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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 29/00 20220101AFI20220502BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20220502BHJP
【FI】
B01F9/00
B01F15/00 Z
B01F15/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022001314
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522009282
【氏名又は名称】有限会社親森テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】森 逸雄
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112076657(CN,A)
【文献】登録実用新案第3152202(JP,U)
【文献】特開2000-185224(JP,A)
【文献】特開2013-091052(JP,A)
【文献】特開2015-139487(JP,A)
【文献】登録実用新案第3190993(JP,U)
【文献】特開2019-076816(JP,A)
【文献】特開2017-064694(JP,A)
【文献】特開2016-097372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 29/00 - 29/90
B01F 35/00
B44D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌対象である内容物が収納される容器を保持する容器保持部(10)と、
前記容器保持部が収容されて前記容器保持部を回転可能に保持する本体(20)と、
前記容器保持部の回転軸と異なる方向に延在する回転軸で、前記本体を回転可能に支持する支持部(70)と、
前記本体に付与される回転力を発生させる回転力発生部(30)と、
前記本体に付与された前記回転力から、前記容器保持部を回転させる回転力を取り出して、この回転力を前記容器保持部に付与して、前記容器保持部を回転させる回転力分配機構(40)と、を有し、
前記回転力分配機構は、
前記支持部に固定された第一部材(41)と、
前記第一部材の外側に配置され、前記本体の回転に伴って前記第一部材の周囲を公転する第二部材(42)と、
前記第一部材及び前記第二部材に係合し、前記第一部材と前記第二部材とを回転連結する伝達部材(43)と、
前記第二部材と回転連結された第一係合部材(47)と、
前記第一係合部材と係合し、前記容器保持部に取り付けられた第二係合部(48)と、を有することを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
前記第一部材及び前記第二部材は、スプロケットであり、
前記伝達部材は、前記第一部材及び前記第二部材に巻き掛けられた環状のチェーンであることを特徴とする請求項に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記容器保持部は、その上部に前記容器が挿入される挿入口(13a)が形成されて外縁が円形状である上板(13)を有し、
前記容器保持部の底部を、前記本体の底部に回転可能に軸支する軸受部材(25)と、
前記本体の上部に取り付けられ、前記上板の外縁と係合する複数のローラー部材(23)と、
を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、一斗缶等の容器内の内容物を撹拌する撹拌装置が有る。この撹拌装置は、一斗缶を上方から挿入可能な斗缶支持体と、斗缶支持体を回転可能に支持する一対の支柱と、斗缶支持体を回転させるエアーモータとを有し、斗缶支持体の回転軸は水平方向と一致している。この撹拌装置では、一斗缶が水平方向と一致した回転軸を中心に回転することによって、一斗缶内部の内容物が撹拌されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-59069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される撹拌装置では、一斗缶が水平方向と一致した回転軸を中心に回転するために、一斗缶内部の内容物が一斗缶の回転に追従して回転し、一斗缶内の内容物が充分に撹拌されないという問題があった。内容物が塗料である場合には、長時間一斗缶を放置していると、比重の大きい顔料が一斗缶の底部に沈み、比重の小さいシンナー等の溶剤が一斗缶の上部に浮き上がるので、撹拌装置で一斗缶内の塗料を充分に撹拌する必要が有るが、撹拌が不充分である場合には、顔料と溶剤の配合分率が適切で無く、所望の色や艶が出ない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は、容器の内部の内容物を充分に撹拌することができる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明である撹拌装置は、
撹拌対象である内容物が収納される容器を保持する容器保持部(10)と、
前記容器保持部が収容されて前記容器保持部を回転可能に保持する本体(20)と、
前記容器保持部の回転軸と異なる方向に延在する回転軸で、前記本体を回転可能に支持する支持部(70)と、
前記本体に付与される回転力を発生させる回転力発生部(30)と、
前記本体に付与された前記回転力から、前記容器保持部を回転させる回転力を取り出して、この回転力を前記容器保持部に付与して、前記容器保持部を回転させる回転力分配機構(40)と、を有し、
前記回転力分配機構は、
前記支持部に固定された第一部材(41)と、
前記第一部材の外側に配置され、前記本体の回転に伴って前記第一部材の周囲を公転する第二部材(42)と、
前記第一部材及び前記第二部材に係合し、前記第一部材と前記第二部材とを回転連結する伝達部材(43)と、
前記第二部材と回転連結された第一係合部材(47)と、
前記第一係合部材と係合し、前記容器保持部に取り付けられた第二係合部(48)と、を有する
【0007】
これによれば、本体が回転しつつ、本体内に収容された容器保持部が本体の回転軸と異なる方向に延在する回転軸で回転する。このため、容器保持部に保持された容器が、本体の回転軸を中心に回転するとともに、本体の回転軸と異なる回転軸を中心に回転する。この結果、容器の中に収納されている内容物が、容器の回転に追従して回転することが抑制され、容器の中に収納されている内容物が充分に撹拌される。
【0008】
また、1の回転発生部によって、本体及び容器保持部の両方を回転させることができるので、撹拌装置の構造が複雑とならず、撹拌装置を軽量に製造することができ、撹拌装置の可搬性が向上し、低コストに撹拌装置を製造することができる。
また、回転分配機構を、上記のように構成したので、1の回転発生部で、本体と容器保持部の両方を回転させる機構を実現することができる。
【0011】
請求項に記載の発明である撹拌装置は、請求項に記載の撹拌装置において、
前記第一部材及び前記第二部材は、スプロケットであり、
前記伝達部材は、前記第一部材及び前記第二部材に巻き掛けられた環状のチェーンである。
【0012】
これによれば、第一部材と第二部材とを確実に回転連結させることができ、第二部材の公転に伴って、第二部材を確実に自転させることができ、容器保持部を確実に回転させることができる。
【0013】
請求項に記載の発明である撹拌装置は、請求項1又は2に記載の撹拌装置において、
前記容器保持部は、その上部に前記容器が挿入される挿入口(13a)が形成されて外縁が円形状である上板(13)を有し、
前記容器保持部の底部を、前記本体の底部に回転可能に軸支する軸受部材(25)と、
前記本体の上部に取り付けられ、前記上板の外縁と係合する複数のローラー部材(23)と、
を更に有する。
【0014】
これによれば、容器保持部の底部と容器保持部の上部の両方が、本体に回転可能に支持されている。このため、容器保持部の底部と容器保持部の上部のいずれか一方のみが本体に回転可能に支持された構造と比較して、容器保持部を安定して本体で回転可能に支持することができる。この結果、回転する本体内で容器保持部が回転することによる容器保持部の振動や共振の発生を抑制することができる。
【0015】
また、容器保持部の上部に設けられた外縁が円形状である上板が、本体の上部に取り付けれられた複数のローラー部材と係合されているので、より一層安定して、容器保持部を本体で回転可能に支持することができる。つまり、本体は、複数のローラ部材によって、直径が大きい上板の外縁を支持しているので、容器保持部がより一層安定して本体に回転可能に支持される。
【0016】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の撹拌装置の正面図である。
図2】本発明の一実施形態の撹拌装置の側面図である。
図3】本発明の一実施形態の撹拌装置の上面図である。
図4】アタッチメントの斜視図である。
図5】下部アタッチメントを容器保持部の底部に載置した状態の図である。
図6】下部アタッチメントに小型の容器を載置した状態の図である。
図7】上部アタッチメントを容器保持部に取り付けた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(撹拌装置の構造)
以下に、図1図3を用いて、本発明の一実施形態である撹拌装置100について説明する。なお、図1においては、撹拌装置100の一部分の内部の構造が見えるように表している。撹拌装置100は、図1に示すように、容器保持部10、本体20、モータ30、回転力分配機構40、支持部70、減速機80、電気ボックス90を有している。
【0019】
以下に、撹拌装置100を構成する容器保持部10、本体20、モータ30、回転力分配機構40、支持部70の各機能について説明する。容器保持部10は、撹拌対象である内容物が収納される容器が挿入されて保持する。本体20は、容器保持部10が収容されて、容器保持部10を回転可能に保持する。モータ30は、本体20に付与される回転力を発生させる回転力発生部である。回転力分配機構40は、本体20に付与された回転力から、容器保持部10を回転させる回転力を取り出して、この回転力を容器保持部10に付与して、容器保持部10を回転させる。支持部70は、容器保持部10の回転軸である第一回転軸Ax1と異なる方向に延在する第二回転軸Ax2で、本体20を回転可能に支持する。なお、本実施形態では、第一回転軸Ax1は上下方向(鉛直方向)に延在し、第二回転軸Ax2は幅方向(水平方向)に延在し、第一回転軸Ax1と第二回転軸Ax2は直行している。
【0020】
以下に、容器保持部10について説明する。図1図3に示すように、容器保持部10は、底板11、4つの角部材12、上板13、4つの補強板14、4つの支持部材15,
2つのロック機構16、2つのアタッチメント取付部材17を有している。底板11は、略正方形状の板材であり、4つの軽量化穴11aが形成されている。4つの軽量化穴11aは、後述するボルト18の周囲に、幅方向に2列、前後方向に2行形成されている。底板11の各角部は円弧状に角が切り落とされている。
【0021】
上板13は、底板11と対向して、底板11の上方に配置されている。上板13は、容器保持部10の上部に設けられ、後述する本体20の枠板部材22よりも上方側に配置されている。上板13の外縁は円形状である。上板13には、挿入口13aが形成されている。挿入口13aは、底板11の外縁形状と同じ形状、つまり、略正方形状であり、4つの角部が円弧形状となっている。この挿入口13aから、容器保持部10で保持される容器が容器保持部10内に挿入される。
【0022】
4つの角部材12は、底板11の各角部と上板13の挿入口13aの各角部とを接続している。図3に示すように、角部材12は、円弧状に曲げられた円弧部12aと、この円弧部12aの両端から突出している一対の直線部12bとから構成されている。円弧部12aの中心角は90°である。円弧部12aの外側の曲率半径は、底板11の角部の外縁形状と同一の曲率半径となっている。
【0023】
補強板14は、上下方向に延在し、一対の角部材12の下端部を接続して、底板11の外縁において底板11上に取り付けられている。このような構造によって、図5に示すように、容器保持部10の一対の角部材12の間には、窓穴10aが形成されている。そして、上述したように、底板11には、4つの軽量化穴11aが形成されている。このため、容器保持部10は軽量な構造となっていて、撹拌装置100の可搬性が良好となっている。
【0024】
支持部材15はブロック状であり、対向する一対の角部材12の間の底板11上に取り付けられている。支持部材15は、容器保持部10に保持された容器が載置されて支持する部材である。図1に示すように、角部材12の上面は、後述するボルト18の頭部の上端よりも上方に位置している。これにより、容器保持部10上に載置された容器を、容器保持部10にて安定して保持することができる。
【0025】
容器保持部10で保持される容器は、いわゆる一斗缶500である。容器保持部10の内部に形成された空間である保持空間10b(図1示)は、一斗缶500の外形に対応した形状となっている。つまり、一対の角部材12の対向する直線部12bの離間寸法は、一斗缶500の幅寸法よりも僅かに大きくなっている。また、支持部材15の上面と上板13の上面との離間寸法は、一斗缶500の高さ寸法よりも僅かに大きくなっている。このように、一斗缶500を保持する容器保持部10の各部材と一斗缶500とのクリアランスを小さくしているので、一斗缶500が保持空間10b内でガタつかず、一斗缶500が容器保持部10の保持空間10b内で安定して保持される。
【0026】
図3に示すように、ロック機構16は、上板13上に設けられている。本実施形態では、一対の(2つの)ロック機構16が、上板13の挿入口13aの辺の中央部に、対向するように設けられている。ロック機構16は、係止片16a、固定部材16b、ストッパー部材16cとから構成されている。係止片16aは、略長方形状の板状であり、中心に貫通穴16a1が形成され、一方の長辺にロック凹部16a2が形成されている。固定部材16bは、略円板形状の回転部16b1と、回転部16b1の中心から突出するネジ部16b2とから構成されている。固定部材16bのネジ部16b2が、係止片16aの貫通穴16a1に挿通し、上板13に形成されたネジ穴13bにねじ込まれている。このような構造によって、係止片16aは、上板13上に回動可能に取り付けられている。係止片16aは、その回動位置によって、上面視した場合に、その先端が挿入口13a内に突出しているロック位置(図3の矢印Aの状態)と、その全体が挿入口13a内に突出していない解除位置(図3の矢印Bの状態)との間で回動可能となっている。
【0027】
ストッパー部材16cは、略円柱状であり、上板13上に取り付けられ、上板13の上面から突出している。ストッパー部材16cは、係止片16aのロック凹部16a2に侵入可能となっている。解除位置にある係止片16aを時計回りに回動させると、ストッパー部材16cがロック凹部16a2に侵入し、ストッパー部材16cによって係止片16aがこれ以上回動しない状態となり、係止片16aがロック位置に位置決めされる。この状態で、固定部材16bの回転部16b1を締め込むと、係止片16aがロック位置で上板13上に固定され、容器保持部10内に保持された容器の脱落が防止される。
【0028】
図3に示すように、アタッチメント取付部材17は、上板13上に設けられている。本実施形態では、一対の(2つの)アタッチメント取付部材17が、上板13の挿入口13aの辺のうちロック機構16が取り付けられている辺とは異なる辺の中央部に、対向するように設けられている。アタッチメント取付部材17は、略円板形状の回転部17aと、回転部17aの中心から突出するネジ部17bとから構成されている。アタッチメント取付部材17のネジ部17bが、上板13に形成されたネジ穴13cにねじ込まれている。
【0029】
次に、本体20について説明する。本体20は、上方が開口した箱型である。図1図2に示すように、本体20の側周面の一部は、多数の穴が形成されたパンチングメタル21で構成され、本体20の軽量化が図られている。図1に示すように、本体20の底部には、底板20bを有し、この底板20bの中心に、軸受部材25が取り付けられている。軸受部材25には、支持部材26が取り付けられている。支持部材26は、円板状の取付部26aと、この取付部26aの中心からこの取付部26aの延在方向と直行する方向(下方に)突出する軸部26bとから構成されている。支持部材26の軸部26bが、軸受部材25に挿通して、本体20の底板20bを貫通して、底板20bの下方に突出している。容器保持部10の底板11の中心は、複数(本実施形態では4つ)のボルト18によって、支持部材26の取付部26aに取り付けられている。このような構造によって、容器保持部10が本体20の底板20bに回転可能に取り付けられている。
【0030】
図3に示すように、本体20の開口部には、円形状の開口穴22aが形成された枠状の枠板部材22が取り付けられている。枠板部材22の4つの角部のそれぞれには、ローラー部材23が取り付けられている。図1に示すように、ローラー部材23は、略円板形状のローラー部23aと、ローラー部23aを枠板部材22に回転可能に取り付ける軸部23bとから構成されている。ローラー部23aの外縁の厚さ方向の中央部には、係合溝23a1が全周に渡って凹陥形成されている。4つのローラー部材23の係合溝23a1が、それぞれ、容器保持部10の上板13の外縁部に係合している。これにより、容器保持部10の上部が、4つのローラー部材23によって、本体20の枠板部材22に回転可能に支持されている。枠板部材22には、4つのローラー部23aのそれぞれを覆うカバー部材24が取り付けられている。
【0031】
次に、支持部70について説明する。図1図3に示すように、支持部70は、一対の支柱71、一対の基部材72、連結部材73、4つのキャスター74、第一支持部材75、第二支持部材76、2つの軸受部材77を有している。一対の支柱71は、中空な四角形断面のパイプ状であり、幅方向に対向して配置され、上下方向に沿って配置されている。一対の基部材72は、中空な四角形断面のパイプ状であり、その長手方向の中央部が一対の支柱71の下端に接続されてて、前後方向に沿って配置されている。連結部材73は、中空な四角形断面のパイプ状であり、一対の基部材72の長手方向の中央部の下面を接続し、幅方向に沿って配置されている。キャスター74は、基部材72の両端の下面に取り付けられている。このキャスター74によって、撹拌装置100が床上で移動可能になっている。
【0032】
第一支持部材75は、円板形状の取付部75aと、この取付部75aの中心から突出した円柱形状の軸部75bとから構成されている。第一支持部材75の取付部75aは、本体20の右側の側面に複数のボルト78によって取り付けられている。第一支持部材75の軸部75bは、軸受部材77によって、右側の支柱71の上端に回転可能に取り付けられている。第二支持部材76は、円板形状の取付部76aと、この取付部76aの中心から突出した円柱形状の軸部76bとから構成されている。第二支持部材76の取付部76aは、本体20の左側の側面に複数のボルト(不図示)によって取り付けられている。第二支持部材76の軸部76bは、軸受部材77によって、左側の支柱71の上端に回転可能に取り付けられている。このような構成によって、本体20が、第二回転軸AX2を回転中心として、支持部70に回転可能に取り付けられている。
【0033】
図1に示すように、減速機80は、ブラケット79を介して右側の支柱71の上部に取り付けられている。減速機80は、入力されたモータ30の回転数を減速しつつ、モータ30の回転力の方向を90度変更して出力するものである。モータ30は、電動モータであり、減速機80の下端に取り付けられている。図1に示すように、減速機80は、ボックス部81、第一歯車82、第二歯車83を有している。ボックス部81は、箱状であり、第一歯車82及び第二歯車83を回転可能に支持して収納している。第一歯車82及び第二歯車83はかさ歯車であり、互いに噛み合っている。第一歯車82は、モータ30の回転軸30aの先端に取り付けられている。第二歯車83は、第一支持部材75の軸部75bの先端に取り付けられている。第二歯車83の歯数は、第一歯車82の歯数よりも多くなっていている。このため、モータ30の回転数が減速される。このような構造によって、モータ30の回転力が、第一支持部材75に入力されて、本体20に入力され、本体20が第二回転軸Ax2を回転中心として回転する。
【0034】
次に、回転力分配機構40について説明する。回転力分配機構40は、第一スプロケット41、第二スプロケット42、チェーン43、軸部材44、2つの支持部材45、2つの軸受部材46、第一かさ歯車47、第二かさ歯車48、カバー49、ブラケット50を有している。
【0035】
第一スプロケット41は、略円板状であり、第一スプロケット41の中心には、挿通穴41aが形成されている。この挿通穴41aには、第一支持部材75の軸部75bが挿通している。第一スプロケット41は、第一支持部材75の軸部75bと同軸に配置され、ブラケット50を介して、右側の支柱71に取り付けられている。第一支持部材75は第一スプロケット41に対して相対回転可能となっている。
【0036】
第二スプロケット42は、略円板状であり、第一スプロケット41の下方の外側に、幅方向の位置が同位置に配置されている。後述するように、第二スプロケット42は第一スプロケット41の周囲を公転する。第二スプロケット42は、軸部材44の右端に取り付けられている。第二スプロケット42の歯数は、第一スプロケット41の歯数よりも少なくなっている。つまり、第二スプロケット42の直径は、第一スプロケット41の直径よりも小さくなっている。
【0037】
第一スプロケット41及び第二スプロケット42には、環状のチェーン43が巻き掛けられていて、このチェーン43と噛み合って係合している。このチェーン43によって、第一スプロケット41と第二スプロケット42は回転連結している。
【0038】
2つの支持部材45は、板状であり、幅方向に間隔を開けて、互いに対向して、本体20の底板20bの下面に取り付けられている。2つの支持部材45には、それぞれ、軸受部材46が取り付けられている。軸部材44は、本体20の下方位置に幅方向に沿って配置され、2つの軸受部材46によって軸支されている。
【0039】
第一かさ歯車47は、軸部材44の左端に取り付けられている。このように、第一かさ歯車47は、軸部材44によって、第二スプロケット42に回転連結されている。このような構成によって、第二スプロケット42及び第一かさ歯車47は、軸部材44、2つの軸受部材46、及び2つの支持部材45を介して、本体20の底板20bの下面に回転可能に取り付けられている。
【0040】
第二かさ歯車48は、支持部材26の軸部26bの下端に取り付けられている。つまり、第二かさ歯車48は、支持部材26及び軸受部材25を介して、容器保持部10の底板11に回転可能に取り付けられている。第一かさ歯車47と第二かさ歯車48は噛み合って係合している。第一かさ歯車47の回転軸と第二かさ歯車48の回転軸は直行している。本実施形態では、第一かさ歯車47の歯数と第二かさ歯車48の歯数は、同数となっている。カバー49は、第一スプロケット41、第二スプロケット42、チェーン43、軸部材44、2つの支持部材45、2つの軸受部材46、第一かさ歯車47、第二かさ歯車48を覆って、本体20に取り付けられている。
【0041】
電気ボックス90は、箱型であり、その内部に、後述する各ボタン91、92や、各スイッチ93、94、タイマー95、回転調整部96を接続する配線が収納されている。図3に示すように、電気ボックス90の上面には、スタートボタン91、非常停止ボタン92、タイマー選択スイッチ93が設けられている。図2に示すように、電気ボックス90の正面には、電源スイッチ94、タイマー95、回転調整部96が設けられている。また、電気ボックス90には、交流100V等の商用電源が流れる電源コード97が接続されている。電気ボックス90とモータ30とは、配線98によって電気的に接続している。
【0042】
電源スイッチ94は、電源コード97から供給された商用電源の遮断(スイッチが切の状態)又は投入(スイッチが入の状態)を選択するスイッチである。回転調整部96は、モータ30の回転数を調整するためのものであり、モータ30の回転数を調整するダイヤル96aと、モータ30の単位時間当たりの回転数が表示される回転数表示部96bを有している。タイマー95は、モータ30に電流が供給される時間を設定することができ、この時間が経過するとモータ30への電流の供給を遮断するものである。タイマー選択スイッチ93は、タイマー95を使用するか否かを選択するスイッチである。タイマー選択スイッチ93が入の状態ではタイマー95が使用される。一方で、タイマー選択スイッチ93が切の状態ではタイマー95が使用されない。スタートボタン91は、モータ30への電流の供給を開始するボタンである。
【0043】
タイマー選択スイッチ93が入の状態で、スタートボタン91が押下されると、タイマー95で設定された時間だけモータ30に電流が供給され、この設定された時間が経過すると、モータ30への電流の供給が遮断される。タイマー選択スイッチ93が切の状態で、スタートボタン91が押下されると、モータ30への電流が供給され、スタートボタン91が押下されていない状態になると、モータ30への電流の供給が遮断される。或いは、スタートボタン91を押下する毎に、モータ30に電流が供給される状態と、モータ30への電流の供給が遮断される状態とが切り替わる実施形態であっても良い。非常停止ボタン92は、これが押下されるとモータ30への電流の供給が遮断されて、モータ30を緊急停止させるボタンである。
【0044】
(撹拌装置の動作)
次に、撹拌装置100の動作について説明する。まず、容器である一斗缶500を、容器保持部10の挿入口13aから挿入して、容器保持部10で保持させる。次に、2つのロック機構16の係止片16aのそれぞれを、ロック位置に位置させて、2つの固定部材16bの回転部16b1を締め込んで、一斗缶500が容器保持部10から脱落しないようにする。
【0045】
次に、電源スイッチ94を入の位置にして、スタートボタン91を押下すると、モータ30に電流が供給されて、モータ30が回転する。すると、モータ30の回転力が、回転軸30a、第一歯車82、第二歯車83、第一支持部材75を介して、本体20に伝達されて、本体20が第二回転軸Ax2を回転中心として回転する。
【0046】
本体20の第二回転軸Ax2を回転中心とする回転に伴って、第二スプロケット42が第二回転軸Ax2を回転中心として第一スプロケット41の周囲を公転する。なお、右側の支柱71に取り付けられている第一スプロケット41は回転しない。第一スプロケット41と第二スプロケット42には、チェーン43が巻き掛けられているので、第二スプロケット42の公転に伴って、第二スプロケット42は、自身の回転軸(軸部材44の回転軸)を回転中心に回転(自転)する。すると、軸部材44及び第一かさ歯車47が回転し、第一かさ歯車47と噛み合っている第二かさ歯車48が回転する。第二かさ歯車48の回転に伴って、容器保持部10が第一回転軸Ax1を回転中心として回転する。
【0047】
上述したように、本体20は、第二回転軸Ax2を回転中心として回転しているので、本体20内に取り付けられている容器保持部10も、第二回転軸Ax2を回転中心として回転する。つまり、容器保持部10は、第一回転軸Ax1及び第二回転軸Ax2を回転中心として回転し、容器保持部10によって保持されている容器もまた、第一回転軸Ax1及び第二回転軸Ax2を回転中心として回転するので、容器の中に収納されている内容物が充分に撹拌される。
【0048】
(アタッチメント)
次に、図4を用いてアタッチメント60のついて説明する。アタッチメント60は、一斗缶500よりも小さい大きさの容器600を容器保持部10に固定するものである。図4に示すように、アタッチメント60は、上部アタッチメント61と下部アタッチメント62とから構成されている。
【0049】
上部アタッチメント61は、固定板61a、取手61b、第一筒61c、第二筒61d、固定部材61e、上部容器固定部材61fを有している。固定板61aは、縦長な板状であり、その両端部の側面に、アタッチメント取付部材17のネジ部17bが侵入する係合凹部61a1が形成されている。取手61bは、固定板61aの上面に取り付けられている。第一筒61cは円筒状であり、固定板61aの下面から下方に突出するように、固定板61aの長手方向の中央部に取り付けられている。第二筒61dは、第一筒61cの内径よりも小さい外形の円筒状であり、第一筒61c内にスライド可能に挿入されている。
【0050】
上部容器固定部材61fは、押さえ部61f1と挟持部61f2とから構成されている。押さえ部61f1は、略正方形状の板状であり、その中心が第二筒61dの下端に接続されている。挟持部61f2は、押さえ部61f1の4つの角のそれぞれから下方に突出している。対向する挟持部61f2の内側間の寸法は、容器600の外径や幅寸法よりも僅かに大きくなっている。
【0051】
固定部材61eは、第一筒61cの周面にねじ込まれて、その先端が第二筒61dの周面を押圧する。固定部材61eが緩められた状態では、第二筒61dは第一筒61cに対してスライド可能である。一方で、固定部材61eが締め込まれると、第二筒61dは第一筒61cに対して固定される。このような構造によって、第二筒61dを第一筒61cに対してスライドさせて、上部容器固定部材61fの上下方向の位置を調整したうえで、固定部材61eを締め付けて、上部容器固定部材61fの上下方向の位置を固定することができる。
【0052】
下部アタッチメント62は、基板62a、4つの位置決部62b、4つの固定部62cを有している。基板62aは、略正方形状の板状であり、四隅が切り落とされている。基板62aには、2行2列に配置された4つの軽量化穴62a1が形成されている。位置決部62bは、基板62aの外縁部のそれぞれの辺に接続されて、上方に突出している。対向する位置決部62bの外面間の寸法は、容器保持部10の対向する補強板14の内側間の寸法よりも僅かに小さくなっている。
【0053】
固定部62cは、板状であり、基板62aの外縁部のそれぞれの辺の内側の基板62aの上面に取り付けられ、上方に向かって延在している。4つの固定部62cによって、容器600の外周面の下端部が挟まれて、容器600の下端部が下部アタッチメント62に保持される。対向する固定部62cの下部の間の寸法は、固定する容器600の直径又は幅寸法よりも僅かに大きくなっている。このため、対向する固定部62cで安定して容器600を保持することができる。対向する固定部62cの上部は、上方に位置するに従って、対向する固定部62c間の寸法が大きくなっている。このため、容器600下端部を、対向する固定部62c間に差し込んで、下部アタッチメント62に保持しやすくなっている。
【0054】
次に、アタッチメント60の使用方法について説明する。まず、図5に示すように、下部アタッチメント62を、容器保持部10の底部に載置させる。次に、図6に示すように、容器600の下端部が複数の固定部62cによって挟まれるようにして、容器600を基板62a上に載置して、容器600を下部アタッチメント62に保持させる。
【0055】
次に、図7に示すように、上部アタッチメント61を容器保持部10に固定する。具体的には、複数の挟持部61f2で容器600の上端部を挟んだ状態で、上部容器固定部材61fを容器600上に載置する。次に、固定板61aを容器保持部10の上板13上に載置し、それぞれの係合凹部61a1にアタッチメント取付部材17のネジ部17bを差し込む。次に、2つのアタッチメント取付部材17それぞれを締め込んで、上部アタッチメント61を容器保持部10の上板13に固定する。次に、固定部材61eを締め込む。このようにして、一斗缶500よりも小さいサイズの容器600が、アタッチメント60によって、強固に容器保持部10に固定され、撹拌装置100によって撹拌することができる。
【0056】
(本実施形態の撹拌装置の効果)
撹拌装置100は、撹拌対象である内容物が収納される容器を保持する容器保持部10と、容器保持部10が収容されて容器保持部10を回転可能に保持する本体20と、容器保持部10の回転軸である第一回転軸Ax1と異なる方向に延在する第二回転軸Ax2で、本体20を回転可能に支持する支持部70と、本体20に付与される回転力を発生させる回転力発生部であるモータ30と、本体20に付与された回転力から、容器保持部10を回転させる回転力を取り出して、この回転力を容器保持部10に付与して、容器保持部10を回転させる回転力分配機構40と、を有する。
【0057】
これによれば、本体20が第二回転軸Ax2を回転中心として回転しつつ、本体20内に収容された容器保持部10が本体20の回転軸である第二回転軸Ax2と異なる方向に延在する第一回転軸Ax1で回転する。このため、容器保持部10に保持された容器が、本体20の回転軸である第二回転軸Ax2を中心に回転するとともに、本体20の回転軸と異なる回転軸である第一回転軸Ax1を中心に回転する。この結果、容器の中に収納されている内容物が、容器の回転に追従して回転することが抑制され、容器の中に収納されている内容物が充分に撹拌される。
【0058】
また、1の回転発生部であるモータ30によって、本体20及び容器保持部10の両方を回転させることができるので、撹拌装置100の構造が複雑とならず、撹拌装置100を軽量に製造することができ、撹拌装置100の可搬性が向上し、低コストに撹拌装置100を製造することができる。
【0059】
また、撹拌装置100は、本体20の側面に取り付けられ、支持部70に回転可能に支持された第一支持部材75を更に有する。そして、回転力分配機構40は、支持部70に固定され、第一支持部材75が相対回転可能に挿通された第一スプロケット41(第一部材)と、第一スプロケット41の外側に配置され、本体20の回転に伴って第一スプロケット41の周囲を公転する第二スプロケット42(第二部材)と、第一スプロケット41及び第二スプロケット42に係合し、第一スプロケット41と第二スプロケット42とを回転連結するチェーン43(伝達部材)と、第二スプロケット42と回転連結された第一かさ歯車47(第一係合部材)と、第一かさ歯車47と係合し、その回転軸が第一かさ歯車47の回転軸と直行し、容器保持部10に取り付けられた第二かさ歯車48(第二係合部)と、を有する。
【0060】
これによれば、1のモータ30で、本体20と容器保持部10の両方を回転させる機構を実現することができる。
【0061】
上記第一部材は第一スプロケット41であり、上記第二部材は第二スプロケット42であり、上記伝達部材は、第一スプロケット41及び第二スプロケット42に巻き掛けられた環状のチェーン43である。
【0062】
これによれば、第一スプロケット41と第二スプロケット42とを確実に回転連結させることができ、第二スプロケット42の公転に伴って、第二スプロケット42を確実に回転(自転)させることができ、容器保持部10を確実に回転させることができる。
【0063】
また、容器保持部10は、その上部に容器が挿入される挿入口13aが形成されて外縁が円形状である上板13を有している。そして、撹拌装置100は、容器保持部10の底部を、本体20の底部に回転可能に軸支する軸受部材25と、本体20の上部に取り付けられ、上板13の外縁と係合する複数のローラー部材23と、を更に有する。
【0064】
これによれば、容器保持部10の底部と容器保持部10の上部の両方が、本体20に回転可能に支持されている。このため、容器保持部10の底部と容器保持部10の上部のいずれか一方のみが本体20に回転可能に支持された構造と比較して、容器保持部10を安定して本体20で回転可能に支持することができる。この結果、回転する本体20内で容器保持部10が回転することによる容器保持部10の振動や共振の発生を抑制することができる。
【0065】
また、容器保持部10の上部に設けられた外縁が円形状である上板13が、本体20の上部に取り付けれられた複数のローラー部材23と係合されているので、より一層安定して、容器保持部10を本体20で回転可能に支持することができる。つまり、本体20は、複数のローラー部材23によって、直径が大きい上板13の外縁を支持しているので、容器保持部10がより一層安定して本体20に回転可能に支持される。
【0066】
(他の実施形態)
以上説明した実施形態では、回転力発生部はモータ30であるが、回転力発生部はエンジンやエアアクチューエータ等であってもよい。以上説明した実施形態では、第一回転軸Ax1と第二回転軸Ax2は直行しているが、第一回転軸Ax1と第二回転軸Ax2とが90°以外の異なる角度で交わる実施形態であってもよい。
【0067】
第一スプロケット41及び第二スプロケット42の代わりに、これらを第一プーリー、第二プーリーとし、チェーン43の代わりに、これらプーリに巻き掛けられてベルトとしても良い。また、第一スプロケット41及び第二スプロケット42の代わりに、第一係合かさ歯車、第二係合かさ歯車とし、チェーン43の代わりに、第一係合かさ歯車と係合する第三かさ歯車、第二係合かさ歯車と係合する第四係合かさ歯車、第三係合かさ歯車と第四係合かさ歯車とを接続するシャフトとしても良い。
【0068】
以上説明した実施形態では、第一かさ歯車47の歯数と第二かさ歯車48の歯数は、同数となっているが、異なる歯数であっても良い。
【0069】
かさ歯車の代わりに、冠歯車とこれと噛み合う平歯車を用いたり、ねじ歯車を用いても良い。
【符号の説明】
【0070】
10:容器保持部
13:上板
13a:挿入口
20:本体
23:ローラー部材
25:軸受部材
30:モータ(回転力発生部)
40:回転力分配機構
41:第一スプロケット(第一部材)
42:第二スプロケット(第二部材)
43:チェーン(伝達部材)
47:第一かさ歯車(第一係合部材)
48:第二かさ歯車(第二係合部材)
70:支持部
75:第一支持部材(支持部材)
100:撹拌装置
【要約】
【課題】容器の内部の内容物を充分に撹拌することができる撹拌装置を提供することを目的とする。
【解決手段】撹拌装置100は、容器を保持する容器保持部10と、容器保持部10が収容されて容器保持部10を回転可能に保持する本体20と、容器保持部10の回転軸Ax2と異なる方向に延在する回転軸Ax1で、本体20を回転可能に支持する支持部70と、本体20に付与される回転力を発生させる回転力発生部30と、本体20に付与された回転力から、容器保持部10を回転させる回転力を取り出して、この回転力を容器保持部10に付与して、容器保持部10を回転させる回転力分配機構40と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7