(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】粘着テープ接合装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/18 20060101AFI20220502BHJP
B65H 19/20 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B65H19/18
B65H19/20
(21)【出願番号】P 2018059704
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】奥野 長平
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133616(JP,A)
【文献】特開2002-096952(JP,A)
【文献】特開平05-138739(JP,A)
【文献】特開2015-009910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の粘着テープの端部同士を接合する粘着テープ接合装置であって、
粘着テープの原反ロールを複数個備え、複数の前記原反ロールのうち供給位置に配置されている第1の原反ロールから粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、
テープ供給部が備える複数の原反ロールのうち、供給位置にある第1の原反ロールから繰り出されている第1の粘着テープを所定位置で切断して前記第1の原反ロールから切り離す切断機構と、
テープ供給部が備える複数の原反ロールのうち、前記第1の原反ロールから繰り出されている前記第1の粘着テープ、および第2の原反ロールから繰り出されている第2の粘着テープのうち、いずれかの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成する第1接合テープ作成機構と、
前記粘着テープ片を保持する接合テープ保持部材と、
前記テープ供給部を移動させ、供給位置に配置される原反ロールを前記第1の原反ロールから第2の原反ロールへと切り換えるロール切換機構と、
前記第1の原反ロールから切り離された前記第1の粘着テープの後端と、前記第2の原反ロールから繰り出されている前記第2の粘着テープの先端とを前記粘着テープ片で接合させる粘着テープ接合機構と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ接合装置であって、
前記粘着テープ接合機構は、前記粘着テープ片の粘着面と、前記第1の粘着テープの後端部分の粘着面および前記第2の粘着テープの先端部分の粘着面とが互いに対面した状態で、第1の粘着テープの後端と第2の粘着テープの先端とを前記粘着テープ片で接合させる
ことを特徴とする粘着テープ接合装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ接合装置であって、
前記原反ロールの各々は、セパレータが添設された前記粘着テープを繰り出すものであり、
前記第1の原反ロールから切り離された第1のセパレータの後端と、前記第2の原反ロールから繰り出されている第2のセパレータの先端とを接合させるセパレータ接合機構を備える
ことを特徴とする粘着テープ接合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粘着テープ接合装置であって、
前記セパレータ接合機構は、前記第1のセパレータの後端と前記第2のセパレータの先端ともうち少なくとも一方を加熱する加熱機構を備え、
前記第1のセパレータおよび前記第2のセパレータは、熱接着による接合を可能とする材料で構成される
ことを特徴とする粘着テープ接合装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粘着テープ接合装置であって、
前記第1の粘着テープおよび前記第2の粘着テープとは特性の異なる第3の粘着テープを供給する第3の原反ロールと、
前記第3の粘着テープの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成する第2接合テープ作成機構と、
前記第1の粘着テープの特性または前記第2の粘着テープの特性に基づいて、第1のモードと第2のモードとのいずれかを選択する選択機構と、
前記選択機構の選択に基づいて、前記第1接合テープ作成機構および前記第2接合テープ作成機構を制御する制御機構とを備え、
前記制御機構は、
前記第1のモードが選択された場合は、第2接合テープ作成機構を停止させる制御を行うとともに第1接合テープ作成機構を作動させ、前記第1の粘着テープおよび前記第2の粘着テープのうち、いずれかの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成するよう制御し、
前記第2のモードが選択された場合は、第1接合テープ作成機構を停止させる制御を行うとともに第2接合テープ作成機構を作動させ、前記第3の粘着テープの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成するよう制御する
ことを特徴とする粘着テープ接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、LED(Light emitting diode)、電子回路などの各種基板に貼りつける粘着テープの供給過程において、先行する粘着テープの後端に、後続する粘着テープの先端を接合させる粘着テープ接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)は、その表面に多数の素子の回路パターンが形成されている。例えば、バンプや微細回路がウエハ表面に形成されている。そこで、裏面研削時および搬送時に当該回路面の汚染および損傷を防止するために、保護用の粘着テープが貼り付けられる。
【0003】
ここでウエハの表面に粘着テープを貼り付けるために用いる、テープ貼付け装置の従来構成について説明する。従来のテープ貼付け装置101は
図30に示すように、テープ供給部103、セパレータ剥離部105、保持テーブル107、テープ貼付け部109、テープ切断機構111、テープ回収部113、およびセパレータ回収部115などを備えている。
【0004】
テープ供給部103は、回路保護用のセパレータ付き粘着テープTSが巻回された原反ロールの装填された供給ボビンから、当該粘着テープTSを繰り出し案内する。セパレータ剥離部105は、繰り出された粘着テープTSからセパレータSを剥離する。保持テーブル107は、回路形成面が上向きの状態となっているウエハWを吸着保持する。テープ貼付け部109は一例として貼り付けローラであり、
図30において左方向へ水平移動する。当該水平移動によって、テープ貼付け部109は、セパレータSが剥離された粘着テープTを、保持テーブル107上のウエハWに貼り付ける。
【0005】
テープ切断機構111はカッタ111aを備えており、符号Pで示す鉛直軸周りにテープ切断機構111が回転することによって、粘着テープTはウエハWの外形に沿って切り抜かれる。切り抜かれた後の不要な部分の粘着テープT、すなわち不要テープTnは、テープ回収部113を構成する巻き取り軸においてロール状に巻き取られて回収される。また粘着テープTから剥離されたセパレータSは、セパレータ回収部115を構成する巻き取り軸においてロール状に巻き取られて回収される。
【0006】
このようなテープ貼付け装置において、テープ供給部103における粘着テープTの装填量が一定量を下回った場合、またはテープ回収部113に回収される不要テープTnの量などが一定量を上回った場合はロールを交換する必要がある。従来のテープ貼付け装置101ではロールの交換を行う場合、オペレータは煩雑な作業を手動で行う必要がある。
【0007】
すなわちテープ供給部103においては、原反ロールから繰り出される粘着テープTの切断、原反ロールの交換、切断された粘着テープTの接合、および粘着テープTの繰り出し再開といった一連の作業を要する。そしてテープ回収部113などにおいては、不要なテープTnの切断、ロール状に回収された不要テープTnの除去、巻き取り軸に対する不要テープTnの接合、および不要テープTnの巻き取り再開といった一連の作業を要する。従来の装置ではこれら一連の作業を行う間、テープ貼付け装置の運転を中断させる必要がある。
【0008】
近年ではテープ貼付け装置の運転中断による貼付け効率の低下を回避すべく、ロールの交換作業、特に切断された粘着テープTの末端同士を接合させる作業を自動で行うための試みが行われている。その一例として、以下のようなテープ接合方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、先行しているセパレータ付き粘着テープの後端に、接合用の粘着テープである接合テープを貼り付ける。
【0009】
接合テープが貼り付けられた後、後続のセパレータ付き粘着テープの先端に対して、接合テープが貼り付けられたセパレータ付き粘着テープの後端を押圧して接合させる。このような方法により、先行の粘着テープと後続の粘着テープとの末端同士を、接合テープを介して接合させることができる。
【0010】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0012】
すなわち、従来の装置では先行の粘着テープと後続の粘着テープとを接合させる際に、第3の粘着テープというべき接合テープを別に用意する必要がある。また、接合テープの供給および貼付けを行う装置が別途必要となるため、粘着テープ同士を接合させる装置が大型化する。
【0013】
さらに、接合テープの粘着面は、先行の粘着テープの後端における非粘着面と、後続の粘着テープの先端における非粘着面と接触する。そのため、接合テープCTと先行の粘着テープとの接着力、および接合テープと後続の粘着テープとの接着力が比較的弱い。従って、接合させたはずの先行の粘着テープおよび後続の粘着テープが互いに剥離し、接合エラーが発生するという問題も懸念される。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、新たに接合用の粘着テープを用いることなく、粘着テープの末端同士をより強固に接合できる粘着テープ接合装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、長尺の粘着テープの端部同士を接合する粘着テープ接合装置であって、
粘着テープの原反ロールを複数個備え、複数の前記原反ロールのうち供給位置に配置されている第1の原反ロールから粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、
テープ供給部が備える複数の原反ロールのうち、供給位置にある第1の原反ロールから繰り出されている第1の粘着テープを所定位置で切断して前記第1の原反ロールから切り離す切断機構と、
テープ供給部が備える複数の原反ロールのうち、前記第1の原反ロールから繰り出されている前記第1の粘着テープ、および第2の原反ロールから繰り出されている第2の粘着テープのうち、いずれかの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成する第1接合テープ作成機構と、
前記粘着テープ片を保持する接合テープ保持部材と、
前記テープ供給部を移動させ、供給位置に配置される原反ロールを前記第1の原反ロールから第2の原反ロールへと切り換えるロール切換機構と、
前記第1の原反ロールから切り離された前記第1の粘着テープの後端と、前記第2の原反ロールから繰り出されている前記第2の粘着テープの先端とを前記粘着テープ片で接合させる粘着テープ接合機構と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
(作用・効果)この発明によれば、第1接合テープ作成機構は、接合対象である第1の粘着テープおよび第2の粘着テープのうち、いずれかの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成する。そして粘着テープ接合機構は、第1の粘着テープの後端と第2の粘着テープの先端とを当該粘着テープ片で接合する。
【0017】
この場合、接合対象である第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの一部を接合用の粘着テープ片として用いる。そのため、粘着テープ同士を接合させる際に接合対象である各粘着テープとは別のテープを、接合用の粘着テープとして予め準備する必要がない。また、テープ接合装置に対して、当該別のテープを供給する構成や、当該別のテープを接合対象の粘着テープに貼り付ける構成を配設する必要もない。そのため、粘着テープの接合の準備が煩雑化する事態や、テープ接合装置の大型化およびコスト上昇が発生する事態を回避できる。
【0018】
さらに、第1の粘着テープの後端と第2の粘着テープの先端とを接合する、接合用の粘着テープ片の特性は、接合対象の特性と同一となる。そのため、粘着テープ片と第1の粘着テープとの間の粘着力が低いという事態や、粘着テープ片と第2の粘着テープとの間の粘着力が低いという事態は確実に回避される。そのため、接合部分において再剥離に起因する接合エラーが発生することをより確実に防止できる。
【0019】
また、上述した発明において、前記粘着テープ接合機構は、前記粘着テープ片の粘着面と、前記第1の粘着テープの後端部分の粘着面および前記第2の粘着テープの先端部分の粘着面とが互いに対面した状態で、第1の粘着テープの後端と第2の粘着テープの先端とを前記粘着テープ片で接合させることが好ましい。
【0020】
(作用・効果)この構成によれば、粘着テープ接合機構は、粘着テープ片の粘着面と、第1の粘着テープの後端部分の粘着面および第2の粘着テープの先端部分の粘着面とが互いに対面した状態で、第1の粘着テープの後端と第2の粘着テープの先端とを粘着テープ片で接合させる。すなわち、接合を行う際に、第1の粘着テープの後端部分の粘着面および第2の粘着テープの先端部分の粘着面とは同じ方向を向いているのに対し、粘着テープ片の粘着面は各粘着テープの粘着面に対面している。
【0021】
そのため、粘着テープ片の粘着面は、第1の粘着テープの後端部分の粘着面および第2の粘着テープの先端部分の粘着面の各々と接触することによって接合が行われる。この場合、接合部分における接着力は粘着テープ片の粘着力のみならず、第1の粘着テープおよび第2の粘着テープの粘着力も影響する。従って、接合部分における接着力をより向上できるので、接合部分における接合エラーの発生をより確実に回避できる。
【0022】
また、上述した発明において、前記原反ロールの各々は、セパレータが添設された前記粘着テープを繰り出すものであり、前記第1の原反ロールから切り離された第1のセパレータの後端と、前記第2の原反ロールから繰り出されている第2のセパレータの先端とを接合させるセパレータ接合機構を備えることが好ましい。
【0023】
(作用・効果)この構成によれば、第1の原反ロールから切り離された第1のセパレータの後端と、第2の原反ロールから繰り出されている第2のセパレータの先端とはセパレータ接合機構によって接合される。すなわち粘着テープ同士が接合されて連続した長尺状となるとともに、セパレータ同士も接合されて連続した長尺状となる。そのため、粘着テープのみならずセパレータについても連続的に巻き取り回収することができるので、装置をより長時間連続して運用できる。
【0024】
また、上述した発明において、前記セパレータ接合機構は、前記第1のセパレータの後端と前記第2のセパレータの先端とのうち少なくとも一方を加熱する加熱機構を備え、
前記第1のセパレータおよび前記第2のセパレータは、熱接着による接合を可能とする材料で構成されることが好ましい。
【0025】
(作用・効果)この構成によれば、セパレータ接合機構が第1のセパレータの後端と第2のセパレータの先端とのうち少なくとも一方を加熱することによって、第1のセパレータと第2のセパレータとを接合できる。そのため、各々のセパレータ同士をより好適に接合できる。
【0026】
また、上述した発明において、前記第1の粘着テープおよび前記第2の粘着テープとは特性の異なる第3の粘着テープを供給する第3の原反ロールと、
前記第3の粘着テープの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成する第2接合テープ作成機構と、
前記第1の粘着テープの特性または前記第2の粘着テープの特性に基づいて、第1のモードと第2のモードとのいずれかを選択する選択機構と、
前記選択機構の選択に基づいて、前記第1接合テープ作成機構および前記第2接合テープ作成機構を制御する制御機構とを備え、
前記制御機構は、
前記第1のモードが選択された場合は、第2接合テープ作成機構を停止させる制御を行うとともに第1接合テープ作成機構を作動させ、前記第1の粘着テープおよび前記第2の粘着テープのうち、いずれかの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成するよう制御し、
前記第2のモードが選択された場合は、第1接合テープ作成機構を停止させる制御を行うとともに第2接合テープ作成機構を作動させ、前記第3の粘着テープの一部を切断して接合用の粘着テープ片を作成するよう制御する
ことが好ましい。
【0027】
(作用・効果)この構成によれば、第3の原反ロールを備えるとともに、接合対象である第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの特性に基づいて、第1のモードと第2のモードとのいずれかを適宜選択できる。そして第1のモードが選択された場合、第1接合テープ作成機構が作動し、第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの一部を用いて接合用の粘着テープ片が作成される。一方、第2のモードが選択された場合、第2接合テープ作成機構が作動し、第3の粘着テープを用いて接合用の粘着テープ片を作成する。
【0028】
この場合、第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの特性が接合用の粘着テープ片として不適切である場合、第2のモードを選択して接合用の粘着テープ片として適切な第3の粘着テープを使用する。そのため、第3の粘着テープによって、第1の粘着テープと第2の粘着テープとを強固に接合できる。
【0029】
一方、第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの特性が接合用の粘着テープ片として適切である場合、第1のモードを選択して第1の粘着テープまたは第2の粘着テープの一部を用いて第1の粘着テープと第2の粘着テープとを接合させる。従って、第1のモードと第2のモードとを適宜使い分けることにより、第1の粘着テープおよび第2の粘着テープの特性に関わらず、粘着テープ同士の接合が可能となる。すなわち、粘着テープ接合装置の汎用性を向上できる。そして、第3の粘着テープを用いることなく接合が可能である場合は第1のモードで粘着テープ同士の接合を行うので、副資材である第3の粘着テープの消費量を抑えつつ、第1の粘着テープと第2の粘着テープとの接合に際して接合エラーが発生することをより確実に回避できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の粘着テープ接合装置によれば、セパレータの添設された長尺の粘着テープの端部同士を接合する際に、接合対象である粘着テープの一部を利用して接合用の粘着テープ片を作成し、当該粘着テープ片を用いて粘着テープの端部同士を接合させる。そのため、接合対象である粘着テープを用意すれば、接合用の粘着テープ片を別途準備する必要が無い。また、接合対象である粘着テープと接合用の粘着テープ片とは構成材料の特性が同一であるので、接合用の粘着テープ片と接合対象である粘着テープとの間の粘着力が低いという事態を確実に回避できる。また、粘着テープ接合装置の大型化やコスト上昇を防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の基本構成を示す正面図である。
【
図2】実施例1に係るテープ供給ユニットの構成を示す図である。(a)はテープ供給ユニットの斜視図であり、(b)はテープ供給ユニットの正面図である。
【
図3】実施例1に係るテープ供給部およびセパレータ剥離部の構成を示す図である。
【
図4】実施例1に係る接合テープ作成部の構成を示す図である。
【
図5】実施例1に係るセパレータ接合ユニットの構成を示す図である。
【
図6】実施例1に係るセパレータ付き粘着テープの構成を示す断面図である。
【
図7】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の動作を示すフローチャートである。(a)はウエハに粘着テープを貼り付ける動作の概要を示すフローチャートであり、(b)はステップS7の動作の詳細を説明するフローチャートである。
【
図8】実施例1に係るステップS2の動作を示す図である。(a)は粘着テープがウエハに貼り付けられる前の状態を示す図であり、(b)は粘着テープがウエハに貼り付けられた後の状態を示す図である。
【
図9】実施例1に係るステップS3の動作を示す図である。
【
図10】実施例1に係るステップS4の動作を示す図である。
【
図11】実施例1に係るステップS7の開始時におけるテープ接合装置の構成を示す図である。
【
図12】実施例1に係るステップS7-1において、先行粘着テープを切断する動作を示す図である。(a)はカッタユニットが初期位置に配置されている状態を示す図であり、(b)はカッタユニットが切断準備位置に移動している状態を示す図であり、(c)はカッタユニットが切断実行位置に移動して先行粘着テープを切断している状態を示す図であり、(d)はステップS7-2におけるカッタユニットと先行粘着テープとの位置関係を、先行粘着テープの繰り出し方向(L方向)から見た断面図を示している。
【
図13】実施例1に係るステップS7-1において、先行セパレータを切断する動作を示す図である。(a)はカッタユニットが初期位置に配置されている状態を示す図であり、(b)はカッタユニットが切断準備位置に移動している状態を示す図であり、(c)はカッタユニットが切断実行位置に移動して先行セパレータを切断している状態を示す図である。
【
図14】実施例1に係るステップS7-2の動作を示す図である。(a)はカッタユニットが初期位置に配置されている状態を示す図であり、(b)はカッタユニットが切断実行位置に移動して後続粘着テープを切断し、接合テープを作成している状態を示す図であり、(c)はステップS7-3までの各工程が完了した後におけるテープ接合装置の概略構成を示す図である。
【
図15】実施例1に係るステップS7-3の動作を示す図である。(a)は接合テープ保持部材が切断準備位置に配置されている状態を示す図であり、(b)は接合テープ保持部材が切断準備位置から接合準備位置に変位した後の状態を示す図であり、(c)は先行粘着テープ保持部材が近接位置に配置されている状態を示す図であり、(d)は先行粘着テープ保持部材が近接位置から退避位置へと移動する状態を示す図である。
【
図16】実施例1に係るステップS7-4の動作を示す図である。(a)は供給位置に配置される原反ロールを切り換える前におけるテープ接合装置の状態を示す図であり、(b)は供給位置に配置される原反ロールを切り換えた後におけるテープ接合装置の状態を示す図である。
【
図17】実施例1に係るステップS7-5の動作を示す図である。(a)は接合テープ保持部材が接合準備位置に配置されている状態を示す図であり、(b)は接合テープ保持部材が接合準備位置から接合実行位置に変位し、接合テープを押圧している状態を示す図であり、(c)は接合テープによる粘着テープ同士の接合が完了し、粘着テープの保持が解除された状態を示す図であり、(d)は接合が完了した粘着テープの繰り出しを再開した状態を示す図である。
【
図18】実施例1に係るステップS7-6の動作を示す図である。(a)は先行セパレータ保持部材が接合準備位置に配置されている状態を示す図であり、(b)は先行セパレータ保持部材が接合準備位置から接合実行位置に変位し、先行セパレータを後続セパレータに加熱押圧している状態を示す図であり、(c)はセパレータ同士の接合が完了し、セパレータの保持が解除された状態を示す図である。
【
図19】実施例1に係るステップS7-5およびステップS7-6の動作を示す図である。(a)は粘着テープ同士の接合およびセパレータ同士の接合を実行している状態におけるテープ接合装置の概略構成を示す図であり、(b)は粘着テープ同士の接合およびセパレータ同士の接合が完了した状態におけるテープ接合装置の概略構成を示す図である。
【
図20】従来構成の問題点と、実施例1の構成による効果を説明する図である。(a)は片面テープを接合テープとして用いて、従来の接合方法を実行した場合における接合部分の断面図であり、(b)は両面テープを接合テープとして用いて、従来の接合方法を実行した場合における接合部分の断面図であり、(c)は実施例1に係る接合方法を実行した場合における接合部分の断面図である。
【
図21】実施例2に係るステップS7の開始時におけるテープ接合装置の構成を示す図である。
【
図22】実施例2に係るステップS7-1の動作を示す図である。(a)は先行粘着テープおよび先行セパレータを切断する前の状態を示す図であり、(b)は先行粘着テープおよび先行セパレータを切断した後の状態を示す図である。
【
図23】実施例2に係るステップS7-2の動作を示す図である。
【
図24】実施例2に係るステップS7-3の動作を示す図である。
【
図25】実施例2に係るステップS7-4の動作を示す図である。(a)は供給位置に配置される原反ロールを切り換える前におけるテープ接合装置の状態を示す図であり、(b)は供給位置に配置される原反ロールを切り換えた後におけるテープ接合装置の状態を示す図である。
【
図26】実施例2に係るステップS7-5およびステップS7-6の動作を示す図である。(a)は粘着テープ同士の接合およびセパレータ同士の接合を開始する前の状態を示す図であり、(b)は粘着テープ同士の接合およびセパレータ同士の接合を実行している状態を示す図である。
【
図27】変形例に係るテープ接合装置を示す図である。(a)は基材が厚い粘着テープを用いて実施例に係る粘着テープの接合を実行した場合における、粘着テープの接合部分の断面図であり、(b)は変形例に係るテープ接合装置の概略構成を示す図である。
【
図28】変形例に係るテープ接合装置の動作を示す図である。(a)は変形例に係るステップS7の開始時における、後続粘着テープの初期状態を示す図であり、(b)は変形例に係るステップS7-2において、粘着テープFの切断を開始する前における状態を示す図であり、(c)は変形例に係るステップS7-2の工程が完了し、接合テープが作成された状態を示す図である。
【
図29】変形例に係るテープ接合装置の動作を示す図である。(a)は変形例に係るステップS7-5の工程を開始する前の状態を示す図であり、(b)は変形例に係るステップS7-5工程を実行し、粘着テープ同士が接合されている状態を示す図である。
【
図30】従来例に係るテープ貼付け装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る粘着テープ接合装置を備える、粘着テープ貼付け装置1の基本構成を示す正面図である。なお粘着テープ貼付け装置1を示す図において、各種構成を支持する支持手段、および各種構成を駆動させる駆動手段などについては図示を省略している。
【0033】
本実施例では、半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」と略称する)などの各種基板に貼り付ける表面保護用の粘着テープTをセパレータSが添接された長尺で供給し、下流側で所定系状に切断する場合を例にとって説明する。すなわち、本実施例では長尺の粘着テープ同士を接合する。なお、セパレータSが添接された状態の粘着テープTを、テープTSとする。
【0034】
本実施例において「上流」および「下流」とはテープTSの繰り出し方向に沿うものとして定義される。すなわち「上流」とはテープTSの繰り出し方向において、後述するテープ供給部に近い側を意味するものとする。また粘着テープTは
図6に示すように、非粘着性の基材Bと、粘着性を有する粘着層Cとが積層された構成を備えている。セパレータSを構成する材料としては、熱接着による接合を可能とする材料であることがより好ましい。
【0035】
<全体構成の説明>
実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1は
図1に示すように、粘着テープ接合装置3、保持テーブル5、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、テープ剥離ユニット11、テープ回収部13、およびセパレータ回収部15を備えている。粘着テープ接合装置3は、先行している粘着テープTの後端に、当該先行している粘着テープTに後続する別の粘着テープTの先端を接合する。粘着テープ接合装置3の具体的な構成については後述する。
【0036】
保持テーブル5は、回路形成面が上向きとなっているウエハWを載置して保持する。実施例では保持テーブル5として、ウエハWを吸着保持するチャックテーブルを用いるが、保持テーブル5の構成としてはこれに限られない。また、この保持テーブル5の上面には、後述するテープ切断ユニット11に備えたカッタ刃9cをウエハWの外形に沿って旋回移動させて粘着テープTを切断するために、カッタ走行溝5aが形成されている。保持テーブル5は、適宜昇降移動を可能とする構成であってもよい。
【0037】
テープ貼付けユニット7は、保持テーブル5に載置されて吸着保持されたウエハWの回路面に粘着テープTを貼付ける。テープ貼付けユニット7は
図1に示すように、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動する可動台7aと、可動台7aに接続されたブラケットに軸支された貼付けローラ7bとを備えている。
【0038】
テープ切断ユニット9は、駆動昇降可能な可動台9aの下部に、保持テーブル5の中心上に位置する縦軸心P周りに駆動旋回可能に支持アーム9bが装備される。また、この支持アーム9bの遊端側に、刃先を下向きにしたカッタ9cが装着されている。つまり、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回することにより、カッタ9cがウエハWの外周に沿って移動して粘着テープTを切り抜くよう構成されている。
【0039】
テープ剥離ユニット11は、カッタ9cによって切り抜かれてウエハWの表面に貼り付けられた粘着テープTwと、粘着テープTwが切り抜かれて不要となった粘着テープTである、不要テープTnとを分離させる。テープ剥離ユニット11は、不要テープTnのテンションを維持するガイドローラ11aと、ニップローラ12とを備えている。ニップローラ12は昇降移動を可能とするピンチローラ12aと、モータによって駆動する送りローラ12bによって構成される。テープ剥離ユニット11は、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動が可能となるように構成されている。
【0040】
テープ回収部13はテープ剥離ユニット11の下流に配設されており、不要テープTnを巻き取る回収ボビンが巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。セパレータ回収部15は、粘着テープTから剥離されたセパレータSを巻き取る回収ボビンが巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0041】
なお、粘着テープ貼付け装置1は、さらに制御部81と入力部83とを備えている。制御部81はCPU(中央演算処理装置)などを備えており、粘着テープ貼付け装置1に設けられている構成の各々について、各種動作などを統括制御する。入力部83の例としてはコンソールパネルやキーボードなどが挙げられ、オペレータは入力部83を用いて各種指示を入力する。入力部83に入力された指示内容は制御部81に送信され、制御部81は当該指示に沿って各種制御を行うことができる。
【0042】
<粘着テープ接合装置の構成>
ここで、実施例1に係る粘着テープ接合装置3の構成について説明する。粘着テープ接合装置3は、テープ供給ユニット17と、先行粘着テープ保持部材19と、セパレータ接合ユニット21とを備えている。
【0043】
テープ供給ユニット17は
図2(a)に示すように、回転プレート23に複数のボビン25が立設され、テープTSの原反ロール27を、各々のボビン25に装填するように構成されている。本実施例では2つのボビン25Aおよび25Bが回転プレート23に立設されているものとする。ボビン25Aに装填されている原反ロールには符号27Aを付し、ボビン25Bに装填される原反ロールには符号27Bを付して両者を区別する。なお、
図2(a)に係る斜視図では説明の便宜上、回転プレート23、ボビン25、および原反ロール27を除く各構成を省略している。
【0044】
テープ供給ユニット17は
図2(b)に示すように、全体として複数の供給ユニット18を備えている。本実施例に係るテープ供給装置17は、全体として2つの供給ユニット、すなわちボビン25Aを含む第1供給ユニット18Aと、ボビン25Bを含む第2供給ユニット18Bとによって構成されているものとする。各々の供給ユニット18は、テープ供給部29と、セパレータ剥離部31と、接合テープ作成部33とを備えている。
【0045】
なお、本実施例では各構成について、第1ユニット18Aに含まれる各構成には符号にAを付し、第2ユニット18Bに含まれる各構成には符号にBを付すことで両者を区別する。一例として、2つのテープ供給部29のうち、第1ユニット18Aに配設される一方についてはテープ供給部29Aと表記することによって特定される。そして第2ユニット18Bに配設される他方についてはテープ供給部29Bと表記する。
【0046】
回転プレート23は、駆動機構37によって中心軸39の軸周りに回転するように構成されている。回転プレート23の回転によって、第1供給ユニット18Aと第2供給ユニット18Bとは供給位置と待機位置とを相互に移動可能となっている。
【0047】
本実施例において、供給位置とは原反ロール27からワーク(本実施例ではウエハW)へと粘着テープTを繰り出し供給できるような位置を意味する。すなわち、一例として供給ユニット18Bの各構成が供給位置に配置される場合、複数の原反ロール27のうち、供給ユニット18Bが備える原反ロール27Bからワークに対して粘着テープTを繰り出し供給できる。
【0048】
図1および
図2の各図では、第1供給ユニット18Aが供給位置に配置されており、かつ第2供給ユニット18Bが待機位置に配置されている状態を示している。そして2つの原反ロール27のうち、供給位置に配置されている原反ロール27(図では原反ロール27A)から、粘着テープTがテープ貼付けユニット7へと供給される。
【0049】
テープ供給部29の各々は
図3に示すように、ボビン25と、原反ロール27と、図示しないガイドローラを備えている。ボビン25に装填された原反ロール27から繰り出されたテープTSの先端は、ガイドローラによってテンションが維持されつつ、セパレータ剥離部31へと導かれる。
【0050】
なお、待機位置に配置されている原反ロール27は、開閉扉91を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ自動または手動で取り出すことができるように構成される。オペレータや作業ロボットは当該原反ロール27を取り出すとともに、新たな原反ロール27を待機位置にセットできる。
【0051】
また、粘着テープ接合装置3において、待機位置は供給位置と比べて粘着テープ貼付け装置1の中央部から離れた位置となるように構成される。一般的に、可動部、カッタ、および高温になる部材、などは粘着テープ貼付け装置1の中央部に多く設けられる。そのため、待機位置に切り換えられた原反ロール21を交換する際に、高温となっている部材や可動部などに対して、オペレータなどが近づくといった事態を回避できる。
【0052】
セパレータ剥離部31は
図3に示すように、ガイドローラ34と送りローラ35と、セパレータ保持部材36と、粘着テープ保持部材41とを備えている。セパレータ剥離部31へと案内されたテープTSは、ガイドローラ34によって粘着テープTとセパレータSとに剥離される。セパレータ剥離部31の各構成は、回転プレート23に接続されており、回転プレート23の回転によってボビン25とともに変位する。
【0053】
テープTSが粘着テープTおよびセパレータSに剥離された後、粘着テープTはガイドローラ34に巻回されて粘着テープ保持部材41へ案内される。そしてセパレータSは送りローラ35に巻回されてセパレータ保持部材36へ案内される。
【0054】
セパレータ保持部材36は一例として板状の部材であり、送りローラ35を経由して案内されたセパレータSを保持する。より好ましい構成の例として、セパレータ保持部材36は図示しない吸引装置を用いてセパレータSを吸着保持する。
【0055】
粘着テープ保持部材41は一例として板状の部材であり、その一方の面(保持面)において、ガイドローラ34から案内されてきた粘着テープTを保持する。セパレータ保持部材36と同様、粘着テープ保持部材41は、粘着テープTを吸着保持する機能を有することがより好ましい。
【0056】
なお、セパレータ剥離部31が供給位置に配置されている場合、粘着テープ保持部材41(
図2の各図では粘着テープ保持部材41A)に案内されている粘着テープTは、
図1に示すように、先行粘着テープ保持部材19を経由し、さらにテープ貼付けユニット7へと案内される。そして、セパレータ保持部材36(
図2の各図ではセパレータ保持部材36A)に案内されているセパレータSは、
図1に示すように、セパレータ接合ユニット21を経由し、さらにセパレータ回収部15へと案内される。
【0057】
接合テープ作成部33は
図4に示すように、接合テープ保持部材43と、カッタユニット45とを備えている。接合テープ保持部材43は一例として板状の部材である。接合テープ保持部材43は供給位置および待機位置のいずれに配置されている場合であっても、
図4において実線で示される切断準備位置と、
図4において点線で示される接合準備位置と、後述する接合実行位置との各位置へ移動できるように構成されている。
【0058】
切断準備位置と接合準備位置、および切断準備位置と接合実行位置は、いずれも粘着テープTを挟んで対向する位置関係となっている。接合実行位置と比べて、接合準備位置は粘着テープTから離間した位置となるように構成されている。
【0059】
接合テープ保持部材43が切断準備位置に移動している場合、当該接合テープ保持部材43は粘着テープ保持部材41の下流に配置され、一方の面(保持面)において粘着テープTを保持できるように構成されている。接合テープ保持部材43は、粘着テープTを吸着保持する機能を有することがより好ましい。
【0060】
また、接合テープ保持部材43が切断準備位置から接合準備位置に移動する場合、接合テープ保持部材43はその向きを反転させる。すなわち接合準備位置において、接合テープ保持部材43の保持面と粘着テープ保持部材41の保持面とが向かい合うように構成される。
【0061】
カッタユニット45は、可動台46とカッタ刃48とを備えている。可動台46は図示しない駆動機構によって、所定の方向Rに駆動可能となっている。方向Rは粘着テープTの厚み方向であることが好ましい。また可動台46は、粘着テープTの幅方向(本実施例ではz方向)にも駆動可能に構成されている。
【0062】
可動台46の先端部にはカッタ刃48が備えられている。カッタ刃48は、粘着テープ保持部材41と接合テープ保持部材43との間隙部において、粘着テープTを幅方向にわたって切断する。カッタ刃48が粘着テープTを切断することにより、先行する粘着テープTの後端と後続の粘着テープTの先端とを接合するための粘着テープ、すなわち接合テープCTが形成される。接合テープ保持部材43は、形成された接合テープCTを保持する機能も有している。
【0063】
なお、供給ユニット18の各構成は回転プレート23に接続されており、回転プレート23の回転によって回転軸39を中心とする軸周りに変位する。すなわち各々の供給ユニット18に設けられているテープ供給部29、セパレータ剥離部31、および接合テープ作成部33の各々は回転プレート23の回転によって供給位置と待機位置を相互に移動可能となっている。
【0064】
先行粘着テープ保持部材19は、供給位置に配置されている接合テープ作成部33の下流に配設されており、供給位置にある原反ロール27から供給されている粘着テープT、すなわち先行粘着テープT1を保持する。先行粘着テープ保持部材19は、粘着テープTの繰り出し方向に沿って移動可能に構成されており、後述する近接位置と退避位置との間を往復移動する。先行粘着テープ保持部材19の保持面と、供給位置に配置されている粘着テープ保持部材41の保持面とは面一となる構成であることが好ましい。
【0065】
セパレータ接合ユニット21は
図5に示すように、供給位置に配置されているセパレータ保持部材36の下流に配設されており、先行セパレータ保持部材47とカッタユニット49とを備えている。先行セパレータ保持部材47は、供給位置にある原反ロール27から供給されているセパレータS、すなわち先行セパレータS1を保持する。先行セパレータ保持部材47の内部には、セパレータSを加熱するためのヒータ50が配設されている。
【0066】
カッタユニット49は、可動台51とカッタ刃53とを備えている。可動台51は図示しない駆動機構によって、所定の方向Rに駆動可能となっている。方向Rは先行セパレータS1の厚み方向であることが好ましい。また可動台51は、先行セパレータS1の幅方向(本実施例ではz方向)にも駆動可能に構成されている。
【0067】
可動台51の先端部にはカッタ刃53が備えられている。カッタ刃53は、セパレータ保持部材36と先行セパレータ保持部材47との間隙部において、先行セパレータS1を幅方向にわたって切断する。なお、先行セパレータ保持部材47およびカッタユニット49は先行セパレータS1の繰り出し方向(方向L)に沿って移動可能に構成されており、後述する近接位置と退避位置との間を往復移動する。
【0068】
実施例1において、先行粘着テープ保持部材19およびセパレータ接合ユニット21は、供給ユニット18の各構成とは異なり、回転プレート23に接続されていない。すなわち、先行粘着テープ保持部材19およびセパレータ接合ユニット21の各構成は、回転プレート23の回転とは独立してその位置を適宜変更できる。
【0069】
<テープ貼付け動作の概要>
ここで、粘着テープ貼付け装置1を用いて回路面保護用の粘着テープTをウエハWに貼付けるための一連の基本動作を説明する。
図7(a)は、保護用の粘着テープTをウエハWに貼り付ける工程を説明するフローチャートである。
【0070】
貼付け指令が出されると、所定の収納部に収納されているウエハWは、アライメントステージで位置合わせされた後、図示しないウエハ搬送機構によって保持テーブル5に載置される。保持テーブル5に載置されたウエハWは旋回され、ウエハWの中心が保持テーブル5の中心の上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。(ステップS1)。
【0071】
このとき、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、およびテープ剥離ユニット11の各々は
図8(a)に示す初期位置に移動している。すなわち、テープ貼付けユニット9は保持テーブル5の右側に移動しており、テープ剥離ユニット11は保持テーブル5の左側に移動している。また、テープ切断ユニット9は保持テーブル5の上方で待機している。
【0072】
なお、テープ供給ユニット17において、供給位置に移動しているボビン25に装填されている原反ロール27からテープTSが下流へと繰り出し供給され、テープTSはセパレータ剥離部31によって粘着テープTおよびセパレータSに剥離される。そして粘着テープTはテープ貼付けユニット7およびテープ剥離ユニット11に案内されている。
【0073】
次に、
図8(b)に示すように、テープ貼付けユニット7の貼付けローラ7bは粘着テープTを下方に押圧しながらウエハW上を前方(
図8では左方向)に転動し、点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へと移動する。これによって、粘着テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる(ステップS2)。
【0074】
粘着テープTがウエハWに貼り付けられた後、
図9に示すように、上方に待機していたテープ切断ユニット9が下降され、点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へと移動する。そしてテープ切断ユニット9が切断位置へ下降することによって、保持テーブル5のカッタ走行溝5aにおいてカッタ9cが粘着テープTに突き刺される。
【0075】
カッタ9cが粘着テープTに突き刺されると、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回する。これに伴ってカッタ9cがウエハ外周縁に摺接しながら旋回移動し、粘着テープTがウエハの外形に沿って切断される(ステップS3)。
【0076】
ウエハの外形に沿った粘着テープTの切断が終了すると、テープ切断ユニット9は元の待機位置まで上昇される。そして、テープ貼付けユニット7は終端位置から初期位置へと復帰する。貼付けユニット17が初期位置へ復帰するとともに、
図10に示すように、テープ剥離ユニット11が後方(
図10では右方向)へ移動する。すなわちテープ剥離ユニット11は、
図10において点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へ右方向に移動する。
【0077】
テープ剥離ユニット11は終端位置へ移動しつつ、粘着テープTのうち、ウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープTnを巻き上げて剥離する(ステップS4)。なお、粘着テープTのうち、ウエハWの表面に貼り付けられている部分については符号Twを付して不要テープTnと区別する。
【0078】
テープ剥離ユニット11が終端位置に達して剥離作業が終了すると、テープ剥離ユニット11は終端位置から初期位置に復帰する。このとき、不要テープTnが巻き取られてテープ回収部13へ案内されて回収されるとともに、供給位置に配置されている原反ロール27から一定量のテープTSが繰り出される(ステップS5)。
【0079】
ステップS5までの各処理が終了すると、保持テーブル5における吸着が解除される。吸着解除の後、粘着テープTwが貼り付けられたウエハWはウエハ搬送機構によって搬送されて図示しないウエハ回収部に回収される(ステップS6)。以上で1回の粘着テープ貼付け処理が完了する。
【0080】
なお、粘着テープ貼付け処理の完了後、供給位置に配置されている原反ロール27(供給用テープ)の装填量に応じて以下の工程を分岐する。供給用テープの装填量が予め定められた規定量以下となった場合、供給位置にある原反ロール27からテープTSを繰り出す動作を一時停止し、テープTSの自動交換を行う(ステップS7)。供給用テープの装填量が規定量以上であることが各種センサなどを用いて確認することによって、以後、上記動作を順次繰返してゆく。
【0081】
<テープの交換工程の説明>
ここで、ステップS7に係る、テープTSを自動で交換する工程について説明する。ステップS7に係るテープの交換工程は、
図7(b)のフローチャートで示すステップS7-1からステップS7-6までの工程に従って行われる。
図7(b)に示す工程により、十分な量のテープTSが装填されている新たな原反ロール27をテープ供給ユニット17の供給位置に配置させる。そして、当該新たな原反ロール27から繰り出される後続の(上流側の)粘着テープTの先端と、交換前の原反ロール27から繰り出されていた先行の(下流側の)粘着テープTの後端とが自動的に接合される。また、先行のセパレータSの後端と、後続のセパレータSの先端とが自動的に接合される。
【0082】
なお本実施例では、テープ供給ユニット17の供給位置にボビン25Aおよび原反ロール27Aが当初配置されており、ステップS7において、装填量が規定値以下となった原反ロール27Aを、新たな原反ロール27Bに交換する場合を例にとって説明する。原反ロール27Aの装填量が規定値以下となり、ステップS7を開始する時点における粘着テープ接合装置3の各構成は
図11に示される通りである。
【0083】
ステップS7について説明するにあたり、交換前において供給位置に配置されていた原反ロール(本実施例では原反ロール27A)から繰り出されていたテープTSの各構成については、先行テープTS1、先行粘着テープT1、先行セパレータS1と称する。そして交換後に供給位置に配置される新たな原反ロール(本実施例では原反ロール27B)から繰り出されるテープTSの各構成については、後続テープTS2、後続粘着テープT2、後続セパレータS2と称し、先行テープTS1に係る各構成と区別する。
【0084】
ステップS7を開始するにあたり、粘着テープ接合装置3における各構成の初期配置について説明する。まず、
図11において符号D1で示される部分の構成について説明する。先行粘着テープ保持部材19は近接位置に移動しており、粘着テープ保持部材41Aに近接している。供給位置にある接合テープ保持部材43Aは、接合準備位置に移動している。接合準備位置に配置されることにより、接合テープ保持部材43Aは、接着テープT1を挟んで粘着テープ保持部材41Aと保持面同士が対向するようになっている。
【0085】
次に、符号D2で示される部分の構成について説明する。待機位置にある接合テープ保持部材43Bは、切断準備位置に移動している。切断準備位置に移動していることにより、接合テープ保持部材43Bの保持面(粘着テープTを保持する面)は、粘着テープ保持部材41Bの保持面と面一になっている。
【0086】
また、ステップS7を開始するに際し、待機位置に配置されている後続テープTS2は、予め以下のように構成されている。
図11において符号D2で示されるように、待機位置に配置されている原反ロール27Bからセパレータ付きの粘着テープである後続テープTS2が繰り出されている。繰り出された後続テープTS2はセパレータ剥離部31Bによって、後続粘着テープT2と後続セパレータS2とに剥離されており、後続粘着テープT2の粘着層Cが露出している。
【0087】
後続セパレータS2は、送りローラ35Bに巻回されてセパレータ保持部材36Bの保持面へと案内されている。後続セパレータS2の先端部分は、セパレータ保持部材36Bによって吸着保持されている。後続粘着テープT2はガイドローラ34Bに巻回され、粘着テープ保持部材41Bの保持面および接合テープ保持部材43Bの保持面へと案内されている。後続粘着テープT2の先端部分は接合テープ保持部材43Bによって吸着保持されており、当該先端部分より上流側の部分は粘着テープ保持部材41Bによって吸着保持されている。
【0088】
切断準備位置に配置されている接合テープ保持部材43Bの保持面は、粘着テープ保持部材41Bの保持面と面一となっている。そのため、後続粘着テープT2全体のテンションを維持しつつ、粘着テープ保持部材41Bおよび接合テープ保持部材43Bの各々は保持面の全面で後続粘着テープT2を安定に保持できる。なお、実施例1では後続粘着テープT2を巻回させて接合テープ保持部材43Bに保持させる操作、および後続セパレータS2を巻回させてセパレータ保持部材36Bに保持させる操作の各々を手動で行っているが、制御部81の制御下で自動化してもよい。ステップS7の開始前における各種構成の初期配置は、以上の通りである。
【0089】
ステップS7-1(先行テープの切断)
テープの交換工程において、まず先行テープの切断を行う。すなわち粘着テープ接合装置3において、供給位置に配置されているカッタユニット45(本実施例ではカッタユニット45A)によって先行粘着テープT1が切断されるとともに、セパレータ接合ユニット21が備えるカッタユニット49によって先行セパレータS1が切断される。
【0090】
カッタユニット45Aによる先行粘着テープT1の切断が行われる部位は
図11において符号D1で示されており、カッタユニット49による先行セパレータS1の切断が行われる部位は
図11において符号D3で示されている。まずは
図12の各図を用いて、先行粘着テープT1を切断する動作を説明する。
【0091】
図12(a)は、先行粘着テープT1の切断を行う前における、接合テープ作成部33Aの状態を示している。先行粘着テープ保持部材19は点線で示す退避位置から実線で示す近接位置へと予め変位しており、粘着テープ保持部材41Aに近接している。そして先行粘着テープ保持部材19と粘着テープ保持部材41Aとはそれぞれ先行粘着テープT1を吸着保持している。また、カッタユニット45Aは粘着テープT1から離れている初期位置(
図12(d)においては、点線で示される位置M1)に位置している。
【0092】
先行粘着テープT1の切断を開始すると、カッタユニット45Aの可動台46Aを方向Rに駆動させ、
図12(b)に示すように、カッタユニット45Aを初期位置から切断準備位置へと移動させる。
図12(b)において、カッタ刃48Aは先行粘着テープT1の奥側に移動している。なお、カッタユニット45Aの切断準備位置は、
図12(d)において二点鎖線で示される位置M2に相当する。
【0093】
カッタユニット45Aが切断準備位置へ移動した後、可動台46Aを先行粘着テープT1の幅方向(z方向)に駆動させる。当該駆動により、切断準備位置に位置していたカッタユニット45Aは、
図12(d)において実線で示されている切断完了位置へと移動する。当該移動に伴い、カッタ刃48Aは先行粘着テープ保持部材19と粘着テープ保持部材41Aとの間における所定の位置において、先行粘着テープT1を幅方向にわたって切断する(
図12(c))。切断が完了した後、カッタユニット45Aは切断完了位置から初期位置へと復帰する。
【0094】
カッタユニット45Aが先行粘着テープT1を切断することにより、先行粘着テープT1の下流側(T1f)は原反ロール27Aから切り離される。当該切断の後、原反ロール27Aから切り離された先行粘着テープT1fの後端部分は先行粘着テープ保持部材19によって吸着保持される。そして依然として原反ロール27Aと繋がっている先行粘着テープT1の上流側(T1r)の先端部分は、粘着テープ保持部材41Aによって吸着保持される。
【0095】
各々の吸着保持が行われることにより、カッタユニット45Aによる切断が行われた後も、先行粘着テープT1の位置を安定に維持できる。また、先行粘着テープT1を切断する際に、先行粘着テープ保持部材19を近接位置へ移動させて粘着テープ保持部材41Aに近接させている。そのため、先行粘着テープ保持部材19と粘着テープ保持部材41Aとの間において先行粘着テープT1が撓むなどの原因によって、先行粘着テープT1の切断精度が低下するという事態を回避できる。
【0096】
次に、
図13の各図を用いて、先行セパレータS1を切断する動作を説明する。
図13(a)は、先行セパレータS1の切断を行う前における、各構成の状態を示している。先行セパレータ保持部材47は初期位置において、セパレータ保持部材36Aの下流側に近接している位置に配置されており、かつ先行セパレータS1を挟んでセパレータ保持部材36Aと対向している。そして先行セパレータ保持部材47とセパレータ保持部材36Aとはそれぞれ先行セパレータS1を吸着保持している。また、カッタユニット49は先行セパレータS1から離れている初期位置に位置している。
【0097】
先行セパレータS1の切断を開始すると、カッタユニット49の可動台51を方向Rに駆動させ、
図13(b)に示すように、カッタユニット49を初期位置から切断準備位置へと移動させる。
図13(b)において、カッタ刃53は先行セパレータS1の奥側に移動している。
【0098】
カッタユニット49が切断準備位置へ移動した後、可動台51を先行セパレータS1の幅方向(z方向)に駆動させる。当該駆動により、切断準備位置に位置していたカッタユニット49は奥側から手前側へと移動し、切断完了位置へと移動する。当該移動に伴い、カッタ刃53は先行セパレータ保持部材47とセパレータ保持部材36Aとの間における所定の位置において、先行セパレータS1を幅方向にわたって切断する(
図13(c))。切断が完了した後、カッタユニット49は切断完了位置から初期位置へと復帰する。
【0099】
カッタユニット49が先行セパレータS1を切断することにより、先行セパレータS1の下流側(S1f)は原反ロール27Aから切り離される。当該切断の後、原反ロール27Aから切り離された先行セパレータS1fの後端部分は先行セパレータ保持部材47によって吸着保持される。
【0100】
そして依然として原反ロール27Aと繋がっている先行セパレータS1の上流側(先行セパレータS1r)の先端部分は、セパレータ保持部材36Aによって吸着保持される。各々の吸着保持が行われることにより、カッタユニット49による切断が行われた後も、先行セパレータS1の位置を安定に維持できる。先行粘着テープT1と先行セパレータS1とがそれぞれ切断されて原反ロール27Aから切り離されることにより、ステップS7-1の工程は完了する。
【0101】
ステップS7-2(接合テープの作成)
ステップS7-1の工程により、先行粘着テープT1と先行セパレータS1の各々の下流側が原反ロール27Aから切り離された後、ステップS7-2に係る接合テープの作成工程を実行する。本発明の特徴として、ワーク(本実施例ではウエハW)への貼り付けに用いられる粘着テープTの一部を、接合用の粘着テープ片である接合テープCTとして利用する。
【0102】
本実施例では、待機位置に配置されているカッタユニット45(本実施例ではカッタユニット45B)を用いて後続粘着テープT2の先端を一部切り取り、切り取られて断片化した当該先端部分を接合テープCTとして用いる。具体的には
図11において符号D2で示される部位において、接合テープの作成が行われる。
【0103】
図14の各図を用いて、接合テープCTを作成する工程を説明する。
図14(a)は、後続粘着テープT2の切断を行う前における、各構成の状態を示している。接合テープ保持部材43Bは切断準備位置に移動している。すなわち、接合テープ保持部材43Bは粘着テープ保持部材41Bの下流側近傍に配置されており、後続粘着テープT2の先端部分を吸着保持している。カッタユニット45Bは初期位置、すなわち後続粘着テープT2から離れた位置に配置されている。
【0104】
後続粘着テープT2の切断を開始すると、カッタユニット45Bの可動台46Bを方向Rに駆動させ、カッタユニット45Bを初期位置から切断準備位置へと移動させる。カッタユニット49が切断準備位置へ移動した後、可動台46Bはカッタユニット45Bを後続粘着テープT2の幅方向(z方向)に駆動させる。当該駆動により、カッタユニット49は切断準備位置から切断完了位置へと移動し、粘着テープ保持部材41Bと接合テープ保持部材43Bとの間の所定位置において、後続粘着テープT2を幅方向にわたって切断する(
図14(b))。
【0105】
カッタユニット45Bが後続粘着テープT2を切断することにより、後続粘着テープT2の先端部分が原反ロール27Bから切り離される。当該切断の後、原反ロール27Bから切り離された当該先端部分は、接合テープCTとして接合テープ保持部材43Bに吸着保持される。そして当該切断によって新たに形成された、後続粘着テープT2の先端部分は、粘着テープ保持部材41Bによって吸着保持される。
【0106】
切断が完了した後、カッタユニット45Bは切断完了位置から初期位置へと復帰する。このように、接合テープ作成部33のうち、待機位置に配置されている接合テープ作成部33Bにおいて接合テープCTが作成されることによってステップS7-2の工程は完了する。ステップS7-1およびステップS7-2の工程が完了した状態における粘着テープ接合装置3の概略構成は、
図14(c)に示す通りである。
【0107】
ステップS7-3(接合テープの変位)
後続粘着テープT2の先端部分を切断して接合テープの作成が完了した後、接合テープを変位させる。すなわち待機位置に位置する供給ユニット18において接合テープCTを保持している接合テープ保持部材43Bを適宜移動させることにより、接合テープCTの粘着層Cと、後続粘着テープT2の先端部分の粘着層Cとが対面する位置関係となるように接合テープCTを反転させる。
【0108】
本実施例では接合テープCTを変位させる工程として、以下のように行う。接合テープCTが作成された直後は
図15(a)に示すように、接合テープCTの粘着層Cと、後続粘着テープT2の先端部分の粘着層Cとは同じ方向を向いている。この状態で、図示しない駆動装置を用いて、接合テープ保持部材43Bをz方向の軸周りに反転移動させつつ、xy平面上で適宜平行移動させる。
【0109】
当該移動によって、接合テープ保持部材43Bは
図15(b)において点線で示されている切断準備位置から、同図において実線で示されている接合準備位置へと移動する。接合テープ保持部材43Bが接合準備位置へ移動することにより、接合テープ保持部材43Bによって保持されている接合テープCTの粘着層Cと、粘着テープ保持部材41Bによって保持されている後続粘着テープT2の先端部分の粘着層Cとが対面する位置関係となるように接合テープCTは反転する。なお、接合テープCTの粘着層Cと、後続粘着テープT2の先端部分の粘着層Cとを対向させることができるならば、接合テープ保持部材43Bの移動軌跡は本実施例の構成に限られない。
【0110】
なお、接合テープ作成部33Bにおいて接合テープCTの反転を行う工程と同期して、接合テープ作成部33Aにおいて先行粘着テープ保持部材19を退避させることが好ましい。接合テープCTを作成する時点において、先行テープ保持部材19は近接位置に移動している(
図15(c))。すなわち先行粘着テープ保持部材19は粘着テープ保持部材41Aの下流近傍に配置されている。
【0111】
この状態で図示しない駆動装置を用いることにより、先行粘着テープ保持部材19を粘着テープTの繰り出し方向に沿って下流側へ移動させる。当該移動により、先行粘着テープ保持部材19は先行粘着テープT1fの後端部分を吸着保持した状態を維持しつつ、
図15(d)において点線で示される近接位置から、同図において実線で示される退避位置へと移動する。
【0112】
先行粘着テープ保持部材19の退避位置は、粘着テープ接合装置3の正面視において回転プレート23と重ならない位置であることがより好ましい。予め先行粘着テープ保持部材19を退避位置へと移動させておくことにより、後述する回転プレート23を回転させる工程において、セパレータ保持部材36を例とする、回転プレート23に接続されている構成が先行粘着テープ保持部材19と干渉する事態を確実に回避できる。
【0113】
同様に、セパレータ接合ユニット21が他の構成と干渉する事態を回避することを目的として、セパレータ接合ユニット21についても先行セパレータS1fの後端部分を吸着保持した状態を維持しつつ、正面視において回転プレート23と重ならない位置へと退避させることがより好ましい。接合テープCTの反転、先行粘着テープ保持部材19の退避、およびセパレータ接合ユニット21の退避が完了した時点における粘着テープ接合装置3の構成は、
図16(a)に示される通りである。接合テープCTの変位が完了することにより、ステップS7-3に係る工程は完了する。
【0114】
ステップS7-4(原反ロールの切り換え)
接合テープCTを反転させた後、原反ロールの切り換えを行う。すなわち、テープ供給部ユニット17の回転プレート23を適宜回転させ、供給位置に配置される原反ロール27を切り換える。回転プレート23の回転により、供給位置に配置される原反ロール27は、テープTSの装填量が所定以下に減少している原反ロール27Aから(
図16(a))、十分な量のテープTSが装填されている原反ロール27Bへと切り換えられる(
図16(b))。
【0115】
また、回転テーブル23の回転により、回転テーブル23に接続されている構成の各々も回転テーブル23とともに変位する。すなわち、供給位置に配置されていた第1供給ユニット18Aの各構成は回転軸39を中心として約180°回転変位し、供給位置から待機位置へと移動する。一方、待機位置に配置されていた第2供給ユニット18Bの各構成は、待機位置から供給位置へと移動する。
【0116】
その結果、粘着テープ保持部材41Bに保持されている後続粘着テープT2と、接合テープ保持部材43Bに保持されている接合テープCTとは、各々の粘着層Cが互いに対面している状態を維持しつつ、同期的に待機位置から供給位置へと移動する。一方、回転テーブル23に接続されていない構成である、先行粘着テープ保持部材19およびセパレータ接合ユニット21の位置は、回転テーブル23の回転による影響を受けない。
【0117】
従って、回転プレート23を回転させて原反ロール27を切り換える動作により、供給位置へと移動した後続粘着テープT2および接合テープCTは、先行粘着テープ保持部材19が保持する先行粘着テープT1fの後端部分の近傍へ移動する(
図16(b))。また、後続セパレータS2を吸着保持しているセパレータ保持部材36Bも、待機位置から供給位置へと移動する。
【0118】
その結果、後続セパレータS2は、先行セパレータ保持部材47が吸着保持している先行セパレータS1fの後端部分の近傍へと移動する。回転プレート23を回転させて供給位置にある供給ユニット18を切り換えることにより、ステップS7-4に係る工程は完了する。なお、ステップS7-3の工程とステップS7-4の工程の順番は適宜入れ換えてもよいし、同期的に行ってもよい。
【0119】
ステップS7-5(粘着テープの接合)
原反ロールの切り換えが完了した後、粘着テープの接合を行う。すなわち供給位置に配置されている接合テープ作成部33(この時点では接合テープ作成部33B)において、先行粘着テープT1fの後端部分と後続粘着テープT2の先端部分とを、接合テープCTを介して接合させる操作を行う。
【0120】
図17の各図を用いて、ステップS7-5に係る工程を説明する。まず
図17(a)に示すように、退避位置へ退避していた先行粘着テープ保持部材19を近接位置へと移動させる。すなわち先行粘着テープ保持部材19は先行粘着テープT1fの後端を保持した状態で、粘着テープTの繰り出し方向に沿って、点線で示される退避位置から実線で示される近接位置へと移動する。その結果、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とは、接合テープCTを介した接合が可能となる程度に近接した状態となる。
【0121】
先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とを近接させた後、接合テープCTによる粘着テープTの接合が行われる。すなわち
図17(b)に示されるように、接合テープ保持部材43Bを点線で示される接合準備位置から実線で示される接合実行位置へと方向Rへ移動させる。当該移動により、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とに対して接合テープCTが押圧される。当該押圧により、先行粘着テープT1と後続粘着テープT2との接合が行われる。すなわち、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2の先端とは接合テープCTによって繋げられ、連続した長尺状となる。
【0122】
先行粘着テープT1fの後端は先行粘着テープ保持部材19に支持され、後続粘着テープT2は粘着テープ保持部材41Bに支持されている。そして先行粘着テープ保持部材19の保持面と粘着テープ保持部材41Bの保持面は面一となっている。そのため、接合テープCTと、先行粘着テープT1fおよび後続粘着テープT2との間において、均一かつ強い押圧力を作用させることができる。
【0123】
本実施例に係る粘着テープの接合工程において、先行粘着テープT1fの後端および後続粘着テープT2の各粘着層Cと、接合テープCTの粘着層Cとは対面した位置関係となっている。すなわち、接合テープCTが各粘着テープTへ向けて押圧されることによって接合テープCTの粘着層Cと先行粘着テープT1fの後端および後続粘着テープT2の各粘着層Cとが接着する。言い換えれば、一方の粘着層Cが他方の基材B(非粘着面)と接触するのではなく粘着層C同士が接着するので、接合テープCTと先行粘着テープT1fの後端および後続粘着テープT2との間の接着力はより強固となる。従って、先行粘着テープT1と後続粘着テープT2とをより強固に接合できる。
【0124】
接合テープCTによる先行粘着テープT1fと後続粘着テープT2との接合が完了した後、接合テープ保持部材43Bによる接合テープCTの吸着保持を解除させる。そして
図17(c)に示すように、接合テープ保持部材43Bを接合実行位置から接合準備位置へと復帰させる(
図19(b)、矢印N1)。
【0125】
当該復帰とともに、粘着テープ保持部材41Bによる後続粘着テープT2の吸着保持と、先行粘着テープ保持部材19による先行粘着テープT1fの吸着保持とをそれぞれ解除させる。接合テープCTを介して接合され、連続した帯状となった先行粘着テープT1fおよび後続粘着テープT2は、各々の吸着保持が解除されることにより、方向Lへと繰り出されることが可能となる。
【0126】
ステップS7-6(セパレータの接合)
粘着テープの接合工程を行うとともに、セパレータの接合工程を行う。すなわち、供給位置へ移動したセパレータ保持部材36Bと、セパレータ接合ユニットとが協働することにより、先行セパレータS1fの後端部分と後続セパレータS2の先端部分とを接合させる。
【0127】
図18の各図を用いて、ステップS7-6に係る工程を説明する。まず
図18(a)に示すように、退避位置へ退避していたセパレータ接合ユニット21を移動させる。すなわち先行セパレータ保持部材47は先行セパレータS1fの後端を保持した状態で、セパレータSの繰り出し方向に沿って、点線で示される退避位置から実線で示される接合準備位置へと移動する。その結果、先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2の先端とは互いに対面した位置関係となる。
【0128】
先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2とを近接させた後、加熱によるセパレータSの接合が行われる。すなわち
図18(b)に示されるように、先行セパレータ保持部材47を点線で示される接合準備位置から実線で示される接合実行位置へと方向Rへ移動させる。当該移動により、後続セパレータS2の先端に対して先行セパレータS1fの後端が押圧される。
【0129】
また、先行セパレータ保持部材47を移動させるとともに、先行セパレータ保持部材47に内蔵されているヒータ50は、先行セパレータS1fの後端を加熱させる。当該加熱および押圧により、先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2の先端とは熱接着によって接合され、連続した長尺状となる。なおこのとき、セパレータ保持部材36Bにもヒータを内蔵させ、当該ヒータによって後続セパレータS2の先端側も加熱させることがより好ましい。
【0130】
先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2の先端との接合が完了した後、先行セパレータ保持部材47による先行セパレータS1fの吸着保持を解除させる。そして
図18(c)に示すように、先行セパレータ保持部材47を初期位置へと復帰させる(
図19(b)、矢印N2)。
【0131】
当該復帰とともに、セパレータ保持部材36Bによる後続セパレータS2の吸着保持を解除させる。熱圧着によって接合され、連続した帯状となった先行セパレータS1fおよび後続セパレータS2は、各々の吸着保持が解除されることにより、方向Lへと繰り出されることが可能となる。また、待機位置に移動した接合テープ保持部材43Aは、接合準備位置から切断準備位置へと復帰する(
図19(b)、矢印N3)。
【0132】
ステップS7-5に係る粘着テープ接合工程と、ステップS7-6に係るセパレータ接合工程とは、実行するタイミングを適宜前後させてもよいし、同期的に行ってもよい。ステップS7-5およびステップS7-6に係る、各々の押圧が行われている状態における粘着テープ接合装置3の構成は
図19(a)に示される通りである。そしてステップS7-5およびステップS7-6が完了することにより、粘着テープ接合装置3の構成は
図19(b)に示される通りとなる。
【0133】
ステップS7-5およびステップS7-6が完了すると、新たに供給位置へと移動した原反ロール27Bに装填されているテープTS2は、先行粘着テープT1fおよび先行セパレータS1fの各々と接合され、連続した帯状となる。その結果、テープTS2を繰り出してウエハに粘着テープTを貼り付ける操作を再開できる。ステップS7-1~ステップS7-6までの各工程により、原反ロール27を自動的に交換させるとともに、粘着テープTおよびセパレータSの各々を自動的に接合させる一連の工程が完了する。
【0134】
なお、供給位置から待機位置へ切り換えられた原反ロール27Aは、開閉扉91を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り出すことができる。そして待機位置にあるボビン25Aに対し、十分な量のテープTSが装填された新たな原反ロール27を装填できる。
【0135】
<実施例1の構成による効果>
従来、先行する第1のテープPと後続する第2のテープPとを自動で接合させる方法としては、以下のような構成が挙げられる。すなわち、各々のテープPとは異なる、第3のテープQを接合用の粘着テープとして予め用意し、第1のテープPと第2のテープPとの間を繋ぐようにテープQを貼り付ける。
【0136】
その結果、一般的に接合部分の断面は、テープQが片面のみに粘着層Caを有する場合は
図20(a)に示すような構造となり、テープQが両面に粘着層Caを有する場合は
図20(b)に示すような構造となる。このような従来の接合方法では次のような問題点が懸念される。
【0137】
第1に、
図20の各図に示すように、テープQの粘着層Caは、テープPのうち基材Bの層またはセパレータSの層に当接することによってテープP同士を接合する。すなわち従来の方法では、接合用のテープQは、接合対象であるテープPの非粘着面に対して貼り付けられる。この場合、接合部分における接着力は、テープQの粘着層Caが備える接着力のみが影響するため、接合部分の接着力は比較的弱くなる。そのため、テープQがテープPから剥離してしまい、接合エラーが発生するという問題が懸念される。
【0138】
第2に、接合用のテープQは、ウエハに対して実際に貼り付けられるテープPとは別に、予め準備されるテープである。そのため、ウエハ保護用のテープPと、接合用のテープQとは構成する材料や性質が異なることがある。従って、接合用のテープQの粘着層Caと、回路保護用のテープPの基材B(またはテープPのセパレータS)とは互いに接着しにくい組み合わせである場合が考えられる。このように接着の相性が悪い組み合わせである場合、テープQとテープPとの接着力はさらに弱くなるので、接合エラーが発生するという事態がより顕著に発生する。
【0139】
さらに主資材であるテープPとは別に、テープQを副資材として準備する必要があるので、複数種類のテープを用意するという煩雑さが発生する。また、テープP同士の接合部分にテープQを供給するための構成等を新たにテープ接合装置へ配設させる必要があるので、テープ接合装置が大型化しやすくなり、コストを抑えることが難しくなる。
【0140】
そして、従来構成において
図20(b)に示すように、接合用のテープQを挟んでテープP同士を積層させるように接合させた場合、接合部分における厚さJは比較的厚くなる。すなわち、接合部分以外と比べて接合部分がより厚いので、接合させた後のテープPを巻き取り回収する際に、厚みのある部分がボビンなどに引っ掛かる。その結果、巻き取りロールの形状が歪んでしまい、巻き取り効率の低下や巻き取りエラーが発生する事態が懸念される。接合部分における厚みJは、セパレータSを添設させた状態のテープP同士を接合させる場合、より顕著に厚くなることとなる。
【0141】
さらにテープP同士を積層させるように接合させる場合、接合部分の前後において、先行するテープPの軌道(高さなど)と、後続のテープPの軌道とは異なっている(
図20(b))。そのため、特に接合部分の近傍において、先行テープPが繰り出される軌道と後続のテープPが繰り出される軌道にズレが発生し、テープPをウエハWに貼り付ける操作を例とする、各操作の精度が低下する事態も懸念される。このような接合部分の前後における軌道のズレは、厚みJに比例して大きくなる。
【0142】
一方、本実施例に係る粘着テープ接合装置3では、粘着テープT同士の接合、すなわち先行の粘着テープT1と後続の粘着テープT2との接合を行う際に、後続の粘着テープT2の一部を予め切り取る。そして、当該切り取られた部分を接合用の粘着テープである接合テープCTとして利用する。この場合、粘着テープTと別に接合テープCTを予め装填する構成や、接合テープCTを接合部分に供給させる大型の構成を配設させる必要がない。そのため、粘着テープ接合装置3の小型化や低コスト化が容易となる。
【0143】
また、本実施例では接合テープCTと、接合の対象となる粘着テープT1および粘着テープT2とは、確実に同じ構造・性質となる。そのため、各々の粘着テープTと接合テープCTとの接着の相性が悪いという事態は確実に回避される。そのため接合テープCTによる接合力を向上できる。
【0144】
さらに、本実施例では先行するテープと後続のテープとを接合する場合、面一となって近接並行している先行粘着テープT1の粘着層Cおよび後続粘着テープT2の粘着面Cの各々に対し、接合テープCTの粘着層Cを対向させた状態で、接合テープCTを粘着テープTの各々に押圧させて接合を行う。すなわち
図20(c)に示すように、接合に際して粘着面Cの各々が接する。
【0145】
このように粘着層C同士が接することで接合を行うことにより、接合部分における接着力は、接合テープCTの粘着層Cが備える接着力に加えて、接合対象である粘着テープTの粘着層Cが備える接着力も影響する。そのため、接合部分における接着力をより向上できるので、接合エラーが発生する事態をより確実に回避できる。また、先行粘着テープT1の粘着層Cおよび後続粘着テープT2の粘着面Cとは面一状に並行している。そのため、接合部分の前後において、先行粘着テープT1が繰り出される軌道と後続粘着テープT2が繰り出される軌道にズレが発生することを回避できる。
【0146】
そして、本実施例では、セパレータが添設されている状態のテープTS同士を接合させるのではなく、テープTSを粘着テープTとセパレータSに剥離させた後、粘着テープT同士の接合とセパレータS同士の接合とを別々に行う。そのため、特に粘着テープT同士を接合テープCTで接合させた場合であっても、接合部分における厚みJは従来方法と比べて薄くなる(
図20(c))。
【0147】
そのため、接合部分を巻き取り回収する場合であっても装置の部材に与える影響を小さくできる。また、粘着テープTとセパレータSに剥離させて粘着層Cを露出させた後に接合テープCTを作成させるので、断片化した接合テープCTからセパレータSを剥離させるといった煩雑な工程を行うことなく、接合テープCTの粘着層Cと粘着テープTの粘着層Cとを対向させるように各種保持部材を移動させることが容易となる。
【実施例2】
【0148】
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1では先行粘着テープT1と後続粘着テープT2とを接合させる際に、後続粘着テープT2の一部を接合テープCTとして粘着テープT同士の接合に用いる構成を例にとって説明した。実施例2では、先行粘着テープT1の一部を接合テープCTとして、粘着テープT同士の接合に用いる構成を例にとって説明する。なお、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置は実施例1に係る装置と基本的に構成は共通する。そのため、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。
【0149】
実施例1に係る粘着テープ接合装置3において、接合テープ作成部33は供給ユニット18の各々に設けられ、回転プレート23と接続されている構成となっている。そして各々の接合テープ作成部33Aおよび33Bは、回転テーブル23の回転によって供給位置と待機位置とを相互に入れ換わるように構成されている。一方、実施例2に係る粘着テープ接合装置3aにおいて、接合テープ作成部61は供給ユニット18と独立に設けられており、回転プレート23と接続されてないという点で実施例1と相違する。実施例2に係る接合テープ作成部61は、供給ユニット18の数に関わらず少なくとも1つ設けられていればよい。
【0150】
実施例2に係る接合テープ作成部61は、供給位置へ移動している粘着テープ保持部材41(
図21においては、粘着テープ保持部材41A)の下流に配設されている。接合テープ作成部61は先行粘着テープ保持部材19と同様、近接位置と退避位置との間を粘着テープTの繰り出し方向Lへ往復移動する。
【0151】
接合テープ作成部61が近接位置に移動した場合、接合テープ作成部61は、供給位置へ移動している粘着テープ保持部材41Aの下流近傍に配置される。接合テープ作成部61が退避位置へ移動した場合、接合テープ作成部61はテープ供給ユニット17の各構成と干渉を回避できる位置へ配置される。退避位置の一例としては、各実施例に係る先行粘着テープ保持部材19と同様、正面視において回転テーブル23と重複しない位置であることが好ましい。
【0152】
実施例2に係る接合テープ作成部61は、接合テープ保持部材63と、カッタユニット65とを備えている。接合テープ保持部材63は実施例1と同様に、切断準備位置と、接合準備位置と、接合実行位置とを相互に移動できるように構成されている。接合テープ保持部材63の切断準備位置は、供給位置に移動している粘着テープ保持部材41の下流に相当する。接合テープ保持部材63は切断準備位置に移動した場合、その保持面において粘着テープTを保持できるように構成される。切断準備位置と、接合準備位置と、接合実行位置との位置関係は、実施例1と同様である。
【0153】
カッタユニット65は可動台67とカッタ刃68とを備えている。可動台67およびカッタ刃68の各々の構成は、実施例1に係る可動台46とカッタ刃48の構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。また接合テープ保持部材63は、カッタユニット65によって切り取られた先行粘着テープT1の一部を、接合テープCTとして保持するとともに、当該接合テープCTを粘着テープT同士の接合部分に押圧させて接合させる機能を有する。
【0154】
<実施例2に係るテープの交換工程の説明>
ここで、実施例2に係るステップS7の各工程について説明する。実施例2に係るステップS7のフローチャートの概要は実施例1と共通しており、
図7(b)に示す通りである。そこで、実施例2に係るステップS7の各工程において、実施例1と相違する部分について説明する。
【0155】
ステップS7を開始するにあたり、粘着テープ接合装置3における各構成の初期配置は
図21に示す通りである。すなわち、接合テープ作成部61および先行粘着テープ保持部材19は近接位置に移動している。接合テープ保持部材63は切断準備位置に配置されている。この場合、供給位置に移動している粘着テープ保持部材41Aの下流近傍に接合テープ保持部材63が配置され、接合テープ保持部材63の下流近傍に先行粘着テープ保持部材19が配置されている。そして粘着テープ保持部材41A、接合テープ保持部材63、および先行粘着テープ保持部材19の各々は先行粘着テープT1を吸着保持している。
【0156】
また、後続テープTS2の初期状態は以下の通りである。すなわち
図21において符号D4で示すように、待機位置に配置されている原反ロール27Bから後続テープTS2が予め繰り出されており、セパレータ剥離部31Bによって後続粘着テープT2と後続セパレータS2とに剥離されている。そして後続粘着テープT2の先端部分は粘着テープ保持部材41Bに吸着保持されており、後続セパレータS2の先端部分はセパレータ保持部材36Bによって吸着保持されている。実施例2におけるステップS7の開始時点において、各構成は以上のように予め操作されている。
【0157】
ステップS7-1(先行テープの切断)
ステップS7を開始すると、まずは先行テープの切断を行う。すなわち粘着テープ接合装置3において、カッタユニット65による先行粘着テープT1の切断と、カッタユニット49による先行セパレータS1の切断とが行われる。ステップS7-1の開始時点における、接合テープ作成部61およびセパレータ接合ユニット21の周辺の構成は
図22(a)に示す通りである。
【0158】
この状態において、
図22(b)に示すように、カッタユニット65を点線で示す初期位置から実線で示す第1切断実行位置へと適宜移動させる。当該移動によって、カッタユニット65は、先行粘着テープ保持部材19と接合テープ保持部材63との間における所定の位置において、先行粘着テープT1を幅方向へ切断する(
図22(b)、矢印W1)。
【0159】
当該切断により、先行粘着テープT1の下流側(T1f)は供給位置にある原反ロール27Aから切り離される。原反ロール27Aから切り離された先行粘着テープT1fの後端部分は、先行粘着テープ保持部材19によって吸着保持される。そして依然として原反ロール27Aと繋がっている先行粘着テープT1の上流側(T1r)の先端部分は、接合テープ保持部材63と粘着テープ保持部材41Aによって吸着保持される。
【0160】
そして先行粘着テープT1を切断する一方で、先行セパレータS1の切断を行う。すなわち実施例1と同様に、カッタユニット49は、先行セパレータ保持部材47とセパレータ保持部材36Aとの間における所定の位置において、先行セパレータS1を幅方向にわたって切断する(
図22(b)、矢印W2)。カッタユニット49が先行セパレータS1を切断することにより、先行セパレータS1の下流側(S1f)は原反ロール27Aから切り離される。先行粘着テープT1と先行セパレータS1とがそれぞれ切断されて原反ロール27Aから切り離されることにより、ステップS7-1の工程は完了する。
【0161】
ステップS7-2(接合テープの作成)
先行粘着テープT1と先行セパレータS1の各々の下流側が原反ロール27Aから切り離された後、ステップS7-2に係る接合テープの作成工程を実行する。本実施例ではカッタユニット65を用いて先行粘着テープT1rの先端を一部切り取り、当該切り取られた先端部分の断片を接合テープCTとして用いる。
【0162】
具体的には
図23に示すように、カッタユニット65を第1切断実行位置から実線で示す第2切断実行位置へと適宜移動させる。当該移動によって、カッタユニット65は、粘着テープ保持部材41Aと接合テープ保持部材63との間における所定の位置において、先行粘着テープT1rを幅方向へ切断する。
【0163】
当該切断により、先行粘着テープT1rの下流側(先端部分)は原反ロール27Aから切り離され、接合用の粘着テープ片である接合テープCTとして作成される。そして作成された接合テープCTは接合テープ保持部材63によって吸着保持される。そして依然として原反ロール27Aと繋がっている先行粘着テープT1rの上流側の先端部分は、粘着テープ保持部材41Aによって吸着保持される。
【0164】
ステップS7-3(接合テープの反転)
接合テープの作成が完了した後、接合テープを反転させる。すなわち接合テープCTを保持している接合テープ保持部材63を切断準備位置から接合準備位置へと適宜移動させることにより、接合テープCTの粘着層Cと、先行粘着テープT1rの先端部分の粘着層Cとが対向するように接合テープCTを変位させる(
図24)。
【0165】
なお、接合テープ作成部61において接合テープCTの反転を行う工程と同期して、接合テープ作成部61と、先行粘着テープ保持部材19と、セパレータ接合ユニット21とをテープ供給ユニット17から退避させることが好ましい。退避させる方向の具体例として、接合テープ作成部61と、先行粘着テープ保持部材19とを粘着テープTの繰り出し方向に沿って下流側へ退避させ、セパレータ接合ユニット21をセパレータの繰り出し方向に沿って下流側へ退避させる。
【0166】
接合テープ作成部61と、先行粘着テープ保持部材19と、セパレータ接合ユニット21との退避位置は、粘着テープ接合装置3の正面視において回転プレート23と重ならない位置であることがより好ましい。接合テープCTの反転が完了することにより、ステップS7-3に係る工程は完了する。完了時点における粘着テープ接合装置3aの構成は、
図25(a)に示される通りである。
【0167】
ステップS7-4(原反ロールの切り換え)
接合テープCTを反転させた後、原反ロールの切り換えを行う。すなわち、テープ供給ユニット17の回転プレート23を適宜回転させ、供給位置に配置される原反ロール27を切り換える。回転プレート23の回転により、供給位置に配置される原反ロール27は、テープTSの装填量が所定以下に減少している原反ロール27Aから(
図25(a))、十分な量のテープTSが装填されている原反ロール27Bへと切り換えられる(
図25(b))。
【0168】
また、回転テーブル23の回転により、回転テーブル23に接続されている構成の各々も回転テーブル23とともに変位する。そのため、粘着テープ保持部材41Bに保持されている後続粘着テープT2は、待機位置から供給位置へと移動する。一方、回転テーブル23に接続されていない構成である、接合テープ作成部63、先行粘着テープ保持部材19、およびセパレータ接合ユニット21の位置は、回転テーブル23の回転による影響を受けない。
【0169】
その結果、後続粘着テープT2の先端部分は、先行粘着テープ保持部材19が保持する先行粘着テープT1fの後端部分と、接合テープ保持部材63が保持する接合テープCTとの近傍へ移動する。回転プレート23を回転させて供給位置に配置される原反ロール27を別の原反ロール27へと切り換えることにより、ステップS7-4に係る工程は完了する。
【0170】
ステップS7-5(粘着テープの接合)
原反ロールの切り換えが完了した後、粘着テープの接合を行う。すなわち
図26(a)に示すように、退避位置へ退避していた接合テープ保持部61および先行粘着テープ保持部材19を近接位置へと移動させる。すなわち先行粘着テープ保持部材19は先行粘着テープT1fの後端を保持した状態で、点線で示される退避位置から実線で示される近接位置へと移動する。その結果、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とは、接合テープCTを介した接合が可能となる程度に近接した状態となる。
【0171】
先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とを近接させた後、接合テープCTによる粘着テープTの接合が行われる。すなわち
図26(b)に示すように、接合テープ保持部材63を点線で示される接合準備位置から実線で示される接合実行位置へと移動させる。R方向へ接合テープ保持部材63が移動することにより、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2とに対して接合テープCTが押圧される。その結果、先行粘着テープT1fの後端と後続粘着テープT2の先端とは、接合テープCTを介して接合されて連続した長尺状となる。
【0172】
接合テープCTによる先行粘着テープT1fと後続粘着テープT2との接合が完了した後、接合テープ保持部材63による接合テープCTの吸着保持を解除させる。そして接合テープ保持部材63を接合実行位置から接合準備位置へと復帰させる。当該復帰とともに、粘着テープ保持部材41Bによる後続粘着テープT2の吸着保持と、先行粘着テープ保持部材19による先行粘着テープT1fの吸着保持とをそれぞれ解除させる。接合テープCTを介して接合され、連続した長尺状となった先行粘着テープT1fおよび後続粘着テープT2は、各々の吸着保持が解除されることにより、方向Lへと繰り出されることが可能となる。
【0173】
ステップS7-6(セパレータの接合)
粘着テープの接合工程を行うとともに、セパレータの接合工程を行う。すなわち
図26(a)に示すように、退避位置へ退避していたセパレータ接合ユニット21を移動させる。先行セパレータ保持部材47は先行セパレータS1fの後端を保持した状態で、セパレータSの繰り出し方向に沿って、点線で示される退避位置から実線で示される接合準備位置へと移動する。
【0174】
先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2とを近接対向させた後、
図26(b)に示されるように、先行セパレータ保持部材47を点線で示される接合準備位置から実線で示される接合実行位置へと方向Rへ移動させる。当該移動により、後続セパレータS2の先端に対して先行セパレータS1fの後端が押圧される。さらに当該押圧とともに、ヒータ50による、先行セパレータS1fの加熱を行う。当該加熱押圧により、先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2の先端とは熱接着によって接合され、連続した帯状となる。
【0175】
先行セパレータS1fの後端と後続セパレータS2の先端との接合が完了した後、先行セパレータ保持部材47による先行セパレータS1fの吸着保持を解除させ、先行セパレータ保持部材47を初期位置へと復帰させる。当該復帰とともに、セパレータ保持部材36Bによる後続セパレータS2の吸着保持を解除させる。各々の吸着保持が解除されることにより、連続した帯状となった先行セパレータS1fおよび後続セパレータS2は、方向Lへと繰り出されることが可能となる。以上の工程により、実施例2に係るステップS7の各工程は完了する。
【0176】
実施例2に係るテープ接合装置により、先行粘着テープT1fおよび先行セパレータS1fの各々を、原反ロール27Bに装填されているテープTS2と自動的に接合できる。実施例1では後続粘着テープT2の一部を接合テープCTとして用いるが、実施例2に係る構成により、先行粘着テープT1の一部を接合テープCTとして用いることもできる。先行粘着テープT1は後続粘着テープT2と同様、ワークに対して実際に用いられる粘着テープTである。
【0177】
すなわち実施例1と同様、実施例2の構成においても接合テープCTの粘着層Cと粘着テープTの粘着層Cとは同じ構成となるので、接合テープCTと粘着テープTとの粘着力が低下して剥離する事態を回避できる。また、接合テープCTの粘着層Cと粘着テープTの粘着層Cとを対向させた状態で押圧して接合するので、接合テープCTの粘着層Cと粘着テープTの粘着層Cの各々の粘着力による、より強固な接合を実現できる。また実施例2では供給ユニット18の数に関わらず、接合テープ保持部61が少なくとも1つあればよいので、粘着テープ接合装置3の構成をより単純化できる。
【0178】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0179】
(1)各実施例において、ウエハWの貼付けに用いられる粘着テープTの一部(原反ロール27の一部)を接合テープとして用いる構成を説明したが、本発明は、当該構成のみを行う装置に限られない。すなわち、ウエハWの貼付け工程に用いられる粘着テープTの一部を接合テープとして用いる第1のモードと、各々の原反ロール27に巻回されている粘着テープTとは別の粘着テープFを接合テープとして供給する第2のモードとを併用する構成としてもよい。
【0180】
まず、上述したような第2のモードを用いる状況としては次のような場合が挙げられる。すなわち
図27(a)に示すように、ウエハWの表面にバンプなどによる凹凸が多い場合、回路保護用の粘着テープとして、基材Bが厚い粘着テープTpが用いられることがある。
【0181】
この場合、各実施例の構成を適用し、粘着テープTpの一部を切り取って接合テープCTとして粘着テープTp同士を接合させた場合、接合部分においてテープの厚みが増大するとともに柔軟性が低下するので、接合テープCTが剥離して接合エラーが発生する事態が懸念される。そのため、基材Bが厚い粘着テープTpを用いる場合、原反ロール27の一部を切断して接合テープCTとして用いる構成を適用することは困難である。このような事態は、基材Bの剛性が高い粘着テープをウエハWに貼付ける場合にも発生する。
【0182】
以下、2つのモードを併用する変形例の構成の一例について、図を用いて説明する。
図27(b)に示すように、変形例に係る粘着テープ接合装置3bは、実施例1に係る粘着テープ接合装置3の各構成に加え、センサ71と、モード判定部73と、接合テープ供給ユニット75とを備えている。なお、変形例に係る粘着テープ接合装置3bは、実施例2に係る粘着テープ接合装置3aをベースとして、センサ71と、モード判定部73と、接合テープ供給ユニット75とを備える構成としてもよい。
【0183】
センサ71は原反ロール27に装填されている粘着テープTの特性を検知する。粘着テープTの特性の例としては、基材Bの厚さや基材Bの剛性などが挙げられる。センサ71としては光学センサやテレビカメラなど、粘着テープTの特性を検知する公知の構成を適宜利用してよい。
【0184】
モード判定部73はセンサ71が検知した粘着テープTの特性に関する情報を受信し、当該情報に基づいて第1のモードと第2のモードとのうち、実行すべきモードを判定する。すなわち、粘着テープTを接合テープCTとして用いても問題ない場合、第1のモードで粘着テープTの接合を実行する旨の判定を行う。
【0185】
第1のモードを実行する旨の判定がなされた場合、制御部81は当該判定に係る情報を受信して各構成を統括制御する。粘着テープ接合装置3の各構成は制御部81の制御に従い、各実施例で説明した工程に沿って、原反ロール27に装填されている粘着テープTの一部を接合テープCTとして用いて粘着テープTの接合を行う。
【0186】
一方、粘着テープTを接合テープCTとして用いるには不適切である場合、モード判定部73は第2のモードで粘着テープTの接合を実行する旨の判定を行う。この場合、制御部81は当該判定に係る情報を受信し、各構成を統括制御する。粘着テープ接合装置3の各構成は制御部81の制御に従い、接合テープ供給ユニット75から供給される粘着テープGを用いて粘着テープTの接合を行う。判定基準の一例として、粘着テープTの基材Bの厚さが0.5mm以上であると検知された場合、モード判定部73は第2のモードが適切であると判定し、第2のモードを選択する旨の情報を制御部81へ送信する。
【0187】
接合テープ供給ユニット75は
図28(a)などに示すように、テープ供給部77とガイドロール78とカッタユニット79とを備えている。テープ供給部77は、粘着テープTとは別に用意された、粘着テープFが巻回された原反ロールの装填されたボビンから、当該粘着テープFを繰り出し供給する。粘着テープFは比較的薄く、剛性の低い素材で基材Bが構成されていることが好ましい。また粘着テープFの粘着層Cに含まれる粘着材は、粘着テープTの粘着層Cとの接着力が強い材料であることが好ましい。粘着テープFの基材Bの厚さとしては、一例として0.1mm~0.2mmであることがより好ましい。
【0188】
ガイドロール78は、テープ供給部77から供給された粘着テープFを巻回して接合テープ保持部材43へと案内する。カッタユニット79はカッタユニット45などと同様、可動部とカッタ刃を備えており、接合テープ保持部材43へと案内された粘着テープFを幅方向へと切断する。
【0189】
以下、変形例において第2のモードが選択された場合に実行される、ステップS7の各工程について説明する。ここでは実施例1に係る工程および装置を基にして、第2のモードを行う変形例について説明する。第2のモードにおけるステップS7と、第1のモード(各実施例)におけるステップS7との相違点は、以下の2点である。
【0190】
第1に、変形例ではステップS7-1において、接合テープ保持部材43は粘着テープTを保持することなく、先行粘着テープT1および先行セパレータS1を切断させる。第2に、変形例ではステップS7-2において、接合テープ供給ユニット75から供給される接合テープFを接合テープ保持部材43が保持することにより、粘着テープT同士を接合させる接合テープが作成される。
【0191】
すなわち実施例1において後続粘着テープT2は、ステップS7の開始前に、予め
図11の符号D2で示される状態となっている。すなわち待機位置の原反ロール27Bから供給される後続粘着テープT2は、粘着テープ保持部材41Bおよび接合テープ保持部材43Bへ案内されており、各保持部材によって吸着保持されている。一方、変形例における後続粘着テープT2は、予め
図28(a)で示される状態となっている。すなわち、原反ロール27Bから供給される粘着テープT2は、接合テープ保持部材43Bに保持されておらず、粘着テープ保持部材41Bによってその先端が吸着保持されている。
【0192】
まず、変形例に係るステップS7-1では、実施例1と同様に先行粘着テープT1と先行セパレータS1とが切断され、各々は原反ロール27Aから切り離される(
図12、
図13)。
【0193】
そして変形例に係るステップS7-2では、
図28(b)に示すように、テープ供給部77から粘着テープFが繰り出し供給され、供給された粘着テープFはガイドローラ78を経由し、その先端部分は接合テープ保持部材43Bによって保持される。当該吸着保持が行われた後、カッタユニット79は接合テープ保持部材43Bとガイドローラ78との間の所定位置において、粘着テープFを幅方向に切断する(
図28(c))。当該切断により、粘着テープFの先端部分はテープ供給部77から切り離される。切り離された粘着テープFの先端部分は、接合テープCTとして接合テープ保持部材43Bに保持される。
【0194】
変形例では以上の工程によって接合テープCTが作成・準備される。ステップS7-3以降の工程は、各実施例と同様であるので詳細な説明を省略する。変形例に係る一連の工程により、ステップS7-5において、粘着テープFからなる接合テープCTは粘着層C同士対向させた状態で(
図29(a))、先行粘着テープT1と後続粘着テープT2とに押圧される(
図29(b))。当該押圧によって、接合テープCTは先行粘着テープT1と後続粘着テープT2とを接合させる。
【0195】
本変形例では、粘着テープTの特性に応じて適切なモードの判定を行い、適宜第1のモードと第2のモードのいずれかを選択できるように構成される。すなわち粘着テープTの特性が接合テープCTとして適切である場合は第1のモードを選択し、粘着テープTの一部を接合テープCTとして用いることにより、各実施例に特徴的な有利な効果を得ることができる。
【0196】
一方で粘着テープTの特性が接合テープCTとして不適切である場合は第2のモードを選択する。この場合、基材Bが厚く剛性が高い粘着テープT同士は、基材Bが比較的薄く剛性が低い粘着テープFの断片を介して接合される。そのため、粘着テープT自体を接合テープCTとして用いることに起因する接合エラーの発生を確実に回避できる。
【0197】
なお、本変形例では、粘着テープTの特性の検知と、モードの選択と、粘着テープFの供給との各々を自動で実行する構成を例示している。しかしこれらのうち少なくとも1つについて手動で行ってもよい。すなわち粘着テープTをボビン25に装填させる時点で、オペレータは粘着テープTの特性を検知できる。また、オペレータは入力部83を適宜操作することで、第1のモードと第2のモードとのうち、粘着テープTの接合により適切なモードを選択できる。さらに、オペレータは粘着テープFを適切な長さの断片に切断し、当該粘着テープFの断片を接合テープ保持部材43に吸着保持させることもできる。
【0198】
(2)各実施例および各変形例において、自動接合の対象となる粘着テープTの例として、回路保護用の粘着テープ(保護テープ)を例に挙げて説明したがこれに限られない。すなわち粘着テープTとしては保護テープの他、半導体ウエハをリングフレームとにわたって支持する支持用粘着テープ(ダイシングテープ)や、保護テープを剥離するために保護テープの表面に貼り付けられる剥離用の粘着テープなど、長尺状の粘着テープであれば本発明に係るテープ接合装置の構成を適用できる。
【0199】
(3)各実施例および各変形例において、粘着テープ貼付け装置を用いて本発明に係るテープ接合装置を説明したが、本発明に係るテープ接合装置およびテープ回収装置は、テープ貼付け装置の他にも多様なテープ処理装置に適用できる。テープ処理装置の例としては、ウエハに貼り付けられている各種テープを剥離するテープ剥離装置、またはウエハをリングフレームにマウントするために用いるマウント装置(マウンター)などが挙げられる。
【0200】
(4)各実施例および各変形例において、テープ供給ユニット17に配設される原反ロール27は2つに限ることはなく、3つ以上配設してもよい。この場合、原反ロール27の数に応じて供給ユニット18の各構成を増設する。
【0201】
(5)各実施例および各変形例において、粘着テープTをカッタ刃で切断する構成を例示したが、粘着テープTを幅方向に切断できる構成であれば、公知の切断手段および切断方法を適宜用いてもよい。
【0202】
(6)実施例および各変形例において、セパレータSを接合させる工程については加熱および押圧によって接合させる方法を例示したが、この方法に限ることはない。セパレータSを接合させる方法としては、粘着材を塗布した状態で押圧して接合させる構成や、超音波発生装置を用いて両者を超音波接合させる構成など、他の方法に適宜変更してもよい。
【0203】
(7)各実施例および各変形例において、原反ロール27の各々にはテープTS、すなわち粘着テープTにセパレータSが添設された長尺のテープが巻回されている構成を例示しているが、セパレータSが添設されていない、基材Bおよび粘着層Cからなる粘着テープTが原反ロール27の各々に巻回されている構成にも本発明の構成を適用できる。この場合、粘着テープ接合装置において、セパレータSの操作に係る構成を省略できる。例えば、セパレータSを巻回案内させる構成や、セパレータSを切断・接合させる構成などを省略できる。
【0204】
(8)各実施例および各変形例において、ステップS7に係る各工程を実行する順番は適宜変更させてもよい。一例として、ステップS7-2およびS7-3の工程を先に行い、その後にステップS7-1およびステップS7-4の工程を行ってもよい。
【0205】
このような順番で各工程を行うことにより、接合テープCTを作成するとともに、接合テープCTと粘着テープTとが粘着層C同士を対面するように接合テープCTを変位(反転)される。その後、先行粘着テープT1および先行セパレータS1が切断され、さらに供給位置に配置される原反ロール27が別の原反ロール27へと切り換えられる。
【0206】
この場合、供給位置に配置されている原反ロール27に巻回されているテープTSを用いてウエハWへ粘着テープTを貼り付けている間に、待機位置に配置されている原反ロール27に巻回されている粘着テープTを用いて接合テープCTを予め作成・準備できる。そのため、粘着テープTを接合させる工程に要する時間を削減し、粘着テープ接合装置3の作動効率を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0207】
1 … 粘着テープ貼付け装置
3 … テープ接合装置
5 … 保持テーブル
7 … テープ貼付けユニット
9 … テープ切断ユニット
11 … テープ剥離ユニット
13 … テープ回収部
15 … セパレータ回収部
17 … テープ供給ユニット
19 … 先行粘着テープ保持部材
21 … セパレータ接合ユニット
27 … 原反ロール
29 … テープ供給部
31 … セパレータ剥離部
33 … 接合テープ作成部
36 … セパレータ保持部材
41 … 粘着テープ保持部材
43 … 接合テープ保持部材
45 … カッタユニット
47 … 先行セパレータ保持部材
49 … カッタユニット
50 … ヒータ
TS … テープ(セパレータ付き粘着テープ)
T … 粘着テープ
S … セパレータ
B … 基材
C … 粘着層