と熱分解ガス流とを生成するように構成されており、マイルド水素化分解ユニットは水素化処理触媒を含み、マイルド水素化分解ユニットは水素と炭化水素類液体流の少なくとも一部を受け取り、炭化水素産物と第一ガス流を約300℃~約430℃の温度および10barg~約100bargの圧力で生成するように構成されており、該炭化水素産物はC+炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、炭化水素産物の全重量に基づいて約90重量%以上のC10-炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、炭化水素産物の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類を含み、任意の第一芳香族化合物類分離ユニットは、炭化水素産物の少なくとも一部を受け取り、飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該飽和炭化水素類流はC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、改質ユニットは改質触媒を含み、該改質ユニットは、炭化水素産物の少なくとも一部および/または飽和炭化水素類流の少なくとも一部を受け取り、改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成するように構成されており、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多く、第二芳香族化合物類分離ユニットは、改質ユニット産物の少なくとも一部を受け取り、非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第二芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、第三芳香族化合物類分離ユニットは、第一芳香族化合物類流および/または第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を受け取り、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第一C芳香族化合物類流はベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流はトルエンを含み、該C芳香族化合物類流はキシレン類およびエチルベンゼンを含み、該C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部がマイルド水素化分解ユニットにリサイクルされ、および、TatorayユニットはTatoray触媒(たとえば、不均化およびトランスアルキル化触媒)を含み、該Tatorayユニットは、C芳香族化合物類流の少なくとも一部、C芳香族化合物類流の少なくとも一部、C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを受け取り、第三芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第三芳香族化合物類流はベンゼンおよびキシレン類を含み、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せにおけるC+芳香族炭化水素類の含有量が、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて約5重量%未満である。
【0085】
他の態様では、ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムは、高過酷度熱分解ユニット、マイルド水素化分解ユニット、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット、改質ユニット、第二芳香族化合物類分離ユニット、第三芳香族化合物類分離ユニット、およびTatorayユニット(たとえば、不均化およびトランスアルキル化ユニット)を含むことができ、該高過酷度熱分解ユニットは、プラスチック廃棄物を受け取り、約450℃以上の温度で炭化水素類液体流と熱分解ガス流とを生成するように構成されており、マイルド水素化分解ユニットは水素化処理触媒を含み、マイルド水素化分解ユニットは水素と炭化水素類液体流の少なくとも一部を受け取り、炭化水素産物と第一ガス流を約300℃~約430℃の温度および10barg~約100bargの圧力で生成するように構成されており、該炭化水素産物はC+炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、炭化水素産物の全重量に基づいて約90重量%以上のC10-炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、炭化水素産物の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類を含み、任意の第一芳香族化合物類分離ユニットは、炭化水素産物の少なくとも一部を受け取り、飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該飽和炭化水素類流はC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、改質ユニットは改質触媒を含み、該改質ユニットは、炭化水素産物の少なくとも一部および/または飽和炭化水素類流の少なくとも一部を受け取り、改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成するように構成されており、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多く、第二芳香族化合物類分離ユニットは、改質ユニット産物の少なくとも一部を受け取り、非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第二芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、第三芳香族化合物類分離ユニットは、第一芳香族化合物類流および/または第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を受け取り、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第一C芳香族化合物類流はベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流はトルエンを含み、該C芳香族化合物類流はキシレン類およびエチルベンゼンを含み、該C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部がマイルド水素化分解ユニットにリサイクルされ、および、TatorayユニットはTatoray触媒(たとえば、不均化およびトランスアルキル化触媒)を含み、該Tatorayユニットは、C芳香族化合物類流の少なくとも一部、C芳香族化合物類流の少なくとも一部、C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを受け取り、第三芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第三芳香族化合物類流はベンゼンおよびキシレン類を含み、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せのうちのC+芳香族炭化水素類の含有量が、該第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて約5重量%未満である。当業者には理解されるように、および本開示の助けを借りると、低過酷度熱分解ユニットを含む本明細書に開示されるようなベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステムは、高過酷度熱分解ユニットを含むベンゼンおよびキシレン類を製造するための他の点では類似のシステムと比較して、ベンゼンおよびキシレン類のより高い全収率によって特徴付けられ、これは、高過酷度熱分解ユニットについての炭化水素類液体収率と比較して、低過酷度熱分解ユニットについてのより高い炭化水素類液体収率が原因である。
【0086】
本明細書に開示されるようなベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、重質流(たとえば、C11+炭化水素類)の再利用を用いない他の類似の方法と比較したとき、一つ以上のプロセス特性における改善を有利に示しうる。本明細書に開示されるようなプラスチック廃棄物を処理するためのプロセスおよびシステムは、有利には熱分解、水素化分解、芳香族化、ならびに不均化およびトランスアルキル化を統合して、ベンゼンおよびキシレン類のようなC~C範囲の単環芳香族類の生成を最大にする。
【0087】
本明細書に開示されるようなベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、追加のまたは外部の水素入力が必要とされないように、その方法で発生した水素を有利に消費することができる。
【0088】
本明細書に開示されるようなベンゼンおよびキシレン類を製造するための方法は、ポリオレフィンを多く含む供給原料を有利に利用して高収率の芳香族化合物類を製造する。本明細書中に開示されるようにベンゼンおよびキシレン類を製造することのさらなる利点は、この開示を見れば当業者に明らかでありうる。
【実施例
【0089】
課題を一般的に説明してきたが、以下の実施例は、本開示の特定の実施形態として、およびその実施および利点を実証するために与えられている。実施例は説明のために与えられており、特許請求の範囲の仕様をどのようにも限定することを意図するものではないことが理解される。
【0090】
〔実施例1〕
芳香族化合物類の生成を調べるために、混合廃棄プラスチックの低および高過酷度熱分解を行った。混合廃棄プラスチックは、82%のオレフィン系供給物(たとえば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリプロピレン(PP))、11%ポリスチレン(PS)を有しており、残りの7%はポリエチレンテレフタレート(PET)であった。熱分解は、循環流動床、ならびにその場の流動床実験室規模バッチ反応器中で、連続的接触/熱分解で行なった。表1の第1欄のデータは、6の触媒/供給比および約395℃の平均カップ混合温度で運転された実験室規模の反応器からのの低過酷接触分解の結果を提供しており、表1の残りの3列のデータは、表1に示した触媒/供給比に従って運転した連続運転循環流動床パイロット装置からの接触分解データを示している。ZSM-5系ゼオライト添加剤を含み、供給原料と触媒とのカップ混合温度が390~560℃で操作される使用済み流動接触分解(FCC)触媒の異なる組成を用いて分解を行った。すべての場合において、液体中の芳香族化合物類の濃度は、表1のデータから分かるように、75%を超えていた。分解カップ混合の温度は、390℃を超えて維持された。表1のデータは、プラスチック供給物に基づいて240℃未満で沸騰する芳香族化合物類の収率を20重量%から36重量%の高い値まで変えることができ、軽ガスオレフィン類の収率が対応して変化することを示している。
【0091】
【表1】
【0092】
〔実施例2〕
表2中のPONA組成物(たとえば、パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類)は、循環流動床において、実施例1に概説したような触媒混合物を用いて、約450℃でのモジュール式低過酷度分解ユニットにおける熱分解および約452℃の平均カップ混合温度での接触分解の両方からの芳香族濃度を示す。芳香族化合物類の濃度は9~90%の間で変化した。PONA芳香族に富む流れは、改質によってさらに処理されると、多量のC-C高価値芳香族化合物類を生成した。
【表2】
【0093】
〔実施例3〕
循環流動床反応器中での混合プラスチックの連続分解を、触媒の様々な組み合わせで行い、熱分解および接触分解の両方の結果が表3に示されている。
【0094】
【表3-1】
【表3-2】
【0095】
熱分解産物中の芳香族濃度類は、9~87重量%の間で変動することができ、C-C芳香族化合物類の濃度は、5~62重量%の間で変動することができる。C+芳香族化合物類も8~42重量%の間で変動しうる。C芳香族化合物類単独の濃度は、35重量%を超えることができる。
【0096】
図1および2に示される図面によれば、表3に示すデータから分かるように、C、CおよびC10芳香族化合物類の不均化およびトランスアルキル化、アルキル芳香族化合物類のマイルド水素化分解または脱アルキル化、または非芳香族材料の改質が、ベンゼンおよびキシレンの形成を増加させる。さまざまな操作例について、ガソリン留分(<221℃)およびディーゼル留分範囲(221~370℃)における分解液体産物の分布、ならびにガソリン留分中のC-C12芳香族化合物含有量を表3に示す。
【0097】
表3に記載の液体産物(たとえば、表3中の様々な液体画分)は、ベンゼンおよびキシレンの収率を最大にするために、マイルド水素化分解に続いて脱アルキル化することができる。二環式芳香族化合物類および三環式芳香族化合物類を飽和させてアルキル単環式芳香族化合物類を得ることができ、そのようなアルキル単環式芳香族化合物類はマイルド水素化分解工程で脱アルキル化することができる。図1および2にそれぞれ示すように、マイルド水素化分解工程からの液体産物は単環式芳香族化合物類および非芳香族化合物類を有し、それらは「そのまま」下流の改質器に送ることができ、または芳香族抽出後に下流の改質器に送ることができる。改質器は芳香族化合物類の収率を増加させるであろう。Tatorayユニットで特定の芳香族フラクションをさらに処理すると、ベンゼンおよびキシレンの収率が上がる。改質は、一般に、半再生式固定床改質器において、または連続式接触改質器(CCR)型ユニットにおいて実施することができる。半再生式改質器において、芳香族改質油を生成するために、一般に、約18-30bargの圧力および約480から520℃のおよび温度が使用される。
【0098】
〔実施例4〕
ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステム201の構成を図2Aに示す。混合プラスチック廃棄物(たとえば、固体供給物)は、固体の形で低過酷度熱分解器に供給され、次に、その後の液体産物(たとえば、熱分解油(py oil)またはパイガス油)はマイルド水素化分解ユニット(MHC)中で水素化分解されて全ての液体オレフィン類を飽和すると同時に、液体を穏やかなまたは選択的分解および水素化により重質分の減少も行い、次に、MHCからの産物は芳香族類を最大にするために改質器に送られる。改質ユニットからの産物流は次に芳香族装置に送られ、そこでベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)およびエチルベンゼン(EB)が分離される。芳香族ユニットは、ベンゼンおよびキシレン類の収率を高めるために、芳香族抽出ユニットに加えてTatorayユニットを含むこともできる。
【0099】
図1および図2に示されているプロセス概略図に従ってプラスチック供給物が処理される場合の、様々な段階での収率が計算され、表4に示されている。全体として、図2Aに示される概略図によれば、約19重量%の軽ガスオレフィン類(供給された混合プラスチックに基づいて)に加えて、約56重量%の単環式芳香族化合物類(ベンゼンおよびキシレン類、質量比は供給された混合プラスチックに基づく)を生成することが可能である。全体として、製造された高価値化学物質は、供給された混合プラスチックに基づいて約75重量%であった。簡単のため、改質中に生成された水素は表4に示さない。
【0100】
【表4】
【0101】
ベンゼンおよびキシレン類を製造するためのシステム202の構成が図2Bに示されており、ここで混合プラスチック廃棄物(たとえば、固形供給物)は、モジュール式ユニット(MU)中で熱分解され、液体産物(たとえば、熱分解油(py oil)またはパイガス油)の収率はプラスチック供給物に基づいて80重量%、ガス収率は15重量%、およびコークス収率は5重量%であった。システム202内の熱分解MUからの液体産物収率(約80重量%)はシステム201内の循環流動床熱分解器からの液体産物収率(約67重量%)より高いので、システム201と比べてシステム202を用いると芳香族類の高い収率(約60重量%以上)を得ることができるであろう。システム202は、システム201と比較して、ガスおよび軽ガスオレフィン類の収率が低いであろう。システム202において、改質中に生成される水素は、MHCにおいて内部消費されるであろう。
【0102】
高過酷度と低過酷度の熱分解の両方、およびそれに続くマイルド水素化分解および改質
の全体的組み合わせにより、トルエンの変換および重質物の変換により、ベンゼン収率が
20%を超え、キシレン類収率が30%を超える。
【0103】
本開示は、以下の実施形態によってさらに説明されるが、これらの実施形態は、その範囲に制限を課すものとして決して解釈されるべきではない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の精神からまたは添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆されうる様々な他の態様、実施形態、修正、およびそれらの等価物に頼ることができることを明確に理解されたい。
【0104】
〔追加の開示〕
以下は、非限定的な例として提供される実施形態の列挙である。
【0105】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって、(a)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で炭化水素類液体流を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物がC+炭化水素類を含む工程、(b)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流がC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(c)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、(d)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(e)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、(f)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、(g)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、(h)前記C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程を含む第一の態様。
【0106】
前記炭化水素類液体流がプラスチック熱分解油および/またはタイヤ熱分解油を含む第一の態様の方法である第二の態様。
【0107】
熱分解ユニットにおいてプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流および熱分解ガス流に変換することをさらに含む第一または第二の態様の方法である第三の態様。
【0108】
11+芳香族化合物類流の少なくとも一部を熱分解ユニットに搬送することをさらに含む第三の態様の方法である第四の態様。
【0109】
熱分解ガス流、第一ガス流、第二ガス流、またはそれらの組み合わせが、HおよびC-C炭化水素類を含む第一から第四の態様のいずれか一つの方法である第五の態様。
【0110】
熱分解ガス流、第一ガス流、第二ガス流、またはそれらの組み合わせが改質ユニット、熱分解ユニット、水素化処理ユニット、またはそれらの組み合わせにおける燃料として使用される第一から第五の態様のいずれか一つの方法である第六の態様。
【0111】
プラスチック廃棄物がポリオレフィン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、またはそれらの組み合わせを含む第一から第六の態様のいずれか一つの方法である第七の態様。
【0112】
水素流の少なくとも一部を水素化処理ユニットにリサイクルすることをさらに含む第一から第七の態様のいずれか一つの方法である第八の態様。
【0113】
水素化処理触媒が、アルミナ担体上のコバルトおよびモリブデン、アルミナ担体上のニッケルおよびモリブデン、アルミナ担体上のタングステンおよびモリブデン、アルミナ担体上の酸化コバルトおよび酸化モリブデン、アルミナ単体上の酸化ニッケルおよび酸化モリブデン、アルミナ担体上の酸化タングステンおよび酸化モリブデン、アルミナ担体上の硫化コバルトおよび硫化モリブデン、アルミナ担体上の硫化ニッケルおよび硫化モリブデン、アルミナ担体上の硫化タングステンおよび硫化モリブデン、一種以上の金属を含むゼオライト、またはそれらの組み合わせ、を含む第一から第八の態様のいずれか一つの方法である第九の態様。
【0114】
一つ以上の金属の各金属が、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、銅、マグネシウム、スズ、鉄、亜鉛、タングステン、バナジウム、ガリウム、カルシウム、マンガン、ルテニウム、およびレニウムからなる群から選択することができ、ゼオライトがZSM-5、ZSM-11、Y、高シリカY、USY、またはそれらの組み合わせ、を含む第九の態様の方法である第十の態様。
【0115】
炭化水素類液体流を水素化処理触媒と接触させる工程(a)が約250℃~約600℃の温度で行われる第一から第十の態様のいずれか一つの方法である第十一の態様。
【0116】
炭化水素類液体流と水素化処理触媒とを接触させる工程(a)が、約1barg~約200bargの圧力で行われる第一から第十一の態様のいずれか一つの方法である第十二の態様。
【0117】
水素化処理ユニットがマイルド水素化分解ユニットを含む第一から第十二の態様のいず
れか一つの方法である第十三の態様。
【0118】
水素化処理ユニットがさらに水素化脱アルキル化ユニットを含み、水素化脱アルキルユニットが水素化脱アルキル触媒を含む第十三の態様の方法である第十四の態様。
【0119】
炭化水素産物が、炭化水素産物の全重量に基づいて約90重量%以上のC10-炭化水素類を含む第一から第十四の態様のいずれか一つの方法である第十五の態様。
【0120】
炭化水素産物が、炭化水素産物の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類を含む第一から第十五の態様のいずれか一つの方法である第十六の態様。
【0121】
芳香族化合物類流を第一キシレン類流とエチルベンゼン流とに分離することをさらに含む第一から第十六の態様のいずれか一つの方法である第十七の態様。
【0122】
エチルベンゼン流の少なくとも一部を、不均化およびトランスアルキル化ユニットに搬送することをさらに含む第十七の態様の方法である第十八の態様。
【0123】
異性化ユニットにおいてエチルベンゼン流の少なくとも一部を異性化してキシレン類を生成することをさらに含み、異性化ユニットが異性化触媒を含む第一から第十八の態様のいずれか一つの方法である第十九の態様。
【0124】
脱アルキル化ユニットにおいてエチルベンゼン流の少なくとも一部を脱アルキル化してベンゼンを生成することをさらに含み、脱アルキル化ユニットが脱アルキル化触媒を含む第一から第十九の態様のいずれか一つの方法である第二十の態様。
【0125】
不均化およびトランスアルキル化触媒がゼオライト、約15:1以上のSi/Al比を特徴とするZSM-5、金属を担持したZSM-5(ここで金属は白金、モリブデン、マグネシウム、レニウム、またはそれらの組み合わせを含む)、モルデナイト、酸化ビスマス担持モルデナイト、ベータゼオライト、MCM-22、またはそれらの組み合わせ、を含む第一から第二十の態様のいずれか一つの方法である第二十一の態様。
【0126】
第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、および第三芳香族化合物類流の組合せのC+芳香族炭化水素類の含有量が、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて約5重量%未満である第一から第二十一の態様のいずれか一つの方法である第二十二の態様。
【0127】
ベンゼンおよびキシレン類の全収率が約40%以上である第一から第二十二の態様のいずれか一つの方法である第二十三の態様。
【0128】
ベンゼンの全収率が約18重量%以上である第一から第二十三の態様のいずれか一つの方法である第二十四の態様。
【0129】
キシレンの全収率が約20重量%以上である第一から第二十四の態様のいずれか一つの方法である第二十五の態様。
【0130】
キシレンの全収率が約30重量%以上である第一から第二十五の態様のいずれか一つの方法である第二十六の態様。
【0131】
水素流の少なくとも一部を不均化およびトランスアルキル化ユニットに搬送することをさらに含む第一から第二十六の態様のいずれか一つの方法である第二十七の態様。
【0132】
第三芳香族化合物類流を、ベンゼンを含む第二C芳香族化合物類流と第二キシレン類流とに分離することをさらに含む第一から第二十七の態様のいずれか一つの方法である第二十八の態様。
【0133】
ベンゼンおよびキシレン類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニットにおいてプラスチック廃棄物を炭化水素類液体流と熱分解ガス流とに変換する工程、(b)水素化処理ユニットにおいて水素の存在下で前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を水素化処理触媒に接触させることにより炭化水素産物および第一ガス流を生成することを含んでなり、該炭化水素産物がC+炭化水素類を含む工程、(c)任意に前記炭化水素産物の少なくとも一部を第一芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該飽和炭化水素類流がC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(d)前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を改質ユニットに供給することにより改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成することを含んでなり、該改質ユニットが改質触媒を含み、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多い工程、(e)前記改質ユニット産物の少なくとも一部を第二芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第二芳香族化合物類流がC+芳香族炭化水素類を含む工程、(f)前記非芳香族化合物類リサイクル流の少なくとも一部を前記改質ユニットにリサイクルすることを含んでなる工程、(g)前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を第三芳香族化合物類分離ユニットに導入することにより第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第一C芳香族化合物類流がベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流がトルエンを含み、該C芳香族化合物類流がキシレン類およびエチルベンゼンを含む工程、(h)不均化およびトランスアルキル化ユニットにおいて水素の存在下で前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを不均化およびトランスアルキル化触媒と接触させることにより第三芳香族化合物類流を生成することを含んでなり、該第三芳香族化合物類流がベンゼンおよびキシレン類を含む工程、ならびに、(i)前記C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部を前記水素化処理ユニットに搬送する工程を含む、第二十九の態様。
【0134】
熱分解ユニット、水素化処理ユニット、任意の第一芳香族化合物類分離ユニット、改質ユニット、第二芳香族化合物類分離ユニット、第三芳香族化合物類分離ユニット、ならびに不均化およびトランスアルキル化ユニットを含んでなる、ベンゼンおよびキシレン類を製造するシステムであって、前記熱分解ユニットは、プラスチック廃棄物を受け取り、炭化水素類液体流および熱分解ガス流を生成するように構成されており、前記水素化処理ユニットは水素化処理触媒を含み、該水素化処理ユニットは、水素および前記炭化水素類液体流の少なくとも一部を受け取り、炭化水素産物および第一ガス流を生成するように構成されており、該炭化水素産物はC+炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて約90重量%以上のC10-炭化水素類を含み、該炭化水素産物は、該炭化水素産物の全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類を含んでおり、前記任意の第一芳香族化合物類分離ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部を受け取り、飽和炭化水素類流および第一芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該飽和炭化水素類流はC+飽和炭化水素類を含み、該第一芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、前記改質ユニットは改質触媒を含み、該改質ユニットは、前記炭化水素産物の少なくとも一部および/または前記飽和炭化水素類流の少なくとも一部を受け取り、改質ユニット産物、第二ガス流および水素流を生成するように構成されており、該改質ユニット産物中のC~C芳香族炭化水素類の量が該飽和炭化水素類流中のC~C芳香族炭化水素類の量より多く、前記第二芳香族化合物類分離ユニットは、前記改質ユニット産物の少なくとも一部を受け取り、非芳香族化合物類リサイクル流および第二芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第二芳香族化合物類流はC+芳香族炭化水素類を含んでおり、前記第三芳香族化合物類分離ユニットは、前記第一芳香族化合物類流および/または前記第二芳香族化合物類流の少なくとも一部を受け取り、第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流、C10芳香族化合物類流およびC11+芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第一C芳香族化合物類流はベンゼンを含み、該C芳香族化合物類流はトルエンを含み、該C芳香族化合物類流はキシレン類およびエチルベンゼンを含み、該C11+芳香族化合物類流の少なくとも一部が前記水素化処理ユニットにリサイクルされ、かつ、前記不均化およびトランスアルキル化ユニットは不均化およびトランスアルキル化触媒を含み、該不均化およびトランスアルキル化ユニットは、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C芳香族化合物類流の少なくとも一部、前記C10芳香族化合物類流の少なくとも一部またはそれらの組み合わせを受け取り、第三芳香族化合物類流を生成するように構成されており、該第三芳香族化合物類流はベンゼンおよびキシレン類を含み、前記第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せのうちのC+芳香族炭化水素類の含有量が、該第一C芳香族化合物類流、C芳香族化合物類流および第三芳香族化合物類流の組合せの重量に基づいて約5重量%未満である、第三十の態様。
【0135】
本開示の実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および教示から逸脱することなくそれらの修正を行うことができる。本明細書に記載の実施形態および実施例は例示的なものにすぎず、限定的であることを意図するものではない。本明細書に開示された本発明の多くの変形および修正が可能であり、それらは本発明の範囲内である。
【0136】
したがって、保護の範囲は上記の説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲の主題のすべての均等物を含む。各請求項は、本発明の実施形態として明細書に組み込まれる。したがって、特許請求の範囲はさらなる説明であり、本発明の詳細な説明への追加である。本明細書に引用された全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B