(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23L 5/02 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
F23L5/02
(21)【出願番号】P 2018015664
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧 啓東志
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150734(JP,A)
【文献】実開平01-008031(JP,U)
【文献】特開2010-127236(JP,A)
【文献】特開2014-059114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 5/02
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを収容するバーナケースの底板側から燃焼用空気を強制的に供給する送風機を備え、前記送風機が、ファンモータと、該ファンモータの本体部から延びる回転軸に連結された羽根車と、該羽根車を収容して風路を形成するファンケースとを備えて前記バーナケースの底板に連結される燃焼装置において、
前記ファンモータは、前記回転軸の軸線が鉛直方向に延びる姿勢に設けられており、
前記ファンケースは、前記ファンモータの本体部を支持する平面状のモータ支持板を備え、
前記モータ支持板は、
前記ファンケースの外部に位置する前記ファンモータの本体部と、前記羽根車と、の間に設けられていると共に、前記ファンモータの本体部周辺で開口して前記風路に連通する通気口を備え、
前記通気口は、該通気口を通過する空気が前記ファンモータの本体部に接触する位置に設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃焼装置において、
前記送風機は、前記ファンモータの前記回転軸の軸線位置の外周に沿って配設した複数の連結部により前記バーナケースの底板に連結されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃焼装置において、
前記モータ支持板は、前記バーナケースの底板と同一平面を形成する位置に連結されることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナに強制的に燃焼用空気を送る送風機を備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナを収容するバーナケースの底板に連結された送風機を備え、送風機からバーナに燃焼用空気を強制的に供給する燃焼装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
送風機は、ファンモータと、羽根車と、ファンケースとを備えている。ファンモータは、本体部と、回転軸とを備えている。ファンモータの本体部は、ファンケースの一側面の外側に固定され、回転軸は、本体部からファンケースの内部に水平方向に延出する。ファンケースは、ファンモータの回転軸に連結された羽根車を収容すると共に、羽根車の回転により生成される気流を燃焼用空気の供給方向に案内する風路を形成する。
【0004】
羽根車は、軸線方向外側から取り入れた空気を径方向に送出するシロッコファン或いはターボファンが採用されており、比較的小型であっても十分な風量と風圧を得ている。ファンケースには、羽根車による送風方向に対応して、側面(ファンモータを支持した側面と反対側の側面)に風路の上流端となる吸気口が形成され、上方側に風路の下流端となる吐出口が形成される。
【0005】
ファンケースの吐出口は、バーナケースの底板に開口形成された空気導入部に接続され、ファンケースの風路がバーナケースの内部に連通する。このとき、ファンケースの吐出口の周縁部とバーナケースの空気導入部の周縁部とをネジ部材等で締結することにより、バーナケースの下方にファンケースが連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のものは、ファンモータの回転軸の軸線が水平方向に延びていてファンケースの一側にファンモータの本体部が支持されている。この構成により、ファンモータの回転軸が回転すると、送風機は、ファンモータの回転軸の回転方向に沿って上下に振動する。これにより、送風機からの振動はバーナケースの底板の面に交差する方向に付与される。バーナケースの底板は、その面に交差する方向(底板の厚み方向等)に撓み易い。このため、送風機の荷重と共に振動が付与されたバーナケースの底板は大きく撓む。このときのバーナケースの底板の撓みによって、送風機の前後左右方向や上下方向に揺れ動くだけでなく、このときの振動がバーナケースの底板で増幅されてバーナケースから大きな騒音が生じる不都合がある。
【0008】
上記特許文献1のものでは、ファンケースの吐出口とバーナケースの底板との連結部の位置や形状を設定して振動の低減を図っているが、一般にバーナケースは軽量化された板金製であることにより、送風機からの振動が伝わり易く、振動やその振動に伴う騒音を確実に低減させることは困難である。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、送風機の作動に伴う振動を確実に低減させることができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、バーナを収容するバーナケースの底板側から燃焼用空気を強制的に供給する送風機を備え、前記送風機が、ファンモータと、該ファンモータの本体部から延びる回転軸に連結された羽根車と、該羽根車を収容して風路を形成するファンケースとを備えて前記バーナケースの底板に連結される燃焼装置において、前記ファンモータは、前記回転軸の軸線が鉛直方向に延びる姿勢に設けられており、前記ファンケースは、前記ファンモータの本体部を支持する平面状のモータ支持板を備え、前記モータ支持板は、前記ファンケースの外部に位置する前記ファンモータの本体部と、前記羽根車と、の間に設けられていると共に、前記ファンモータの本体部周辺で開口して前記風路に連通する通気口を備え、前記通気口は、該通気口を通過する空気が前記ファンモータの本体部に接触する位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の燃焼装置が備える送風機は、ファンモータの回転軸が鉛直方向に延びている。これによれば、送風機にファンモータの回転軸の回転に伴う振動は、バーナケースの底板の水平方向に付与される。バーナケースの底板の水平方向は、バーナケースの底板の面方向(面が広がる方向)であるため、バーナケースの底板の撓み難い方向に振動が付与される。これにより、バーナケースの底板に対する送風機の振動伝達が抑制され、バーナケースからの騒音発生を低減することができる。
また、ファンモータが、その回転軸の軸線を鉛直方向に向けた姿勢であることにより、羽根車に向かう気流は下方から上方に向かう。そこで、ファンモータの本体部周辺部に風路に連通する吸気口又は吐出口に相当する通気口を設けることで、ファンモータの本体部が気流に触れやすく、これにより、ファンモータの冷却効果を得ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記送風機は、前記ファンモータの前記回転軸の軸線位置の外周に沿って配設した複数の連結部により前記バーナケースの底板に連結されることを特徴とする。
【0013】
これによれば、送風機のファンモータからバーナケースの底部に掛かる偏荷重を小さくすることができ、ファンモータの回転軸の回転に伴う振動の発生を抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、前記モータ支持板は、前記バーナケースの底板と同一平面を形成する位置に連結されることを特徴とする。
【0015】
これによれば、ファンモータの本体部の取り付け位置がバーナケースの底板と同等位置であることにより、従来のようなファンモータがバーナケースの下方の離れた位置にある場合と異なり、送風機に殆ど揺れが生じない。従って、送風機からの振動の発生が一層小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の燃焼装置における要部を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の燃焼装置1は、例えば図示しない給湯器の一部を構成するものであり、
図1に示すように燃焼部2と送風機3とを備えている。
【0019】
燃焼部2は、上部に図示しない熱交換部や排気部が連結され、板金製のバーナケース4と、該バーナケース4内に収容されたガスバーナ5とを備えている。バーナケース4の側壁には、ガスバーナ5にガス燃料を供給するノズル構成体6が取り付けられている。また、バーナケース4内の下部には空気整流板7が設けられ、空気整流板7とバーナケース4の底板8との間にはには、空気導入室9が形成されている。
【0020】
バーナケース4は、ガスバーナ5の上部空間が燃焼室10とされている。燃焼室10には、図示を省略したが、ガスバーナ5に点火する点火手段や、ガスバーナ5の着火状態を監視するための炎検知手段等が取り付けられている。
【0021】
送風機3は、ファンケース11と、該ファンケース11内に収容されたシロッコファン12(羽根車)と、シロッコファン12を回転させるファンモータ13とを備えて、所謂遠心送風機を構成している。
【0022】
シロッコファン12は、ファンモータ13の回転軸14に連結された回転板15と、該回転板15の外周縁部に所定間隔を存して放射状に配設された複数の羽根16とを備えている。なお、本実施形態では羽根車としてシロッコファン12を採用したが、これに限らず、ターボファン等の遠心式の羽根車であれば好適に採用することができる。
【0023】
ファンケース11は、上面板17と、上面板17の下側に対向する下面板18とを備えている。上面板17は、回転軸14の軸線位置の外周に配設された複数のネジ部材19によりバーナケース4の底板8に連結されている。ネジ部材19は本発明における連結部に相当するが、全ての連結部がネジ部材19である必要はなく、例えば、図示しないが、上面板17の一部に爪片を設け、この爪片をバーナケース4の底板8に形成した掛止孔に掛止して連結部としてもい。
【0024】
下面板18には、ベルマウス状のファン吸入口20が連結されている。ファン吸入口20は、その略中央部に形成された開口からファンケース11の内部へ空気を案内する。
【0025】
上面板17と下面板18と間には、シロッコファン12を収容するファン収容部21が形成されている。シロッコファン12の外周はスクロール板22によって覆われている。
【0026】
また、ファンケース11には、ファン収容部21を一周してその一側からバーナケース4に気流を案内する風路23が形成されている。
【0027】
下面板18の下方には、通気可能な空隙を存して、モータ支持板24が設けられている。モータ支持板24は、バーナケース4の底板8と平行に広がり、その下面側にファンモータ13の本体部25を支持している。ファンモータ13の本体部25からは回転軸14が延出する。回転軸14は、本体部25からファン収容部21の内部まで延びてシロッコファン12の回転板15を連結支持する。ファンモータ13の本体部25がモータ支持板24に支持されていることにより、回転軸14は、モータ支持板24を貫通して軸線が鉛直方向の上方に延びる。
【0028】
ファンモータ13は、本体部25の周壁から外側に張り出す鍔部を介してモータ支持板24に固定されている。そして、モータ支持板24における、ファンモータ13の本体部25の周辺(本体部25の外周に沿った面)には吸気口26(通気口)が形成されている。吸気口26は風路23の上流端となる。
【0029】
また、風路23は、シロッコファン12の外周に沿って設けられたスクロール板22の内側を経て、上面板17及びバーナケース4の底板8で開口する吐出口27を上流端とする。
【0030】
以上のように、送風機3のファンモータ13は、回転軸14の軸線が鉛直方向に延びる姿勢に設けられているので、回転軸14が回転した時の振動がバーナケース4の底板8の面方向(水平方向)に付与される。バーナケース4の底板8はその厚み方向よりも面方向の撓みが少ない。よって、送風機3に振動が生じても、バーナケース4の底板8への伝達が抑制される。
【0031】
更に、ファンケース11の上面板17が、回転軸14の軸線位置の外周に配設された複数のネジ部材19(連結部)により、バーナケース4の底板8に連結されているので、ファンモータ13からバーナケース4の底板8に掛かる偏荷重を極めて小さく抑えることができる。これにより、送風機3の作動時の振動を確実に抑えることができ、騒音の発生を低減させることができる。
【0032】
しかも、ファンモータ13の本体部25の外周に吸気口26が形成されているので、吸気口26に向かう気流がファンモータ13の本体部25に接触し、ファンモータ13の本体部25が気流により冷却されてファンモータ13自体の発熱による性能低下や耐久性低下を防止することができる。
【0033】
また、上記構成の送風機3は、従来のようにファンモータの回転軸の軸線が水平方向を向く姿勢の送風機と比べて高さ寸法を小さくすることができ、これに伴い燃焼装置1をコンパクトに構成することができる。
【0034】
なお、図示しないが、ファンケース11にステー等の取り付け金具を設け、当該取り付け金具をバーナケース4の底板8に連結することによって送風機3をバーナケース4に固定することも考えられるが、この場合、本発明においては、ステー等の取り付け金具もファンケース11の一部とする。
【0035】
次に、本発明の燃焼装置における送風機の第1の変形例について説明する。第1の変形例に係る送風機30は、
図2に示すように、ファンケース31の上面板32の上側にファンモータ13の本体部25を支持している。第1の変形例に係る送風機30においては、ファンケース31の上面板32が、本発明のモータ支持板に相当する。
【0036】
ファンケース31は、上面板32の下側に対向する下面板33を備え、下面板33には、ベルマウス状のファン吸入口34が連結されている。
【0037】
ファンモータ13の回転軸14は、鉛直方向下方に延びて先端部(下端部)が上面板32と下面板33との間に形成されたファン収容部35の内部に至り、この回転軸14にシロッコファン12が連結される。
【0038】
上面板32は、複数のネジ部材36(連結部)によりバーナケース4の底板8に連結されている。これにより、ファンモータ13の本体部25を支持する上面板32が、バーナケース4の底板8と略同一平面を形成し、比較的重量のあるファンモータ13の本体部25を安定して支持することができる。従って、送風機30が作動しているときに、バーナケース4の底板8に対して送風機30の揺れが殆ど生じることがなく、送風機30からの振動の発生を確実に低減することができる。
【0039】
ファンケース31の内部には、ファン収容部35を一周してバーナケース4に気流を案内する風路37が形成されている。風路37は、上流端に下面板33のファン吸入口34が形成され、下流端に吐出口38(通気口)が形成されている。吐出口38は、上面板32のファンモータ13の本体部25の横方(周辺)に形成されている。
【0040】
第1の変形例に係る送風機30では、バーナケース4の内部にファンモータ13の本体部25が収容された状態となるが、ファンモータ13の本体部25を支持する上面板32には、ファンモータ13の本体部25の外周となる位置に吐出口38が形成されている。これにより、吐出口38からバーナケース4の内部に入った空気がファンモータ13の本体部25に接触し、この空気によってファンモータ13の本体部25を冷却することができる。
【0041】
次に、送風機の第2の変形例について説明する。第2の変形例に係る送風機40は、
図3に示すように、ファンケース41の下面板42の下側にファンモータ13の本体部25を支持している。第2の変形例に係る送風機40においては、ファンケース41の下面板42が、本発明のモータ支持板に相当する。
【0042】
ファンケース41は、下面板42の上側に対向する上面板43を備え、下面板42と上面板43との間には、ベルマウス状のファン吸入口44が設けられている。
【0043】
ファンモータ13の回転軸14は、鉛直方向上方に延びて先端部(上端部)にシロッコファン12が連結される。シロッコファン12は、ファン吸入口44と下面板42との間に形成されたファン収容部45に収容されている。
【0044】
下面板42は、複数のネジ部材46(連結部)によりバーナケース4の底板8に連結されている。これにより、ファンモータ13の本体部25を支持する下面板42が、バーナケース4の底板8と略同一平面を形成し、比較的重量のあるファンモータ13の本体部25の支持状態が安定する。従って、送風機40が作動しているときに、バーナケース4の底板8に対して送風機40の揺れが殆ど生じることがなく、送風機40からの振動の発生を確実に低減することができる。
【0045】
ファンケース41の内部には、風路47が形成されている。風路47は、ファンモータ13の本体部25の横方近傍(周辺)における下面板42に形成された吸気口48(通気口)を上流端とし、ファン吸入口44を経て、ファン収容部45を一周し、上向きに開口する吐出口49を下流端とする。
【0046】
第2の変形例に係る送風機40では、バーナケース4の内部にファンケース41が収容された状態となる。そして、ファンモータ13の本体部25を支持する下面板42に形成された吸気口48により、吸気口48からバーナケース4の内部に向かう空気をファンモータ13の本体部25に接触させて、ファンモータ13の本体部25を冷却することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…燃焼装置、3,30,40…送風機、4…バーナケース、5…ガスバーナ(バーナ)、8…底板、11…ファンケース、12…シロッコファン(羽根車)、13…ファンモータ、14…回転軸、19,36,46…ネジ部材(連結部)、23,37,47…風路、24…モータ支持板、25…本体部、26,48…吸気口(通気口)、32…上面板(モータ支持板)、38…吐出口(通気口)42…下面板(モータ支持板)。