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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】鋼管杭
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/56 20060101AFI20220502BHJP
   E02D 5/28 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
E02D5/56
E02D5/28
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021202638
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2021-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520417229
【氏名又は名称】株式会社TJプラン
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】山本 健一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100487(JP,A)
【文献】特開2008-045338(JP,A)
【文献】特開2009-046833(JP,A)
【文献】特開2006-177125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22-5/80
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の先端部に、外径が前記鋼管の外径より大きい翼部が周方向に沿って2枚固定された鋼管杭であって、
2枚の前記翼部は、前記鋼管に固定された状態で互いに噛み合う噛合部を有し、
前記噛合部は、それぞれ向かい合う他方の前記翼部と接する位置から延びるスリット状であることを特徴とする鋼管杭。
【請求項2】
前記噛合部は、前記鋼管の中心軸部で互いに噛み合うことを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭。
【請求項3】
前記翼部は、前記鋼管の中心軸方向と直交する平面方向に対し互いに逆方向に傾斜するように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管杭。
【請求項4】
2枚の前記翼部は、前記鋼管の下端面に固定されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の鋼管杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤において建家等の建造物を支持するために使用される回転貫入鋼管杭に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軟弱地盤であって地盤の支持力が十分でない場所に建家等の建造物を建設する場合には、建設機械により地下に存在する硬質地盤中にコンクリート杭または鋼管杭を貫入させ、支持力を確保する。
【0003】
コンクリート杭は安価であり、かつ高い支持力を有するので、多くの建設現場で採用されてきた。しかし、コンクリート杭は、杭の長さが建設現場では容易に調整できないという難点があるため、硬質地盤の深さが一定していないような複雑な地盤では使用が難しい。一方、鋼管杭は、切断または溶接により、建設現場で容易に長さの調節が可能であるため、硬質地盤の深さが一定していないような複雑な地盤で用いられることが多い。
【0004】
鋼管杭は、先端部に平板状または螺旋状の翼部を有し、回転貫入する際の掘削力を生じさせるとともに、硬質地盤に留置されることで支持力を高くすることができる。翼部は、鋼管杭の下面に溶接などにより接合される。先端部に翼部を有した鋼管杭は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-314930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
翼部は、鋼管杭の貫入方向と引き抜き方向のいずれに対しても、十分な強度を有していることが求められる。従来の鋼管杭では、翼部が周方向に複数設けられ、各翼部はそれぞれ鋼管杭に固定されており、十分な強度を得ることができるが、より高い掘削力を発揮するため、強度をさらに高くすることが求められている。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、先端部に設けられる翼部の強度および掘削力を高くすることのできる鋼管杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る鋼管杭は、鋼管の先端部に、外径が前記鋼管の外径より大きい翼部が周方向に沿って2枚固定された鋼管杭であって、2枚の前記翼部は、前記鋼管に固定された状態で互いに噛み合う噛合部を有することを特徴として構成されている。
【0009】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る鋼管杭は、鋼管の先端部に、外径が前記鋼管の外径より大きい翼部が周方向に沿って2枚固定された鋼管杭であって、2枚の前記翼部は、前記鋼管に固定された状態で互いに噛み合う噛合部を有し、前記噛合部は、それぞれ向かい合う他方の前記翼部と接する位置から延びるスリット状であることを特徴として構成されている。
【0010】
また、本発明に係る鋼管杭は、2枚の前記翼部は、それぞれ向かい合う他方の前記翼部と接する位置から延びるスリット状の前記噛合部を有することを特徴として構成されている。
【0012】
また、本発明に係る鋼管杭は、2枚の前記翼部は、前記鋼管の下端面に固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る鋼管杭によれば、2枚の翼部が互いに噛み合って鋼管杭に固定されているので、翼部の強度および掘削力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る鋼管杭の先端部付近の斜視図である。
図2】2枚の翼部の平面図である。
図3】鋼管杭の先端部付近の分解正面図である。
図4】翼部を固定した鋼管杭の先端部付近の正面図である。
図5】第2実施例に係る鋼管杭の先端部付近の斜視図である。
図6】第3実施例に係る鋼管杭の先端部付近の斜視図である。
図7】楕円弧を有する2枚の翼部の平面図である。
図8】多角形状を有する2枚の翼部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の鋼管杭10は、軟弱地盤に建造物を建設する際に、先端部を硬質地盤に貫入させて支持力を確保するために用いられる。
【0016】
図1に示すように、鋼管杭10は、鋼管20の先端部20aに2枚の翼部30を固定して形成されている。翼部30は、鋼管20の中心軸方向と直交する平面方向に対して傾斜して鋼管20に固定されている。また、2枚の翼部30は、鋼管20の中心軸方向と直交する平面方向に対して互いに逆方向に傾斜している。
【0017】
図2に示すように、翼部30は、円形の平板を中心線で2等分した半円形状に形成される。すなわち、翼部30は、2枚の翼部30を合わせると1つの円形状が形成される形状を有している。翼部30は、鋼管20の先端部20aにおいて、2枚の翼部30を合わせた円形状の中心となる位置で互いに接するように配置される。翼部30は、この向かい合う他方の翼部30と接する位置から径方向に沿って延びるスリット状の噛合部32を有している。図1に示すように、噛合部32は、2枚の翼部30が鋼管に固定された状態で互いに噛み合っている。噛合部32が互いに噛み合う位置は、鋼管20の中心軸部となる。
【0018】
翼部30同士は、噛合部32において溶接等により接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
【0019】
翼部30が噛合部32で互いに噛み合って鋼管20に固定されていることにより、翼部30同士が強固に固定され、掘削時に一方の翼部30に大きな力が加わった場合に、他方の翼部30の鋼管20に対する固定力も作用するので、強度を向上させることができると共に、掘削力を向上させることができる。
【0020】
図3に示すように、翼部30を取付ける鋼管20の下端部には、互いに逆方向に傾斜する傾斜面21が、半周ずつ形成されている。2つの傾斜面21は、鋼管20の正面視において、正面側と背面側とが、中央部で一部重複するように形成されている。2枚の翼部30は、それぞれ傾斜面21に対して当接される。このとき、翼部30同士は噛合部32において噛み合う。翼部30は、溶接等により鋼管20接合固定される。これにより、図4に示すように、鋼管20の中心軸部で翼部30が互いに噛み合って固定された鋼管杭10を形成できる。
【0021】
鋼管杭の第2実施例について説明する。図5に示すように、第2実施例の鋼管杭11は、鋼管40の周面に2つのスリット41を有しており、各スリット41に翼部30が挿入され固定されている。スリット41は、互いに逆方向に向かう傾斜状に形成されている。このように、鋼管40の下端面ではなく、スリット41に翼部30を挿入することで、鋼管杭11の引き抜き時における強度を高くすることができる。この構造においても、スリット41に挿入された翼部30は、鋼管40の中心軸部で互いに噛み合う噛合部32を有している。これによって、翼部30の強度を向上させることができる。
【0022】
鋼管杭の第3実施例について説明する。図6に示すように、第3実施例の鋼管杭12は、鋼管50の下端部のうち周方向の一部が先端側に向かって延出する延出部52を有している。延出部52は、翼部30の数と同じ数である2つが設けられる。延出部52は、両側部にそれぞれ翼部30の周方向端部を挿入できるスリット51を有している。翼部30は、隣接する延出部52間に跨がるように配置され、周方向の両端部がスリット51に挿入されて固定されている。すなわち、翼部30は、周方向の両側がスリット51によって支持されている。このため、翼部30は、鋼管杭12の貫入方向と引き抜き方向のいずれに対しても、鋼管50に対する固定強度を十分に確保することができる。この構造においても、スリット51に挿入された翼部30は、鋼管50の中心軸部で互いに噛み合う噛合部32を有している。これによって、翼部30の強度を向上させることができる。
【0023】
翼部の変形例について説明する。翼部は、半円以外の形状を有していてもよい。図7に示すように、翼部35は、楕円形の平板を中心線で2等分した半楕円形状であってもよい。翼部35は、楕円形の中心となる位置に噛合部36を有する。また、図8に示すように、翼部37は、六角形の平板を中心線で2等分した半多角形状であってもよい。翼部37は、六角形の中心となる位置に噛合部38を有する。また、翼部は、六角形以外の多角形状を有してしてもよい。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。例えば、翼部30の外径は、鋼管20の外径より大きければよく、図に示す翼部30より大径状であってもよい。また、噛合部32が形成される位置である翼部30が互いに接する位置を、鋼管20の中心軸部以外となるように、鋼管20の下端部形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 鋼管杭
11 鋼管杭
12 鋼管杭
20 鋼管
20a 先端部
21 傾斜面
30 翼部
32 噛合部
40 鋼管
41 スリット
50 鋼管
51 スリット
52 延出部
【要約】
【課題】先端部に設けられる翼部の強度および掘削力を高くすることのできる鋼管杭を提供する。
【解決手段】鋼管20の先端部20aに、外径が鋼管20の外径より大きい翼部30が周方向に沿って2枚固定された鋼管杭10であって、2枚の翼部30は、鋼管20に固定された状態で互いに噛み合う噛合部32を有する。噛合部32は、鋼管20の中心軸部で互いに噛み合う。また、2枚の翼部30は、それぞれ向かい合う他方の翼部30と接する位置から延びるスリット状の噛合部32を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8