(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる固定用プレート、固定リング、延長枠部材、前面プレート
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
E03D5/10
(21)【出願番号】P 2018043093
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2017142254
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017232979
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396017796
【氏名又は名称】株式会社ミナミサワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】南澤 俊文
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120015(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1876976(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項1】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記センサおよび前記駆動制御部を取外す工程と、
前記本体部から前記シリンダ室の開口端部を密閉している密閉蓋を取外した後、前記シリンダ室から前記ピストンバルブを取外す工程と、
前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して、前記第2開口孔を露出させる工程と、
前記第2開口孔に止水プラグを取付けて、前記第2開口孔の封止を行う工程と、
固定用プレートを前記本体部に固定する工程と、
前記主流路の開閉を行う主電磁弁を前記シリンダ室に挿入して、前記主電磁弁を前記固定用プレートに固定する工程と、
前記主電磁弁によって、または、前記主電磁弁および封止部材によって、前記シリンダ室の開口端部および前記第1開口孔を封止する工程と、を備え、
前記主流路の開閉を行う機構を、前記差圧移動式のピストンバルブから前記主電磁弁に切替えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【請求項2】
前記固定用プレートを前記本体部に固定する工程は、
前記密閉蓋の螺合用として前記シリンダ室の内壁に設けられる雌ネジ部に対して螺合可能な雄ネジ部を外周に有する円筒状であって且つ第1端部に径方向外方に突設される鍔状部を有する固定リングを用い、
前記固定リングの第2端部側を前記固定用プレートに開口形成された挿通孔に挿通した状態で、前記固定リングを前記シリンダ室の内壁に螺合させて固定することにより、前記鍔状部と前記シリンダ室の開口端部とで前記固定用プレートを挟み込んで固定する工程であること
を特徴とする請求項1記載の自動洗浄装置の改装方法。
【請求項3】
前記固定用プレートを前記本体部に固定する工程は、
前記シリンダ室の外壁に突設されて外周にネジ部を有し、中心に前記第1開口孔が形成された突起部に対して、前記固定用プレートを外嵌した状態でナットを締め込むことにより、前記固定用プレートを前記シリンダ室の外壁に固定する工程であること
を特徴とする請求項1記載の自動洗浄装置の改装方法。
【請求項4】
前記固定用プレートを前記本体部に固定する工程は、
一端に鉤状部を有する前記固定用プレートを、前記鉤状部を前記本体部の外周部に係止させた状態で他端を前記副電磁弁の固定用のネジ孔に直接もしくは中間部材を介してネジ留めすることにより固定する工程であること
を特徴とする請求項1記載の自動洗浄装置の改装方法。
【請求項5】
前記本体部、前記センサおよび前記駆動制御部が壁内に設置される構造の場合において、前記センサおよび前記駆動制御部を着脱可能に取付けるために壁面に固定された枠部材に対して、
一端が前記シリンダ室に挿入された状態の前記主電磁弁の他端が壁面から壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されると共に壁面側に
回動可能な係合部が設けられた延長枠部材を、前記係合部を
正面視で前記枠部材の内周
と重なる位置まで回動させることにより係合させて、前記枠部材に固定する工程と、
使用者を感知して前記主電磁弁の駆動を行う第2駆動制御部へ駆動信号を送信する第2センサが取付けられている前面プレートを、前記延長枠部材に固定する工程と、を備えること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の自動洗浄装置の改装方法。
【請求項6】
前記本体部、前記センサおよび前記駆動制御部が壁内に設置される構造の場合において、前記センサおよび前記駆動制御部を着脱可能に取付けるために壁面に固定された枠部材に対して、
一端が前記シリンダ室に挿入された状態の前記主電磁弁の他端が壁面から壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されたドーム部が正面視において前記主電磁弁と対応する位置に設けられていると共に、使用者を感知して前記主電磁弁の駆動を行う第2駆動制御部へ駆動信号を送信する第2センサが取付けられている前面プレートを、前記枠部材に固定する工程を備えること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の自動洗浄装置の改装方法。
【請求項7】
請求項2記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記固定用プレートであって、
中央部に前記挿通孔を有し、
前記挿通孔を挟み込む配置で、前記シリンダ室に挿入された状態の前記主電磁弁を固定する固定孔もしくは固定ネジを有すること
を特徴とする固定用プレート。
【請求項8】
前記固定孔を有する場合において、前記固定リングの前記鍔状部の軸方向の厚さと同一の厚さに形成されたかさ上げ部材が、前記固定孔を取り囲む外縁位置に固定されていること
を特徴とする請求項7記載の固定用プレート。
【請求項9】
前記主電磁弁が固定される前面と逆側の裏面において、板面と直交する方向に突設された回り止め部材を有すること
を特徴とする請求項7または請求項8記載の固定用プレート。
【請求項10】
設置状態において下辺となる位置に、前記本体部の止水栓の開閉を行う開閉工具が進入可能な溝幅に形成された溝部を有すること
を特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の固定用プレート。
【請求項11】
設置状態において右上端部となる位置に、斜めに切欠かれた第1切欠き部を有すること
を特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載の固定用プレート。
【請求項12】
前記本体部がストレーナ収納室および前記ストレーナ収納室の封止蓋を備える構造の場合において、
設置状態において正面視で前記封止蓋と干渉しない形状で切欠かれた第2切欠き部を有すること
を特徴とする請求項7~11のいずれか一項に記載の固定用プレート。
【請求項13】
請求項2記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記固定リングであって、
内周面に、回動工具を係止させる係止溝を有すること
を特徴とする固定リング。
【請求項14】
前記第1端部側の内径が相対的に大きい薄肉部と、前記第2端部側の内径が相対的に小さい厚肉部と、を有すること
を特徴とする請求項13記載の固定リング。
【請求項15】
前記鍔状部の端面の内周部が角取された傾斜面に形成されていること
を特徴とする請求項13または請求項14記載の固定リング。
【請求項16】
前記鍔状部に隣接する位置に、前記雄ネジ部よりも大きい外径に形成されて、前記挿通孔に隙間無く嵌合される大径部を有すること
を特徴とする請求項13~15のいずれか一項に記載の固定リング。
【請求項17】
請求項3記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記固定用プレートであって、
前記シリンダ室の前記突起部に外嵌可能な内径を有する嵌合孔が形成された固定部と、
前記固定部から分岐して前記シリンダ室の開口端部を径方向に挟み込む配置でそれぞれ延設された第1腕部および第2腕部と、を備え、
前記第1腕部および前記第2腕部は、前記シリンダ室に挿入された状態の前記主電磁弁を固定する固定孔もしくは固定ネジを有すること
を特徴とする固定用プレート。
【請求項18】
請求項4記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記固定用プレートであって、
前記シリンダ室の外壁に突設されて内部に前記第1開口孔が形成された突起部を、正面側から背面側へ包み込む配置で係止可能に折曲もしくは湾曲形成された前記鉤状部を備えること
を特徴とする固定用プレート。
【請求項19】
請求項5記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記延長枠部材であって、
前記係合部は、一対の固定板が左右もしくは上下の位置に二組設けられており、
一対の前記固定板は一対の先端部が正面視で前記枠部材の内周と重なる位置と、重ならない位置との間で回動可能に配設されると共に、一対の前記先端部が常時は前記枠部材の内周と重なる位置となるように付勢する付勢部材が一対の後端部同士を繋いで設けられていること
を特徴とする延長枠部材。
【請求項20】
請求項6記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記前面プレートであって、
前記枠部材に対して所定の固定状態となるときに正面視において前記主電磁弁と対応する位置に、一端が前記シリンダ室に挿入された状態の前記主電磁弁の他端が壁面から壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成され、前記主電磁弁の他端が収容される空間を有するドーム部が設けられていること
を特徴とする前面プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を感知して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる固定用プレート、固定リング、延長枠部材、前面プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、
図1、
図2に例示されるような、壁内(もしくは壁近傍部)に使用者を感知するセンサ、および差圧移動式のピストンバルブを有する本体部が配設される壁埋め込み型ユニットを用いて男性用の小便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置が実用化されている。
【0003】
その後、便器メーカーの技術改良によって、特許文献1(特開2008-031825号公報)、特許文献2(特開2008-248549号公報)に開示されるような、小便器に直接、センサが埋設される構造のものも登場している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-031825号公報
【文献】特開2008-248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既に旧式の部類に属する
図1、
図2に例示の自動洗浄装置2(2A)においては、経年によって、センサの故障が少なからず発生するようになってきた一方で、センサの製造・提供が終了するという問題に直面している。すなわち、センサの故障時に、現状復帰が不可能(もしくは困難)となるために、自動洗浄機能を維持することができず、小便器自体を特許文献1、2に例示される構成のものに交換しなければならない等、大規模な改修と多大な経費が発生する課題が生じることとなる。
【0006】
ここで、
図1、
図2に例示の自動洗浄装置2(2A)のように、壁外の配管Pが十分な長さを有している場合には、上記センサの故障時に、当該配管Pの位置に外部型ユニット5を設けることによって、壁埋め込み型ユニット3から外部型ユニット5に改装する改装方法も考えられる(
図3参照)。
【0007】
しかし、
図4、
図5に例示するように、壁外の配管Pが十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合等においては、上記のように壁埋め込み型ユニットから外部型ユニットに改装する改装方法の採用は不可能である。
【0008】
さらに、上記の外部要因に加えて、現場の壁埋め込み型ユニットにおける壁内の状況は、非常に限定された極小スペース内での改装施工作業を取らざるを得ない点も大きな課題となっている。すなわち、(a)一辺が約100[mm]の立方空間に、既設の本体部に電磁弁を挿入しようとする場合、その小型形状化が必要となる。(b)従来の電磁弁の固定方法であるバルブ本体シリンダ同心のねじ部を利用したねじ込み方法を用いる固定方法は採用が不可能であるため代替方法が必要となる。(c)改装作業、工具においても、正面方向のみの開口部で行うしか無く、プラスマイナスのドライバー程度の工具に限定した工法の案出が必要となる。
【0009】
こうした外部、内部の制約条件による上記の課題に鑑み、既設の器具に連結固定を可能にする専用の改装器具、および収納スペースの拡大と作業性向上を目的とした改装方法が市場において要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、当該自動洗浄装置における壁外の配管が十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合に、外部型ユニットを使用せずに、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を提供することを目的とし、併せて、当該方法に用いられる固定用プレート、固定リング、延長枠部材、前面プレートを提供することを目的とする。
【0011】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0012】
開示の改装方法は、取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、前記センサおよび前記駆動制御部を取外す工程と、前記本体部から前記シリンダ室の開口端部を密閉している密閉蓋を取外した後、前記シリンダ室から前記ピストンバルブを取外す工程と、前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して、前記第2開口孔を露出させる工程と、前記第2開口孔に止水プラグを取付けて、前記第2開口孔の封止を行う工程と、固定用プレートを前記本体部に固定する工程と、前記主流路の開閉を行う主電磁弁を前記シリンダ室に挿入して、前記主電磁弁を前記固定用プレートに固定する工程と、前記主電磁弁によって、または、前記主電磁弁および封止部材によって、前記シリンダ室の開口端部および前記第1開口孔を封止する工程と、を備え、前記主流路の開閉を行う機構を、前記差圧移動式のピストンバルブから前記主電磁弁に切替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
開示の改装方法によれば、前述の課題解決が可能となり、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、当該自動洗浄装置における壁外の配管が十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合に、外部型ユニットを使用せずに、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサの故障時等において、便器自体を取換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来の実施形態に係る壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図2】
図1に示す自動洗浄装置の構成例を説明する説明図(側面方向の図)である。
【
図3】比較例に係る改装方法を適用して改装を行った外部型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(側面方向の図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の他の例を示す概略図(側面方向の図)である。
【
図6】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図7】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図8】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図9】
図4、
図5に示す壁埋め込み型ユニットの本体部の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図10】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図11】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図12】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図13】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図14】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図15】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図16】本発明の実施形態に係る改装方法を適用して改装を行った自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図17】
図16に示す自動洗浄装置の構成例を説明する説明図(側面方向の図)である。
【
図18】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水プラグの例を示す概略図(平面図、正面図、底面図)である。
【
図19】
図18に示す止水プラグに突っ張り棒が固定された状態を示す概略図(正面図)である。
【
図20】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図21】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定用プレート(第一例)の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図22】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定用プレート(第二例)の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図23】
図4、
図5に示す壁埋め込み型ユニットの本体部の他の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図24】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(側面方向の図)である。
【
図25】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水プラグの他の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図26】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる延長枠部材の例を示す概略図(背面図)である。
【
図27】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図28】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図29】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定用プレート(第三例)の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図30】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定リングの例を示す概略図(斜視図)である。
【
図31】
図30に示す固定リングのX-X線断面図(概略図)である。
【
図32】
図30に示す固定リングを回動させる回動工具の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図33】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる主電磁弁の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図34】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定用プレート(第四例)の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図35】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる固定用プレート(第五例)の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図36】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図37】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図38】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図39】従来の他の実施形態に係る壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図40】本発明の実施形態に係る改装方法および当該改装方法に用いられる前面プレートを説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図41】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一の実施形態]
(改装方法)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
本実施形態に係る改装方法の対象となる従来の自動洗浄装置2(2B)、2(2C)をそれぞれ
図4、
図5に示す。いずれも、使用者を感知するセンサ16、およびその感知に基づく信号によって主流路の開閉を行う開閉動作がなされるピストンバルブを有する本体部11が壁内に配設された壁埋め込み型ユニット3を備える構成である。前述の通り、壁外の配管Pが十分な長さを有していない構成(2B)、あるいは、壁外の配管自体が設けられていない構成(2C)であるために、センサ故障時に外部型ユニットに取換えて自動洗浄機能を復帰させる改装が不可能である。
【0017】
そこで、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させるために、本実施形態に係る改装方法は以下の工程を備えることを特徴とする。
【0018】
先ず、
図6に示すように、従来の自動洗浄装置2(2A)から、壁埋め込み型ユニット3のセンサ窓を有する前面プレート12を取外す工程を実施する(工程S1)。この前面プレート12は、金属製であって中央にセンサ窓14を有し、当該センサ窓14の裏面(壁内側)に使用者を感知するためのセンサ16が設置されている。また、符号17は、センサの感知信号により後述の副電磁弁の駆動制御等を行う駆動制御部である。なお、前面プレート12は、通常、壁面WLに固定されている枠部材18に対して、マグネット22を用いて固定されている。
【0019】
工程S1よりも後に、同
図6に示すように、壁埋め込み型ユニット3の駆動制御部17に接続された制御配線24、および電源配線26を取外して、壁埋め込み型ユニット3から、前面プレート12、センサ16、および駆動制御部17を縁切りして取外す工程を実施する(工程S2)。ここで、電源配線26に供給される電源としては、AC100Vの商用電源(100Vタイプ)、もしくは電池による直流電源(電池タイプ)が用いられる。なお、本実施形態においては、100Vタイプの例で図示をして説明する。
【0020】
また、工程S1よりも後に(好適には工程S2よりも後に)、
図7に示すように、壁埋め込み型ユニット3の主流路28の止水栓30を閉め噴水防止措置を取った後、本体部11からシリンダ室31の開口端部31aを密閉している密閉蓋27を取外し、次いで、シリンダ室31内を移動して主流路28の通水・止水を行う差圧移動式のピストンバルブ32を当該シリンダ室31から取外す工程を実施する(工程S3)。ここで、主流路28は、給水管34に連結された取水口35から取水し、本体部11内を通り、送水口37に連結された排水管36に送水する作用をなす流路である。本体部11内において、主流路28は開口28aからシリンダ室31内を経て開口28bへと通流させる流路となっている。したがって、ピストンバルブ32が奥側(開口端部31aとは逆側)に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aに設けられた弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座となる)31bに密着することで主流路28が閉じられて洗浄水が止水される。一方、ピストンバルブ32が開口端部31a側に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bから離れることで、主流路28が開かれて開口28aから開口28bへと洗浄水が通水される。このように、ピストンバルブ32がシリンダ室31内を移動することによって、給水管34から排水管36を介して便器1へ通流させる洗浄水の通水・止水作用が得られる。
【0021】
次に、工程S3よりも後に、
図8に示すように、壁埋め込み型ユニット3のピストンバルブ32の後端部32bに作用する圧力を変化させて当該ピストンバルブ32を動作させる副流路38(構造に応じて全部もしくは一部)および当該副流路38を開閉する副電磁弁42をそれぞれ取外し、後述の第2開口孔15を露出させる工程を実施する(工程S4)。なお、副電磁弁42は、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して副流路38を開閉可能なように構成されている。ちなみに、副電磁弁42は、内部の流路が副流路38の一部を兼ねている(本体部19を対象とする実施形態においても同様)。
【0022】
ここで、
図8、および
図9(本体部11の概略図)を用いて壁埋め込み型ユニット3が備える副流路38の構成について説明する。副流路38は、一端が主流路28(ここではシリンダ室31)においてピストンバルブ32の後端部32b側となる位置(すなわちシリンダ室31において開口端部31a側となる位置)に開口形成された第1開口孔13を介して当該主流路28に連通している。また、他端が主流路28においてピストンバルブ32が配設される位置(すなわち開口28bが設けられる位置)よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔15を介して当該主流路28に連通している。本実施形態においては、シリンダ室31の外壁に突設されて外周にネジ部を有する突起部39が設けられており、当該突起部39の中心(径方向の中心)に第1開口孔13が形成されている。一例として、副流路38は、ユニオンナット40を用いて突起部39のネジ部に固定される構成である。
【0023】
なお、上記構成を有する副流路38の本来の作用としては、センサ16が使用者を感知すると、その感知信号により駆動制御部17が副電磁弁42を駆動(励磁)させると、副流路38が開かれた状態となる。このとき、副流路38は第2開口孔15を介して主流路28さらには送水口37および排水管36に連通しているため、副流路38内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、第1開口孔13を介してピストンバルブ32の後端部32b側の圧力が減圧されるため、当該ピストンバルブ32がシリンダ室31内において奥側(内壁31b側)から開口端部31a側へと移動する。これによって、主流路28が開いた状態となるため、前述の説明のように主流路28を洗浄水が流れることとなる。ちなみに、その後の動作としては、副電磁弁42が消磁すると、副流路38が閉じられた状態となる。ここで、ピストンバルブ32は先端部32a側と後端部32b側とを連通する小孔(不図示)を備えており、開口28aから当該小穴を通じて徐々にピストンバルブ32の後端部32b側へと洗浄水が満ちてくる。さらにピストンバルブ32の後端部32bにはリターンスプリング(不図示)が設けられており、それらの作用によって、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bに当接する状態となるため、主流路28が閉じられて、洗浄水の通水が停止することとなる。以上の作用により、差圧移動式のピストンバルブ32が動作する。
【0024】
また、工程S3よりも後に(好適には工程S4よりも後に)、
図10に示すように、副流路38を取外して第2開口孔15を露出させた箇所に対する処置として、第2開口孔15に止水プラグ46を取付けて、第2開口孔15の封止を行う工程を実施する(工程S5)。これによれば、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことが可能となる。なお、止水プラグ46の詳細な構成については後述する。
【0025】
次に、工程S4よりも後に、固定用プレート90を本体部に固定する工程を実施する(工程S6)。本実施形態においては、
図11に示すように、突起部39に対して、固定用プレート90を外嵌した状態でナット41を締め込むことによって、固定用プレート90を本体部11(シリンダ室31の外壁)に固定する工程を備えて実施される。なお、固定用プレート90の詳細な構成については後述する。
【0026】
次に、工程S6よりも後に、
図12に示すように、主流路28の開閉を行う主電磁弁70をシリンダ室31に挿入して当該シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止した状態で、主電磁弁70を固定用プレート90に固定する工程を実施する(工程S7)。当該主電磁弁70は、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して主流路28を開閉可能なように構成されている。したがって、取外した差圧移動式のピストンバルブ32に代えて、主流路28の開閉動作を生じさせることができる。
【0027】
ここで、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止する手順は、以下のように実施される。本実施形態においては、主電磁弁70の構成として、
図33に示すように、シリンダ室31に挿入される部分の所定位置に封止部材(一例として、ゴム材料を用いたOリング)102が設けられている。当該所定位置は、シリンダ室31内において第1開口孔13よりも奥側(開口端部31aと逆側)の位置となるように設定されている。したがって、主電磁弁70がその先端70c側からシリンダ室31内に挿入され、封止部材102が所定位置に到達した状態で固定用プレート90に固定されることによって、第1開口孔13よりも奥側となる位置でシリンダ室31の封止が行われるため、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13の両方が封止された状態となる。
【0028】
あるいは、変形例として、主電磁弁70の封止部材102が設けられる所定位置をシリンダ室31内において第1開口孔13よりも手前側(開口端部31a側)の位置となるように設定する構成としてもよい(不図示)。その場合は、主電磁弁70がその先端70c側からシリンダ室31内に挿入され、封止部材102が所定位置に到達した状態で固定用プレート90に固定されることによって、シリンダ室31の開口端部31aが封止された状態となる。一方、第1開口孔13は封止されていない状態となるため、別途、突起部39に例えば袋ナットのような封止部材(不図示)を外嵌させることによって、第1開口孔13が封止された状態とすればよい。
【0029】
ところで、
図4、
図5に例示されるように、本体部11、センサ16および駆動制御部17が壁内に設置される構造の場合においては、
図12に示すように、シリンダ室31に一端が挿入されて固定した主電磁弁70の他端70aが、壁面WLから壁外へ突出してしまい、前面プレート(およびこれに固定するセンサ等)の取付けができないという課題が生じ得る。
【0030】
この課題に対して、本実施形態においては、以下の工程を備えることによって、その解決を可能としている。
【0031】
具体的には、前述の工程S1よりも後に(好適には工程S7よりも後に)、
図13に示すように、一端がシリンダ室31に挿入された状態の主電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されると共に壁面WL側に係合部84が設けられた延長枠部材80を、枠部材18に固定する工程を実施する(工程S8)。なお、延長枠部材80の詳細な構成については後述する。
【0032】
次に、工程S8よりも後に、
図14に示すように、使用者を感知する第2センサ72および当該第2センサ72の感知信号により主電磁弁70の駆動を行う第2駆動制御部74を、延長枠部材80に取付ける工程を実施する(工程S9)。一例として、第2センサ72および第2駆動制御部74(ここでは、一体型である)が裏面側(背面側)に固定された金属製の第2前面プレート76を用意して、先に、電源配線26をソケット60に接続し、当該ソケット60にACアダプタ62を介して第2駆動制御部74を接続すると共に、主電磁弁70の配線64を第2駆動制御部74に接続する(なお、変形例として、電源配線26を直接、第2駆動制御部74に接続する構成も考えられる)。次いで、第2前面プレート76を、延長枠部材80に設けられたマグネット82に吸着させて取付ける構成としている。当該工程S9迄が完了した状態を
図15に示す。
【0033】
ところで、上記のS8、S9工程を備える改装方法は、
図1に例示されるような正方形(略正方形を含む)の枠部材18および前面プレート12を備える従来の自動洗浄装置2(2A)に対して好適な方法となる。一方、変形例として、
図39に例示されるような長方形の枠部材18および前面プレート12を備える従来の自動洗浄装置2(2D)の場合には、枠部材18および前面プレート12が固定されるケース部材の内部空間が比較的大きいため、延長枠部材80を用いることなく、主電磁弁70の他端70aとの干渉を回避可能な前面プレート(第3前面プレート77)を用いることによって、上記のS8工程を省略し得る以下の方法を適用することができる。
【0034】
ここで、当該第3前面プレート77の構成例を
図40に示す。具体的には、枠部材18に対して所定の固定状態(
図41に示す状態である)となるときに正面視において主電磁弁70と対応する位置に、シリンダ室31に所定に挿入された状態の主電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも、同方向に突出する寸法が大きく形成され、且つ幅方向においても他端70aと当接しない寸法に形成されて、当該主電磁弁70の他端70aが干渉することなく内部に収容可能となる空間を有するドーム部78が設けられている。一例として、ドーム部78は、頂面を有する角錐台形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、円錐台形状に形成される構成としてもよい。いずれの場合にも、周面(傾斜面)78aの傾斜角度は第3前面プレート77の板面に対して45[°]以下となるように構成することが好適である。このように緩やかな傾斜面とすることによって、使用者によるドーム部78の把持を困難とし、
第3前面プレート77が取外されてしまう等のいたずらを防ぐことができる。
【0035】
なお、第3前面プレート77は、前述の第2前面プレート76と同様に、第2センサ72および第2駆動制御部74(ここでは、一体型である)が裏面側(背面側)に固定された状態として用意すればよい。
【0036】
上記の第3前面プレート77を用いる改装方法を具体的に説明すると、前述の工程S7よりも後に、前述の工程S8、S9に代えて、
図40に示すように、主電磁弁70の他端70aをドーム部78の内部に収容させるようにしながら、第3前面プレート77の端部(裏面側)を枠部材18に設けられたマグネット22に吸着させることによって、当該第3前面プレート77を枠部材18に固定する工程を実施する(工程S9a)。なお、当該工程において、第3前面プレート77に取付けられている第2センサ72および第2駆動制御部74を電気的に接続させる方法については、前述の第2前面プレート76の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
この変形例に係る改装方法によれば、延長枠部材80が不要となり、その取付け工程も省略できるため、部品コストの低減と、作業工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0038】
以上説明した通り、壁内(もしくは壁近傍部)にセンサ16およびピストンバルブ32が配設される壁埋め込み型ユニット3を備え、且つ、便器1に接続される壁外の配管が十分な長さを有していない、もしくは、便器1に接続される壁外の配管自体が設けられていないことによって、改装用の外部型ユニットを壁外の配管に取付けることができない自動洗浄装置2(一例として、
図4に示す2B、
図5に示す2C)に関し、例えば壁内のセンサ16が故障した場合等において、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ、主流路28の開閉を行う機構を、差圧移動式のピストンバルブ32から主電磁弁70に切替えることができるため、便器自体を特許文献1、2に例示される構成のものに交換する等の改修を行うことなく、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を実現することが可能となる。当該改装方法実施後の構成に関して、概略図を
図16(斜視図)、
図17(側面方向の図)に示す。
【0039】
上記のように、壁埋め込み型ユニット3における枠部材18、本体部11(特に主流路28)、給水管34、排水管36等をそのまま流用できるため、便器の交換や、壁を取壊しての機器・配管類の交換・新設が必要なく、改装のための作業を簡素にすることができる。したがって、部品コストおよび作業コストを大幅に低減することができる。
【0040】
(止水プラグ)
続いて、上記の改装方法に用いる止水プラグについて詳しく説明する。
【0041】
本実施形態に係る止水プラグ46の平面図を
図18Aに、正面図(半断面図)を
図18Bに、底面図を
図18Cにそれぞれ示す。この止水プラグ46は、先端部46aを第2開口孔15内に嵌合させることによって当該箇所の封水を行う部材である。そのため、先端部46a側の位置(部位)に外嵌されて第2開口孔15の内壁面15aに密着して封止を行う封止部材47を有している。一例として、封止部材47はゴム製のOリングである。
【0042】
これによれば、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことができる。しかしながら、主流路28を通流する洗浄水の圧力(水圧)によって、止水プラグ46が第2開口孔15から抜け出して、噴水する問題が生じ得る。
【0043】
そこで、止水プラグ46は、封止部材47の配設位置よりも後端部46b側となる位置において、軸方向に隣接する部位よりも相対的に小径の第1小径部46cを有している。
【0044】
これによれば、本体部11が第2開口孔15の内壁面15aに貫通するように形成されたネジ孔11aと、当該ネジ孔11aに挿通される押しネジ43とを備えている場合において、押しネジ43を締め込んでその先端を第1小径部46cに当接させることによって、止水プラグ46の先端部46aに主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。このような目的から、第1小径部46cの形成位置は、止水プラグ46が第2開口孔15内に嵌合された状態において、押しネジ43の先端と当接可能となる位置に設定する必要がある。
【0045】
しかしながら、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合や、備えていても不具合等により使用不能となっている場合においては、上記のように押しネジ43の先端を第1小径部46cに当接させる構成を用いた止水プラグ46の抜け出し防止方法を採ることができない。
【0046】
そこで、止水プラグ46は、後端部46bにおいて、本体部11が収納されるケース部材10の上部内面に当接可能な長さに形成された突っ張り棒48が固定可能な固定孔46dを有している。なお、突っ張り棒48を止水プラグ46の固定孔46dに固定(ここでは螺合)させた状態を
図19に示す。
【0047】
これによれば、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合や、備えていても不具合等により使用不能となっている場合であっても、
図20に示すように、突っ張り棒48を固定させた状態の止水プラグ46を第2開口孔15内に嵌合させ、次いで突っ張り棒48に固定されている調整つまみ49を回転させることにより、突っ張り棒48が回転して止水プラグ46の先端部46aから突っ張り棒48の後端部(上端部)48aまでの長さを変化させて、突っ張り棒48の後端部(上端部)48aがケース部材10の上部内面に当接するまで延伸させることによって、止水プラグ46の先端部46aに主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。
【0048】
このように、本実施形態に係る止水プラグ46によれば、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えている場合と、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合もしくは備えていても不具合等により使用不能となっている場合と、のいずれの場合に対しても、それぞれ別々の専用品を設けることなく第2開口孔15の封水を行うことができる。したがって、部品コストを低減できると共に、改装作業における部品の取違えや施工不良を防止することが可能となる。
【0049】
(固定用プレート)
続いて、上記の改装方法に用いる固定用プレート90について詳しく説明する。
【0050】
先ず、本実施形態に係る固定用プレート90(第一例:90A)の斜視図(概略図)を
図21に示す。この固定用プレート90(90A)は、金属材料からなる板材を用いて形成されており、シリンダ室31の突起部39に外嵌可能な内径を有する嵌合孔90aが形成された固定部92と、固定部92から分岐しつつ折曲(湾曲)し、シリンダ室31の開口端部31aを正面視で径方向に挟み込む配置でそれぞれ延設された第1腕部94および第2腕部96とを備えている。さらに、第1腕部94および第2腕部9
6には、シリンダ室31に挿入された状態の主電磁弁70を固定する固定孔90bが板面を貫通して設けられている。なお、固定孔90bの数は適宜設定すればよい。また、変形例として、固定孔の代わりに固定ネジを設けて当該固定ネジに主電磁弁70を固定する構成としてもよい(不図示)。
【0051】
この構成によれば、固定用プレート90によって、主電磁弁70をシリンダ室31(開口端部31a)に挿入した状態で固定することが可能となる。このように、本体部11に加工を加えることなく、差圧移動式のピストンバルブ32に代える主電磁弁70を本体部11に固定することが可能となる。したがって、簡易な改装方法の実現が可能となる。
【0052】
次に、本実施形態に係る固定用プレート90(第二例:90B)の斜視図(概略図)を
図22に示す。この固定用プレート90(90B)は、本体部11に代えて本体部19(
図23に斜視図を示す)が用いられる壁埋め込み型ユニットの場合において、主電磁弁の固定を行うものである。ここで、本体部19は、前述の本体部11と比較して形状や副電磁弁の取付構造等が相違するものの、基本的な構成および作用は同様である。当該
図23は、前述の
図9に相当する図であって、本体部19からシリンダ室31を密閉する密閉蓋と、副流路の一部および当該副流路を開閉する副電磁弁とを取外した状態である。ここで、符号19a(4箇所)は、副流路開閉用の副電磁弁を本体部19に固定するためのネジ孔である。
【0053】
本実施形態に係る固定用プレート90(90B)は、前記シリンダ室の外壁に突設されて内部に第1開口孔(
図23中では不図示)が形成された突起部19bを、正面側から背面側へ包み込む配置で係止可能に折曲もしくは湾曲形成された鉤状部98を備えている。
【0054】
したがって、本体部11に代えて本体部19が用いられる壁埋め込み型ユニットの場合においては、固定用プレート90Bを本体部11に固定する工程は、前述の工程S6に代えて、以下に示す工程S6aとなる。
【0055】
具体的には、
図24に示すように、一端90cに鉤状部98を有する固定用プレート90(90B)を、当該鉤状部98を本体部19の外周部(一例として上端の突起部19b)に係止させた状態で他端90dを副電磁弁の固定用のネジ孔19aに中間部材20を介してネジ留めすることにより固定する工程として実施される(工程S6a)。なお、中間部材を介さずに直接ネジ留めして固定してもよい(不図示)。
【0056】
ちなみに、本体部19が用いられる場合においては、例えば
図25に示す止水プラグ50を用いて、第2開口孔15の封止を行えばよい。
【0057】
(延長枠部材)
続いて、上記の改装方法に用いる延長枠部材80について詳しく説明する。
【0058】
本実施形態に係る延長枠部材80の背面図を
図26に示す。この延長枠部材80は、
一端がシリンダ室31に挿入された状態の主電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されると共に、壁面WL側に係合部84が設けられている。
【0059】
この構成によれば、主電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出した場合において、枠部材18に延長枠部材80を取付けることによって、当該主電磁弁70を動作させるための第2センサ72および第2駆動制御部74が固定された金属製の第2前面プレート76を延長枠部材80に取付けることが可能となる。したがって、
差圧移動式のピストンバルブ32に代えて、シリンダ室31に固定された主電磁弁70によって主流路28の開閉動作を生じさせる改装方法が実現できる。
【0060】
ここで、係合部84は、一例として、一対の固定板86A、86Bが左右もしくは上下の位置に二組設けられている。さらに、一対の固定板86A、86Bは一対の先端部86a、86bが正面視で枠部材18の内周と重なる位置(図中、実線で示す)と、重ならない位置(図中、破線で示す)との間で回動可能に配設されると共に、一対の先端部86a、86bが常時は正面視で枠部材18の内周と重なる位置となるように付勢する付勢部材88が一対の後端部86c、86d同士を繋いで設けられている。なお、付勢部材88は、一組の一対の固定板86A、86Bに設けてもよく、あるいは、二組の一対の固定板86A、86Bに設けてもよい。
【0061】
この構成によれば、先端部86a、86bが回動して、枠部材18の内周と重なる位置からずれてしまい、延長枠部材80が枠部材18から脱落してしまうことが防止できる。したがって、付勢部材88を少なくとも上部位置の一組に対して設けることが好適である。上部位置の固定板86A、86Bにおいては、先端部86a、86bが重力で降下した場合に、枠部材18との重なりが解除されてしまうためである。
【0062】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態に関しては、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、幾つかの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に図を用いて本実施形態について説明する。
【0063】
(改装方法)
本実施形態に係る改装方法は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、工程S6の構成において相違点を有する。すなわち、前述の工程S6に代えて、以下に示す工程S6bとなる。
【0064】
本実施形態に係る固定用プレート90を本体部11に固定する工程(S6b)は、
図27、
図28の説明図に示すように、密閉蓋27の螺合用としてシリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部52cを外周に有する円筒状であって且つ第1端部52aに径方向外方に突設される鍔状部54を有する固定リング52(詳細は
図30参照)を用いて、固定用プレート90(詳細は
図29参照)を本体部11(詳細は
図9参照)に固定する工程として実施される。なお、
図27中の二点鎖線は、ケース部材10の概略位置を示している。
【0065】
より具体的には、固定リング52の第2端部52b側を固定用プレート90に開口形成された挿通孔90eに挿通した状態で、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室31の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定することによって、鍔状部54とシリンダ室31の開口端部31aとで固定用プレート90を挟み込んで固定する構成である。
【0066】
これによれば、前述の第一の実施形態に係る固定方法が、固定用プレート90を突起部39に固定する片持ち支持構造であったのに対して、固定リング52によって、固定用プレート90を開口端部31aの全周に亘って押し付けて固定する構造が実現できるため、主電磁弁70が固定される固定用プレート90の変形を防止でき、長期に亘って漏水を防いで安定的に使用することが可能となる。なお、固定用プレート90、固定リング52の詳細な構成については後述する。
【0067】
本実施形態において、工程S6に続く後の工程は、前述の第一の実施形態と基本的に同様である。ただし、主電磁弁70をシリンダ室31に挿入させて該シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止した状態で、主電磁弁70を固定用プレート90に固定する工程S7に関して、第一の実施形態では、主電磁弁70の一端(先端)70cを固定用プレート90の第1腕部94と第2腕部96との間を通過させてシリンダ室31に挿入させる手順であった。一方、本実施形態では、主電磁弁70の一端(先端)70cを、固定用プレート90の挿通孔90eに挿通された状態の固定リング52の中空部52hを通過させてシリンダ室31に挿入させる手順となる。
【0068】
また、工程S7に関して、前述の第一の実施形態と同様に、
図33に例示される主電磁弁70を用いて、第1開口孔13よりも奥側となる位置でシリンダ室31の封止を行うことで、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13の両方の封止を行う手順とすればよい。あるいは、前述の変形例と同様に、封止部材102の所定位置が第1開口孔13よりも手前側に設けられた主電磁弁(不図示)を用いて、第1開口孔13よりも手前側となる位置でシリンダ室31の封止を行うことで、シリンダ室31の開口端部31aの封止を行い、別途、突起部39に例えば袋ナットのような封止部材(不図示)を外嵌させることによって、第1開口孔13の封止を行う手順としてもよい。
【0069】
なお、本実施形態に係る改装方法は、
図9に示す本体部11(副流路38がシリンダ室31の外壁(突起部39)のネジ部にユニオンナット40を用いて固定される構成の場合)のみならず、
図23に示す本体部19(副流路38がシリンダ室31の外壁に溶接等により直付け固定される構成の場合)に対しても適用可能である。
【0070】
ここで、本体部19に対して改装方法を適用する場合の特徴点について説明する。
図36に示すように、主電磁弁70を固定するための固定用プレート90(本体部19用として好適な固定用プレート90E)を、固定リング52によって本体部19に固定する工程は、本体部11に対する改装方法の場合と同様である。
【0071】
しかしながら、本体部19は本体部11と比較して、シリンダ室31がケース部材10の内面(天井面)に近い位置に設けられる構成であるため、
図37に示すように、固定用プレート90を鉛直方向から左向きに所定角度傾けた状態としなければ、ケース部材10内に設置されている本体部19のシリンダ室31に固定することが不可能である。なお、本体部19用として好適な固定用プレート90(90E)の詳細については後述する。
【0072】
上記の状態で、本体部19を固定用プレート90に固定することによって、内部空間の制約があるケース部材10内においても、
図38に示すように固定用プレート90を本体部19(シリンダ室31)に固定することが可能となるため、当該固定用プレート90を介して主電磁弁70を本体部19に固定することが可能となる。
【0073】
(固定用プレート)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる固定用プレート90について詳しく説明する。
【0074】
本実施形態に係る固定用プレート90(第三例:90C)の斜視図(概略図)を
図29に示す。この固定用プレート90(90C)は、金属材料(一例として、ステンレス合金)からなる板材を用いて形成されており、板面の中央部に固定リング52(および主電磁弁70)を所定位置まで挿通可能に形成された円形孔である挿通孔90eが設けられている。さらに、板面には、挿通孔90eを挟み込む配置で(すなわち、
図28に示す所定の設置状態において挿通孔90eよりも上方となる位置および下方となる位置に)、シリンダ室31に挿入された状態の主電磁弁70を固定する固定孔90bが板面を貫通して設けられている。なお、本実施形態においては、固定孔90bは挿通孔90eよりも上方となる位置に1箇所、下方となる位置に2箇所設けられているが、これに限定されるものではない。また、変形例として、固定孔の代わりに固定ネジを設けて当該固定ネジに主電磁弁70を固定する構成としてもよい(不図示)。
【0075】
また、固定用プレート90(90C)は、上記の固定孔90bを有する構成の場合において、固定リング52の鍔状部54の軸方向の厚さL1と同一の厚さL2に形成されたかさ上げ部材99が、固定孔90bを取り囲む外縁位置に固定された構成を備えている。一例として、かさ上げ部材99は、リング状(もしくは枠状)に形成されているが、これに限定されるものではない。この構成によれば、主電磁弁70を固定用プレート90に固定する際に、主電磁弁70における鍔状部54と当接していない部位(具体的には、固定孔90bに対応する固定用フランジ70b)が固定用プレート90から浮いた状態となってしまうことに起因して、固定用ネジ71を締めつけた際に当該部位が折損してしまう問題の解消が可能となる。なお、変形例として、かさ上げ部材を備えない構成としてもよい(不図示)。
【0076】
また、固定用プレート90(90C)は、主電磁弁70が固定される前面と逆側の裏面の所定位置において、板面と直交する方向に突設された回り止め部材100を備えている。一例として、回り止め部材100(100A)は、金属製の円柱部材をネジにより固定した構成となっている。ただし、これに限定されるものではなく、棒状等の突起状に形成された構成であればよい。
【0077】
回り止め部材100の他の例として、
図34に示す固定用プレート90(第四例:90D)のように、固定用プレート90(90D)と一体で打ち抜き加工された突起状の部分をプレス加工により裏面方向に折り曲げることによって、回り止め部材100(100B)とする構成も考えられる。
【0078】
上記の構成によれば、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室31の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定する際に、固定用プレート90の供回りが発生し得るが、所定位置に設けられた回り止め部材100が本体部11に当接したところで供回りを停止させて、固定用プレート90を適切な位置に保持することが可能となる。より具体的には、回り止め部材100Aの場合であれば、当該回り止め部材100Aが本体部11の壁部11bに当接して固定用プレート90の供回りが停止することになり、一方、回り止め部材100Bの場合であれば、当該回り止め部材100Bが本体部11の突起部39に当接して固定用プレート90の供回りが停止することになる。
【0079】
また、固定用プレート90(90C、90D)は、
図28に示す所定の設置状態において下辺となる位置に、本体部11の止水栓30の開閉を行う開閉工具(不図示)が進入可能な溝幅に形成された溝部90fを備えている。この構成によれば、正面視において固定用プレート90(90C、90D)と止水栓30とが干渉する配置となる場合に、開閉工具による止水栓30の開閉を行うことが可能となる。なお、干渉しない配置の場合には、溝部を設けない構成とすることができる(不図示)。
【0080】
固定用プレート90(90C、90D)は、
図28に示す所定の設置状態において右上端部となる位置に、斜めに切欠かれた第1切欠き部90gを備えている。この構成によれば、本体部11の近傍に配設される配線類(電源配線26等)およびその取付け金具(不図示)等との干渉を回避して、固定用プレート90(90C、90D)を本体部11に固定することが可能となる。
【0081】
次に、本実施形態に係る固定用プレート90(第五例:90E)の斜視図(概略図)を
図35に示す。この固定用プレート90(90E)は、
図23に示す本体部19に対して好適に用いることができる構成を有している。
【0082】
図23に示す本体部19の場合、取水口35からシリンダ室31へ向けて流れる洗浄水内の異物除去を目的とするストレーナ(不図示)が収納されるストレーナ収納室44を備えている。さらに、必要の都度、ストレーナの清掃や交換を行うために、ストレーナ収納室44には、開閉可能な封止蓋45が設けられている。
【0083】
ここで、本体部19に対して、前述の
図29に示す固定用プレート90(第三例:90C)や、
図34に示す固定用プレート90(第四例:90D)と同様の正面視形状を有する固定用プレートを取付けることも不可能ではない。ただし、前述の通り、本体部19の場合には、ケース部材10の内部空間に制約があるため、固定用プレート90を傾けなければ、ケース部材10の内部に収まるようにして本体部19に固定することが不可能となる。
【0084】
しかし、本体部19は、シリンダ室31に隣接してストレーナ収納室44および封止蓋45を有しているため、仮に、固定用プレート90C、90Dと同様の正面視形状を有する固定用プレートを傾けて固定しようとすると、正面視において封止蓋45と干渉してしまう、すなわち、固定用プレートが封止蓋45の面上に乗ってしまう状態となるため、シリンダ室31の開口端部31aに密着させて固定することができないという問題が生じる。これは、封止蓋45の面(正面)位置が、シリンダ室31の開口端部31aの位置よりも、手前寄り(正面寄り)に設定されている構造に起因するものである。
【0085】
そこで、
図35に示す固定用プレート90(第五例:90E)のように、本体部19に対する所定の設置状態(傾けて取付けた状態)において正面視で封止蓋45と干渉しない形状で切欠かれた第2切欠き部90hを有する構成を備えることにより、上記問題の解決を図っている。
【0086】
さらに、固定用プレート90Eによれば、当該固定用プレート90Eを介して主電磁弁70を本体部19に固定した状態のままで、封止蓋45の開閉が可能となり、ストレーナの清掃や交換を行うことが可能となる。
【0087】
(固定リング)
続いて、上記の改装方法に用いる固定リング52について詳しく説明する。
【0088】
本実施形態に係る固定リング52の斜視図(概略図)を
図30に示し、そのX-X線断面図(概略図)を
図31に示す。この固定リング52は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されている。具体的な構成として、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部52cを外周に有する円筒状に形成されており、第1端部52aにおいて径方向外方に突設される鍔状部54を備えている。
【0089】
この構成によれば、固定リング52の第2端部52b側を固定用プレート90(90C)の挿通孔90eに挿通した状態で、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定することにより、鍔状部54(第2端部52b側の面)とシリンダ室31の開口端部31a(端面)とで固定用プレート90(90C)を挟み込んで本体部11へ固定することが可能となる。
【0090】
ここで、固定リング52は、鍔状部54に隣接する位置(第2端部52b側の隣接位置)に、雄ネジ部52cよりも大きい外径に形成されて、挿通孔90eに隙間無く嵌合される大径部52gを有する構成となっている。これによれば、固定用プレート90(90C)を、鍔状部54(第2端部52b側の面)とシリンダ室31の開口端部31a(端面)とで挟み込んで本体部11へ固定したときに、固定リング52の大径部52gが固定用プレート90(90C)の挿通孔90eの内周に隙間無く嵌合された状態となるため、固定用プレート90(90C)が板面と平行の方向に移動することによるガタつきの発生を防ぐことが可能となる。したがって、固定用プレート90(90C)の固定孔90bと、主電磁弁70の固定用フランジ70bとの位置合わせを正確に行うことができるため、固定用プレート90(90C)が本体部11(シリンダ室31)に対して位置ずれをして取付け不能となってしまう事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0091】
また、固定リング52は、第1端部52a側の内周面に、後述する回動工具58を係止させる係止溝56を備えている。一例として、係止溝56は、軸方向に平行な溝形状で、軸心を挟んで対向する位置に2箇所設けられているが、これに限定されるものではない。この構成によれば、係止溝56に回動工具58を係止させて回動させることによって、固定リング52を回動させることが可能となる。
【0092】
回動工具58の例として、
図32に示すように、金属材料からなる板状部材の両端部に上記係止溝56に係止可能な係止突起59を有する工具を用意し、市販のプライヤーを用いて回動させる構成等が考えられる。ただし、係止溝56および回動工具58の構成は上記に限定されるものではない。
【0093】
また、固定リング52は、第1端部52a側に内径が相対的に大きい薄肉部52eを備え、第2端部52b側に内径が相対的に小さい厚肉部52fを備えている。なお、薄肉部52e、厚肉部52f共に外周には雄ネジ部52cが設けられるため、内径のみが相違し、外径は同一である。ここで、固定リング52を用いて本体部11に固定用プレート90(90C)を固定する工程の実施において、主電磁弁70を固定用プレート90(90C)に固定するために、主電磁弁70の先端70cを固定リング52(中空部52h)を通過させて本体部11(シリンダ室31)に進入させる手順を取る。しかし、この手順のときに、建築物の壁面にケース部材10が取付けられて、その内部に本体部11が収納された状態の実際の現場においては、壁面やケース部材10に取付けられる枠部材18等との干渉が生じて、主電磁弁70を本体部11(シリンダ室31)に対して直進させて進入させることができず、斜め方向(先端を左側に、後端を右側に傾けた状態)としなければ進入させることができない場合が少なからず発生し得る。
【0094】
この問題に対して、上記の構成によれば、主電磁弁70の先端70cを本体部11(シリンダ室31)に進入させる手順においては、先ず、主電磁弁70の先端70cを固定リング52の中空部52hに進入させることとなるため、上記のように斜め方向に傾けた状態で進入させた際に、第1端部52a側の内径が相対的に大きい薄肉部52eを備えることによって、主電磁弁70の先端70cが固定リング52の内側に当接して進入が不可能もしくは困難となってしまうことを防ぐことができる。特に、主電磁弁70に取付けられるOリングが固定リング52の内側に当接してずれてしまうと、漏水等の不具合を生じ得るため、主電磁弁70を固定リング52の内側に当接させずに所定位置まで進入させることができることによって、改装後の安定的な使用が可能となる。ただし、固定リング52の筒状部全体を薄肉部と同一厚さに形成してしまうと、取付け強度が確保できないおそれがある。そこで、本実施形態においては、第1端部52a側に薄肉部52eを設け、第2端部52b側に厚肉部52fを設けることによって、その解決をも図っている。
【0095】
さらに、上記の問題を解決するもう一つの構成として、固定リング52は、鍔状部54の端面(第1端部52a側の端面)の内周部(内縁部)が角取りされた傾斜面52dに形成された構成となっている。この構成によっても、上記と同様に、主電磁弁70の先端70cが固定リング52の内側に当接して進入が不可能もしくは困難となってしまうことを防ぐことができる。
【0096】
以上説明した通り、開示の改装方法、および当該改装方法に用いられる固定用プレート、固定リング、延長枠部材、前面プレートによれば、前述の(a)~(c)の課題解決が可能となり、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、当該自動洗浄装置における壁外の配管が十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合に、外部型ユニットを使用せずに、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサの故障時等において、便器自体を取換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
【0097】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
1 便器
2、2A、2B、2C、2D 自動洗浄装置
3 壁埋め込み型ユニット
5 外部型ユニット
10 ケース部材
11、19 本体部
12 前面プレート
13 第1開口孔
15 第2開口孔
16 センサ
17 駆動制御部
18 枠部材
28 主流路
31 シリンダ室
32 ピストンバルブ
38 副流路
39 突起部
42 副電磁弁
44 ストレーナ収納室
45 封止蓋
46、50 止水プラグ
48 突っ張り棒
52 固定リング
58 回動工具
70 主電磁弁
72 第2センサ
74 第2駆動制御部
76 第2前面プレート
77 第3前面プレート
78 ドーム部
80 延長枠部材
90、90A、90B、90C、90D、90E 固定用プレート
100、100A、100B 回り止め部材
P 配管
WL 壁面