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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20220502BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
F24C3/12 J
F24C15/00 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018113799
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019215145
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康弘
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0003047(KR,A)
【文献】実開昭61-162702(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
F24C 9/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口された筐体と、
前記筐体に配置され、燃料ガスと空気を混合する管状部であって所定方向に延びる混合管部の一端が下部に接続されるバーナ本体を備えるコンロバーナと、
前記バーナ本体を上下方向に貫通して設けられ、前記コンロバーナによって加熱される被加熱物の温度を検知するための温度検知手段と
を備えるコンロであって、
前記筐体の底部において、平面視で前記コンロバーナの前記バーナ本体が配置される位置に対応する位置に設けられる面部であって、所定の方向に下り傾斜する傾斜面部と、
前記傾斜面部の周囲において、前記傾斜面部の上面よりも凹状に窪んで形成された凹み部と
を備えたことを特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記凹み部は、前記傾斜面部のうち最も高い位置を除く位置の周囲に設けられ、
前記温度検知手段の下端部に接続されるハーネスは、前記温度検知手段の前記下端部から前記傾斜面部のうち最も高い位置に向けて延びることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記凹み部には、
前記凹み部を上下方向に貫通する孔部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記筐体は、前記コンロバーナを左右方向に二つ並べて配置し、
前記筐体の前記底部は、平面視で二つの前記コンロバーナの前記バーナ本体が配置される位置のそれぞれに前記傾斜面部を備えるとともに、それぞれの前記傾斜面部の周囲に前記凹み部を備え、
前記凹み部同士の間を左右方向に連結するように凹状又は凸状に延びる第一延設部と、
それぞれの前記凹み部から前記第一延設部が設けられる側とは反対側に向けて左右方向に凹状又は凸状に延びる第二延設部とを備え、
前記第一延設部と前記第二延設部とは、前後方向において同じ位置に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンロ。
【請求項5】
前記筐体の前記底部は、
前記第一延設部及び前記第二延設部よりも前方又は後方において、左右方向に凹状又は凸状に延びる第三延設部を備えたことを特徴とする請求項4に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロによって加熱される鍋等の被加熱物の温度を検知するためのセンサ等による温度検知手段が設けられたコンロが知られている。近年では、コンロにおいて、コンロバーナ毎に温度検知手段を設けることが義務付けられている。特許文献1に開示されたコンロは、温度検知手段である鍋センサを、コンロバーナのバーナヘッド及びバーナ本体を挿通するように上下方向に延びた状態で設けている。鍋センサの下端部には、鍋センサとコンロの燃焼状態を制御する制御基板とを電気的に接続するためのハーネスが設けられており、鍋センサによって検知された温度に関する情報が、ハーネスを介して制御基板に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-44370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単身者向け等として、グリルを有さず、一般的なコンロよりも薄型のコンロの需要がある。鍋センサは、上下方向に延びて設けられるので、薄型のコンロでは、鍋センサから延びるハーネスの下端側が、コンロの筐体の底部に接触又は近接した状態になることがある。この状態で煮汁等の液体が煮こぼれ等によって筐体の内部に浸入した場合、筐体の底部に溜まった液体にハーネスが浸った状態になり、ハーネスが腐食する等の各種の不具合の原因になりうるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、薄型の筐体を有するコンロであっても、温度検知手段のハーネスに関する不具合を回避できるコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、上部が開口された筐体と、前記筐体に配置され、燃料ガスと空気を混合する管状部であって所定方向に延びる混合管部の一端が下部に接続されるバーナ本体を備えるコンロバーナと、前記バーナ本体を上下方向に貫通して設けられ、前記コンロバーナによって加熱される被加熱物の温度を検知するための温度検知手段とを備えるコンロであって、前記筐体の底部において、平面視で前記コンロバーナの前記バーナ本体が配置される位置に対応する位置に設けられる面部であって、所定の方向に下り傾斜する傾斜面部と、前記傾斜面部の周囲において、前記傾斜面部の上面よりも凹状に窪んで形成された凹み部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記凹み部は、前記傾斜面部のうち最も高い位置を除く位置の周囲に設けられ、前記温度検知手段の下端部に接続されるハーネスは、前記温度検知手段の前記下端部から前記傾斜面部のうち最も高い位置に向けて延びることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記凹み部には、前記凹み部を上下方向に貫通する孔部が設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加えて、前記筐体は、前記コンロバーナを左右方向に二つ並べて配置し、前記筐体の前記底部は、平面視で二つの前記コンロバーナの前記バーナ本体が配置される位置のそれぞれに前記傾斜面部を備えるとともに、それぞれの前記傾斜面部の周囲に前記凹み部を備え、前記凹み部同士の間を左右方向に連結するように凹状又は凸状に延びる第一延設部と、それぞれの前記凹み部から前記第一延設部が設けられる側とは反対側に向けて左右方向に凹状又は凸状に延びる第二延設部とを備え、前記第一延設部と前記第二延設部とは、前後方向において同じ位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係るコンロは、請求項4に記載の構成に加えて、前記筐体の前記底部は、
前記第一延設部及び前記第二延設部よりも前方又は後方において、左右方向に凹状又は凸状に延びる第三延設部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
コンロにおいて、温度検知手段の上端部は鍋等の被加熱物に接触するように設けられるので、温度検知手段に接続するハーネスは、温度検出手段の下端部から延びて設けられるのが一般的である。薄型の筐体が採用される場合、特に、被加熱物がコンロバーナによって加熱されている状態において、温度検知手段の下端部が筐体の底部に近接し、ハーネスが筐体の底部に近接又は接触した状態になることがある。請求項1に係るコンロは、筐体の底部におけるコンロバーナの本体部が配置される位置に対応する位置に傾斜面部及び凹み部を備える。この場合、ハーネスの下端部側は、傾斜面部の上に配置されやすい。仮に煮汁等の液体が筐体内部に浸入し傾斜面部に滴下したとしても、液体は傾斜面部の上面を下降して凹み部に導かれるので、傾斜面部の上面に液体が溜まりにくい。このため、ハーネスの下端部側が傾斜面部に近接又は接触して配置されても、ハーネスが液体に浸かった状態になりにくい。したがって、請求項1に係るコンロは、薄型の筐体を有するコンロであっても、温度検知手段のハーネスに関する不具合を回避できる。
【0012】
傾斜面部に滴下した液体は、傾斜面部のうち最も高い位置を除く位置の周囲に設けられる凹み部に導かれる。温度検知手段のハーネスは、温度検知手段の下端部から傾斜面部のうち最も高い位置に向けて延びるので、請求項2に記載のコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ハーネスの下端部に液体がより付着し難くできる。
【0013】
傾斜面部から凹み部に導かれた液体は、孔部を介して筐体の外部に排出されるので、傾斜面部及び凹み部に液体が溜まりにくくなる。よって、請求項3に記載のコンロは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、ハーネスの下端部に液体がより付着し難くできる。
【0014】
コンロが薄型の筐体を採用した場合、筐体を補強する部材を設けるスペースが筐体の内部に確保されにくい。請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、筐体の底部において、凹み部を左右方向に貫くように第一延設部及び第二延設部を配置する。よって、薄型の筐体を採用した場合であっても、筐体の底部の剛性が向上し、コンロ全体の強度を保つことができる。
【0015】
請求項5に係るコンロは、請求項4に記載の発明の効果に加えて、筐体の強度をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】天板3を省略したコンロ1の斜視図である。
図3】天板3及び左側のコンロバーナ4を省略したコンロ1の斜視図である。
図4】筐体2の斜視図である。
図5】筐体2の平面図である。
図6図5に示すI-I線矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられているものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。なお、図1に示すコンロ1は、グリルを備えず、単身者等向けに小型・薄型に構成されたテーブルコンロであるが、ビルトインコンロ等であってもよい。
【0018】
図1から図3を参照して、コンロ1について説明する。図1に示すように、コンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は、右壁部21、左壁部22、前壁部23、後壁部24及び底面部25を備えた薄型の略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の右壁部21、左壁部22、前壁部23及び後壁部24によって囲まれて成る開口部26を覆うように、筐体2の上部に配置される。天板3は、二つのコンロバーナ4,4を挿通させるための開口(図示略)を有している。筐体2の開口部26に天板3が設置されると、二つのコンロバーナ4,4の上部が開口を挿通し、天板3の前後方向略中央部において左右方向に並ぶ。
【0019】
コンロバーナ4は、バーナ本体40、バーナヘッド42(図1参照)、スロート部46を主に備える。バーナ本体40は、コンロバーナ4の本体部を構成する。バーナヘッド42は、バーナ本体40の上部に載置される。スロート部46は、前後方向に所定の長さを有する中空の管状部である。スロート部46は、前側の端部である上流端部46Aから後側の端部である下流端部46Bに向けて上り傾斜しながら、前後方向に沿って延びる。下流端部46Bは、バーナ本体40の下部に接続する。すなわち、開口部26の内側において、二つのコンロバーナ4,4が、それぞれのスロート部46を前後方向に延ばした状態で左右方向に二つ並べて配置される。上流端部46Aの略中央部には、燃料ガス及び空気が流入する流入口(図示略)が設けられている。スロート部46は、流入口から流入する燃料ガスと一次空気とを混合し、燃料ガスと空気との混合気を、混合気の上流側端部である上流端部46Aから、混合気の下流側端部である下流端部46Bに向けて通過させる。下流端部46Bからバーナ本体40に流入した混合気は、バーナ本体40とバーナヘッド42との間に形成された複数の炎口から噴出する。
【0020】
バーナヘッド42の後方の炎口近傍には、放電による点火を行うための軸状の点火電極44及び火炎の有無を検知するための軸状の熱電対45が設けられている。バーナヘッド42の中央には、上下方向に細長く延びる軸状の鍋センサ43が、バーナヘッド42及びバーナ本体40の中央を貫通するように設けられている。鍋センサ43は、内部にサーミスタを格納し、鍋底温度等、被加熱物の温度を検知するために設けられている。鍋センサ43の下端部には、コンロ1の電気的な制御を司る制御部200(図2及び図3参照)と鍋センサ43のサーミスタとを電気的に接続するためのハーネス43Aが設けられている。制御部200は、サーミスタによって高温(例えば250℃以上)が検知されていると判断した場合、コンロバーナ4への燃料ガスの供給量を低下させ、バーナヘッド42における火力を自動的に低下させる。このような鍋センサ43を用いた温度検知システムは、コンロ1の安全性を保つためにコンロバーナ4毎に設けることが義務付けられている。
【0021】
筐体2の前面の略中央には、正面視円形状の二つの操作つまみ11,11が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11,11のそれぞれは、二つのコンロバーナ4,4のそれぞれの点火、消火及び火力調節を行うために操作される。
【0022】
二つのコンロバーナ4,4は、開口部26の内側において、一対の取付台30,30を介して筐体2の底面部25に取り付けられる。取付台30は、平面視で左右方向に長い長方形状に形成され、コンロバーナ4を筐体2の底面部25よりも一段高い位置に固定するための部材である。一対の取付台30,30は、左右対称の構造を有する。取付台30は、上下方向に延びて右壁部21又は左壁部22に寄せて配置される脚部31と、上下方向に延びて脚部31よりも開口部26の内側に設けられる脚部32とを有する。脚部31,32の上端部を略水平に延びる平面部の前側の左右方向略中央部には、鍋センサ43をバーナヘッド42及びバーナ本体40の中央部に配置するための鍋センサ固定部33が設けられている。また、平面部の後側の左右方向略中央部には、点火電極44及び熱電対45をバーナヘッド42の近傍に配置するための点火電極固定部34及び熱電対固定部35が設けられている。コンロバーナ4は、取付台30の平面部に対してねじで固定される。
【0023】
図4から図6を参照して、筐体2の底面部25の構成を詳細に説明する。底面部25は、外側固定部38,38、内側固定部39,39、傾斜面部50,50、凹み部60,60、第一延設部70、第二延設部80,80、第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110を備える。外側固定部38,38は、底面部25の前後方向中央部よりやや後方の位置における右壁部21又は左壁部22に寄った位置において平面視略楕円形状に隆起した部分である。外側固定部38,38は、左側の取付台30の脚部31及び右側の取付台30の脚部31のそれぞれの下端部を固定する部分である。内側固定部39,39は、底面部25の上面から平面視略正方形状に一段高く形成された段部であり、外側固定部38,38と前後方向略同じ位置において外側固定部38,38から開口部26の内側に向けて所定の間隔を置いて配置される。外側固定部38,38は、左側の取付台30の脚部32及び右側の取付台30の脚部32のそれぞれの下端部を固定する部分である。
【0024】
傾斜面部50,50は、外側固定部38,38及び内側固定部39,39と前後方向略同じ位置において、外側固定部38と内側固定部39との間の位置にそれぞれ配置された、平面視でやや前後方向に長い略長方形状の面部である。詳細には、左側の傾斜面部50は、左側の外側固定部38と左側の内側固定部39との左右方向における間の位置に配置される。右側の傾斜面部50は、右側の外側固定部38と右側の内側固定部39との左右方向における間の位置に配置される。このため、左右それぞれの取付台30の脚部31及び脚部32が左右それぞれの外側固定部38及び内側固定部39に固定された状態で、左右の取付台30の平面部が、左右の傾斜面部50の上方にそれぞれ配置される(図2及び図3参照)。すなわち、左右の傾斜面部50,50は、平面視において、左右のコンロバーナ4,4それぞれのバーナ本体40が配置される位置に対応する位置に配置される。このため、鍋センサ43,43が、平面視で傾斜面部50,50のそれぞれの略中央部に配置される。鍋センサ43の下端部から延びるハーネス43Aは、平面視で傾斜面部50の略中央部から後端部51に向けて延ばされる。
【0025】
図4及び図6に示すように、傾斜面部50の後端部51は、傾斜面部50のうち最も高い位置に配置されている。傾斜面部50の前端部52は、後端部51よりも僅かに低い位置に配置される。したがって、傾斜面部50は、後端部51から前端部52に向けて僅かに下り傾斜して設けられる。本実施形態において、傾斜面部50の傾斜角度は、約2°~3°である。
【0026】
凹み部60,60は、傾斜面部50,50の周囲において、傾斜面部50,50よりも一段下方に窪んだ凹状部である。凹み部60は、傾斜面部50のうち最も高い位置である後端部51を除く位置の周囲に設けられており、左右方向及び前後方向に所定の幅を有する平面視略U字状である。すなわち、凹み部60は、傾斜面部50のうち開口部26の内側に寄せて配置される稜線、傾斜面部50のうち前側の稜線、傾斜面部50のうち開口部26の外側に寄せて配置される稜線のそれぞれを取り囲むように窪んで設けられる。凹み部60のうち開口部26の内側に寄せて配置される部分には、その部分を上下方向に貫通して前後方向に延びる二つの孔部61が左右方向に並べて設けられる。凹み部60のうち開口部26の外側に寄せて配置される部分には、その部分を上下方向に貫通して前後方向に延びる二つの孔部62が左右方向に並べて設けられる。凹み部60のうち傾斜面部50の前側に配置される部分には、その部分を上下方向に貫通して左右方向に延びる二つの孔部63が左右方向に並べて設けられる。
【0027】
コンロ1の筐体2は、一般的な他のコンロよりも上下方向の高さが比較的低い薄型に形成されているので、鍋センサ43の下端部から延びるハーネス43Aの下側の部分が、底面部25に近接又は接触しやすい。特に、鍋等の被加熱物がコンロバーナ4によって加熱されている状態においては、鍋センサ43の上端部が非加熱物によって押し下げられることで、鍋センサ43の下端部が傾斜面部50に近接しやすい。このため、特に、コンロ1を用いた調理中において、ハーネス43Aの下側の部分が、傾斜面部50の上面に近接又は接触した状態になりやすい。一方、コンロ1において、コンロバーナ4によって非加熱物が加熱されることによって生ずる煮汁などの液体が、天板3の開口から筐体2内部に向けて浸入し、浸入した液体が、バーナ本体40の下方に配置される傾斜面部50に向けて滴下することがある。
【0028】
コンロ1においては、傾斜面部50が所定の傾斜角度で傾斜するので、傾斜面部50に滴下した液体は、後端部51から前端部52に向けて傾斜面部50の上面を流下する。傾斜面部50の上面を流下した液体は、凹み部60へ移動する。よって、傾斜面部50に液体が滴下した場合であっても、液体が傾斜面部50の上面に残存し難い。また、ハーネス43Aは、傾斜面部50の中央部の位置から、傾斜面部50のうち最も高い位置にある後端部51に向けて延ばされる。このため、特に、傾斜面部50の後端部51及びその近傍において、ハーネス43Aが傾斜面部50の上面に近接又は接触しやすい。一方で、凹み部60は、傾斜面部50のうち後端部51の後方の位置を除いて形成されている。このため、仮に凹み部60に液体が溜まった場合であっても、傾斜面部50の後端部51にまで液体が乗り上げ難い。また、凹み部60へ移動した液体は、孔部61,62,63のいずれかから底面部25の下方に排出されるので、凹み部60には液体が溜まりにくい。このため、凹み部60に溜まった液体が傾斜面部50の上面に乗り上げるような不具合が生じにくい。このため、傾斜面部50の上面にハーネス43Aが近接又は接触していても、ハーネス43Aが液体に浸かった状態になりにくい。このようにして、コンロ1は、薄型の筐体2を採用しても、ハーネス43Aが液体の付着によって腐食する等の不具合が生ずることを回避している。
【0029】
第一延設部70は、二つの凹み部60,60の前後方向における中央部よりもやや前寄りの位置において、二つの凹み部60,60同士の間を連結するように左右方向に凹状に延びる溝部である。第二延設部80,80は、第一延設部70と前後方向略同じ位置において、二つの凹み部60,60のうちそれぞれの開口部26の外側寄りの端部から、第一延設部70が設けられる側とは反対側に向けて延びる。すなわち、第二延設部80,80のうち右側の第二延設部80は、右側の凹み部60のうち筐体2の右壁部21に近接する右端部から底面部25の右端部に向けて右方に延設する。左側の第二延設部80は、左側の凹み部60のうち筐体2の左壁部22に近接する左端部から底面部25の左端部に向けて左方に延設する。第一延設部70及び第二延設部80,80は、底面部25の前後方向略中央部を左端部から右端部に亘って左右方向に延びる。このため、底面部25の前後方向中央部における剛性が向上し、筐体2の強度が向上する。
【0030】
第三延設部90は、底面部25の後部において左右方向に凸状に延びる部分である。第三延設部90のうち左右方向における中央部は、前後方向に所定の幅を有して延びる。第三延設部90の左右の端部91,91は、中央部よりも前後方向の幅を減じた細長い形状で底面部25の左右の端部に向けて延びる。このため、底面部25の後部の剛性が向上し、筐体2の強度が向上する。
【0031】
第四延設部100は、傾斜面部50,50及び凹み部60,60の前側の位置において、底面部25の左端部から右端部に亘って、左右方向に細長く延びる凸状部である。底面部25は、第四延設部100を備えることで、底面部25の前部の剛性を向上し、筐体2の強度を向上できる。
【0032】
第五延設部110は、第四延設部100よりも前側の位置において、底面部25の左右方向中央部を左右方向に細長く延びる凸状部である。底面部25は、第五延設部110を備えることで、底面部25の前部の剛性を向上し、筐体2の強度を向上できる。
【0033】
コンロ1よりも厚型、大型の筐体を採用する一般的なコンロでは、筐体の強度を向上するための骨組み等の構造が筐体の内部に設けられることが多い。一方で、コンロ1は、薄型・小型の筐体2を採用していることから、このような骨組み等を筐体2内部に配置するスペースを、一般的なコンロに比べて確保し難い。コンロ1は、第一延設部70、第二延設部80、第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110を底面部25に設けることで、骨組み等を筐体2内部に設けなくても、筐体2の強度を向上できる。なお、第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110は、第一延設部70及び第二延設部80,80と略平行に左右方向に延びるので、第一延設部70及び第二延設部80,80とそれぞれ協働して底面部25の剛性の向上が図られる。
【0034】
以上説明したように、鍋センサ43の上端部は、コンロバーナ4の上方において被加熱物に接触するように設けられるので、鍋センサ43に接続するハーネス43Aは、鍋センサ43の下端部から延びるように設けられるのが一般的である。このため、ハーネス43Aの下側部分が筐体2の底面部25に近接又は接触しやすい。コンロ1は、底面部25のうち平面視でコンロバーナ4のバーナ本体40が配置される位置に傾斜面部50を備える。また、傾斜面部50の周囲には凹み部60が設けられる。この場合、ハーネス43Aは、平面視で傾斜面部50の位置に配置されやすい。仮に、煮汁などの液体が筐体2の内部に浸入し、傾斜面部50に滴下した場合であっても、液体は傾斜面部50の上面を後端部51から前端部52に向けて流下し、凹み部60に導かれるので、傾斜面部50の上面に液体が溜まりにくい。このため、ハーネス43Aの下側の部分が傾斜面部50に近接又は接触して配置されていても、ハーネス43Aが液体に浸かった状態になりにくい。したがって、コンロ1は、薄型の筐体2を有していても、ハーネス43Aの腐食等の不具合を回避できる。
【0035】
凹み部60は、傾斜面部50のうち最も高い位置である後端部51を除く位置の周囲に設けられている。このため、傾斜面部50に滴下した液体は、後端部51から前端部52に向けて傾斜面部50の上面を流下し、流下した液体は凹み部60に導かれる。鍋センサ43のハーネス43Aは、平面視で傾斜面部50の中央部の位置から後端部51に向けて延びるように配置される。このため、コンロ1は、ハーネス43Aのうち傾斜面部50に近接又は接触する部分が液体に浸かったままの状態になることを防止できる。
【0036】
傾斜面部50から凹み部60に導かれた液体は、凹み部60を上下方向に貫通する孔部61,62,63を介して底面部25の下方に排出されるので、凹み部60に液体が溜まりにくい。よって、コンロ1は、ハーネス43Aの下側部分が液体に浸かったままの状態になることを、効果的に防止できる。
【0037】
筐体2は薄型・小型に設けられるが、底面部25に第一延設部70及び第二延設部80,80を備えるので、筐体2は底面部25の剛性の向上を図ることができる。コンロ1は、薄型・小型の筐体2を採用し、筐体2を補強するための骨組み等を筐体2の内部に設けない場合であっても、コンロ1全体の強度を保つことができる。
【0038】
底面部25は、第一延設部70及び第二延設部80に加えて、第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110を備えるので、底面部25の剛性をさらに向上し、コンロ1全体の強度を向上できる。
【0039】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。底面部25が、本発明の「底部」に相当する。コンロバーナ4が、本発明の「コンロバーナ」に相当する。スロート部46が、本発明の「混合管部」に相当する。バーナ本体40が、本発明の「バーナ本体」に相当する。鍋センサ43が、本発明の「温度検知手段」に相当する。ハーネス43Aが、本発明の「ハーネス」に相当する。傾斜面部50が、本発明の「傾斜面部」に相当する。凹み部60が、本発明の「凹み部」に相当する。孔部61,62,63が、本発明の「孔部」に相当する。第一延設部70が、本発明の「第一延設部」に相当する。第二延設部80が、本発明の「第二延設部」に相当する。第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110が、本発明の「第三延設部」に相当する。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1は、コンロバーナ4を左右方向に二つ並べて配置する構成に限られず、例えば、一つのコンロバーナ4を備える構成であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、傾斜面部50のうち後端部51を傾斜面部50における最も高い位置としているが、例えば、傾斜面部50のうち前端部52、左端部及び右端部のいずれかが傾斜面部50における最も高い位置としてもよい。この場合、傾斜面部50のうち最も高い位置に配置される傾斜面部50の端部に対向する位置に配置される端部が、他の端部よりも低い位置に配置されれば良い。また、この場合、鍋センサ43のハーネス43Aは、傾斜面部50の中央部から傾斜面部50のうち最も高い位置に配置される傾斜面部50の端部に向けて延びるように配置されれば良い。
【0042】
第一延設部70と第二延設部80,80とが、前後方向において異なる位置に配置されてもよい。なお、第一延設部70と第二延設部80とは、筐体2の強度を向上する観点においては、前後方向において略同じ位置において左右方向に延設されることが好ましい。
【0043】
上記実施形態において、筐体2は、一枚の板金をプレス加工することによって一体に形成されている。このため、傾斜面部50,50、凹み部60,60、第一延設部70、第二延設部80,80、第三延設部90、第四延設部100のそれぞれは、底面部25の板金が絞られることによって形成されている。これに限られず、コンロ1は、傾斜面部50,50、凹み部60,60、第一延設部70、第二延設部80,80、第三延設部90、第四延設部100を、筐体2の底面部25の板金とは異なる板金等で形成し、形成したものを底面部25に組み付けて筐体2を構成してもよい。また、右壁部21、左壁部22、前壁部23、後壁部24及び底面部25がそれぞれ異なる板面によって形成されており、それらが組み立てられることによって筐体2が形成されてもよい。
【0044】
第一延設部70、第二延設部80,80は、底面部25において凸状に延びる部分として設けられてもよい。第三延設部90、第四延設部100、第五延設部110は、底面部25において凹状に延びる部分として設けられてもよい。
【0045】
傾斜面部50の傾斜角度は、傾斜面部50の上面の液体が流下する角度であれば、任意の角度で設けられてもよい。凹み部60に設けられる孔部61,62,63は、凹み部60に液体が溜まりにくくできるのであれば、任意の形状及び個数で設けられてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コンロ
2 筐体
4 コンロバーナ
43 鍋センサ
43A ハーネス
50 傾斜面部
60 凹み部
61,62,63 孔部
70 第一延設部
80 第二延設部
90 第三延設部
100 第四延設部
110 第五延設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6