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特許7065615歯科用プロテーゼを生成するための歯科用接続アセンブリ及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】歯科用プロテーゼを生成するための歯科用接続アセンブリ及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2017560248
(86)(22)【出願日】2016-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2016064102
(87)【国際公開番号】W WO2016203030
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-06-10
(31)【優先権主張番号】15172921.7
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16166121.0
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506260386
【氏名又は名称】ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】カウプ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツェル, イェルク
(72)【発明者】
【氏名】カレッタ, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンセン, ピアーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョップ, ラクエル
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第90/004951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)を歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)に取り付けるための接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)であって、
前記接続アセンブリは、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物に取り外し可能に取り付けられ、前記歯科用コンポーネントは前記接続アセンブリに取り付けられ、及び前記歯科用コンポーネントは、予め固定された状態または固定された状態で前記接続アセンブリに取り付け可能であり、
前記予め固定された状態において、前記接続アセンブリが前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物に取り付けられる場合、前記接続アセンブリによって、前記歯科用コンポーネントと前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物の間の相対的な位置及び/または配向の調整が可能になり、
前記固定された状態において、前記歯科用コンポーネントと前記接続アセンブリの間の前記相対的な位置及び/または配向が位置合わせされる一方で、前記接続アセンブリは、前記歯科用コンポーネントが固定された状態にある前記接続アセンブリに取り付けられた状態で、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物から取り外し可能である、前記接続アセンブリ。
【請求項2】
前記歯科用コンポーネントの歯根側に配置された歯根ベアリング手段であって、前記歯根ベアリング手段は、第2のワッシャ(130、2030)によって形成される、前記歯根ベアリング手段、及び/または
前記歯科用コンポーネントの冠状側に配置された冠状ベアリング手段であって、前記冠状ベアリング手段は、第1のワッシャ(120、2120)及び/または第3のワッシャ(110、2110)によって形成される、前記冠状ベアリング手段、
を備える、請求項1に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項3】
固定エレメント(140、1140、2140、3140)であって、歯根ベアリング面(1142、2142)及び/または冠状ベアリング面(141、2141、3141)、スルーホール(143、2143、3143)、及び取り外し可能な方法で、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)を係合するためのアタッチメント機構を備える、前記固定エレメントと、
前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)を前記固定エレメントに固定するための係合エレメントであって、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物を係合しないように形成され、及び前記スルーホールを係合するように形成される第1の仮ネジ(31、2031、3031)、接着剤、及び熱硬化性樹脂のうちの少なくとも1つから選択される、前記係合エレメントと、
をさらに含む、請求項2に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項4】
前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)と前記第1の仮ネジ(31、2031、3031)のネジヘッド(32)または前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)の前記冠状ベアリング面(141、2141、3141)の間に介在する少なくとも1つのワッシャ(110、120、130、2110、2120、3120)を備え、前記固定エレメントは、前記歯科用コンポーネントの前記歯根側に載置される、請求項3に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項5】
前記ワッシャ(110、120、130、2110、2120、3120)は、前記ワッシャの両側に位置する2つのベアリング面(121、122、131、132、3122、3122)を備え、前記複数のベアリング面のうちの少なくとも1つは、平坦なベアリング面(121、131、3122)である、請求項4に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項6】
前記ネジヘッド(32)の歯根側に配置されるように請求項2に規定した前記第3のワッシャ(110、2110)を備え、前記第3のワッシャは歯根ベアリング面(111)、冠状面(112)、ネジのためのスルーホール(114)を有し、前記スルーホールは前記冠状面から前記歯根ベアリング面まで延在する、請求項4に記載の前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項7】
前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)と前記第3のワッシャ(110、2110)の前記歯根ベアリング面(111)の間に介在するように請求項2に規定した前記第1のワッシャ(120、2120)及び/または前記歯科用コンポーネントと前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)の前記冠状ベアリング面(141、2141、3141)の間に介在する第2のワッシャ(130、2030)を備える、請求項6に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項8】
前記第1のワッシャ(120、2120)または前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)の冠状側(22、1022、2022、3022)と前記第3のワッシャ(110、2110)の前記歯根ベアリング面(111)の間の接触が面接触となるよう構成される、請求項7に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項9】
請求項2に規定した前記第2のワッシャ(130、2030)または前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)の歯根側(21)と請求項3に規定した前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)の前記冠状ベアリング面(141、2141、3141)の間の接触が面接触となるよう構成される、請求項3に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項10】
インプラント用ネジ(30、1030)を備え、前記インプラント用ネジは、前記接続アセンブリを前記歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に固定するために、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)と係合するように形成される、請求項3に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項11】
従属請求項3に規定した前記アタッチメント機構は、スナップ機構(148)として形成され、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物(12)に取り付けた場合、前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)は、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)の縦軸に対して回転可能である、請求項3に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項12】
請求項10に規定した前記インプラント用ネジ(30、1030)であって、請求項3に規定した前記第1の仮ネジ(31、2031、3031)及び/または第2の仮ネジ(33)は、前記アタッチメント機構から独立して動作し得る、請求項10に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項13】
接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)は、固定エレメント(140、1140、2140、3140)を備え、前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)は、取り外し可能な方法で、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)を係合するためのアタッチメント機構を備え、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物(12)に取り付けた場合、前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)は、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)の縦軸に対して回転可能である、請求項1に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)。
【請求項14】
歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)を請求項1から12のうちのいずれか1項に記載の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)に組み合わせる方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのスルーホール(23、1023、2023、3023)を備える歯科用コンポーネントを提供することと、
歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)と歯科用コンポーネントの間に配置されることを意図された固定エレメント(140、1140、2140、3140)と、前記歯科用コンポーネントを前記固定エレメント(140)に固定するために前記固定エレメント(140)のスルーホール(143)を係合するための第1の仮ネジ(31、2031、3031)とを備える接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を提供することであって、前記第1の仮ネジは、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)を係合しないように形成される、前記提供することと、
前記スルーホールの歯根(21、1021、2021、3021)または冠状側(22、1022、2022、3022)に第1のワッシャ(120、2120)を必要に応じて載置することと、
前記スルーホールの前記冠状側に配置した場合、前記歯科用コンポーネントまたは前記第1のワッシャ(120)に第3のワッシャ(110、2110)を必要に応じて載置することと、
前記歯科用コンポーネントの前記スルーホールの前記歯根側または前記冠状側の他方側に第2のワッシャ(130、2030)を必要に応じて載置することと、
前記固定エレメント及び前記第1の仮ネジが予め固定された状態で前記歯科用コンポーネントの前記スルーホールに対して移動できるように前記第1の仮ネジと前記固定エレメントを係合することと、
を備える、前記方法。
【請求項15】
前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)に、歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)を取り外し可能な方法で係合するためのアタッチメント機構を提供するステップを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を用いて、歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)に対して歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)の前記位置及び/または配向を調整するための方法であって、前記方法は、
前記歯科用コンポーネント及び前記接続アセンブリを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物(12)にマウントすることであって、前記接続アセンブリは、固定エレメント(140、1140、2140、3140)及び第1の仮ネジ(31、2031、3031)を備え、前記歯科用コンポーネント及び前記接続アセンブリは、請求項14または15に記載の方法を用いて相互に組み合わされている、前記マウントすることと、
前記固定エレメントを前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物(12)に取り付けて、前記固定エレメントを歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)と歯科用コンポーネントの間に配置することと、
前記接続アセンブリを調整することによって、前記歯科用インプラントまたは前記歯科用インプラントの類似物(12)に対して前記歯科用コンポーネントの前記位置及び/または配向を調整することと、
前記歯科用コンポーネントに対して前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向を位置合わせするために、前記第1の仮ネジと前記固定エレメントの間の前記係合を強化することと、
を備える、前記方法。
【請求項17】
前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)を取り外すことによって、前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または前記歯科用インプラントの類似物(12)から前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)及び前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を取り外す一方で、前記第1の仮ネジ及び/または固着手段を用いて、前記歯科用コンポーネントに対して、前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向を維持すること、をさらに備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの歯科用インプラントの前記位置及び/または配向を示す、少なくとも1つの転送アバットメントを取得することと、
インプラントの類似物を各転送アバットメントに取り付け、前記少なくとも1つのインプラントの類似物をモデル内に位置合わせすることによって、作業モデルを作成することと、
をさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
第2の仮ネジ(33)を用いて、前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)及び前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)を前記歯科用インプラントの類似物(12)に固定することと、
前記歯科用コンポーネント及び前記固着された接続アセンブリに基づいて、歯科用プロテーゼを生成することと、
をさらに備える、請求項16から18のうちの1項に記載の方法。
【請求項20】
咬合及び中心位の垂直方向の寸法を得るために、口腔内の上顎の位置の記録に関するデータを取得することと、
前記歯科用プロテーゼを生成するために、咬合器に対してこれらの記録を適用することと、
をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項16に記載の前記方法に従って、固定され及び調整された状態の接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)に取り付けられた歯科用コンポーネントを獲得するステップと、
前記接続アセンブリ(110、2110)の固定エレメント(140、1140、2140、3140)を歯科用インプラントの類似物(12)に取り付けるステップと、
を備える、歯科用プロテーゼを生成する方法。
【請求項22】
固着手段を用いて、前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)に対する前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)の前記位置及び/または配向の位置合わせするステップと、
前記第1の仮ネジ(31、2031、3031)を取り除き及び前記歯科用インプラント(10、1010、2010、3010)または歯科用インプラントの類似物(12)を係合するように形成した第2の仮ネジ(33)を用いて、前記接続アセンブリ及び前記歯科用コンポーネントを前記歯科用インプラントの類似物(12)に固定するステップと、
前記歯科用コンポーネント及び前記固着された接続アセンブリに基づいて、前記歯科用プロテーゼを必要に応じて生成するステップと、
を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの歯科用インプラントの類似物(12)を備える患者の歯の状態のモデルを提供するステップと、
歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)及び接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を提供するステップであって、前記接続アセンブリは固定エレメント及び第1の仮ネジを備え、前記歯科用コンポーネントと前記接続アセンブリは、前記第1の仮ネジによって、請求項14または15に記載の方法によって予め固定された状態に組み合わされているステップと、
前記歯科用インプラントの類似物(12)上に前記歯科用コンポーネント及び前記接続アセンブリをマウントするステップと、
前記接続アセンブリを調整することによって、前記歯科用インプラントの類似物(12)に対して前記歯科用コンポーネントの前記位置及び/または配向を調整するステップと、
前記歯科用コンポーネントに対して前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向を位置合わせするために前記第1の仮ネジを固定するステップと、
を備える、歯科用プロテーゼを生成するための方法。
【請求項24】
前記固定エレメント(140、1140、2140、3140)を取り除くことによって、前記歯科用インプラントの類似物(12)から前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)及び前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を取り除く一方で、前記第1の仮ネジ(31、2031、3031)を用いて、前記歯科用コンポーネントに対して前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向を保持することと、
前記歯科用コンポーネントに対して前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向が前記第1の仮ネジを除去した後も保持されるように、前記歯科用コンポーネントに対して前記接続アセンブリの前記位置及び/または配向を位置合わせするための固着手段を適用することと、
をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の仮ネジ(31、2031、3031)を除去すること及び前記歯科用インプラントの類似物(12)を係合するために形成した第2の仮ネジ(33)によって、前記歯科用インプラントの類似物(12)に前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)及び前記歯科用コンポーネント(20、1020、2020、3020)を固定することと、
前記歯科用コンポーネント及び前記固着された接続アセンブリに基づいて、前記歯科用プロテーゼを生成することと、
をさらに備える、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
咬合及び中心位の垂直方向の寸法を得るために、口腔内の上顎の位置の記録に関するデータを取得することと、
前記歯の状態の前記モデル、前記歯科用コンポーネント、及び前記歯科用プロテーゼを生成するための前記接続アセンブリ(100、1100、2100、3100)を備える義歯にこれらの記録を適用することと、
をさらに備える、請求項23から25のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用インプラントに歯科用コンポーネントを取り付ける接続アセンブリ、接続アセンブリのための歯科用コンポーネント、及び歯の修復の作業手順において接続アセンブリを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インプラントによってサポートされる歯の修復は、一般的な治療になってきているが、残された課題は、修復部が効率的かつ正確に位置決めされることである。理想的には、当該歯の修復部を固定するためのインプラントの縦軸と歯の修復部のスルーホールは一致する。しかし、実際には、いくつかの不一致の原因があり、その結果、インプラントと歯の修復部の間に最適でないアライメントが生じる。このような最適でないアライメントによって、骨組織、インプラントまたは歯の修復部内により高い緊張が加わり、この結果、修復部の寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
計画したインプラントの位置と患者の口内に実際に植設したインプラントの位置の間には、一般的に差がある。この過程は、ガイダンスシステムによって支援され得るが、インプラテーション自体は、基本的には依然として手作業であり、配置の精度に関し周知の欠陥がある。治療の直接的な結果、すなわち機能中の歯の修復部には重大な影響はあり得ないが、インプラテーション後に行われなければならない任意の補修を行うと、患者に追加の費用と治療時間が発生する。さらに、治療に用いるネジに対して受動的な適合が実現しなければ、ネジに対して緊張が生じる可能性があるので、ネジに不具合が生じ、これによってさらに治療が発生し、その結果、患者に追加の費用と治療時間が要求される。
【0004】
下顎骨及び/または上顎骨の使用可能な量の骨及び/またはこの骨の硬度のような患者の歯の状態によって、植設するべきインプラントに、さらなる寸法を必要とする深さ及び/または方向が必要となるが、これは、インプラントの上部に歯の修復部を適合させることによって、これを残りの歯となじませるためのものである。
【0005】
歯の修復をもたらすためには、より複雑な作業手順が必要であり、これには、患者の歯の状態を再構築するために採取すべき多数の印象が含まれ、これは特に、一本または複数本の歯のプロテーゼを設計するためのものである。この作業手順はまた、歯科クリニック及び歯科研究室のようないくつかの施設を含むことが一般的に要求される。
【0006】
2つ以上のインプラント上でサポートされる義歯の場合、これらのインプラントの角度及び挿入深さの差をまた考慮する必要があるが、このことは歯の修復を最適にサポートするためのものである。換言すると、一般的に、これらのインプラントの間の高さまたは角度のいずれの差をも平坦化するための作業が必要であるが、これは歯の修復部に作用する付加をインプラント及びその下部の骨組織に等しく効率的な移行を可能にするためのものである。
【0007】
これらの問題を解決する1つのアプローチは、高度なカスタマイゼーションである。例えば、植設後、患者の歯のスキャンに基づいて、歯の修復部を片側から研磨することもあり得る。しかし、これらの解決策には、一般的に高価なCAD/CAM装置を必要とする。
【0008】
別のアプローチは、複数のモジュールシステムを使用することであるが、これは、インプラントと歯の修復部の間に配置することができるある種のスペーサが含まれる。これは、高さ及び/または配向のいずれの差も平坦化するためである。しかし、これらのシステムは、多数の異なった使用可能な部品を必要とし、これらの部品は、上述した欠点を伴う患者の立ち会いの下、依然として手作業で適合させなければならないことがある。
【0009】
この点で、US2008/0241790 A1の目的は、製造公差に起因する微細なアライメント不良と誤配置を補償することであった。提案したシステムは、基本的に球体のようなセグメント化されたエレメントを使用し、このエレメントは、インプラント用ネジのヘッドとインプラントの間に配置されるので、その結果、ネジを強化することによって、このセグメント化されたエレメントは圧縮されて外方向に変形することになる。この結果、このエレメントがスリーブの内側に押圧されることによって歯の修復が行われる。しかし、この結果、摩擦係合によって保持される歯の修復部は、修復部が長い間に移動し、緩んでしまうリスクを負うことになる。また、この変形は、セグメント化された球体の円周方向に等しく加えられるので、この技術によって患者の骨組織内の歯科用インプラントのいかなる誤配置をも解決するものではない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の発明者らは、いくつかの目的に基づいて、上述した課題に取り組んできた。これらの目的の1つは、歯科用インプラントと歯の修復部との間のいずれのアライメント不良及び誤配置でも取り除くことであった。本発明の別の目的は、カスタマイズされた、すなわち、受動的な適合性を可能にするシステムを提供することであったが、歯の修復部を構築し、適切にサポートするために、極めて個別化された部品を必要とするものではない。本発明の別の目的は、歯の修復部を作成するための作業手順を簡単にし、特には、治療中の患者の治療時間及びいかなる不便さも低減することであった。
【0011】
上述した目的を指向し、以下の問題を解決する本発明の解決策は、添付の独立請求項によって規定し、下により詳細に説明する。従属請求項は、さらに好適な実施形態の追加の特徴を規定する。
【0012】
以下において、アライメント不良という用語は、主に2つのコンポーネントの間の配向の差に関連して使用される。例えば、2つのコンポーネントが相互に関連して回転することによって適合しなければならない場合、これらはアライメント不良であると見なされる。対照的に、誤配置という用語は、一般的に2つのコンポーネントの間の位置の差、すなわちこれらの2つのコンポーネントを適合させるために移行させなければならない場合に用いられる。
【0013】
歯科用インプラントと歯科用コンポーネントの間のアライメント不良または誤配置に関連する用語である調整、補償、またはオフセットは、当技術分野において使用されている標準的なコンポーネントによって補償することができない調整を一般的に意味する。
【0014】
より具体的には、本発明は、歯科用コンポーネントを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けるための接続アセンブリを提供する。この場合、接続アセンブリは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り外し可能に取り付けることができ、好適には、歯科用コンポーネントは接続アセンブリに取り付けられる。さらに、歯科用コンポーネントは、予め固定された状態または固定された状態で接続アセンブリに取り付けることが可能である。予め固定された状態の場合、接続アセンブリは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けられており、この接続アセンブリは、歯科用コンポーネントと歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の間の相対的な位置及び/または配向の調整を可能にする一方で、固定された状態の場合、歯科用コンポーネントと接続アセンブリの間の相対的な位置及び/または配向は位置合わせされているが、接続アセンブリは、特に固定された状態の接続アセンブリに取り付けられた歯科用コンポーネントを用いて、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物から取り外し可能である。
【0015】
基本的に、歯科用コンポーネントと接続アセンブリの間に固定された状態に加えて、予め固定された状態の特徴を含むことによって、予め組み合わされ、必要に応じて殺菌されたパッケージに入れた歯科用コンポーネントを患者に提供することが可能になる。従って、マルチコンポーネントシステム、すなわち、患者の立ち会いの下組み合わせステップが必要であるという主な欠点を排除することに成功した。
【0016】
予め固定された状態のさらに1つの有利な効果は、接続アセンブリを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けながら、この効果を発揮することができることである。このため、予め固定された状態は、インプラントと歯科用コンポーネントの間の位置及び/または配向の調整を可能にするが、これは、歯科用コンポーネントを接続アセンブリによってその間に取り付けることによって実現する。一度取り付けると、予め固定された状態から固定された状態に移行することによって、調整をロックすることができる。換言すると、配向及び/または位置を調整した後、接続アセンブリは、調整を「記録する」固定された状態に移行する。
【0017】
接続アセンブリは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り外し可能に取り付けることができるため、歯科用コンポーネントに固定された接続アセンブリは、上述した調整を所定の場所に保持しながら歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物から除去することができる。これによって、歯科用インプラントと歯科用コンポーネントの間に必要な調整をいずれをも効率的に提供することができ、その結果、処置の終了時点において、歯科用インプラントと歯科用プロテーゼの間で正確な適合が実現する。
【0018】
歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に関連し、歯科用接続アセンブリによって歯科用コンポーネントの調整を行う以外には、患者の歯の状態の歯科用印象材を作成する必要はない。歯科用インプラントの類似物の場合、患者の口の中の歯科用インプラントの位置及び配向は転送アバットメントによって記録することができる。その後、歯科用インプラントの類似物が各転送アバットメントに取り付けられ、歯科用インプラントの類似物は成型可能材料の中に埋め込まれる。成型可能材料をセットまたは硬化させた後、転送アバットメントを除去する。その結果、作業用モデルの歯科用インプラントの類似物は、患者の口の中のインプラントの位置及び/または配向を表す。
【0019】
本発明の接続アセンブリは、2段階の固定技術を提供するが、この技術では、これらのアイテムの間に接続アセンブリを機能的に載置することによって歯科用コンポーネントを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付ける。さらに、歯科用コンポーネントをインプラントに取り付けることは、これらのアイテムの間の相対的な位置及び/または配向をロックすることから独立している。
【0020】
相対的な位置及び/または配向の調整は、歯科用接続アセンブリを用いて、歯科用コンポーネントに対して「調整可能なスルーホール」を提供することによって、基本的に実現する。歯科用接続アセンブリの上述した調整可能なスルーホールは、例えば、歯科用コンポーネントのスルーホール及びベアリング面に関連して、一定の寸法及びベアリング面を有するワッシャのようなコンポーネントの組み合わせによって形成することができる。接続アセンブリの調整可能な孔は、歯科用コンポーネントまたは、さらに詳しくは歯科用コンポーネントのスルーホールに対して傾斜させ位置合わせすることができるが、これは、患者の口腔内にインプラントを適合するように載置するためである。接続アセンブリのスルーホールを調整可能にするため、すなわち、この孔の傾斜及び移行を可能にするため、歯科用コンポーネントのスルーホールは、歯科用コンポーネントをインプラントに固定するため、インプラント用のネジを挿入するためだけの寸法よりも大きい寸法を有する。
【0021】
好適な実施形態において、接続アセンブリは、歯科用コンポーネントの歯根側に配置された歯根ベアリング手段をさらに備え、この歯根ベアリング手段は、特に第2のワッシャ、及び/または歯科用コンポーネントの冠状側に配置されたベアリング手段によって形成され、この冠状ベアリング手段は、特に第1のワッシャ及び/または第3のワッシャによって形成される。
【0022】
本実施形態のベアリング手段は、接続アセンブリまたは接続アセンブリのスルーホールの位置決めと配向をサポートするベアリング面を提供する。さらに詳しくは、ベアリング面は、接続アセンブリ、歯科用コンポーネントまたはインプラントの他の部品との接触、及びこれらのサポートを確立する一方で、調整可能なアセンブリのスルーホールの移動可能な口を構成する。従って、ベアリング手段によって、口の位置決めが可能になるが、この方法は、以前には高度にカスタマイズされた歯科用コンポーネントを個別に設計することのみによって可能になるものであった。
【0023】
ベアリング手段を提供する容易で好適な方法は、ワッシャの形態によるものである。ワッシャは、歯科用コンポーネントのスルーホールに対して移動可能であり、その結果、これは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間の相対的位置及び/または配向に従って最適に載置し得る。また、ワッシャは、歯科用ネジを挿入するために必要な断面よりも大きい断面を歯科用コンポーネントのスルーホールが有することが可能になり、これによって調整のために必要な十分な範囲のスペースが提供される。その結果、この調整範囲は、歯科用コンポーネントの意図した用途で、歯科用コンポーネントの寸法及び接続アセンブリの部品の寸法に依存しているだけであり、ネジのヘッドのような寸法を有する他のアイテムに依存していない。この場合、上記の寸法とは、歯科用コンポーネントのスルーホールが、ネジをサポートするのに十分な寸法であり、これによってネジが維持される。
【0024】
ベアリング手段を1つだけ含む場合、主にこのベアリング手段は接続アセンブリのスルーホールの角度方向のアライメントによって、歯科用コンポーネントとインプラントの間のいかなるアライメント不良もオフセットされることが可能になる。それにも係わらず、歯科用コンポーネントのスルーホール及び/またはベアリング面の形状を適切に選択することによって再位置決めの可能性を向上させることができる。
【0025】
特に好適な実施形態では、接続アセンブリはさらに固定エレメントを含み、固定エレメントは、歯根ベアリング面及び/または冠状ベアリング面、スルーホール、及び好適には歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を取り外し可能な方法で係合する取り付け機構を備える。本実施形態の接続部は、また歯科用コンポーネントを固定エレメントに固定する係合エレメントを含み、係合エレメントは、特に下記のうちの少なくとも1つから選択される。第1の仮ネジであって、ここで、この第1の仮ネジは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と係合しないように形成され、及びスルーホール、接着剤、及び熱硬化性樹脂を係合するように形成される。
【0026】
固定エレメント及び係合エレメントは本発明に従って、歯科用コンポーネントと接続アセンブリの間に作用する予め固定された状態及び固定された状態を提供する1つの有利な方法である。好適には、固定エレメントと係合エレメントの間の係合は、ネジ係合によって実現される。固定された状態を確立するため、係合エレメントは、好適には固定エレメントのみを係合するが、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物のいずれの部分とも係合しない。これは、係合エレメントの長さを選択することによって簡単に実現し、その結果、これは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と接触することはない。固定エレメントは、好適には歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントとの間に載置される。
【0027】
固定エレメントはベアリング面を有するため、前の実施形態のワッシャのようにも作用する。従って、これは、2つの機能を果たす、すなわち、取り外し可能なベアリング手段、歯科用コンポーネントと接続アセンブリの間の予め固定された状態及び固定された状態の機能を果たす。固定エレメントのベアリング面は、歯科用コンポーネントに対して移行及び/または回転が可能になるように設計され得る。固定エレメントのベアリング面と上述した面に面する別のベアリング面の間の接触は、多数の点での接触、線状の接触または面接触であり得る。
【0028】
取り付け機構を設けると、接続アセンブリがインプラントに一時的に取り付けられる。これによって、遊びが存在することなく、歯科用コンポーネントとインプラントまたは歯科用インプラントの類似物の間のいずれの相対的なアライメント不良及び/または誤配置をもより良く補償することが可能になる。しかし、接続アセンブリが取り付けられることなく歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に載置されているのみの場合、遊びはなお存在していることになる。換言すると、取り付け機構は、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と接続アセンブリの間に規定された接続を提供し、これによって、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間のアライメント不良及び/または誤配置のより良い修正を可能にする。
【0029】
本発明の別の好適な実施形態では、接続アセンブリは歯科用コンポーネントと第1の仮ネジのネジヘッドまたは固定エレメントの冠状ベアリング面の間に介在する少なくとも1つのワッシャを備え、固定エレメントは、歯科用コンポーネントの歯根側に載置される。
【0030】
この好適な実施形態は、特に歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間のいかなるアライメント不良も補償することを可能にする。換言すると、本実施形態の少なくとも1つのワッシャは、接続アセンブリのスルーホールを特に調整可能にしているが、これは、スルーホールとインプラントまたはインプラントの類似物の縦軸またはインプラントまたはインプラントの類似物の固定手段の縦軸との位置合わせを行うためのものであり、これは一般的にネジ孔によって構成する。すでに述べたように、アライメント不良または誤配置の補償は、接続アセンブリと歯科用コンポーネントの間のベアリング面の対応する設計によって精度を増すことができる。
【0031】
固定エレメントの冠状ベアリング面が歯科用コンポーネントに面する場合、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間で配向の差をオフセットするように構成することが好ましい。その結果、接続アセンブリの孔がこの部分の周囲で傾斜し、ここで、固定エレメントの冠状ベアリング面は歯科用コンポーネントの歯根面と接触する。その結果、歯科用コンポーネントの冠状側においてアセンブリの開口部が移動する。歯科用コンポーネントの冠状面上にワッシャを載置することによって、アセンブリの開口部が移動可能になり、上述した移動がオフセットになり得る。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、ワッシャは、このワッシャの両側に位置する2つのベアリング面を備え、これらの少なくとも1つのベアリング面は、平坦なベアリング面である。
【0033】
平坦なベアリング面は、アセンブリの開口部を歯科用コンポーネントの冠状面及び/または歯根面に対して変移させるのに特に有利である。上述した平坦なベアリング面の反対側のベアリング面は、好適には湾曲状及びより好適には球状であるが、これは歯科用コンポーネントと歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の間のアライメント不良に対応するためである。
【0034】
別の特に好適な実施形態では、接続アセンブリは、第3のワッシャを備え、このワッシャは、ネジヘッドの歯根側に配置され、歯根ベアリング面、冠状面、ネジ用、特には、歯科用ネジまたは仮ネジ用のスルーホールを有し、上記のスルーホールは、冠状面から歯根ベアリング面に延在する。
【0035】
本実施形態は、必要な歯科用ネジまたはインプラント用ネジの設計の変更が必要ないという利点を有するが、これによって、第3のワッシャがネジヘッドに対して最適なサポートを提供することができるようになる。例えば、アライメント不良が存在し、その結果、ネジヘッドの歯根サポート面が歯科用コンポーネントの冠状側に対して傾斜すると、第3のワッシャは、湾曲、好適には球状の歯根ベアリング面を有することによって、この不一致をオフセットするように構成され得る。
【0036】
第3のワッシャのスルーホールは、歯科用ネジを円滑に挿入することができる寸法を有する。その結果、第3のワッシャのスルーホールの直径は、歯科用コンポーネントのスルーホールの直径よりも小さいが、これは、第3のワッシャの歯根ベアリング面と歯科用コンポーネントの冠状側または第1のワッシャの冠状側の間でいずれかの調整が行われるためである。後者の場合、第1のワッシャは、直径が歯科用コンポーネントのスルーホールの範囲内であるスルーホールを有するのが好ましい。このスルーホールの直径は、第3のワッシャのスルーホールの直径よりも大きくても小さくてもよいが、これよりも大きいのが好ましい。
【0037】
本発明の別の実施形態では、接続アセンブリは、歯科用コンポーネントと第3のワッシャの歯根ベアリング面の間に介在する第1のワッシャ及び/または歯科用コンポーネントと固定エレメントの冠状ベアリング面の間に介在する第2のワッシャを備える。
【0038】
本実施形態の第1のワッシャは、歯科用コンポーネントの冠状側における移行のオフセットを補償することを可能にする。上述したように、第3のワッシャは、歯科用コンポーネントの冠状側に関連してインプラント用ネジのサポート面の間のアライメント不良をオフセットし得る。本実施形態の第2のワッシャは、歯科用コンポーネントに関連して歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の誤配置をオフセットし、及び、好適には、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの歯根面の間のアライメント不良をまた補償する。
【0039】
上記と組み合わせて、第1のワッシャ及び第2のワッシャは、歯科用コンポーネントと歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の間のアライメント不良及び誤配置の調整を効率的に容易にする。より具体的には、歯科用コンポーネントの歯根側において、固定エレメント及び第2のワッシャを組み合わせることによって、歯科用コンポーネントの歯根側におけるアライメント不良及び/または誤配置をオフセットすることが可能になる一方で、歯科用コンポーネントの冠状側における第1のワッシャと第3のワッシャを組み合わせることによって、歯科用コンポーネントの冠状側、すなわち、ネジヘッドの歯根サポート面と歯科用コンポーネントの冠状面の間でアライメント不良及び/または誤配置をオフセットすることが可能になる。
【0040】
さらに別の好適な実施形態では、第1のワッシャまたは歯科用コンポーネントの冠状側と第3のワッシャの歯根ベアリング面の間の接触は、面接触となるよう構成されるが、これは好適には球状のベアリング面によって行われる。
【0041】
面接触は、第3のワッシャの歯根ベアリング面と第1のワッシャの冠状ベアリング面または歯科用コンポーネントの冠状側の間のようなベアリング面の間を最適にサポートするために有利である。球状のベアリング面は、歯科用コンポーネントと第3のワッシャの間にいかなるアライメント不良が存在しても、サポートを行うという利点を特に有している。
【0042】
別の特に好適な実施形態では、歯科用コンポーネントの第2のワッシャまたは歯根側と固定エレメントの冠状ベアリング面の間の接触は面接触となるように構成されるが、これは、好適には球状のベアリング面によって確立される。
【0043】
この特に好適な実施形態は、ベアリング面の接触に関して以前の実施形態に列記した利点と同様の利点を有している。
【0044】
本発明の別の実施形態では、接続アセンブリはインプラント用ネジを備え、このインプラント用ネジは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を係合することによって、接続アセンブリを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に固定する。
【0045】
このインプラント用ネジは、インプラントまたはインプラントの類似物を係合するが、これは、接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に固定するために行うものであり、好適には、接続アセンブリの固定エレメントと係合することなく行われる。換言すると、インプラント用ネジは、接続アセンブリの固定エレメントを迂回するが、これはインプラント用ネジが固定エレメントを係合しないためである。しかし、インプラント用ネジによって加えられた圧力により、接続アセンブリは所定の位置に位置合わせされる。
【0046】
更なる実施形態では、取り付け機構をスナップ機構として形成し、ここで、この機構が歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けられると、固定エレメントは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の縦軸に対して特に回転する。
【0047】
本実施形態のスナップ機構によって、インプラントまたはインプラントの類似物と接続アセンブリの間で、取り外し可能な接続が可能になる。この接続は、固定エレメントとインプラントまたはインプラントの類似物の間の回転可能な位置とは独立して確立される、すなわち、これらのコンポーネントの結合を容易に妨げ得る回転上の制約が存在しなくなる。このことは、歯科用コンポーネントに接続しなければならないインプラントまたはインプラントの類似物が2つ以上存在する場合に特に有利である。
【0048】
本発明の別の実施形態では、インプラント用ネジ、第1の仮ネジ及び/または第2の仮ネジは、取り付け機構とは独立して動作し得る。
【0049】
歯科用コンポーネントとインプラントまたはインプラントの類似物の間の調整及び位置合わせの際にこの独立性は有利であるが、これは、接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントがインプラントまたはインプラントの類似物から取り外されても、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に関連して歯科用コンポーネントの位置及び配向の記録の維持を可能にし得る。
【0050】
より具体的には、取り付け機構によって、歯科用ネジまたはインプラント用ネジを必要とすることなく、歯科用コンポーネントをインプラントまたはインプラントの類似物に取り付けることができる。一度歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けると、第1の仮ネジを使用して、接続アセンブリの状態を予め固定された状態から固定された状態及びその逆の状態に変更することができる。
【0051】
第2の仮ネジは、インプラント用ネジと類似の機能を有する、すなわち、第2の仮ネジは、インプラントまたはインプラントの類似物を係合するが、歯科用コンポーネントをインプラントまたはインプラントの類似物に固定するための固定エレメントを係合しない。
【0052】
特に、第2の仮ネジは、歯科用プロテーゼの冠状側以上の長さを有しているが、これは歯の修復においてネジチャネルの形成を容易にするために歯科用コンポーネント上に生成される。
【0053】
好適には、インプラント用ネジのシャフトの長さL1は第1の仮ネジのシャフトの長さL2よりも長い。
【0054】
本発明の文脈において、ネジのシャフト例えば、インプラント用ネジのシャフトまたは第1の仮ネジのシャフトは、意図した用途におけるネジのそれぞれのネジのヘッドを歯根側に配置したネジの一部を表すものとして理解され、ここで、ネジのヘッドの歯根側は、第1のワッシャの冠状ベアリング面上、第3のワッシャの冠状側または歯科用コンポーネントの冠状側に着座するよう意図されている。
【0055】
好適には、第1の仮ネジと固定エレメントの間の係合はネジ山によって行われる。
【0056】
別の好適な実施形態では、接続アセンブリはベアリングエレメントを備え、上記のベアリングエレメントはインプラント用のネジまたは第1の仮ネジのような係合エレメントを挿入するためのスルーホール、及び少なくとも1つの湾曲した、好適には球状のベアリング面を備え、ここにおいて、上記のベアリングエレメントの少なくとも一部は歯科用コンポーネントの冠状側と歯根側の間に位置している。
【0057】
上記のベアリングエレメントはワッシャと同様のものである。しかし、これはベアリングエレメントの冠状側から歯根側に連続的に延在するベアリング面を備えてもよく、または歯根方向に面する平坦なベアリング面及び湾曲した、好適には、球状のベアリング面及び冠状方向に面する平坦なベアリング面のような3つ以上のベアリング面を備えてもよい。ベアリングエレメントの少なくとも一部は歯科用コンポーネントの冠状側と歯根側の間に位置しているので、これは接続アセンブリのよりコンパクトな設計を提供し得る。
【0058】
さらに、本発明は歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に歯科用コンポーネントを取り付けるための歯科用コンポーネントを提供し、これは歯科用コンポーネントの歯根側から冠状側に延在する少なくとも1つのスルーホールを備え、添付の請求項のいずれか1つに従って、好適には、このホールには歯科用接続アセンブリのインプラント用ネジ、第1の仮ネジまたは第2の仮ネジが挿入される。
【0059】
本発明の歯科用コンポーネントは、アライメント不良及び/または誤配置の補償を可能にする孔を有するが、これらのアライメント不良及び/または誤配置は、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間に存在し得る。その結果、歯科用コンポーネントの少なくとも1つのスルーホールは、上述したように、接続アセンブリの調整可能なスルーホールを収容する寸法に設定されている。
【0060】
歯科用コンポーネントを歯根から冠状方向に通過するスルーホールの直径はインプラント用ネジを挿入することができるのに必要な断面また直径よりも大きい断面または直径を有している。より具体的には、歯科用コンポーネントのネジ孔の断面または直径の最大寸法は、インプラント用ネジを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を固定した場合、スルーホール内に位置するインプラント用ネジの部分の直径よりも20乃至300%、好適には、50乃至150%、及び最も好適には75乃至125%大きい。
【0061】
歯科用コンポーネントの好適な実施形態では、歯根側及び冠状側の一方は球状のベアリング面であり、歯根側及び冠状側の他方は好適には平坦なベアリング面である。
【0062】
歯科用コンポーネントのこの構成により、アライメント不良の補償及び/または誤配置の補償に必要な接続アセンブリの部品が削減される。これによって、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間のアライメント不良の調整または補正が特に可能になり、歯科用コンポーネントと歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の間の接触を強化してもよい。
【0063】
好適には、歯科用コンポーネントは2つのスルーホールを備え、最も好適には3つのスルーホールを備える。上述したように、歯科用接続アセンブリに対して、歯科用コンポーネントのスルーホールの数をちょうど3つに設定した構成は下記の利点を有する。すなわち、歯科用プロテーゼはプロテーゼの生成中に3つの歯科用インプラントまたは3つの歯科用インプラントの類似物に取り付けられた3つの接続アセンブリによって安全にサポートすることができる。
【0064】
本発明はまた、歯科用コンポーネントを接続アセンブリに組み合わせるための方法を提供し、上記の方法は少なくとも1つのスルーホールを有する歯科用コンポーネントを提供すること並びに固定エレメント及び歯科用コンポーネントを固定エレメントに固定するために固定エレメントのスルーホールを係合するための第1の仮ネジを備える接続アセンブリを提供することを備え、ここで、第1の仮ネジは、これが歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を係合せず、特に少なくとも1つのワッシャを係合しないように形成される。この方法は、スルーホールの歯根側または冠状側への第1のワッシャの載置、スルーホールの冠状側に載置された場合の歯科用コンポーネントまたは第1のワッシャへの第3のワッシャの載置、及び歯科用コンポーネントのスルーホールの歯根または冠状側の他方の側への第2のワッシャの載置の内の少なくとも1つを任意で含む。上記の方法はまた、固定エレメントを第1の仮ネジと係合することを備え、その結果、固定エレメント及び第1の仮ネジは歯科用コンポーネントのスルーホールに対して移動可能である。
【0065】
この方法には、本発明の接続アセンブリの上述した利点を適用する。特に、上述した方法を適用することによって接続アセンブリが実現され、上記の接続アセンブリは、歯科用コンポーネントに予め組み合わせられる。予め固定された状態のおかげで、次のステップでは、接続アセンブリを調整することによって歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対して歯科用コンポーネントの配向及び/または位置の補償を既に行うことができる。換言すると、接続アセンブリによって形成されたスルーホールは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対する歯科用コンポーネントの配向及び/または位置決めの差に従って傾斜され及び/または位置決めされる。
【0066】
この方法は、また歯科用コンポーネントのスルーホール内に少なくとも部分的にベアリングエレメントを載置することを備えてもよい。これによりその冠状または歯根側上ではなく歯科用コンポーネントの内側で相互に作用するベアリング面が提供される。その結果、接続アセンブリの寸法を小さくすることができる。
【0067】
本発明の接続アセンブリを予め組み合わせることにより、次のステップは、歯科用コンポーネントに関連して、インプラントまたはインプラントの類似物の位置及び配向の記録を既に行うことができる。予めの組み合わせが歯科クリニックで行われる場合でも、患者はその場にいる必要はない。
【0068】
好適な実施形態では、上記の方法は、取り付け機構を有する固定エレメントを提供し、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を取り外し可能な方法で係合するステップことを備える。
【0069】
上記の固定エレメントの取り付け機構は、ある程度の位置合わせをもたらすため、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を係合する。この位置合わせは、フォームフィット及び/またはフリクションフィットとしてもたらされ得る。特に、上記の取り付け機構は、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対して固定エレメントを規定通り取り付ける。
【0070】
本発明は、本発明の接続アセンブリを使用して、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対して、歯科用コンポーネントの位置及び/または配向を調整する方法をまた提供する。この方法は、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物上に歯科用コンポーネント及び接続アセンブリをマウントすることを備え、この接続アセンブリは、固定エレメント及び第1の仮ネジを備える。好適には、歯科用コンポーネント及び接続アセンブリは、前に説明した方法を適用して組み合わされる。この方法のさらなるステップは、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を取り外し可能な方法で係合するために、固定エレメントを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付け機構を用いて取り付けることと、接続アセンブリを調整することによって、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対して、歯科用コンポーネントの位置及び/または配向を調整することと、第1の仮ネジと固定エレメントの間の係合を強化し、歯科用コンポーネントに対して歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向の位置合わせをすることである。
【0071】
歯科用コンポーネントに関連し、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物の位置及び配向を記録すると、歯の修復部を適合させるために必要な歯科用印象材の数を削減される。実際、歯科用印象材から取り出された患者の歯のモデルの代わりに、接続アセンブリまたは転送アバットメントを含む歯科用コンポーネントを使用して、患者の口の中で記録を行う場合、インプランテーション後には、いかなる歯科用印象材も回避できる。研究室では、歯の状態は、記録された位置及び配向、すなわち、固定された状態にある接続アセンブリによって、または少なくとも1つの転送アバットメントによっても容易に再現することができる。当業者が理解するように、この方法は、これらの修復部に必要な多数の歯科用印象材を必要とすることなく、高度にカスタマイズされた歯の修復と同様の精度の適合性を提供する。
【0072】
歯科用インプラントの類似物を使用する場合、この方法のステップは、歯科クリニックまたは歯科研究室に患者が居なくても実行することができる。しかし、歯科用接続アセンブリを使用して、患者の口の中で直接記録を実行する場合、歯科用コンポーネントの位置及び/または配向を調整するこの方法のステップは、一般的に歯科クリニックで行われることになる。
【0073】
好適な実施形態において、この方法は、固定エレメントを取り外すことによって歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物から歯科用コンポーネント及び歯科用接続アセンブリを取り外すことを備える一方で、第1の仮ネジ及び/または固着手段、特に、下記のワックス、アクリル樹脂のうちの少なくとも1つから好適には選択した熱硬化性ポリマーを使用して、歯科用コンポーネントに対する歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向を保持する。
【0074】
その結果、歯科用コンポーネントの相対的な位置及び/または配向は、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物にこれを取り付ける必要の無い状態で、維持することができる。第1の仮ネジを歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対して強化する間に固着手段を歯科用接続アセンブリに対して使用する場合、第1の仮ネジは除去することができる一方で、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に対する歯科用コンポーネントの相対的な位置及び/または配向は維持される。その結果、歯科用接続アセンブリを含む歯科用コンポーネントは、この構成の適合の正確性を検証するため、例えば、インプラント用ネジを用いて、歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に取り付けてもよい。
【0075】
別の好適な実施形態では、この方法は、さらに少なくとも1つの転送アバットメント、好適には2つ、さらに好適には3つの転送アバットメントを取得することと、少なくとも1つの歯科用インプラントの位置及び/または配向を示すことを含む。作業モデルは、インプラントの類似物を各転送アバットメントに取り付け、モデル中の少なくとも1つのインプラントの類似物を位置合わせし、好適には歯科用インプラントの類似物を成型可能材料内に埋め込むことによって作成される。
【0076】
この方法のこの部分は、患者の歯の状態のモデルを提供し、これは、上述したように、歯科用インプラントの類似物に対して歯科用コンポーネントの位置及び/または配向を調整するために使用することができる。このことは、下記の利点を有する。すなわち、患者の口の中の少なくとも1つの歯科用インプラントを表す少なくとも1つのインプラントの類似物に関連して、歯科用コンポーネントの適合の正確性が依然として維持されている場合、患者を煩わすことのない必要な頻度でプロテーゼの生成中にこれを制御することができる。
【0077】
モデル内の少なくとも1つのインプラントの類似物の位置合わせをするため、成型可能材料がまだ液状のうちにインプラントの類似物を成形可能な材料の中に埋め込むことが好ましい。換言すると、インプラントの類似物は、この材料がセットされるまたは硬化する前に、この材料に浸し、それによって、固体状態に変化させ、少なくとも1つのインプラントの類似物を所定の場所に保持する。成型可能な材料として、樹脂または石膏を使用し得る。
【0078】
2つ以上の転送アバットメントを使用する場合、これらの転送アバットメントは、患者の各歯科用インプラント上に備え付けながら、相互に関連して位置合わせされる。転送アバットメントを1つだけ使用する場合、転送アバットメントの位置及び/または配向を記録するために他の基準点が必要である。この基準点は、転送アバットメント並びに少なくとも1つの隣接する歯を含む部分的な歯科用印象材であってもよい。この方法の本実施形態では、歯科用印象材は、患者の口の小さい領域、すなわち、隣接する1本または複数本の歯に影響を及ぼすに過ぎない。当然のことながら、印象材の代わりに、患者の歯の状態のスキャンを使用する基準点を提供することもまた可能である。
【0079】
この方法のさらに別の好適な実施形態では、第2の仮ネジによって、接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを歯科用インプラントの類似物に固定することと、歯科用コンポーネント及び固着した歯科用接続アセンブリに基づいて、歯科用プロテーゼを生成することをさらに含む。
【0080】
接続アセンブリを含む歯科用コンポーネントをインプラントの類似物に取り付けるために第2の仮ネジを使用すると、歯科用プロテーゼ生成中の配置の操作が容易になる。これは、手作業による操作に適用されると共に機器を使った操作にも適用される。結果的に、歯科用プロテーゼの生成の際の効率が高まる。
【0081】
別の好適な実施形態では、この方法は、咬合及び中心位の縦の寸法のために口腔内の上顎の位置の記録を得ること並びに歯科用プロテーゼを生成するためにこれらの記録を適用することを備える。
【0082】
本実施形態では、患者の治療時間を増やすことなく、さらに歯科用プロテーゼの生成が強化されるが、その理由は、上顎の咬合及び、特に、歯科用プロテーゼの少なくとも1つのアンタゴニストが考慮されていることであり、その結果、患者の口の中に載置した後にプロテーゼを調整する回数が最小になる。
【0083】
さらに、本発明は、歯科用プロテーゼを生成する方法を提供し、この方法は、固定及び調整された状態で、歯科用コンポーネントを接続アセンブリに取り付けるステップを備える。後者は、以前に述べた方法によって行われてもよい。さらに、接続アセンブリの固定エレメントは、歯科用インプラントの類似物に固定して取り付けられる。
【0084】
既に留意したように、本発明に従った接続アセンブリによって記録された位置及び配向は、歯科用プロテーゼを生成するための基本として歯科研究室で容易に使用することが可能である。好適には取り付け機構を使用して、固定エレメントを歯科用インプラントの類似物に取り付け、その後インプラントの類似物の位置を位置合わせすることによって、記録された位置及び配向が維持される。従って、歯科用プロテーゼを構築するための通常の作業手順を継続するために、第1の仮ネジを除去し、第2の仮ネジまたはインプラント用ネジと取り替えることができる。
【0085】
この方法の好適な実施形態はまた、固着手段、特に好適には、下記のワックスまたはアクリル樹脂の少なくとも1つから選択した熱硬化性ポリマーによって、歯科用コンポーネントに対して、歯科用接続アセンブリの間の位置及び/または配向の位置合わせをするステップを備える。別のステップは、第1の仮ネジを除去すること及び歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物を係合するために形成された第2の仮ネジによって、接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを歯科用インプラントの類似物に固定することを含む。任意で、この方法はまた、歯科用コンポーネント及び固着した歯科用接続アセンブリに基づいて歯科用プロテーゼを生成することを含む。
【0086】
さらに、または取り付け機構を使用して行った前の実施形態のインプラントの類似物への接続の代替として、本発明の接続アセンブリによって記録された位置及び配向は、上述した固着手段によって位置合わせまたはロックされる。従って、インプラントの類似物の取り付け機構及び位置合わせを使用して、接続アセンブリによってもたらされた位置及び配向を維持する必要はない。代わりに、第1の仮ネジは、固着手段を適用した後に除去し、第2の仮ネジまたはインプラント用ネジによって代替してもよい。
【0087】
好適な実施形態において、この方法は、さらに第2の仮ネジを除去するオプションとしてのステップ及びインプラント用ネジを使用して患者の下顎骨または上顎骨に植設される少なくとも1つの歯科用インプラントに歯科用プロテーゼの位置合わせをするステップを備える。
【0088】
このステップによって、患者の処置を終了し、より短い治療時間で歯の置換が行われるが、これは主に、本発明の接続アセンブリのサポートによって歯科用コンポーネントに対するインプラントの配向及び位置の記録が正確に行われるからである。
【0089】
本発明はまた、歯科用プロテーゼを生成する方法を提供し、これは、少なくとも1つの歯科用インプラントの類似物を含む患者の歯の状態のモデルを提供するステップ、及び歯科用コンポーネント、特に、上述したような歯科用コンポーネント、及び第1の仮ネジによって、上記に従った予め固定された状態にある接続アセンブリを提供するステップを備える。さらに、この方法は、歯科用インプラントの類似物上に歯科用コンポーネント及び接続アセンブリをマウントすることと、特に、歯科用コンポーネント及び接続アセンブリは、上述した方法によって組み合わせられ、接続アセンブリを調整することによって歯科用インプラントの類似物に対する歯科用コンポーネントの位置及び/または配向を調整することと、歯科用コンポーネントに対して歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向の位置合わせをするために第1の仮ネジを強化することを備える。
【0090】
好適な実施形態において、この方法は、固定エレメントを取り外すことによって歯科用インプラントの類似物から歯科用コンポーネント及び歯科用接続アセンブリを取り外す一方で、歯科用コンポーネントに対して歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向を保持することと、歯科用コンポーネントに対して歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向が第1の仮ネジの除去後も保持されるように、歯科用コンポーネントに対して歯科用接続アセンブリの位置及び/または配向を位置合わせする固着手段を適用することと、固着手段は、下記のワックスまたはアクリル樹脂の少なくとも1つから好適に選択される熱硬化性ポリマーであることが好ましい、をさらに備える。
【0091】
別の好適な実施形態では、この方法は、さらに第1の仮ネジを取り外すこと、接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを歯科用インプラントの類似物と係合するために形成した第2の仮ネジによって歯科用インプラントの類似物に締め付けること、及び歯科用コンポーネント及び固着した歯科用接続アセンブリに基づいて歯科用プロテーゼを生成することを備える。
【0092】
さらに別の好適な実施形態では、この方法は、咬合及び中心位の垂直方向の寸法のための口腔内の上顎の位置の記録に関するデータを取得することと、これらの記録を歯の状態のモデルを含む咬合器と、歯科用コンポーネントと、歯科用プロテーゼを生成するための歯科用接続アセンブリに適用することをさらに備える。
【0093】
この方法及びその好適な実施形態は、これらのステップのいずれも患者が存在する必要がないため、歯科研究室で有利に適用することが可能であり、歯科用プロテーゼがこのために重要な意味を持つ。これはまた、上で既に説明した利点を組み合わせたものである。
【0094】
本発明の全ての実施形態は、歯科用プロテーゼを生成する既存の作業手順に容易に組み込むことが可能である。
【0095】
歯科用コンポーネントは、歯科用プロテーゼを生成するために、技術上使用されるいかなる歯科用コンポーネントであってもよい。好適には、歯科用コンポーネントは、個々の歯、または2本から3本のインプラントと位置合わせされた3本またはそれ以上の歯のためのアバットメントのような上部構造である。さらに好適には、歯科用コンポーネントは、完全に歯を失った状態の処置のためのバーとして形成され、このバーは、好適には3本、4本または5本のインプラントによって位置合わせされるのが好ましい。この歯科用コンポーネントは、既製品、特に予め加工された製品及び汎用品でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
本発明の好適な実施形態の下記の説明は、添付の図面を考察することにより理解し得る。これらの図面中の図のうち、同一であるかまたは、同一または類似の機能を有する特徴に対して、同じ参照番号が用いられる。下記で、簡単な説明は、これらの図解の内容を簡単に説明する。
図1】本発明に従った、インプラント、歯科用コンポーネント、及び接続アセンブリの分解図を示す。
図2a-2b】図2aは、インプラント用ネジを用いてインプラントに取り付けられた接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを示し、ここで、歯科用インプラントと歯科用コンポーネントの間にはアライメント不良または誤配置は無い。図2bは、インプラント用ネジを用いてインプラントに取り付けられた接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを示し、ここで、接続アセンブリは、歯科用インプラントと歯科用コンポーネントの間のアライメント不良を補償する。
図3】予め固定された状態にある第1の仮ネジを用いた接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを示す。
図4】固定された状態の第1の仮ネジを用いた接続アセンブリ及び歯科用コンポーネントを示す。
図5a-5b】図5aは、インプラントの類似物に取り付けた接続アセンブリを示し、ここで、歯科用プロテーゼは、第2の仮ネジを用いて歯科用コンポーネントの上端に作成される。図5bは、接続アセンブリを示し、ここで、歯科用ネジは、インプラント用ネジを用いて歯科用プロテーゼをインプラントまたはインプラントの類似物に取り付けるために用いる。
図6】本発明に従って、歯科用コンポーネント及び接続アセンブリを用いて、義歯全体を作成する実施形態を示す。
図7】歯科用コンポーネント及び接続アセンブリを用いて歯科用プロテーゼを生成中に、本発明の好適な実施形態において使用する転送アバットメントを示す。
図8】固定エレメントの異なる実施形態を除いて、図1に示した歯科用コンポーネント、接続アセンブリ、及び歯科用インプラントの部分的な分解図を示す。
図9】歯科用ネジを用いて組み合わせて固定した図8に示した歯科用コンポーネント、接続アセンブリ、及び歯科用インプラントの実施形態を示す。
図10】第1の仮ネジを用いて組み合わせて固定した図8に示した歯科用コンポーネント、接続アセンブリ、及び歯科用インプラントの実施形態を示す。
図11】本発明に従った接続アセンブリのさらなる実施形態を示す。
図12】本発明に従った接続アセンブリのさらなる実施形態を示す。
図13】本発明に従った接続アセンブリのさらなる実施形態を示す。
図14】本発明に従った接続アセンブリのさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、歯科用コンポーネント20、歯科用インプラント10、及び接続アセンブリ100を示す。図1はまた、歯科ネジまたはインプラント用ネジ30を示す。歯科用インプラント10、接続アセンブリ100、及び歯科用ネジ30の構成はまた、上述した複数のコンポーネント間の構成及び相互作用を説明するための分解図として示す。
【0098】
図1の右下に、接続アセンブリ100と共に使用する2つの追加のネジ31、33を示す。より具体的には、図1は、長さL2を有する第1の仮ネジシャフト35を備える第1の仮ネジ31及び歯科用ネジ30のインプラント用ネジシャフト37の長さL1と同様の長さを有する第2の仮ネジシャフト36を備えた第2の仮ネジ33をさらに示す。図1に示すように、第1の仮ネジ31の第1の仮ネジシャフト35の長さL2は、第2の仮ネジ33の第2の仮ネジシャフト36の長さL1未満である。長さの差は、これらのネジを係合する予定のコンポーネントに基づいて選択する、すなわち、下記でさら詳細に説明するように、第1の仮ネジ31が、接続アセンブリの固定エレメント140と係合するように構成されるのに対して、第2の仮ネジ33は、歯科用インプラント30と係合するように構成される。
【0099】
上記のとおり、歯科用インプラント30は、この方法及びこの方法のステップによっては歯科用インプラントの類似物(不図示)と置換し得ることを留意されたい。より具体的には、患者の存在が必要無いステップを実行する時はいつでも、インプラントの代わりに歯科用インプラントの類似物を使用し得る。これは、特に歯科用プロテーゼを生成するための治療のステップ中に、患者の歯の状態を再現したモデルを使用する場合に適用される。
【0100】
図1に示した歯科用コンポーネント20は、下顎骨または上顎骨の歯を交換するために総義歯の歯科用プロテーゼを作ることを意図する。歯科用プロテーゼを効果的にサポートするために、歯科用コンポーネント20は、3つのインプラント10に取り付ける。それにも係わらず、当業者が理解するように、歯科用コンポーネント20はまた、3つ以上、例えば4つまたは5つのインプラントを用いた接続を意図する一方で、歯科用ブリッジを生成するための2つのインプラント10によってサポートされることを意図し得る。これは、歯科用コンポーネントの大きさ及びスルーホールの数を目的に合わせて変えることによって実現する。本発明に従った接続アセンブリはまた、アバットメントのような歯科用コンポーネント20と共に用いられ得、単一の歯を置換するための歯科用プロテーゼを生成するために、たった1つのインプラント10によってサポートされる。
【0101】
図1に示した分解図に図示すように、接続アセンブリ100は、複数の部品またはコンポーネントを備える。歯根ベアリング面121及び冠状ベアリング面122を有する第1のワッシャ120は、歯科用コンポーネント20の冠状側22と接触するように載置される。図示した例示的な実施形態において、歯根ベアリング面121は、基本的に平らに形成されているため、すでに上記のとおり、歯科用コンポーネント20の冠状側すなわち冠状ベアリング面22に対して平行に移行することが容易である。
【0102】
平坦なベアリング面121の反対側に位置するベアリング面122は、湾曲または球状である。この球状のベアリング面は、第1のワッシャ120の冠状側に載置された第3のワッシャ110の歯根ベアリング面111と相互に作用する。このベアリング面111は、第1のワッシャ120のベアリング面122に対応する形状を好適に有する。図示した例において、ベアリング面122は、ちょうど第3のワッシャの歯根ベアリング面111のような球状である。これらは、前述したように、相互に接触面を提供するために好適に対応する。
【0103】
歯根ベアリング面111と冠状ベアリング面122の間の相互作用によって、インプラント用ネジヘッド30aの歯根サポート面と第3のワッシャ110の冠状サポート面112の間のアライメント不良を補償することが可能になる。換言すると、歯科用コンポーネント20の冠状側22に対する直交方向から逸脱する方向に歯科用ネジ30をインプラント10に挿入及び強化する場合、第1のワッシャ120と第2のワッシャ110の間の相互作用が、第3のワッシャ110が第1のワッシャ110に対して傾斜することによって生じる歯科用コンポーネント20の冠状側22とネジヘッド30の歯根サポート面の間のアライメントの差をオフセットする。第1の仮ネジ31または第2の仮ネジ33のいずれか一方を歯科用ネジ30の代わりに用いる場合も同じことが適用される。
【0104】
図1に示すように、第3のワッシャ110を通るスルーホール114は、インプラント用ネジ30のシャフト34が通過するのに十分な大きさであり、さらにネジヘッド30aの歯根サポート面をサポートするのに十分な小さの直径を有する。対照的に、第1のワッシャ120のスルーホール122の直径は、歯科用ネジ30及び第3のワッシャ110がそこで傾斜するのに十分な空間を提供しなければならないため、上述した第3のワッシャ110のスルーホール114の直径より大きい。同じことが、コンポーネント20の冠状側22から歯科用歯根側21に延在するスルーホール23にも適用される。すなわち、歯科用インプラント10とコンポーネント20の間のアライメント不良及び/または誤配置によって生じる歯科用ネジヘッド30の歯根サポート面と歯科用コンポーネント20の冠状面22のアライメント不良及び/または誤配置の補償を可能にするため、スルーホール23の直径は、第1のワッシャ110のスルーホール114の直径より大きい。
【0105】
歯科用コンポーネント20の歯根側21上に、歯科用コンポーネントの冠状側のベアリング面22と相反する方向を向くように平坦なベアリング面21を提供する。歯科用コンポーネント20の歯根側21は、第1のワッシャ130の平坦なベアリング面131と接触した状態になる。図1に示した例示的な実施形態において、第1のワッシャ130は、基本的に歯科用コンポーネント20の冠状側22と接触するように載置された第1のワッシャ120と同じ構成を有する。必然的に、この構成は、例えば歯根ベアリング面132に対して異なる曲線または半径を用いることによって全く異なったものになり得る。図1に示すように、第2のワッシャ130は、第1のワッシャ120に対してミラー反転させた配置である。
【0106】
第2のワッシャ130の歯根側の湾曲及び特には球状のベアリング面132は、固定エレメント140の冠状ベアリング面141と接触するように配置する。従って、固定エレメント140は、第2のワッシャ130の歯根側に提供される。第3のワッシャ110と第1のワッシャ130の接触に関連して前述したとおり、冠状ベアリング面141及び歯根ベアリング面132はまた、上記のような接触面を実現するために、相互に好適に対応する。その結果、これらのベアリング面は、歯科用コンポーネント20に関連するインプラント10のいずれのアライメント不良も補償し得る。
【0107】
固定エレメント140は、第3のワッシャ110のうちの1つと類似するスルーホール143を有する。しかし、スルーホール143は、固定手段、好適には内部ネジ山を装備しており、この内部ネジ山は、第1の仮ネジ31の外部ネジ山34と相互に作用する。第1の仮ネジ31の外部ネジ山34と固定エレメント140の内部ネジ山143の間の相互作用によって、第3のワッシャ110、第1のワッシャ120、歯科用コンポーネント20、第2のワッシャ130、及び固定エレメント140を予め固定された状態及び既に上に記載した固定された状態の組み合わせが可能になる。換言すると、第1の仮ネジ31は、固定エレメント140のための係合手段の役割を果たす。一方では、第1の仮ネジ31が強化されておらず、単に上述した複数のコンポーネントを共に保持しているだけであるため、これらのコンポーネントが相互に動く可能性がある場合、接続アセンブリ100は、予め組み合わせた状態で歯科用コンポーネント20に提供される(図3を参照のこと)。他方では、第1の仮ネジ31が強化されている場合、接続アセンブリ100は、上述した固定された状態で歯科用コンポーネント20に提供される(図4を参照のこと)。
【0108】
予め固定された状態の接続アセンブリ100によって、ネジ30、32、33のいずれかは、歯科用コンポーネント20に設置したスルーホール23の縦軸を横断する方向に移行し、並びに当該ネジの縦軸がスルーホール23の縦軸に対する角度で配置されるように傾斜することを可能にする。これによって、いずれの誤配置及び/またはアライメント不良もバランスがとれ、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10の間に最適なサポートを提供する。
【0109】
換言すると、接続アセンブリ100は、インプラント10と歯科用コンポーネント20の間の配向及び位置の差を補償するために傾斜及び移行し得る歯科用コンポーネント20のスルーホール23内の調整可能なスルーホールを規定する。図1中の例示的な接続アセンブリ100のスルーホールは、第3のワッシャ110のスルーホール114による冠状側と固定エレメント140のスルーホール143による歯根側で規定される。
【0110】
ネジ30、31、及び33のうちの1つは歯科用コンポーネント20のスルーホール23内で傾斜するが、それによって第3のワッシャ110のベアリング面111は、第1のワッシャ120のベアリング面122に対して回転し、冠状ベアリング面141は、第2のワッシャ130の歯根ベアリング面132に対して回転する。
【0111】
インプラント10と歯科用コンポーネント20の間のアライメント不良を補償する傾斜の動きによって、冠状側22及び歯根側21のワッシャ120、130のうちの少なくとも1つの移行または転置が必要になる。より具体的には、回転地点が歯科用コンポーネント20の歯根面21内にある場合、傾斜によって、少なくとも第1のワッシャ120が平行に移行する必要があり、その逆の場合も同じである。しかし、一般的に、ネジ30、31または、33が傾斜することによって、第1のワッシャ120及び第2のワッシャ130の両方が接続アセンブリの設計に起因して平行に移行する必要がある。ワッシャ120、130、冠状側22、及び歯根側21の間の平行移行は、それぞれベアリング面121、22の間並びにベアリング面131、21の間で起こることを当業者は理解するだろう。
【0112】
さらに、または上述した傾斜及び移行によって生じるアライメント不良を補償することの代わりに、誤配置を補償することが必要になることがある。アライメント不良の補償が行われる場合、この移行は、基本的に歯科用コンポーネント20に関連する上述したネジの傾斜によって生じる移行が加わる。
【0113】
図1に示す固定エレメント140はまた、その歯根端に取り付け機構を備える。この取り付け機構によって、固定エレメント140をインプラント10に取り付けることが可能になる。好適には、取り付け機構148、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物に固定エレメント140を取り外し可能に取り付けるようにするスナップ機構として設計される。歯科用インプラント10は、好適には固定エレメント140の取り付け機構148に対応する複数の特徴を備える。例えば、図2に示すスナップ機構148の場合、歯科用インプラント10は内周溝を備え、スナップ機構はこの内周溝に係合する。
【0114】
取り付け機構148は、歯科用コンポーネント20とインプラント10の間に、いずれのネジも伴わない取り付方法を提供する。換言すると、接続アセンブリ100による取り付けは、いずれのネジにも依存しない。
【0115】
図8に示す実施形態において、固定エレメント140は、形状適合性を利用して、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物に取り付けられる。図1に示すスナップ機構とは対照的に、図8における取り付けは、固定エレメント140部分が柔軟に傾斜し取り外せることによって形状適合性をもたらすことに依存しない。代わりに、図8に示す固定エレメント140は、インプラント10またはインプラントの類似物内にぴったり適合することによって、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物を係合する。必然的に、固定エレメント140は、その取り付けに使用する歯科用インプラントまたはインプラントの類似物の境界面に依存して、インプラントまたはインプラントの類似物中に及び/または上にぴったり適合し得る。
【0116】
図8において、固定エレメント140は係合面146を備える。係合面146は、その冠状端から歯根端に向かってしだいに細くなる円錐面である。係合面146は、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物の少なくとも部分的に対応する面を係合する。このことは、図9及び図10の断面図において部分的に確認できる。これらの図において、固定エレメント140の係合面146は、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物の対応する面と接触している。スナップ機構148を有する固定エレメント140と同様に、図8から図10の固定エレメント140は、好適には歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物の冠状対向面と接触する歯根対向停止面149を備える。この停止面149は、歯根から冠方向への歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物に関連する固定エレメント140の規定位置を提供する。
【0117】
それにも係わらず、接続アセンブリ100は、上で詳細に説明したように、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物に関連する歯科用コンポーネント20の配向及び/または設置の差を記録するために、係合エレメントによって、歯科用コンポーネント20に対して固定された状態に転送される。より具体的には、この差は、接続アセンブリ100の個々のコンポーネントの間の相対的な位置及び配向、ならびに歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物及び歯科用コンポーネント20に対するこれらの配向及び位置によって記録される。好適には、係合エレメントは、上述した第1の仮ネジ31であるが、上に列挙した他の手段のいずれかであってもよい。さらに、当業者は、固定された状態は、歯科用ネジ30または第2の仮ネジ33を強化することによって実現し得ることを理解する。しかし、これらは、固定エレメント140とは係合せず、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物とのみ係合するため、接続アセンブリの配向及び位置の記録を可能にすることはない。
【0118】
図2aは、接続アセンブリ100の手段によって歯科用コンポーネント20を歯科用インプラント10にマウントするインプラント用ネジ30に関する断面図である。図2aに示す構成において、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10の間にはアライメント不良または誤配置が存在しない。すなわち、歯科用コンポーネント20及び歯科用インプラント10は、どちらにも偏らない位置にある。その結果、ワッシャ110、120、及び130ならびに固定エレメント140は、歯科用インプラント10の縦軸A10及び歯科用コンポーネントのスルーホール23の縦軸が中心になるよう調整する。
【0119】
次に図2bに進むと、インプラントの縦軸A10及び歯科用コンポーネントのスルーホール23の縦軸A20は相互に角度を形成しているため、インプラントと歯科用コンポーネント20の間にアライメント不良が示される。接続アセンブリ100を効果的に補正しなければ、このアライメント不良によってインプラント10と歯科用コンポーネント20の間に好ましくないサポートまたは接触をもたらす可能性がある。代替的にまたはさらに、歯科用インプラント10、歯科用コンポーネント20または接続アセンブリ100内に緊張が生じる可能性がある。しかし、接続アセンブリ100は、第3のワッシャ110と第1のワッシャ120の間の回転動作並びに固定エレメント140と第2のワッシャ130の間の回転動作によってこういったアライメント不良を補償することができるため、歯科用ネジヘッド30aの歯根サポート面は、第3のワッシャ110のベアリング面112上で平坦なままである。同じことが歯科用インプラント10の冠状側と歯科用コンポーネント20の歯根側の間の接続にも適用されるが、これは、接続アセンブリ100の部品が相互にサンドイッチ状態で調整されることに起因する。
【0120】
また図2bに示されるように、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10の間のアライメント不良の補償もまた移行を必要とする。この移行は、第1のワッシャ120の歯根平面と歯科用コンポーネント20の冠状側22の間で生じる一方で、第2のワッシャ130のベアリング面131の平面と歯科用コンポーネント20の歯根側21の平面の間でも生じる。同じことが、インプラント10またはインプラントの類似物を係合する係合面146を備える固定エレメント140について図9に示される。
【0121】
図2は、接続アセンブリ100が、歯科用コンポーネント20のスルーホール23内に位置する調整可能なスルーホールをどのように既定するかを示す。既に上でさら詳細に説明したとおり、歯科用コンポーネント20の孔23は、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10の間のアライメント不良及び/または誤配置の補償を可能にするサイズを有する。必然的に、図2中の歯科用インプラント10は、歯科用インプラントの類似物で代用され得る。
【0122】
図3は、接続アセンブリ100に取り付けられ、第1の仮ネジ31を形成する際に、係合エレメントによって予め固定された状態に保持される歯科用コンポーネント20を示す。この予め固定された状態において、第1の仮ネジ31の縦軸は、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10の間の任意のアライメント不良または誤配置を補償するために、スルーホール23の寸法によってもたらされる範囲内で移行及び傾斜することが可能である。
【0123】
図4に示すように、第1の仮ネジ31を強化することによって、接続アセンブリ100によって規定される調整可能なスルーホールの配向及び位置をロックする。図3及び図4において、接続アセンブリ100は、上述した取り付け機構148を用いて歯科用インプラントに取り付けられる。既に説明したとおり、第1の仮ネジ31のみが、固定エレメント140を係合する。歯科用インプラント10との相互作用は存在しない。歯科用プロテーゼを生成するために用いる方法に依存して、図3及び図4中のインプラントは、患者の歯の状態を表すモデル部品である歯科用インプラントの類似物によって代用し得る。
【0124】
図5aは、図3及び図4に示す第1の仮ネジ31の代わりに、第2の仮ネジ31を用いて歯科用コンポーネント10に取り付ける接続アセンブリ100を示す。図5aから分かるように、第2の仮ネジ33の長いヘッドは、例えば、ワックス形成技術を適用することによって、歯科用プロテーゼ24の材料内にネジ用チャネル25を作成するためのめす型としての役目をする(図5bを参照のこと)。研究室において歯科用プロテーゼを作成中に、歯科用コンポーネント20及び接続アセンブリ100は、インプラントの類似物12に好適に取り付けられる。必然的に、本物のインプラントはインプラントの類似物12として使用し得る。
【0125】
図5bは、歯科用ネジ30を除いて図5aと同じ構成を示し、歯科用インプラント10と係合することによって、歯科用コンポーネント20及び接続アセンブリ100を組み合わせる。この時点で、記録された位置は、歯科用コンポーネント20をとり囲む材料によって保持される。
【0126】
図5中の歯科用プロテーゼ24のみが模式図として示されていることに留意されたい。歯科用プロテーゼをより写実的に視覚化したものを図6に示し、歯科用コンポーネント20並びに接続アセンブリ100を備える下線で強調した上部構造は、歯科用プロテーゼだけを部分的に不透明に見せることによって示す。必然的に、これらのコンポーネントは実際には見えない。
【0127】
当業者は、上述した図に示す接続アセンブリ100の構成が、単に本発明の現時点の好適な実施形態を表していることを理解するだろう。本発明の好適な実施形態に関連して、既に上で詳細に説明してきたように、多数の変更の可能性が存在する。例示した接続アセンブリの利点は、歯科用コンポーネント20の冠状側及び歯根側のベアリング面が相互に作用することによって、各側面においての移行並びに回転が可能になることである。結果的に、歯科用コンポーネント20と歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物の間のアライメント不良及び/または誤配置を補償には、適合の範囲として歯科用コンポーネントのスルーホール23の大きさ全体を効果的に使用する。
【0128】
本発明の概要で詳述したとおり、この接続アセンブリの他の構成もまた、本発明の範囲内である。例えば、第3のワッシャ110は、ベアリング面111に対応する歯根ベアリング面を有するネジヘッドと置換し得る。さらに、第1のワッシャ120がもたらす平行移行はまた、特に、スルーホール23が、状況に応じて、例えば溝の付いた孔として設計される場合も、歯科用コンポーネント20のスルーホール23によって実現され得る。接続アセンブリ100またはより少ない部品から成るより簡単な構成を用いる歯科用コンポーネント20に関連して、ネジの移行を容易にするための別の選択肢は、ベアリング面の適合が関係する。より具体的には、これらのベアリング面同士の接触が、線接触または少なくとも2つの地点の接触に減らすことが可能である。上述した2つの変更を組み合わせる、すなわちネジヘッド及びスルーホール23が適合することによって、歯科用コンポーネント20の冠状側のワッシャのいずれかを省略することさえ可能になり、その結果、ネジは、スルーホール23の開口部と直接接触する。こういった実施形態において、ネジヘッドのベアリング面は、ワッシャのベアリング面の機能を取り入れる。固定エレメント140の冠状ベアリング面141と歯科用コンポーネント20の歯根側21の間に相互作用をもたらすことによって、同様の効果が実現し得る。
【0129】
図2に示すように、歯科用コンポーネント20のスルーホール23からワッシャ120、130いずれか一方への移動は、チャンファーを用いるか、またはスルーホールの寸法に合わせて設計され得、その結果、相互に接触したスルーホールの開口部の寸法が基本的に一致する。
【0130】
さらに、及び上で既に要約したように、ネジは、好適には係合エレメントとして使用され、歯科用コンポーネント20に関連する歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物の位置及び配向を記録するために、接着剤と置換し得る。こういったシナリオにおいて、固定エレメト140またはさらに具体的には固定エレメント140の冠状ベアリング面141は、インプラント10またはインプラントの類似物の冠状側に直接設置された対応するベアリング面によって、首尾よく置換し得る。
【0131】
接続アセンブリ100を使用するための方法について、接続アセンブリ100は、好適には歯科用コンポーネント20に予め組み合わされる。この組み合わせ作業は、生産プラント並びに歯科研究室または歯科クリニックにおいて行われ得る。いずれの場合においても、接続アセンブリ100の予めの組み合わせは、患者の治療時間を必要としない。歯科用コンポーネント20に対して、歯科用インプラント10または歯科用インプラントの類似物のうちの少なくとも1つの配向及び位置の記録を行う前に、適切な数のインプラントを患者の口腔内に植設する。インプラントの数は、患者の個々の歯の状態に必要な治療に依存する。
【0132】
好適には、治癒期間の後に、予め組み合わされ及び予め固定された接続アセンブリ100は、次に歯科用コンポーネント20に関連して任意のインプラント10の位置及び配向を記録するために用いられ得る。これは、歯科用コンポーネントの最適でないサポートの原因となり得るいかなる不一致の原因も記述するためである。このステップは、歯科クリニックで行うが、接続アセンブリ100を患者の口の中の少なくとも1つのインプラントに取り付ける間に要するのは、非常に限られた治療時間のみである。このステップには、好適には上述したスナップ機構を用いる。その結果、接続アセンブリ100は、歯科用インプラント10と歯科用コンポーネント20の間の配向及び位置のいかなる差も補正するために、接続アセンブリ100自体の位置あわせ及び位置合わせを行う。次に、接続アセンブリの部品の位置及び配向は、好適には第1の仮ネジ31を用いて接続アセンブリ100を固定することによってロックまたは再記録される。
【0133】
直接歯科用コンポーネント20に関連するインプラント10の位置及び配向を記録する代わりに、転送アバットメント40を使用することも可能である。こういった転送アバットメント40を図7に示している。図7中の転送アバットメント40は、3つのアバットメントを図示しているが、アバットメントの数は、患者の口腔内に植設された歯科用インプラント10の数に依存する。従って、アバットメントの数は、1個と6個の間の任意の数であり得る。前述したとおり、アバットメントを1個だけ備える転送アバットメントは、歯科用インプラントの位置及び配向のための基準の位置を提供するために、歯科用印象材、好適には、歯科用インプラントの周囲を効果的にマッピングする部分義歯用印象材と組み合わせ得る。
【0134】
転送アバットメント40の場合、各インプラント10はアバットメント43を収容する。このアバットメント43は、好適にはスルーホール41を通過するネジを用いて締結され、歯科用インプラント10のネジ山と係合する。アバットメント43を各インプラント10に取り付けた後、これらのアバットメントは、図7に示すバーのような転送アバットメント接続手段42と相互に接触する。相互に接触すると、転送アバットメント40の部品は、好適にはワックスまたはアクリル樹脂または、合成樹脂のような熱硬化性ポリマーを用いて、相互に関連して位置合わせされる。最も好適には、口腔内に適した低温硬化樹脂または光硬化樹脂を塗布する。熱硬化性ポリマーが硬化した後、転送アバットメント40は、患者の口腔内の歯科用インプラントから除去することができる。この状態で、転送アバットメント40は、少なくとも別のインプラント10または少なくとも1つの隣接する歯に対して、少なくとも1つのインプラント10の記録した位置及び配向を保持する。
【0135】
引き続き記録した結果、インプラントの類似物を接続アセンブリ100に接続することにより、型の作成が可能になる。インプラントの類似物の位置及び配向は、次に類似物を相互に固定するために、一般的な成型技術を用いて位置合わせされる。より具体的には、インプラントの類似物は、この材料が凝固及び硬化した後、成型可能材料と組み合わせる。
【0136】
転送アバットメント40を用いる場合、接続アセンブリ100は第1の仮ネジ31を用いて調整され、歯科用コンポーネント20は歯科用インプラントに関して前述したのと同様に歯科用インプラントの類似物に位置合わせされる。
【0137】
接続アセンブリ100とインプラントの類似物の間の接続は、固定エレメント140の取り付け機構148または係合面146及び/または固着手段によって実現し得る。固着手段は、第1の仮ネジ31が固定された状態をもたらすのに加え、記録された位置及び配向をさらにロックされた状態にする。従って、記録された位置は、固定エレメント140から第1の仮ネジ31を取り除いても保持され得る。その後、第2の仮ネジ33または歯科用ネジ30は、少なくとも1つのインプラントの類似物と、接続アセンブリ100と、歯科用コンポーネント20の間の接続に対してより高い耐力を与え得る。
【0138】
好適には、固定手段は、歯科用接続アセンブリ100及び歯科用コンポーネント20だけに適用される。その結果、第1の仮ネジ31を取り除いた後も、記録された位置及び配向はロックされたままの状態であり、接続機構100は、これに塗布される成型用ワックスを用いる場合または用いない場合に関係なく歯科用コンポーネント20と共に除去され得る。これによって、患者の口の中のインプラント10にこの配置を行い、好適にはインプラント用ネジを用いてこの配置の位置合わせをすることによって、記録された位置の照合が可能になる。これは、転送アバットメント40を用いる場合、少なくとも1つのインプラント10の相対的な位置を記録中に、転送アバットメント40の位置合わせ及び除去後に生じ得るいかなる不適合をも防ぐために特に有益である。
【0139】
こういったテスト中に、咬合高径(VDO)及び中心位(CR)に対する口腔内の上顎の位置の記録は、歯科用コンポーネント20、及び既に塗布されている場合は、モデル製作用ワックスの反対側の歯列弓の咬合関係を記録するために取得し得る。
【0140】
少なくとも1つのインプラントの類似物を位置合わせするためにモデルを成型した後、歯科用コンポーネント20の上端に、例えばワックス形成技術のような一般的な技術を用いた歯科用プロテーゼ24の生成が、開始または継続され得る。この点で、第2の仮ネジ33は、ネジ用チャネル25の否定的な見本を提供するために、好適には歯科用ネジ30の1つより大きい直径を有する、長く延長したヘッドを有する。さらに、上述した口腔内の上顎の位置の記録が利用可能な場合、咬合器を用い得る。
【0141】
一度プロテーゼ24が完成すると、歯科用コンポーネント20及び接続アセンブリ100を含む歯科用プロテーゼ24を患者の口腔内の少なくとも1つのインプラントに取り付けることができるように、周囲の歯科用プロテーゼ24によって記録された位置を保持する。例えば、歯科用プロテーゼは、特定の場所に係合または、はめ込まれ、及び歯科用ネジ30を用いて位置合わせされる。従って、患者にとって必要とされる治療時間は、少なくとも1つのインプラント10に完成した歯科用プロテーゼ24を取り付けるための時間だけである。
【0142】
図11は、歯科用コンポーネントに取り付けられた接続アセンブリの別の実施形態を示す。接続アセンブリ1100は、固定エレメント1140及びベアリングエレメント1150を備える。その結果、図11の実施形態は、本発明の目的を果たすため、部品数の少ない接続アセンブリの構成である。
【0143】
図11の例示的な実施形態において、歯科用コンポーネント1020は、スルーホール1023を備え、このスルーホール1023は、歯根側1021のスルーホール1023の直径と比較してより大きい直径を歯科用コンポーネント1020の冠状側1022に有する。さらに、より大きい直径を有するスルーホール1023の一部は、内部ネジ山1027を備え、この内部ネジ山1027は、冠状側1022から始まるスルーホール1023のより広い部分に部分的に少なくとも部分的に沿って延在する。歯科用コンポーネント1020の歯根側1021のスルーホール1023のより狭い部分は、ベアリングエレメント1150のベアリング面1151と相互に作用するための冠状ベアリング面1026を形成するために、歯根側から冠状側方向に向かってしだいに細くなる。ベアリング面1026は、湾曲状及び好適には球状である。
【0144】
固定エレメント1140は、好適には外径を有するディスク型であり、この外径は、スルーホール1023のより広い部分の内径におおむね対応する。固定エレメント1140は、歯科用コンポーネント1020の内部ネジ山1027と係合し得る外部ネジ山1144を備える。固定エレメント1140は、好適には固定エレメント1140のネジ止め及び取り外しを行うために、固定エレメント1140の冠状側にツール係合手段(不図示)を備える。固定エレメント1140は、そのインナー面にスルーホール1143を備え、このスルーホール1143は、ベアリングエレメント1150のベアリング面1151と相互に作用するための歯根ベアリング面1142を含む。ベアリング面1142は、湾曲状及び好適には球状である。固定エレメントのスルーホール1143の縦軸は、歯科用コンポーネントのスルーホール1023の縦軸と位置合わせされる。
【0145】
ベアリングエレメント1150は、湾曲形状及び好適には球状形状を有し、ベアリングエレメント1150の外面は、ベアリング面1151を形成する。接続アセンブリ1100の組み合わせた状態、すなわち予め固定されたまたは固定された状態において、ベアリング面1151の冠状側は、固定エレメント1140の歯根ベアリング面1142と相互に作用する。ベアリング面1151の歯根側は、歯科用コンポーネント1020の冠状ベアリング面1026と相互に作用する。
【0146】
ベアリングエレメント1150は、その歯根側に、ベアリングエレメント1150を歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物に接続するための係合面(不図示)をさらに備え得る。
【0147】
ベアリングエレメント1150を歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物に取り付けるために、それは、スルーホール1152を備える。スルーホール1152は、インプラント用ネジ1030または第2の仮ネジのような係合エレメントの挿入を可能にするような寸法であり、これについては、上述した実施形態に関連して詳細に説明してきた。
【0148】
好適には、スルーホール1152は、スルーホールの実施形態に関連して前述したとおりの寸法及び構成であり、このスルーホールは、歯根から冠状方向に歯科用コンポーネントを通過し、及びインプラント用ネジを挿入するのに必要とされるより大きい断面または直径を有する。このように大きすぎるスルーホール1152によって、歯科用コンポーネント1020と歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物の間の誤配置の補償が可能になる。
【0149】
予め組み合わせる間に、ベアリングエレメント1150は、歯科用コンポーネント1020のスルーホール1023内に挿入され、その結果スルーホール1152は、歯根から冠状方向に配向される。次のステップで、固定エレメント1140の外部ネジ山1144は、歯科用コンポーネントのスルーホール1023の内部ネジ山1027と係合して、予め固定され、その結果、ベアリングエレメント1150のベアリング面1151と歯科用コンポーネント1020の冠状ベアリング面1026、並びに固定エレメント1140の歯根ベアリング面1142の間の相互の動作が依然として可能であり、これはベアリングエレメントがベアリング面1026とベアリング面1142の間でロックされる場合の固定された状態とは対照的である。
【0150】
歯科用コンポーネント1020と歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物の間のアライメント不良及び/または誤配置を補償するために、予め組み合わせた接続アセンブリ1100は、好適には、前に説明した予め固定された状態の少なくとも1つの歯科用インプラント/歯科用インプラントの類似物の上に載置される。係合エレメントは、ベアリングエレメント1150のスルーホール1152内に挿入され、歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物とネジ係合する。
【0151】
ベアリングエレメント1050のスルーホール1152が、歯科用コンポーネント1020と歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物の間の誤配置を補償が可能にするには大きすぎる場合、上述したベアリングエレメント1150の係合面が、もし存在すれば、歯科用インプラント1010または歯科用インプラントの類似物の縦軸を横断する方向に、ベアリングエレメント1150を動かすことができるようにしなければならない。
【0152】
調整後、接続アセンブリ1100は、固定エレメント1140を強化することによって固定された状態に切り替わり、これによってベアリングエレメント1150は、所定の位置に位置合わせされたままになる。
【0153】
複数の歯科用インプラント1010の間の相対的な位置及び配向を記録できるようにするため、ワッシャ(不図示)は、係合エレメントのヘッドとベアリングエレメント1150の冠状ベアリング面1153の間に載置され得る。このワッシャは、平坦な冠状ベアリング面、平坦な歯根ベアリング面、及びこれらの面の間を垂直に走るスルーホールを有する。この孔の直径は、係合エレメントのシャフトがぴったり通過し得る寸法である。
【0154】
調整中、ワッシャは、歯科用インプラント1010の縦軸に対して横断する方向に、係合エレメントと共に移動するだろう。歯科用アセンブリ1100の相対的な配向は、固定エレメント1140を強化することによって記録される。相対的な位置を記録するために、ワッシャは、例えば、上で説明した固着手段のいずれかを用いて、ベアリングエレメント1150に関連する所定の位置に位置合わせされ得る。
【0155】
その結果、接続アセンブリ1100は、歯科用プロテーゼを生成するために、上で説明した作業手順のいずれかに組み込まれ得る。
【0156】
本発明のさらに別の実施形態を図12に示す。ここで、接続アセンブリ2100を歯科用コンポーネント2020にマウントする。歯科用コンポーネントはスルーホール2023を備え、このスルーホール2023は、歯科用コンポーネント2020を経由して歯根から冠状方向に延在する。スルーホール2023は、ステップ状の構成を有する。この結果、歯科用コンポーネントの冠状側2022により大きい直径を有する部分及び歯科用コンポーネントの歯根側2021により小さい直径を有する部分がもたらされる。歯科用コンポーネント2020の冠状側2022に対して開口する孔の一部は、その内周に、前の実施形態に関連して説明したネジ山1027と同じ内部ネジ山2027を備える。スルーホール2023内のステップでは、スルーホール2023の縦軸におおむね垂直に配向された平面に存在する冠状ベアリング面2026を形成する。
【0157】
さらに、接続アセンブリ2100は、第1の固定エレメント2140aを備え、この第1の固定エレメント2140aは、ベアリング面を形成しない第1の固定エレメント2140aのスルーホール2143aを除いて、前の実施形態の固定エレメント1140と同様に形成される。固定エレメント1140と同様に、第1の固定エレメント2140aは、冠状側から、歯科用コンポーネントのスルーホール2023のネジ山部と係合し得る。
【0158】
接続アセンブリ2100はまた、第2の固定エレメント2140bを備え、この第2の固定エレメント2140bは、基本的に図1から図4及び図8から図10に示した本発明の最初の2つの実施形態に関連して説明したように、固定エレメント140に対応する。第2の固定エレメント2140bの歯根側2147bは、歯科用インプラント2010または歯科用インプラントの類似物に取り付けられ得る。その結果、第2の固定エレメント2140bは、接続アセンブリ2100の歯根側に設置される。
【0159】
第2の固定エレメント2140bの最外径は、好適にはより小さい直径を有するスルーホール2023の一部の内径より小さい。これは、歯科用コンポーネント2020に対する第2の固定エレメント2140bの回転の調整及び移行の調整を可能にするためである。より小さい直径は、より小さい直径を有するスルーホール2023の一部の内側に、少なくとも部分的に第2の固定エレメント2140bを隠すことも可能である。
【0160】
前の実施形態と同様に、接続アセンブリ2100は、ベアリングエレメント2150を備える。しかし、インプラント1010またはインプラントの類似物と歯科用コンポーネント1020の間のアライメント不良を補償するベアリングエレメント1150とは異なり、図12に示した例示的な実施形態のベアリングエレメント2150はまた、歯科用インプラント2010または歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネント2020の間の誤配置を補償する役割を果たす。
【0161】
より具体的には、ベアリングエレメント2150は、誤配置を補償するための平坦な冠状ベアリング面2153及び平坦な第1の歯根ベアリング面2154を備える。冠状ベアリング面2153及び歯根ベアリング面2154は、スルーホール2152の縦軸に垂直である。
【0162】
ベアリングエレメントはまた、歯科用インプラント2010または歯科用インプラントの類似物と歯科用コンポーネント2020の間のアライメント不良を補償する第2の歯根ベアリング面2155を備える。ベアリングエレメント2150の歯根ベアリング面2155は、湾曲状及び好適には球状であり、第2の固定エレメント2140bの対応する冠状ベアリング面2141bと相互作用するように構成される。第2の歯根ベアリング面2155は、好適には第1の歯根ベアリング面2154内に設置される。その結果、第1の歯根ベアリング面2154はリング型である。
【0163】
ベアリングエレメント2150はまた、歯根から冠状方向に延在するスルーホール2152を備え、好適にはディスク型である。ベアリングエレメント2150の最外径は、より大きい直径を有するスルーホール2023の一部の内径より小さい。これは、スルーホール2023の縦軸を横断する方向に、ベアリングエレメント2150と歯科用コンポーネント2020の間の相対的な動作を可能にするためである。
【0164】
好適には、接続アセンブリ2100はまた、平坦な歯根ベアリングまたはサポート面を有するネジの使用を可能にするために、前述したとおり、第1のワッシャ2120及び第3のワッシャ2110を備える。代替として、第1のワッシャ2120のみが、対応する湾曲及び好適には球状の歯根サポート面を有するネジとともに使用される。
【0165】
回転の調整範囲が増大した場合、第1の固定エレメント2140aのスルーホール2143は、好適には、ベアリングエレメント2150のスルーホール2152より大きい。
【0166】
好適には、接続アセンブリ2100は、予め固定された状態に予め組み合わされる。第1のステップにおいて、歯根ベアリング面2154が冠状ベアリング面2026と接触するまで、ベアリングエレメント2150を、冠状側2022から歯科用コンポーネント2020のスルーホール2023内に挿入する。その後、第1の固定エレメント2140aの外部ネジ山2144aは、歯科用コンポーネント2020の内部ネジ山2027と係合する。
【0167】
組み合わされ、固定された後の状態において、歯根ベアリング面2154は、冠状ベアリング面2026と接触する。ベアリングエレメント2150の冠状側で、冠状ベアリング面2153は、固定エレメント2140aの歯根ベアリング面2142aと接触する。しかし、予め組み合わせた状態において、第1の固定エレメント2140aは、ベアリングエレメント2150と歯科用コンポーネント2020の間の誤配置の調整が可能な程度に、歯科用コンポーネント2022内にネジ止めされているだけである。
【0168】
アライメント不良の補償を可能にする接続アセンブリ2100の一部は、第1の固定エレメント2140aの冠状ベアリング面2141a上に第1のワッシャ2120を載置することによって予め組み合わされる。平坦な歯根サポート面を有するネジを使用する場合、第3のワッシャ2110は、最初の2つの実施形態に関連して、既にさらに詳細に説明したとおり、第1のワッシャの冠状ベアリング面に次いで配置される。
【0169】
さらに、第2の固定エレメント2140bの冠状ベアリング面2141bは、第2の歯根ベアリング面2155と接触する。第2の固定エレメント2140b、第1のワッシャ2120、及び必要に応じて第3のワッシャ2110が所定の位置にある場合、第1の仮ネジ2031のような係合エレメントは、孔2143及び孔2152を介して挿入され、第2の固定エレメントのスルーホール2143bのネジ山部と係合する。
【0170】
予め組み合わせた状態の場合、すなわち、第2の歯根ベアリング面2155と冠状ベアリング面2141bの間、並びに第1のワッシャ2120の冠状面と第3のワッシャ2110の歯根ベアリング面またはネジ2031の歯根サポート面のいずれか一方の間の相対的な回転動作及び第1のワッシャの平坦な歯根面と第1の固定エレメント2140aの平坦な冠状ベアリング面2141aの間の相対的な平行移行を可能にするために、第1の仮ネジ2031を完全に固定しない。第1の仮ネジ2031の代わりに、第2の仮ネジまたはインプラント用ネジは、上で説明したとおり、接続アセンブリ2100を予め組み合わせるために使用し得る。
【0171】
ネジ山2144bを有する第2の固定エレメント2140bのスルーホール2143bの代わりに、特に、複数のベアリング面の間で固着手段を使用し得るが、これは、予め固定された状態から固定後の状態に接続アセンブリ2100を転送するためである。
【0172】
複数のインプラント2010または複数の歯科用インプラントの類似物の間の相対的な回転の記録を可能にするために、第1の仮ネジまたは固着手段を用い得る。それにも係わらず、前に説明した転送アバットメント80を用いて、相互に関連する複数の歯科用インプラントの相対的な位置及び配向の記録を行う場合、接続アセンブリ2100は、インプラント用ネジを用いて好適に予め組み合わされる。
【0173】
上で説明した歯の修復を行うための作業手順の残りのステップに関して、接続アセンブリ2100のアプリケーションは、前の実施形態で説明した接続アセンブリのアプリケーションに基本的に対応する。
【0174】
図13は、歯科用接続アセンブリのさらに別の実施形態を説明する。接続アセンブリ3100は、接続アセンブリ1100と同様に、比較的必要とする部品の数が少ない。より具体的には、接続アセンブリ3100は、第1のワッシャ3120、固定エレメント3140、及び第1の仮ネジ3031のような係合エレメント、第2の仮ネジまたはインプラント用ネジを備える。
【0175】
図13の歯科用コンポーネント3020はスルーホール3023を備える。スルーホールは、歯科用コンポーネント3020の冠状側3022及び歯根側3021の両側で、外側に向かってしだいに細くなる。スルーホールのしだいに細くなった部分が、冠状ベアリング面3026及び歯根ベアリング面3028を形成する。冠状ベアリング面3026及び歯根ベアリング面3028の両方が、湾曲及び好適には球状である。
【0176】
第1のワッシャ3120は、平坦な冠状ベアリング面3122、歯科用コンポーネント3020の冠状ベアリング面3026に対応する歯根ベアリング面3121、及び係合エレメントを挿入するための歯根から冠状方向に向かうスルーホール3124を備える。
【0177】
固定エレメント3140は、第1及び第2の実施形態に関連して説明した固定エレメント140に基本的には対応する。
【0178】
接続アセンブリ3100を予め組み合わせるために、第1のワッシャ3120の歯根ベアリング面3121は、歯科用コンポーネント3020の冠状ベアリング面3026に相対して載置する。固定エレメント3140の冠状ベアリング面3141は、歯科用コンポーネント3020の歯根ベアリング面3028に相対して載置する。係合エレメントは、第1のワッシャ3120のスルーホール3124及び歯科用コンポーネント3020のスルーホール3023を介して挿入され、固定エレメント3140のスルーホール3143に備えられたネジ山と係合する。患者の口内の複数の歯科用インプラント3010の間の相対的な配向の移動に関する記録を望まない場合、第1の仮ネジ3031は、インプラント用ネジまたは第2の仮ネジと置換し得る。
【0179】
歯科用コンポーネント3020と歯科用インプラント3010または歯科用インプラントの類似物の間の最大の相対的な回転が増大し、よって、使用可能な修正範囲が増大した場合、第1のワッシャ3120のスルーホール3124の直径は、好適にはスルーホール3023のしだいに細くなった部分の歯科用コンポーネント3020のスルーホール3023の直径よりも大きい。さらに、スルーホール3023のこの直径は、固定エレメント3140を介して延在するスルーホール3143の直径より大きい。一般的に、スルーホール3023及び3124の直径が大きくなればなるほど、回転の調整範囲も大きくなる。
【0180】
回転及び移動の調整を可能にするために、固定エレメント3140は、歯科用インプラント3010または歯科用インプラントの類似物の縦軸と関連して横断する方向に移行するように構成され得る。この場合、接続アセンブリ3100は、歯科用コンポーネント3020と共に歯科用インプラント3010または歯科用インプラントの類似物にマウントされ得、インプラント用ネジのシャフトに関連する固定エレメント3140内のスルーホール3143は、当該横断方向に調整範囲をもたらすのに十分な大きさである。
【0181】
冠状ベアリング面3122と接触する冠状ベアリング面3122とネジヘッド3031の面の間のアンギュレーションを補正するために、ネジヘッド3031は、ヒンジジョイントまたはボールジョイント3500を備える。
【0182】
患者の口内の複数の歯科用インプラント3010の間の相対的な回転位置を記録することが望まれる場合、係合エレメント、特に第1の仮ネジを強化する。インプラント用ネジを用いる場合でも、記録は、固定エレメント3140の冠状ベアリング面3141と歯科用コンポーネント3020の歯根ベアリング面3028の間に固着手段を設けることによって確立し得る。複数の歯科用インプラント3010の相対的な位置を記録する場合、図11と関連して詳細に説明したとおり、固着手段と共にワッシャを使用し得る。
【0183】
さらに、または上述した大きすぎる孔を用いて移行の調整を容易にする代わりに、接続アセンブリ3100は、歯科用コンポーネントの縦方向に沿って、前の実施形態のうちの1つの接続アセンブリと組み合わせることが可能であり、この歯科用コンポーネントは、別の歯科用インプラント3010または歯科用インプラントの類似物と相互に作用する。
【0184】
従って、移行及び回転の調整のために、異なる実施形態同士の能力を組み合わせることもまた本発明の範囲内であり、これは少なくともインプラントまたはインプラントの類似物と歯科用コンポーネントの間の誤配置及び/またはアライメント不良を補償するための調整範囲を最大化するためである。
【0185】
同様に、接続アセンブリの本実施形態は、本発明の目的を果たし、前に説明した作業手順に組み込まれ得る。
【0186】
図14は、本発明のさらなる代替の実施形態を説明する。ここで、接続アセンブリ4100を歯科用コンポーネント4020にマウントする。
【0187】
歯科用インプラント4010は、ベアリングエレメント4150をサポートするための冠状ベアリング面4141bを備える。効果的に、冠状ベアリング面4141bを有する歯科用インプラント4010は、図12に従って、歯科用インプラント2010及び第2のベアリングエレメント2140bの一実施形態を表す。必然的に、冠状ベアリング面4141bを有する歯科用インプラント4010は、また図12に示すような2つの実施形態として形成され得る。冠状ベアリング面4141bは湾曲状、特には球状である。
【0188】
歯科用コンポーネント4020は、歯科用コンポーネント4020を経由して、歯根から冠状方向に延在するスルーホール4023を備える。スルーホール4023は段階的な構成を有する。これによって、歯科用コンポーネントの冠状側4022により大きい直径を有する部分及び歯科用コンポーネントの歯根側により小さい直径を有する部分がもたらされる。歯科用コンポーネント4020の冠状側4022に対して開口する孔の一部は、その内周に内部ネジ山4027を備える。スルーホール4023内のステップは、スルーホール4023の縦軸におおむね垂直に配向される平面にある冠状ベアリング面4026を形成する。
【0189】
さらに、接続アセンブリ4100は、第1の固定エレメント4140aを備える。第1の固定エレメント4140aは、外部ネジ山4144を介して、冠状側から歯科用コンポーネントのスルーホール4023の内部ネジ山4027と係合し得る。
【0190】
冠状ベアリング面4141は、湾曲状、特には球状である。ベアリングエレメント4150は、冠状ベアリング面4141bの曲線に適合する歯根ベアリング面4155を有する。さらに、ベアリングエレメント4150は、第1の冠状ベアリング面4160を有し、この第1の冠状ベアリング面4160もまた、湾曲、特には球状である。さらに、ベアリングエレメント4150は、第1の固定エレメント4140aの歯根ベアリング面を係合するための第2の冠状ベアリング面4160bを有する。
【0191】
歯科用ネジ4030はネジヘッド4032を備える。ネジヘッド4032は、ベアリングエレメント4150の冠状ベアリング面4160に適合する歯根ベアリング面4161を有する。歯科用ネジ4030は、ネジ係合によって歯科用インプラント4010を係合し得る。このため、ベアリングエレメント4150は、歯科用ネジ4030のためのスルーホール4152を有する。
【0192】
予め固定された状態において、第1の固定エレメント4140aは、第1の固定エレメント4140aの冠状ベアリング面4026と歯根ベアリング面の間のベアリングエレメント4150を捕らえる内部ネジ山4027を係合する。歯科用ネジ4030は、例えば、カバー(不図示)によって、スルーホール4023内に捕らえられ得る。
【0193】
上で説明した歯の修復を行うための作業手順の残りのステップに関して、接続アセンブリ4100のアプリケーションは、前の実施形態で説明した接続アセンブリのアプリケーションに基本的に対応する。
【0194】
当業者に周知の他の技術とは対照的に、本発明の方法を適用する場合、インプラントの植設後にいずれの歯科用印象材をも必要としない。従って、本発明は、歯科用プロテーゼ24を生成または製造し、及び治療時間が最小であり、低コストで、及び患者に対して不都合がほとんど生じないような歯科用プロテーゼを取り付けるための手段及び方法を提供する。
【符号の説明】
【0195】
10 歯科用インプラントまたは歯科用インプラントの類似物
11 溝12 歯科用インプラントの類似物
20 歯科用コンポーネント
21 歯科用コンポーネントの歯根側
22 歯科用コンポーネントの冠状側
23 歯科用コンポーネントのスルーホール
24 歯科用プロテーゼ
25 歯科用プロテーゼのネジチャネル
30 歯科用ネジまたはインプラント用ネジ
30a 歯科用ネジのヘッド
31 第1の仮ネジ
32 第1の仮ネジのネジヘッド
33 第2の仮ネジ
34 第1の仮ネジのネジ山
35 第1の仮ネジシャフト
36 第2の仮ネジシャフト
37 インプラント用ネジシャフト
40 転送アバットメント
41 スルーホール
42 転送アバットメント接続手段
43 アバットメント
100 接続アセンブリ
110 第3のワッシャ
111 第3のワッシャの歯根ベアリング面
112 第3のワッシャの冠状(ベアリング)面
114 第3のワッシャのスルーホール
120 第1のワッシャ
121 第1のワッシャの歯根ベアリング面
122 第1のワッシャの冠状ベアリング面
124 第1のワッシャのスルーホール
130 第2のワッシャ
131 第2のワッシャの冠状ベアリング面
132 第2のワッシャの歯根ベアリング面
134 第2のワッシャのスルーホール
140 固定エレメント
141 固定エレメントの冠状ベアリング面
143 固定エレメントのスルーホール
146 係合面
148 スナップ機構
149 停止面
1000 前に説明した実施形態に対応する参照番号を用いた本発明の実施形態
1026 歯科用コンポーネントの冠状ベアリング面
1027 歯科用コンポーネントの内部ネジ山
1142 固定エレメントの歯根ベアリング面
1144 固定エレメントの外部ネジ山
1150 ベアリングエレメント
1151 ベアリングエレメントのベアリング面
1152 ベアリングエレメントのスルーホール
1153 ベアリングエレメントの冠状ベアリング面
2000 前に説明した実施形態に対応する参照番号を用いた本発明の実施形態
2140a 第1の固定エレメント
2140b 第2の固定エレメント
2141a 第1の固定エレメントの冠状ベアリング面
2141b 第2の固定エレメントの冠状ベアリング面
2143a 第1の固定エレメントのスルーホール
2143b 第2の固定エレメントのスルーホール
2144a 第1の固定エレメントの外部ネジ山
2144b 第2の固定エレメントの内部ネジ山
2147a 第1の固定エレメントの歯根側
2147b 第2の固定エレメントの歯根側
2150 ベアリングエレメント
2151 ベアリングエレメントのベアリング面
2152 ベアリングエレメントのスルーホール
2153 冠状ベアリング面
2154 ベアリングエレメントの第1の歯根ベアリング面
2155 ベアリングエレメントの第2の歯根ベアリング面
3000 前に説明した実施形態に対応する参照番号を用いた本発明の実施形態
3028 歯科用コンポーネントの歯根ベアリング面
4000 前に説明した実施形態に対応する参照番号を用いた本発明の実施形態
図1
図2a-2b】
図3
図4
図5a-5b】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14