(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】自動車用充電装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20220502BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220502BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20220502BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20220502BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20220502BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H01R13/73 C
H01R13/73 A
B60L50/60
B60L53/16
(21)【出願番号】P 2018006509
(22)【出願日】2018-01-18
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 佳己
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 信嗣
(72)【発明者】
【氏名】笠井 朋行
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-197095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0121744(US,A1)
【文献】特開2013-203393(JP,A)
【文献】特開2016-104630(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017212402(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00 - 1/04
B60K 15/04 - 15/05
H02J 7/00
H01R 13/73
B60L 50/60
B60L 53/10 - 53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置(1)において、
充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部(20)と、該ソケット部(20)の外周部から延出して車体のインナパネル(IP)に固定される環状のフランジ部(21)とを有する充電インレット(2)と、
車体のアウタパネル(OP)に固定される被固定部(30)と、該被固定部(30)から上記充電インレット(2)の上記フランジ部(21)における車体外側
に向いている面まで延び且つ上記ソケット部(20)を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部(31)とを有し、上記ソケット部(21)を収容するように形成されたインレットハウジング(3)と、
上記シール部(31)の車体外側
に向いている面に配置されて上記ソケット部(20)を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部(21)に固定され、上記シール部(31)を上記フランジ部(21)との間で挟持する金属製板材からなるプレート(5)とを備え、
上記プレート(5)は、該プレート(5)の内周側(5a)が外周側(5b)よりも車体内外方向一方に位置するように曲げ加工されていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用充電装置(1)において、
上記プレート(5)は、該プレート(5)の内周側(5a)が外周側(5b)よりも車体内側に位置するように曲げ加工され、
上記プレート(5)の外周側(5b)が上記フランジ部(21)に固定され、
上記プレート(5)の内周側(5a)が上記シール部(31)を押圧する押圧部とされていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動車用充電装置(1)において、
上記シール部(31)における上記プレート(5)が接触する部分は、上記シール部(31)における上記プレート(5)が接触しない部分に比べて厚肉に形成されていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の自動車用充電装置(1)において、
上記シール部(31)
における上記フランジ部(21)よりも外側部分には、車体内外方向に屈曲した屈曲部(31a)が設けられていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項5】
走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置(1)において、
充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部(20)と、該ソケット部(20)の外周部から延出して車体のインナパネル(IP)に固定される環状のフランジ部(21)とを有する充電インレット(2)と、
車体のアウタパネル(OP)に固定される被固定部(30)と、該被固定部(30)から上記充電インレット(2)の上記フランジ部(21)における車体外側
に向いている面まで延び且つ上記ソケット部(20)を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部(31)とを有し、上記ソケット部(21)を収容するように形成されたインレットハウジング(3)と、
上記シール部(31)の車体外側
に向いている面に配置されて上記ソケット部(20)を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部(21)に固定され、上記シール部(31)を上記フランジ部(21)との間で挟持する樹脂製板材からなるプレート(6)とを備え、
上記プレート(6)における上記フランジ部(21)側の面には、上記シール部(31)を構成する弾性材(7)が充填された溝(62)が形成されていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の自動車用充電装置(1)において、
上記プレート(6)を締結するフランジ(W)付きボルト(B)が車外側から該プレート(6)を貫通するように設けられ、
上記プレート(6)における車
体外側
に向いている面には、上記シール部(31)を構成する弾性材(8)が上記フランジ(W)との間に介在するように設けられていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の自動車用充電装置(1)において、
上記プレート(6)の上記溝(62)に充填されている弾性材(7)は、上記フランジ部(21)により圧縮されていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【請求項8】
走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置(1)において、
充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部(20)と、該ソケット部(20)の外周部から延出して車体のインナパネル(IP)に固定される環状のフランジ部(21)とを有する充電インレット(2)と、
車体のアウタパネル(OP)に固定される被固定部(30)と、該被固定部(30)から上記充電インレット(2)の上記フランジ部(21)における車体外側
に向いている面まで延び且つ上記ソケット部(20)を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部(31)とを有し、上記ソケット部(21)を収容するように形成されたインレットハウジング(3)と、
上記シール部(31)の車体外側
に向いている面に配置されて上記ソケット部(20)を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部(21)に固定され、上記シール部(31)を上記フランジ部(21)との間で挟持する樹脂製板材からなるプレート(6)とを備え、
上記プレート(6)の内周縁部には、弾性材からなる内周シール部(9)が上記フランジ部(21)の車
体外側
に向いている面に接触するように設けられていることを特徴とする自動車用充電装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車やプラグインハイブリッド車等に設けられる自動車用充電装置に関し、特にシール性を向上させる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行用バッテリに蓄えた電力によって走行可能な電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及が進んでいる。これらの自動車には、充電設備から延びる充電ケーブルの先端の給電プラグを接続するための充電インレットが設けられており、走行用バッテリの充電時には給電プラグを充電インレットに接続した後、充電設備からの給電が開始されるようになっている。
【0003】
一般的に、走行用バッテリが搭載された自動車には上記充電インレットを含む自動車用充電装置が設けられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の自動車用充電装置は、板金部品によって形成された補強要素と、アダプタデバイスを介して補強要素に取り付けられる充電ソケットと、車体の外面から充電ソケットまでの間をシールする充電クレードルとを備えている。充電ソケットの周縁部には円筒状のアダプタリングが固定されている。充電クレードルには、アダプタリングが挿入される開口部が形成されている。この開口部の周縁部にはゴム部品からなるシール要素が設けられており、シール要素がアダプタリングの外周面に接触するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、特許文献1の自動車用充電装置の補強要素は車体のインナパネルに固定される一方、充電クレードルは車体のアウタパネルに固定されることになる。このとき、インナパネルとアウタパネルとの相対的な位置関係が製造上の誤差によって車体ごとに異なっているので、補強要素と充電クレードルとの位置関係も車体ごとに異なることになる。補強要素には充電ソケットが固定され、この充電ソケットにアダプタリングが固定されているので、アダプタリングと充電クレードルとの位置関係が車体ごとに異なることになるが、特許文献1では、充電クレードルにゴム部品からなるシール要素を設けているので、このシール要素が変形することによってアダプタリングと充電クレードルとの相対的な位置の変化を吸収することができると考えられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、充電ソケットとアダプタリングとは接着固定されているが、充電クレードルとアダプタリングとは、充電クレードルのシール要素がアダプタリングの外周面に接触しているだけなので、アダプタリングと充電クレードルとの相対的な位置の変化によってシール要素が変形すると、シール要素とアダプタリングの外周面との間に隙間ができやすく、シール性が悪化する懸念がある。シール性が悪化すると、シール要素とアダプタリングの外周面との間から雨水や洗車時等の水が車体の内部に浸入するとショートするという問題が発生する。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車体に自動車用充電装置を設ける場合に、車体のアウタパネルとインナパネルとの相対的な位置関係が車体ごとに異なったとしてもシール性の悪化を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置において、充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部と、該ソケット部の外周部から延出して車体のインナパネルに固定される環状のフランジ部とを有する充電インレットと、車体のアウタパネルに固定される被固定部と、該被固定部から上記充電インレットの上記フランジ部における車体外側に向いている面まで延び且つ上記ソケット部を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部とを有し、上記ソケット部を収容するように形成されたインレットハウジングと、上記シール部の車体外側に向いている面に配置されて上記ソケット部を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部に固定され、上記シール部を上記フランジ部との間で挟持する金属製板材からなるプレートとを備え、上記プレートは、該プレートの内周側が外周側よりも車体内外方向一方に位置するように曲げ加工されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、充電インレットのフランジ部が車体のインナパネルに固定され、また、インレットハウジングの被固定部が車体のアウタパネルに固定される。そして、インレットハウジングのシール部がフランジ部における車体外側に向いている面に配置され、プレートがシール部における車体外側に向いている面に配置され、この状態でプレートがフランジ部に固定される。車体のインナパネルとアウタパネルとは、製造上の誤差によって車体ごとに異なっているので、インナパネルに固定される充電インレットと、アウタパネルに固定されるインレットハウジングとの位置関係が車体ごとに異なることになるが、本発明では、シール部が弾性材からなるものなので、充電インレットとインレットハウジングとの相対的な位置の変化をシール部の弾性変形によって吸収することができる。
【0010】
また、シール部は、フランジ部とプレートとで挟持されて弾性変形する。このとき、プレートの内周側が外周側よりも車体内外方向一方に位置するように当該プレートに曲げ加工が施されていることによってプレートの剛性が高まっているので、シール部をフランジ部の車体外側に向いている面に対して全周に亘って確実に押し付けることが可能になる。これにより、シール部がフランジ部の車体外側に向いている面に密着してシール性が確保される。
【0011】
第2の発明は、上記プレートは、該プレートの内周側が外周側よりも車体内側に位置するように曲げ加工され、上記プレートの外周側が上記フランジ部に固定され、上記プレートの内周側が上記シール部を押圧する押圧部とされていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、プレートの外周側をフランジ部に固定した状態で、プレートの内周側によってシール部が押圧されてフランジ部に密着する。
【0013】
第3の発明は、上記シール部における上記プレートが接触する部分は、上記シール部における上記プレートが接触しない部分に比べて厚肉に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、プレートがシール部の厚肉部分を押圧することになるので、シール部をシール部が接触する面に沿うように確実に弾性変形させることが可能になる。
【0015】
第4の発明は、上記シール部における上記フランジ部よりも外側部分には、車体内外方向に屈曲した屈曲部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、車体のインナパネルとアウタパネルとが車体ごとに異なっている場合に、シール部の屈曲部が変形することによって充電インレットとインレットハウジングとの相対的な位置の変化を吸収することが可能になる。
【0017】
第5の発明は、走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置において、充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部と、該ソケット部の外周部から延出して車体のインナパネルに固定される環状のフランジ部とを有する充電インレットと、車体のアウタパネルに固定される被固定部と、該被固定部から上記充電インレットの上記フランジ部における車体外側に向いている面まで延び且つ上記ソケット部を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部とを有し、上記ソケット部を収容するように形成されたインレットハウジングと、上記シール部の車体外側に向いている面に配置されて上記ソケット部を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部に固定され、上記シール部を上記フランジ部との間で挟持する樹脂製板材からなるプレートとを備え、上記プレートにおける上記フランジ部側の面には、上記シール部を構成する弾性材が充填された溝が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、充電インレットのフランジ部が車体のインナパネルに固定され、また、インレットハウジングの被固定部が車体のアウタパネルに固定される。そして、インレットハウジングのシール部がフランジ部における車体外側に向いている面に配置され、プレートがシール部における車体外側に向いている面に配置され、この状態でプレートがフランジ部に固定される。車体のインナパネルとアウタパネルとは、製造上の誤差によって車体ごとに異なっているので、インナパネルに固定される充電インレットと、アウタパネルに固定されるインレットハウジングとの位置関係が車体ごとに異なることになるが、本発明では、シール部が弾性材からなるものなので、充電インレットとインレットハウジングとの相対的な位置の変化をシール部の弾性変形によって吸収することができる。
【0019】
そして、シール部は、フランジ部とプレートとで挟持されて弾性変形する。このとき、プレートにおけるフランジ部側の面に形成された溝には、シール部を構成する弾性材が充填されているので、シール部をフランジ部の車体外側に向いている面に対して全周に亘って確実に押し付けることが可能になる。これにより、シール部がフランジ部の車体外側に向いている面に密着してシール性が確保される。
【0020】
第6の発明は、上記プレートを締結するフランジ付きボルトが車外側から該プレートを貫通するように設けられ、上記プレートにおける車外側に向いている面には、上記シール部を構成する弾性材が上記フランジとの間に介在するように設けられていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、フランジとプレートの車外側面との間にシール部を構成する弾性材が介在するので、フランジとプレートの車外側面との間のシール性が高まる。
【0022】
第7の発明は、上記プレートの上記溝に充填されている弾性材は、上記フランジ部により圧縮されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、プレートの溝に充填されている弾性材がフランジ部で圧縮されることにより、フランジ部に強く密着することになる。
【0024】
第8の発明は、走行用バッテリが搭載された自動車に設けられ、該走行用バッテリを充電するための自動車用充電装置において、充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部と、該ソケット部の外周部から延出して車体のインナパネルに固定される環状のフランジ部とを有する充電インレットと、車体のアウタパネルに固定される被固定部と、該被固定部から上記充電インレットの上記フランジ部における車体外側に向いている面まで延び且つ上記ソケット部を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部とを有し、上記ソケット部を収容するように形成されたインレットハウジングと、上記シール部の車体外側に向いている面に配置されて上記ソケット部を囲む環状に形成されるとともに上記フランジ部に固定され、上記シール部を上記フランジ部との間で挟持する樹脂製板材からなるプレートとを備え、上記プレートの内周縁部には、弾性材からなる内周シール部が上記フランジ部の車外側面に接触するように設けられていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、充電インレットのフランジ部が車体のインナパネルに固定され、また、インレットハウジングの被固定部が車体のアウタパネルに固定される。そして、インレットハウジングのシール部がフランジ部における車体外側に向いている面に配置され、プレートがシール部における車体外側に向いている面に配置され、この状態でプレートがフランジ部に固定される。車体のインナパネルとアウタパネルとは、製造上の誤差によって車体ごとに異なっているので、インナパネルに固定される充電インレットと、アウタパネルに固定されるインレットハウジングとの位置関係が車体ごとに異なることになるが、本発明では、シール部が弾性材からなるものなので、充電インレットとインレットハウジングとの相対的な位置の変化をシール部の弾性変形によって吸収することができる。
【0026】
そして、シール部は、フランジ部とプレートとで挟持されて弾性変形する。このとき、プレートの内周縁部には、内周シール部が設けられているので、内周シール部がフランジ部の車体外側に向いている面に接触してシール性が確保される。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、車体のアウタパネルに固定されるインレットハウジングのシール部を、車体のインナパネルに固定される充電インレットのフランジ部における車体外側に向いている面に配置し、曲げ加工が施された高剛性なプレートによって当該シール部をフランジ部との間で挟持することができる。これにより、車体のアウタパネルとインナパネルとの相対的な位置関係が車体ごとに異なっていても、シール部をフランジ部の車体外側に向いている面に密着させてシール性の悪化を抑制できる。
【0028】
第2の発明によれば、プレートの内周側によってシール部をフランジ部に確実に密着させることができる。
【0029】
第3の発明によれば、プレートがシール部の厚肉部分を押圧することになるので、シール部を該シール部が接触する面に沿うように確実に弾性変形させることができる。
【0030】
第4の発明によれば、シール部の屈曲部が変形することによって充電インレットとインレットハウジングとの相対的な位置の変化を吸収することができるので、組付作業性を向上させることができる。
【0031】
第5の発明によれば、車体のアウタパネルに固定されるインレットハウジングのシール部を、車体のインナパネルに固定される充電インレットのフランジ部における車体外側に向いている面に配置し、プレートによって当該シール部をフランジ部との間で挟持することができるとともに、プレートの溝に充填した弾性材をフランジ部に押し付けることができる。これにより、車体のアウタパネルとインナパネルとの相対的な位置関係が車体ごとに異なっていても、シール部をフランジ部の車体外側に向いている面に密着させてシール性の悪化を抑制できる。
【0032】
第6の発明によれば、フランジとプレートの車外側面との間にシール部を構成する弾性材が介在するので、フランジとプレートの車外側面との間のシール性を高めることができ、ボルトの締結孔を介した水の浸入を抑制することができる。
【0033】
第7の発明によれば、プレートの溝に充填されている弾性材を圧縮することでフランジ部に強く密着させてシール性をより一層高めることができる。
【0034】
第8の発明によれば、車体のアウタパネルに固定されるインレットハウジングのシール部を、車体のインナパネルに固定される充電インレットのフランジ部における車体外側に向いている面に配置し、プレートによって当該シール部をフランジ部との間で挟持することができるとともに、プレートの内周縁部に設けた弾性材からなる内周シール部をフランジ部の車外側に向いている面に接触させることができる。これにより、車体のアウタパネルとインナパネルとの相対的な位置関係が車体ごとに異なっていても、シール性の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態1に係る自動車用充電装置を車体外側から見た図である。
【
図2】
図1におけるII-II線断面図であり、車体の一部も示した図である。
【
図7】
図5におけるVII-VII線断面図である。
【
図8】実施形態1の変形例1に係る
図5相当図である。
【
図12】実施形態1の変形例2に係るプレートの斜視図である。
【
図16】実施形態1の変形例3に係るプレートの斜視図である。
【
図18】
図16におけるXVIII-XVIII線断面図である。
【
図20】本発明の実施形態2に係る
図1相当図である。
【
図23】
図20におけるXXIII-XXIII線断面図である。
【
図27】本発明の実施形態3に係る
図1相当図である。
【
図28】
図27におけるXXVIII-XXVIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る自動車用充電装置1を車体外側から見た図であり、この図ではリッド部材を省略している。この実施形態の説明では、自動車用充電装置1が自動車の左側部に配設された場合を示しており、従って、
図1における左側が自動車の前側であり、
図1における右側が自動車の後側になるが、向きは特に限定されない。尚、自動車用充電装置1は自動車の右側部に配設することもでき、また自動車の前部や後部に配設することもでき、配設場所は特に限定されない。
【0038】
(自動車の構成)
自動車用充電装置1が設けられる自動車は、例えば電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の走行用バッテリ(図示せず)が搭載された自動車である。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車では、駆動輪(図示せず)を駆動するための走行用モーター(図示せず)を備えており、走行用バッテリは走行用モーターに電力を供給するためのものである。尚、走行用バッテリは自動車の補機類にも電力を供給することができる。
【0039】
図示しないが、走行用バッテリは、家庭や駐車場等に設置されている充電設備によって充電することができるようになっている。充電設備は自動車に電力を供給するための充電ケーブルを有している。充電ケーブルの先端には給電プラグが設けられており、この給電プラグが自動車用充電装置1に接続される。所定の操作が行われることにより、電力が充電設備から充電ケーブル及び自動車用充電装置1を介して走行用バッテリに供給されるようになっている。
【0040】
図2に示すように、自動車の車体は、例えば金属製板材等からなるアウタパネルOPとインナパネルIPとを備えている。アウタパネルOPは車体の外板となるものである。アウタパネルOPにおける自動車用充電装置1が配設される部分には、アウタ側開口部OP1が形成されている。アウタパネルOPにおけるアウタ側開口部OP1の周縁部には、車体内側に窪むように段部OP2が形成されている。従って、アウタ側開口部OP1は、車体の外面から窪んだ部分に開口することになる。
【0041】
インナパネルIPは、アウタパネルOPから車体内側に離れて配設されている。インナパネルIPにおける自動車用充電装置1が配設される部分には、インナ側開口部IP1が形成されている。インナパネルIPにおけるインナ側開口部IP1が形成された部分は、他の部分よりも車体外側に位置するように形成されている。インナ側開口部IP1はアウタ側開口部OP1よりも開口面積が小さく設定されている。インナ側開口部IP1とアウタ側開口部OP1とは、車体外側から見たときに重複するように配置されていて、アウタ側開口部OP1の内方にインナ側開口部IP1が位置するように見える。
【0042】
また、アウタパネルOPとインナパネルIPとは、製造上の誤差により相対的な位置関係が車体ごとに異なる場合がある。
図2に示す状態を基準としたとき、例えばアウタパネルOPがインナパネルIPに対して車両前後方向にずれたり、車体内外方向にずれたりする場合がある。また、例えばアウタパネルOPがインナパネルIPに対して上下方向にずれることもある。
【0043】
(自動車用充電装置1の構成)
自動車用充電装置1は走行用バッテリを充電するため装置であり、充電インレット2と、インレットハウジング3と、インットブラケット4と、プレート5と、フランジW付きボルトBとを備えている。充電インレット2は、インレットブラケット4を介して車体のインナパネルIPに固定される一方、インレットハウジング3は、車体のアウタパネルOPに固定される。従って、アウタパネルOPとインナパネルIPとの相対的な位置関係が車体ごとに異なると、それに伴って充電インレット2とインレットハウジング3との相対的な位置関係も車体ごとに異なることになる。
【0044】
(充電インレット2の構成)
充電インレット2は、充電ケーブルの先端の給電プラグが車体外側から接続可能に配置されるソケット部20と、該ソケット部20の外周部から延出して車体のインナパネルIPに固定されるフランジ部21と、導電体からなる複数の接続ピン22とを有している。ソケット部20とフランジ部21とは、一般的にはアルミ材又は、硬質樹脂材が用いられていて、導電体からなる複数の接続ピン22とは絶縁状態が保たれた状態に組み付けられている。
【0045】
ソケット部20は略円筒形状とされており、車外側へ向けて延びるように配置される。ソケット部20の内部には接続ピン22が車外側へ向けて延びるように設けられている。この接続ピン22の基端部(車体内側の端部)には、車体側ケーブルCが接続されている。車体側ケーブルCは、走行用バッテリに接続されている。給電プラグがソケット部20に接続されると、給電プラグと接続ピン22とが電気的に接続されて導通状態になる。ソケット部20の形状や接続ピン22の数、配置等は、充電ケーブルの規格に合うようにすればよく、図示したソケット部20及び接続ピン22に限られるものではない。また、充電インレット2におけるソケット部20と反対側には、車体側ケーブルCが固定される固定筒部23が車体内側へ突出するように形成されている。
【0046】
フランジ部21は、ソケット部20の外周部の全周から径方向に延出しており、車体内外方向から見たときに環状をなしている。このフランジ部21がインレットブラケット4を介してインナパネルIPに固定されるようになっている。フランジ部21には、ボルトBが挿通するボルト挿通孔21aが複数形成されている。ボルト挿通孔21aの周縁部には、車体外側へ向けて突出して該ボルト挿通孔21aの周方向に環状に延びる凸部21bが形成されている。
【0047】
(インレットブラケット4の構成)
インレットブラケット4は、硬質樹脂材からなるものであり、充電インレット2をインナパネルIPに固定するための部材である。インレットブラケット4の車体内側には、締結板部40が設けられている。締結板部40は、インナパネルIPのインナ側開口部IP1の周縁部に沿って環状に延びており、インナパネルIPに対してボルト100及びナット101によって締結されている。
【0048】
インレットブラケット4は、締結板部40の内周側縁部から車体外側へ向かって延びる筒状部41と、該筒状部41の車体外側の端部から該筒状部41の径方向内方へ延びる端板部42とを有している。締結板部40、筒状部41及び端板部42は一体成形されている。端板部42は、筒状部41の周方向に連続した環状をなしている。端板部42には、ボルトBの軸部が螺合する複数のネジ孔42aが互いに周方向に間隔をあけて形成されている。
【0049】
(インレットハウジング3の構成)
インレットハウジング3は、車体のアウタパネルOPに固定される被固定部30と、該被固定部30から充電インレット2のフランジ部21における車体外側面まで延び且つソケット部21を囲むように形成された弾性材からなる環状のシール部31とを有し、ソケット部21を収容するように形成されている。インレットハウジング3は、図示しないがリッド部材によって開閉されるようになっている。弾性材は、自動車用シール材として一般的に使用されているゴムや各種エラストマーを使用することができる。
【0050】
被固定部30は、アウタパネルOPのアウタ側開口部OP1に沿って延びるように形成された弾性材からなる外周シール部30aと、ソケット部21を収容するように形成された硬質樹脂材からなるハウジング本体部30bとを有している。ハウジング本体部30bは、アウタパネルOPのアウタ側開口部OP1の周縁部の近傍からインナパネルIP側へ窪むように形成されている。外周シール部30aとハウジング本体部30bとは一体化されている。外周シール部30aがアウタパネルOPのアウタ側開口部OP1の周縁部に嵌合することによってアウタパネルOPに固定され、またハウジング本体部30bは図示しないがアウタパネルOPに対して従来から周知の固定部材によって固定されている。
【0051】
シール部31は、外側周壁部32と内側周壁部33とシール板部34とを備えており、外側周壁部32、内側周壁部33及びシール板部34は弾性材によって一体成形されている。外側周壁部32は、ハウジング本体部30bの車体内側端部から車体内側へ向けて延びるとともに、充電インレット2を囲むように環状に延びる壁部である。外側周壁部32における車外側端部は、ハウジング本体部30bの車内側端部に対して全周に亘って固着されており、外側周壁部32における車外側端部とハウジング本体部30bの車内側端部との間からの水の浸入が抑制されている。外側周壁部32の車内側端部は、充電インレット2のフランジ部21よりも車内側まで延びている。外側周壁部32は、充電インレット2のフランジ部21の周縁部から離れている。
【0052】
内側周壁部33は、外側周壁部32の車体内側端部に連続しており、そこから車体外側へ向かって車体外側へ行くほど充電インレット2のフランジ部21に接近する方向に傾斜しながら延びている。この内側周壁部33も外側周壁部32と同様に環状に形成されている。内側周壁部33の車外側端部は、充電インレット2のフランジ部21近傍に位置している。従って、内側周壁部33の車体外側端部と外側周壁部32との間には、隙間Dが形成されることになる。
【0053】
内側周壁部33における外側周壁部32との連続部分には、薄肉部33aが設けられている。これにより、内側周壁部33と外側周壁部32とが折れ曲がりやすくなり、外側周壁部32に対する内側周壁部33の傾斜角度を容易に変化させることが可能になる。尚、薄肉部33aは省略してもよい。
【0054】
内側周壁部33及び外側周壁部32により、シール部31に、車体内外方向に屈曲した屈曲部31aが設けられることになる。屈曲部31aは、シール部31におけるフランジ部21よりも外側部分に位置している。この実施形態では、屈曲部31aが車体内側へ向けて屈曲しているが、車体外側へ向けて屈曲する形状であってもよい。また、図示しないが、屈曲部は複数設けられていてもよい。
【0055】
外側周壁部32の車体外側端部をハウジング本体部30bによってアウタパネルOPに固定した状態で、シール板部34を前後方向や上下方向に変位させようとすると、屈曲部31aが変形することにより、シール板部34の変位が容易になる。また、内側周壁部33及び外側周壁部32が弾性材からなるものなので、内側周壁部33及び外側周壁部32が弾性変形することによってもシール板部34の前後方向や上下方向の変位がより一層容易になる。さらに、外側周壁部32の車体外側端部をアウタパネルOPに固定した状態で、シール板部34を車体内外方向に変位させようとすると、内側周壁部33及び外側周壁部32が弾性材からなるものなので、これら周壁部32、33が弾性変形することによりシール板部34の変位が容易になる。
【0056】
シール板部34は、内側周壁部33の車体外側端部に連続しており、充電インレット2のフランジ部21の車体外側の面に沿って延びるように形成されている。シール板部34も外側周壁部32と同様に環状に形成されており、このシール板部34の内周縁部によって囲まれた空間に充電インレット2のソケット部20が位置している。
【0057】
図4に示すように、シール板部34には、中間厚肉部35と、内周側厚肉部36とが形成されている。中間厚肉部35及び内周側厚肉部36は、シール板部34における他の部分に比べて厚みが厚く設定されている。また、中間厚肉部35及び内周側厚肉部36の厚みは、内側周壁部33及び外側周壁部32の厚みよりも厚く設定されている。さらに、中間厚肉部35の厚みは、内周側厚肉部36の厚みよりも厚く設定されている。
【0058】
中間厚肉部35は、シール板部34の幅方向中間部に設けられている。中間厚肉部35には、ボルトBが挿通するボルト挿通孔35bが複数形成されている。また、中間厚肉部35には、車体内側に開放された凹部35aがボルト挿通孔35bを囲むように形成されている。さらに、中間厚肉部35における車体外側の面には、ボルト挿通孔35bの周縁部に外側突起部35cが形成され、中間厚肉部35における車体内側の面には、ボルト挿通孔35bの周縁部に内側突起部35dが形成されている。外側突起部35c及び内側突起部35dは小突起からなるものであり、シール性を向上させるために設けられている。
【0059】
内周側厚肉部36は、シール板部34の内周部分に設けられており、中間厚肉部35と内周側厚肉部36とはシール板部34の幅方向に離れている。よって、シール板部34における中間厚肉部35と内周側厚肉部36との間の部分は、中間厚肉部35及び内周側厚肉部36に比べて薄肉な部分となる。内周側厚肉部36における車体外側の面には外側突起部36cが形成され、内周側厚肉部36における車体内側の面には内側突起部36dが形成されている。
【0060】
(プレート5の構成)
プレート5は、例えば鋼鈑等の金属製板材をプレス成形してなるものであり、
図1及び
図2に示すように、シール板部34の車体外側面に配置されてソケット部20を囲む環状に形成されている。このプレート5は、フランジ部21に固定され、シール板部34をフランジ部21との間で挟持するための部材である。プレート5の中央開口部50からソケット部20が車体外方へ向けて突出するようになっている。
【0061】
図5に示すように、プレート5は全体として略円形状をなしており、
図6及び
図7に示すように、該プレート5の内周側が外周側よりも車体内外方向一方に位置するように曲げ加工されている。具体的には、プレート5は、該プレート5の径方向内側部分である内周側部分5aと、該プレート5の径方向外側部分である外周側部分5bと、これら内周側部分5a及び外周側部分5bの間の傾斜部分5cとを有している。そして、プレート5の内周側部分5aが外周側部分5bよりも車体内側に位置するように、傾斜部分5cが傾斜している。従って、傾斜部分5cは、プレート5の径方向外側へ行くほど車体外側に位置するように傾斜することになる。つまり、プレート5は、該プレート5の内周側が外周側よりも車体内側に位置するように曲げ加工され、内周側部分5aと傾斜部分5cとの境界部に折り曲げ部が形成されるとともに、外周側部分5bと傾斜部分5cとの境界部にも折り曲げ部が形成されることになる。これにより、プレート5の剛性が高まり、後述するボルトBによる締結時に変形し難くなる。
【0062】
プレート5の外周側部分5bには、フランジ付ボルトBが挿通するボルト挿通孔5dが複数形成されている。
図3に示すように、フランジ付ボルトBのフランジWと、プレート5の外周側部分5bにおけるボルト挿通孔5dの周縁部との間には、弾性材からなるパッキンPが設けられている。
【0063】
プレート5の外周側部分5bは、シール板部34の中間厚肉部35に重なるように配置されて接触しており、この状態でプレート5のボルト挿通孔5dと、シール板部34のボルト挿通孔35bとが一致し、さらにプレート5のボルト挿通孔5d及びシール板部34のボルト挿通孔35bと、インレットブラケット4のネジ孔42aとが一致するようになっている。ボルトBをプレート5のボルト挿通孔5d及びシール板部34のボルト挿通孔35bに挿通し、インレットブラケット4のネジ孔42aに螺合させることにより、プレート5の外周側部分5bがフランジ部21に締結固定される。これにより、シール板部34の中間厚肉部35がフランジ部21とプレート5の外周側部分5bとで厚み方向に挟持されて弾性変形するので、中間厚肉部35がフランジ部21及びプレート5の外周側部分5bに密着する。
【0064】
また、プレート5の内周側部分5aがシール板部34の内周側厚肉部36に重なるように配置されて接触し、内周側厚肉部36を押圧するので、シール板部34の内周側厚肉部36がフランジ部21とプレート5の内周側部分5aとで厚み方向に挟持されて弾性変形する。これにより、内周側厚肉部36がフランジ部21及びプレート5の内周側部分5aに密着する。この実施形態では、プレート5の内周側部分5aは、シール板部34の内周側厚肉部36を押圧する押圧部になる。また、シール板部34におけるプレート5が接触する部分は、シール板部34におけるプレート5が接触しない部分に比べて厚肉に形成されているので、プレート5に対して確実に接触させて該プレート5に沿うように弾性変形させることができるとともにフランジ部21に沿うように弾性変形させることができる。よって、シール板部34とフランジ部21との間のシール性をより一層高めることができる。
【0065】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態では、充電インレット2のフランジ部21がインレットブラケット4によって車体のインナパネルIPに固定され、また、インレットハウジング3の被固定部30が車体のアウタパネルOPに固定される。そして、インレットハウジング3のシール部31のシール板部34が充電インレット2のフランジ部21における車体外側面に配置され、プレート5がシール板部34における車体外側面に配置され、この状態でプレート5がフランジ部21に対してボルトBによって締結固定される。
【0066】
ここで、上述したように、車体のインナパネルIPとアウタパネルOPとは、製造上の誤差によって車体ごとに異なっているので、インナパネルIPに固定される充電インレット2と、アウタパネルOPに固定されるインレットハウジング3との位置関係が車体ごとに異なることになる。この実施形態では、シール部31が弾性材からなるものであるとともに屈曲部31aを有しているので、充電インレット2とインレットハウジング3との相対的な位置の変化をシール部31の弾性変形によって吸収することができる。
【0067】
このシール部31は、充電インレット2のフランジ部21とプレート5とで挟持されて弾性変形する。このとき、プレート5の内周側部分5aが外周側部分5bよりも車体内方に位置するように当該プレート5に曲げ加工が施されていることによってプレート5の剛性が高まっているので、シール板部34を充電インレット2のフランジ部21の車体外側面に対して全周に亘って確実に押し付けることが可能になる。これにより、シール板部34が充電インレット2のフランジ部21の車体外側面に密着してシール性が確保される。
【0068】
(実施形態1の変形例)
図8~
図11は、実施形態1の変形例1に係るプレート5を示すものである。変形例1では、プレート5の外周側部分5bにおけるボルト挿通孔5dの間が湾曲している。また、ボルト挿通孔5dの周縁部は窪み部5eとされている。変形例1のようにプレート5の外周側部分5bを湾曲させることにより、プレート5の剛性をより一層高めることができる。
【0069】
図12~
図15は、実施形態1の変形例2に係るプレート5を示すものである。変形例2のプレート5は矩形に近い形状とされており、4つの角部近傍にボルトBが挿通するボルト挿通孔5dが形成されている。プレート5の外形状は、変形例2のような形状にしてもよいし、例えば長方形や楕円形等にしてもよい。
【0070】
図16~
図19は、実施形態1の変形例3に係るプレート5を示すものである。変形例3のプレート5は矩形に近い形状とされており、プレート5の外周側部分5bにおけるボルト挿通孔5dの間が湾曲している。また、ボルト挿通孔5dの周縁部は窪み部5eとされている。変形例1のようにプレート5の外周側部分5bを湾曲させることにより、プレート5の剛性をより一層高めることができる。
【0071】
(実施形態2)
図20~
図23は、本発明の実施形態2に係るものである。この実施形態2では樹脂製のプレート6を備えている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0072】
プレート6は、硬質樹脂製板材からなるものであり、シール板部34の車体外側面に配置されてソケット部20を囲む環状に形成されている。このプレート6は、フランジ部21に固定され、シール板部34をフランジ部21との間で挟持するための部材である。プレート6の中央開口部60からソケット部20が車体外方へ向けて突出するようになっている。
【0073】
図22や
図23に示すように、プレート6の外周面には、径方向外方へ延出する延出板部61が一体成形されている。この延出板部61は、シール板部34の車体外側面に重なるように配置され、該シール板部34に対して全周に亘って固着されている。また、プレート6には、該プレート6を締結するボルトBが挿通するボルト挿通孔6dが形成されており、ボルトBが車外側から該プレート6を貫通するように設けられている。
【0074】
プレート6におけるフランジ部21側の面には、シール板部34を構成する弾性材7が充填された溝62が形成されている。この溝62は、プレート6の周方向に連続する環状に形成されている。プレート6がボルトBによって締結固定されると、溝62に充填された弾性材7がフランジ部21の車体外面側に接触してフランジ部21により圧縮され、弾性変形するようになっている。これにより、弾性材7がフランジ部21の車体外面に隙間無く密着する。
【0075】
この実施形態2によれば、実施形態1と同様に、充電インレット2とインレットハウジング3との相対的な位置の変化をシール部31の弾性変形によって吸収することができ、しかも、シール板部34を構成する弾性材7をフランジ部21の車体外側面に密着させてシール性を確保することができる。
【0076】
(実施形態2の変形例)
図24に示す実施形態2の変形例1のように、フランジ付ボルトBのフランジWとプレート6との間に設けられるパッキン8を、シール部31を構成する弾性材により該シール部31と一体成形してもよい。この変形例1では部品点数を削減することができる。この変形例では、プレート6における車外側面には、シール部31を構成する弾性材がフランジWとの間に介在するように設けられることになる。
【0077】
図25及び
図26に示す実施形態2の変形例2のように、プレート6の内周縁部に、シール部31とは別部品で構成されたシール部材9を嵌めるためのシール溝63を形成してもよい。このシール溝63は、プレート6の周方向に連続した環状溝で構成されている。シール部材9は、例えば弾性材からなるOリング等で構成することができ、フランジ部21の車外側面に接触するように設けられている。シール部材9により、プレート6の内周縁部に内周シール部が形成される。
【0078】
(実施形態3)
図27~
図29は、本発明の実施形態3に係るものである。この実施形態3では樹脂製のプレート6を備えている点で実施形態1のものと異なっている。また、このプレート6がインレットハウジング3のハウジング本体部30bと一体成形されている点で実施形態2のものと異なっている。以下、実施形態1、2と同じ部分には実施形態1、2と同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1、2と異なる部分について詳細に説明する。
【0079】
実施形態3では、
図28や
図29に示すようにインレットハウジング3のハウジング本体部30bからプレート6の外周面まで延びる連結部10が設けられており、この連結部10によってハウジング本体部30bとプレート6とが連結されている。連結部10は、シール部31の車体外側面に沿って延びている。連結部10は、ハウジング本体部30b及びプレート6に比べて大幅に薄肉化されているので、容易に弾性変形するようになっている。従って、連結部10は、外側周壁部32と内側周壁部33との屈曲形状に対応して屈曲することになる。
【0080】
実施形態3では、ハウジング本体部30bとプレート6を連結部10によって連結することで、ハウジング本体部30bとプレート6を一体成形することができる。
【0081】
また、実施形態3に実施形態2の変形例1や変形例2の一方又は両方を加えて実施することもできる。いずれも、実施形態1、2と同様な作用効果を奏することができる。
【0082】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明に係る自動車用充電装置は、例えば電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の走行用バッテリが搭載された自動車に使用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 自動車用充電装置
2 充電インレット
3 インレットハウジング
5 金属製プレート
5a 内周側部分
5b 外周側部分
6 樹脂製プレート
7 弾性材
9 シール部材(内周シール部)
20 ソケット部
21 フランジ部
30 被固定部
31 シール部
62 溝
B ボルト
W フランジ
IP インナパネル
OP アウタパネル