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特許7065768超音波トランスデューサのための高電圧電力の能動的分配
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  • 特許-超音波トランスデューサのための高電圧電力の能動的分配 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサのための高電圧電力の能動的分配
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018522613
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2016056582
(87)【国際公開番号】W WO2017077456
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-10-31
(31)【優先権主張番号】62/249,416
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】レドックス ニコラス ケイス
(72)【発明者】
【氏名】サヴォルド ベルナルド ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドショー ザ セカンド ミカエル カール
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-236869(JP,A)
【文献】特開2017-012596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0182201(US,A1)
【文献】特表2015-517866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G01N 29/00 - 29/52
H04R 1/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブエンクロージャ内に配置される超音波トランスデューサ、
リニアレギュレータと、高電圧供給源に結合される入力部と、前記超音波トランスデューサに結合される出力部とを有する能動的供給源、及び
前記超音波トランスデューサと前記能動的供給源との間に結合される電圧フィードバックラインを含む、超音波撮像システムであって、
前記リニアレギュレータは、前記電圧フィードバックラインからのフィードバック電圧に基づいて、前記超音波トランスデューサに供給される出力電圧を撮像に許容可能な範囲で維持する、超音波撮像システム。
【請求項2】
前記能動的供給源の前記入力部に結合されるコンデンサを含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項3】
前記能動的供給源に結合される基準電圧源を含む、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項4】
前記プローブエンクロージャに結合されるプローブケーブルの端部に結合されるプローブコネクタを含み、
前記能動的供給源は、前記プローブコネクタ内に配置される、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項5】
前記コンデンサは、前記プローブコネクタ内に配置される、請求項4に記載の超音波撮像システム。
【請求項6】
前記プローブケーブルは、前記能動的供給源と前記超音波トランスデューサとの間に結合される高電圧供給導電体を含み、前記電圧フィードバックラインは、前記プローブケーブル内に配置され、前記高電圧供給源は、超音波システムメインフレーム内に配置される、請求項5に記載の超音波撮像システム。
【請求項7】
前記能動的供給源は、前記電圧フィードバックラインからの前記フィードバック電圧に基づいて、前記超音波トランスデューサに供給される出力電圧を調整するオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプを含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項8】
前記コンデンサと前記能動的供給源の出力部との間の伝導を制御するパストランジスタを含む、請求項に記載の超音波撮像システム。
【請求項9】
前記超音波トランスデューサに結合される送信器を含み、
前記能動的供給源は、前記送信器に高電圧を供給するために結合される、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項10】
前記能動的供給源は、前記プローブエンクロージャ内に配置される、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項11】
前記能動的供給源は、超音波システムメインフレーム内に配置される、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項12】
前記能動的供給源は、プローブが超音波システムメインフレームから切断されたときに前記コンデンサを放電するために当該コンデンサに結合される放電回路をさらに含む、請求項11に記載の超音波撮像システム。
【請求項13】
前記能動的供給源は、前記超音波トランスデューサに第1の高電圧を出力し、前記超音波撮像システムは、
第2の能動的供給源が前記超音波トランスデューサに第2の高電圧を供給するように、前記高電圧供給源に結合される入力部と前記超音波トランスデューサに結合される出力部とを有する当該第2の能動的供給源をさらに含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項14】
前記高電圧供給源と前記能動的供給源の各々の入力部との間に結合されるスイッチをさらに含む、請求項13に記載の超音波撮像システム。
【請求項15】
前記能動的供給源の各々の出力部と前記超音波トランスデューサとの間に配置されるスイッチ、及び前記能動的供給源の各々のフィードバック入力部と前記超音波トランスデューサとの間に配置されるスイッチをさらに含む、請求項13に記載の超音波撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用診断用超音波撮像に関し、特には、超音波トランスデューサプローブへの電力供給に関する。
【背景技術】
【0002】
3D撮像に使用されるような超音波トランスデューサプローブは、プローブ内に配置され、トランスデューサアレイ(センサ)に結合される送信回路を有することができ、当該送信回路は、超音波システムに配置される電源からのエネルギーでトランスデューサ素子を励起する。剪断波エラストグラフィ又はPWドプラのようないくつかの撮像モダリティ、及び、治療用途に使用されるプローブのために、フロントエンド回路は、システム電源が供給できるよりも高い電流を必要とする可能性がある。プローブによるこれらの高電流を引き出すための試みは、フロントエンド及びトランスデューサに駆動電圧を供給する高電圧供給の電圧レベルの低下を招き得、その結果今度は、送信される超音波の音圧が落ち、これは、撮像及び治療の効果を低下させる。この問題を補う1つの手法は、高電圧供給ラインに大きなキャパシタンスを結合するという受動的な手法である。国際特許公開第 2013/179179号には、プローブの高電圧供給ラインに結合され、超音波システムメインフレーム、トランスデューサのシステムコネクタ、及び/又はプローブケース内に配置される大型のコンデンサバンク(100μFから1000μF)の使用が記載されている。送信フェーズ中にプローブが過度の電流を引き出し始めたときには、コンデンサバンクに蓄えられた電荷が電源からの電荷を補い、所望の電圧レベルを維持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このアプローチには、物理的にかなりの大きさのコンデンサバンクを配置することを伴う欠点がないわけではない。プローブ自体の内部にコンデンサバンクを配置することが望ましい場合、人間工学的理由のため、あるいは、例えば、食道に収まる必要のあるTEEプローブのようなプローブの用途のためにもまた、利用可能なスペースの量が制限される。トランスデューサのコネクタ内にコンデンサバンクを配置することが望ましい場合、コンデンサバンクの物理的サイズは収納されやすくなるが、トランスデューサケーブルの電気抵抗が制約の要因となる。例えば、撮像モダリティが5Aを必要とするパルス送信の間に1Vの降下に耐え得る場合、ケーブル抵抗は、0.2Ω未満である必要がある。3Dトランスデューサプローブ用の一般的な2メートル長のケーブルが、2Ωの抵抗を有する一対の導電体を介して送信電力を分配する場合、ケーブルによって生じる電圧降下は許容可能な電圧降下の10倍である。これは、ケーブル導電体の数を増やす、又は直径を伸ばすことによって克服することができるが、このことは、ケーブルの柔軟性を低下させ、ケーブルをより高価にし、新しいケーブルの開発を必要とさせる。このことはまた、ケーブルの端のワイヤコネクタのサイズも大きくし得る。従って、超音波システム及びプローブの他の態様を妥協することなく、高電流電圧降下問題を解決することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの態様では、本発明は、超音波プローブ内のアレイトランスデューサに電力を供給する能動的供給源を含む超音波撮像システムを含む。例えば、超音波撮像システムは、プローブエンクロージャ内に配置される超音波トランスデューサ、高電圧供給源に結合される入力部と超音波トランスデューサに結合される出力部とを有する能動的供給源、及び、超音波トランスデューサと能動的供給源との間に結合される電圧フィードバックラインを含み得る。能動的供給源は、電圧フィードバックラインからのフィードバック電圧に基づいて、超音波トランスデューサに供給される出力電圧を調整するように構成され得る。
【0005】
特定の態様では、トランスデューサケーブル内の導電体を介してプローブにエネルギーを供給する能動的供給源は、超音波システムメインフレーム内、トランスデューサプローブ自体又はトランスデューサプローブのコネクタ内のような撮像システムの様々な場所に配置されてもよい。
【0006】
いくつかの態様では、能動的高電圧供給源は、より高い電圧に充電されるコンデンサバンクに結合され得る。コンデンサバンクは、動作中に数十ボルトを放電することができるが、能動的供給源は、トランスデューサフロントエンドの電圧を、撮像において許容可能な、より高い範囲内で維持する。能動的供給源は、信号経路内のセンサに、より近い点からフィードバックを受信し、誤差増幅器は、フィードバック信号と、コネクタ上で生成される基準電圧又は超音波システムによって提供される基準電圧のいずれかとを比較する。誤差増幅器の出力に応じて、能動的供給源は、フロントエンドセンサによって提供される負荷内の変化を補償するために、当該能動的供給源の出力を変化させる。コンデンサバンクは、送信励起の継続期間全体を通してセンサにより必要とされる電流を供給するために十分な電荷を、能動的供給源に蓄積する。コンデンサバンクの電圧は、送信間隔を通してトランスデューサの所望の電圧を能動的供給源が維持するために十分な程に高くなり得る。能動的供給源を使用することで、受動的な場合の数千マイクロファラドのコンデンサバンクの代わりに、およそ数百マイクロファラドのコンデンサバンクの使用が可能になる。これは、電圧降下が、トランスデューサフロントエンドの電圧よりもはるかに高いボルトになり得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の原理に従って構成される超音波システムの模式図である。
図2図2は、超音波システムメインフレーム用のケーブル及びコネクタを有するプローブを示す。
図3a-3b】図3a及び図3bは、正及び負の電圧供給の本発明の模式的な実施形態を示す。
図4図4は、本発明の実施形態の様々なポイントにおけるパルス送信中の電圧及び電流レベルを示す。
図5図5は、本発明の原理に従って構成される能動的供給源の模式図である。
図6図6は、複数の能動的供給源を使用するプローブ電力の供給のブロック図である。
図7図7は、複数の能動的供給源を使用するプローブ電力の供給の別の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず図1を参照すると、本発明の原理に従って構成される超音波撮像システムが、ブロック図形式で示されている。接触点の下の解剖学的構造を撮像するために患者の体に当てられる遠位端6を有するハンドル部8によって保持される、超音波プローブエンクロージャ10が設けられる。プローブエンクロージャの遠位端6の内部のアレイトランスデューサは、体の2次元又は3次元の領域にわたる、ビーム方向と呼ばれる方向に沿って、集束されたパルス又は波形を送信する。この領域は、図1で扇形の平面12として示されている。送信は、プローブ内に配置される送信器又はケーブル24若しくは無線によりプローブを接続することのできる超音波システムメインフレームによって、アレイトランスデューサの素子に高電圧パルス又は波形を印加することによって達成される。各送信に応じて、組織、血液、及び構造からビーム方向に沿ってエコーが返され、当該エコーは、アレイトランスデューサの素子によって受信される超音波信号からコヒーレントエコー信号を形成するために、システムビームフォーマ14を用いてビームフォーミングによって処理される。ビームフォーミングの一部又は全部はまた、プローブ内に配置され、アレイトランスデューサに結合されるマイクロビームフォーマASICによって実行されてもよい。受信される信号が完全にビームフォーミングされた後、これらは、デシメーション、フィルタリング、高調波分離、及び信号合成などの機能を実行する信号プロセッサ16に結合される。処理された信号は、振幅又はドプラ検出、及び走査変換のようなプロセスによって、当該処理された信号を画像へと形成する画像プロセッサ18に結合される。形成された画像は、画像ディスプレイ20に表示される。
【0009】
システムは、超音波システムの様々な構成要素を通電するために使用される多数の電圧を供給する電源22を含む。本明細書でさらに説明されるように、電源22は、能動的供給源40に結合されることができ、撮像又は治療のためにパルス又は波形を送信するようトランスデューサ素子を刺激するために送信回路によって使用される高電圧(例えば、~100v)を供給することができる。高電圧は、システムメインフレーム内の送信器及び/又はプローブ10内の送信器に印加され得る。
【0010】
いくつかの態様では、超音波システムメインフレームがシステムに含まれ、様々な診断用途のための多数の異なるタイプのプローブと共に動作可能である。この目的のために、システムメインフレームは、プローブを接続することができる1つ又は複数のコネクタを含み得る。図2は、ケーブル24の近位端にコネクタ30を有するプローブ10を示す。歪み軽減体26は、プローブ及びプローブコネクタに取り付けられるケーブルの端部の過度のたわみを防止する。プローブコネクタ30は、ケーブルの導電体が接続されるマルチピンプラグを収容するケースを含む。プラグは、36で示されている。プローブをシステムメインフレームに取り付けるために、プラグ36が超音波システム上の組み合わせコネクタに差し込まれ、当該プローブをシステムにしっかりと取り付けるためにロックハンドル34が回転される。
【0011】
上述したように、いくつかの用途においてトランスデューサ素子を駆動する際の高電圧供給に対する要求は、高電流送信要求の間に電圧を降下させる可能性がある。供給電圧の降下は、プローブセンサにおける所望の電圧レベルよりも低い電圧レベルを供給し、これは、今度は所望の音圧よりも低い音圧の送信信号を生成する。これらの送信間隔の間に高電圧供給を補うためのコンデンサバンクの使用は、上述した制限に直面する。図3a及び図3bに示されるように、本発明の原理によって、センサに高電圧を供給するために能動的供給源40が使用される。送信エネルギーを供給するための能動的なアプローチは、より少ないキャパシタンス(例えば、約90%少ないキャパシタンス)で受動的なコンデンサバンクのアプローチと同じ供給電圧性能を達成することができ、結果として、プローブ又はシステム内で必要となるスペースがより小さくなる。従って、能動的供給源及びそのキャパシタンスは、プローブ、システムメインフレーム、及び従来型のほとんどのプローブコネクタを含む超音波システムの様々な部分に容易にフィットし得る。さらには、能動的なアプローチは、既存のトランスデューサケーブルのデザインを使用することができる。図3aは、トランスデューサプローブ10内の送信器のための能動的供給源の簡略化されたブロック図を示す。この実施形態では、能動的供給源40は、トランスデューサコネクタ30内に配置され、トランスデューサケーブル24内の導電体を介してエネルギーを供給する。能動的高電圧供給源40は、電源22からの高電圧(+HV IN)によって電力が供給され、当該高電圧は、能動的供給源の入力でコンデンサC1に印加される。電源は、コンデンサC1に高供給電圧を充電する。コンデンサC1は、動作中に数十ボルト放電することができるが、能動的供給源は、プローブのフロントエンドセンサ50の電圧を、撮像及び治療に許容可能である、より狭い範囲内で維持する。能動的供給源は、電圧フィードバックラインに沿ったセンサからのフィードバックを受け取り、回路内のフィードバック電圧とコネクタ30内で生成される基準電圧又は超音波システムメインフレームによって提供される基準電圧のいずれかとを比較する。能動的供給源がフィードバック電圧をどのように比較するかの一例が、下記の図5内の回路に関連して説明される。能動的供給源は、センサによって提供される負荷内の変化を補償するために当該能動的供給源の出力をフィードバック信号の変化に応じて変化させる。コンデンサC1は、能動的供給源が、送信励起段階の継続期間中にセンサ50及びそのバイパスキャパシタンス52によって必要とされる電流を提供するために十分な電荷を蓄積する。コンデンサC1の電圧は、能動的供給源が送信間隔を通じてセンサの電圧を維持するのに十分なだけ高くさえあればよい。コンデンサC1は、受動的な場合のような数千マイクロファラドの代わりに、およそ数百マイクロファラドであってもよい。これは、センサのフロントエンドで能動的に制御される電圧よりもはるかに高い電圧が降下できるからである。
【0012】
能動的供給源は、正又は負の高電圧を供給することができ、センサ負荷は、電流を得る又はシンクすることができることに留意されたい。センサ(例えば、電圧検出デバイス)は、高電圧の一方又は両方の極性を利用することができる。図3bは、図3aと同じ装置を模式的に示すが、負(-HV)の駆動電圧を必要とするセンサ用のものである。能動的供給源40への入力でコンデンサC1に負の高電圧が印加され、電流の流れは、センサ50を指す記号の矢印の方向によって示されるように、反対の向きである。
【0013】
図4は、高い負の送信電圧の供給中の図3bの回路の複数のポイントにおける例示的な波形を示す。この例では、能動的供給源40への入力は-77Vであり、5アンペア(A)がセンサによって引き出される1ミリ秒未満の送信間隔中、センサ50の電圧は、-60Vの1V以内に維持される。コンデンサC1の値は300μFであり、能動的供給源への入力の電圧は、曲線60で示されるように-77Vから-67Vまで10V落ちる。ケーブル24の検知導電体からの負のフィードバックは、センサがケーブル内に5Aをシンクしたときのケーブルにわたる電圧降下を補償するために、能動的供給源40に、ケーブル24の供給導電体のコネクタ端部の電圧を低下させる。これは、ケーブルの電圧降下を説明するために、公称電圧-60Vが-62.5Vに変化する曲線62によって示されている。曲線64は、曲線66で示されている、センサが5Aを引き出しているときに生じる、-60Vから-59Vまでの1ボルトの許容可能な降下であるセンサにおける電圧変化を示す。送信間隔中に-60Vで5Aをシンクする能力は、この性能では一般的な超音波システム電源には実現できないものである。
【0014】
図4に示される性能を有する本発明の能動的供給源の例示的な模式図が図5に示される。この例における能動的供給源は、高電圧リニアレギュレータとして実施されている。また、スイッチング電源も使用され得ることが理解されるであろう。示されているリニアレギュレータは、端子FBにおいてセンサ50から負のフィードバックを受け取ることで、負荷及びその入力電圧が変化した場合に、当該リニアレギュレータがフィードバックポイントにおいてほぼ一定の電圧を維持することを可能にする。リニアレギュレータの入力端子INに結合される高電圧供給源-HVは、5Aをシンクすることができないため、コンデンサC1上の負の電圧は、負荷(送信)間隔中に0Vに向かって上昇する。
【0015】
レギュレータは、NMOSパストランジスタM1のドレインからソースへの抵抗を変化させることにより負荷内の変化及びその入力電圧の変動を補償する。抵抗器R1及び抵抗器R2からなるフィードバックネットワークは、出力端子OUTにおいて供給導電体のために生成される電圧を、超音波システムによって供給され、-1倍される基準電圧Refにほぼ等しくなるように設定する。トランジスタQ1及びQ2は、オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプを形成する。Q1の電流出力は、パストランジスタM1のゲートを抵抗器R4によって設定される電圧に駆動し、これによりレギュレータへの入力電圧と供給導電体との間の抵抗を制御する。負荷が供給源内にシンクする電流量が増加すると、レギュレータ出力の電圧が上昇し、これは、トランジスタQ2のベース―エミッタ間の電圧を低下させる。これにより、トランジスタQ2のコレクタ―エミッタ間の電流が減少し、トランジスタQ1のコレクタ―エミッタ間の電流が増加し、これは、パストランジスタM1のゲート―ソース間の電圧を上昇させる。上昇したゲート―ソース間の電圧は、レギュレータへの入力供給源とその出力と直列であるパストランジスタM1のドレイン―ソース間の抵抗を減少させ、結果として出力電圧が低下する。
【0016】
同様に、センサ負荷が低減する場合、レギュレータ出力の電圧が低下し、これは、Q2のバイアスを増加させ、結果として、Q2の導電率が上昇し、Q1の導電率が低下する。これにより、パストランジスタのゲート駆動が低下し、これは、当該パストランジスタのドレイン―ソース間の抵抗を引き上げ、レギュレータの出力電圧を上昇させる。同じメカニズムは、パストランジスタM1のドレイン―ソース間の抵抗を、レギュレータへの入力電圧が低下するにつれて減少させ、高電圧システムがコンデンサC1を再充電するときに入力電圧が上昇するにつれて増加させる。従って、リニアレギュレータは、負荷及びその入力電圧が変動するときに、電圧を設定電圧に保持する。
【0017】
超音波システムとリニアレギュレータとに直列である放電回路がある。放電回路は、負の高電圧供給が0Vに向かって引き上げられる際に超音波システムがコンデンサC1によってバックドライブされることを防止する。放電回路はまた、コンデンサC1がプローブコネクタ36に直接接続される場合に発生する可能性のある感電事故を防止する。ダイオードD1及びD2は、システムによって-HVが上昇させられるか、又は切断されると、逆方向バイアスになる。次いで、トランジスタQ3は、そのベース上に正のバイアスを発生させ、トランジスタQ4のベースを駆動し、これは、Q4に、R7とトランジスタQ4を介してコンデンサC1を放電させる。
【0018】
異なる電圧のトランスデューサ励起で撮像するために、本発明の実施形態は、励起電圧が変化した際に、能動的に制御されるトランスデューサへの高電圧を変化させるためのスイッチ44a、44b、及び44cと、複数の能動的供給源とを使用することができる。これは図6に示されている。示されているスイッチング装置は、供給導電体及び検知ライン接続部の両方をスイッチする。複数の能動的供給源40は、単一のコンデンサC1と共に示されている。図7は、同様の複数の電圧励起の実施形態を示しているが、異なる能動的供給源40に対する異なる電荷蓄積コンデンサC1を有している。スイッチ42a、42b、及び42cは、システム高電圧HVをコンデンサC1に選択的に結合する。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7