(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】熱電対センサ装置、熱電対交換タイミング算出方法、熱電対交換タイミング算出プログラム、熱電対センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01K 7/026 20210101AFI20220502BHJP
【FI】
G01K7/026
(21)【出願番号】P 2018157879
(22)【出願日】2018-08-25
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 健
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077757(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019499(WO,A1)
【文献】特開2002-156288(JP,A)
【文献】特開2008-107089(JP,A)
【文献】特開平03-285118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 18/00-21/02
G01K 1/00-19/00
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な熱電対センサと、
計時部と、
前記熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、
テンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、
完成したルールを保持するルール保持部と、
取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力部と、
を有する熱電対センサ装置。
【請求項2】
ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を、取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過回数依存ルールを保持する所定超過回数依存ルール保持手段を有する請求項1に記載の熱電対センサ装置。
【請求項3】
ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、この所定の測定対象装置温度に応じて設定される重みづけ値と、所定の測定対象装置温度を、測定対象装置温度情報取得部が取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数を前記重み付け値で重み付けした値とし、これらによって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過回数依存ルールを保持する所定重付超過回数依存ルール保持手段を有する請求項1に記載の熱電対センサ装置。
【請求項4】
ルール保持部は、完成したルールとして、前記回数に代えて又は前記回数に追加して熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた時間によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過時間依存ルールを保持する所定超過時間依存ルール保持手段を有する請求項2又は請求項3に記載の熱電対センサ装置。
【請求項5】
ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、所定の測定対象装置温度に応じて設定される重みづけ値と、所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報が超過した時間を前記重み付け値で重み付けされた値の上限値とし、これらによって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過時間依存ルールを保持する所定重付超過時間依存ルール保持手段を有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の熱電対センサ装置。
【請求項6】
熱電対の属性情報を含む測定対象装置固有情報を保持する測定対象装置固有情報保持部と、
保持されている測定対象装置固有情報に基づいて熱電対寿命要素の設定支援情報を出力する設定支援情報出力部と、
をさらに有する請求項1から5のいずれか一に記載の熱電対センサ装置。
【請求項7】
測定対象装置に利用される交換可能な熱電対センサと、
計時部と、
前記熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
を有する熱電対センサ装置の熱電対交換タイミング算出方法であって、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを取得するテンプレートルール取得ステップと、
取得したテンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成ステップと、
完成したルールを格納するルール格納ステップと、
格納されて保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力ステップと、
を有する熱電対センサ装置の熱電対交換タイミング算出方法。
【請求項8】
測定対象装置に利用される交換可能な熱電対センサと、
計時部と、
前記熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
を有する計算機である熱電対センサ装置の熱電対交換タイミング算出プログラムであって、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを取得するテンプレートルール取得ステップと、
取得したテンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成ステップと、
完成したルールを格納するルール格納ステップと、
格納されて保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力ステップと、
を計算機である熱電対センサ装置に読取り実行可能に記述した熱電対交換タイミング算出プログラム。
【請求項9】
圧力
情報、流体との摩擦力
情報、ガス種
情報、湿度
情報のいずれかを取得する交換可能なセンサと、
計時部と、
前記センサからの測定対象装置の圧力、流体との摩擦力、ガス種、湿度のいずれかの情報である測定対象装置情報を取得する測定対象装置情報取得部と、
前記取得した測定対象装置情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
前記取得した測定対象装置情報と、計時情報と、を用いて前記センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置情報と計時情報に関連するセンサ寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、
テンプレートルールにセンサ寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、
完成したルールを保持するルール保持部と、
取得した測定対象装置情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいてセンサ交換タイミング情報を出力するセンサ交換タイミング情報出力部と、
を有するセンサ装置。
【請求項10】
交換可能な測温抵抗体センサと、
計時部と、
前記測温抵抗体センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて測温抵抗体センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する測温抵抗体寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、
テンプレートルールに測温抵抗体寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、
完成したルールを保持するルール保持部と、
取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて測温抵抗体交換タイミング情報を出力する測温抵抗体交換タイミング情報出力部と、
を有する測温抵抗体センサ装置。
【請求項11】
交換可能な熱電対センサと、
計時部と、
前記熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、
前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいた測定対象装置の稼働状況情報を送信する測定対象装置稼働状況情報送信部と、
を備えた測定対象装置稼働状況情報表示装置と、
送信された測定対象装置稼働状況情報を受信する測定対象装置稼働状況情報受信部と、
受信した測定対象装置稼働状況情報を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、
テンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、
完成したルールを保持するルール保持部と、
取得した測定対象装置稼働状況情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力部と、
を有する熱電対交換タイミング情報出力サーバと
からなる熱電対センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電対センサに関し、特に熱電対センサの交換タイミングの把握に好適な熱電対センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱炉、サイロ、冷凍庫等(以下、「測定対象装置」とする)の温度制御に熱電対センサや測温抵抗体が利用されている。熱電対センサ等は熱電対センサ装置(例えばグラフィックレコーダ;記録計)に接続されており、熱電対センサ装置には熱電対センサ等による検知結果が入力される。熱電対センサ装置では、入力された検知結果と計時情報に基づき測定対象装置にかかる温度変化を示す情報の出力(例えばグラフ出力)を行う(例えば特許文献1)。
【0003】
測定対象装置内の温度は高温であるため、これに使用する熱電対センサは経時的に劣化していく。熱電対センサの劣化により検知結果の精度が低下するため、測定対象装置内の温度が正確に把握できなくなる。その結果、測定対象装置内の温度の調整に支障をきたすおそれがある。
【0004】
そこで、熱電対センサの前回の交換日を基準として、所定日数を経過したら交換するように前回の交換日をディスプレイ等に表示する熱電対センサ装置がある。別の技術分野となるが、ごみ焼却炉等の測定対象装置の測定空間、灰溶融炉等の測定対象装置の測定空間等のプラントの運転計画、運転情報に基づき消耗部品の寿命予測を行い、交換時期を算出するシステムが提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-103084号公報
【文献】特開2007-25878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、測定対象装置内の温度、雰囲気は、炉等の測定対象装置の測定空間ごとにあるいは測定対象物ごとに異なり一律に前回の交換日からの経過日数を表示するだけでは、例えば次のような問題がある。一例として熱電対センサには耐用温度があるが、耐用温度を大きく超過するような状況が複数回生じれば、一律に決められた耐用日数を経過する前に劣化が進んでしまうことが想定される。また、測定対象装置内の温度に大きな変動がない等、熱電対センサへの負荷が定常的にかからない場合は、まだ十分に使用可能である熱電対センサについて不要に交換してしまうことが想定される。
【0007】
特許文献1および特許文献2では、このような状況については考慮されておらず、適切な交換タイミングをユーザに把握させることが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決するため熱電対センサ装置において熱電対センサ等の適切な交換タイミングを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明において、以下の熱電対センサ装置を提供する。すなわち、第一の発明として、熱電対センサ装置は交換可能な熱電対センサと、計時部と、熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、を有する。さらに熱電対センサ装置は、取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、テンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、完成したルールを保持するルール保持部と、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力部と、を有する(請求項1対応)。
【0010】
前記特徴に加え、前記ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過回数依存ルールを保持する所定超過回数依存ルール保持手段を有する(請求項2対応)。
【0011】
前記特徴に加え、前記ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、この所定の測定対象装置温度に応じて設定される重みづけ値と、所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数を前記重み付け値で重み付けした値とし、これらによって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過回数依存ルールを保持する所定重付超過回数依存ルール保持手段を有する(請求項3対応)。
【0012】
前記特徴に加え、前記ルール保持部は、完成したルールとして、前記回数に代えて又は前記回数に追加して熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた時間によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過時間依存ルールを保持する所定超過時間依存ルール保持手段を有する(請求項4対応)。
【0013】
前記特徴に加え、ルール保持部は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、所定の測定対象装置温度に応じて設定される重みづけ値と、所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報が超過した時間を前記重み付け値で重み付けされた値の上限値とし、これらによって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過時間依存ルールを保持する所定重付超過時間依存ルール保持手段を有する(請求項5対応)。
【0014】
前記特徴に加え、熱電対の属性情報を含む測定対象装置固有情報を保持する測定対象装置固有情報保持部と、保持されている測定対象装置固有情報に基づいて熱電対寿命要素の設定支援情報を出力する設定支援情報出力部と、をさらに有する(請求項6対応)。
【0015】
上記課題を解決するために本発明において、以下の熱電対交換タイミング算出方法を提供する。すなわち、第二の発明として、測定対象装置に利用される交換可能な熱電対センサと、計時部と、熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、を有する熱電対センサ装置の熱電対交換タイミング算出方法を提供する。また熱電対交換タイミング算出方法は、取得したえ測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを取得するテンプレートルール取得ステップと、取得したテンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成ステップと、完成したルールを格納するルール格納ステップと、格納されて保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力ステップと、を有する(請求項7対応)。
【0016】
上記課題を解決するために本発明において、以下の熱電対交換タイミング算出プログラムを提供する。すなわち、第三の発明として、測定対象装置に利用される交換可能な熱電対センサと、計時部と、熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、を有する計算機である熱電対センサ装置の熱電対交換タイミング算出プログラムを提供する。また熱電対交換タイミング算出プログラムは、取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを取得するテンプレートルール取得ステップと、取得したテンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成ステップと、完成したルールを格納するルール格納ステップと、格納されて保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力ステップと、が計算機である熱電対センサ装置に読取り実行可能に記述されている(請求項8対応)。
【0017】
上記課題を解決するために本発明において、以下の装置を提供する。すなわち、第四の発明として、請求項1対応から請求項6対応のいずれか一に記載の熱電対センサ装置において、温度に代えて又は温度とともに、圧力、流体との摩擦力、ガス種、湿度、のいずれか一以上とする。
【0018】
また、上記課題を解決するために本発明において、以下の装置を提供する。すなわち、第五の発明として、請求項1対応から請求項6対応のいずれか一に記載の熱電対センサ装置において、熱電対センサに代えて、測温抵抗体とする。
【0019】
上記課題を解決するために本発明において、以下の熱電対センサシステムを提供する。すなわち、第六の発明として、交換可能な熱電対センサと、計時部と、前記熱電対センサからの測定対象装置温度情報を取得する測定対象装置温度情報取得部と、前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいて、測定対象装置の稼働状況情報を表示する測定対象装置稼働状況情報表示部と、前記取得した測定対象装置温度情報と、計時部から取得する計時情報と、に基づいた測定対象装置の稼働状況情報を送信する測定対象装置稼働状況情報送信部と、を備えた測定対象装置稼働状況情報表示装置と、送信された測定対象装置稼働状況情報を受信する測定対象装置稼働状況情報受信部と、受信した測定対象装置稼働状況情報を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するテンプレートルール保持部と、テンプレートルールに熱電対寿命要素を設定してルールとして完成させるためのルール完成部と、完成したルールを保持するルール保持部と、取得した測定対象装置稼働状況情報と、保持されているルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する熱電対交換タイミング情報出力部と、を有する熱電対交換タイミング情報出力サーバとからなる(請求項11対応)。
【発明の効果】
【0020】
上述した構成によれば、熱電対センサ等の適切な交換タイミングを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1の熱電対センサ装置の機能ブロック図
【
図2】熱電対センサ装置により生成された信号波形の概略を示す図
【
図3】測定対象装置の稼働スケジュールを示す概念図
【
図4A】実施形態1の熱電対センサ装置のテンプレートルールを示す概念図
【
図4B】実施形態1の熱電対センサ装置の熱電対センサ寿命要素の入力インターフェースの概略を示す図
【
図5】実施形態1の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図6】実施形態1の熱電対センサ装置の交換タイミング情報の出力例の概略を示す図
【
図7】実施形態1の熱電対センサ装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図8】実施形態1の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図9】実施形態1の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図10】実施形態2の熱電対センサ装置の機能ブロック図
【
図11A】実施形態2の熱電対センサ装置のテンプレートルールを示す概念図
【
図11B】実施形態2の熱電対センサ装置の熱電対センサ寿命要素の入力インターフェースの概略を示す図
【
図12】実施形態2の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図13】実施形態2の熱電対センサ装置の交換タイミング情報の出力例の概略を示す図
【
図14】実施形態2の熱電対センサ装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図15】実施形態2の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図16】実施形態2の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図17】実施形態3の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図18】実施形態4の熱電対センサ装置の機能ブロック図
【
図19A】実施形態4の熱電対センサ装置のテンプレートルールを示す概念図
【
図19B】実施形態4の熱電対センサ装置の熱電対センサ寿命要素の入力インターフェースの概略を示す図
【
図20】実施形態4の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図21】実施形態4の熱電対センサ装置の交換タイミング情報の出力例の概略を示す図
【
図22】実施形態4の熱電対センサ装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図23】実施形態4の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図24】実施形態4の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図25】実施形態5の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図26】実施形態6の熱電対センサ装置の機能ブロック図
【
図27】実施形態6の熱電対センサ装置の熱電対センサ寿命要素の入力インターフェースの概略を示す図
【
図28】実施形態6の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図29】実施形態6の熱電対センサ装置の交換タイミング情報の出力例の概略を示す図
【
図30】実施形態6の熱電対センサ装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図31】実施形態6の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図32】実施形態6の熱電対センサ装置の処理フローチャート
【
図33】実施形態7の熱電対センサ装置の機能ブロック図
【
図34】実施形態7の熱電対センサのデータテーブルの概略を示す図
【
図35】実施形態8の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図36】実施形態9の熱電対センサ装置の完成ルールの概略を示す図
【
図37】実施形態10の熱電対センサシステムの機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0023】
各実施形態における測定対象装置としては、加熱炉、サイロ、冷凍庫等があげられる。以下の説明においては、代表例として測定対象装置としての加熱炉を説明する。また、測定対象装置の温度を示す情報である測定対象装置温度情報は、当該温度情報に代えて圧力情報、流体との摩擦力情報、ガス種情報、湿度情報とすることができる。またセンサはそれぞれに対応したものとすることができる。以下では、代表例として温度情報を一例として説明する。
【0024】
<実施形態1>
実施形態1は、主として請求項1、請求項7、請求項8に対応している。実施形態2は、主として、請求項2に対応している。実施形態3は、主として、請求項4に対応している。実施形態4は、主として、請求項3に対応している。実施形態5は、主として、請求項5に対応している。実施形態6は、主として、請求項6に対応している。
【0025】
<実施形態1 概要>
取得した測定対象装置温度情報と、計時情報と、を用いて熱電対センサの交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールであって、測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するように構成し、テンプレートルールに熱電対寿命要素が設定されるとルールとして完成し、完成したルールを保持するように構成し、保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と計時情報に関連する熱電対寿命要素を設定することでルールとして完成するテンプレートルールを保持するように構成し、テンプレートルールに熱電対寿命要素が設定されるとルールとして完成し、完成したルールを保持するように構成し、保持されているルールと、取得した測定対象装置温度情報と、取得した計時情報とに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力するように構成した熱電対センサ装置である。
<実施形態1 構成>
【0026】
図1に示すように、測定対象装置は、熱電対センサSEと、測定対象装置温度情報取得部0101と、計時部0103と、測定対象装置稼働状況情報表示部0104と、テンプレートルール保持部0105と、ルール完成部0106と、ルール保持部0107と、熱電対交換タイミング情報出力部0108と、を有する。
【0027】
<実施形態1 構成の説明>
【0028】
<実施形態1 熱電対センサ>
「熱電対センサ」SEは、異なる材料の2本の金属線を接続した1つの回路(熱電対)によって構成される。熱電対センサSEの金属線の各接点に温度差が与えられると、回路に電圧が発生する。熱電対センサSEは測定対象装置内に配置されるため、測定対象装置内に配置された第1の接点の周囲の温度と、例えば測定対象装置外に配置された第2の接点の周囲の温度には差がある。この温度差により熱電対センサSEには電圧が発生する。測定対象装置によりこの電圧を測定することにより温度が測定される。
【0029】
<実施形態1 測定対象装置温度情報取得部>
【0030】
「測定対象装置温度情報取得部」0101は、熱電対センサSEから電圧信号を測定対象装置温度情報として取得する。この測定対象装置温度情報は測定対象装置稼働状況情報表示部0104および熱電対交換タイミング情報出力部0108により、後述の各処理に利用される。
【0031】
<実施形態1 計時部>
【0032】
「計時部」0103は、温度測定を開始してからの経過時間、あるいは測定対象装置の稼働開始からの経過時間等の時間に関する情報(計時情報)を取得する機能を有する。計時部0103は、日付や時刻を計時情報として取得してもよい。具体的には計時部0103は、図示しない発信器が出力したクロックパルスのパルス数をカウントし、そのカウント値が基準値に到達すると単位時間を示す単位時間信号を生成する。計時部0103は、生成した単位時間信号に基づいて装置本体が用いる日付や時刻を生成する。また、計時部0103は、測定対象装置稼働状況の表示に用いる経過時間を測定対象装置稼働状況情報表示部0104に出力する。また、熱電対交換タイミングの出力の制御に用いる経過時間を熱電対交換タイミング情報出力部0108に出力する。これら表示、出力制御の詳細は以下説明する。
【0033】
<実施形態1 測定対象装置稼働状況情報表示部>
【0034】
「測定対象装置稼働状況情報表示部」0104は、測定対象装置の温度変化を含む測定対象装置の稼働状況の表示処理を行う。測定対象装置温度情報取得部0101により取得した測定対象装置温度情報と、計時部0103からの計時情報とに基づいて、
図2に示すような測定対象装置の経時的な温度変化を示す情報を作成する。例えば、測定対象装置稼働状況情報表示部0104は、熱電対センサSEに生じた電圧信号(測定対象装置温度情報)を数値データに変換し、この変換した測定対象装置温度情報を計時部0103から取得した計時情報と対応付ける。さらに測定対象装置稼働状況情報表示部0104は、時間ごとの測定対象装置温度情報の対応を示す波形(例えば
図2)をグラフ表示するための波形データを作成する。この場合に
図2では横軸0210は時刻を採用しているが、時刻でなくヒータなどの加熱源に電力等のエネルギーの投入を開始した時刻からの経過時間を表示するように構成してもよい。また
図2の画面では、測定対象装置等の加熱スケジュールが選択されるように構成されており、図ではヒータ1がプログラム1、ヒータ2がプログラム2を採用している。またこのスケジュールに従うと、終了時刻は14時であることが示されている。
【0035】
<実施形態1 測定対象装置稼働状況情報表示画面の一例;補足>
【0036】
具体的に
図2の表示画面においては、時刻表示欄0201、第1温度表示領域0202、第2温度表示領域0203、温度変化表示グラフ0204、温度変化予定表示グラフ0205、第1ヒータープログラム表示領域0206、第2ヒータープログラム表示領域0207、開始時刻表示領域0208、終了時刻表示領域0209が設けられている。
【0037】
時刻表示領域0201は、計時部0103等、任意の時刻情報取得手段(図示せず)により取得された現在時刻情報に基づく現在時刻が表示される領域である。第1温度表示領域0202および第2温度表示領域0203は、ヒータにより加熱された現在の炉等の測定対象装置の測定空間内温度、あるいは測定対象物(金型等)の温度を示している。第1温度表示領域0202は熱電対センサSEのチャンネル1で計測された測定対象装置温度を表示する領域であり、第2温度表示領域0203は熱電対センサSEのチャンネル2で計測された測定対象装置温度を表示する領域である。なお、以下において「測定対象装置の測定空間内温度」について言及したときは、「測定対象装置の測定空間内温度、あるいは測定対象物(金型等)の温度」であるものとする。
【0038】
温度変化表示グラフ0204は、測定対象装置の加熱開始時刻の後における、時刻ごとの温度変化をグラフ表示したものである。図示したように、縦軸が炉等の測定対象装置の測定空間内温度、横軸が時刻を示している。温度変化予定表示グラフ0205は、測定対象装置の温度調整をするヒータの加熱プログラムまたは加熱スケジュールにしたがった現在時刻後の温度変化の予測をグラフ表示したものである。現在時刻までの温度変化のグラフ表示である温度変化表示グラフ0204と識別可能にするため、図示したような表示態様の区別がされていてもよい。
【0039】
第1ヒータープログラム表示領域0206、および第2ヒータープログラム表示領域0207は、各ヒータの加熱プログラムの種別を表示する領域である。開始時刻表示領域0208は、ヒータの加熱プログラムまたは加熱スケジュールにおける加熱開始時刻を表示する領域である。終了時刻表示領域0209は、ヒータの加熱プログラムまたは加熱スケジュールにおいて、熱電対センサSEのチャンネルごとの炉等の測定対象装置の測定空間内温度の測定値が、開始時刻の温度まで下がると推定される時刻を表示する領域である。
【0040】
<実施形態1 測定対象装置稼働状況情報表示部;補足_加熱スケジュール入力画面>
【0041】
また、測定対象装置稼働状況情報表示部0104は、測定対象装置の加熱スケジュール(
図3等)を入力するための図示しない設定画面を表示する。このスケジュールは前述の予め定められている加熱スケジュールプログラムを呼び出して設定することもできるし、事前に登録されているプログラム以外に新たにプログラムを登録することができるように構成することもできる。プログラムの登録は、加熱開始から終了までの各時刻における炉等の測定対象装置の測定空間内の到達温度を設定することで順次作ることができる。例えば、
図3の開始「9:00」から「10:00」までの1時間で室内温度「R.T.」から150℃以上、上昇する。また「11:30」の時点では炉等の測定対象装置の測定空間内温度は500℃と設定されており、さらに「11:30」から「12:00」までの間に炉等の測定対象装置の測定空間内温度が500℃を維持する。さらに「12:00」から「13:00」の間には炉等の測定対象装置の測定空間内温度は500℃から200℃に減少し、「13:30」から「14:00」までの間に炉等の測定対象装置の測定空間内温度が室内温度「R.T.」に戻るというようなものである。このようにして経過時間と設定温度を繰り返し入力することで加熱スケジュールを作成し、新たなプログラムとして登録することができるように構成する。
【0042】
これら時間ごとの測定対象装置温度情報の対応を示す波形をグラフ表示(
図2)するプログラム、測定対象装置の稼働スケジュール(
図3等)を入力するための図示しない設定画面を表示するプログラムが不揮発性メモリ0703(
図7参照)に記憶されている。
図3における「R.T.」は室温(加熱開始前の室温)を示している。測定対象装置稼働状況情報表示部0104は、時間ごとの測定対象装置温度情報や加熱スケジュールを表示するプログラム(測定対象装置稼働状況情報表示プログラム等;
図7参照)に基づいてディスプレイDに表示させる。なお、ハードウェア構成についての詳細は後述する。
【0043】
<交換タイミング情報出力ルールの設定>
【0044】
<テンプレートルール保持部>
【0045】
「テンプレートルール保持部」0105は、熱電対交換タイミング情報を生成するためのテンプレートルールを保持する。テンプレートルールは、熱電対センサのチャンネルごとに、測定対象装置温度情報と、計時情報とに関連する熱電対寿命要素を設定することで、熱電対交換タイミングの出力をするためのルールとして完成する(
図5参照)ように作成されたテンプレートである。熱電対寿命要素とは、熱電対センサの交換に影響を及ぼす程度に繰り返し負荷がかかったことを示す本実施形態における指標であり、本実施形態ではユーザにより所定項目に対応する数値情報として設定される。
【0046】
本実施形態においてテンプレートルールは、一例として、温度変化率依存ルールとして完成するように構成される。温度変化率依存ルールでは、温度変化のいわば速度が高い場合、熱電対センサSEに高負荷がかかっていて劣化が進んでいると判断するように、所定時間ごとの温度変化率が「熱電対寿命要素」の1つとして設定される。温度変化率の一例として、
図2に示すような毎分ごとの温度変化(上昇および下降)を挙げることができる。ここで設定されるのは温度変化の速度の許容される上限であり、この上限を超えたとき、温度変化率依存ルールに基づき、熱電対センサSEの劣化が進んだと判断される。
【0047】
また、本実施形態において、劣化が進んだと判定された回数の上限が、「熱電対寿命要素」におけるもう1つの要素として設定される。具体例として
図4Aに示すテンプレートルールは、熱電対寿命要素として許容温度変化率の上限txとし、さらに許容温度変化率の上限を上回った回数である上限回数をNとし、許容温度変化率の上限txを上回った回数を算出する関数F(tx)を用いてF(tx)>Nという式で表される。
【0048】
<実施形態1 ルール完成部>
【0049】
「ルール完成部」0106は、テンプレートルールに熱電対寿命要素が設定されることにより、熱電対交換タイミングの出力の制御をするためのルールを完成する処理を実行する。
【0050】
<実施形態1 ルール完成部:熱電対寿命要素入力画面>
【0051】
また、ルール完成部0106は、熱電対交換タイミングの出力制御に利用する熱電対寿命要素の入力をするための熱電対寿命要素入力画面(
図4B参照)を表示する。熱電対寿命要素入力画面は、不揮発性メモリ0703(
図7参照)に記憶されている。
図4Bに示すような入力画面において入力デバイスI(
図7参照)を介して所定項目の入力がされることにより完成ルールが作成される。なお、本実施形態のシステム導入時だけでなく、導入時の設定の後、再度設定変更することが可能である。
【0052】
熱電対寿命要素入力画面について
図4Bの例に基づき、具体例を説明する。熱電対寿命要素入力画面には、熱電対チャンネル表示欄04B01、温度変化率表示欄04B02、所定超過回数表示欄04B03、アローボタン04B04、スナップショットボタン04B05、時刻表示欄04B06、操作ボタン04B07、コピー元選択ボタン04B08、コピー先選択ボタン04B09、コピー実行ボタン04B10、戻るボタン04B11が設けられている。
【0053】
熱電対チャンネル表示欄04B01には、当該画面内において熱電対寿命要素の入力対象(完成ルールの対象)となる熱電対センサSEのチャンネルが示されている。熱電対寿命要素は、この表示領域に表示されているチャンネルに対して設定される。
【0054】
温度変化率表示欄04B02は、熱電対チャンネル表示欄04B01に表示されたチャンネルについての許容温度変化率の上限の設定値を示す表示領域である。所定超過回数表示欄04B03は、熱電対チャンネル表示欄04B01に表示されたチャンネルについての許容温度変化率の上限を超えた回数の上限についての設定値を示す表示領域である。つまりこれら温度変化率表示欄04B02および所定超過回数表示欄04B03は、設定された熱電対寿命要素の表示領域である。
【0055】
アローボタン04B04は、熱電対チャンネル表示欄04B01、温度変化率表示欄04B02、および所定超過回数表示欄04B03における、チャンネル、各上限値の値(熱電対寿命要素)を変更するためのソフトウェアキーである。アローボタン04B04が入力デバイスI等を介して選択される(または操作者がタッチする)と、図示しないドロップダウンリストが表示され、設定値の候補が表示される。候補のいずれかが選択されると、選択された候補に対応する設定値やチャンネルが対応する表示欄に表示される。さらに選択された候補が設定値、またはチャンネルとして設定される。ただし、熱電対チャンネル表示欄04B01、温度変化率表示欄04B02、および所定超過回数表示欄04B03に対し、直接数値を入力することができる構成であってもよい。
【0056】
スナップショットボタン04B05は、ディスプレイD等の表示手段に映し出された熱電対寿命要素入力画面を、そのままキャプチャー(ハードコピー)して画像データを生成するためのソフトウェアキーである。これが選択されると、その時点での熱電対寿命要素入力画面の表示内容が画像データとして図示しない記憶手段に記憶される。
【0057】
時刻表示欄04B06は現在時刻を表示する表示領域である。操作ボタン04B07は、熱電対寿命要素入力画面の操作を開始(例えば設定変更を開始)するためのソフトウェアキーである。操作ボタン04B07が押下されるまで、熱電対寿命要素の入力や設定対象のチャンネルの変更ができないように構成される。
【0058】
熱電対寿命要素入力画面で設定した熱電対寿命要素については、他のチャンネルの設定に転用することが可能である。コピー元選択ボタン04B08、コピー先選択ボタン04B09およびコピー実行ボタン04B10は、当該転用操作を行うためのソフトウェアキーである。コピー元選択ボタン04B08は、熱電対寿命要素が設定済みであって転用元となるチャンネルを示している。コピー先選択ボタン04B09は、設定が変更または新規設定される転用先のチャンネルを示している。コピー実行ボタン04B10が押下されると、コピー元選択ボタン04B08に表示されたチャンネルの各熱電対寿命要素の設定値が、コピー先選択ボタン04B09に表示されたチャンネルの各熱電対寿命要素の設定値にコピーされる。
【0059】
戻るボタン04B11は熱電対寿命要素入力画面の直前に表示されていた画面(図示せず)に表示を切り替えるためのソフトウェアキーである。
【0060】
上記のような熱電対寿命要素入力画面によって完成されたルールを
図5の例において説明すると、「CH1」に設定された許容温度変化率の上限txは「40℃/min」である。毎分ごとの温度変化が40℃を超えると熱電対交換タイミング情報出力部0108中の関数F(40℃/min)が熱電対センサSEの劣化が進んだと判断しその値が1インクリメントされる。ルールにおいては、この回数の上限NとしてN=10(回)も設定され、関数F(40℃/min)>10の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部0108に、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行させる。
【0061】
<実施形態1 ルール保持部>
【0062】
「ルール保持部」0107は、ルール完成部0106が完成したルールである温度変化率依存ルールを読み出し可能に記憶する。
【0063】
<実施形態1 熱電対交換タイミング情報出力部>
【0064】
「熱電対交換タイミング情報出力部」0108は、測定対象装置稼働時に熱電対センサSEからの測定対象装置温度情報と計時情報とに基づいて、温度変化の度合いを求める。求めた結果に基づき、上記温度変化率依存ルールが熱電対センサの交換タイミング情報を生成したら、熱電対交換タイミング情報が出力される。
【0065】
例えば熱電対交換タイミング情報出力部0108は、次のようにして熱電対センサSEのチャンネルごとに温度変化率を求める。ここで熱電対センサは、CH1~CHnの複数が設けられているものとする。熱電対交換タイミング情報出力部0108は、CH1~CHnそれぞれの測定対象装置温度情報を、計時情報に基づいて単位時間ごとに取得する。
図5においては、毎分ごとの温度変化が温度変化率として設定されているが、この場合、熱電対交換タイミング情報出力部0108は1分単位で、前回の測定対象装置温度情報との差を求め、その差を温度変化率(1分当たり)とする。
【0066】
さらに熱電対交換タイミング情報出力部0108に備えられている関数F(40℃/min)は、温度変化率依存ルールにおけるチャンネルごとの許容温度変化率の上限に達している場合には1インクリメントされる。この関数の処理の前提としてこの各上限値(40℃/min)と、算出したチャンネルごとの温度変化率を比較し、上限値を超えているか判定し、超えている場合には従来の値Fに1を加えた値を新たなFの値とする。このFの値がルールの条件F>10となったかインクリメントするたびに判断され、この条件をルールが満たした場合に熱電対の交換タイミング情報が生成され熱電対交換タイミング情報出力部0108は熱電対交換タイミング情報を出力する。
【0067】
熱電対交換タイミング情報出力部0108における熱電対交換タイミング情報の一例につき
図6を参照して説明する。
図6は、装置本体に設けられ、あるいは装置本体に接続されたディスプレイに表示される熱電対交換タイミング情報の出力状態を示している。
図6の例において、熱電対交換タイミング情報出力部0108は、回数の上限値を超えているチャンネルがあれば、このような出力画面のフォーマットを不揮発性メモリ0703(
図7参照)から読出す。また熱電対交換タイミング情報出力部0108は、例えば各チャンネルの現在の毎分の温度変化率およびそのチャンネルの対応する温度変化率の上限値、ならびに現在の超過回数と超過回数の上限値をこの画面フォーマットに割当て、一覧表示する。さらに熱電対交換タイミング情報出力部0108は、判定回数の上限値を超えているチャンネルについては、他のチャンネルの欄と識別できるように強調表示する(
図6符号0601参照)。
【0068】
強調表示としては、他の画面領域に対して識別可能な色の変更、点滅表示、点灯表示あるいは
図6のような斜線による強調表示等、任意の表示方法をとることができる。また、熱電対交換タイミング情報の出力としては、別途装置本体に設けられ、または接続された警告ランプの点灯を利用してもよい。また、警告メッセージを所定の言語で視認可能に、または音声出力等によって出力してもよい。
【0069】
<実施形態1 ハードウェア構成>
【0070】
図7に示すように、上記した本装置の機能ブロック図における各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)0701や主メモリ0702、システムバス、あるいは不揮発性メモリ(またはハードディスクドライブ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)0703、入力デバイスI、ディスプレイD、スピーカーSを含むインターフェースI/Fを挙げることができる(
図7参照)。その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなども挙げられる。
【0071】
そして主メモリ0702上に展開したプログラムに従ったCPU0701の演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、主メモリ0702や不揮発性メモリ0703(ハードディスク等)に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。
【0072】
あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、上記CPU0701は演算処理を行うデバイスの一例であり、専用又は汎用のCPUのいずれであってもよい。または、CPUでなく、特定用途向けASIC、プログラマブル論理デバイス(SPLDやCPLD等)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの回路であってもよい。また、本装置は一つのハードウェアやソフトウェアにより構成される場合に限られず、複数のハードウェアやソフトウェアの組み合わせによって構成されてもよく、ネットワークを介在したサーバ装置を含んで構成されてもよい。
【0073】
また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0074】
不揮発性メモリ0703には、測定対象装置温度情報取得プログラム、測定対象装置稼働状況情報表示プログラム、テンプレートルール保持プログラム、ルール完成プログラムと、ルール保持プログラム、熱電対交換タイミング情報出力プログラムが記憶され、適宜CPU0701によって読出し実行可能に記憶される。不揮発性メモリ0703には、その他、測定対象装置温度情報、計時情報、テンプレートルール、完成ルール(本実施形態では「温度変化率依存ルール」)、熱電対交換タイミング情報も記憶される。なお、CPU0701は、主メモリに保存された、もしくは特定の回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し、実行してもよい。またCPUが複数設けられていて、プログラムを記憶する主メモリが、機能ごとのCPUに対応して個別に設けられていてもよい。
用される。
【0075】
入力デバイスIは、ユーザによる装置本体の操作や各種の設定に用いられる。入力デバイスIは、例えば装置本体に設けられたディスプレイに表示されるタッチパネル(ソフトウェアキー)であり、ユーザのタッチパネルへの入力操作を検知して電気信号に変換し、後述する熱電対寿命要素としてルール完成部0106に送信する。なお、入力デバイスIは、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して適宜各回路に出力する。例えば、入力デバイスIは、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
【0076】
ディスプレイDは、CRT、プラズマディスプレイ、または液晶ディスプレイ等の表示装置である。
【0077】
<実施形態1 動作説明>
【0078】
以下、
図8のフローチャートを用いて完成ルールの設定に関する動作について説明する。
【0079】
図8に示すように、まず、本実施形態の熱電対センサ装置をユーザが利用するために、ルール完成部0106は、テンプレートルール取得ステップを実行する。このステップにおいて、ルール完成部0106は、テンプレートルール保持部0105からテンプレートルールを読出し、表示し、ユーザに、熱電対交換タイミング情報の出力条件にかかる完成ルールの設定を促す(ステップS0801)。
【0080】
ディスプレイD等において、所定の画面領域に熱電対寿命要素を入力可能なテンプレートルール表示画面が表示されると、次に、ユーザにより入力デバイスI(任意の入力デバイス)を介して熱電対センサSEのチャンネルごとの熱電対寿命要素が入力される(
図4B等)。本実施形態では、単位時間あたりの温度変化の上限値と、温度変化超過回数の上限値とが入力される。すなわち、まず熱電対センサSEのチャンネルが選択される(ステップS0802)。次に、ルール保持部0107は、所定の入力欄に入力された数値を、チャンネルごとに温度変化上限値(ステップS0803)と、超過回数上限値(例えばN=10(回);ステップS0804)とに識別して受けつける。
【0081】
さらにルール保持部0107は、入力デバイスI等から入力完了を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS0805)。
【0082】
さらにルール保持部0107は、当該信号が入力されると(0805;Yes)、ステップS0803,S0804で入力された各入力値をルールとして記憶する(ステップS0806)。
【0083】
以下、
図9のフローチャートを用いて熱電対交換タイミング情報出力に関する動作について説明する。
【0084】
図9に示すように、まず、熱電対センサ装置における熱電対交換タイミング情報出力部0108は、測定対象装置が稼働されたことに応じて、ルール完成部0106から完成ルール(温度変化率依存ルール)を読み出す(ステップS0901)。
【0085】
次に熱電対交換タイミング情報出力部0108は、ルール保持部0107に保持されているルールを形成する関数(
図4AのF(40℃/min))の値である現在までの温度変化率上限超過回数K(初期稼働時、熱電対センサSEの交換後はK=0)を取得する(ステップS0902)。
【0086】
次に熱電対交換タイミング情報出力部0108は、測定対象装置温度情報取得部0101から測定対象装置温度情報を、計時部0103から計時情報を取得する(ステップS0903)。
【0087】
次に熱電対交換タイミング情報出力部0108は、単位時間あたりの温度変化率(現在温度変化率)を算出し、さらに温度変化率の上限値を取得する(ステップS0904)。
【0088】
次に熱電対交換タイミング情報出力部0108は、現在温度変化率と上限値とを比較し、上限値を超えたか判定する(ステップS0905)。超えていなければ(S0905;No)、上記S0902~S0905までを繰り返す。
【0089】
熱電対交換タイミング情報出力部0108は、温度変化が上限値を超えたと判定した場合(S0905;Yes)、次に、S0902で取得した、現在までの単位時間あたりの温度変化の上限値を超えた回数(累積回数)Kに1インクリメントする(ステップS0906)。
【0090】
次に熱電対交換タイミング情報出力部0108は、完成ルールを参照し、温度変化率の上限値を超えた累積回数の上限値Nを読み出す。さらに熱電対交換タイミング情報出力部0108は、S0906で加算した結果の累積回数Kが当該上限値Nを超えたか判定する(ステップS0907)。超えていなければ(S0907;No)、上記S0903~S0907までを繰り返す。
【0091】
熱電対交換タイミング情報出力部0108は、累積回数が上限値を超えたと判定した場合(S0907;Yes)、熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力を実行する(ステップS0908)。
【0092】
熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力が実行された後、熱電対交換タイミング情報出力部0108は、ユーザにより熱電対センサSEの交換がされたことを示す信号を受けたか判断する(S0909)。例えば、図示しない熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力後、交換を検知する。またはユーザに交換を実施したか確認するメッセージを出力して、対応するユーザの入力に基づいて判断する。交換がされたことを示す信号を受けたと判断した場合、(S0909;Yes)、ステップS0901に戻る。交換がされていないと判断した場合、(S0909;No)上記S0903~S0908までを繰り返す。
【0093】
なお、上記各ステップは、熱電対センサ装置に接続された熱電対センサのチャンネルごとに実行される。
【0094】
このように、本実施形態1によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0095】
本実施形態2は、実施形態1を基本としつつ、完成ルールが他の観点において設定され、その観点で熱電対センサの交換タイミング情報の出力が実行される。
<実施形態2 構成>
【0096】
図10に示すように、実施形態2における熱電対センサ装置も熱電対センサSEと、測定対象装置温度情報取得部1001と、計時部1003と、測定対象装置稼働状況情報表示部1004と、テンプレートルール保持部1005と、ルール完成部1006と、ルール保持部1007と、熱電対交換タイミング情報出力部1008と、を有し、特にルール保持部は、所定超過回数依存ルール保持手段を有する。以下では、実施形態1と同様な構成については説明を省略することとし、実施形態2に特徴的な構成である所定超過回数依存ルール保持手段を中心に説明する。
<実施形態2 構成の説明>
【0097】
「ルール完成部」1006は、テンプレートルールに熱電対寿命要素が設定されることにより、熱電対交換タイミングの出力をするためのルールを完成する処理を実行する。本実施形態においてこのルールは所定超過回数依存ルールである。
【0098】
「ルール保持部」1007は、所定超過回数依存ルール保持手段を有する。所定超過回数依存ルール保持手段は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を、取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数と、によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過回数依存ルールを保持する。ルール保持部1007は、所定超過回数依存ルール保持手段において、ルール完成部1006が完成した所定超過回数依存ルールを読み出し可能に記憶する。
【0099】
<実施形態2 所定超過回数依存ルール>
【0100】
所定超過回数依存ルールでは、所定の測定対象装置温度が「熱電対寿命要素」の1つとして設定される(
図11A参照)。所定の測定対象装置温度とは、測定対象装置内の熱電対センサSEが配置される周囲の温度であって、熱電対センサの劣化が進むような高い温度として設定される。この所定の測定対象装置温度は、例えば熱電対センサの種類ごとの耐用温度である。所定の測定対象装置温度は熱電対センサSEからの電圧信号(測定対象装置温度情報)に基づき測定される。
【0101】
さらに所定超過回数依存ルールでは、所定の測定対象装置温度を超えた累計回数の上限値がもう1つの「熱電対寿命要素」として設定される(
図11A参照)。すなわち、測定対象装置内で所定の測定対象装置温度を超えた回数の許容範囲が設定されることで、その回数を超えたときに、熱電対センサSEによる測定精度が確保できないものとして交換するタイミングであると判断することができる。
【0102】
<実施形態2 熱電対交換タイミング情報出力の具体例>
【0103】
具体例として
図11Aに示すテンプレートルールは、熱電対寿命要素として所定の測定対象装置温度の上限をtxとし、さらにこの許容測定対象装置温度の上限を上回った累計回数の上限回数をNとし、許容測定対象装置温度の上限txを上回った回数を算出する関数F(tx)を用いてF(tx)>Nという式で表される。
【0104】
図12の例において説明すると、「CH1」に設定された許容温度の上限txは「1100℃」である。熱電対センサのCH1において、許容温度1100℃を超えると熱電対交換タイミング情報出力部1008中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断しその値が1インクリメントされる。所定超過回数依存ルールにおいては、この回数の上限NとしてN=5(回)も設定され、関数F(1100℃)>5の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0105】
<実施形態2 熱電対寿命要素入力画面>
【0106】
実施形態2においても実施形態1と同様に熱電対寿命要素入力画面より、各設定値やチャンネルの入力が可能であり、また設定に関する各種表示がなされる(
図11B参照)。つまり、実施形態2の熱電対寿命要素入力画面においても、熱電対チャンネル表示欄11B01、基準温度表示欄11B02、所定超過回数表示欄11B03、アローボタン11B04、スナップショットボタン11B05、時刻表示欄11B06、操作ボタン11B07、コピー元選択ボタン11B08、コピー先選択ボタン11B09、コピー実行ボタン11B10、戻るボタン11B11が設けられている。これらの説明は実施形態1と同様であるため省略する。
【0107】
<交換タイミング情報の出力>
【0108】
「熱電対交換タイミング情報出力部」1008は、測定対象装置稼働時に熱電対センサSEから取得した測定対象装置温度情報に基づき、上記所定超過回数依存ルールを参照して、所定条件を満たすと熱電対交換タイミング情報を出力する。
【0109】
例えば熱電対センサがCH1~CHnの複数が設けられている場合、熱電対交換タイミング情報出力部1008は、CH1~CHnそれぞれの測定対象装置温度情報を取得する。一例として熱電対交換タイミング情報出力部1008は例えば1分単位で、測定対象装置温度情報を取得するものとする。
【0110】
さらに熱電対交換タイミング情報出力部1008は、所定超過回数依存ルール(
図12参照)におけるチャンネルごとの測定対象装置温度の上限を基準とし、このルールにしたがって熱電対交換タイミング情報を出力する。また熱電対交換タイミング情報出力部1008は、この各上限値と、取得したチャンネルごとの測定対象装置温度を比較し、上限値を超えているか判定する。熱電対交換タイミング情報出力部1008は、所定超過回数依存ルールによる判定結果にしたがって、所定超過回数が1インクリメントされると、ルール保持部1007等、任意の記憶部に記憶されている上限超過判定回数に加算する。
【0111】
また熱電対交換タイミング情報出力部1008は、所定超過回数依存ルールにより所定超過回数(判定回数)上限値を超えたと判断されると、熱電対交換タイミング情報を出力する。
【0112】
<実施形態2 熱電対交換タイミング情報出力の具体例>
【0113】
熱電対交換タイミング情報出力部1008における熱電対交換タイミング情報の一例につき
図13を参照して説明する。
図13は、装置本体に設けられ、あるいは装置本体に接続されたディスプレイに表示される熱電対交換タイミング情報の出力状態を示している。
図13の例において、熱電対交換タイミング情報出力部1008は、回数の上限値を超えているチャンネルがあれば、このような出力画面のフォーマットを不揮発性メモリ1403(
図14参照)から読出す。また熱電対交換タイミング情報出力部1008は、例えば各チャンネルの現在の測定対象装置温度と、そのチャンネルの対応する測定対象装置温度の上限値および判定回数の上限値のうち、少なくとも一方をこの画面フォーマットに割当て、一覧表示する。さらに熱電対交換タイミング情報出力部1008は、判定回数の上限値を超えているチャンネルについては、他のチャンネルの欄と識別できるように強調表示する(
図13符号1301参照)。
【0114】
強調表示の態様の説明は、実施形態1と同様である。
【0115】
<実施形態2 ハードウェア構成>
【0116】
図14に示すように、上記した本装置の機能ブロック図における各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)1401や、主メモリ1402、システムバス、あるいは不揮発性メモリ(ハードディスクドライブや、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)1403、任意の入力デバイスI、ディスプレイD、スピーカーSを含むインターフェースI/Fを挙げることができる(
図14参照)。不揮発性メモリ1403には、その他、測定対象装置温度情報、計時情報、テンプレートルール、完成ルール(本実施形態では「所定超過回数依存ルール」)、熱電対交換タイミング情報も記憶される。その他は実施形態1と同様である。
【0117】
<実施形態2 動作説明>
【0118】
以下、
図15のフローチャートを用いて完成ルールの設定に関する動作について説明する。
【0119】
図15に示すように、まず、本実施形態の熱電対センサ装置をユーザが利用するために、ルール完成部1006は、テンプレートルール取得ステップを実行する。実施形態1と同様に、ルール完成部1006は完成ルールの設定を促す(ステップS1501)。
【0120】
実施形態1と同様に、テンプレートルール表示画面が表示されると、次に、ユーザにより入力デバイスIを介して熱電対センサSEのチャンネルごとの熱電対寿命要素が入力される。本実施形態では、測定対象装置温度の上限値Txと、測定対象装置上限温度超過回数の上限値Nとが入力される(
図11参照)。すなわち、まず熱電対センサSEのチャンネルが選択され(ステップS1502)、ルール保持部1007は、所定の入力欄に入力された数値を、チャンネルごとに測定対象装置温度上限値Tx(ステップS1503)と、許容温度超過回数上限値(例えばN=5(回);ステップS1504)とに識別して受けつける。
【0121】
さらにルール保持部1007は、入力デバイスI等から入力完了を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS1505)。
【0122】
さらにルール保持部1007は、当該信号が入力されると(S1505;Yes)、ルール保持部1007は、ステップS1503,S1504で入力された各入力値をルールとして記憶する(ステップS1506)。当該信号が入力されずにステップS1502に戻り設定するチャンネルが選択される場合もある(S1505;No)。
【0123】
以下、
図16のフローチャートを用いて熱電対交換タイミング情報出力に関する動作について説明する。
【0124】
図16に示すように、まず、熱電対センサ装置における熱電対交換タイミング情報出力部1008は、測定対象装置が稼働されたことに応じて、ルール完成部1006から完成ルール(所定超過回数依存ルール)を読み出す(ステップS1601)。
【0125】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、ルール保持部1007に保持されているルールを形成する関数(
図11AのF(1100℃))の値である現在までの上限温度超過回数K(初期稼働時、熱電対センサSEの交換後はK=0)を取得する(ステップS1602)。
【0126】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、測定対象装置温度情報取得部1001から測定対象装置温度情報を、計時部1003から計時情報を取得する(ステップS1603)。
【0127】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、測定対象装置温度の上限値を取得する(ステップS1604)。
【0128】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、測定対象装置温度情報に基づく現在の測定対象装置温度と上限値とを比較し、上限値を超えたか判定する(ステップS1605)。超えていなければ(S1605;No)、上記S1603~S1605までを繰り返す。
【0129】
熱電対交換タイミング情報出力部1008は、測定対象装置温度が上限値を超えたと判定した場合(S1605;Yes)、測定対象装置温度の上限値超過回数を加算し、S1602で取得したKに1インクリメントされる(ステップS1606)。
【0130】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、完成ルールを参照し、測定対象装置温度の上限値を超えた回数の累積の上限値Nを読み出す。さらに熱電対交換タイミング情報出力部1008は、S1606の累積回数Kが当該上限値Nを超えたか判定する(ステップS1607)。超えていなければ(S1607;No)、上記S1603~S1607までを繰り返す。
【0131】
熱電対交換タイミング情報出力部1008は、累積回数が上限値を超えた(K>N)と判定した場合(S1607;Yes)、熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力を実行する(S1608)。
【0132】
熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力が実行された後、熱電対交換タイミング情報出力部1008は、ユーザにより熱電対センサSEの交換がされたことを示す信号を受けたか判断する(S1609)。例えば、図示しない熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力後、交換を検知する。またはユーザに交換を実施したか確認するメッセージを出力して、対応するユーザの入力に基づいて判断する。交換がされたことを示す信号を受けたと判断した場合、(S1609;Yes)、ステップS1601に戻る。交換がされていないと判断した場合(S1609;No)、上記S1603~S1608までを繰り返す。
【0133】
なお、上記各ステップは、熱電対センサ装置に接続された熱電対センサのチャンネルごとに実行される。
【0134】
このように、本実施形態2によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0135】
本実施形態3は、実施形態2を基本としつつ、完成ルール(所定超過回数依存ルール)に重み付け要素が加わり、熱電対センサへの負荷を段階的かつ詳細にルール設定される。またその追加ルールで熱電対センサの交換タイミング情報の出力が実行される。
【0136】
ルール保持部1007は、所定重付超過回数依存ルール保持手段を有する。所定重付超過回数依存ルール保持手段は、完成したルールとして、所定の測定対象装置温度と、この所定の測定対象装置温度に応じて設定される重み付け値と、その重み付けされた所定の測定対象装置温度を、測定対象装置温度情報取得部1001が取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過回数依存ルールを保持する。
【0137】
すなわち実施形態3の熱電対寿命要素は、所定の測定対象装置温度としての複数の「判定温度」と、この所定の測定対象装置温度に応じて設定される「重みづけ値」と、判定回数を重み付けで補正した値である。複数の判定温度を超えた判定回数を、重み付け値で補正した値に基づいて熱電対交換タイミング情報を出力させる。
【0138】
<実施形態3 所定重付超過回数依存ルール>
【0139】
ルール保持部1007における所定重付超過回数依存ルール保持手段は、所定重付超過回数依存ルールを保持する。実施形態3の完成ルールである所定重付超過回数依存ルールの一例を
図17に示す例で説明する。実施形態3では熱電対センサの許容温度の上限が一律に設定されるのではなく、第1の熱電対寿命要素として、熱電対センサに負荷がかかるとされる「判定温度」が段階的に設定される。また第2の熱電対寿命要素として段階的な判定温度に対応する重み付け値が設定される。重み付け値は、判定温度が高いほど高く、判定温度が低くなっていくにつれて低くなるように設定される。さらに、実施形態2と異なり、超過判定回数は判定温度ごとに重み付け値で補正された数値が用いられる。この判定温度ごとに補正された判定回数の合計に対して上限が設けられる。この上限が実施形態3における第3の熱電対寿命要素である。
【0140】
<実施形態3 熱電対寿命要素の具体例>
【0141】
図17の例において説明すると、設定された許容温度の判定温度は「800℃」、「900℃」、「1000℃」、「1100℃」、「1200℃」である。また、重み付け値は、「800℃」に対して「1」、「900℃」に対して「2」、「1000℃」に対して「3」、「1100℃」に対して「4」、「1200℃」に対して「5」である。
【0142】
すなわち、判定温度800℃を超えると、熱電対交換タイミング情報出力部1008中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断し、1と「重み付け値1」との積が加算される。判定温度900℃を超えると、1と「重み付け値2」との積が加算される。判定温度1000℃を超えると、1と「重み付け値3」との積が加算される。判定温度1100℃を超えると、1と「重み付け値4」との積が加算される。判定温度1200℃を超えると、1と「重み付け値5」との積が加算される。
【0143】
<実施形態3 所定重付超過回数依存ルールの具体例>
【0144】
図17のルールにおいては、重み付け値で補正された判定回数補正値の上限NとしてN=100(時間)も設定され、関数f=1*C800+2*C900+3*C1000+4*C1100+5*C1200>100の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0145】
実施形態3における判定温度それぞれは、ユーザにより設定されるものであるが、例えば耐用温度を基準に設定される。つまり判定温度の下限値がその熱電対センサの耐用温度であってもよく、耐用温度が上限値や中央値として設定されてもよい。
【0146】
このように、本実施形態3によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態3では、熱電対センサの劣化を判定するための複数の判定温度と、判定温度超過回数の判定温度別の重み付け補正をする。よって、より詳細な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0147】
本実施形態4は、実施形態2を基本としつつ、完成ルールが他の観点において設定され、その観点で熱電対センサの交換タイミング情報の出力が実行される。
<実施形態4 構成>
【0148】
図18に示すように、実施形態4における熱電対センサ装置も熱電対センサSEと、熱電対センサSEが接続される装置本体とを備えて構成される。装置本体は、測定対象装置温度情報取得部1801と、計時部1803と、測定対象装置稼働状況情報表示部1804と、テンプレートルール保持部1805と、ルール完成部1806と、ルール保持部1807と、熱電対交換タイミング情報出力部1808と、を有する。以下では、実施形態1と同様な構成については説明を省略することとし、実施形態3に特徴的な構成について説明する。
<実施形態4 構成の説明>
【0149】
<ルール完成部>
【0150】
「ルール完成部」1806は、テンプレートルールに熱電対寿命要素が設定されることにより、熱電対交換タイミングの出力の制御をするためのルールを完成する処理を実行する。本実施形態においてこのルールは所超過時間依存ルールである。
【0151】
「ルール保持部」1807は、所定超過時間依存ルール保持手段を有する。所定超過時間依存ルール保持手段は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた時間によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過時間依存ルールを保持する。ルール保持部1807は、所定超過時間依存ルール保持手段により、ルール完成部1806が完成した所定超過時間依存ルールを読み出し可能に記憶する。
【0152】
<実施形態4 所定超過時間依存ルール>
【0153】
所定超過時間依存ルールでは、所定の測定対象装置温度が「熱電対寿命要素」の1つとして設定される(
図19A参照)。所定の測定対象装置温度は上記実施形態と同様である。さらに所定超過時間依存ルールでは、所定の測定対象装置温度を超えた時間を加算し、その累積時間の上限値がもう1つの「熱電対寿命要素」として設定される(
図19A参照)。すなわち、測定対象装置内で所定の測定対象装置温度を超えた累積時間の許容範囲が設定されることで、その累積時間を超えたときに、熱電対センサSEによる測定精度が確保できないものとして交換するタイミングであると判断することができる。
【0154】
<実施形態4 熱電対寿命要素の具体例>
【0155】
図20の例において説明すると、「CH1」に設定された所定測定対象装置温度の上限txは「1100℃」である。また超過累積時間の上限は「300時間」である。測定対象装置温度が1100℃を超えると熱電対交換タイミング情報出力部1808が熱電対センサSEの劣化が進んだと判断するが、ここで熱電対交換タイミング情報出力部1808がもう1つの要素の「経過時間」を計時し、これまでの累積時間に加算する。ルールにおいては、この時間の上限も設定され、それをもって熱電対交換タイミングの出力の制御が行われる。
【0156】
具体例として
図19Aに示すテンプレートルールは、熱電対寿命要素として所定の測定対象装置温度の上限txとし、さらにこの許容測定対象装置温度の上限を上回った時間を加算した合計の時間である累積時間の上限をNとし、許容測定対象装置温度の上限txを上回った累積時間を算出する関数F(tx)を用いてF(tx)>Nという式で表される。
【0157】
<交換タイミング情報の出力>
【0158】
「熱電対交換タイミング情報出力部」1808は、測定対象装置稼働時に熱電対センサSEから取得した測定対象装置温度情報に基づき、上記所定超過時間依存ルールを参照して、所定条件を満たすと熱電対交換タイミングを出力する。
【0159】
例えば熱電対センサがCH1~CHnの複数が設けられている場合、熱電対交換タイミング情報出力部1808は、CH1~CHnそれぞれの測定対象装置温度情報を取得する。一例として熱電対交換タイミング情報出力部1808は1分単位で、測定対象装置温度情報を取得するものとする。
【0160】
<実施形態4 熱電対交換タイミング情報出力の具体例>
【0161】
図20の例において説明すると、「CH1」に設定された許容温度の上限txは「1100℃」である。熱電対センサのCH1において、許容温度1100℃を超えると熱電対交換タイミング情報出力部1008中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断する。
【0162】
測定対象装置温度情報が取得される間隔は上記の例では1分ごとである。したがって、熱電対センサSEの「CH1」からの測定対象装置温度情報に基づき、上限Txを超えたと最初に判断されてから次に温度情報を取得するのは1分後である。したがって、最初に上限Txを超えた後、さらに1分後の次の取得においても上限Txを超えたと判断されたとき、累積時間に1分が加算される。つまり、測定対象装置温度情報取得のインターバルにあわせて所定超過時間依存ルールにより、上記累積時間が1分ずつ加算されていく。この加算は所定のインターバルで取得される測定対象装置温度情報が上限Tx以下になるまで継続する。この所定のインターバル(本例では1分間隔)で累積時間に加算される時間の単位を経過時間T1とする。なお、加算された累積時間は、ルール保持部1807等、任意の記憶部に記憶される。
【0163】
また、所定超過時間依存ルールでは、累積時間の上限Nとして例えばN=300(時間)も設定され、関数F(1100℃)>300の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0164】
<実施形態4 熱電対寿命要素入力画面>
【0165】
実施形態4においても実施形態1と同様に熱電対寿命要素入力画面より、各設定値やチャンネルの入力が可能であり、また設定に関する各種表示がなされる(
図19B参照)。つまり、実施形態4の熱電対寿命要素入力画面においても、熱電対チャンネル表示欄19B01、基準温度表示欄19B02、所定超過時間表示欄19B03、アローボタン19B04、スナップショットボタン19B05、時刻表示欄19B06、操作ボタン19B07、コピー元選択ボタン19B08、コピー先選択ボタン19B09、コピー実行ボタン19B10、戻るボタン19B11が設けられている。これらの説明は実施形態1と同様であるため省略する。
【0166】
熱電対交換タイミング情報出力部1808における熱電対交換タイミング情報の一例につき
図21を参照して説明する。
図21は、装置本体に設けられ、あるいは装置本体に接続されたディスプレイに表示される熱電対交換タイミング情報の出力状態を示している。
図21の例において、熱電対交換タイミング情報出力部1808は、時間の上限値を超えているチャンネルがあれば、このような出力画面のフォーマットを不揮発性メモリ2203(
図22参照)から読出す。また熱電対交換タイミング情報出力部1808は、例えば各チャンネルの現在の上限温度超過時間の累積時間と、そのチャンネルで設定された累積時間の上限値をこの画面フォーマットに割当て、一覧表示する。さらに熱電対交換タイミング情報出力部1808は、累積時間の上限値を超えているチャンネルについては、他のチャンネルの欄と識別できるように強調表示する(
図21:符号2101参照)。
【0167】
強調表示の態様の説明は、実施形態1と同様である。
【0168】
<実施形態4 ハードウェア構成>
【0169】
図22に示すように、上記した本装置の機能ブロック図における各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)2201や主メモリ2202、システムバス、あるいは不揮発性メモリ(ハードディスクドライブや、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)2203、入力デバイスI、ディスプレイD、スピーカーSを含むインターフェースI/Fを挙げることができる(
図22参照)。不揮発性メモリ2203には、その他、測定対象装置温度情報、計時情報、テンプレートルール、完成ルール(本実施形態では「所定超過時間依存ルール」)、熱電対交換タイミング情報も記憶される。その他は実施形態1と同様である。
【0170】
<実施形態4 動作説明>
【0171】
以下、
図23のフローチャートを用いて完成ルールの設定に関する動作について説明する。
【0172】
図23に示すように、まず、本実施形態の熱電対センサ装置をユーザが利用するために、ルール完成部1806は、テンプレートルール取得ステップを実行する。このステップにおいて、ルール完成部1806は、テンプレートルール保持部1805からテンプレートルールを読出し、表示し、ユーザに、熱電対交換タイミング情報の出力条件にかかる完成ルールの設定を促す(ステップS2301)。
【0173】
ディスプレイD等において、所定の画面領域に熱電対寿命要素を入力可能なテンプレートルール表示画面が表示されると、次に、ユーザにより入力デバイスIを介して熱電対センサSEのチャンネルごとの熱電対寿命要素が入力される。本実施形態では、測定対象装置温度の上限値Txと、温度超過累積時間の上限値Nとが入力される。すなわち、まず熱電対センサSEのチャンネルが選択され(ステップS2302)、次にルール保持部1807は、所定の入力欄に入力された数値を、チャンネルごとに測定対象装置温度上限値Tx(ステップS2303)と、許容温度超過累積時間の上限値(例えばN=300(時間),S2304)とに識別して受けつける。
【0174】
さらにルール保持部1807は、入力デバイスI等から入力完了を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS2305)。
【0175】
さらにルール保持部1807は、当該信号が入力されると(S2305;Yes)、ルール保持部1807は、ステップS2303,S2304で入力された各入力値をルールとして記憶する(ステップS2306)。当該信号が入力されずにステップS2302に戻り設定するチャンネルが選択される場合もある(S2305;No)
【0176】
以下、
図24のフローチャートを用いて熱電対交換タイミング情報出力に関する動作について説明する。
【0177】
図24に示すように、まず、熱電対センサ装置における熱電対交換タイミング情報出力部1808は、測定対象装置が稼働されたことに応じて、ルール完成部1806から完成ルール(所定超過時間依存ルール)を読み出す(ステップS2401)。
【0178】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、ルール保持部1807に保持されているルールを形成する関数(
図19AのF(1100℃))の値である現在までの上限温度超過累積時間K(初期稼働時および熱電対センサSEの交換後はK=0)を取得する(ステップS2402)。
【0179】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、測定対象装置温度情報取得部1801から測定対象装置温度情報を、計時部1803から計時情報を取得する(ステップS2403)。
【0180】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、測定対象装置温度の上限値Txを取得する(ステップS2404)。
【0181】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、測定対象装置温度情報に基づく現在の測定対象装置温度と上限値Txとを比較し、上限値を超えたか判定する(ステップS2405A)。超えていなければ(S2405A;No)、上記S2403~S2405Aまでを繰り返す。
【0182】
熱電対交換タイミング情報出力部1808は、測定対象装置温度が上限値Txを超えて所定間隔継続したと判定した場合(S2405A;Yes)、温度超過が、1インターバル継続(測定対象装置温度情報の取得間隔;例えば1分)以上、継続しているか判断する(ステップS2405B)。熱電対交換タイミング情報出力部1808は、S2405Aにおける温度超過の最初の判定をしてから、2回目以降の判定を行うとき、この判断において「継続している」と構成されていてもよい。あるいはこの判断を温度超過が開始された時点から計時情報に基づき計時してもよい。
【0183】
測定対象装置温度が上限値Txを超えて所定間隔継続したと判定した場合(S2405A;Yes)、測定対象装置温度情報の取得の時間間隔(例えば1分)を経過時間T1として(ステップS2406)、S2402で取得した累積時間Kに加算する(ステップS2407)。
【0184】
次に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、完成ルールを参照し、測定対象装置温度の上限値を超えた累積時間の上限値Nを読み出す。さらに熱電対交換タイミング情報出力部1808は、S2407で加算した結果、累積時間が当該上限値Nを超えた(K>N)か判定する(ステップS2408)。超えていなければ(S2408;No)、上記S2403~S2408までを繰り返す。
【0185】
熱電対交換タイミング情報出力部1808は、累積時間が上限値を超えたと判定した場合(S2408;Yes)、熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力を実行する(S2409)。
【0186】
熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力が実行された後、熱電対交換タイミング情報出力部1808は、ユーザにより熱電対センサSEの交換がされたことを示す信号を受けたか判断する(S2410)。例えば、図示しない熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力後、交換を検知する。またはユーザに交換を実施したか確認するメッセージを出力して、対応するユーザの入力に基づいて判断する。交換がされたことを示す信号を受けたと判断した場合、(S2410;Yes)、ステップS2401に戻る。交換がされていないと判断した場合、(S2410;No)上記S2403~S2409までを繰り返す。
【0187】
なお、上記各ステップは、熱電対センサ装置に接続された熱電対センサのチャンネルごとに実行される。
【0188】
このように、本実施形態4によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0189】
本実施形態5は、実施形態4を基本としつつ、重み付け補正を実行する。つまり実施形態3の完成ルールを所定重付超過回数依存ルールから所定重付超過時間依存ルールに置き換えた実施形態である。
<実施形態5 ルール保持部>
【0190】
ルール保持部1807は、所定重付超過時間依存ルールを有する。所定重付超過時間依存ルール保持手段は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、所定の測定対象装置温度に応じて設定される重みづけ値と、その重み付けされた所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた時間によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定重付超過時間依存ルールを保持する。
【0191】
すなわち実施形態5の熱電対寿命要素は、所定の測定対象装置温度としての複数の「判定温度」と、この所定の測定対象装置温度に応じて設定される「重みづけ値」と、「複数の判定温度を超えた累積時間を、重み付け値で補正した値の総和」である。この補正値に基づいて熱電対交換タイミング情報を出力させる。
【0192】
ルール保持部1807における所定重付超過時間依存ルール保持手段は、所定重付超過時間依存ルールを保持する。実施形態5の完成ルールである所定重付超過時間依存ルールの一例を
図25に示す例で説明する。実施形態5では熱電対センサの許容温度の上限が一律に設定されるのではなく、第1の熱電対寿命要素として、熱電対センサに負荷がかかるとされる「判定温度」が段階的に設定される。また第2の熱電対寿命要素として段階的な判定温度に対応する重み付け値が設定される。重み付け値は、実施形態3と同様である。さらに、実施形態3と同様、超過判定累積時間は判定温度ごとに重み付け値で補正された数値の総和が用いられる。この総和を上限として設定がなされる。この上限が実施形態5における第3の熱電対寿命要素である。
【0193】
<実施形態5 熱電対寿命要素の具体例>
【0194】
図25の例において説明すると、設定された許容温度の判定温度は「800℃」、「900℃」、「1000℃」、「1100℃」、「1200℃」である。また、重み付け値は、「800℃」に対して「1」、「900℃」に対して「2」、「1000℃」に対して「3」、「1100℃」に対して「4」、「1200℃」に対して「5」である。
【0195】
すなわち、判定温度800℃を超えると、熱電対交換タイミング情報出力部1808中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断し、経過時間(例えば400時間)を計時し、さらにTn1として「重み付け値1」との積が求められる。判定温度900℃を超えると、経過時間(例えば350時間)を計時し、Tn2として「重み付け値2」との積が求められる。判定温度1000℃を超えると、経過時間(例えば300時間)を計時し、Tn3として「重み付け値3」との積が求められる。判定温度1100℃を超えると、経過時間(例えば250時間)を計時し、Tn4として「重み付け値4」との積が求められる。判定温度1200℃を超えると、経過時間(例えば200時間)を計時し、Tn5として「重み付け値5」との積が求められる。
【0196】
図25のルールにおいては、重み付け値で補正された累積時間補正値の上限NとしてN=5000(時間)も設定され、関数f=Tn
1*C800+Tn
2*C900+Tn
3*C1000+Tn
4*C1100+Tn
5*C1200>5000の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部1808は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0197】
実施形態5における判定温度それぞれは、ユーザにより設定されるものであるが、例えば耐用温度を基準に設定される。つまり判定温度の下限値がその熱電対センサの耐用温度であってもよく、耐用温度が上限値や中央値として設定されてもよい。
【0198】
このように、本実施形態5によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態5では、熱電対センサの劣化を判定するための複数の判定温度と、判定温度超過累積時間の判定温度別の重み付け補正をする。よって、より詳細な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
【0199】
本実施形態6は、実施形態2および4を組み合わせたものである。つまり、完成ルールが所定超過回数依存ルールと所定超過時間依存ルールとによって構成される。
【0200】
図26に示すように、実施形態2における熱電対センサ装置も熱電対センサSEと、熱電対センサSEが接続される装置本体とを備えて構成される。装置本体は、測定対象装置温度情報取得部2601と、計時部2603と、測定対象装置稼働状況情報表示部2604と、テンプレートルール保持部2605と、ルール完成部2606と、ルール保持部2607と、熱電対交換タイミング情報出力部2608と、を有する。以下では、実施形態1と同様な構成については説明を省略することとし、実施形態6に特徴的な構成について説明する。
【0201】
<実施形態6 熱電対寿命要素入力画面>
【0202】
図27に示すように、所定超過回数依存ルールでは、所定の測定対象装置温度と、所定の測定対象装置温度を超えた累計回数の上限値とが「熱電対寿命要素」として設定される。所定超過時間依存ルールでは、所定の測定対象装置温度と、所定の測定対象装置温度を超えた時間を加算した累積時間の上限値とが「熱電対寿命要素」として設定される。所定の測定対象装置温度は上記実施形態と同様である。
【0203】
実施形態6においても実施形態1と同様に熱電対寿命要素入力画面より、各設定値やチャンネルの入力が可能であり、また設定に関する各種表示がなされる(
図27参照)。つまり、実施形態6の熱電対寿命要素入力画面においても、熱電対チャンネル表示欄27A01、基準温度表示欄27A02、所定超過時間表示欄27A03、アローボタン27A04(以上、所定超過時間依存ルール関連)が設けられている。また熱電対チャンネル表示欄27B01、基準温度表示欄27B02、所定超過回数表示欄27B03、アローボタン27B04(以上、所定超過時間依存ルール関連)が設けられている。また、スナップショットボタン2705、時刻表示欄2706、操作ボタン2707、コピー元選択ボタン2708、コピー先選択ボタン2709、コピー実行ボタン2710、戻るボタン2711が設けられている。これらの説明は実施形態1,2および4と同様であるため省略する。
【0204】
図28に示すように、「ルール保持部」2607は、所定超過回数依存ルール保持手段と所定超過時間依存ルールとを有する。所定超過回数依存ルール保持手段は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を、取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた回数によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過回数依存ルールを保持する。所定超過時間依存ルール保持手段は、完成したルールとして、熱電対寿命要素を所定の測定対象装置温度と、その所定の測定対象装置温度を取得した測定対象装置温度情報で特定される温度が超えた時間によって熱電対交換タイミング情報を出力させるルールである所定超過時間依存ルールを保持する。ルール保持部2607は、所定超過回数依存ルール保持手段において、ルール完成部2606が完成した所定超過回数依存ルールを、所定超過時間依存ルール保持手段において、所定超過時間依存ルールを、それぞれ読み出し可能に保持する。
【0205】
熱電対交換タイミング情報出力部2608における熱電対交換タイミング情報の一例につき
図29を参照して説明する。
図29は、装置本体に設けられ、あるいは装置本体に接続されたディスプレイに表示される熱電対交換タイミング情報の出力状態を示している。
図29の例において、熱電対交換タイミング情報出力部2608は、回数の上限値を超えているチャンネルおよび累積時間の上限値を超えているチャンネルの少なくとも一方があれば、そのチャンネルを示す情報と数値を不揮発性メモリ3003(
図30参照)から読出す。また熱電対交換タイミング情報出力部2608は、例えば各チャンネルの現在の累積判定回数および累積判定回数の上限値と、現在の上限温度超過時間の累積時間および累積時間の上限値をこの画面フォーマットに割当て、一覧表示する。さらに熱電対交換タイミング情報出力部2608は、累積時間あるいは累積判定回数の上限値を超えているチャンネルについては、他のチャンネルの欄と識別できるように強調表示する(
図29:符号2901参照)。つまり、所定超過時間依存ルール又は、所定超過回数依存ルールのいずれかのルールにおいて上限値を超過すると熱電対交換タイミング情報を出力するように構成されている。
【0206】
なお、所定超過回数依存ルールに基づきで累積回数の上限を超えたと判断され、さらに所定超過時間依存ルールに基づいて累積回数の上限を超えたと判断された場合において、すなわち2つのルールの双方で上限を超えたと判断した場合に熱電対交換タイミング情報の出力をする構成であってもよい。
【0207】
<実施形態6 ハードウェア構成>
【0208】
図30に示すように、上記した本装置の機能ブロック図における各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)3001や主メモリ3002、システムバス、あるいは不揮発性メモリ(ハードディスクドライブや、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)3003、入力デバイスI、ディスプレイD、スピーカーSを含むインターフェースI/Fを挙げることができる(
図30参照)。不揮発性メモリ3003には、その他、測定対象装置温度情報、計時情報、テンプレートルール、完成ルール(本実施形態では「所定超過回数依存ルール」および「所定超過時間依存ルール」)、熱電対交換タイミング情報も記憶される。その他は実施形態1と同様である。
【0209】
<実施形態6 動作説明>
【0210】
以下、
図31のフローチャートを用いて完成ルールの設定に関する動作について説明する。
【0211】
図31に示すように、まず、本実施形態の熱電対センサ装置をユーザが利用するために、ルール完成部2606は、テンプレートルール取得ステップを実行する。このステップにおいて、ルール完成部2606は、テンプレートルール保持部2605からテンプレートルールを読出し、表示し、ユーザに、熱電対交換タイミング情報の出力条件にかかる完成ルールの設定を促す(ステップS3101)。
【0212】
ディスプレイD等において、所定の画面領域に熱電対寿命要素を入力可能なテンプレートルール表示画面が表示されると、次に、ユーザにより入力デバイスIを介して熱電対センサSEのチャンネルごとの熱電対寿命要素が入力される。本実施形態では、測定対象装置温度の上限値と、測定対象装置上限温度超過回数の上限値と、測定対象装置温度超過時間の上限値とが入力される。すなわち、まず熱電対センサSEのチャンネルが選択され(ステップS3102)、次にルール保持部2607は、所定の入力欄に入力された数値を、チャンネルごとに測定対象装置温度上限値Tx(ステップS3103)と、回数上限値・累積時間上限値(N1=10,N2=100;ステップS3104)とに識別して受けつける。
【0213】
さらにルール保持部2607は、入力デバイスI等から入力完了を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS3105)。
【0214】
さらにルール保持部2607は、当該信号が入力されると(S3105;Yes)、ルール保持部2607は、ステップS3103,S3104で入力された各入力値をルールとして記憶する(ステップS3106)。当該信号が入力されずにステップS3102に戻り設定するチャンネルが選択される場合もある(S3105;No)。
【0215】
以下、
図32のフローチャートを用いて熱電対交換タイミング情報出力に関する動作について説明する。
【0216】
図32に示すように、まず、熱電対センサ装置における熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置が稼働されたことに応じて、ルール完成部2606から完成ルール(所定超過回数依存ルール・所定超過時間依存ルール)を読み出す(ステップS3201)。
【0217】
次に熱電対交換タイミング情報出力部2608は、ルール保持部2607に保持されているルールを形成する関数(
図11A・19AのF(1100℃))の値である現在までの上限超過累積時間K1と、上限温度超過回数K2とを取得する(ステップS3202)。なお、初期稼働時、熱電対センサSEの交換後はK1=0,K2=0となる。
【0218】
次に熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置温度情報取得部2601から測定対象装置温度情報を、計時部2603から計時情報を取得する(ステップS3203)。
【0219】
次に熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置温度の上限値Txを取得する(ステップS3204)。
【0220】
次に熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置温度情報に基づく現在の測定対象装置温度と上限値とを比較し、上限値Txを超えたか判定する(ステップS3205A)。超えていなければ(S3205A;No)、上記S3203~S3205Aまでを繰り返す。
測定対象装置温度が上限値Txを超えて所定間隔継続したと判定した場合(S2405A;Yes)
【0221】
熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置温度が上限値Txを超えて所定間隔継続したと判定した場合(S3205A;Yes)、温度超過が、1インターバル継続(測定対象装置温度情報の取得間隔;例えば1分)以上、継続しているか判断する(ステップS3205B)。熱電対交換タイミング情報出力部2608は、S3205Aにおける温度超過の最初の判定をしてから、2回目以降の判定を行うとき、この判断において「継続している」と判断するように構成されていてもよい。あるいはこの判断を温度超過が開始された時点から計時情報に基づき計時してもよい。
【0222】
熱電対交換タイミング情報出力部2608は、測定対象装置温度が上限値を超えて所定間隔継続したと判定した場合(S3205B;Yes)、測定対象装置温度情報の取得の時間間隔(例えば1分)を経過時間T1として(ステップS3206)、S3202で取得した累積時間K1に加算する(ステップS3207)。
【0223】
同様に測定対象装置温度が上限値を超えたと判定した場合(S3205A;Yes)、測定対象装置温度の上限値超過回数が加算され、S3202で取得したK2に1インクリメントされる(ステップS3208)。超過時間の計時と、超過回数の加算はいずれが先であってもよく、同時であってもよい。
【0224】
次に熱電対交換タイミング情報出力部2608は、完成ルールを参照し、測定対象装置温度の上限値を超えた時間と回数の累積の上限値N1,N2を読み出す。さらに熱電対交換タイミング情報出力部2608は、S3207の累積時間K1が上限値N1を超えるか、S3208の累積回数K2が,N2を超えるかそれぞれ判定する(ステップS3209)。累積時間K1および累積回数K2の双方が超えていなければ(S3209;No)、上記S3203~S3209までを繰り返す。
【0225】
熱電対交換タイミング情報出力部2608は、累積時間K1または累積回数K2が対応する上限値を超えたと判定した場合(S3209;Yes)、熱電対センサSEの交
換タイミング情報の出力を実行する(S3210)。
【0226】
熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力が実行された後、熱電対交換タイミング情報出力部2608は、ユーザにより熱電対センサSEの交換がされたことを示す信号を受けたか判断する(S3211)。例えば、図示しない熱電対センサSEの交換タイミング情報の出力後、交換を検知する。またはユーザに交換を実施したか確認するメッセージを出力して、対応するユーザの入力に基づいて判断する。交換がされたことを示す信号を受けたと判断した場合、(S3211;Yes)、ステップS3201に戻る。交換がされていないと判断した場合、(S3211;No)上記S3203~S3210までを繰り返す。
【0227】
なお、上記各ステップは、熱電対センサ装置に接続された熱電対センサのチャンネルごとに実行される。
【0228】
このように、本実施形態6によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態7>
<実施形態7 概要>
【0229】
本実施形態7は、実施形態1~6を基本としつつ、熱電対センサSEの属性情報を含む測定対象装置固有情報により、熱電対寿命要素の設定支援情報の出力が実行される。
【0230】
図33に示すように、実施形態7における熱電対センサ装置も熱電対センサSEと、測定対象装置温度情報取得部3301と、計時部3303と、測定対象装置稼働状況情報表示部3304と、テンプレートルール保持部3305と、ルール完成部3306と、ルール保持部3307と、熱電対交換タイミング情報出力部3308と、測定対象装置固有情報保持部3302と、設定支援情報出力部3309とを有する。以下では、実施形態1~6と同様な構成については説明を省略することとし、実施形態7に特徴的な構成である熱電対寿命要素の設定支援情報保持手段を中心に説明する。
【0231】
<実施形態7 構成:測定対象装置固有情報保持部>
【0232】
測定対象装置固有情報保持部3302は、測定対象装置固有情報を保持する。実施形態7の一例では、ルール保持部3307において、測定対象装置に使用している熱電対センサSEのチャンネルごとの熱電対センサの種類等が記憶されている。この記憶されている熱電対センサの属性情報は測定対象装置固有情報の一例である。
図34における例によれば、使用している熱電対センサのメーカー、種類、素線径、保護管材質が記憶されている。
【0233】
これら熱電対センサのメーカー、種類、素線径、保護管材質によって、熱電対センサの劣化の進み具合(耐久性)が異なってくるため、上記実施形態における熱電対寿命要素の設定の際に、熱電対の種類に応じてユーザに熱電対寿命要素の設定支援情報を提供することにより、より正確な熱電対寿命要素の設定が可能となる。
【0234】
<実施形態7 設定支援情報出力部>
【0235】
実施形態7の設定支援情報出力部3309は、測定対象装置固有情報に対応する、熱電対寿命要素の設定支援情報を出力する。一例として、
図34のような熱電対センサの属性情報から予測される、熱電対センサごとの劣化のしやすさの指標に基づき、熱電対センサSEにおける、各実施形態における熱電対寿命要素の参考値(推奨値)が設定支援情報としてディスプレイDに表示(図示なし)されてもよい。
【0236】
<実施形態7 設定支援情報の具体例>
【0237】
この表示については、設定支援情報出力部3309が実行する。なお、各実施形態における熱電対寿命要素とは、許容測定対象装置温度の上限、所定超過回数(実施形態1)、許容温度超過回数上限値(実施形態2,6)、重み付け値で補正された許容温度超過回数の上限(実施形態3)、許容温度超過時間上限値(実施形態4,6)、重み付け値で補正された許容温度超過時間の上限(実施形態5)等である。
【0238】
上記設定支援情報の変形例として、属性情報に基づく劣化のしやすさの指標に基づき、熱電対寿命要素の参考値(推奨値)の範囲(上限値および下限値)が設定支援情報としてディスプレイDに表示されてもよい(図示なし)。
【0239】
また、他の例として、上記各実施形態における熱電対寿命要素がユーザにより設定された後、熱電対の種類等に応じて、設定後の熱電対寿命要素の数値の修正提案が設定支援情報として表示される構成であってもよい。設定後の熱電対寿命要素の数値の修正提案とは、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0240】
まず、熱電対センサの属性情報から予測される、熱電対センサごとの劣化のしやすさの指標に基づき、当該指標が係数として設定される。その係数に基づきユーザが設定した熱電対寿命要素の数値を補正し、その補正後の数値が上記と同様に設定支援情報としてディスプレイDに表示される。
【0241】
なお設定支援情報出力部3309は、ディスプレイDに設定支援情報を表示させた後、ユーザーに、設定支援情報を熱電対寿命要素としてそのまま適用するかについて選択を促すメッセージと、選択をするための表示(「Y/N」等)を表示させてもよい。この場合、ルール完成部3306は、入力デバイスI等からいずれかの選択を示す信号が入力されるまで待機し、選択がなされるとそれに応じて熱電対寿命要素を設定する。
【0242】
熱電対寿命要素の参考値(推奨値)の範囲が設定支援情報である場合、設定支援情報出力部3309は、入力デバイスI等からいずれかの選択を示す信号が入力されるまで待機する。設定支援情報出力部3309は、設定支援情報を採用する旨の入力がなされると、熱電対寿命要素の参考値(推奨値)の範囲と、その範囲内で熱電対寿命要素を入力可能な表示を行う。入力デバイスI等を介して、範囲内のいずれかの数値が入力されると、それに応じて熱電対寿命要素を設定する。
【0243】
このように、本実施形態7によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態7では、熱電対センサの属性情報のような測定対象装置固有情報に基づき、熱電対の寿命要素の設定支援情報をユーザに提示することができる。知識や経験が少ないユーザの設定の支援をすることができ、また経験が豊富なユーザに対しても設定支援情報を提示することで設定ミスを防ぐことが可能となる。よって、より詳細な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
<実施形態8>
<実施形態8 概要>
【0244】
実施形態8では、実施形態3の重み付け要素が熱電対センサSEの属性情報を含む測定対象装置固有情報に基づき設定される。
【0245】
実施形態3の所定重付超過回数依存ルールでは、第1の熱電対寿命要素として、熱電対センサに負荷がかかるとされる「判定温度」が段階的に設定される。また第2の熱電対寿命要素として段階的な判定温度に対応する重み付け値が設定される。実施形態8では、この第2の熱電対寿命要素の重み付け値が熱電対センサSEの属性情報を含む測定対象装置固有情報により、設定される。
【0246】
例えばルール保持部1007は、
図35の左側の表に示すように、熱電対センサSEのチャンネルごとに、熱電対センサの属性情報に応じた、段階的な判定温度ごとの重み付け値を保持している。この保持は、チャンネルごとの熱電対センサの属性情報が与えられると、本装置によって自動的に与えられるものである。熱電対センサの属性情報は、熱電対センサそのものに記憶されている情報を本装置が自動的に読み取ってもよいし、利用者、操作者が手入力するものであってもよい。なお、左側の表のK
1は、判定温度800℃に対応する重み付け値である。同様にK
2は判定温度900℃、K
3は1000℃、K
4は1100℃、K
5は1200℃に対応する重み付け値である。
【0247】
この例において本実施形態を説明する。例えば、チャンネルCH1について判定温度800℃を超えると、熱電対交換タイミング情報出力部0108中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断し、1と「重み付け値4」との積が加算される。判定温度900℃を超えると、1と「重み付け値5」との積が加算される。判定温度1000℃を超えると、1と「重み付け値6」との積が加算される。判定温度1100℃を超えると、1と「重み付け値7」との積が加算される。判定温度1200℃を超えると、1と「重み付け値8」との積が加算される。
【0248】
<実施形態8 所定重付超過回数依存ルールの具体例>
【0249】
図35のルールにおいては、重み付け値で補正された判定回数補正値の上限NとしてN=150(回)も設定され、関数f=K
1*C800+ K
2*C900+ K
3*C1000+ K
4*C1100+ K
5*C1200>150の関係をこのルールが満たした場合に熱電対交換タイミング情報出力部1008は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0250】
このように、本実施形態8によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内に設置されている熱電対センサの属性に応じて、適切な熱電対寿命要素を設定できるように重み付けが自動化される。その結果、同じ雰囲気あるいは同じ測定対象物(金型等)であっても異なる熱電対センサの属性に応じて異なる劣化の進み具合を想定し適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態8では、熱電対センサの劣化を判定するための複数の判定温度と、判定温度超過回数の判定温度別の重み付け補正を、熱電対センサの属性情報に基づいた指標(係数)によって実行することも可能である。
<実施形態9>
<実施形態9 概要>
【0251】
実施形態9では、実施形態5の重み付け要素が熱電対センサSEの属性情報を含む測定対象装置固有情報に基づき設定される。
【0252】
実施形態9の所定重付超過時間依存ルールでは、第1の熱電対寿命要素として、「判定温度」が段階的に設定される。また第2の熱電対寿命要素として段階的な判定温度に対応する重み付け値が熱電対センサSEの属性情報を含む測定対象装置固有情報に基づき設定される。
【0253】
例えばルール保持部1807は、
図36に示すように熱電対センサSEのチャンネルごとに、熱電対センサの属性情報に応じて、段階的な判定温度ごとに、実際に超過した時間に対する重み付け値を記憶している。
【0254】
例えば判定温度800℃に対してはTn1として「重み付け値1」が、判定温度900℃に対してはTn2として「重み付け値2」が、判定温度1000℃に対してはTn3として「重み付け値3」が、判定温度1100℃に対してはTn4として「重み付け値4」が、判定温度1200℃に対しては、Tn5として「重み付け値5」が、それぞれ重み付け値として設定されている。
【0255】
以下は実施形態8の所定重付超過回数依存ルールを所定重付超過時間依存ルールに置き換えた処理を実行する。例えば、チャンネルCH1について判定温度800℃を超えると、熱電対交換タイミング情報出力部1808中の関数Fが熱電対センサSEの劣化が進んだと判断し、経過時間(例えば400時間)を計時し、さらにTn1として「重み付け値4」との積が求められる。判定温度900℃を超えると、経過時間(例えば350時間)を計時し、Tn2として「重み付け値5」との積が求められる。判定温度1000℃を超えると、経過時間(例えば300時間)を計時し、Tn3として「重み付け値6」との積が求められる。判定温度1100℃を超えると、経過時間(例えば250時間)を計時し、Tn4として「重み付け値7」との積が求められる。判定温度1200℃を超えると、経過時間(例えば200時間)を計時し、Tn5として「重み付け値8」との積が求められる。
【0256】
<実施形態9 所定重付超過時間依存ルールの具体例>
【0257】
一例として、重み付け値で補正された判定時間補正値の上限NとしてN=5000(時間)も設定され、関数f=Tn1*C800+ Tn2*C900+ Tn3*C1000+ Tn4*C1100+ Tn5*C1200>5000の関係をこのルールが満たした場合に、熱電対交換タイミング情報出力部1808は、熱電対交換タイミングであることを示す情報の出力を実行する。
【0258】
実施形態9は実施形態8と組み合わせることが可能である。
【0259】
このように、本実施形態9によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態9では、熱電対センサの劣化を判定するための複数の判定温度と、判定温度超過時間の判定温度別の重み付け補正を、熱電対センサの属性情報に基づいた指標(係数)によって実行する。よって、より詳細な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。
【0260】
<実施形態10 概要>
本実施形態では、熱電対の交換タイミングの情報を集約的に判断し指示するサーバを有し、各測定対象装置稼働状況情報表示装置に対して熱電対交換タイミング情報出力サーバが交換タイミング情報を出力するように構成されている。熱電対交換タイミング出力サーバと測定対象装置稼働状況情報表示装置とは、ネットワークを介して通信するように構成されている。ネットワークは、LANであってもWANであってもよい。
【0261】
<実施形態10 構成>
本実施形態の熱電対センサシステムは、測定対象装置稼働状況情報表示装置と、熱電対交換タイミング情報出力サーバとからなる。
測定対象装置稼働状況情報表示装置は、交換可能な熱電対センサSEと、測定対象装置温度情報取得部3701と、計時部3703と、測定対象装置稼働状況情報表示部3704と、測定対象装置稼働状況情報送信部3702Tと、を備える。
熱電対交換タイミング情報出力サーバは、測定対象装置稼働状況情報受信部3702Rと、テンプレートルール保持部3705と、ルール完成部3706と、ルール保持部3717、熱電対交換タイミング情報出力部3708と、を有する。
<実施形態10 構成の説明>
【0262】
<実施形態10 測定対象装置稼働状況情報表示装置>
測定対象装置稼働状況情報表示装置は測定対象装置の管理者、運用者が利用するもので一般的には工程を管理しやすいように測定対象装置の近辺に配置される。測定対象装置に設置されている熱電対からの信号を精度よく取得できる位置に配置される。
【0263】
「交換可能な熱電対センサSE」と、「測定対象装置温度情報取得部3701」と、「計時部3703」と、「測定対象装置稼働状況情報表示部3704」とに関しては、すでに説明したとおりであるので説明を省略する。
【0264】
「測定対象装置稼働状況情報送信部」は、測定対象装置の稼働状況情報を前記熱電対交換タイミング情報出力サーバに対して出力する。出力はリアルタイムで行われるのが原則であるが、詳細には、数秒単位に情報をまとめて送信するように構成してもよい。さらに、事後的に出力するような構成を採用することも可能である。つまり、リアルタイムで情報を送信しつつ、事後的に重ねて出力するように構成するものである。事後的に再度処理工程の状況を確認するために用いることができる。また送信先は、一つのサーバに限定されることなく、複数のサーバに対して送信されるように構成してもよい。また、送信先として前述の熱交換タイミング情報出力サーバに送信するとともに、他の端末に対して情報を送信してもよい。例えば、処理工程に関連している複数の管理者の携帯端末に送信して離れた場所にいても測定対象装置の状況情報を知ることができるように構成できる。稼働状況情報として、さらに、測定対象装置近辺のIoT機器と通信を行い、それらから得られる情報を送信するように構成することもできる。近辺のIoT機器としては連携して動作している装置であったり、工程管理をしている管理者の携帯する携帯端末の情報、あるいは管理者自身の生体情報や、測定対象装置の設置される現場の環境情報などが含まれていてもよい。環境情報とは、気温、湿度、室内気圧、室外機圧、室内外気圧差、照度、騒音、などである。
【0265】
「測定対象装置稼働状況情報送信部」3702Tは、測定対象装置の稼働状況情報を後述する熱電対交換タイミング情報出力サーバに送信する。
【0266】
<実施形態10 熱電対交換タイミング情報出力サーバ>
熱電対交換タイミング情報出力サーバは、前記測定対象装置稼働状況情報表示装置からの稼働状況情報やその他の情報を受信する。受信は前述のとおりネットワークを介して受信するが、可搬型媒体を介して情報を受信するように構成することも可能である。可搬型媒体とは、USB、携帯型ハードディスク、DVDなどである。また管理者の有する携帯端末から近距離無線等を利用して情報を取得するように構成することも可能である。
【0267】
「測定対象装置稼働状況情報受信部」3702Rは、送信された測定対象装置稼働状況情報を受信する。受信の形式は前述のとおりであり、リアルタイムに受信する方式と事後的に受信する方式の複数の受信形式があってもよい。さらにリアルタイムで受信するばあいでも多少の時間遅れは生じるので、送信元の計時情報と受信した際の計時情報とを記録したり、差分値を記録したりすることも可能である。特に、ワールドワイドなネットワークを介して、世界中の工程管理や、監視を1か所で行う場合には計時情報の基準を設ける必要がある。
【0268】
「テンプレートルール保持部」3705と、「ルール完成部」3706と、「ルール保持部」3707と、に関しては、原則的にはすでに説明したとおりであるが多少の追加説明をする。
「テンプレートルール保持部」は、原則的に本サーバに設置するが、クライアント側、すなわち測定対象装置稼働状況情報表示装置に配置してもよい。
「ルール完成部」は原則的に本サーバに設置するが、クライアント側、すなわち測定対象装置稼働状況情報表示装置に配置してもよい。その場合には完成したルールがサーバ側に送信されて利用される。また、ルール完成部は、クライアント側からの情報入力を受付ける形でサーバ側にて完成されるように構成することも可能である。
「ルール保持部」は、接続されている測定対象装置稼働状況情報表示装置ごとの、対応する完成ルールを保持する。従って、測定対象装置稼働状況情報表示装置の識別情報と関連付けてルールが保持されるように構成することが好ましい。
テンプレートルール保持部3705が保持するテンプレートルールは、接続されている測定対象装置稼働状況情報表示装置ごとに異なるものであってもよく、また接続されている複数の測定対象装置稼働状況情報表示装置のうち、2以上の装置に共通するものであってもよい。
【0269】
「熱電対交換タイミング情報出力部」3708は、受信した測定対象装置稼働状況情報と、保持されているルール、すなわち測定対象装置稼働状況情報を送信した測定対象装置稼働状況情報表示装置についての完成ルールとに基づいて熱電対交換タイミング情報を出力する。熱電対交換タイミング情報の出力はネットワークを介して管理している測定対象装置稼働状況情報表示装置の識別情報と関連付けて一覧表示されるように構成してもよい。測定対象装置稼働状況情報表示装置からの稼働状況情報は、各装置の識別情報に関連付けられて送信され、本サーバにて受信される。
【0270】
この熱電対交換タイミング情報の出力先は、接続されている測定対象装置稼働状況情報表示装置のうち、測定対象装置稼働状況情報を送信した測定対象装置稼働状況情報表示装置である。測定対象装置稼働状況情報表示装置は、熱電対交換タイミング情報を受信して、熱電対の交換タイミングであることをユーザーや管理者に報知する。この報知の方法については、上述のとおりである。
【0271】
このように、本実施形態10によれば、炉等の測定対象装置の測定空間ごとに異なる測定対象装置内の温度、雰囲気や、測定対象物(金型等)に応じて、熱電対寿命要素を設定することができる。その結果、劣化の進み具合に応じて、適切な熱電対センサの交換タイミングを提示することができる。さらに、実施形態10では、これらの測定対象装置稼働状況情報を外部のサーバ、クラウドに出力して、そこで一括して熱電対の交換タイミングの判定をすることができ、接続されている複数の測定対象装置稼働状況情報表示装置全体(例えば工場全体)のセンサの運用状況の管理の効率化の向上を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0272】
0101,1001,1801,2601,3301,3701:測定対象装置温度情報取得部
3702R :測定対象装置温度情報送信部
3702T :測定対象装置温度情報受信部
0103,1003,1803,2603,3303,3703:計時部
0104,1004,1804,2604,3304,3704:測定対象装置稼働状況情報表示部
0105,1005,1805,2605,3305,3705:テンプレートルール保持部
0106,1006,1806,2606,3306,3706:ルール完成部
0107,1007,1807,2607,3307,3707:ルール保持部
0108,1008,1808,2608,3308,3708:熱電対交換タイミング情報出力部
0204 :温度変化表示グラフ
0205 :温度変化予定表示グラフ
SE :熱電対センサ