(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】液晶媒体
(51)【国際特許分類】
C09K 19/54 20060101AFI20220502BHJP
C09K 19/06 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20220502BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20220502BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
C09K19/54 C
C09K19/06
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/34
G02F1/13 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017099642
(22)【出願日】2017-05-19
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン フン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス ホアン
(72)【発明者】
【氏名】マックス ニエン
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047918(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105295955(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105419816(CN,A)
【文献】特開2016-053019(JP,A)
【文献】特開2015-131956(JP,A)
【文献】特開2016-041804(JP,A)
【文献】特開2015-120907(JP,A)
【文献】特開2014-084460(JP,A)
【文献】特開2013-144796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00 - 19/60
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Y、CY、PYおよびLYから選択される1種以上の化合物と、式S1
-2の1種以上の化合物と、式S2の1種以上の化合物とを含み、
【化1】
前記式中、個々の基は、互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって、以下の意味を有する:
【化2】
は、
【化3】
であり、
【化4】
は、
【化5】
であり、
【化6】
は、
【化7】
であり、ここで、少なくとも1つの環Fは、シクロヘキセニレンであり、
R
1、R
2は、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキルであり、
Z
x、Z
yは、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH
2O-または単結合であり、
L
1~4は、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2であり、
n1は、2から12までの整数であり、かつ基(CH
2
)
n1
中の1つ以上のH原子は、任意にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基によって置き換えられており、
aは、1または2であり、
bは、0または1であり、
fは、1または2であり、
nは、1から6までの整数であり、かつ
正の誘電異方性を有する、
液晶(LC)媒体
であって、
前記液晶(LC)媒体は、式AAおよびBB:
【化8】
[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化9】
は、それぞれ互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって、
【化10】
であり、
R
21
、R
31
は、それぞれ互いに独立して、1個~9個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルもしくはアルコキシアルキル、または2個~9個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシを示し、それら全ては任意にフッ素化されており、
X
0
は、F、Cl、1個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキルもしくはアルコキシ、または2個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、
Z
31
は、-CH
2
CH
2
-、-CF
2
CF
2
-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH
2
O-または単結合であり、
L
21
、L
22
、L
31
、L
32
は、HまたはFであり、
gは、0、1、2または3である]から選択される1種以上の化合物を更に含み、かつ
前記式Y、CY、PYおよびLYから選択される1種以上の化合物の濃度は、2質量%から15質量%までである、
液晶(LC)媒体。
【請求項2】
式S1
-2の化合物は、以下の下位式
【化11】
【化12】
から選択されることを特徴とする、請求項
1に記載のLC媒体。
【請求項3】
式S2の化合物は、以下の下位式
【化13】
から選択されることを特徴とする、請求項1
または2記載のLC媒体。
【請求項4】
式S1-2の化合物は、
【化14】
から選択され、かつ
式S2の化合物は、
【化15】
から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項5】
式CC:
【化16】
[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化17】
は、それぞれ互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって、
【化18】
であり、
R
41、R
42は、それぞれ互いに独立して、1個~9個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルもしくはアルコキシアルキル、または2個~9個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、それら全ては任意にフッ素化されており、
Z
41、Z
42は、-CH
2CH
2-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH
2O-、-CF
2O-、-C≡C-または単結合であり、
hは、0、1、2または3である]から選択される1種以上の化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項6】
式ANおよびAY:
【化19】
[式中、個々の基は、それぞれの場合に同一または異なって、それぞれ互いに独立して、以下の意味を有する:
【化20】
は、
【化21】
であり、
【化22】
は、
【化23】
であり、
【化24】
は、
【化25】
であり、
R
A1は、2個~9個の炭素原子を有するアルケニルであり、または環X、YおよびZの少なくとも1つがシクロヘキセニルを示すのであれば、またR
A2の意味の1つであり、
R
A2は、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキルであり、
Z
xは、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH
2O-または単結合であり、
L
1,2は、H、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2であり、
xは、1または2であり、
zは、0または1であり、
L
3,4は、Fである]から選択される1種以上の化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項7】
請求項1から
6までのいずれか1項で定義されるLC媒体を含むLCディスプレイ。
【請求項8】
VA、PSA、PS-VA、PA-VA、PALC、FFS、PS-FFS、IPSまたはPS-IPSディスプレイである、請求項
7に記載のLCディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶媒体、特に極性化合物の混合物を基礎とする液晶媒体、および前記液晶媒体の、アクティブマトリックス方式ディスプレイのための、特にVA、PSA、PS-VA、PA-VA、PALC、FFS、PS-FFS、IPSまたはPS-IPS効果を基礎とするアクティブマトリックス方式ディスプレイのための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の媒体は、特にECB効果を基礎とするアクティブマトリックス・アドレッシング駆動を有する電子光学的ディスプレイおよびIPS(インプレインスイッチング)方式ディスプレイまたはFFS(フリンジ電界スイッチング)方式ディスプレイのために使用することができる。
【0003】
電界制御型複屈折、つまりECB効果またはDAP(配向相変形)効果の原理は、1971年に初めて記載された(M.F.SchieckelおよびK.Fahrenschon,「電界において垂直配向を有するネマチック液晶の変形(Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields)」,Appl.Phys.Lett.19(1971),3912)。その後、J.F.Kahn(Appl.Phys.Lett.20(1972),1193)ならびにG.LabrunieおよびJ.Robert(J.Appl.Phys.44(1973),4869)による報文が続いた。
【0004】
J.RobertおよびF.Clercによる論文(SID 80 技術論文の摘要(Digest Techn.Papers)(1980),30),J.Ducheneによる論文(Displays 7(1986),3)ならびにH.Schadによる論文(SID 82 技術論文の摘要(Digest Techn.Papers)(1982),244)によって、ECB効果を基礎とする高度情報ディスプレイ素子のために適するようにするためには、液晶相は、弾性定数の比率K3/K1についての高い値、光学的異方性Δnについての高い値、および誘電異方性についての値Δε≦-0.5を有さねばならないことが示された。ECB効果を基礎とする電子光学的ディスプレイ素子は、ホメオトロピックなエッジ配向(VA技術=vertically aligned:垂直配向)を有する。誘電的に負の液晶媒体は、いわゆるIPSまたはFFS効果を用いるディスプレイにおいて使用することもできる。
【0005】
ECB効果を用いるディスプレイは、いわゆるVAN(vertically aligned nematic:垂直配向ネマチック)ディスプレイとして、例えばMVA(multi-domain vertical alignment:マルチドメイン垂直配向、例えばYoshide,H.ら,論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book I,第6頁~第9頁、およびLiu,C.T.ら,論文(paper)15.1:「A 46-inch TFT-LCD HDTV Technology(以下省略)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第750頁~第753頁)方式、PVA(patterned vertical alignment:パターン型垂直配向、例えばKim,Sang Soo,論文(paper)15.4:「超PVAは、LCD-TVの新たな技術水準を提示する(Super PVA Sets New State-of-the-Art for LCD-TV)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第760頁~第763頁)方式、ASV(advanced super view:アドバンスト・スーパービュー、例えばShigeta,MitzuhiroおよびFukuoka,Hirofumi,論文(paper)15.2:「高品質LCDTVの開発(Development of High Quality LCDTV)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第754頁~第757頁)方式で、それら自身、IPS(in-plane switching:インプレインスイッチング)ディスプレイ(例えば、Yeo,S.D.,論文(paper)15.3:「TV用途のためのLCディスプレイ(An LC Display for the TV Application)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第758頁および第759頁)および長い間知られたTN(twisted nematic:ねじれネマチック)ディスプレイ以外に、最近は特にテレビ用途のために最も重要な3つの更なる最近の種類の液晶ディスプレイのうちの一つとして確立されてきた。それらの技術は、一般的な形で、例えばSouk,Jun,SID セミナー(Seminar)2004,セミナー(seminar)M-6:「LCD技術の最近の進展(Recent Advances in LCD Technology)」,セミナー講義資料(Seminar Lecture Notes),M-6/1ないしM-6/26、およびMiller,Ian,SID セミナー(Seminar)2004,セミナー(seminar)M-7:「LCDテレビ(LCD-Television)」,セミナー講義資料(Seminar Lecture Notes),M-7/1ないしM-7/32において比較されている。近年のECBディスプレイの応答時間は、既にオーバードライブを用いたアドレッシング法によって大幅に改善されているが(例えばKim,Hyeon Kyeongら,論文(paper)9.1:「HDTV用途のための57インチ幅のUXGA TFT-LCD(A 57-in.Wide UXGA TFT-LCD for HDTV Application)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book I,第106頁~第109頁)、ビデオに対応する応答時間を、特にモノクロ階調のスイッチングに対して達成するには、依然として問題があり、いまだ満足のいく解決策はない。
【0006】
電子光学的ディスプレイ素子におけるこの効果の産業上の利用は、LC相を必要とし、該LC相は多くの要求を満たす必要がある。ここで特に重要なのは、湿分、空気および物理的影響、例えば熱、赤外線、可視線および紫外線ならびに直流電界および交流電界に対する化学的耐久性である。
【0007】
更に、産業上利用可能なLC相は、適切な温度範囲および低い粘度で液晶中間相を有する必要がある。
【0008】
これまで開示されてきた液晶中間相を有する一連の化合物のいずれも、これらの全ての要求を満たす単独の化合物を含んでいない。従って、LC相として使用することができる物質を得るためには、2種~25種の、好ましくは3種~18種の化合物の混合物が一般的に調製される。しかしながら、最適な相はこのように容易に調製することはできない。それというのも、大きく負の誘電異方性を有し、かつ適切な長期安定性を有する液晶材料は今まで得られていなかったからである。
【0009】
マトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)は公知である。個々の画素の個別のスイッチングのために使用することができる非線形素子は、例えば能動素子(すなわちトランジスタ)である。その際、「アクティブマトリックス」という用語が使用されるが、その場合に以下の2つのタイプ:
1.基板としてのシリコンウェハ上のMOS(金属酸化物膜半導体)トランジスタ
2.基板としてのガラスプレート上の薄膜トランジスタ(TFT)
の間で区別をつけることができる。
【0010】
タイプ1の場合には、使用される電子光学的効果は、通常は動的散乱またはゲスト-ホスト効果である。基板材料としての単結晶シリコンの使用は、ディスプレイサイズを制限する。それというのも、様々なディスプレイ部品のモジュール組立でさえも接合部で問題を引き起こすからである。
【0011】
より将来性のある好ましいタイプ2の場合には、使用される電子光学的効果は、通常はTN効果である。
【0012】
2つの技術、つまり化合物半導体、例えばCdSe等の化合物を含むTFT、または多結晶シリコンもしくはアモルファスシリコンを基礎とするTFTの間では区別がなされている。後者の技術は、広く世界中で研究されている。
【0013】
ディスプレイの片方のガラスプレートの内側にTFTマトリックスが施与される一方で、もう片方のガラスプレートが、その内側に透明な対極を有する。画素電極のサイズと比較して、TFTは非常に小さく、画像に事実上悪影響を及ぼさない。この技術は、フィルタ素子がそれぞれのスイッチング可能な画素と向かい合うように赤色フィルタと緑色フィルタと青色フィルタがモザイク状に配置されているフルカラー対応ディスプレイにも拡張することができる。
【0014】
ここでMLCディスプレイという用語は、集積非線形素子を有する、すなわちアクティブマトリックス以外のあらゆるマトリックスディスプレイも、能動素子、例えばバリスタまたはダイオード(MIM=金属-絶縁体-金属)を有するディスプレイも包含している。
【0015】
このタイプのMLCディスプレイは、TV用途(例えばポケットTV)または自動車もしくは航空機の構造内の高度情報ディスプレイのために特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題の他にも、MLCディスプレイにおいては液晶混合物の不十分な高さの比抵抗のため問題が引き起こされる[TOGASHI,S.,SEKIGUCHI,K.,TANABE,H.,YAMAMOTO,E.,SORIMACHI,K.,TAJIMA,E.,WATANABE,H.,SHIMIZU,H.,Proc.Eurodisplay 84,1984年9月:2段ダイオードリングによって制御される210-288マトリックスLCD(A 210-288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings),第141頁以降,Paris;STROMER,M.,Proc.Eurodisplay 84,1984年9月:テレビ用液晶ディスプレイのマトリックス駆動のための薄膜トランジスタのデザイン(Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays),第145頁以降,Paris]。抵抗が低下すると、MLCディスプレイのコントラストは低下する。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内表面との相互作用のためMLCディスプレイの寿命を通じて一般的に低下するので、長い作動期間にわたって許容できる抵抗値を有するディスプレイのためには、高い(初期)抵抗が非常に重要である。
【0016】
このように、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い作動温度範囲、短い応答時間、および様々なモノクロ階調を生成可能にする低い閾値電圧を有するMLCディスプレイには、引き続き高い需要がある。
【0017】
よく用いられるMLC-TNディスプレイの欠点は、それらの比較的低いコントラスト、比較的高い視野角依存性およびこれらのディスプレイにおけるモノクロ階調生成の困難性によるものである。
【0018】
VAディスプレイは、より大幅に良好な視野角依存性を有するため、原則的にテレビおよびモニターのために使用される。しかしながら、ここでは、特に60Hzより高いフレームレート(画像変化頻度/繰り返し速度)を有するテレビの使用に関して応答時間を改善することが必要とされ続けている。しかしながら、同時に、例えば低温安定性等の特性が損なわれてはならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【文献】M.F.SchieckelおよびK.Fahrenschon,「電界において垂直配向を有するネマチック液晶の変形(Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields)」,Appl.Phys.Lett.19(1971),3912
【文献】J.F.Kahn(Appl.Phys.Lett.20(1972),1193)
【文献】G.LabrunieおよびJ.Robert(J.Appl.Phys.44(1973),4869)
【文献】J.RobertおよびF.Clercによる論文(SID 80 技術論文の摘要(Digest Techn.Papers)(1980),30)
【文献】J.Ducheneによる論文(Displays 7(1986),3)
【文献】H.Schadによる論文(SID 82 技術論文の摘要(Digest Techn.Papers)(1982),244)
【文献】Yoshide,H.ら,論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book I,第6頁~第9頁
【文献】Liu,C.T.ら,論文(paper)15.1:「A 46-inch TFT-LCD HDTV Technology(以下省略)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第750頁~第753頁
【文献】Kim,Sang Soo,論文(paper)15.4:「超PVAは、LCD-TVの新たな技術水準を提示する(Super PVA Sets New State-of-the-Art for LCD-TV)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第760頁~第763頁
【文献】Shigeta,MitzuhiroおよびFukuoka,Hirofumi,論文(paper)15.2:「高品質LCDTVの開発(Development of High Quality LCDTV)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第754頁~第757頁
【文献】Yeo,S.D.,論文(paper)15.3:「TV用途のためのLCディスプレイ(An LC Display for the TV Application)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),技術論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book II,第758頁および第759頁
【文献】Souk,Jun,SID セミナー(Seminar)2004,セミナー(seminar)M-6:「LCD技術の最近の進展(Recent Advances in LCD Technology)」,セミナー講義資料(Seminar Lecture Notes),M-6/1ないしM-6/26
【文献】Miller,Ian,SID セミナー(Seminar)2004,セミナー(seminar)M-7:「LCDテレビ(LCD-Television)」,セミナー講義資料(Seminar Lecture Notes),M-7/1ないしM-7/32
【文献】Kim,Hyeon Kyeongら,論文(paper)9.1:「HDTV用途のための57インチ幅のUXGA TFT-LCD(A 57-in.Wide UXGA TFT-LCD for HDTV Application)」,SID 2004 国際シンポジウム(International Symposium),論文の摘要(Digest of Technical Papers),XXXV,Book I,第106頁~第109頁
【文献】TOGASHI,S.,SEKIGUCHI,K.,TANABE,H.,YAMAMOTO,E.,SORIMACHI,K.,TAJIMA,E.,WATANABE,H.,SHIMIZU,H.,Proc.Eurodisplay 84,1984年9月:2段ダイオードリングによって制御される210-288マトリックスLCD(A 210-288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings),第141頁以降,Paris
【文献】STROMER,M.,Proc.Eurodisplay 84,1984年9月:テレビ用液晶ディスプレイのマトリックス駆動のための薄膜トランジスタのデザイン(Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays),第145頁以降,Paris
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上述の欠点を有さない、または上述の欠点の程度が低減された、ECB効果またはIPS効果もしくはFFS効果を基礎とする、特にモニターおよびTV用途のための液晶混合物を提供するという課題に基づくものである。特に、モニターおよびテレビの場合には、極めて高い温度および極めて低い温度でも作動し、同時に短い応答時間を有し、そして同時に改善された信頼性動作を有し、特に長い作動時間後に焼き付きが全くないかまたは大幅に減少されていることが保証されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以下に開示されるおよび以下の特許請求の範囲に記載される、式S1の安定化剤および式S2の安定化剤を含み、更に負の誘電異方性を有する1種以上の化合物を含む液晶混合物を使用した場合に、回転粘度、および回転粘度と弾性定数との比率、従って応答時間を、高い信頼性および高いVHR値を維持したままで改善することが可能であることは驚くべきことであった。
【0022】
本発明によるLC媒体は、例えばポリイミド配向膜の表面上で生成されるフリーラジカルによる低い信頼性の問題も、特に負の誘電異方性を有するLC媒体中において解決する。これは、LC媒体が、特にLCディスプレイの製造方法の間に、例えばODF(ワンドロップフィル)、封止剤硬化、熱配向および/またはセル組立において外部応力にさらされるときに、VHR値の低下および低い信頼性に導くことがある。
【0023】
以下に開示されるおよび以下の特許請求の範囲に記載される、負の誘電異方性を有するLC混合物の使用が、紫外線曝露の後でも高い信頼性および高いVHR値を維持しつつ、非常に低い回転粘度および回転粘度と弾性定数との比率の低下をもたらすことは驚くべきことである。従って、液晶混合物、好ましくはVA、PS(=polymer stabilised:ポリマー安定化)-VA、PA(=photo alignment:光配向型)-VA、IPS、PS-IPS、PS-FFS、FFS混合物、特にUB-FFS(ultra brightness fringe field switching:超輝度フリンジ電界スイッチング)混合物であって、短い応答時間を有すると同時に、良好な相特性および良好な低温挙動を有する液晶混合物を製造することができる。
【0024】
発明の概要
本発明は、式Y、CY、PYおよびLYから選択される1種以上の化合物と、更に式S1およびS2から選択される2種の化合物とを含み、
【化1】
前記式中、個々の基は、互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって、以下の意味を有する:
【化2】
は、
【化3】
であり、
【化4】
は、
【化5】
であり、
【化6】
は、
【化7】
であり、ここで、少なくとも1つの環Fは、シクロヘキセニレンであり、
R
1およびR
2は、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキル、好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、
Z
xおよびZ
yは、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH
2O-または単結合、好ましくは単結合であり、
L
1~4は、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2であり、
R
a~dは、1個~10個の炭素原子を有する、好ましくは1個~6個の炭素原子を有する、非常に好ましくは1個~4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、最も好ましくはメチルであり、
Xは、H、CH
3、OHまたはO
・であり、
Aは、1個~20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキレンであり、該アルキレンは、任意に置換されており、
aは、1または2であり、
bは、0または1であり、
fは、1または2であり、
nは、1から6までの整数であり、好ましくは3である、液晶(LC)媒体に関する。
【0025】
更に本発明は、前記および下記のLC媒体であって、1種以上の重合性化合物を更に含むLC媒体に関する。
【0026】
更に本発明は、前記および下記のLC媒体またはLCディスプレイであって、重合性化合物が重合されているLC媒体またはLCディスプレイに関する。
【0027】
更に本発明は、前記および下記のLC媒体の製造方法であって、式CYおよび/または の1種以上の化合物と、式S1の1種以上の化合物および式S2の1種以上の化合物と、任意に更なるLC化合物および/または添加剤とを混合するステップを含む、製造方法に関する。
【0028】
更に本発明は、LC媒体のLCディスプレイにおける使用に関する。
【0029】
更に本発明は、式Iの1種以上の化合物または本発明によるLC媒体を含むLCディスプレイ、特に前記および下記のLC媒体を含むVA、PS-VA、PA-VA、IPS、PS-IPS、PS-FFSまたはFFSディスプレイ、特にUB-FFSディスプレイに関する。
【0030】
本発明による混合物は、好ましくは、70℃以上の、好ましくは75℃以上の、特に80℃以上の非常に広範なネマチック相範囲を示し、容量性閾値についての非常に有利な値、保持比についての比較的高い値、同時に-20℃および-30℃での非常に良好な低温安定性を示すだけでなく、非常に低い回転粘度および短い応答時間を示す。
【0031】
更に本発明による混合物は、回転粘度γ1における改善に加えて、紫外線曝露の後でさえも高い信頼性および高いVHR値を達成できることを特徴としている。
【0032】
更に本発明による混合物は、回転粘度γ1における改善に加えて、応答時間の改善のための弾性定数K3の比較的高い値を確認できることを特徴としている。特に、本発明による混合物は、迅速な応答時間の指標である回転粘度γ1と弾性定数K3の比率γ1/K3についての特に低い値を有する。
【0033】
式S1の好ましい化合物は、以下の下位式
【化8】
[式中、n1は、2から12までの整数であり、かつ基(CH
2)
n1中の1つ以上のH原子は、任意にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基によって置き換えられている]から選択される。
【0034】
式S1の非常に好ましい化合物は、以下の下位式
【化9】
【0035】
【0036】
【0037】
本発明の一つ目の好ましい実施形態においては、式S1の化合物は、XがHまたはCH3、好ましくはHである化合物から選択される。この一つ目の好ましい実施形態の好ましい化合物は、式S1-1およびS1-4の化合物、ならびに前記下位式S1-1a、S1-1bおよびS1-4aの化合物である。
【0038】
本発明の二つ目の好ましい実施形態においては、式Sの化合物は、XがO・またはOH、好ましくはO・である化合物から選択される。この二つ目の好ましい実施形態の好ましい化合物は、式S1-2およびS1-3の化合物、好ましくはS1-2の化合物、ならびに前記下位式S1-2a、S1-2b、S1-2cおよびS1-3aの化合物である。特に好ましいのは、式S1-2a、S1-2b、S1-2cの化合物、最も好ましいのは、式S1-2aの化合物である。
【0039】
本発明の三つ目の好ましい実施形態においては、式S1の化合物は、Aが2個~20個の炭素原子を有する分枝鎖状のアルキレンであって、任意に1つ以上の基LAによって置換されているアルキレンであり、ここで、これらの置換基LAは、Fおよびそれぞれ1個~12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシならびにアルコキシカルボニルオキシから選択され、かつ1つ以上のH原子は、任意にFまたはClによって置き換えられていてよい式S1の化合物から選択される。
【0040】
この三つ目の好ましい実施形態の好ましい化合物は、以下のS1-5
【化12】
[式中、
Xは、H、CH
3、OHまたはO
・、好ましくはHまたはO
・であり、
R
Aは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、
n2は、0または1から12までの整数であり、好ましくは0であり、
n3は、1から12までの整数である]の化合物ならびに前記の下位式S1-1bおよびS1-2cの化合物である。
【0041】
式S1-5の好ましい化合物は、前記の下位式S1-1bおよびS1-2cの化合物である。
【0042】
式S2の好ましい化合物は、以下の下位式
【化13】
から選択される。
【0043】
非常に好ましいのは、式S2-1の化合物である。
【0044】
式S2の非常に好ましい化合物は、以下の下位式
【化14】
から選択される。
【0045】
非常に好ましいのは、式S2-1aの化合物である。
【0046】
好ましくは、LC媒体中における式S1またはその下位式の化合物の割合は、10ppmから1000ppmまでであり、非常に好ましくは50ppmから1000ppmまでである。
【0047】
好ましくは、LC媒体中における式S2またはその下位式の化合物の割合は、10ppmから1000ppmまでであり、非常に好ましくは50ppmから1000ppmまでである。
【0048】
好ましくは、LC媒体は、式S1およびS2またはそれらの下位式から選択される2種から5種の、非常に好ましくは2種または3種の、最も好ましくは2種の化合物を含有する。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態においては、LC媒体は、式S1の1種以上の化合物および式S2の1種以上の化合物を含有する。式S1の化合物は、紫外線ストレスに対してディスプレイ中のLC媒体を保護するための光安定化剤として特に適している。式S2の化合物は、高温ストレスに対してディスプレイ中のLC媒体を保護するための熱安定化剤として特に適している。この好ましい実施形態によるLC媒体は、2つの安定化剤を組み合わせており、こうして1種の安定化剤しか含まないLC媒体と比較して、より高いVHRおよびより高い信頼性が得られる。非常に好ましくは、この好ましい実施形態によるLC媒体は、式S1-1またはS1-2の化合物および式S2-1の化合物を含み、最も好ましくは式S1-1aまたはS1-2aの化合物および式S2-1aの化合物を含む。
【0050】
本発明のもう一つの好ましい実施形態においては、LC媒体は、式S1の2種以上の化合物を含有する。非常に好ましくは、この好ましい実施形態によるLC媒体は、式S1-1の化合物およびS1-2の化合物を含み、最も好ましくは式S1-1aの化合物およびS1-2aの化合物を含む。
【0051】
式Yの化合物においては、好ましくは2つの基L1およびL2は、Fを示す。
【0052】
式Yの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化15】
【0053】
【化16】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、アルコキシは、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルコキシ基を示し、アルケニルおよびアルケニル
*は、それぞれ互いに独立して、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルおよびアルケニル
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0054】
式Yの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化17】
[式中、アルコキシは、好ましくは3個、4個または5個の炭素原子を有する直鎖状のアルコキシを示す]からなる群から選択される。
【0055】
式Yの非常に好ましい化合物は、式Y6A1
【化18】
の化合物である。
【0056】
式CYの化合物においては、好ましくは2つのL1およびL2はFを示し、またはL1およびL2の一方はFを示し、もう一方はClを示す。非常に好ましくは、2つのL1およびL2は、Fを示す。
【0057】
式CYの化合物は、好ましくは、以下の下位式
【化19】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【化23】
[式中、aは、1または2を示し、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルは、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示し、かつ(O)は、酸素原子または単結合を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0062】
特に好ましいのは、式CY1、CY2、CY9およびCY10から選択される化合物である。
【0063】
式PYの化合物においては、好ましくは2つのL1およびL2はFを示し、もしくはL1およびL2の一方はFを示し、もう一方はClを示し、または2つのL3およびL4はFを示し、もしくはL3およびL4の一方はFを示し、もう一方はClを示す。非常に好ましくは、L1~L4の全てはFを示す。
【0064】
式PYの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化24】
【0065】
【0066】
【化26】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルは、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示し、かつ(O)は、酸素原子または単結合を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0067】
特に好ましいのは、式PY1、PY2、PY9およびPY10から選択される化合物である。
【0068】
式LYの化合物においては、好ましくは2つのL1およびL2はFを示し、またはL1およびL2の一方はFを示し、もう一方はClを示す。非常に好ましくは、2つのL1およびL2は、Fを示す。
【0069】
式LYの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化27】
【0070】
【0071】
【化29】
[式中、R
1は、前記の意味を有し、アルキルは、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、かつvは、1から6までの整数を示す]からなる群から選択される。R
1は、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたは2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル、特にCH
3、C
2H
5、n-C
3H
7、n-C
4H
9、n-C
5H
11、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。非常に好ましいのは、式LY10の化合物である。
【0072】
一つ目の好ましい実施形態においては、LC媒体は、負の誘電異方性を有する。そのようなLC媒体は、VA、UB-FFS、PS-VAおよびPS-UB-FFSディスプレイで使用するために特に適している。
【0073】
負の誘電異方性を有する好ましいLC媒体は、式CYおよびPYから選択される1種以上の化合物と、任意に式YおよびLYから選択される少なくとも1種の化合物とを含む。
【0074】
負の誘電異方性を有するLC媒体において、式CY、PY、LYおよびYまたはそれらの下位式の化合物の濃度は、好ましくは10質量%から70質量%までであり、非常に好ましくは15質量%から50質量%までである。
【0075】
負の誘電異方性を有するLC媒体において、式CYまたはその下位式の化合物の濃度は、好ましくは2質量%から40質量%までであり、非常に好ましくは3質量%から30質量%までである。
【0076】
負の誘電異方性を有するLC媒体において、式PYまたはその下位式の化合物の濃度は、好ましくは5質量%から50質量%までであり、非常に好ましくは10質量%から40質量%までである。
【0077】
負の誘電異方性を有するLC媒体において、式LYまたはその下位式の化合物の濃度は、好ましくは0質量%から20質量%までであり、非常に好ましくは1質量%から15質量%までである。
【0078】
負の誘電異方性を有するLC媒体において、式Yまたはその下位式の化合物の濃度は、好ましくは0質量%から20質量%までであり、非常に好ましくは1質量%から15質量%までである。
【0079】
二つ目の好ましい実施形態においては、LC媒体は、式CY、PY、LYおよび/またはYの1種以上の化合物を含有するものの、正の誘電異方性を有する(いわゆる「ハイブリッド混合物」)。そのようなLC媒体は、IPS、FFS、PS-IPSおよびPS-FFSディスプレイで使用するために特に適している。
【0080】
正の誘電異方性を有する好ましいLC媒体は、式CYまたはその下位式の1種以上の、好ましくは1種だけの化合物を含有する。
【0081】
正の誘電異方性を有する更なる好ましいLC媒体は、式PYまたはその下位式の1種以上の、好ましくは1種だけの化合物を含有する。
【0082】
正の誘電異方性を有する更なる好ましいLC媒体は、式Yまたはその下位式の1種以上の、好ましくは1種だけの化合物を含有する。
【0083】
正の誘電異方性を有する更なる好ましいLC媒体は、式LYまたはその下位式の1種以上の、好ましくは1種だけの化合物を含有する。
【0084】
正の誘電異方性を有するLC媒体において、式Y、CY、PYおよびLYまたはそれらの下位式の化合物の濃度は、好ましくは1質量%から20質量%までであり、非常に好ましくは2質量%から15質量%までである。
【0085】
負の誘電異方性を有する好ましいLC媒体は、以下の好ましい実施形態から選択され、それらの任意の組合せを含む。
【0086】
a)更にLC媒体は、式ANおよびAY
【化30】
[式中、個々の基は、それぞれの場合に同一または異なって、それぞれ互いに独立して、以下の意味を有する:
【化31】
は、
【化32】
であり、
【化33】
は、
【化34】
であり、
【化35】
は、
【化36】
であり、
R
A1は、2個~9個の炭素原子を有するアルケニルであり、または環X、YおよびZの少なくとも1つがシクロヘキセニルを示すのであれば、またR
A2の意味の1つであり、
R
A2は、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキルであり、
Z
xは、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH
2O-または単結合、好ましくは単結合であり、
L
1,2は、H、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCF
2H、好ましくはH、FまたはClであり、
xは、1または2であり、
zは、0または1である]から選択される1種以上のアルケニル化合物を含有する。
【0087】
式ANおよびAYの好ましい化合物は、RA2がエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびヘプテニルから選択される化合物である。
【0088】
好ましい一実施形態においては、LC媒体は、以下の下位式:
【化37】
【0089】
【化38】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルおよびアルケニル
*は、それぞれ互いに独立して、2個~7個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]から選択される式ANの少なくとも1種の化合物を含む。アルケニルおよびアルケニル
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0090】
好ましくは、LC媒体は、式AN1、AN2、AN3およびAN6から選択される1種以上の化合物、非常に好ましくは式AN1および/またはAN6の1種以上の化合物を含む。
【0091】
好ましいもう一つの実施形態においては、LC媒体は、以下の下位式:
【化39】
[式中、mは、1、2、3、4、5または6を示し、iは、0、1、2または3を示し、かつR
b1は、H、CH
3またはC
2H
5を示す]から選択される式ANの少なくとも1種の化合物を含む。
【0092】
好ましいもう一つの実施形態においては、LC媒体は、以下の下位式:
【化40】
から選択される1種以上の化合物を含む。
【0093】
最も好ましいのは、式AN1a2、AN1a5、AN6a1およびAN6a2の化合物である。
【0094】
好ましいもう一つの実施形態においては、LC媒体は、以下の下位式:
【化41】
【0095】
【0096】
【0097】
【化44】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、「(O)」は、O原子または単結合を示し、かつアルケニルおよびアルケニル
*は、それぞれ互いに独立して、2個~7個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]から選択される式AYの1種以上の化合物を含む。アルケニルおよびアルケニル
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0098】
好ましいもう一つの実施形態においては、LC媒体は、以下の下位式:
【化45】
[式中、mおよびnは、それぞれ互いに独立して、1、2、3、4、5または6を示し、かつアルケニルは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す]から選択される式AYの1種以上の化合物を含む。
【0099】
好ましくは、LC媒体中における式ANおよびAYの化合物の割合は、2質量%から70質量%までであり、非常に好ましくは5質量%から60質量%までであり、最も好ましくは10質量%から50質量%までである。
【0100】
好ましくは、LC媒体は、式ANおよびAYから選択される1種から5種の、好ましくは1種、2種または3種の化合物を含有する。
【0101】
本発明のもう一つの好ましい実施形態においては、LC媒体は、式AY14の1種以上の化合物を含み、非常に好ましくはAY14aの化合物を含む。LC媒体中における式AY14またはAY14aの化合物の割合は、好ましくは3質量%~20質量%である。
【0102】
式ANおよび/またはAYのアルケニル化合物を添加することにより、LC媒体の粘度および応答時間を低下させることができる。
【0103】
b)以下の式:
【化46】
[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化47】
は、
【化48】
を示し、
【化49】
は、
【化50】
を示し、
R
3およびR
4は、それぞれ互いに独立して、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキルを示し、
Z
yは、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH
2O-または単結合、好ましくは単結合である]の1種以上の化合物を更に含むLC媒体。
【0104】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化51】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルは、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0105】
特に好ましいのは、式ZK1の化合物である。
【0106】
式ZKの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化52】
[式中、プロピル、ブチルおよびペンチル基は、直鎖状の基である]から選択される。
【0107】
最も好ましいのは、式ZK1aの化合物である。
【0108】
c)以下の式:
【化53】
[式中、個々の基は、それぞれの場合に同一または異なって、以下の意味を有する:
R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキル、好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、
【化54】
は、
【化55】
を示し、
【化56】
は、
【化57】
を示し、かつ
eは、1または2を示す]の1種以上の化合物を更に含むLC媒体。
【0109】
式DKの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化58】
【0110】
【化59】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルは、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0111】
d)以下の式:
【化60】
[式中、アルキルは、C
1~C
6-アルキルを示し、L
xは、HまたはFを示し、かつXは、F、Cl、OCF
3、OCHF
2またはOCH=CF
2を示す]からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。式G1で示され、その式中、XがFである化合物が特に好ましい。
【0112】
【0113】
【0114】
【化63】
[式中、R
5は、前記の意味の1つを有し、アルキルは、C
1~C
6-アルキルを示し、dは、0または1を示し、かつzおよびmは、それぞれ互いに独立して、1から6までの整数を示す]からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。これらの化合物中のR
5は、特に好ましくはC
1~C
6-アルキルもしくはアルコキシまたはC
2~C
6-アルケニルであり、dは、好ましくは1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、前記の式の1種以上の化合物を、5質量%以上の量で含む。
【0115】
f)以下の式:
【化64】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、かつアルケニルおよびアルケニル
*は、それぞれ互いに独立して、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]からなる群から選択される1種以上のビフェニル化合物を更に含むLC媒体。アルケニルおよびアルケニル
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0116】
LC混合物中における式B1ないしB3のビフェニルの割合は、好ましくは少なくとも3質量%であり、特に5質量%以上である。
【0117】
式B2の化合物は、特に好ましい。
【0118】
式B1ないしB3の化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化65】
[式中、アルキル
*は、1個~6個の炭素原子を有するアルキル基を示す]からなる群から選択される。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの1種以上の化合物を含む。
【0119】
g)以下の式:
【化66】
[式中、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、前記の意味の1つを有し、かつ
【化67】
は、それぞれ互いに独立して、
【化68】
を示し、
そこでL
5は、FまたはCl、好ましくはFを示し、かつL
6は、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2、好ましくはFを示す]の1種以上のテルフェニル化合物を更に含むLC媒体。
【0120】
式Tの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化69】
【0121】
【0122】
【化71】
[式中、Rは、1個~7個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を示し、R
*は、2個~7個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、かつmは、1から6までの整数を示す]からなる群から選択される。R
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0123】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを示す。
【0124】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物においては、Rは、好ましくはアルキル、更にアルコキシを示し、それぞれ1個~5個の炭素原子を有する。
【0125】
好ましくは、LC媒体のLC成分B)は、20%より多くの式Tのテルフェニル化合物またはテルフェニル基を有する何らかの他の化合物を含有しない。
【0126】
h)以下の式:
【化72】
[式中、
R
Qは、1個~9個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルもしくはアルコキシアルキル、または2個~9個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、それら全ては任意にフッ素化されており、
X
Qは、F、Cl、1個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキルもしくはアルコキシ、または2個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、
L
Q1ないしL
Q6は、互いに独立して、HまたはFであり、その際、L
Q1ないしL
Q6の少なくとも1つはFである]からなる群から選択される1種以上のクアテルフェニル化合物を更に含むLC媒体。
【0127】
式Qの好ましい化合物は、RQが2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル、非常に好ましくはエチル、n-プロピルまたはn-ブチルを示す化合物である。
【0128】
式Qの好ましい化合物は、LQ3およびLQ4がFである化合物である。式Qの更なる好ましい化合物は、LQ3、LQ4およびLQ1とLQ2の1または2つがFである化合物である。
【0129】
式Qの好ましい化合物は、XQがFまたはOCF3、非常に好ましくはFである化合物である。
【0130】
式Qの化合物は、好ましくは、以下の下位式
【化73】
[式中、R
Qは、式Qの意味の1つまたはその前記および下記の好ましい意味の1つを有し、かつ好ましくはエチル、n-プロピルまたはn-ブチルである]から選択される。
【0131】
特に好ましいのは、式Q1の化合物、特に式中RQがn-プロピルである化合物である。
【0132】
好ましくは、LC媒体中における式Qの化合物の割合は、0質量%を上回り5質量%以下であり、非常に好ましくは0.1質量%から2質量%までであり、最も好ましくは0.2質量%から1.5質量%までである。
【0133】
好ましくは、LC媒体は、式Qの1種から5種の、好ましくは1種または2種の化合物を含有する。
【0134】
式Qのクアテルフェニル化合物をLC媒体混合物に添加することにより、高い紫外線吸収を維持しつつODFムラを減らすことができ、迅速かつ完全な重合が可能となり、強力かつ迅速なチルト角生成を可能にし、そしてLC媒体の紫外線安定性を高めることができる。
【0135】
その他に、正の誘電異方性を有する式Qの化合物を負の誘電異方性を有するLC媒体に添加することにより、誘電定数ε//およびε⊥の値のより良好な制御が可能となり、そして特に誘電異方性Δεを維持したまま高い誘電定数ε//を達成することができ、それによりキックバック電圧が低下し、そして焼き付けが減少する。
【0136】
【0137】
【化75】
[式中、R
1およびR
2は、前記の意味を有し、かつ好ましくはそれぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたは2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニルを示す]からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。
【0138】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4から選択される1種以上の化合物を含む。
【0139】
k)以下の式:
【化76】
[式中、
【化77】
は、
【化78】
を示し、
R
9は、H、CH
3、C
2H
5またはn-C
3H
7を示し、(F)は、任意のフッ素置換基を示し、かつqは、1、2または3を示し、かつR
7は、R
1について示される意味の1つを有する]の1種以上の化合物を、好ましくは3質量%より多い量で、特に5質量%以上の量で、非常に特に好ましくは5質量%~30質量%の量で更に含むLC媒体。
【0140】
式FIの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化79】
【0141】
【化80】
[式中、R
7は、好ましくは直鎖状のアルキルを示し、かつR
9は、CH
3、C
2H
5またはn-C
3H
7を示す]からなる群から選択される。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0142】
l)以下の式:
【化81】
[式中、R
8は、R
1について示した意味を有し、かつアルキルは、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示す]からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。
【0143】
m)テトラヒドロナフチル単位またはナフチル単位を含む1種以上の化合物、例えば以下の式:
【化82】
【0144】
【化83】
[式中、
R
10およびR
11は、それぞれ互いに独立して、1個~12個の炭素原子を有するアルキルであって、更に隣接していない1または2つのCH
2基は、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-によって、O原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよいアルキル、好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、かつ
R
10およびR
11は、好ましくは、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルもしくはアルコキシ、または2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニルを示し、かつ
Z
1およびZ
2は、それぞれ互いに独立して、-C
2H
4-、-CH=CH-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
3O-、-O(CH
2)
3-、-CH=CH-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH=CH-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-、-O-CO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CH
2-または単結合を示す]からなる群から選択される化合物を更に含むLC媒体。
【0145】
n)以下の式:
【化84】
[式中、
R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立して、R
11について前記の意味の1つを有し、
環Mは、トランス-1,4-シクロヘキシレンまたは1,4-フェニレンであり、
Z
mは、-C
2H
4-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CO-O-または-O-CO-であり、
cは、0、1または2である]の1種以上のジフルオロジベンゾクロマンおよび/またはクロマンを、好ましくは3質量%~20質量%の量で、特に3質量%~15質量%の量で更に含むLC媒体。
【0146】
式BC、CRおよびRCの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化85】
【0147】
【0148】
【化87】
[式中、アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基を示し、「(O)」は、酸素原子または単結合を示し、cは、1または2であり、かつアルケニルおよびアルケニル
*は、それぞれ互いに独立して、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルおよびアルケニル
*は、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を示す。
【0149】
式BC-2の1種、2種または3種の化合物を含む混合物が更に特に好ましい。
【0150】
o)以下の式:
【化88】
[式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立して、R
11について前記の意味の1つを有し、bは、0または1を示し、Lは、Fを示し、かつrは、1、2または3を示す]の1種以上のフッ素化されたフェナントレンおよび/またはジベンゾフランを更に含むLC媒体。
【0151】
式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化89】
[式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、1個~7個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を示す]からなる群から選択される。
【0152】
p)前記定義の式ANまたはその好ましい下位式から選択される、好ましくは式AN1ないしAN12から選択される、より好ましくは式AN1a、AN3aおよびAN6aから選択される、最も好ましくは式AN1a2、AN1a5、AN6a1およびAN6a2から選択される1種以上の化合物を含むLC媒体。好ましくは、LC媒体は、これらの式から選択される1種から5種の、好ましくは1種、2種または3種の化合物を含有する。LC媒体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは2質量%から60質量%までであり、非常に好ましくは5質量%から45質量%までであり、最も好ましくは10質量%から40質量%までである。
【0153】
q)1種から5種の、好ましくは1種、2種または3種の重合性化合物、好ましくは式Mまたはその下位式の重合性化合物から選択される重合性化合物を含むLC媒体。混合物全体中における重合性化合物、特に式Mまたはその下位式の重合性化合物の割合は、0.05%~5%であり、好ましくは0.1%~1%である。
【0154】
r)式CY1、CY2、PY1および/またはPY2の1種から8種の、好ましくは1種から5種の化合物を含むLC媒体。混合物全体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは5%~60%、特に好ましくは10%~35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合に2%~20%である。
【0155】
s)式CY9、CY10、PY9および/またはPY10の1種から8種の、好ましくは1種から5種の化合物を含むLC媒体。混合物全体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは5%~60%、特に好ましくは10%~35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合に2%~20%である。
【0156】
t)式ZKの1種から10種の、好ましくは1種から8種の化合物、特に式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を含むLC媒体。混合物全体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは3%~25%、特に好ましくは5%~45%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合に2%~20%である。
【0157】
t)化合物全体中における式CY、PYおよびZKの化合物の割合が70%より高い、好ましくは80%より高いLC媒体。
【0158】
u)LCホスト混合物が、アルケニル基を含む1種以上の化合物、好ましくは式CY、PYおよびLY[式中、R1およびR2の一方または両方が、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基を示す]、式ZKおよびDK[式中、R3およびR4の一方もしくは両方が、またはR5およびR6の一方もしくは両方が、2個~6個の炭素原子を有する直鎖状のアルケニルを示す]、ならびに式B2およびB3からなる群から選択される化合物、非常に好ましくは式CY15、CY16、CY24、CY32、PY15、PY16、ZK3、ZK4、DK3、DK6、B2およびB3から選択される化合物、最も好ましくは式ZK3、ZK4、B2およびB3から選択される化合物を含有するLC媒体。LCホスト混合物中におけるこれらの化合物の濃度は、好ましくは2%から70%までであり、非常に好ましくは3%から55%までである。
【0159】
v)式PY1ないしPY8から選択される1種以上の、好ましくは1種から5種の化合物、非常に好ましくは式PY2の化合物を含むLC媒体。混合物全体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは1%~30%、特に好ましくは2%~20%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合に1%~20%である。
【0160】
w)式T1および/またはT2の1種以上の、好ましくは1種、2種または3種の化合物を含むLC媒体。混合物全体中におけるこれらの化合物の含有量は、好ましくは1%~20%である。
【0161】
正の誘電異方性を有する好ましいLC媒体は、以下の好ましい実施形態から選択され、それらの任意の組合せを含む。
【0162】
aa)式AAおよびBB
【化90】
[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化91】
は、それぞれ互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって
【化92】
であり、
R
21、R
31は、それぞれ互いに独立して、1個~9個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルまたはアルコキシアルキル、または2個~9個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、それら全ては任意にフッ素化されており、
X
0は、F、Cl、1個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキルもしくはアルコキシ、または2個~6個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、
Z
31は、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH
2O-または単結合、好ましくは-CH
2CH
2-、-COO-、トランス-CH=CH-または単結合、特に好ましくは-COO-、トランス-CH=CH-または単結合であり、
L
21、L
22、L
31、L
32は、HまたはFであり、
gは、0、1、2または3である]の化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。
【0163】
X0は、好ましくは、F、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、OCFHCF3、OCFHCHF2、OCFHCHF2、OCF2CH3、OCF2CHF2、OCF2CHF2、OCF2CF2CHF2、OCF2CF2CHF2、OCFHCF2CF3、OCFHCF2CHF2、OCF2CF2CF3、OCF2CF2CClF2、OCClFCF2CF3またはCH=CF2、非常に好ましくはFまたはOCF3である。
【0164】
式AAの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化93】
[式中、A
21、R
21、X
0、L
21およびL
22は、式AAで示される意味を有し、L
23およびL
24は、それぞれ互いに独立して、HまたはFであり、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。特に好ましいのは、式AA1およびAA2の化合物である。
【0165】
式AA1の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化94】
[式中、R
21、X
0、L
21およびL
22は、式AA1で示される意味を有し、L
23、L
24、L
25およびL
26は、それぞれ互いに独立して、HまたはFであり、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。
【0166】
式AA1の非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化95】
[式中、R
21は、式AA1に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0167】
式AA2の非常に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化96】
【0168】
【化97】
[式中、R
21、X
0、L
21およびL
22は、式AA2で示される意味を有し、L
23、L
24、L
25およびL
26は、それぞれ互いに独立して、HまたはFであり、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。
【0169】
式AA2の非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化98】
【0170】
【化99】
[式中、R
21およびX
0は、式AA2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0171】
式AA3の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化100】
[式中、R
21、X
0、L
21およびL
22は、式AA3で示される意味を有し、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。
【0172】
式AA4の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化101】
[式中、R
21は、式AA4に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0173】
式BBの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化102】
[式中、g、A
31、A
32、R
31、X
0、L
31およびL
32は、式BBで示される意味を有し、かつかつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。特に好ましいのは、式BB1およびBB2の化合物である。
【0174】
式BB1の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化103】
[式中、R
31、X
0、L
31およびL
32は、式BB1で示される意味を有し、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。
【0175】
式BB1aの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化104】
[式中、R
31は、式BB1に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0176】
式BB1bの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化105】
[式中、R
31は、式BB1に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0177】
式BB2の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化106】
【0178】
【化107】
[式中、R
31、X
0、L
31およびL
32は、式BB2で示される意味を有し、L
33、L
34、L
35およびL
36は、それぞれ互いに独立して、HまたはFであり、かつX
0は、好ましくはFである]からなる群から選択される。
【0179】
式BB2の非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化108】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0180】
式BB2bの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化109】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0181】
式BB2cの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化110】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0182】
式BB2dおよびBB2eの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化111】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0183】
式BB2fの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化112】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0184】
式BB2gの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化113】
[式中、R
31は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0185】
式BB2hの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化114】
[式中、R
31およびX
0は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0186】
式BB2iの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化115】
[式中、R
31およびX
0は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0187】
式BB2kの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化116】
[式中、R
31およびX
0は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0188】
式BB2lの非常に特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化117】
[式中、R
31およびX
0は、式BB2に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0189】
式BB1および/またはBB2の化合物に代えて、またはそれに加えて、LC媒体は、前記定義の式BB3の1種以上の化合物を含んでもよい。
【0190】
式BB3の特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化118】
[式中、R
31は、式BB3に定義される通りである]からなる群から選択される。
【0191】
bb)更にLC媒体は、式CC
【化119】
[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化120】
は、それぞれ互いに独立して、それぞれの場合に、同一または異なって、
【化121】
であり、
R
41、R
42は、それぞれ互いに独立して、1個~9個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルもしくはアルコキシアルキル、または2個~9個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシであり、それら全ては任意にフッ素化されており、
Z
41、Z
42は、-CH
2CH
2-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH
2O-、-CF
2O-、-C≡C-または単結合、好ましくは単結合であり、
hは、0、1、2または3である]から選択される1種以上の化合物を含有する。
【0192】
式CCの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化122】
【0193】
【化123】
[式中、R
41およびR
42は、式CCに示される意味を有し、かつ好ましくは、それぞれ互いに独立して、1個~7個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルもしくはフッ素化されたアルコキシ、または2個~7個の炭素原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化されたアルケニルであり、かつL
4は、HまたはFである]からなる群から選択される。
【0194】
cc)更にLC媒体は、式DD
【化124】
[式中、A
41、A
42、Z
41、Z
42、R
41、R
42およびhは、式CCで示される意味を有する]から選択される1種以上の化合物を含有する。
【0195】
式DDの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化125】
[式中、R
41およびR
42は、式DDに示される意味を有し、かつR
41は、好ましくはアルキルを示し、かつ式DD1においては、R
42は、好ましくはアルケニル、特に好ましくは-(CH
2)
2-CH=CH-CH
3を示し、かつ式DD2においては、R
42は、好ましくは、アルキル、-(CH
2)
2-CH=CH
2または-(CH
2)
2-CH=CH-CH
3を示す]からなる群から選択される。
【0196】
dd)LC媒体中における式AAおよびBBの化合物の割合は、混合物全体中において2質量%から60質量%までであり、より好ましくは3質量%から35質量%までであり、非常に特に好ましくは4質量%から30質量%までである。
【0197】
ee)LC媒体中における式CCおよびDDの化合物の割合は、混合物全体中において2質量%から70質量%までであり、より好ましくは5質量%から65質量%までであり、更により好ましくは10質量%から60質量%までであり、非常に特に好ましくは10質量%、好ましくは15質量%から55質量%までである。
【0198】
ff)前記定義の式ANまたはその好ましい下位式から選択される、好ましくは式AN1ないしAN12から選択される、より好ましくは式AN1a、AN3aおよびAN6aから選択される、最も好ましくは式AN1a2、AN1a5、AN6a1およびAN6a2から選択される1種以上の化合物を更に含むLC媒体。好ましくは、LC媒体は、これらの式から選択される1種から5種の、好ましくは1種、2種または3種の化合物を含有する。LC媒体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは2質量%から60質量%までであり、非常に好ましくは5質量%から45質量%までであり、最も好ましくは10質量%から40質量%までである。
【0199】
gg)LC媒体は、式CY、PY、LYおよびYまたはそれらの下位式から選択される1種、2種または3種の、好ましくは1種の化合物を含む。LC媒体中におけるこれらの化合物の割合は、好ましくは1%~20%、特に好ましくは2%~15%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合に1%~20%である。
【0200】
hh)LC媒体は、1種から5種の、好ましくは1種、2種または3種の重合性化合物、好ましくは式Mまたはその下位式の重合性化合物から選択される重合性化合物を含む。LC媒体中における重合性化合物、特に式Mまたはその下位式の重合性化合物の割合は、0.05%~5%であり、好ましくは0.1%~1%である。
【0201】
本発明の幾つかの好ましい実施形態においては、LC媒体は、1種以上の重合性化合物を更に含む。該重合性化合物は、好ましくは、式M
Ra-B1-(Zb-B2)m-Rb M
[式中、個々の基は、それぞれの場合に同一または異なって、それぞれ互いに独立して、以下の意味を有する:
RaおよびRbは、P、P-Sp-、H、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、SF5または1個~25個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキルであって、更に隣接していない1つ以上のCH2基は、それぞれ互いに独立して、-C(R0)=C(R00)-、-C≡C-、-N(R00)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、O原子および/またはS原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよく、かつ更に1つ以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN、PまたはP-Sp-によって置き換えられていてよいアルキルであり、ここで、B1および/またはB2が飽和炭素原子を含むのであれば、Raおよび/またはRbは、この飽和炭素原子にスピロ結合された基を示してもよく、
その際、基RaおよびRbの少なくとも1つは、基PまたはP-Sp-を示すか、または該基を含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
B1およびB2は、芳香族、複素芳香族、脂環式または複素環式の基であって、好ましくは4個~25個の環原子を有し、縮合環を含んでもよく、かつ非置換であるか、またはLによって一置換もしくは多置換されている基であり、
Zbは、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-OCO-、-O-CO-O-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-(CH2)n1-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-(CF2)n1-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR0R00または単結合であり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立して、Hまたは1個~12個の炭素原子を有するアルキルを示し、
mは、0、1、2、3または4を示し、
n1は、1、2、3または4を示し、
Lは、P、P-Sp-、OH、CH2OH、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rx)2、-C(=O)Y1、-C(=O)Rx、-N(Rx)2、任意に置換されたシリル、6個~20個の炭素原子を有する任意に置換されたアリール、または1個~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシであって、更に1つ以上のH原子がF、Cl、PまたはP-Sp-によって置き換えられていてよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシであり、
PおよびSpは、前記の意味を有し、
Y1は、ハロゲンを示し、
Rxは、P、P-Sp-、H、ハロゲン、1個~25個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキルであって、更に隣接していない1つ以上のCH2基が、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、O原子および/またはS原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよく、かつ更に1つ以上のH原子が、F、Cl、PまたはP-Sp-によって置き換えられていてよいアルキル、6個~40個の炭素原子を有する任意に置換されたアリールもしくはアリールオキシ基、または2個~40個の炭素原子を有する任意に置換されたヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシ基である]から選択される。
【0202】
式Iの特に好ましい化合物は、B1およびB2が、それぞれ互いに独立して、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、フェナントレン-2,7-ジイル、9,10-ジヒドロ-フェナントレン-2,7-ジイル、アントラセン-2,7-ジイル、フルオレン-2,7-ジイル、クマリン、フラボン(ここで更に、これらの基中の1つ以上のCH基は、Nによって置き換えられていてよい)、シクロヘキセン-1,4-ジイル(ここで更に、隣接していない1つ以上のCH2基は、Oおよび/またはSによって置き換えられていてよい)、1,4-シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,5-ジイルまたはオクタヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-ジイルを示し、その際、これらの全ての基は、非置換であるか、または前記定義のLによって一置換もしくは多置換されていてもよい化合物である。
【0203】
式Mの特に好ましい化合物は、B1およびB2が、それぞれ互いに独立して、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイルまたはナフタレン-2,6-ジイルを示す化合物である。
【0204】
式Mの非常に好ましい化合物は、以下の式:
【化126】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【化130】
[式中、個々の基は、それぞれの場合に同一または異なって、それぞれ互いに独立して、以下の意味を有する:
P
1、P
2、P
3は、重合性基、好ましくはビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシから選択される重合性基であり、
Sp
1、Sp
2、Sp
3は、単結合またはスペーサー基であって、更に基P
1-Sp
1-、P
1-Sp
2-およびP
3-Sp
3-の1つ以上が、R
aaを示してよいが、但し、存在する基P
1-Sp
1-、P
2-Sp
2およびP
3-Sp
3-の少なくとも1つが、R
aaとは異なるスペーサー基、好ましくは-(CH
2)
p1-、-(CH
2)
p1-O-、-(CH
2)
p1-CO-O-または-(CH
2)
p1-O-CO-O-であり、ここで、p1は、1から12までの整数であり、
R
aaは、H、F、Cl、CNまたは1個~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルであって、更に隣接していない1つ以上のCH
2基が、それぞれ互いに独立して、-C(R
0)=C(R
00)-、-C≡C-、-N(R
0)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、O原子および/またはS原子が互いに直接結合されないように置き換えられていてよく、かつ更に1つ以上のH原子が、F、Cl、CNまたはP
1-Sp
1-によって置き換えられていてよいアルキル、特に好ましくは、1個~12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の、任意に一フッ素化または多フッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(ここで前記アルケニルおよびアルキニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有し、かつ前記分枝鎖状の基は、少なくとも3個の炭素原子を有する)であり、
R
0、R
00は、Hまたは1個~12個の炭素原子を有するアルキルであり、
R
yおよびR
zは、H、F、CH
3またはCF
3であり、
X
1、X
2、X
3は、-CO-O-、-O-CO-または単結合であり、
Z
M1は、-O-、-CO-、-C(R
yR
z)-または-CF
2CF
2-であり、
Z
M2、Z
M3は、-CO-O-、-O-CO-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CF
2O-、-OCF
2-または-(CH
2)
n-であり、ここで、nは、2、3または4であり、
Lは、F、Cl、CNまたは1個~12個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の、任意に一フッ素化もしくは多フッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
L’、L’’は、H、FまたはClであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2または3であり、
tは、0、1または2であり、
xは、0または1である]から選択される。
【0209】
特に好ましいのは、式M2およびM13の化合物である。
【0210】
更に好ましいのは、三価反応性化合物M15ないしM31、特にM17、M18、M19、M22、M23、M24、M25、M30およびM31である。
【0211】
式M1ないしM31の化合物においては、基
【化131】
は、好ましくは
【化132】
であり、
式中、Lは、それぞれの場合に、同一または異なって、前記または下記の意味の1つを有し、かつ好ましくは、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5またはP-Sp-、非常に好ましくは、F、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3、OCF
3またはP-Sp-、より好ましくは、F、Cl、CH
3、OCH
3、COCH
3またはOCF
3、特にFまたはCH
3である。
【0212】
式M1ないしM31の好ましい化合物は、P1、P2およびP3が、アクリレート、メタクリレート、オキセタンまたはエポキシ基、非常に好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基を示す化合物である。
【0213】
式M1ないしM31の更なる好ましい化合物は、Sp1、Sp2およびSp3が単結合である化合物である。
【0214】
式M1ないしM31の更なる好ましい化合物は、Sp1、Sp2およびSp3の1つが単結合であり、かつSp1、Sp2およびSp3のもう1つが単結合とは異なる化合物である。
【0215】
式M1ないしM31の更なる好ましい化合物は、単結合とは異なるこれらの基Sp1、Sp2およびSp3が、-(CH2)s1-X’’-を示し、ここで、s1は、1から6までの整数、好ましくは2、3、4または5であり、かつX’’は、ベンゼン環への結合であり、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-または単結合である化合物である。
【0216】
式M1ないしM31の更なる好ましい重合性化合物は、以下の表Dから選択される化合物である。
【0217】
式Mの1種、2種または3種の重合性化合物、好ましくは式M1ないしM31から選択される化合物を含むLC媒体が特に好ましい。
【0218】
好ましくは、LC媒体中における式Mの重合性化合物の割合は、0.01質量%から5質量%までであり、非常に好ましくは0.05質量%から1質量%までであり、最も好ましくは0.1質量%から0.5質量%までである。
【0219】
式Mの1種以上の重合性化合物をLC媒体へと添加することにより、迅速な応答時間のような有利な特性がもたらされることが確認された。そのようなLC媒体は、PSAディスプレイで使用するために特に適しており、その際、該ディスプレイは、低い画像焼き付き、迅速かつ完全な重合、紫外線曝露後に安定な低いプレチルト角の素早い発生、高い信頼性、紫外線曝露後の高いVHR値、および高い複屈折を示す。重合性化合物の適切な選択によって、LC媒体のより長波長の紫外線波長での吸収を高めることが可能であるので、重合のために、ディスプレイ製造方法のために有利なそのようなより長波長の紫外線波長を使用することが可能である。
【0220】
重合性基Pは、重合反応、例えばフリーラジカル重合もしくはイオン性連鎖重合、重付加もしくは重縮合のために、またはポリマー類似反応、例えばポリマー主鎖への付加もしくは縮合のために適した基である。連鎖重合のための基、特にC=C二重結合またはC≡C三重結合を含む基、および開環を伴う重合のために適した基、例えばオキセタンまたはエポキシ基が特に好ましい。
【0221】
好ましい基Pは、CH
2=CW
1-CO-O-、CH
2=CW
1-CO-、
【化133】
、CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、HO-CW
2W
3-、HS-CW
2W
3-、HW
2N-、HO-CW
2W
3-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、Phe-CH=CH-、HOOC-、OCN-およびW
4W
5W
6Si-からなる群から選択され、その際、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3を示し、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立して、Hまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn-プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立して、Cl、1個~5個の炭素原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを示し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立して、H、Clまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキルを示し、Pheは、P-Sp-以外の前記定義の1つ以上の基Lによって場合により置換された1,4-フェニレンを示し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立して0または1を示し、k
3は、好ましくは1を示し、かつk
4は、1から10までの整数を示す。
【0222】
非常に好ましい基Pは、CH
2=CW
1-CO-O-、CH
2=CW
1-CO-、
【化134】
、CH
2=CW
2-O-、CH
2=CW
2-、CW
1=CH-CO-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、Phe-CH=CH-およびW
4W
5W
6Si-からなる群から選択され、その際、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3を示し、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立して、Hまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn-プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立して、Cl、1個~5個の炭素原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを示し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立して、H、Clまたは1個~5個の炭素原子を有するアルキルを示し、Pheは、1,4-フェニレンを示し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立して0または1を示し、k
3は、好ましくは1を示し、かつk
4は、1から10までの整数を示す。
【0223】
非常に特に好ましい基Pは、CH
2=CW
1-CO-O-、特にCH
2=CH-CO-O-、CH
2=C(CH
3)-CO-O-およびCH
2=CF-CO-O-、更にCH
2=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-O-CO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、
【化135】
からなる群から選択される。
【0224】
更なる好ましい重合性基Pは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシドからなる群から選択され、最も好ましくはアクリレートおよびメタクリレートから選択される。
【0225】
Spが単結合とは異なる場合に、式Sp’’-X’’が好ましいので、それぞれの基P-Sp-は、式P-Sp’’-X’’-と一致し、その際、
Sp’’は、1個~20個の、好ましくは1個~12個の炭素原子を有するアルキレンであって、任意にF、Cl、Br、IまたはCNによって一置換もしくは多置換されており、かつ更に隣接していない1つ以上のCH2基が、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-N(R0)-、-Si(R0R00)-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-N(R00)-CO-O-、-O-CO-N(R0)-、-N(R0)-CO-N(R00)-、-CH=CH-または-C≡C-によって、O原子および/またはS原子が、互いに直接結合されないように置き換えられてよく、
X’’は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-N(R0)-、-N(R0)-CO-、-N(R0)-CO-N(R00)-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-CY2=CY3-、-C≡C-、-CH=CH-CO-O-、-O-CO-CH=CH-または単結合を示し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立して、Hまたは1個~20個の炭素原子を有するアルキルを示し、かつ
Y2およびY3は、それぞれ互いに独立して、H、F、ClまたはCNを示し、
X’’は、好ましくは、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、-NR0-CO-NR00-または単結合である。
【0226】
典型的なスペーサー基Spおよび-Sp’’-X’’-は、例えば-(CH2)p1-、-(CH2CH2O)q1-CH2CH2-、-CH2CH2-S-CH2CH2-、-CH2CH2-NH-CH2CH2-または-(SiR0R00-O)p1-であり、ここで、p1は、1から12までの整数であり、q1は、1から3までの整数であり、かつR0およびR00は、前記の意味を有する。
【0227】
特に好ましい基Spおよび-Sp’’-X’’-は、-(CH2)p1-、-(CH2)p1-O-、-(CH2)p1-O-CO-、-(CH2)p1-CO-O-、-(CH2)p1-O-CO-O-であり、ここで、p1およびq1は、前記の意味を有する。
【0228】
特に好ましい基Sp’’は、それぞれの場合に直鎖状の、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0229】
PSAディスプレイの製造のためには、LC媒体中に含まれる重合性化合物は、LC媒体中でのインサイチュー重合によって、LCディスプレイの基板の間で、任意に電極に電圧を印加しながら重合または(1つの化合物が2つ以上の重合性基を有するのであれば)架橋される。
【0230】
本発明によるPSAディスプレイの構造は、冒頭で引用した先行技術に記載されるPSAディスプレイについて通例の形状に相当する。突出部を有さない形状が好ましく、特に該形状であって、更にカラーフィルタ側の電極がパターン化されておらず、TFT側の電極だけがスロット部を有する形状が好ましい。PS-VAディスプレイのための特に適切な好ましい電極は、例えば米国特許出願公開第2006/0066793号明細書(US2006/0066793A1)に記載されている。
【0231】
上述の好ましい実施形態の化合物と、前記の重合された化合物との組み合わせは、本発明によるLC媒体中において低い閾値電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性と同時に、絶えず高い透明点および高いVHR値をもたらす。
【0232】
重合性化合物を含むLC媒体の使用は、PSAディスプレイにおける特に低いプレチルト角の迅速な確立を可能にする。特に、該LC媒体は、先行技術からの媒体と比較して、PSAディスプレイにおける、大幅に短くなった応答時間、特にまたモノクロ階調応答時間を示す。
【0233】
一般的に、ネマチックLC相を有し、好ましくはキラル液晶相を有さないLC媒体が好ましい。
【0234】
本発明のLC媒体は、好ましくは、80K以上の、非常に好ましくは100K以上のネマチック相、および250mPa・s以下の、非常に好ましくは200mPa・s以下の20℃での回転粘度を有する。
【0235】
本発明によるVA型ディスプレイにおいて、スイッチを切った状態のLC媒体の層内の分子は、電極表面に対して垂直に配向され(ホメオトロピック)、または傾斜したホメオトロピック配向を有する。電極に電気的電圧を印加すると、LC分子の再配向は、電極表面に対して平行な分子の長軸方向で行われる。
【0236】
一つ目の好ましい実施形態による負の誘電異方性を有する化合物を基礎とする本発明によるLC媒体、特にVA型およびUB-FFS型のディスプレイで使用するためのLC媒体は、好ましくは、20℃および1kHzで、-0.5から-10までの、非常に好ましくは-2.5から-7.5までの負の誘電異方性Δεを有する。
【0237】
VA型およびUB-FFS型のディスプレイで使用するための本発明によるLC媒体中での複屈折Δnは、好ましくは0.16、特に好ましくは0.06から0.14までであり、非常に特に好ましくは0.07から0.12までである。
【0238】
二つ目の好ましい実施形態による正の誘電異方性を有する化合物を基礎とする本発明によるLC媒体、特にIPS型およびFFS型のディスプレイで使用するためのLC媒体は、好ましくは、20℃および1kHzで、+2から+30までの、非常に好ましくは+3から+20までの正の誘電異方性Δεを有する。
【0239】
IPSまたはFFSのディスプレイで使用するための本発明によるLC媒体中での複屈折Δnは、好ましくは0.07から0.15までであり、特に好ましくは0.08から0.13までである。
【0240】
本発明によるLC媒体は、文献に記載される当業者に公知の更なる添加剤、例えば重合抑制剤、阻害剤、安定化剤、表面活性剤またはキラルドーパントを含んでもよい。これらは、重合性または非重合性であってよい。
【0241】
好ましい一実施形態においては、LC媒体は、1種以上のキラルドーパントを、好ましくは0.01質量%から1質量%までの、非常に好ましくは0.05質量%から0.5質量%までの濃度で含有する。該キラルドーパントは、好ましくは、以下の表Bからの化合物から選択され、非常に好ましくは、R-もしくはS-1011、R-もしくはS-2011、R-もしくはS-3011、R-もしくはS-4011、およびR-もしくはS-5011からなる群から選択される。
【0242】
もう一つの好ましい実施形態においては、該LC媒体は、1種以上のキラルドーパント、好ましくは先の段落で挙げられたキラルドーパントから選択されるキラルドーパントのラセミ混合物を含む。
【0243】
更に、LC媒体に、例えば0質量%~15質量%の多色性色素を添加することが可能であり、更に導電性の改善のためのナノ粒子、導電性塩、好ましくはエチルジメチルドデシルアンモニウム4-ヘキサオキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテルの錯塩(例えばHallerら,Mol.Cryst.Liq.Cryst.24,249-258(1973)を参照)を添加することが可能であり、または誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を調節するための物質を添加することが可能である。この種類の物質は、例えば独国特許出願公開第2209127号明細書(DE-A2209127)、独国特許出願公開第2240864号明細書(DE-A2240864)、独国特許出願公開第2321632号明細書(2321632)、独国特許出願公開第2338281号明細書(DE-A2338281)、独国特許出願公開第2450088号明細書(DE-A2450088)、独国特許出願公開第2637430号明細書(DE-A2637430)および独国特許出願公開第2853728号明細書(DE-A2853728)に記載されている。
【0244】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態a)~z)の個々の成分は公知であるか、または該成分の製造方法は、関連技術の当業者によって先行技術から簡単に導き出すことができる。それというのも、それらは、文献に記載される標準的方法を基礎としているからである。式CYの相応の化合物は、例えば欧州特許出願公開第0364538号明細書(EP-A-0364538)に記載されている。式ZKの相応の化合物は、例えば独国特許出願公開第2636684号明細書(DE-A-2636684)および独国特許出願公開第3321373号明細書(DE-A-3321373)に記載されている。
【0245】
本発明により使用することができるLC媒体は、自体慣用の様式で、例えば上述の化合物の1種以上と、前記定義の1種以上の重合性化合物と、任意に更なる液晶性化合物および/または添加剤とを混合することによって製造される。一般的に、より少量で使用される成分の所望な量が、主成分を構成する成分中に、有利には高められた温度で溶解される。また有機溶剤、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の複数成分の溶液を混合して、再び溶剤を、例えば蒸留によって入念な混合後に除去することも可能である。更に本発明は、本発明によるLC媒体の製造方法に関する。
【0246】
本発明によるLC媒体が、例えばH、N、O、Cl、Fが相応の重水素等のような同位体によって置き換えられた化合物を含んでもよいことは、当業者には言うまでも無い。
【0247】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって、制限するものではない。しかしながら、実施例は、使用が好ましい化合物との好ましい混合物の概念およびそのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組合せを当業者に示すものである。更に、本実施例は、どの特性および特性の組合せを利用できるかを説明するものである。
【0248】
本出願を通して、1,4-シクロヘキシレン環および1,4-フェニレン環は、以下:
【化136】
のように表される。
【0249】
該シクロヘキシレン環は、トランス-1,4-シクロヘキシレン環である。
【0250】
本特許出願を通じてかつ実施例において、液晶化合物の構造は、頭字語によって示される。特に記載がない限り、化学式への変換は、表I~表IIIに従って行われる。全ての基CnH2n+1、CmH2m+1、CnH2n、CmH2mおよびCkH2kは、それぞれ、n個、m個またはk個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、nおよびmは、それぞれ互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、好ましくは1、2、3、4、5または6を示し、かつkは、0、1、2、3、4、5または6である。表Iにおいて、それぞれの化合物の環構成要素が記号化され、表IIにおいて、橋かけ員が列挙され、そして表IIIにおいて、化合物の左手の側鎖と右手の側鎖についての記号の意味が示されている。
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
好ましい混合物の成分を、以下の表A1およびA2に示す。表A1に示される化合物は、正の誘電異方性を有するLC混合物で使用するために特に適している。表A2に示される化合物は、負の誘電異方性を有するLC混合物で使用するために特に適している。
【0256】
表A1
表A1においては、R1*は、表IIIに列挙される左手側の側鎖から選択される基を示し、かつR2*は、表IIIに列挙される右手側の側鎖から選択される基を示し、、L1*およびL2*は、互いに独立して、HまたはFであり、mおよびnは、互いに独立して、1から12までの整数、好ましくは1、2、3、4、5または6であり、kは、0、1、2、3、4、5または6であり、かつ(O)CmH2m+1は、CmH2m+1またはOCmH2m+1を意味する。
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
表A2
以下の式においては、mおよびnは、互いに独立して、1から12までの整数、好ましくは1、2、3、4、5または6であり、kは、0、1、2、3、4、5または6であり、かつ(O)CmH2m+1は、CmH2m+1またはOCmH2m+1を意味する。
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
本発明の一つ目の好ましい実施形態においては、本発明によるLC媒体、特に正の誘電異方性を有するLC媒体は、表A1からの化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む。
【0288】
本発明の二つ目の好ましい実施形態においては、本発明によるLC媒体、特に負の誘電異方性を有するLC媒体は、表A2からの化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む。
【0289】
表B
表Bは、本発明によるLC媒体に添加することができる考えられるキラルドーパントを示している。
【0290】
【0291】
【0292】
該LC媒体は、好ましくは、0質量%~10質量%の、特に0.01質量%~5質量%の、特に好ましくは0.1質量%~3質量%のドーパントを含む。該LC媒体は、好ましくは、表Bからの化合物からなる群から選択される1種以上のドーパントを含む。
【0293】
表C
表Cは、本発明によるLC媒体に添加することができる考えられる安定化剤を示している。そこでは、nは、1から12までの整数、好ましくは1、2、3、4、5、6、7または8を示し、かつ末端メチル基は示されていない。
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
該LC媒体は、好ましくは、0質量%~10質量%の、特に1ppm~5質量%の、特に好ましくは1ppm~1質量%の安定化剤を含む。該LC媒体は、好ましくは、表Cからの化合物からなる群から選択される1種以上の安定化剤を含む。
【0301】
表D
表Dは、本発明によるLC媒体で使用することができる反応性メソゲン性化合物を図示している。
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
好ましい一実施形態においては、本発明による混合物は、1種以上の重合性化合物、好ましくは式RM-1ないしRM-131の重合性化合物から選択される重合性化合物を含む。これらのうち、化合物RM-1、RM-4、RM-8、RM-17、RM-19、RM-35、RM-37、RM-43、RM-47、RM-49、RM-51、RM-59、RM-69、RM-71、RM-83、RM-97、RM-98、RM-104、RM-112、RM-115およびRM-116が特に好ましい。
【0322】
更に、以下の略語および記号が使用される。
【0323】
V0 20℃での容量性閾値電圧[V]
ne 20℃および589nmでの異常屈折率
no 20℃および589nmでの常屈折率
Δn 20℃および589nmでの光学異方性
ε⊥ 20℃および1kHzでの配向ベクトルに対して垂直方向の誘電率
ε// 20℃および1kHzでの配向ベクトルに対して平行方向の誘電率
Δε 20℃および1kHzでの誘電異方性
cl.p.、T(N,I) 透明点[℃]
γ1 20℃での回転粘度[mPa・s]
K1 弾性定数、20℃での「スプレイ」変形[pN]
K2 弾性定数、20℃での「ツイスト」変形[pN]
K3 弾性定数、20℃での「ベンド」変形[pN]
特に記載がない限り、本出願における全ての濃度は、質量%で示されるものであり、溶剤なしに全ての固体または液晶成分を含む、相応の混合物全体を基準とする。
【0324】
特に記載がない限り、本出願で指摘される全ての温度値、例えば融点T(C,N)、スメクチック(S)相からネマチック(N)相への転移T(S,N)、および透明点T(N,I)についての温度値は、摂氏度(℃)で示されるものである。M.p.は、融点を示し、cl.p.は、透明点である。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、そしてIは等方相である。これらの記号の間のデータは、転移温度を表す。
【0325】
全ての物理的特性は、「メルクの液晶、液晶の物理的特性(Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals)」,1997年11月時点,Merck KGaA(ドイツ)に従って測定され、そして測定されており、それぞれの場合に特に記載がない限り、20℃の温度が適用され、Δnは、589nmで測定され、そしてΔεは1kHzで測定される。
【0326】
本発明に関する用語「閾値電圧」は、特に記載がない限り、フレデリクス閾値としても知られる容量性閾値(V0)に関連するものである。実施例では、光学的閾値は、一般的に慣例通り、10%相対コントラストについて示されることもある(V10)。
【0327】
容量性閾値電圧の測定のために使用されるディスプレイは、それぞれが内側に電極層を有し、かつ最上部にノンラビングポリイミド配向層を有する25μmだけ離れた2枚の平行平面ガラス外側プレートからなり、それらは、液晶分子のホメオトロピックなエッジ配向を生じさせる。
【0328】
VHR値は、以下の通りに測定される。LC混合物を、ノンラビングポリイミド配向層を含むVHR試験セル中に導入する。LC層の厚みdは、特に記載がない限り約6μmである。VHR値は、1V、60Hz、64μsパルスでの紫外線曝露の前と後に測定する(測定機器:Autronic-Melchers社製VHRM-105)。
【実施例】
【0329】
実施例1
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0330】
【0331】
前記混合物に、200ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0332】
【0333】
実施例2
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0334】
【0335】
前記混合物に、200ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0336】
実施例3
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0337】
【0338】
前記混合物に、200ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0339】
実施例4
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0340】
【0341】
前記混合物に、150ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0342】
実施例5
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0343】
【0344】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0345】
実施例6
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0346】
【0347】
前記混合物に、150ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0348】
実施例7
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0349】
【0350】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0351】
実施例8
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0352】
【0353】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0354】
実施例9
負の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0355】
【0356】
前記混合物に、200ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0357】
実施例10
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0358】
【0359】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび300ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0360】
実施例11
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0361】
【0362】
前記混合物に、150ppmの安定化剤S1-2aおよび300ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0363】
実施例12
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0364】
【0365】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-1aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0366】
【0367】
実施例13
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0368】
【0369】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0370】
実施例14
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0371】
【0372】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-2aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0373】
実施例15
正の誘電異方性を有するLC混合物は、以下の通りに配合される。
【0374】
【0375】
前記混合物に、100ppmの安定化剤S1-1aおよび400ppmの安定化剤S2aを添加する。
【0376】
使用例
実施例10のように配合されたLC媒体M10を、前記のVHR試験セル中に充填する。
【0377】
該試験セルに熱応力(100℃)をかける。VHRを、様々な時間間隔の後に前記のように測定する。
【0378】
比較のために、実施例10のように配合されているが、但し、安定化剤S1-2aだけしか含有せずに、安定化剤S2aを含有しない参照LC媒体MCを用いて測定を繰り返す。
【0379】
VHR値は、以下の第1表に示される。
【0380】
【0381】
2つの安定化剤S1-2aおよびS2aを含有するLC媒体M10は、安定化剤S1-2aだけしか含有せずに、安定化剤S2aを含有しないLC媒体MCと比較して、長時間の熱曝露の後に示されるVHRの低下が大幅に小さくなることを理解することができる。