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特許7065702反転ハーモニックギヤアクチュエータ及び反転ハーモニックギヤアクチュエータの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】反転ハーモニックギヤアクチュエータ及び反転ハーモニックギヤアクチュエータの組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220502BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018116561
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019041567
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】15/686,375
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】キース ブロクサム
(72)【発明者】
【氏名】デリック エス.バルシガー
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/003847(WO,A1)
【文献】特表2007-500317(JP,A)
【文献】特開昭61-074936(JP,A)
【文献】特開2011-158072(JP,A)
【文献】特開2017-155780(JP,A)
【文献】特開2017-103951(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02194241(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転ハーモニックギヤアクチュエータであって、
モータ固定子と、
前記モータ固定子の内部で半径方向に配置されるモータ回転子と、
前記モータ回転子の内部で半径方向に配置される波形発生器であって、マルチローブ形状を備えたカム形状を有する半径方向内側表面を備える、前記波形発生器と、
前記波形発生器の内部で半径方向に配置されるアクチュエータ出力軸と、
前記波形発生器の半径方向内側表面とアクチュエータ出力軸との間で半径方向に介在可能であるフレックススプラインであって、前記波形発生器の前記半径方向内側表面と一致し、かつ前記モータ回転子の回転よりも遅く前記アクチュエータ出力軸を回転駆動させるように変形可能であり、そのフレックススプラインの半径方向内側表面が、少なくとも3つのギヤ噛合領域で、前記アクチュエータ出力軸のギヤインターフェースの複数の第2のギヤ歯と噛合するように構成された複数の第1のギヤ歯を備えた、前記フレックススプラインと、
前記波形発生器の前記半径方向内側表面と前記フレックススプラインの半径方向外側表面との間で半径方向に配置される複数のローラベアリングと、
前記ローラベアリングと前記アクチュエータ出力軸のスプラインインターフェースとの間に軸方向に位置決めされるとともに、前記アクチュエータ出力軸の回転を支持する第1のモータベアリングと、
前記波形発生器の半径方向内側表面と前記アクチュエータ出力軸の半径方向外側表面との間で半径方向に配置される第2のモータベアリングであって、前記アクチュエータ出力軸の回転軸に関して、前記第1のモータベアリングおよび前記ローラベアリングから軸方向にオフセットされた、第2のモータベアリングと、
前記波形発生器の半径方向外側表面と前記反転ハーモニックギヤアクチュエータのハウジングとの間で半径方向に配置される第3のモータベアリングと、
を備える、前記反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項2】
前記フレックススプラインの前記半径方向内側表面は、前記アクチュエータ出力軸の前記ギヤインターフェース上のギヤ歯の数よりも大きい数のギヤ歯を備える、請求項に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項3】
前記アクチュエータ出力軸の前記スプラインインターフェースは、前記モータ回転子から軸方向外向きに延在し、負荷を回転駆動させる、請求項に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項4】
前記モータ回転子及び前記アクチュエータ出力軸の前記ギヤインターフェースは、実質的に円形である、請求項に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項5】
前記フレックススプラインと前記ローラベアリングとの間に配置されるローラベアリング内輪と、
前記波形発生器と前記ローラベアリングとの間に配置されるローラベアリング外輪と、
をさらに備える、請求項に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項6】
前記モータ固定子に結合される複数の巻線と、
前記モータ回転子に結合される複数の磁石と、
をさらに備える、請求項1に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項7】
前記波形発生器及び前記モータ回転子は、単一要素で一体化される、請求項1に記載の反転ハーモニックギヤアクチュエータ。
【請求項8】
反転ハーモニックギヤアクチュエータの組立方法であって、
波形発生器をモータ回転子の内部で半径方向に結合させることであって、マルチローブ形状を備えたカム形状を有する半径方向内側表面を含む、波形発生器を結合させることと、
前記波形発生器の前記半径方向内側表面とアクチュエータ出力軸との間で半径方向にフレックススプラインを介在することであって、前記フレックススプラインは、前記波形発生器の前記半径方向内側表面と一致し、かつ前記モータ回転子の回転よりも遅く前記アクチュエータ出力軸を回転駆動させるように変形可能であり、そのフレックススプラインの半径方向内側表面が、少なくとも3つのギヤ噛合領域で、前記アクチュエータ出力軸のギヤインターフェースの複数の第2のギヤ歯と噛合するように構成された複数の第1のギヤ歯を備えた、フレックススプラインを介在することと、
前記波形発生器の前記半径方向内側表面と前記フレックススプラインの半径方向外側表面との間に複数のローラベアリングを位置付けることと、
前記アクチュエータ出力軸の回転を支持する第1のモータベアリングを、前記ローラベアリングと前記アクチュエータ出力軸のスプラインインターフェースとの間に軸方向に位置付けることと、
前記波形発生器の半径方向内側表面と前記アクチュエータ出力軸の半径方向外側表面との間に半径方向に第2のモータベアリングを位置付けることであって、前記アクチュエータ出力軸の回転軸に関して、前記第1のモータベアリングおよび前記ローラベアリングから軸方向にオフセットされた、第2のモータベアリングを位置付けることと、
前記波形発生器の半径方向外側表面と前記反転ハーモニックギヤアクチュエータのハウジングとの間に半径方向に第3のモータベアリングを位置付けることと、
前記モータ回転子を、モータ固定子の内部で半径方向に位置付けることと、
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記フレックススプラインの前記半径方向内側表面は、前記アクチュエータ出力軸の前記ギヤインターフェース上のギヤ歯の数よりも大きい数のギヤ歯を備え、前記アクチュエータ出力軸の前記スプラインインターフェースは、前記モータ回転子から軸方向外向きに延在し負荷を回転駆動させ、前記モータ回転子及び前記アクチュエータ出力軸の前記ギヤインターフェースは、実質的に円形である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記フレックススプラインと前記ローラベアリングとの間のローラベアリング内輪を位置付けることと、
前記波形発生器と前記ローラベアリングとの間のローラベアリング外輪を位置付けることと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
複数の巻線を前記モータ固定子に結合することと、
複数の磁石を前記モータ回転子に結合することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作動システムに関し、より具体的には、反転ハーモニックギヤを伴うアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、米国海軍により付与されたD6305-ADPC-30-F4-1000000の下、政府支援により作成された。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0003】
電気モータを使用する作動デバイスは、一般的に、出力速度を減速させ、かつ出力トルクを増加させるために、ギヤボックス等の追加のギヤ装置を必要とする。ギヤ装置は、一般的に、モータの端部に取り付けられ、結果的に、モータの出力軸を越えて延在する、より長い作動ユニットになる。従来、回転式アクチュエータは、遊星ギヤドライブと一般に称される遊星型減速ギヤドライブを使用し、電気駆動モータによって入力される高速回転を減速させる。また、回転式アクチュエータが、複数の段(遊星ギヤの複数のセット)を伴う遊星ギヤドライブを使用し、減速比を増加させ、モータのサイズ及び重量を小さくし、アクチュエータのトルク対重量の比率を増加させることが一般的である。複数の段を遊星ギヤドライブに組み込むことにより、減速比を増加させる一方で、また、望ましくないが、サイズ、重量、及び複雑性が増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様による、反転ハーモニックギヤアクチュエータが提供される。反転ハーモニックギヤアクチュエータは、モータ固定子と、モータ固定子の内部で半径方向に配置されるモータ回転子とを含む。反転ハーモニックギヤアクチュエータはまた、モータ回転子の内部で半径方向に配置される波形発生器を含み、波形発生器は、カム形状を伴う半径方向内側表面を有する。アクチュエータ出力軸は、波形発生器の内部で半径方向に配置される。フレックススプラインは、波形発生器の半径方向内側表面とアクチュエータ出力軸との間で半径方向に介在可能である。フレックススプラインは、波形発生器の半径方向内側表面と一致するように変形可能であり、モータ回転子の回転よりも遅くアクチュエータ出力軸を回転駆動させる。
【0005】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、フレックススプラインの半径方向内側表面は、アクチュエータ出力軸のギヤインターフェースの複数の第2のギヤ歯と噛合するように動作可能である複数の第1のギヤ歯を含む。
【0006】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、フレックススプラインの半径方向内側表面は、アクチュエータ出力軸のギヤインターフェース上のギヤ歯の数よりも大きい数のギヤ歯を含む。
【0007】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、モータ回転子及びアクチュエータ出力軸のギヤインターフェースは、実質的に円形である。
【0008】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、さらなる実施形態は、アクチュエータ出力軸がモータ回転子から軸方向外向きに延在し及び負荷を回転駆動させるスプラインインターフェースを含む場合を含んでよい。
【0009】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、さらなる実施形態は、波形発生器の半径方向内側表面とフレックススプラインの半径方向外側表面との間で半径方向に配置される複数のローラベアリングを含んでよい。
【0010】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、さらなる実施形態は、フレックススプラインとローラベアリングとの間に配置されるローラベアリング内輪と、波形発生器とローラベアリングとの間に配置されるローラベアリング外輪とを含んでよい。
【0011】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、さらなる実施形態は、モータ固定子に結合される複数の巻線と、モータ回転子に結合される複数の磁石とを含んでよい。
【0012】
上記に説明された1つ以上の特徴に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、さらなる実施形態は、波形発生器及びモータ回転子が単一要素で一体化される場合を含んでよい。
【0013】
追加または代替の実施形態による、反転ハーモニックギヤアクチュエータを組み立てる方法が提供される。本方法は、波形発生器をモータ回転子の内部で半径方向に結合させることを含む。波形発生器は、カム形状を伴う半径方向内側表面を含む。フレックススプラインは、波形発生器の半径方向内側表面とアクチュエータ出力軸との間で半径方向に介在される。フレックススプラインは、波形発生器の半径方向内側表面と一致するように変形可能であり、モータ回転子の回転よりも遅くアクチュエータ出力軸を回転駆動させる。モータ回転子は、モータ固定子の内部で半径方向に位置付けられる。
【0014】
反転ハーモニックギヤを電気モータ内部に組み込む実施形態の技術的効果が達成される。反転ハーモニックギヤは、外付けギヤ装置を取り除きまたはそれを減らし、かつ小型パッケージ内でトルクの増加をもたらすために、モータ内部からのモータの出力軸の出力速度を減速させることができる。結果として生じるモータ直径の増加により、冷却表面積を拡大し、モータ巻線等の高温の構成要素をアクチュエータの半径方向外側に配列することによって、モータ冷却に関する要求事項を緩和することができる。
【0015】
本開示として見なされる主題は、具体的に指摘され、本明細書の終わりにある、「特許請求の範囲」で明瞭に主張される。前述かつ他の特徴及び本開示の利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態による、反転ハーモニックギヤアクチュエータの断面図である。
図2】本実施形態による、図1の反転ハーモニックギヤアクチュエータの別の断面図である。
図3】本実施形態による、図2の反転ハーモニックギヤアクチュエータの一部の拡大図である。
図4】本実施形態による、アクチュエータ出力軸とフレックススプラインとの間の相互関係の概略図である。
図5】代替実施形態による、アクチュエータ出力軸とフレックススプラインとの間の相互関係の概略図である。
図6】本実施形態による、反転ハーモニックギヤアクチュエータの組立工程である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明されるように、反転ハーモニックギヤアクチュエータが提供される。ハーモニックドライブは、運動制御システムのがたつきを減らすことができる。ハーモニックドライブのハーモニックギヤは、同心軸により高い減速比を可能にし、単段または多段遊星ギヤドライブと比較して、がたつきを少なくし、トルクウエイトレシオを高くすることを可能にする。ハーモニックギヤの構造及び動作は、金属の弾性機械的特性を使用した構成に基づくものである。ハーモニックギヤは、一般的に、波形発生器、可撓性(柔軟性)スプライン、及びリングギヤを含み、波形発生器は、一般的に、その外周の周囲に設置される薄型ベアリングを伴う楕円または楕円形カムであり、モータのシャフト上に搭載される。ハーモニックドライブと対照的に、反転ハーモニックギヤアクチュエータは、モータ回転子の半径方向内側に波形発生器を含み、波形発生器の半径方向内側表面のカム形状は、カム形状に一致するフレックススプラインを回転駆動させ、さらに、本実施形態に従って、実質的円形を有する半径方向内側のアクチュエータ出力軸を回転駆動させる。モータ回転子、モータ固定子、波形発生器、フレックススプライン、及びアクチュエータ出力軸は、相互に対して同軸上に整合される。反転ハーモニックギヤを電気モータの内部体積内に組み込むことで、アクチュエータに、外付け遊星ギヤシステムと類似するまたは改善された減速比をもたらし、結果的に、低重量及小さいパッケージサイズをもたらし得る。
【0018】
図1図5を参照して、反転ハーモニックギヤアクチュエータ100が提供される。反転ハーモニックギヤアクチュエータ100は、電気モータ101、フレックススプライン102、及び波形発生器103を含む。電気モータ101は、巻線204をモータ固定子202に結合するように、固定子巻線支持部206の周囲に巻着される巻線204を伴うモータ固定子と202を含む。巻線204は、電流を受け入れ可能である。電気モータ101はまた、モータ固定子202の内部で半径方向に配置されるモータ回転子208を含む。モータ回転子208は、モータ回転子208に結合される磁石210の円周配列を含み、それにより、電流が巻線204に供給されるとき、磁束モーメントは、モータ回転子208内で誘導され、これは、モータ回転子208を、軸Aを中心に回転させる。この回転運動は、波形発生器103の対応する回転駆動をする働きをする。波形発生器103は、モータ回転子208の内部で半径方向に配置される。モータ回転子208は、波形発生器103の実質的円形半径方向外側表面212に接触する、実質的円形を有し得る。ハーモニック運動を生み出すために、波形発生器103は、カム形状を伴う半径方向内側表面214を有する。カム形状は、複数のローラベアリング104を通ってフレックススプライン102まで並進し、これは、軸Aを中心にアクチュエータ出力軸106を回転駆動させることができる。フレックススプライン102は、波形発生器103の半径方向内側表面214とアクチュエータ出力軸106との間で半径方向に介在可能であり、フレックススプライン102は、波形発生器103の半径方向内側表面214と一致し、かつモータ回転子208の回転よりも遅くアクチュエータ出力軸106を回転駆動させるように変形可能である。複数の実施形態では、モータ回転子208のアクチュエータ出力軸106に対する回転速度比は、例えば、基本ハーモニック構成で、80:1~200:1であり得る。合成されたハーモニック構成に組み込まれるとき、モータ回転子208のアクチュエータ出力軸106に対する回転速度比は、例えば、400:1~10,000:1であり得る。
【0019】
フレックススプライン102は、半径方向内側表面216を伴う弾性金属で作られることができ、半径方向内側表面216は、アクチュエータ出力軸106のギヤインターフェース222の複数の第2のギヤ歯220と噛合するように動作可能である複数の第1のギヤ歯218を含む。ギヤインターフェース222は、実質的に円形かつ剛性のギヤであり得、フレックススプライン102の半径方向内側表面216は、アクチュエータ出力軸106のギヤインターフェース222上にギヤ歯220の数よりも大きい数のギヤ歯218を含むことができる。波形発生器103の回転に関する半径方向内側表面214の波状運動は、フレックススプライン102を非円形状に合わせて形成することができ、その非円形状については、代替実施形態の2つの例として、アクチュエータ出力軸106に対する2つのギヤ噛合領域302を伴う楕円形状300(図4)、または、アクチュエータ出力軸106に対する少なくとも3つのギヤ噛合領域402を伴うマルチローブ形状400(図5)等が挙げられる。フレックススプライン102が軸Aを中心に回転するとき、ギヤ噛合領域302、402は、歯218と歯220との間において回転方式で前進する。フレックススプライン102とアクチュエータ出力軸106との形状の違いは、ギヤ噛合領域302の間で、かつギヤ噛合領域402の間で、歯218、220のずれをもたらし、ギヤインターフェース222の少ない数の歯220と組み合わされ、モータ回転子208の回転に対してアクチュエータ出力軸106の回転の減速をもたらす。
【0020】
複数の実施形態では、複数のローラベアリング104は、波形発生器103の半径方向内側表面214とフレックススプライン102の半径方向外側表面224との間で半径方向に配置される。ローラベアリング内輪226は、フレックススプライン102とローラベアリング104との間に配置されることができ、ローラベアリング外輪228は、波形発生器103とローラベアリング104との間に配置されることができる。反転ハーモニックギヤアクチュエータ100の内部の回転はまた、例えば、モータ回転子208とモータ固定子202との間で、モータ固定子202とアクチュエータ出力軸106との間で、及び/またはモータ回転子208とアクチュエータ出力軸106との間で、複数のモータベアリング108によって支持されることができる。
【0021】
複数の実施形態では、アクチュエータ出力軸106は、モータ回転子208から軸方向外向きに延在し、負荷112を回転駆動させるスプラインインターフェース110を含む。負荷112は、飛行機荷重であり得、比較的大きい量のトルクにより、別の空気力学的表面に対して一方の空気力学的表面を枢動させることが要求される。代替として、負荷112は、航空エンジンの補助システム、エンジンの制御機構、または他の構成要素等の推進システムの構成要素であり得る。アクチュエータ出力軸106は、完全に1回転未満に回転が制限され得、または、設置制約及び使用制約に応じて、複数の回転を完全に支持することができる。
【0022】
ここで、図6を参照すると、反転ハーモニックギヤアクチュエータ100を組み立てる方法500が図1図6を参照して説明される。特定の順序で説明されているが、方法500のステップは、別の順序で行うことができ、追加のステップを含み得ることが理解されるであろう。
【0023】
ブロック510において、波形発生器103は、モータ回転子208の内部で半径方向に結合され、波形発生器103は、カム形状を伴う半径方向内側表面214を有する。カム形状は、図4の楕円形状300または図5マルチローブ形状400に類似し得る。結合は、圧入結合であり得る。代替として、用語「結合される」または「結合する」はまた、波形発生器103が、単一要素として、モータ回転子208と一体的に形成される場合を含み得る。
【0024】
ブロック520において、フレックススプライン102は、波形発生器103の半径方向内側表面214とアクチュエータ出力軸106との間で半径方向に介在される。フレックススプライン102は、波形発生器103の半径方向内側表面214と一致し、かつモータ回転子208の回転よりも遅くアクチュエータ出力軸106を回転駆動させるように変形可能である。複数のローラベアリング104は、波形発生器103の半径方向内側表面214とフレックススプライン102の半径方向外側表面224との間で半径方向に配置されることができる。ローラベアリング内輪226は、フレックススプライン102とローラベアリング104との間に位置付けられることができる。ローラベアリング外輪228は、波形発生器103とローラベアリング104との間に位置付けられることができる。
【0025】
ブロック530において、モータ回転子208は、モータ固定子202の内部で半径方向に位置付けられ、それにより、モータ固定子202の巻線204を、電気モータ101のモータ回転子208の磁石210に近接して配列するようになる。モータ回転子208をモータ固定子202の内部に位置付ける前に、複数のモータベアリング108を電気モータ101の2つの以上の構成要素の間に介在することができる。アクチュエータ出力軸106のスプラインインターフェース110は、電流をモータ固定子202の巻線204を加えたことに応答して回転駆動される負荷112に係合することができる。
【0026】
用語「約」は、出願時に利用可能である機器に基づいて、特定の量の測定値と関連付けられる一定の程度の誤差を含むことが意図される。例えば、「約」は、所与の値の±8%もしくは5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0027】
本明細書で使用された専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、本開示を限定することを意図していない。本明細書に使用されるような、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で他に明確に示さない限り、同様に、複数形を含むことが意図される。さらに、用語「comprises(備える)」及び/または「comprising(備えている)」は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらの群の存在または追加を除外するわけではないことが理解されるであろう。
【0028】
本開示では例示の一実施形態または複数の実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更がされてもよく、同等のものがその要素の代わりになり得ることを当業者によって理解されるだろう。加えて、特定の状況または物質を本開示の教示に、その本質的範囲から逸脱することなく適応させるために、多くの修正がされてもよい。したがって、本開示は、本開示を実行するために想到される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されないが、本開示は、特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6