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特許7065475退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20220502BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20220502BHJP
【FI】
G16H40/20
G06Q10/10 342
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021203328
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2021198359
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715011241
【氏名又は名称】Dr.JOY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】石松 宏章
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-225067(JP,A)
【文献】特開2021-033485(JP,A)
【文献】特開2013-206277(JP,A)
【文献】特許第6738064(JP,B1)
【文献】特許第7034449(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知システムと退勤時刻決定装置とを備える退勤時刻決定システムであって、
前記検知システムは、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信し、
前記退勤時刻決定装置が、
前記検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定部と、
前記出入時刻特定部によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定部によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定部と、
前記不在時間帯決定部によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える、
退勤時刻決定システム。
【請求項2】
前記検知システムにおいて、前記他方の発信機または受信機が前記所定の施設の各出入区域において前記医療者の移動経路に沿って2つ以上設置されている請求項1に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項3】
前記検知システムにおいて、前記所定の施設の各出入区域および当該各出入区域を除く当該施設内の所定の滞在区域に、前記他方の発信機または受信機がそれぞれ設置されている請求項1に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項4】
前記退勤時刻決定部が、前記選択された不在時間帯が始まる時刻が24時から前記所定の時間を引いた時刻以前である場合には当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えるか否かを24時に判別して退勤時刻を決定し、一方、前記選択された不在時間帯が始まる時刻が24時から前記所定の時間を引いた時刻より後である場合には、当該不在時間帯が始まる時刻から前記所定の時間が経過した時に退勤時刻を決定する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項5】
前記検知部が、前記医療者が出入りしたと特定された所定の施設が当該医療者の所定の勤務先施設である場合に、前記出入情報を取得する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項6】
前記退勤時刻決定部によって選択された不在時間帯が終わる時刻が前記出入時刻特定部によって特定された入った時刻である場合に、当該入った時刻を出勤時刻と決定する出勤時刻決定部を備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項7】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も早い不在時間帯を選択する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項8】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も遅い不在時間帯を選択する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項9】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も長い不在時間帯を選択する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項10】
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定部と、
前記出入時刻特定部によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定部によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定部と、
前記不在時間帯決定部によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える退勤時刻決定装置。
【請求項11】
コンピュータを、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知手段、
前記検知手段によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定手段、
前記出入時刻特定手段によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定手段によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定手段、
前記不在時間帯決定手段によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定手段、
として機能させるための退勤時刻決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療者の退勤時刻を決定する退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一方がユーザによって携帯され、他方が所定の複数の場所に設置されているビーコン発信機とビーコン受信機から送信される情報に基づいて、ユーザの勤務状況を求める勤怠管理装置が知られている(例えば、特許文献1と特許文献2参照。)。勤務状況は、例えば、業務、自己研鑽、休憩、外出である。これらの勤怠管理装置は、ユーザの出勤時刻と退勤時刻も求める。出勤時刻は出勤日においてユーザが最初に施設に入った時刻であり、退勤時刻は出勤日においてユーザが最後に施設を離れた時刻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-111250号公報
【文献】特開2021-114008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、医師や看護師のような医療者は、退勤した後でも、緊急時にオンコールで呼び出され、日付をまたいで勤務し、翌日の早朝に再度退勤したり、翌日も連続して勤務したりする場合がある。特許文献1と特許文献2に記載の勤怠管理装置では、このような場合に退勤時刻を求めることができない。
【0005】
本発明の目的は、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の退勤時刻決定システムは、
検知システムと退勤時刻決定装置とを備える退勤時刻決定システムであって、
前記検知システムは、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信し、
前記退勤時刻決定装置が、
前記検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定部と、
前記出入時刻特定部によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定部によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定部と、
前記不在時間帯決定部によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える。
【0007】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記検知システムにおいて、前記他方の発信機または受信機が前記所定の施設の各出入区域において前記医療者の移動経路に沿って2つ以上設置されている。
【0008】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記検知システムにおいて、前記所定の施設の各出入区域および当該各出入区域を除く当該施設内の所定の滞在区域に、前記他方の発信機または受信機がそれぞれ設置されている。
【0009】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、前記選択された不在時間帯が始まる時刻が24時から前記所定の時間を引いた時刻以前である場合には当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えるか否かを24時に判別して退勤時刻を決定し、一方、前記選択された不在時間帯が始まる時刻が24時から前記所定の時間を引いた時刻より後である場合には、当該不在時間帯が始まる時刻から前記所定の時間が経過した時に退勤時刻を決定する。
【0010】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記検知部が、前記医療者が出入りしたと特定された所定の施設が当該医療者の所定の勤務先施設である場合に、前記出入情報を取得する。
【0011】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部によって選択された不在時間帯が終わる時刻が前記出入時刻特定部によって特定された入った時刻である場合に、当該入った時刻を出勤時刻と決定する出勤時刻決定部を備える。
【0012】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も早い不在時間帯を選択する。
【0013】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も遅い不在時間帯を選択する。
【0014】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も長い不在時間帯を選択する。
【0015】
また、本発明の退勤時刻決定装置は、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定部と、
前記出入時刻特定部によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定部によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定部と、
前記不在時間帯決定部によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える。
【0016】
また、本発明の退勤時刻決定プログラムは、
コンピュータを、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において当該医療者が当該各施設に入ったことと当該医療者が当該各施設を出たこととを識別できるように設置されている発信機および受信機を有しており、当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が出入りした所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての出入情報を取得する検知手段、
前記検知手段によって取得された医療者の出入情報に基づいて当該医療者が出入りしたと特定された前記所定の施設を出た時刻と当該所定の施設に入った時刻とを特定する出入時刻特定手段、
前記出入時刻特定手段によって特定された出た時刻に始まり、当該出た時刻から所定の時間以上の間、前記出入時刻特定手段によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する不在時間帯決定手段、
前記不在時間帯決定手段によって決定された不在時間帯の中から、当該不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、当該選択された不在時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定手段、
として機能させる。

【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る退勤時刻決定システムの構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る検知システムの構成の第1の例を示す図である。
図3図2の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る検知システムの構成の第2の例を示す図である。
図5図4の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る検知システムの構成の第3の例を示す図である。
図7図6の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置の構成の一例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る医療者テーブルの一例を示す図である。
図10】第1の実施形態に係る出入施設テーブルの一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る出入情報の一例を示す図である。
図12】退勤時刻と出勤時刻の第1の例を示す図である。
図13】退勤時刻と出勤時刻の第2の例を示す図である。
図14】退勤時刻と出勤時刻の第3の例を示す図である。
図15】退勤判定時間が1時間と定められている場合に生じた3つの不在時間帯の一例を示す図である。図15(A)は、時間的に最も早い不在時間帯を選択する例を示す。図15(B)は、時間的に最も長い不在時間帯を選択する例を示す。図15(C)は、時間的に最も遅い不在時間帯を選択する例を示す。
図16】早期に退勤時刻を決定する方法の一例を示す図である。図16(A)は、不在時間帯の始まりが(24時-退勤判定時間)以前である場合の例である。図16(B)は、不在時間帯の始まりが(24時-退勤判定時間)よりも後である場合の例である。
図17】第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置における退勤時刻決定処理の流れの一例を示す図である。
図18】医療者が2つの施設で勤務する場合の第1の実施形態に係る医療者テーブルの一例を示す図である。
図19】医療者が2つの施設で勤務する場合の第1の実施形態に係る出入施設テーブルの一例を示す図である。
図20】医療者が2つの施設で勤務する場合の退勤時刻の一例を示す図である。
図21】本発明の第2の実施形態に係る退勤時刻決定システムの構成の一例を示す図である。
図22】第2の実施形態に係る検知システムの構成の一例を示す図である。
図23図21の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図24】第2の実施形態に係る退勤時刻決定装置の構成の一例を示す図である。
図25】第2の実施形態に係る出入施設テーブルの一例を示す図である。
図26】第2の実施形態に係る出入情報の一例を示す図である。
図27】不在時間帯の途中で極めて短い滞在時間帯が生じた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る退勤時刻決定システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る退勤時刻決定システム1の構成の一例を示す。
退勤時刻決定システム1は、検知システム100と、退勤時刻決定装置200とを有する。
検知システム100と退勤時刻決定装置200とは、有線または無線でネットワーク10に接続されている。退勤時刻決定装置200は、ネットワーク10を介して検知システム100から送信される検知信号を受信する。
【0021】
検知システム100は、複数の発信機と複数の受信機とを有している。発信機と受信機は、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設において医療者が各施設に入ったことと医療者が各施設を出たこととを識別できるように設置されている。発信機は、発信機識別情報を受信機に送信する。発信機は、発信機識別情報により検知システム100全体で一意に識別される。受信機は、発信機識別情報と受信機識別情報とを送信する。受信機は、受信機識別情報により検知システム100全体で一意に識別される。検知システム100は、検知信号を繰り返して生成し、送信する。検知信号は、発信機識別情報と受信機識別情報とを含む。
医療者は、例えば、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等である。
所定の施設は、例えば、病院、診療所、介護施設等である。
発信機と受信機は、例えばBluetooth Low Energy(BLE)方式に準拠したビーコン発信機とビーコン受信機である。または、検知システム100は、RFID(Radio Frequency Identifier)であってもよい。この場合、発信機はRFタグ、受信機はRFタグの読取機である。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る検知システム100の構成の第1の例100Aを示す。
検知システム100Aは、ビーコン発信機101と、ビーコン受信機1021~1026と、検知信号取得装置110とを有する。
各ビーコン受信機1021~1026は有線または無線でネットワーク10に接続されている。検知信号取得装置110は有線または無線でネットワーク10に接続されている。ネットワーク10を介して各ビーコン受信機1021~1026から検知信号取得装置110にデータを送信することができる。
【0023】
ビーコン発信機101は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。ビーコン発信機101は、BLE方式によるビーコン信号を周期的に発信する。ビーコン信号は、ビーコン発信機ID(Identifier)を含む。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機101を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機101を所持している医療者を検知システム100A全体で一意に識別するための医療者識別情報でもある。
【0024】
ビーコン受信機1021~1026は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口において医療者が各施設に入るか、または出るかを判別できるように医療者の移動経路に沿って2つ設置されている。なお、出入口は本発明における出入区域の例である。また、出入区域は、例えば出入口とそれに隣接する区域であってもよい。
各ビーコン受信機1021~1026は、ビーコン信号を通信可能な範囲に検知したとき、ビーコン信号を受信し、ビーコン発信機IDを取得する。各ビーコン受信機1021~1026は、自らを検知システム100A全体で一意に識別するためのビーコン受信機IDをその記憶部に記憶している。各ビーコン受信機1021~1026は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を検知信号取得装置110に送信する。ビーコン発信機101とビーコン受信機1021~1026とが通信可能な距離は、2.5mから50m程度である。
なお、各ビーコン受信機1021~1026は、スマートホンや携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。
【0025】
図2の例では、A病院は出入口1と出入口2と出入口3とを有する。出入口1には、ビーコン受信機1021とビーコン受信機1022が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン発信機101を所持する医療者が出入口1からA病院を出るとき、最初にビーコン受信機1021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信し、次にビーコン受信機1022がビーコン発信機101のビーコン信号を受信する。一方、ビーコン発信機101を所持する医療者が出入口1からA病院に入るとき、最初にビーコン受信機1022がビーコン発信機101のビーコン信号を受信し、次にビーコン受信機1021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信する。このため、ビーコン発信機101のビーコン信号をビーコン受信機1021とビーコン受信機1022が受信する順番で医療者が出入口1からA病院に入るか、または出入口1からA病院を出るかを判別することができる。
【0026】
同様に、出入口2には、ビーコン受信機1023とビーコン受信機1024が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン発信機101のビーコン信号をビーコン受信機1023とビーコン受信機1024が受信する順番で医療者が出入口2からA病院に入るか、または出入口2からA病院を出るかを判別することができる。
同様に、出入口3には、ビーコン受信機1025とビーコン受信機1026が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン発信機101のビーコン信号をビーコン受信機1025とビーコン受信機1026が受信する順番で医療者が出入口3からA病院に入るか、または出入口3からA病院を出るかを判別することができる。
なお、図2では出入口1と出入口2と出入口3にそれぞれビーコン受信機が2つ設置されている例を示したが、ビーコン受信機は個々の出入区域において各施設に入る方向と出る方向を判別できるように医療者の移動経路に沿って3つ以上設置されていてもよい。
【0027】
検知信号取得装置110は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記憶部とを備える。検知信号取得装置110は、例えば、コンピュータで実現することができる。また、検知信号取得装置110は、例えば、クラウドコンピューティングで実現することができる。
検知信号取得装置110の記憶部には、検知信号取得プログラムが格納されている。検知信号取得装置110のCPUがその記憶部から主メモリに検知信号取得プログラムを読み出して実行することにより、検知信号取得装置110の機能が実現される。
【0028】
検知信号取得装置110は、各ビーコン受信機1021~1026からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDを含む信号を受信すると、図3に示す検知信号120を繰り返して生成し、生成した検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信する。検知信号120は、ビーコン発信機ID121と、ビーコン受信機ID122と、検知時刻123とを含む。
ビーコン発信機ID121は、ビーコン発信機101によって送信されるビーコン発信機IDである。すなわち、ビーコン発信機ID121は、医療者によって所持されるビーコン発信機101を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機ID121は、ビーコン発信機101を所持する医療者を検知システム100A全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
ビーコン受信機ID122は、各ビーコン受信機1021~1026によって送信されるビーコン受信機IDである。すなわち、ビーコン受信機ID122は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口に設置された各ビーコン受信機1021~1026を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン受信機ID122は、各ビーコン受信機1021~1026が設置された施設を検知システム100A全体で一意に識別する施設識別情報でもある。また、ビーコン受信機ID122は、各ビーコン受信機1021~1026が設置された施設内の出入口を識別する出入口識別情報である。更に、ビーコン受信機ID122は、各出入口内におけるビーコン受信機の配置を識別する出入口内配置識別情報である。ビーコン受信機ID122により、各ビーコン受信機1021~1026が設置された施設を検知システム100A全体で一意に識別し、その施設内の各出入口を識別し、各出入口内におけるビーコン受信機の配置を識別することができる。
検知時刻123は、例えば、検知信号取得装置110が各ビーコン受信機1021~1026からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信した時刻を示す情報である。または、検知時刻123は、各ビーコン受信機1021~1026がビーコン発信機101からビーコン信号を受信した時刻を示す情報であってもよい。
ビーコン発信機ID121は本発明の発信機識別情報の例であり、ビーコン受信機ID122は本発明の受信機識別情報の例である。
【0029】
なお、検知信号取得装置110は、各ビーコン受信機1021~1026からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信する毎に検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信してもよいし、受信したビーコン発信機IDとビーコン受信機IDに検知時刻を付加して一旦記憶部に蓄積し、退勤時刻決定装置200からの送信要求に応答して、検知信号120をまとめて退勤時刻決定装置200に送信してもよい。
また、検知信号取得装置110は無くても良く、各ビーコン受信機1021~1026が検知信号120を生成し、生成した検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信する構成とすることもできる。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る検知システム100の構成の第2の例100Bを示す。
検知システム100Bは、ビーコン発信機1311~1316と、ビーコン受信機132と、検知信号取得装置110とを有する。検知システム100Bは、複数のビーコン発信機1311~1316が所定の施設(例えば、A病院)の出入口に設置されており、医療者がビーコン発信機132を所持する点が検知システム100Aと異なる。検知システム100Bの検知信号取得装置110は、検知システム100Aに含まれるものとほぼ同一の構成である。
ビーコン受信機132は有線または無線でネットワーク10に接続されている。ネットワーク10を介してビーコン受信機132から検知信号取得装置110にデータを送信することができる。
【0031】
ビーコン発信機1311~1316は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口において医療者が各施設に入るか、または出るかを判別できるように医療者の移動経路に沿って2つ設置されている。なお、出入口は本発明における出入区域の例である。また、出入区域は、例えば出入口とそれに隣接する区域であってもよい。
各ビーコン発信機1311~1316は、BLE方式によるビーコン信号を周期的に発信する。ビーコン信号は、ビーコン発信機IDを含む。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機1311~1316を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。
【0032】
ビーコン受信機132は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。ビーコン受信機132は、ビーコン信号を通信可能な範囲に検知したとき、ビーコン信号を受信し、ビーコン発信機IDを取得する。ビーコン受信機132は、自らを検知システム100B全体で一意に識別するためのビーコン受信機IDをその記憶部に記憶している。ビーコン受信機IDは、各ビーコン受信機132を所持している医療者を検知システム100B全体で一意に識別するための医療者識別情報でもある。ビーコン受信機132は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を検知信号取得装置110に送信する。
なお、ビーコン受信機132は、スマートホンや携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。
【0033】
図4の例では、A病院は出入口1と出入口2と出入口3とを有する。出入口1には、ビーコン発信機1311とビーコン発信機1312が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン受信機132を所持する医療者が出入口1からA病院を出るとき、ビーコン受信機132は最初にビーコン発信機1311によって送信されるビーコン信号を受信し、次にビーコン発信機1312によって送信されるビーコン信号を受信する。一方、ビーコン受信機132を所持する医療者が出入口1からA病院に入るとき、ビーコン受信機132は最初にビーコン発信機1312によって送信されるビーコン信号を受信し、次にビーコン発信機1311によって送信されるビーコン信号を受信する。このため、ビーコン受信機132がビーコン発信機1311のビーコン信号とビーコン発信機1312のビーコン信号を受信する順番で医療者が出入口1からA病院に入るか、または出入口1からA病院を出るかを判別することができる。
【0034】
同様に、出入口2には、ビーコン発信機1313とビーコン発信機1314が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン受信機132がビーコン発信機1313のビーコン信号とビーコン発信機1314のビーコン信号を受信する順番で医療者が出入口2からA病院に入るか、または出入口2からA病院を出るかを判別することができる。
同様に、出入口3には、ビーコン発信機1315とビーコン発信機1316が医療者の移動経路に沿って設置されている。ビーコン受信機132がビーコン発信機1315のビーコン信号とビーコン発信機1316のビーコン信号を受信する順番で医療者が出入口3からA病院に入るか、または出入口3からA病院を出るかを判別することができる。
なお、図4では出入口1と出入口2と出入口3にそれぞれビーコン発信機が2つ設置されている例を示したが、ビーコン発信機は個々の出入区域において各施設に入る方向と出る方向を判別できるように医療者の移動経路に沿って3つ以上設置されていてもよい。
【0035】
検知信号取得装置110は、ビーコン受信機132からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDを含む信号を受信すると、図5に示す検知信号140を繰り返して生成し、生成した検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信する。検知信号140は、ビーコン発信機ID141と、ビーコン受信機ID142と、検知時刻143とを含む。
ビーコン発信機ID141は、各ビーコン発信機1311~1316によって送信されるビーコン発信機IDである。すなわち、ビーコン発信機ID141は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口に設置された各ビーコン発信機1311~1316を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機ID141は、各ビーコン発信機1311~1316が設置された施設を検知システム100B全体で一意に識別する施設識別情報でもある。また、ビーコン発信機ID141は、各ビーコン発信機1311~1316が設置された施設内の出入口を識別する出入口識別情報である。更に、ビーコン発信機ID141は、各出入口内におけるビーコン発信機の配置を識別する出入口内配置識別情報である。ビーコン発信機ID141により、各ビーコン発信機1311~1316が設置された施設を検知システム100B全体で一意に識別し、その施設内の各出入口を識別し、各出入口内におけるビーコン発信機の配置を識別することができる。
ビーコン受信機ID142は、ビーコン受信機132によって送信されるビーコン受信機IDである。すなわち、ビーコン受信機ID142は、医療者によって所持されるビーコン受信機132を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン受信機ID142は、ビーコン受信機132を所持する医療者を検知システム100B全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
検知時刻143は、例えば、検知信号取得装置110がビーコン受信機132からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信した時刻を示す情報である。または、検知時刻143は、ビーコン受信機132が各ビーコン発信機1311~1316からビーコン信号を受信した時刻を示す情報であってもよい。
ビーコン発信機ID141は本発明の発信機識別情報の例であり、ビーコン受信機ID142は本発明の受信機識別情報の例である。
【0036】
なお、検知信号取得装置110は、ビーコン受信機132からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信する毎に検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信してもよいし、受信したビーコン発信機IDとビーコン受信機IDに検知時刻を付加して一旦記憶部に蓄積し、退勤時刻決定装置200からの送信要求に応答して、検知信号140をまとめて退勤時刻決定装置200に送信してもよい。
また、検知信号取得装置110は無くても良く、ビーコン受信機132が検知信号140を生成し、生成した検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信する構成とすることもできる。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る検知システム100の構成の第3の例100Cを示す。
検知システム100Cは、RFタグ151と、RFタグ読取機1521~1526とを有する。RFタグ読取機1521~1526は無線または有線でネットワーク10に接続されている。
RFタグ151は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。RFタグ151は、例えばUHF帯(920MHz帯)のパッシブタグである。RFタグ151には、タグIDが付与されている。タグIDは、RFタグ151を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。タグIDは、各RFタグ151を所持している医療者を検知システム100C全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
【0038】
RFタグ読取機1521~1526は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口において、医療者が各施設に入るか、または出るかを判別できるように医療者の移動経路に沿って2つ設置されている。なお、出入口は本発明における出入区域の例である。また、出入区域は、例えば出入口とそれに隣接する区域であってもよい。
RFタグ読取機1521~1526は、自らを検知システム100C全体で一意に識別するための読取機IDをその記憶部に記憶している。RFタグ読取機1521~1526は、周期的に繰り返して電波を発信する。RFタグ151は、RFタグ読取機1521~1526からの電波を受信すると電力を生じて動作し、タグIDを含むタグ信号をRFタグ読取機1521~1526に送信する。RFタグ読取機1521~1526は、タグ信号を受信すると、検知信号160(図7参照)を生成し、生成した検知信号160を退勤時刻決定装置200に送信する。
RFタグ読取機1521~1526とRFタグ151とが通信可能な距離は、6m程度である。
【0039】
図6の例では、A病院は出入口1と出入口2と出入口3とを有する。出入口1には、RFタグ読取機1521とRFタグ読取機1522とが医療者の移動経路に沿って設置されている。RFタグ151を所持する医療者が出入口1からA病院を出るとき、最初にRFタグ読取機1521がRFタグ151のタグ信号を受信し、次にRFタグ読取機1522がRFタグ151のタグ信号を受信する。一方、RFタグ151を所持する医療者が出入口1からA病院に入るとき、最初にRFタグ読取機1522がRFタグ151のタグ信号を受信し、次にRFタグ読取機1521がRFタグ151のタグ信号を受信する。このため、RFタグ151のタグ信号をRFタグ読取機1521とRFタグ読取機1522が受信する順番で医療者が出入口1からA病院に入るか、または出入口1からA病院を出るかを判別することができる。
【0040】
同様に、出入口2には、RFタグ読取機1523とRFタグ読取機1524とが医療者の移動経路に沿って設置されている。RFタグ151のタグ信号をRFタグ読取機1523とRFタグ読取機1524が受信する順番で医療者が出入口2からA病院に入るか、または出入口2からA病院を出るかを判別することができる。
同様に、出入口3には、RFタグ読取機1525とRFタグ読取機1526とが医療者の移動経路に沿って設置されている。RFタグ151のタグ信号をRFタグ読取機1525とRFタグ読取機1526が受信する順番で医療者が出入口3からA病院に入るか、または出入口3からA病院を出るかを判別することができる。
なお、図6では出入口1と出入口2と出入口3にそれぞれRFタグ読取機が2つ設置されている例を示したが、RFタグ読取機は個々の出入区域において各施設に入る方向と出る方向を判別できるように医療者の移動経路に沿って3つ以上設置されていてもよい。
【0041】
図7に示すように、検知信号160は、タグID161と、読取機ID162と、検知時刻163とを含む。
タグID161は、RFタグ151によって送信されるタグIDである。すなわち、タグID161は、医療者によって所持されるRFタグ151を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。タグID161は、RFタグ151を所持する医療者を検知システム100C全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
読取機ID162は、各RFタグ読取機1521~1526によって送信される読取機IDである。すなわち、読取機ID162は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口に設置された各RFタグ読取機1521~1526を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。読取機ID162は、RFタグ読取機1521~1526が設置された施設を検知システム100C全体で一意に識別する施設識別情報でもある。また、読取機ID162は、RFタグ読取機1521~1526が設置された施設内の出入口を識別する出入口識別情報である。更に、読取機ID162は、各出入口内におけるRFタグ読取機1の配置を識別する出入口内配置識別情報である。読取機ID162により、RFタグ読取機1521~1526が設置された施設を検知システム100C全体で一意に識別し、その施設内の各出入口を識別し、各出入口内におけるビーコン受信機の配置を識別することができる。
検知時刻163は、例えば、RFタグ読取機1521~1526がRFタグ151からタグ信号を受信した時刻を示す情報である。
RFタグ151は、本発明の発信機の例であり、タグID161は本発明の発信機識別情報の例である。また、RFタグ読取機1521~1526は本発明の受信機の例であり、読取機ID162は本発明の受信機識別情報の例である。
【0042】
なお、上記ではRFタグ151はパッシブタグとしたが、RFタグ読取機1521~1526が発信する電波とRFタグ151との角度によってはRFタグ151がRFタグ読取機1521~1526の電波を受信できない場合があるため、RFタグ151が電力を得ることができず、タグ信号を送信できないおそれがある。このため、RFタグ読取機1521~1526の設置場所には制限が生じる。
また、例えば、米Mojix社のSTAR systemは、RFタグへの電力供給用送信機とタグ信号の受信機を分離することで、UHF帯(920Hz帯)のパッシブタグから広い範囲でタグ信号を読み取ることを可能としている。検知システム100Cでも、RFタグへの電力供給用送信機とタグ信号の受信機を分離することとしてもよい、
また、RFタグ151は、パッシブタグではなく、アクティブタグやセミアクティブタグであってもよい。
また、上記では、RFタグ読取機1521~1526が検知信号160を生成し、生成した検知信号160を退勤時刻決定装置200に送信する構成としたが、検知信号取得装置を設け、検知信号取得装置が、RFタグ読取機1521~1526からタグIDと読取機IDを含む信号を受信し、図7に示す検知信号160を繰り返して生成し、生成した検知信号160を退勤時刻決定装置200に送信する構成としてもよい。
【0043】
図8は、第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置200の構成の一例を示す。
退勤時刻決定装置200は、CPUと、RAM等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記憶部250とを備える。退勤時刻決定装置200は、例えば、コンピュータで実現することができる。また、退勤時刻決定装置200は、例えば、クラウドコンピューティングで実現することができる。
退勤時刻決定装置200の記憶部250には、医療者テーブル260と、出入施設テーブル270と、退勤時刻決定プログラム290とが格納されている。
退勤時刻決定装置200のCPUが記憶部250から主メモリに退勤時刻決定プログラム290を読み出して実行することにより、検知部201と、出入時刻特定部202と、不在時間帯決定部203と、退勤時刻決定部204と、出勤時刻決定部205と、出力部206との各部の機能が実現される。
【0044】
図9は、第1の実施形態に係る医療者テーブル260の一例を示す。
医療者テーブル260には、医療者情報が登録されている。医療者情報は、医療者ID261と、医療者名262と、施設名263と、施設ID264とを含む。
医療者ID261は、医療者を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。図2の検知システム100Aの場合、医療者ID261は図3の検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121に対応する。
医療者名262は、ビーコン発信機101を所持する医療者の名前である。
施設名263は、医療者が勤務する勤務先の施設の名称である。
施設ID264は、医療者が勤務する勤務先の施設を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。
【0045】
なお、図9は、検知システム100が図2の検知システム100Aである場合の例である。
検知システム100が図4の検知システム100Bである場合、医療者ID261は図5の検知信号140に含まれるビーコン受信機ID142に対応する。医療者名262は、ビーコン受信機132を所持する医療者の名前である。
また、検知システム100が図6の検知システム100Cである場合、医療者ID261は図7の検知信号160に含まれるタグID161に対応する。医療者名262は、RFタグ151を所持する医療者の名前である。
【0046】
図10は、第1の実施形態に係る出入施設テーブル270の一例を示す。
出入施設テーブル270には、出入施設情報が登録されている。出入施設情報は、出入口内配置ID271と、施設名272と、施設ID273と、出入口名274と、出入口ID275と、出入口内配置276とを含む。
出入口内配置ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口内に配置されたビーコン受信機を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。図2の検知システム100Aの場合、出入口内配置ID271は図3の検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122に対応する。出入口内配置ID271により、ビーコン受信機1021~1027が設置された施設と出入口を識別することもできる。なお、便宜上図10の出入口内配置ID271には図2の各ビーコン受信機1021~1027の符号を記載したが、出入口内配置ID271には任意の識別情報を格納することができる。
施設名272は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機が設置された施設の名称である。
施設ID273は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機が設置された施設を検知システム100A全体で一意に識別する施設識別情報である。
出入口名274は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機が設置された出入口の名称である。
出入口ID275は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機が設置された出入口を識別する出入口識別情報である。施設ID273によってビーコン受信機が設置された施設を検知システム100A全体で一意に識別することができる。このため、出入口ID275は、出入口を各施設内で識別できれば十分であり、必ずしも出入口を検知システム100A全体で一意に識別できる必要はない。
出入口内配置276は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機の出入口内における位置を示す情報である。図2の検知システム100Aでは、各出入口にそれぞれ2つのビーコン受信機が設置されている。このため、図10の例では、出入口内配置276には内または外が登録されている。各出入口にそれぞれ3つ以上のビーコン受信機が設置されている場合、出入口内配置276には医療者の移動経路が分かる情報が登録される。
【0047】
なお、図10は、検知システム100が図2の検知システム100Aである場合の例である。
検知システム100が図4の検知システム100Bである場合、出入口内配置ID271は図5の検知信号140に含まれるビーコン発信機ID141に対応する。出入口内配置ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口内に配置されたビーコン受信機を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。施設ID273は、出入口内配置ID271で識別されるビーコン受信機が設置された施設を検知システム100B全体で一意に識別する施設識別情報である。
また、検知システム100が図6の検知システム100Cである場合、出入口内配置ID271は図7の検知信号160に含まれる読取機ID162に対応する。出入口内配置ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の出入口内に配置されたRFタグ読取機を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。施設ID273は、出入口内配置ID271で識別されるRFタグ読取機が設置された施設を検知システム100C全体で一意に識別する施設識別情報である。
【0048】
以下に、退勤時刻決定装置200の各部の詳細について説明する。以下では、図2の検知システム100Aを例として説明するが、図4の検知システム100Bと図6の検知システム100Cについても同様である。
検知部201は、検知システム100Aから送信される検知信号120を受信すると、検知信号120に含まれる検知時刻123を検知時刻として特定し、取得する。
なお、検知部201は、検知信号120に含まれる検知時刻123ではなく、検知システム100Aから送信される検知信号120を退勤時刻決定装置200が受信した時刻を検知時刻として特定し、取得してもよい。
【0049】
次に、検知部201は、検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索し、ビーコン発信機ID121を含む医療者情報を取得してビーコン発信機101を所持している医療者を特定する。また、検知部201は、検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122をキーとして出入施設テーブル270を検索し、ビーコン受信機ID122を含む出入施設情報を取得し、取得した出入施設情報に含まれる施設名272と施設ID273によりその医療者が出入りした施設を特定する。
【0050】
検知部201は、医療者が出入りしたと特定された施設がその医療者の勤務先施設である場合に、出入情報280を作成して取得する。すなわち、検知部201は、まず、ビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索したときに検索された医療者情報から施設ID264を取得する。そして、検知部201は、この施設ID264がビーコン受信機ID122をキーとして出入施設テーブル270を検索したときに取得した施設ID273と一致したときに出入情報280を作成して取得する。
【0051】
出入情報280は、図11に示すように、医療者ID281と、施設ID282と、出入口ID283と、出入口内配置284と、検知時刻285とを含む。
医療者ID281は、医療者を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。医療者ID281は、図9の医療者テーブル260に格納されている医療者情報に含まれる医療者ID261に対応する。
施設ID282は、施設を検知システム100A全体で一意に識別する施設識別情報である。施設ID282は、図10の出入施設テーブル270に格納されている出入施設情報に含まれる施設ID273に対応する。
出入口ID283は、出入口を識別する出入口識別情報である。出入口ID283は、図10の出入施設テーブル270に格納されている出入施設情報に含まれる出入口ID275に対応する。
出入口内配置284は、ビーコン受信機の出入口内における位置を示す情報である。出入口内配置284は、図10の出入施設テーブル270に格納されている出入施設情報に含まれる出入口内配置276に対応する。
検知時刻285は、例えば、検知信号120に含まれる検知時刻123である。
【0052】
次に、本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の決定方法について説明する。
本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の決定条件は、退勤時刻と出勤時刻の間隔が所定の退勤判定時間以上であり、かつ出勤時刻が24時を超えていることである。
医療者は退勤した直後にオンコール等により施設に戻ったり、施設の外で短時間の休憩を取って施設に戻ったりする場合がある。このような短時間の外出で退勤時刻と出勤時刻を決定することは望ましくない。
また、例えば医療者は訪問客や患者等の出迎えや見送りのために施設内の勤務場所から出入口に来て短時間出入口に留まり、施設内の勤務場所に戻る場合がある。このような出入口への短時間の滞在で退勤時刻と出勤時刻を決定することは望ましくない。
このように短時間の外出や出入口への滞在等で退勤時刻と出勤時刻が決定されることを防ぐために、本実施形態では、退勤時刻と出勤時刻の間隔が退勤判定時間以上であることを退勤時刻および出勤時刻の決定条件の一つとしている。
なお、退勤判定時間は本発明における所定の時間の例である。
【0053】
図12は、退勤時刻と出勤時刻の第1の例を示す。
図12は、医療者が19時で一旦退勤したが、23時30分にオンコールで呼び出され、午前3時まで勤務して再度退勤し、午前8時に出勤した例である。この例では、退勤判定時間は3時間である。
この第1の例では、午前3時~午前8時の時間帯の間隔は5時間であり、退勤判定時間以上である。そして、その時間帯の終わりは8時であり、24時を超えている。午前3時~午前8時の時間帯は、本実施形態における退勤時刻と出勤時刻の判定条件を満たす。このため、午前3時が退勤時刻、午前8時が出勤時刻と決定される。
なお、19時から23時30分の時間帯は、間隔が4時間30分であり、退勤判定時間以上である。しかし、その時間帯の終わりは23時30分であり、24時前である。この時間帯は、本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の条件を満たしていない。
【0054】
図12の中の縦の破線と実線は、出入情報280を示す。縦の破線は、例えば、出入口1の内側に配置されたビーコン受信機1021の信号に基づいて作成された出入情報280を示す。縦の実線は、例えば、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280を示す。縦の破線と実線は、出入情報280に含まれる検知時刻285に対応する位置に描かれている。
以下で説明する各図においても縦の破線と実線の意味は同様である。
【0055】
医療者が施設に出入りした時に出入情報280が取得される。本実施形態では、医療者の出入情報280に含まれる検知時刻283に基づいて医療者が施設に入ったか、または施設を出たかを判別する。
例えば、出入口1の内側に配置されたビーコン受信機1021の信号に基づいて作成された出入情報280が取得された後に、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280が取得された場合、医療者は施設を出たと判別される。一方、例えば、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280が取得された後に、出入口1の内側に配置されたビーコン受信機1021の信号に基づいて作成された出入情報280が取得された場合、医療者は施設に入ったと判別される。
医療者が施設に入ったと判別されてから施設を出たと判別されるまでの時間を滞在時間帯という。一方、医療者が施設を出たと判別されてから施設に入ったと判別されるまでの時間を不在時間帯という。
図12の例では、19時まで、23時30分~午前3時、および午前8時以降は、滞在時間帯である。19時~23時30分、および午前3時~午前8時は不在時間帯である。
2番目の不在時間帯が始まる時刻(退勤時刻)は午前3時であり、それが終わる時刻(出勤時刻)は午前8時である。
【0056】
上記を実現するために、出入時刻特定部202と不在時間帯決定部203と退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205と出力部206とはそれぞれ以下のように動作する。
出入時刻特定部202は、検知部201によって取得された医療者の出入情報280に基づいて医療者が出入りしたと特定された施設を出た時刻とその施設に入った時刻とを特定する。
例えば、出入口1の内側に配置されたビーコン受信機1021の信号に基づいて作成された出入情報280が検知部201によって取得された後に、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280が検知部201によって取得されたとする。この場合、両方の出入情報280に含まれる施設ID282と出入口ID283は一致しており、出入口内配置284は内から外に変化している。このため、出入時刻特定部202は、医療者が施設を出たと判別する。そして、出入時刻特定部202は、例えば、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280に含まれる検知時刻285を医療者が施設を出た時刻として特定する。
【0057】
一方、例えば、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280が検知部201によって取得された後に、出入口1の内側に配置されたビーコン受信機1021の信号に基づいて作成された出入情報280が検知部201によって取得されたとする。この場合、両方の出入情報280に含まれる施設ID282と出入口ID283は一致しており、出入口内配置284は外から内に変化している。このため、出入時刻特定部202は、医療者が施設に入ったと判別する。そして、出入時刻特定部202は、例えば、出入口1の外側に配置されたビーコン受信機1022の信号に基づいて作成された出入情報280に含まれる検知時刻285を医療者が施設に入った時刻として特定する。
【0058】
不在時間帯決定部203は、出入時刻特定部202によって特定された出た時刻に始まり、出た時刻から退勤判定時間以上の間、出入時刻特定部202によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する。なお、退勤判定時間は本発明における所定の時間の例である。
退勤時刻決定部204は、不在時間帯決定部203によって決定された不在時間帯の中から、不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、選択された不在時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する。
出勤時刻決定部205は、例えば、退勤時刻決定部204によって選択された不在時間帯が終わる時刻が出入時刻特定部202によって特定された入った時刻である場合に、入った時刻を出勤時刻と決定する。
【0059】
各医療者と各施設の管理者は、それぞれ端末を所持している。端末はスマートホンや携帯電話、タブレット、パソコン等である。出力部206は、退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205によってそれぞれ決定された退勤時刻と出勤時刻を各医療者の端末および/または各施設の管理者の端末に送信することができる。端末は、退勤時刻決定装置200から送信された退勤時刻と出勤時刻を受信すると、例えば、そのディスプレイ等に退勤時刻と出勤時刻を表示する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る退勤時刻決定装置200では、医療者が施設に入ったか、施設を出たかを判別することができる。このため、退勤時刻決定装置200によれば、滞在時間帯と不在時間帯を決定することができ、例えば、図12に示す例では退勤時刻を午前3時と決定することができる。
これに対し、ビーコン受信機が出入口に1つのみ設置されており、医療者が出入口で検知されたときに、医療者が施設に入ったか、施設を出たかを判別できない場合、1日の中でユーザが出入口で最後に検知された時刻を退勤時刻と決定するしかない。この場合、図12の例では、23時30分が退勤時刻と決定されることになる
【0061】
図13は、退勤時刻と出勤時刻の第2の例を示す。
図13は、医療者が日勤した翌日に勤務を休んだ場合の例である。図13の第2の例では、前日19時に退勤した後、医療者が後日出勤するまで出勤時刻は不明である。この場合、退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205は、例えば、医療者が後日出勤した時に退勤時刻と出勤時刻を決定する。退勤時刻は19時と決定される。
ただし、この場合、図13に示すように、退勤時刻決定部204は、所定の標準出勤時刻を不在時間帯が終わる時刻とみなして退勤時刻を決定することもできる。標準出勤時刻は、早出や遅刻の判定の基準となる時刻である。標準出勤時刻は、施設の規則としてその施設に勤務する全医療者に共通に定めてもよいし、または、各医療者の勤務状況を考慮して医療者毎に定めてもよい。図13は、午前8時が標準出勤時刻である場合の例である。退勤時刻決定部204は、例えば、午前8時に退勤時刻を19時と決定する。
【0062】
図14は、退勤時刻と出勤時刻の第3の例を示す。
図14は、医療者が当直に連続して日勤した場合の例である。図14の第3の例では、当直の開始時刻から午前8時(標準出勤時刻)までの間に不在時間帯は存在しない。この場合、退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205は、標準出勤時刻をそれぞれ前日の退勤時刻および当日の出勤時刻と決定する。図14の例では、退勤時刻と出勤時刻は両方とも午前8時と決定される。
【0063】
図15は、退勤判定時間が1時間と定められている場合に生じた3つの不在時間帯の一例を示す。
図15に示すように、不在時間帯決定部203は、複数の時間帯を不在時間帯と決定する場合がある。図15は、医療者が23時に一旦退勤した後に、24時30分にオンコールで呼び出されて午前3時に退勤し、その後、再度午前5時にオンコールで呼び出されて午前7時に退勤した場合の例である。不在時間帯決定部203は、23時~24時30分、午前3時~午前5時、および午前7時~午前8時の3つの時間帯を不在時間帯と決定する。
この場合、退勤時刻決定部204は、例えば、時間的に最も早い(時間的に最も前の)不在時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。また、退勤時刻決定部204は、例えば、時間的に最も長い不在時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。また、退勤時刻決定部204は、例えば、時間的に最も遅い(時間的に最も後の)不在時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。
【0064】
図15(A)は、退勤時刻決定部204が時間的に最も早い不在時間帯を選択する例である。退勤時刻決定部204は、23時~24時30分の時間帯を不在時間帯として選択し、23時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部205は、24時30分を出勤時刻と決定する。
図15(B)は、退勤時刻決定部204が時間的に最も長い不在時間帯を選択する例である。午前3時~午前5時が他の2つの不在時間帯よりも長い。このため、退勤時刻決定部204は、午前3時~午前5時の時間帯を不在時間帯として選択し、午前3時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部205は、午前5時を出勤時刻と決定する。
図15(C)は、退勤時刻決定部204が時間的に最も遅い不在時間帯を選択する例である。退勤時刻決定部204は、午前7時~午前8時の時間帯を不在時間帯として選択し、午前7時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部205は、午前8時を出勤時刻と決定する。
【0065】
退勤時刻決定部204が、不在時間帯が終わる時に退勤時刻を決定すると、不在時間帯が長い場合には退勤時刻が決定されるまで時間がかかる。そこで、退勤時刻決定部204は、不在時間帯が終わる時刻が24時を超えていると判別できた時に、医療者の退勤時刻を決定することが考えられる。
例えば、退勤判定時間が3時間である場合、24時-退勤判定時間=21時である。図16(A)に示すように、不在時間帯の始まりが21時(24時-退勤判定時間)以前である場合、退勤時刻決定部204は不在時間帯が終わる時刻が24時を超えているか否かを24時に判別して退勤時刻を決定する。そして、出勤時刻決定部205は、出勤時刻を不在時間帯の終わりに決定する。図16(A)の例では、退勤時刻の判別時刻は24時、退勤時刻は20時、出勤時刻は午前3時である。
一方、図16(B)に示すように、不在時間帯の始まりが21時(24時-退勤判定時間)より後である場合には、退勤時刻決定部204は不在時間帯の始まりから退勤判定時間が経過した時に退勤時刻を決定する。そして、出勤時刻決定部205は、出勤時刻を不在時間帯の終わりに決定する。図16(B)の例では、退勤時刻の判別時刻は午前2時であり、退勤時刻は23時、出勤時刻は午前5時である。
【0066】
また、図15(B)のように退勤時刻決定部204が時間的に最も長い不在時間帯を選択する場合と図15(C)のように退勤時刻決定部204が時間的に最も遅い不在時間帯を選択する場合には、全ての不在時間帯が確定するまで(例えば、標準出勤時刻を過ぎるまで)退勤時刻と出勤時刻を最終的に確定させることができない。しかし、医療者の端末や施設の管理者の端末に退勤時刻と出勤時刻を表示させている場合、これらはできるだけ早く表示させることが望ましい。
そこで、不在時間帯決定部203が不在時間帯を決定する毎に退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205はそれぞれ仮の退勤時刻と仮の出勤時刻を求め、出力部206が端末にそれらを送信することが考えられる。
例えば、図15(C)の例では、24時30分には退勤時刻が23時、出勤時刻が24時30分と端末に表示される。午前3時から午前5時まで端末上で退勤時刻と出勤時刻の表示は消される。そして、午前5時に端末に退勤時刻が午前3時、出勤時刻が午前5時と表示される。午前7時から午前8時まで端末上で退勤時刻と出勤時刻の表示は消される。最終的に、午前8時に退勤時刻は午前7時、出勤時刻は午前8時と確定し、端末にそれらが表示される。
同様に、図15(B)のように退勤時刻決定部204が時間的に最も長い不在時間帯を選択する場合にも、最終的に退勤時刻と出勤時刻が確定するまで、仮の退勤時刻と仮の出勤時刻を端末に表示させることができる。
【0067】
図17は、第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置200における退勤時刻決定処理の流れの一例を示す。
検知部201は、検知システム100Aから送信される検知信号120を受信すると、検知信号120の検知時刻を特定する(S1)。次に、検知部201は、検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索し、そのビーコン発信機ID121を含む医療者情報を取得してビーコン発信機101を所持している医療者を特定する(S2)。また、検知部201は、検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122をキーとして出入施設テーブル270を検索し、そのビーコン受信機ID122を含む出入施設情報を取得し、取得した出入施設情報に含まれる施設名272と施設ID273によりその医療者が出入りした施設を特定する(S3)。検知部201は、ステップS2で検索された医療者情報から施設ID264を取得する(S4)。そして、ステップS3で取得した施設ID273とステップS4で取得した施設ID264とが一致したならば(S5:Yes)、検知部201は出入情報280を作成して取得する(S6)。
一方、施設ID273と施設ID264とが一致しないならば(S5:No)、例えば、ステップS1に戻って次の検知信号120の受信を待つ。
【0068】
続いて、出入時刻特定部202は、検知部201によって取得された医療者の出入情報280に基づいて医療者が出入りしたと特定された施設を出た時刻を特定する(S7)。
次に、不在時間帯決定部203は、出入時刻特定部202によって特定された出た時刻に始まり、出た時刻から退勤判定時間以上の間、出入時刻特定部202によって入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する(S8)。
次に、退勤時刻決定部204は、不在時間帯決定部203によって決定された不在時間帯の中から、不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、選択された不在時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する(S9)。
次に、退勤時刻決定部204によって選択された不在時間帯が終わる時刻が出入時刻特定部202によって特定された入った時刻である場合に、出勤時刻決定部205は入った時刻を出勤時刻と決定する(S10)。
【0069】
退勤時刻決定装置200は、医療者の勤務先が複数存在する場合であっても、勤務先が1つの場合と同様に動作する。
図18図19は、医療者(山田孝雄)がA病院とB病院の2つの施設で勤務する場合の医療者テーブル260と出入施設テーブル270の例を示す。
医療者ID261=6993の山田孝雄は、例えば本務先がA病院であり、兼務先がB病院である。山田孝雄はA病院とB病院で診療を行う。ビーコン受信機102はA病院とB病院に設置されている。図18に示すように、医療者テーブル260の山田孝雄の医療者情報には施設名263=A病院と施設ID264=1643、および施設名263=B病院と施設ID264=5172とが登録されている。この場合、図20に示すように、山田孝雄が午前中はA病院で診察を行い、B病院に移動して14時から19時までB病院で診察を行うと、退勤時刻決定部204は19時を退勤時刻と決定する。
このように、施設の管理者等が本務先のA病院と兼務先のB病院の両方の勤務を通して山田孝雄の退勤時刻を把握したい場合には、医療者テーブル260の山田孝雄の医療者情報にA病院の施設名263と施設ID264=1643、およびB病院の施設名263と施設ID264=5172を登録すればよい。
【0070】
なお、第1の実施形態では、1つ以上の所定の施設の各出入区域において医療者が各施設に入るか、または出るかを判別できるように発信機または受信機が2つ以上設置されている例を示したが、例えば1つの受信機が受信する電波の受信強度、受信角度、受信方向等によって医療者によって所持される発信機または受信機の位置を特定でき、医療者が各施設に入るか、または出るかを判別できる場合には、各出入区域に1つの発信機または受信機が設置されていてもよい。
【0071】
図21は、本発明の第2の実施形態に係る退勤時刻決定システム2の構成の一例を示す。
退勤時刻決定システム2は、検知システム300と、退勤時刻決定装置400とを有する。
検知システム300と退勤時刻決定装置400とは、有線または無線でネットワーク10に接続されている。退勤時刻決定装置400は、ネットワーク10を介して検知システム300から送信される検知信号を受信する。
【0072】
図22は、第2の実施形態に係る検知システム300の構成の一例を示す。
検知システム300は、ビーコン発信機101と、ビーコン受信機3021~3027と、検知信号取得装置110とを有する。
第1の実施形態に係る検知システム100Aでは、図2に示したように、ビーコン受信機1021~1026が所定の施設(例えば、A病院)の各出入口において医療者の移動経路に沿って2つ設置されている。これに対し、第2の実施形態に係る検知システム300では、図22に示すように、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口および各出入口を除く所定の滞在区域に、ビーコン受信機3021~3027がそれぞれ設置されている。この点以外は、検知システム300は検知システム100Aと同一の構成である。
【0073】
図22の例では、A病院は出入口1と出入口2と出入口3とを有する。出入口1と出入口2と出入口3には、それぞれビーコン受信機3021とビーコン受信機3022とビーコン受信機3023が設置されている。出入口1と出入口2と出入口3とは、出入区域の例である。
A病院の診察室には、ビーコン受信機3024が設置されている。ナースステーションには、ビーコン受信機3025が設置されている。調剤室には、ビーコン受信機3026が設置されている。更衣室には、ビーコン受信機3027が設置されている。診察室とナースステーションと更衣室とは施設内における所定の滞在区域の例である。
なお、施設を出入りするときに全ての医療者が例えば更衣室に立ち寄るならば、所定の滞在区域は更衣室のみであってもよい。
また、A病院の休憩室と売店にビーコン受信機は設置されていない。
【0074】
例えば、ビーコン発信機101を所持する医師が診察室にいる間、ビーコン受信機3024がビーコン信号を受信している。この医師が出入口1からA病院を出るとき、ビーコン受信機3021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信する。このため、ビーコン受信機3024がビーコン発信機101のビーコン信号を受信した後に、ビーコン受信機3021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信したとき、医師が出入口1からA病院を出たと識別することができる。
一方、医師が出入口1からA病院に入るとき、ビーコン受信機3021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信する。そして、この医師が診察室に入ると、ビーコン受信機3024がビーコン発信機101のビーコン信号を受信する。このため、ビーコン受信機3021がビーコン発信機101のビーコン信号を受信した後に、ビーコン受信機3024がビーコン発信機101のビーコン信号を受信したとき、医師が出入口1からA病院に入ったと識別することができる。
このように、検知システム300によれば、施設内における所定の滞在区域に滞在していた医療者が施設の出入口から出たとき、医療者が施設を出たと識別することができる。一方、施設の出入口から入った医療者が施設内における所定の滞在区域に入ったとき、医療者が施設に入ったと識別することができる。
【0075】
検知信号取得装置110は、各ビーコン受信機3021~3027からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDを含む信号を受信すると、図23に示す検知信号310を繰り返して生成し、生成した検知信号310を退勤時刻決定装置400に送信する。検知信号310は、ビーコン発信機ID311と、ビーコン受信機ID312と、検知時刻313とを含む。
ビーコン発信機ID311は、ビーコン発信機101によって送信されるビーコン発信機IDである。すなわち、ビーコン発信機ID311は、医療者によって所持されるビーコン発信機101を検知システム300全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機ID311は、ビーコン発信機101を所持する医療者を検知システム300全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
ビーコン受信機ID312は、各ビーコン受信機3021~3027によって送信されるビーコン受信機IDである。すなわち、ビーコン受信機ID312は、施設(例えば、A病院)内の出入口と所定の滞在区域を検知システム300全体で一意に識別する施設内区域識別情報である。ビーコン受信機ID312は、各ビーコン受信機3021~3027が設置された施設を検知システム300全体で一意に識別する施設識別情報でもある。ビーコン受信機ID312により、各ビーコン受信機3021~3027が設置された施設を検知システム300全体で一意に識別するとともに、その施設内の出入口と所定の滞在区域を検知システム300全体で一意に識別することができる。
検知時刻313は、例えば、検知信号取得装置110が各ビーコン受信機3021~3027からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信した時刻を示す情報である。または、検知時刻313は、各ビーコン受信機3021~3027がビーコン発信機101からビーコン信号を受信した時刻を示す情報であってもよい。
ビーコン発信機ID311は本発明の発信機識別情報の例であり、ビーコン受信機ID312は本発明の受信機識別情報の例である。
【0076】
なお、検知信号取得装置110は、各ビーコン受信機3021~3027からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信する毎に検知信号310を退勤時刻決定装置400に送信してもよいし、受信したビーコン発信機IDとビーコン受信機IDに検知時刻を付加して一旦記憶部に蓄積し、退勤時刻決定装置400からの送信要求に応答して、検知信号310をまとめて退勤時刻決定装置400に送信してもよい。
また、検知信号取得装置110は無くても良く、各ビーコン受信機3021~3027が検知信号310を生成し、生成した検知信号310を退勤時刻決定装置400に送信する構成とすることもできる。
【0077】
図24は、第2の実施形態に係る退勤時刻決定装置400の構成の一例を示す。
退勤時刻決定装置400は、退勤時刻決定装置200と同様に、CPUと、RAM等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記憶部250とを備える。退勤時刻決定装置400は、例えば、コンピュータで実現することができる。また、退勤時刻決定装置400は、例えば、クラウドコンピューティングで実現することができる。
退勤時刻決定装置400の記憶部250には、医療者テーブル260と、出入施設テーブル470と、退勤時刻決定プログラム490とが格納されている。
退勤時刻決定装置400のCPUが記憶部250から主メモリに退勤時刻決定プログラム490を読み出して実行することにより、検知部401と、出入時刻特定部402と、不在時間帯決定部203と、退勤時刻決定部204と、出勤時刻決定部205と、出力部206との各部の機能が実現される。
【0078】
医療者テーブル260の構成は、第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置200のものと同一であるため、その説明を省略する。
図25は、第2の実施形態に係る出入施設テーブル470の一例を示す。
出入施設テーブル470には、出入施設情報が登録されている。出入施設情報は、施設内区域ID471と、施設名472と、施設ID473と、区域名474と、区域属性475とを含む。
施設内区域ID471は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口および各出入口を除く所定の滞在区域に設置されたビーコン受信機を検知システム300全体で一意に識別する識別情報である。施設内区域ID471は図23の検知信号310に含まれるビーコン受信機ID312に対応する。施設内区域ID471により、ビーコン受信機3021~3027が設置された施設を識別することもできる。なお、便宜上図25の施設内区域ID471には図22の各ビーコン受信機3021~3027の符号を記載したが、施設内区域ID471には任意の識別情報を格納することができる。
施設名472は、施設内区域ID471で識別される施設の名称である。
施設ID473は、施設内区域ID471で識別される施設を検知システム300全体で一意に識別する施設識別情報である。
区域名474は、施設内区域ID471で識別される出入口または所定の滞在区域の名称である。
区域属性475は、施設内区域ID471で識別される区域が出入口であるか、または出入口以外の施設内滞在区域であるかを示す。
【0079】
以下に、検知部401と出入時刻特定部402の詳細について説明する。なお、不在時間帯決定部203と退勤時刻決定部204と出勤時刻決定部205と出力部206との各部の機能は、第1の実施形態に係る退勤時刻決定装置200のものと同一であるため、それらの説明を省略する。
検知部401は、検知システム300から送信される検知信号310を受信すると、検知信号310に含まれる検知時刻313を検知時刻として特定し、取得する。
なお、検知部401は、検知信号310に含まれる検知時刻313ではなく、検知システム300から送信される検知信号310を退勤時刻決定装置400が受信した時刻を検知時刻として特定し、取得してもよい。
【0080】
次に、検知部401は、検知信号310に含まれるビーコン発信機ID311をキーとして医療者テーブル260を検索し、ビーコン発信機ID311を含む医療者情報を取得してビーコン発信機101を所持している医療者を特定する。また、検知部401は、検知信号310に含まれるビーコン受信機ID312をキーとして出入施設テーブル470を検索し、ビーコン受信機ID132を含む出入施設情報を取得し、取得した出入施設情報に含まれる施設名472と施設ID473によりその医療者が出入りした施設を特定する。
【0081】
検知部401は、医療者が出入りしたと特定された施設がその医療者の勤務先施設である場合に、出入情報480を作成して取得する。すなわち、検知部401は、まず、ビーコン発信機ID311をキーとして医療者テーブル260を検索したときに検索された医療者情報から施設ID264を取得する。そして、検知部401は、この施設ID264がビーコン受信機ID312をキーとして出入施設テーブル470を検索したときに取得した施設ID473と一致したときに出入情報480を作成して取得する。
【0082】
出入情報480は、図26に示すように、医療者ID481と、施設ID482と、区域属性483と、検知時刻484とを含む。
医療者ID481は、医療者を検知システム300全体で一意に識別する識別情報である。医療者ID481は、図9の医療者テーブル260に格納されている医療者情報に含まれる医療者ID261に対応する。
施設ID482は、施設を検知システム300全体で一意に識別する施設識別情報である。施設ID482は、図25の出入施設テーブル470に格納されている出入施設情報に含まれる施設ID473に対応する。
区域属性483は、出入情報480が作成される元となった信号を送信したビーコン受信機が設置されている区域が出入口であるか、または出入口以外の施設内滞在区域であるかを示す情報である。区域属性483は、図25の出入施設テーブル470に格納されている出入施設情報に含まれる区域属性475に対応する。
検知時刻484は、例えば、検知信号310に含まれる検知時刻313である。
【0083】
出入時刻特定部402は、検知部401によって取得された医療者の出入情報480に基づいて医療者が出入りしたと特定された施設を出た時刻とその施設に入った時刻とを特定する。
例えば、出入口1に設置されたビーコン受信機3021の信号に基づいて作成された出入情報480が検知部401によって取得された後に、診察室に設置されたビーコン受信機3024の信号に基づいて作成された出入情報480が検知部401によって取得されたとする。この場合、両方の出入情報480に含まれる施設ID482は一致しており、区域属性484は出入口から施設内滞在区域に変化している。このとき、出入時刻特定部402は、医療者が施設に入ったと判別する。そして、出入時刻特定部402は、例えば、出入口1に設置されたビーコン受信機3021の信号に基づいて作成された出入情報480に含まれる検知時刻484を医療者が施設に入った時刻として特定する。
【0084】
一方、例えば、診察室に設置されたビーコン受信機3024の信号に基づいて作成された出入情報480が検知部401によって取得された後に、出入口1に設置されたビーコン受信機3021の信号に基づいて作成された出入情報480が検知部401によって取得されたとする。この場合、両方の出入情報480に含まれる施設ID482は一致しており、区域属性484は施設内滞在区域から出入口に変化している。このとき、出入時刻特定部402は、医療者が施設を出たと判別する。そして、出入時刻特定部402は、例えば、出入口1に設置されたビーコン受信機3021の信号に基づいて作成された出入情報480に含まれる検知時刻484を医療者が施設を出た時刻として特定する。
【0085】
第2の実施形態に係る退勤時刻決定システム2は、出入口1~3のビーコン受信機3021~3023がビーコン発信機101のビーコン信号を受信しただけでは、医療者の出入りを識別しない。例えば、出入口1~3からA病院に入った後に休憩室や売店に行き、そのまま出入口1~3からA病院の外に出た場合には出入口1~3のビーコン受信機3021~3023がビーコン発信機101のビーコン信号を連続して2度検出するが、この場合、退勤時刻決定システム2では医療者の出入りは識別されない。
【0086】
なお、退勤時刻決定装置400も、退勤時刻決定装置200と同様に、医療者の勤務先が複数存在する場合であっても、勤務先が1つの場合と同様に動作する。
【0087】
また、第2の実施形態では、ビーコン発信機が医療者によって所持されており、所定の施設の各出入区域および各出入区域を除く所定の滞在区域に、ビーコン受信機がそれぞれ設置されている検知システム300を例として説明したが、検知システムは、ビーコン受信機が医療者によって所持されており、所定の施設の各出入区域および各出入区域を除く所定の滞在区域にビーコン発信機がそれぞれ設置されている構成であってもよい。また、検知システムは、RFタグが医療者によって所持されており、所定の施設の各出入区域および各出入区域を除く所定の滞在区域にRFタグ読取機がそれぞれ設置されている構成であってもよい。
【0088】
また、例えば、忘れ物を取りに施設に戻ったり、休日に本や文献を取りに施設に入って極めて短い時間で施設を出たりした場合、図27に示すように、不在時間帯の途中で極めて短い滞在時間帯が生じる。このような極めて短い滞在時間帯を元に出勤時刻と退勤時刻を決めるのは望ましくない。このため、退勤時刻決定システム1と退勤時刻決定システム2では、所定の時間以下の極めて短い滞在時間帯を無視し、その時間帯に医療者は施設に滞在していなかったものとみなすこととしてもよい。
【0089】
また、音波を用いて医療者の位置を特定する方法が知られている。この方法では、例えばスピーカーから高周波帯の音波を発信し、マイクで受信することにより医療者の位置を特定する。上述した実施形態では、医療者の位置を特定する方法としてBLE方式のビーコンを用いる方法とRFIDを用いる方法とを示したが、本発明では、医療者の位置を特定できる方法であれば、音波を用いる方法等の別の方法を用いることもできる。音波を用いる方法の場合、スピーカーが本発明の発信機であり、マイクが本発明の受信機である。
【0090】
また、医療者が施設に入ったことと医療者が施設を出たこととを識別することは、上記第1の実施形態と第2の実施形態で示した検知システムの他に、例えば、医療者が施設の外にいることをGPS(Global Positioning System)で検知し、医療者が施設の中にいることをビーコン受信機とビーコン発信機、RFタグとRFタグ読取機、またはマイクとスピーカーを用いて検知する構成の検知システムによっても可能である。本発明は、医療者が施設に入ったことと医療者が施設を出たこととを識別できる構成であれば上記第1の実施形態と第2の実施形態と異なる構成の検知システムであっても実施することができることはもちろんである。
【0091】
以上説明したように、本発明によれば、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる。
また、本発明は退勤時刻と出勤時刻の間隔が退勤判定時間以上であることを退勤時刻と出勤時刻の決定条件の一つとしている。このため、本発明によれば、短時間の外出や出入口への滞在等によって退勤時刻と出勤時刻が決定されることを防ぐことができる。
【0092】
また、本発明の退勤時刻決定システムによれば、医療者が複数の施設(例えば本務先と兼務先)に滞在していた各滞在時間を容易に求めることができる。検知部は、施設毎の出入情報を取得する。施設毎の出入情報に基づいて滞在時間帯を施設毎に求めることにより、施設毎の滞在時間を求めることができる。また、施設毎の滞在時間を合計することにより総滞在時間を求めることができる。
また、例えば、本発明の退勤時刻決定システムによれば、医療者の本務先がA病院であり、兼務先がB病院である場合に、その医療者についてA病院とB病院における各滞在時間を求めるが、その医療者が退勤したことはA病院の出入情報のみで判定することもできる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計または開発上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…退勤時刻決定システム、10…ネットワーク、100,100A,100B,100C…検知システム、101…ビーコン発信機、1021~1026…ビーコン受信機、110…検知信号取得装置、120…検知信号、1311~1316…ビーコン発信機、132…ビーコン受信機、140…検知信号、151…RFタグ、1521~1526…RFタグ読取機、160…検知信号、200…退勤時刻決定装置、201…検知部、202…出入時刻特定部、203…不在時間帯決定部、204…退勤時刻決定部、205…出勤時刻決定部、206…出力部、250…記憶部、260…医療者テーブル、270…出入施設テーブル、280…出入情報、290…退勤時刻決定プログラム、2…退勤時刻決定システム、300…検知システム、3021~3027…ビーコン受信機、310…検知信号、400…退勤時刻決定装置、401…検知部、402…出入時刻特定部、470…出入施設テーブル、480…出入情報、490…退勤時刻決定プログラム

【要約】
【課題】日付をまたいで勤務する医療者の退勤時刻を決定する。
【解決手段】検知システムは、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の施設に入ったことと出たこととを識別できるように設置されている発信機と受信機を有する。検知部201は、検知システムから送信される検知信号を受信すると、検知信号の検知時刻と医療者と出入りした施設とを特定し、検知時刻を含む医療者の出入情報を取得する。出入時刻特定部202は、医療者の出入情報に基づいて医療者が施設を出た時刻と施設に入った時刻とを特定する。不在時間帯決定部203は、出た時刻に始まり、出た時刻から退勤判定時間以上の間、入った時刻が特定されなかった時間帯を不在時間帯と決定する。退勤時刻決定部204は、決定された不在時間帯の中から、不在時間帯が終わる時刻が24時を超えている不在時間帯を1つ選択し、選択された不在時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する。
【選択図】図8
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