IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイエイアイの特許一覧

特許7065514ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法
<>
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図1
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図2
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図3
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図4
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図5
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図6
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図7
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図8
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図9
  • 特許-ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20220502BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20220502BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220502BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20220502BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
H01B7/00 301
H01B7/00 306
H01B13/012 A
H01B13/00 521
H01R4/18 A
H01R43/20 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018131026
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020009679
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕一郎
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-087988(JP,U)
【文献】特開2001-218343(JP,A)
【文献】特開2014-049364(JP,A)
【文献】特開2017-183042(JP,A)
【文献】特開2017-120709(JP,A)
【文献】特開2012-064418(JP,A)
【文献】特開2018-046616(JP,A)
【文献】実開平04-046323(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 13/012
H01B 13/00
H01R 4/18
H01R 43/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、
上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、
上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、
上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスにおいて、
上記リード線の端部において上記導体は上記複数の素線の一部が間引かれることにより小径化されていて、
上記小径化された導体にはコネクタ端子が圧着されていて、
上記リード線の端部において上記複数の素線の一部が折り倒されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記リード線の端部において上記小径化された導体は上記リード線の絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項2記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記第1被覆用絶縁体は熱収縮チューブであることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、
上記導体の小径化は上記絶縁性外皮から露出されたリード線の導体に施されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項4記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記リード線の端部において上記ケーブルは第2被覆用絶縁体により上記絶縁性外皮の端部を含んだ状態で被覆されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項5記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記第2被覆用絶縁体は熱収縮チューブであることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記コネクタ端子は別途設けられたコネクタハウジング内に挿入されてコネクタが構成されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記複数の素線は錫メッキ線を撚ってなる錫メッキ素線と銅線を撚ってなる銅素線とからなり、
上記複数の素線から上記錫メッキ素線が間引かれていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記リード線の一端側の導体が小径化されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項10】
請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
上記リード線の両端側の導体が小径化されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、
アクチュエータとコントローラを接続するものであることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項12】
ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスを製造するワイヤーハーネス製造方法において、
上記リード線の端部において上記絶縁体を除去し、
上記複数の素線の一部を間引くことにより上記導体を小径化し、
上記導体の端部にコネクタ端子を圧着し、
上記複数の素線の一部を折り倒すことにより間引くようにしたことを特徴とするワイヤーハーネス製造方法
【請求項13】
請求項12記載のワイヤーハーネス製造方法において、
上記小径化された導体を上記絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆するようにしたことを特徴とするワイヤーハーネス製造方法
【請求項14】
請求項13記載のワイヤーハーネス製造方法において、
上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、
上記第1被覆用絶縁体により被覆した後上記複数のリード線を上記絶縁性外皮の端部とともに第2被覆用絶縁体により被覆するようにしたことを特徴とするワイヤーハーネス製造方法。
【請求項15】
請求項12~請求項14の何れかに記載のワイヤーハーネス製造方法において、
上記コネクタ端子をコネクタハウジングに収容することを特徴とするワイヤーハーネス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アクチュエータとコントローラを接続するワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法に係り、特に、ワイヤーハーネスの端部における導体の小径化処理を簡単に行うことができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図9に示すように、アクチュエータ101とコントローラ103はワイヤーハーネス105を介して接続されている。その際、アクチュエータ101とコントローラ103との距離が短い場合には問題はないが、距離が長くなると(例えば、10m以上)、上記ワイヤーハーネス105を構成するリード線107の導体の電気抵抗により電圧降下が生じてしまい、それが原因して、上記アクチュエータ101の正常な動作が損なわれてしまう。
【0003】
従来は、上記ワイヤーハーネス105を構成するリード線の径を大きくし、それによって、上記電圧降下を防止するようにしていた。
ところが、径の大きなリード線を使用すると、その端部においてリード線の導体に圧着されるコネクタ端子も大きくなり、そのコネクタ端子が挿し込まれるコネクタハウジングも大型化してしまう。その結果、アクチュエータ側のコネクタのサイズと一致しなくなってしまう。それに対しては、アクチュエータ側のコネクタのサイズを大きくして一致させることも考えられるが、それでは、アクチュエータが大型化してしまうことになる。
【0004】
そこで、従来は、図10に示すようなワイヤーハーネス109を用いていた。このワイヤーハーネス109は、ケーブル115を備えていて、このケーブル115は、外皮113と、この外皮113内に内装された複数本の径の大きなリード線111と、から構成されている。
また、上記ケーブル115の端部(図10中左側)には、径の小さいリード線117が配置されていて、上記径の大きなリード線111の導体の先端側(図10中左側)に、上記径の小さなリード線117の導体119を圧着端子120を介して連結している。
【0005】
上記径の小さなリード線117の導体119の先端側(図10中左側)には小さなコネクタ端子121が圧着されていて、上記コネクタ端子121は、図示しないコネクタハウジングに挿入されている。上記圧着端子120を介して連結された部位は絶縁体122によって被覆されている。又、上記ケーブル115の外皮113から露出された導体部位は、絶縁体123によって被覆されている。
このような構成を採用することにより導体の小径化を図り、コネクタ端子121、コネクタハウジングの大型化を防止するようにしていた。
【0006】
また、上記圧着端子120による連結箇所が横方向に並ばないように、連結部位を上記ケーブル115の長さ方向に沿ってずらしている。それによって、横方向に対する寸法の拡大を防止している。
なお、異径の導体同士を接続する技術を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-32589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の構成によると、次のような問題があった。
すなわち、径の大きなリード線111の導体に径の小さなリード線117の導体119を圧着端子120を介して連結しなければならず、且つ、その連結箇所が横方向に重ならないように長さ方向にずらさなければならず、煩雑な作業を余儀なくされてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、ワイヤーハーネスの端部における導体の小径化処理を簡単に行うことができるワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるワイヤーハーネスは、ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記導体は上記複数の素線の一部が間引かれることにより小径化されていて、上記小径化された導体にはコネクタ端子が圧着されていて、上記リード線の端部において上記複数の素線の一部が折り倒されていることを特徴とするものである。
また、請求項2によるワイヤーハーネスは、請求項1記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記小径化された導体は上記リード線の絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆されていることを特徴とするものである。
また、請求項3によるワイヤーハーネスは、請求項2記載のワイヤーハーネスにおいて、上記第1被覆用絶縁体は熱収縮チューブであることを特徴とするものである。
また、請求項4によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、上記導体の小径化は上記絶縁性外皮から露出されたリード線の導体に施されていることを特徴とするものである。
また、請求項5によるワイヤーハーネスは、請求項4記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記ケーブルは第2被覆用絶縁体により上記絶縁性外皮の端部を含んだ状態で被覆されていることを特徴とするものである。
また、請求項6によるワイヤーハーネスは、請求項5記載のワイヤーハーネスにおいて、上記第2被覆用絶縁体は熱収縮チューブであることを特徴とするものである。
また、請求項7によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記コネクタ端子は別途設けられたコネクタハウジング内に挿入されてコネクタが構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項8によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項7の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記複数の素線は錫メッキ線を撚ってなる錫メッキ素線と銅線を撚ってなる銅素線とからなり、上記複数の素線から上記錫メッキ素線が間引かれていることを特徴とするものである。
また、請求項9によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項8の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の一端側の導体が小径化されていることを特徴とするものである。
また、請求項10によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の両端側の導体が小径化されていることを特徴とするものである。
また、請求項11によるワイヤーハーネスは、請求項1~請求項10の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、アクチュエータとコントローラを接続するものであることを特徴とするものである。
また、請求項12によるワイヤーハーネス製造方法は、ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスを製造するワイヤーハーネス製造方法において、上記リード線の端部において上記絶縁体を除去し、上記複数の素線の一部を間引くことにより上記導体を小径化し、上記導体の端部にコネクタ端子を圧着し、上記複数の素線の一部を折り倒すことにより間引くようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項13によるワイヤーハーネス製造方法は、請求項12記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記小径化された導体を上記絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項14によるワイヤーハーネス製造方法は、請求項13記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、上記第1被覆用絶縁体により被覆した後上記複数のリード線を上記絶縁性外皮の端部とともに第2被覆用絶縁体により被覆するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項15によるワイヤーハーネス製造方法は、請求項12~請求項14の何れかに記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記コネクタ端子をコネクタハウジングに収容することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本願発明の請求項1によるワイヤーハーネスによると、ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記導体は上記複数の素線の一部が間引かれることにより小径化されていて、上記小径化された導体にはコネクタ端子が圧着されているので、簡単な作業により端側のリード線を小径とすることができる。
また、請求項2によるワイヤーハーネスによると、請求項1記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記複数の素線の一部が折り倒されているので、素線を切断することなく容易にリード線の端側を小径とすることができる。
また、請求項3によるワイヤーハーネスによると、請求項1記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記複数の素線の一部が切断されているので、容易に端側のリード線を小径とすることができる。
また、請求項4によるワイヤーハーネスによると、請求項2又は請求項3記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記小径化された導体は上記リード線の絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆されているので、導体同士の接触を確実に防止し誤動作がなく安全性の高いワイヤーハーネスとすることができる。
また、請求項5によるワイヤーハーネスによると、請求項4記載のワイヤーハーネスにおいて、上記第1被覆用絶縁体は熱収縮チューブであるので、より簡易な構成とすることができる。
また、請求項6によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項5の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、上記導体の小径化は上記絶縁性外皮から露出されたリード線の導体に施されているので、耐久性が高く取り扱いやすいワイヤーハーネスの端部について小径化処理をすることができる。
また、請求項7によるワイヤーハーネスによると、請求項6記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の端部において上記ケーブルは第2被覆用絶縁体により上記絶縁性外皮の端部を含んだ状態で被覆されているので、絶縁性能を更に高めることができる。
また、請求項8によるワイヤーハーネスによると、請求項7記載のワイヤーハーネスにおいて、上記第2被覆用絶縁体は熱収縮チューブであるので、より簡易な構成とすることができる。
また、請求項9によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項8の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記コネクタ端子は別途設けられたコネクタハウジング内に挿入されてコネクタが構成されているので、対象となる機器に対して接続を容易に行うことができる。
また、請求項10によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項9の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記複数の素線は錫メッキ線を撚ってなる錫メッキ素線と銅線を撚ってなる銅素線とからなり、上記複数の素線から上記錫メッキ素線が間引かれているので、間引くべき素線がわかりやすく、製造作業を行いやすくすることができる。また、端部側に残された銅素線は視認しやすく、例えば、上記コネクタ端子と上記導体の接続不良を容易に確認することができる。
また、請求項11によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項10の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の一端側の導体が小径化されているので、上記ワイヤーハーネスの一端のみについて作業すればよく、より容易に製造することができる。
また、請求項12によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項10の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、上記リード線の両端側の導体が小径化されているので、上記ワイヤーハーネスの両端を小さなコネクタに対応させることができる。
また、請求項13によるワイヤーハーネスによると、請求項1~請求項12の何れかに記載のワイヤーハーネスにおいて、アクチュエータとコントローラを接続するものであるので、電圧降下を発生させずコントローラによって確実にアクチュエータを駆動・制御することができる。
また、請求項14によるワイヤーハーネス製造方法によると、ケーブルと、上記ケーブルの端部に取り付けられたコネクタと、を具備し、上記ケーブルは複数のリード線を備えていて、上記リード線は導体と該導体を被覆する絶縁体とからなり、上記導体は複数の素線を撚ってなるワイヤーハーネスを製造するワイヤーハーネス製造方法において、上記リード線の端部において上記絶縁体を除去し、上記複数の素線の一部を間引くことにより上記導体を小径化し、上記導体の端部にコネクタ端子を圧着するので、簡単な作業により端側が小径となるワイヤーハーネスを製造することができる。
また、請求項15によるワイヤーハーネス製造方法によると、請求項14記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記複数の素線の一部を折り倒すことにより間引くようにしたので、素線を切断することなく容易にリード線の端側を小径とすることができる。
また、請求項16によるワイヤーハーネス製造方法によると、請求項14記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記複数の素線の一部を切断することにより間引くようにしたので、容易に端側のリード線を小径とすることができる。
また、請求項17によるワイヤーハーネス製造方法によると、請求項15又は請求項16記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記小径化された導体を上記絶縁体とともに第1被覆用絶縁体により被覆するようにしたので、導体同士の接触を確実に防止し誤動作がなく安全性の高いワイヤーハーネスを製造することができる。
また、請求項18によるワイヤーハーネス製造方法によると、請求項17記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記複数のリード線は絶縁性外皮内に収容されていて、上記第1被覆用絶縁体により被覆した後上記複数のリード線を上記絶縁性外皮の端部とともに第2被覆用絶縁体により被覆するようにしたので、絶縁性能を更に高めることができる。
また、請求項19によるワイヤーハーネス製造方法によると、請求項14~請求項18の何れかに記載のワイヤーハーネス製造方法において、上記コネクタ端子をコネクタハウジングに収容するので、接続を容易に行うことができるワイヤーハーネスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータとコントローラをワイヤーハーネスを介して接続した状態を示す図である。
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤーハーネスの平面図である。
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤーハーネスのアクチュエータ側の雌コネクタのコネクタハウジングを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤーハーネスのアクチュエータ側の雌コネクタのコネクタ端子を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤーハーネスのアクチュエータ側の端部の構成をコネクタハウジングを除去した状態で示す平面図である。
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、図6(a)はリード線の端部において絶縁体を除去した状態を示す平面図、図6(b)はリード線の導体を構成する複数本の素線の撚りを戻した状態を示す平面図、図6(c)はリード線の複数本の素線の内の一部を折り倒した状態を示す平面図である。
図7】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイヤーハーネスの製造工程を模式的に示す図で、図7(a)はワイヤーハーネスのリード線の端部の絶縁体を除去する工程を示す図、図7(b)はリード線の複数の素線の内の一部を折り倒す工程を示す図、図7(c)は小径化された導体と折り倒された導体と絶縁体を第1被覆用絶縁体で被覆する工程を示す図、図7(d)は小径化された導体にコネクタ端子を圧着する工程を示す図、図7(e)は複数本のリード線と絶縁性外皮の端部を第2被覆用絶縁体で更に被覆する工程を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態を示す図で、図8(a)はワイヤーハーネスのリード線の端部の絶縁体を除去する工程を示す図、図8(b)はリード線の複数本の素線の撚りを戻した状態を示す図、図8(c)はリード線の複数本の素線の内の一部を折り倒して小径化する工程を示す図、図8(d)は小径化されたリード線の素線と折り倒された素線をリード線の絶縁体とともに第1被覆用絶縁体で被覆する工程を示す図、図8(e)は小径化されたリード線の素線の端部の導体を露出させる工程を示す図、図8(f)はリード線の素線の端部の露出された導体にコネクタ端子を圧着する工程を示す図である。
図9】従来例を示す図で、アクチュエータとコントローラをワイヤーハーネスを介して接続した状態を示す図である。
図10】従来例を示す図で、ワイヤーハーネスのアクチュエータ側の端部における導体の小径化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図8を参照しながら、本発明の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、アクチュエータ3とコントローラ5があり、これらアクチュエータ3とコントローラ5はワイヤーハーネス1を介して接続されている。上記ワイヤーハーネス1を介して、上記コントローラ5から上記アクチュエータ3に電源が供給されるとともに、上記アクチュエータ3とコントローラ5との間で各種信号の授受が行われる。
上記アクチュエータ3には雄コネクタ7が設置されていて、上記コントローラ5には雄コネクタ9が設置されている。
【0014】
上記ワイヤーハーネス1は、図2に示すように、ケーブル11と、このケーブル11の一端側(図2中左側)に設置された雌コネクタ13と、他端側(図2中右側)に設置された雌コネクタ15と、から構成されている。上記雄コネクタ7に上記雌コネクタ13が差し込まれ、上記雄コネクタ9に上記雌コネクタ15が差し込まれ、それによって、上記アクチュエータ3とコントローラ5がワイヤーハーネス1を介して接続される。
【0015】
上記雌コネクタ13には、図2図3に示すように、コネクタハウジング17がある。このコネクタハウジング17には複数個(この実施の形態の場合には24個)のコネクタ端子用貫通孔19が形成されている。これらコネクタ単子用貫通孔19内に図4に示すコネクタ端子21が挿入される。
【0016】
上記コネクタ端子21は、図4に示すように、金属製の板を屈曲させて略筒状に形成したものであり、基端側(図4中右側)には後述するリード線の端部が挿入・固定されるリード線固定部22が設けられている。また、上記コネクタ端子21にはかしめ片23が設けられている。上記リード線を上記リード線固定部22側から挿入し、上記リード線固定部22をかしめることで上記リード線の先端側の被覆された部分を固定し、上記かしめ片23をかしめることにより上記リード線の先端側に露出された導体を上記コネクタ端子21に電気的に接続する。また、上記コネクタ端子21の先端側(図4中左側)には、上記アクチュエータ側の雄コネクタ7に設置されたピンPが挿入されるピン挿入部24が設けられている。
【0017】
また、上記雌コネクタ15も上記雌コネクタ13と同様の構成であり、図2に示すように、コネクタハウジング25と、このコネクタハウジング25内に挿入される図示しないコネクタ端子と、から構成されている。
なお、コントローラ5側の雌コネクタ15はアクチュエータ3側の雌コネクタより大きい。
また、上記ケーブル11にはコネクタカバ26があり、使用時にはこのコネクタカバ26によって上記雌コネクタ13が覆われる。
【0018】
上記ケーブル11は、図5に示すように、絶縁性外皮29と、この絶縁性外皮29内に内装された複数本(一例として24本)のリード線27と、から構成されている。
なお、上記リード線27には電源供給用のものと信号用のものがあり、図1では全てのリード線27を図示し、図5図7では、説明の都合上、電源供給用の6本のみを示している。
【0019】
また、図5に示すように、各リード線27の端部は熱収縮チューブ製の第1被覆用絶縁体30により被覆されている。また、上記複数本のリード線27は熱収縮チューブ製の第2被覆用絶縁体31により被覆されている。これら第1被覆用絶縁体30、第2被覆用絶縁体31についてはワイヤーハーネス製造方法の説明で詳しく説明する。
【0020】
上記リード線27は、図6(a)に示すように、絶縁体35と、この絶縁体35内に内装された導体33と、から構成されている。上記導体33は、図6(b)に示すように、複数本(この一実施の形態の場合は4本)の錫メッキ素線37と、複数本(この一実施の形態の場合は3本)の銅素線39と、を撚り合わせて構成されている。上記錫メッキ素線37は複数本の錫メッキ線37aを撚り合わせて構成されており、上記銅素線39は複数本の銅線39aを撚り合わせて構成されている。
また、本実施の形態の場合には、上記アクチュエータ3とコントローラ5が10m以上離間・配置されている場合を想定しており、電圧降下を防止するために、上記導体33として径の大きなものを使用している。
【0021】
また、図6(c)に示すように、上記リード線27のアクチュエータ3側の端部において、上記導体33を構成する素線のうち上記錫メッキ素線37を折り倒しており、これによって、上記導体33の素線の数を間引きしてその小径化を図っている。
なお、コントローラ5側の端部においてはそのような小径化は行われておらず、径の大きなリード線27がそのままの状態で使用されている。
【0022】
次に、ワイヤーハーネス製造方法について図7図8を参照しながら説明する。
まず、図7(a)に示すように、ワイヤーハーネス1のアクチュエータ側の端部において、や絶縁性外皮29を除去してリード線27を露出させる。
次に、図7(a)、図8(a)に示すように、各リード線27の端部の絶縁体35を除去して導体33を露出させる。
次に、図8(b)に示すように、上記導体33の端部の撚りを戻して錫メッキ素線37と銅素線39とを分離する。
次に、図7(b)、図8(c)に示すように、上記錫メッキ素線37を折り倒すことにより導体33を構成する素線の数を間引いて小径化する。
次に、図7(c)、図8(d)に示すように、残された銅素線39と折り倒された錫メッキ素線37を、絶縁体35も含めて、熱収縮チューブ製の第1被覆用絶縁体30で被覆する。
次に、図7(d)、図8(e)に示すように、上記第1被覆用絶縁体30により被覆されている部分の先端を切断・除去するとともに、第1被覆用絶縁体30の端部を除去して小径化された導体(残された銅素線39)の端部を露出させる。
次に、図7(d)に示すように、上記小径化された導体33の端部をコネクタ端子21の基端側のリード線固定部22内に挿入する。
次に、図7(e)、図8(f)に示すように、上記コネクタ端子21のかしめ片23をかしめて圧着する。
次に、図7(e)に示すように、全ての上記リード線27の端部を上記絶縁性外皮29の端部も含めて第2被覆用絶縁体31で被覆する。
そして、上記コネクタ端子21をコネクタハウジング17のコネクタ端子用貫通孔19に挿入する。
なお、上記コネクタ端子21とコネクタハウジング17は、短尺用のワイヤーハーネス1のそれと同じものである。
【0023】
次に、この一実施の形態によるワイヤーハーネス1の使用状態について説明する。
まず、図1に示すように、コントローラ5からアクチュエータ3に対して、ワイヤーハーネス1を介して電源が供給されるとともに、コントローラ5とアクチュエータ3との間で各種信号の授受が行われる。
その際、上記ワイヤーハーネス1は長尺であるが、リード線27として径の大きなものを使用しているので、リード線27の導体33の電気抵抗は小さく電圧降下も小さいので、アクチュエータ3に電圧降下に起因した誤動作が生じることはない。
【0024】
次に、この一実施の形態による効果について説明する。
まず、ワイヤーハーネス1のアクチュエータ3側の端部におけるリード線27の導体33の小径化を簡単に行うことができる。これは、従来のように、大径の導体33に小径の導体を接続するのではなく、導体33を構成する錫メッキ素線37と銅素線39の一部を折り倒して間引くことにより小径化するようにしたからである。
また、導体33として、複数本の錫メッキ素線37と複数本の銅素線39から構成されているものを使用していて、その内錫メッキ素線37のみを折り倒せばいいので、折り倒すべき素線を容易に判別することができ、それによって、小径化作業をさらに容易化することができる。
因みに、小径化により残される銅素線39は視認しやすく、例えば、コネクタ端子21と導体(銅素線39)の接続不良を容易に確認することができる。
また、従来のように、径の異なる別のリード線を用意する必要はないので、それによっても、作業の容易化、部品管理の容易化を図ることができる。
同様に、従来のように、径の異なる二種類のリード線を接続するための圧着端子を用意する必要もないので、それによっても、作業の容易化、部品管理の容易化を図ることができる。
また、従来のように、径の異なる二種類のリード線を接続する場所が重複しないように管理する作業も不要であり、それによっても、作業の容易化を図ることができる。
また、小径化を施したリード線27の端部、すなわち、残された銅素線39、折り倒された錫メッキ素線37、絶縁体29の端部を熱収縮性チューブ製の第1被覆用絶縁体30によって被覆しているので、絶縁不良に起因した各種誤動作を防止して安全性の向上を図ることができる。
また、複数本のリード線27は熱収縮チューブ製の第2被覆用絶縁体31により絶縁性外皮29の端部を含んだ状態で被覆されているので、絶縁性能を更に高めることができる。
【0025】
なお、本発明は前記一実施の形態に限定されない。
まず、前記一実施の形態においては、導体を構成する複数本の素線の内の一部を折り倒すようにしたが、それに限定されるものではなく、切断するようにしても良い。
また、前記一実施の形態の場合には、上記リード線のアクチュエータ側の端部のみを小径化したが、コントローラ側の端部についても小型化することが考えられる。
また、前記一実施の形態の場合には、導体が錫メッキ素線と銅素線の二種類から構成されている例を説明したが、全てが同じ材質の場合も考えられる。
また、前記一実施の形態においては、第1、第2被覆用絶縁体を熱収縮チューブ製としたが、それ以外の材質の絶縁体を使用する場合も考えられる。
また、前記一実施の形態の場合にはアクチュエータとコントローラを接続するワイヤーハーネスを例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、各種機器相互間を接続する様々な種類のワイヤーハーネスに適用可能である。
その他、図示した構成は一例であり、様々な場合が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、例えば、アクチュエータとコントローラを接続するワイヤーハーネスとワイヤーハーネス製造方法に係り、特に、ワイヤーハーネスの端部における導体の小径化処理を簡単に行うことができるように工夫したものに関し、例えば、工場内の設備に用いられるワイヤーハーネスに好適である。
【符号の説明】
【0027】
1 ワイヤーハーネス
17 コネクタハウジング
21 コネクタ端子
25 コネクタハウジング
27 リード線
29 絶縁性外皮
30 第1被覆用絶縁体
31 第2被覆用絶縁体
33 導体
35 絶縁体
37 錫メッキ素線
39 銅素線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10