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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】無線通信方法及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20220502BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20220502BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W84/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018064493
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019176394
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0215588(US,A1)
【文献】特開2014-023085(JP,A)
【文献】特開2011-061571(JP,A)
【文献】特開2007-142647(JP,A)
【文献】Benjamin A. Rolfe et al.,"Proposed text for MLME-SCAN changes",IEEE P802.15-06-0192-02-004a,[online],2006年04月24日,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.15/dcn/06/15-06-0192-04-004a-proposed-text-mlme-scan-changes.doc>,[検索日2022年3月25日]
【文献】Fumihide Kojima et al.,"Research, development and testbed on Smart Utility Networks by IEEE standard",IEEE 802. 15-11-0633-01-0000,[online],2011年09月19日,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.15/dcn/11/15-11-0633-01-0000-monday-tutorial-presentation-nict.pdf>,[2022年3月25日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信方法であって、
複数の前記デバイスに含まれる第1デバイスから、前記第1デバイスの下位として同期する第1下位デバイスを含む複数の下位デバイスに対し、同期信号を送信し、
前記第1下位デバイスが前記同期信号の受信を困難と判断したとき、前記第1下位デバイスから前記第1デバイスに対し、受信が困難である状態を知らせる救援信号を送信し、
前記救援信号に基づき、前記第1デバイスから複数の前記下位デバイスに対し、新たな同期状態を設定するための救援同期信号の送信を促す指示信号を送信し、
前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信し、
前記第1下位デバイスが受信した前記救援同期信号を送信した救援デバイスと、前記第1下位デバイスとの同期状態を維持すること
を特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記第1デバイスから前記指示信号を送信する頻度は、前記第1デバイスから前記同期信号を送信する頻度よりも高いこと
を特徴とする請求項1記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記救援信号は、前記第1デバイス、及び前記第1デバイスの上位として同期する上位デバイスに対して送信、又は、前記第1デバイスを介して前記上位デバイスに対して送信され、
前記救援信号に基づき、前記上位デバイスから、前記上位デバイスの下位として同期する1つ以上の第2デバイス及び前記第1デバイスに対し、前記指示信号を送信し、
前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイス、及び前記第2デバイスの下位として同期する1つ以上の第2下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記第1デバイスから前記指示信号を送信する頻度は、前記上位デバイスから前記指示信号を送信する頻度よりも高いこと
を特徴とする請求項3記載の無線通信方法。
【請求項5】
前記救援信号の送信から前記救援同期信号を前記第1下位デバイスが受信するまでの間、前記第1下位デバイスの受信状態を連続的に維持すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の無線通信方法。
【請求項6】
収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信システムであって、
複数の前記デバイスに含まれる第1デバイスから、前記第1デバイスの下位として同期する第1下位デバイスを含む複数の下位デバイスに対し、同期信号を送信する同期信号送信手段と、
前記第1下位デバイスが前記同期信号の受信を困難と判断したとき、前記第1下位デバイスから前記第1デバイスに対し、受信が困難である状態を知らせる救援信号を送信する救援信号送信手段と、
前記救援信号に基づき、前記第1デバイスから複数の前記下位デバイスに対し、新たな同期状態を設定するための救援同期信号の送信を促す指示信号を送信する指示信号送信手段と、
前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信する救援同期信号送信手段と、
前記第1下位デバイスが受信した前記救援同期信号を送信した救援デバイスと、前記第1下位デバイスとの同期状態を維持する再同期手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集制御局と、収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信方法及び無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスネットワークにおいて、小型で安価であり、かつ低出力のデジタル無線通信を行うことのできる、IEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスが用いられている。IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークでは、例えば図11に示すように、収集制御局であるCS(Collection station)71と、1つ以上のノード72(図11ではノード72-1~72-4)とを含む複数のデバイスにより構成されたツリー型のトポロジが採用されている。ツリー型トポロジでは、より下位のノード72が、より上位のノード72やCS71に向けて、必要に応じてデータを伝送することが行われている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
図12は、下位のノード72-3、72-4からのデータをCS71へ送信する場合におけるタイムチャートの例を示している。CS71及び各ノード72は、それぞれ基本間隔T(単位:時間t)内においてアクティブ期間(通信期間T1(単位:時間t))と、スリープ期間T2(単位:時間t)とが割り当てられている。通信期間T1においては、無線通信を行うことが可能となり、スリープ期間T2においては、受信側がスリープ状態に移行することで、無線通信を行うことができなくなる。あえて基本間隔T内においてスリープ期間T2を設けることにより消費電力を節減することができ、ひいてはシステム全体の使用電力を抑えること可能となる。
【0004】
例えばノード72-3からCS71に向けてデータを送信する場合には、ノード72-3からノード72-1を介してCS71に送信される経路となる。かかる場合には、ノード72-3とこれよりも上位にあるノード72-1との間では、上位のノード72-1がマスター、下位のノード72-3がスレーブの関係となる。同様に、ノード72-1とCS71との間では、上位のノードとしてのCS71がマスター、下位のノード72-1がスレーブの関係となる。このようなマスターとスレーブとの関係において、より上位のマスターが基本間隔Tにおける通信期間T1のタイミングを決定し、より下位のスレーブが、このマスター側において決定された通信期間T1のタイミングに合わせてデータを送信する。
【0005】
このような規則の下で、図12において先ずノード72-3は、タイミングt91において生成したデータD81を、タイミングt92において開始するマスターとしてのノード72-1の通信期間T1に合わせて送信する。このデータD81を受信したノード72-1は、タイミングt93において開始するマスターとしてのCS71の通信期間T1に合わせて当該データD81を送信する。これによりCS71は、このデータD81を自ら設定した通信期間T1内において受信することが可能となる。
【0006】
同様に、ノード72-4からCS71に向けてデータを送信する場合には、ノード72-4からノード72-1を中継させてCS71の経路となる。ノード72-4は、タイミングt94において生成したデータD82を、タイミングt95において開始するマスターとしてのノード72-1の通信期間T1に合わせて送信する。このデータD82を受信したノード72-1は、タイミングt96において開始するマスターとしてのCS71の通信期間T1に合わせて当該データD82を送信する。これによりCS71は、このデータD82を自ら設定した通信期間T1内において受信することが可能となる。
【0007】
CS71は、上述した無線通信の処理動作方法に基づいて、ツリー型ネットワークにおける各ノード72からのデータを全て収集することが可能となる。このようなデバイス間の中継通信を想定する経路選択制御を採用することで、無線通信距離の限界によるサービスエリアの制限を回線することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-198333号公報
【文献】特開2014-23085号公報
【文献】特開2014-103580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した特許文献1~3を含む従来のツリー型トポロジでは、スリープ期間T2の割り当てに伴い、デバイス間における通信の遅延を引き起こすことがある。特に、ノード72の移動等によって同期状態の維持が困難となる場合、経路選択制御に不可欠な経路選択情報の更新が速やかに行われず、無線ネットワークにおける性能の劣化が懸念として挙げられる。
【0010】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、経路選択制御に不可欠な経路選択情報の更新を速やかに行うことができる無線通信方法及び無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上述した問題点を解決するために、収集制御局と、収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信方法、及び無線通信システムを開発した。無線通信方法は、複数のデバイスに含まれる第1デバイスから、第1デバイスの下位として同期する第1下位デバイスを含む複数の下位デバイスに対し、同期信号を送信し、第1下位デバイスが同期信号の受信を困難と判断したとき、第1下位デバイスから第1デバイスに対し、受信が困難である状態を知らせる救援信号を送信し、救援信号に基づき、第1デバイスから複数の下位デバイスに対し、新たな同期状態を設定するための救援同期信号の送信を促す指示信号を送信し、指示信号に基づき、第1下位デバイスとは異なる複数の下位デバイスのそれぞれから、第1下位デバイスに対し、救援同期信号を送信し、第1下位デバイスが受信した救援同期信号を送信した救援デバイスと、第1下位デバイスとの同期状態を維持することを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の無線通信方法は、収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信方法であって、複数の前記デバイスに含まれる第1デバイスから、前記第1デバイスの下位として同期する第1下位デバイスを含む複数の下位デバイスに対し、同期信号を送信し、前記第1下位デバイスが前記同期信号の受信を困難と判断したとき、前記第1下位デバイスから前記第1デバイスに対し、受信が困難である状態を知らせる救援信号を送信し、前記救援信号に基づき、前記第1デバイスから複数の前記下位デバイスに対し、新たな同期状態を設定するための救援同期信号の送信を促す指示信号を送信し、前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信し、前記第1下位デバイスが受信した前記救援同期信号を送信した救援デバイスと、前記第1下位デバイスとの同期状態を維持することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の無線通信方法は、請求項1記載の発明において、前記第1デバイスから前記指示信号を送信する頻度は、前記第1デバイスから前記同期信号を送信する頻度よりも高いことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の無線通信方法は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記救援信号は、前記第1デバイス、及び前記第1デバイスの上位として同期する上位デバイスに対して送信、又は、前記第1デバイスを介して前記上位デバイスに対して送信され、前記救援信号に基づき、前記上位デバイスから、前記上位デバイスの下位として同期する1つ以上の第2デバイス及び前記第1デバイスに対し、前記指示信号を送信し、前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイス、及び前記第2デバイスの下位として同期する1つ以上の第2下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の無線通信方法は、請求項3記載の発明において、前記第1デバイスから前記指示信号を送信する頻度は、前記上位デバイスから前記指示信号を送信する頻度よりも高いことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の無線通信方法は、請求項1~4の何れか1項記載の発明において、前記救援信号の送信から前記救援同期信号を前記第1下位デバイスが受信するまでの間、前記第1下位デバイスの受信状態を連続的に維持することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の無線通信システムは、収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線通信システムであって、複数の前記デバイスに含まれる第1デバイスから、前記第1デバイスの下位として同期する第1下位デバイスを含む複数の下位デバイスに対し、同期信号を送信する同期信号送信手段と、前記第1下位デバイスが前記同期信号の受信を困難と判断したとき、前記第1下位デバイスから前記第1デバイスに対し、受信が困難である状態を知らせる救援信号を送信する救援信号送信手段と、前記救援信号に基づき、前記第1デバイスから複数の前記下位デバイスに対し、新たな同期状態を設定するための救援同期信号の送信を促す指示信号を送信する指示信号送信手段と、前記指示信号に基づき、前記第1下位デバイスとは異なる複数の前記下位デバイスのそれぞれから、前記第1下位デバイスに対し、前記救援同期信号を送信する救援同期信号送信手段と、前記第1下位デバイスが受信した前記救援同期信号を送信した救援デバイスと、前記第1下位デバイスとの同期状態を維持する再同期手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成からなる本発明によれば、指示信号に基づき、第1下位デバイスとは異なる複数の下位デバイスのそれぞれから、第1下位デバイスに対し、救援同期信号を送信する。また、第1下位デバイスが受信した救援同期信号を送信した救援デバイスと、第1下位デバイスとの同期状態を維持する。すなわち、第1下位デバイスと第1デバイスとの同期状態が困難となる場合においても、第1下位デバイスが救援同期信号を受信することで、第1下位デバイスと救援デバイスとの新たな同期状態を確立する。このため、第1下位デバイスにおける経路選択情報の更新を速やかに行うことができる。これにより、無線ネットワークにおける性能の劣化を抑制することが可能となる。
【0019】
また、上述した構成からなる本発明によれば、第1デバイスから指示信号を送信する頻度は、第1デバイスから同期信号を送信する頻度よりも高い。このため、第1下位デバイスと第1デバイスとの同期状態が困難となる場合に、通常時に同期信号を送信する頻度よりも高い頻度で指示信号を送信することができる。これにより、第1下位デバイスの新たな同期を確立する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0020】
また、上述した構成からなる本発明によれば、救援信号は、上位デバイスに対して送信、又は、第1デバイスを介して上位デバイスに対して送信される。また、救援信号に基づき、上位デバイスから、1つ以上の第2デバイス及び第1デバイスに対し、指示信号を送信する。このため、救援同期信号を送信するデバイスの数を大幅に増加させることができる。これにより、第1下位デバイスの新たな同期を確立する時間をさらに短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明が適用される無線通信システムの例を示す模式図である。
図2図2は、一のノードを被制御端末として割り当てた場合における制御支援端末の特定例を示す図である。
図3図3は、制御支援端末以外のノード間における上りデータ通信時のタイムチャートである。
図4図4(a)は、第1実施形態におけるノード間の同期状態の例を示す図であり、図4(b)は、第1実施形態における救援信号送信手段の一例を示す図である。
図5図5(a)は、第1実施形態における指示信号送信手段の一例を示す図であり、図5(b)は、第1実施形態における救援同期信号送信手段の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態における再同期手段の一例を示す図である。
図7図7(a)は、第1実施形態における同期信号が送信される第1期間の一例を示す図であり、図7(b)は、第1実施形態における指示信号が送信される第2期間の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態におけるノードが移動する範囲の一例を示す図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第2実施形態における救援信号送信手段の一例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態における指示信号送信手段の一例を示す図である。
図11図11は、IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークの例を示す図である。
図12図12は、従来技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態としての無線通信システム1について詳細に説明する。図1は、本実施形態の無線通信システム1の例を示す模式図である。無線通信システム1は、収集制御局(Collection Station:以下CSという。)2と、CS2を根として2以上に亘り配置された無線端末のノード3(3-1、3-2、・・・3-k(kは整数))とを含む複数のデバイスを備え、いわゆるツリー型のトポロジ(ツリー型ネットワーク)が採用されている。この無線通信システム1では、より下位のノード3が、より上位のノード3やCS2に向けて上りデータ通信を行う。また無線通信システム1では、より上位のノード3やCS2が、より下位のノード3に向けて下りデータ通信する。
【0023】
CS2は、最上位のマスターデバイスであり、各ノード3から上りデータ通信により送信されてくるデータを収集する。また、CS2は、この無線通信システム1全体を制御するための中央制御部としての役割も担い、ある特定のノード3に対して制御系のデータを下りデータ通信する。
【0024】
ノード3は、データの発信や中継等を始めとしたデータの送受信を行うことが可能なデバイスの総称であり、例えばIEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスである。ノード3は、所定のデータをセンシングしてこれを無線により送信するセンサとして具現化されるほか、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、ノート型のパーソナルコンピュータ(PC)等のような無線通信が可能な端末装置として具現化されてもよい。またこのノード3はアクチュエータのような制御系を含むものでもよい。かかる場合には、例えば農業等の分野において、バルブを停止する制御を行ったり、ロボットの制御を行ったり、ガスを停止するための制御を行うことを可能とするデバイスとして具現化される。ノード3が制御系を含むアクチュエータ等として具現化されるものであれば、CS2から他のノード3を介して下りデータ通信されてくる制御用のデータに基づき、各種制御動作を実行していくこととなる。
【0025】
本実施形態においては、図1に示す無線通信システム1に示すように、CS2の下に複数のノード3(図1ではノード3-1、3-2、3-3、3-4、3-5、3-6)が配置されている場合を例にとり説明をする。なお、CS2の下位リンクに配置されるノード3は、CS2にデータを収集させるものであれば、いかなる枝分かれのパターンで構成されるツリー構造とされてもよく、また1以上のいかなる数のノード3で構成されてもよい。
【0026】
本実施形態の無線通信システム1では、例えばCS2及び被制御端末、並びにこれらの経路上に配置された全てのノード3を制御支援端末として特定してもよい。図2に示す例では、ノード3-4を被制御端末として割り当てた場合、CS2、ノード3-1、ノード3-4を制御支援端末として特定されることとなる。本実施形態においては、この制御支援端末間の無線通信と、それ以外の経路間の無線通信との間で、通信の方式が共通であるほか、例えば通信の方式が互いに異なってもよい。
【0027】
図3は、ノード3間として、ノード3-5からノード3-2を中継させてCS2へデータを上りデータ通信する場合におけるタイムチャートの一例を示している。CS2及び各ノード3-2、3-5には、それぞれ基本間隔T内において通信期間T1と、スリープ期間T2とが割り当てられている。通信期間T1においては、無線通信を行うことが可能となり、スリープ期間T2においては、受信側がスリープ状態に移行することで、無線通信を行うことができなくなる。あえて基本間隔T内においてスリープ期間T2を設けることにより消費電力を節減することができ、ひいてはシステム全体の使用電力を抑えること可能となる。
【0028】
ノード3-5からCS71に向けてデータを送信する場合には、ノード3-5とこれよりも上位にあるノード3-2との間では、上位のノード3-2がマスター、下位のノード3-5がスレーブの関係となる。同様にノード3-2とCS2との間では、上位のノードとしてのCS2がマスター、下位のノード3-2がスレーブの関係となる。このようなマスターとスレーブとの関係においてより上位のマスターが基本間隔T内に通信期間T1のタイミングを割り当て、より下位のスレーブがこのマスター側において割り当てられた通信期間T1のタイミングに合わせてデータを送信することとなる。
【0029】
このような規則の下で、図3に示すように、先ずノード3-5は、タイミングt11において生成したデータD21を、マスターとしてのノード3-2のタイミングt12において開始する通信期間T1に合わせて送信する。このデータD21を受信したノード3-2は、タイミングt13において開始するマスターとしてのCS2の通信期間T1に合わせて当該データD21を送信する。これによりCS2は、このデータD21を自ら設定した通信期間T1内において受信することが可能となる。
【0030】
本実施形態の無線通信システム1は、例えば図4に示すように、ノード3-1(第1デバイス)と、ノード3-1の下位として同期する複数の下位ノード31(図4ではノード3-3、3-4、3-6、3-7、3-8、3-9:下位デバイス)とを備える。本実施形態の無線通信システム1は、同期信号送信手段と、救援信号送信手段と、指示信号送信手段と、救援同期信号送信手段と、再同期手段とを備える。
【0031】
同期信号送信手段は、ノード3-1から下位ノード31に対し、同期信号B1(ビーコン)を送信する。同期信号B1は、各下位ノード31に割り当てられた通信期間T1内に送信される。
【0032】
例えば図4(a)に示すように、ノード3-1の送信可能範囲R1内に下位ノード31が配置される場合において、下位ノード31が同期信号B1を受信する。このため、下位ノード31は、同期信号B1を受信することができる。これにより、ノード3-1と、下位ノード31との同期状態を維持することができる。なお、図4の実線矢印は、同期状態を示し、各下位ノード31(ノード3-3、3-4、3-6、3-7、3-8、3-9)が、ノード3-1と同期状態を維持していることを示す。
【0033】
救援信号送信手段は、例えば図4(b)に示すように、ノード3-3(第1下位デバイス)が同期信号B1の受信を困難と判断したとき、ノード3-3からノード3-1に対し、救援信号S1を送信する。救援信号S1は、ノード3-3が同期信号B1の受信が困難である状態を知らせる信号である。
【0034】
救援信号送信手段は、例えばノード3-3の移動に伴い、ノード3-1の送信可能範囲R1から外れた場合に行われる。例えばノード3-3における送信可能範囲R2内にノード3-1が配置される場合、ノード3-3から送信された救援信号S1を、ノード3-1が受信する。なお、救援信号送信手段は、上述したノード3-3の移動のほか、例えば配置環境の変化やノード3-3の不具合等によって、従来の無線ネットワークが切断される、又は切断されることを予見した場合に行われてもよい。
【0035】
救援信号S1は、例えばノード3-3に割り当てられた通信期間T1のタイミングに合わせて送信される。即ち救援信号S1は、例えば通信期間T1内に送信される。このため、ノード3-1は、ノード3-3との同期状態と同様のタイミングで無線通信を行うことができる。これにより、ノード3-1は、ノード3-3から送信された救援信号S1を確実に受信することができる。
【0036】
指示信号送信手段は、救援信号送信手段の後に行われる。指示信号送信手段は、例えば図5(a)に示すように、救援信号S1に基づき、ノード3-1から複数の下位ノード31に対し、指示信号S2を送信する。指示信号S2は、新たな同期状態を設定するための救援同期信号S3の送信を促すための信号である。指示信号S2は、通信期間T1内に送信される。
【0037】
指示信号送信手段は、例えばノード3-1が救援信号S1を受信することで行われる。ノード3-1は、例えば指示信号S2を一時的に送信する。このため、指示信号S2は、緊急時のみ送信されるように設定できるとともに、同期信号B1に比べて高い頻度で送信することができる。これにより、従来における使用電力の抑制を極力維持した上で、指示信号送信手段を行うことができる。なお、上述した送信の「頻度」に関しては、後述する。
【0038】
救援同期信号送信手段は、指示信号送信手段の後に行われる。救援同期信号送信手段は、例えば図5(b)に示すように、指示信号S2に基づき、ノード3-3とは異なる複数の下位ノード31のそれぞれから、ノード3-3に対し、救援同期信号S3を送信する。救援同期信号S3は、各下位ノード31と同期状態を設定するための信号であり、例えば下位ノード31毎に異なる同期状態を設定するための情報を含んでもよい。
【0039】
救援同期信号手段は、例えば下位ノード31が指示信号S2を受信することで行われる。例えばノード3-4(救援デバイス)における送信可能範囲R3内にノード3-3が配置される場合、ノード3-4から送信された救援同期信号S3を、ノード3-3が受信する。
【0040】
下位ノード31は、例えば救援同期信号S3を一時的に送信する。救援同期信号S3は、例えば各下位ノード31によって異なる周期や頻度で送信されてもよい。
【0041】
なお、ノード3-3は、例えば救援信号S1の送信から救援同期信号S3を受信するまでの間、受信状態を連続的に維持してもよい。この場合、基本間隔Tに依存しない間隔で救援同期信号S3が送信されたときにおいても、ノード3-3が容易に救援同期信号S3を受信することが可能となる。
【0042】
再同期手段は、救援同期信号手段の後に行われる。再同期信号手段は、例えば図6に示すように、ノード3-3が受信した救援同期信号S3を送信したノード3-4と、ノード3-3との同期状態を維持する。このとき、ノード3-3は、ノード3-1との同期状態を維持していない。
【0043】
これにより、ノード3-3の上位は、ノード3-1からノード3-4に変更される。なお、再同期手段では、例えばノード3-4からノード3-3に対し、任意の期間毎に救援同期信号S3を送信してもよい。
【0044】
上述した各手段が実行されることにより、本実施形態の無線通信システム1の動作が終了する。また、上述した各手段を方法として行うことで、本実施形態の無線方法を行うことができる。これにより、ノード3-3の無線ネットワークからの脱落が回避される。
【0045】
本実施形態によれば、指示信号S2に基づき、ノード3-3(第1下位デバイス)とは異なる複数の下位ノード31(下位デバイス)のそれぞれから、ノード3-3に対し、救援同期信号S3を送信する。また、ノード3-3が受信した救援同期信号S3を送信したノード3-4(救援デバイス)と、ノード3-3との同期状態を維持する。すなわち、ノード3-3とノード3-1(第1デバイス)との同期状態が困難となる場合においても、ノード3-3が救援同期信号S3を受信することで、ノード3-3とノード3-4との新たな同期状態を確立する。このため、ノード3-3における経路選択情報の更新を速やかに行うことができる。これにより、無線ネットワークにおける性能の劣化を抑制することが可能となる。
【0046】
例えば図8に示すように、ノード3-3が範囲P1内で移動した場合、ノード3-1の送信可能範囲R1内に留まるため、ノード3-1との同期状態は維持される。これに対し、ノード3-3が範囲P2、範囲P3、又は範囲P4内で移動した場合、ノード3-1の送信可能範囲R1から外れ、ノード3-1との同期状態が困難となる(従来のシステム)。このとき、本実施形態を適用することで、ノード3-3が範囲P2、又は範囲P3内で移動した場合においても、下位ノード31(例えばノード3-4、又はノード3-9)との新たな同期状態を維持することができる。即ち、本実施形態によれば、従来に比べて、範囲P2及び範囲P3に移動した場合における無線ネットワークの脱落可能性を低減することが可能となる。例えば、範囲P2=範囲P3=60°、範囲P4=120°で示される場合、本実施形態における無線ネットワークの脱落可能性は、50%((60°+60°)/(60°+60°+120°))改善できる。これにより、無線ネットワークにおける性能の劣化を抑制することが可能となる。
【0047】
ここで、上述したノード3-1から同期信号B1及び指示信号S2を送信する頻度について説明する。ここで、「頻度」とは、一定期間における各信号B1、S2を送信する回数を示す。例えば各信号B1、S2が所定の周期毎に送信される場合、周期の短い場合を高い「頻度」として示すことができる。また、例えば各信号B1、S2が一定期間においてランダムに送信される場合、送信される合計回数の多い場合、又は送信される周期の平均が短い場合を高い「頻度」として示すことができる。以下、図7を用いて各信号B1、S2を所定の周期毎に送信する場合について説明する。
【0048】
例えば図7(a)に示すように、同期信号送信手段は、ノード3-1から下位ノード31に対し、同期信号B1を第1期間Tb1毎に送信する。ノード3-1は、例えば基本間隔Tのm倍(mは2以上の整数)の時間を第1期間Tb1として、同期信号B1を周期的に送信する(図7(a)では、基本間隔Tの2倍)。この場合、同期信号B1を送信する頻度は、基本間隔T(一定期間)に対して0.5回で表される。
【0049】
例えば図7(b)に示すように、指示信号送信手段は、ノード3-1から複数の下位ノード31に対し、指示信号S2を第2期間Tb2毎に送信する。ノード3-1は、例えば基本間隔Tのn倍(nは1以上の整数)の時間を第2期間Tb2として、指示信号S2を周期的に送信する(図7(b)では、基本間隔Tの1倍)。この場合、指示信号S2を送信する頻度は、基本間隔T(一定期間)に対して1回で表される。
【0050】
上記のように、本実施形態によれば、ノード3-1(第1デバイス)から指示信号S2を送信する頻度は、ノード3-1から同期信号B1を送信する頻度よりも高い。このため、ノード3-3とノード3-1との同期状態が困難となる場合に、通常時に同期信号B1を送信する頻度よりも高頻度で指示信号S2を送信することができる。これにより、ノード3-3の新たな同期を確立する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0051】
なお、例えばノード3-1から指示信号S2及び同期信号B1の少なくとも何れかが一定期間(例えば基本間隔T)においてランダムに送信される場合においても、指示信号S2を送信する頻度は、同期信号B1を送信する頻度よりも高くすることができる。このため、上記と同様に、ノード3-3の新たな同期を確立する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0052】
また、救援信号S1及び救援同期信号S3に関しても、例えば基本間隔Tのp倍(pは1以上の整数)で周期的に送信するほか、ランダムに送信してもよい。救援信号S1及び救援同期信号S3の送信される頻度は、同期信号B1の送信される頻度よりも高くすることができる。このため、上記と同様に、ノード3-3の新たな同期を確立する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態としての無線通信システム1について詳細に説明する。上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、ノード3-1の上位デバイス(図9ではCS2)が救援信号S1を受信する点である。なお、上述した実施形態と同様の主な構成については、説明を省略する。
【0054】
第2実施形態の無線通信システム1は、例えば図9に示すように、ノード3-1と、複数の下位ノード31と、CS2(上位デバイス)とを備え、例えば1つ以上のノード3-2(図9ではノード3-2a、ノード3-2b:第2デバイス)と、ノード3-2の下位として同期する1つ以上の下位ノード32(図9ではノード3-2aの下位としてノード3-5、3-10、3-11:第2下位デバイス)とを備えてもよい。即ち、第2実施形態の無線通信方法は、上述した実施形態に加え、ノード3-1の上位デバイスとの間でも実行される。なお、以下の説明では、ノード3-1の上位デバイスがCS2として説明するが、例えばノード3-1とCS2との間に任意の数のノード3が同期されてもよく、ノード3-1に対して少なくとも1つ以上の上位ノードを備えていればよい。
【0055】
救援信号手段は、例えば図9(a)に示すように、ノード3-3からノード3-1、及びノード3-1の上位として同期するCS2に対し、救援信号S1が送信される。この場合、救援信号S1は、ノード3-3に割り当てられた通信期間T1のタイミングに合わせて送信されるほか、通信期間T1とは異なるタイミングにより(例えば連続的、又はランダムに)送信されてもよい。これにより、例えばCS2の通信期間T1が、ノード3-3に割り当てられた通信期間T1とは異なるタイミングの場合においても、短期間で救援信号S1をCS2に受信させることができる。
【0056】
救援信号手段は、例えば図9(b)に示すように、ノード3-3からノード3-1を介してCS2に対し、救援信号S1が送信されてもよい。この場合、救援信号S1は、ノード3-1に割り当てられた通信期間T1のタイミングに合わせてCS2に送信されることで、ノード3-1を介して確実にCS2に受信させることができる。
【0057】
指示信号手段は、例えば図10に示すように、救援信号S1に基づき、CS2から複数のノード3-2及びノード3-1に対し、指示信号S5を送信する。指示信号S5は、上述した指示信号S2と同様に、新たな同期状態を設定するための救援同期信号S3の送信を促すための信号である。CS2は、例えば指示信号S5を一時的に送信する。また、指示信号S5は、第3期間毎に周期的に送信されるほか、例えばランダムに送信される。第3期間は、例えば基本間隔Tのq倍(qは1以上の整数)であり、例えば第1期間Tb1よりも短い。
【0058】
その後、指示信号S5を受信したノード3-1、3-2から、下位ノード31、32に対してそれぞれ指示信号S51、S52を送信する。なお、各ノード3-1、3-2は、例えば受信した指示信号S5に基づき、ノード3-3に対して直接救援同期信号S3を送信してもよい。
【0059】
指示信号手段では、例えばノード3-1は、ノード3-3から受信した救援信号S1と、CS2から受信した指示信号S5とに基づき、下位ノード31に対して指示信号S51を送信する。この場合、例えば指示信号S5の情報を優先して指示信号S51を送信するほか、例えば上記と同様に、救援信号S1の情報を優先して指示信号S2を送信してもよい。例えばノード3-1は、指示信号S5が送信される周期と、救援信号S1が送信される周期とを比較し、指示信号S51の種類を選択してもよい。
【0060】
例えばノード3-1は、上述した実施形態と同様に、救援信号S1を受信したとき、第2期間毎に指示信号S2を送信する。また、ノード3-1は、第3期間毎に指示信号S5を受信する。このとき、第2実施形態によれば、第2期間Tb2が第3期間よりも短くすることができる。即ち、ノード3-1から指示信号S2を送信する頻度は、CS2から指示信号S5を送信する頻度よりも高い。この場合、ノード3-1は指示信号S2を優先的に送信する。このため、ノード3-3の同期状態を短時間で確立できる可能性の高い条件を優先的に実行することができる。これにより、ノード3-3の無線ネットワークからの脱落が回避又は脱落する時間を削減することが可能となる。
【0061】
例えばノード3-2aは、救援信号S1を受信しない。このため、ノード3-2aは、受信した指示信号S5に基づき、下位ノード32に対して指示信号S52を送信する。
【0062】
例えばノード3-2bは、救援信号S1を受信せず、下位にノード3と同期していない。この場合、ノード3-2bは、救援同期信号送信手段において、指示信号S5に基づき、ノード3-3に対して救援同期信号S3を送信してもよい。
【0063】
救援同期信号送信手段では、上述した実施形態と同様に、ノード3-3とは異なる下位ノード31、及び下位ノード32のそれぞれから、ノード3-3に対し、救援同期信号S3を送信する。救援同期信号S3は、各下位ノード31、32と同期状態を設定するための信号であり、例えば下位ノード31、32毎に異なる同期状態を設定するための情報を含んでもよい。
【0064】
その後、上述した実施形態と同様に、再同期手段が行われる。上述した各手段が実行されることにより、第2実施形態の無線通信システム1の動作が終了する。また、上述した各手段を方法として行うことで、第2実施形態の無線方法を行うことができる。これにより、ノード3-3の無線ネットワークからの脱落が回避される。
【0065】
第2実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、指示信号S2に基づき、ノード3-3(第1下位デバイス)とは異なる複数の下位ノード31(下位デバイス)のそれぞれから、ノード3-3に対し、救援同期信号S3を送信する。また、ノード3-3が受信した救援同期信号S3を送信したノード3-4(救援デバイス)と、ノード3-3との同期状態を維持する。すなわち、ノード3-3とノード3-1(第1デバイス)との同期状態が困難となる場合においても、ノード3-3が救援同期信号S3を受信することで、ノード3-3とノード3-4との新たな同期状態を確立する。このため、ノード3-3における経路選択情報の更新を速やかに行うことができる。これにより、無線ネットワークにおける性能の劣化を抑制することが可能となる。
【0066】
第2実施形態によれば、救援信号S1は、CS2(上位デバイス)に対して送信、又は、ノード3-1を介してCS2に対して送信される。また、救援信号S1に基づき、CS2から、複数のノード3-2及びノード3-1に対し、指示信号S5を送信する。このため、救援同期信号S3を送信するノード3(デバイス)の数を大幅に増加させることができる。これにより、ノード3-1(第1下位デバイス)の新たな同期を確立する時間をさらに短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 無線通信システム
2,71 CS
3,72 ノード
31,32 下位ノード
B1 同期通信
D データ
P1~P4 範囲
R1~R3 送信可能範囲
S1 救援信号
S2,S5 指示信号
S3 救援同期信号
T 基本間隔
T1 通信期間
T2 スリープ期間
Tb1 第1期間
Tb2 第2期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12